【実施例】
【0033】
  以下に実施例で本発明を詳述する。なお、実施例中の評価は以下の方法で行った。
【0034】
  <樹脂特性>
(1)反発弾性率
  JIS  K  6255規格により測定した。
(2)融点
  島津製作所TA50、DSC50型示差熱分析計を使用し、10gの試料を昇温速度20℃/分で20℃から250℃まで測定した吸発熱曲線から吸熱ピーク(融解ピーク)温度を求めた。
(3)ショアD硬度
  ASTM  D2240規格により測定した。
【0035】
  <網状構造体特性>
(4)25%圧縮時硬度
  試料を30cm×30cmの大きさに切断し、20℃±2℃の環境下に無荷重で24時間放置した後、20℃±2℃の環境下にあるエー・アンド・デイ社製テンシロン(RTG−1310)にてφ200mm、厚み10mmの加圧板を用いて、試料の中心部を10mm/minの速度で圧縮を開始し、荷重が1.0Nになる時の厚みを計測し、硬度計厚みとする。この時の加圧板の位置をゼロ点として、速度100mm/minで硬度計厚みの75%まで圧縮した後、速度100mm/minにて加圧板をゼロ点まで戻す。引き続き速度100mm/minで硬度計厚みの25%まで圧縮し、その際の荷重を25%圧縮時硬度とした。25%圧縮時硬度の単位はkg/φ200mmであり、n=3の平均値で示した。
(5)連続線状体の繊維径
  試料を幅方向10cm×長さ方向10cm×試料厚さの大きさに切断し、切断断面から厚さ方向にランダムに10本の線状体を約5mmの長さで採集した。採集した線状体を、光学顕微鏡を適切な倍率で繊維径測定箇所にピントを合わせて繊維側面から見た繊維の太さを測定した。なお、網状構造体の表面は平滑性を得るためにフラット化されていることから繊維断面が変形している場合があるため、網状構造体表面から2mm以内の領域から試料は採取しないこととした。
(6)連続線状体の中空率
  網状構造体から連続線状体を採取し、液体窒素で冷却した後に割断し、その断面を電子顕微鏡で倍率50倍にて観察し、得られた画像をCADシステムにて解析して樹脂部分の断面積(A)と中空部分の断面積(B)を測定し、{B/(A+B)}×100の式により中空率を算出した。
(7)70℃圧縮残留歪
  試料を10cm×10cm×試料厚さの大きさに切断し、圧縮前厚さt
bを測定したサンプルを50%圧縮状態に保持できる冶具に挟み、70±2℃に設定した乾燥機に入れ、22時間放置した。その後サンプルを取り出し、圧縮歪みを除き、室温(25℃)で冷却して30分放置後の圧縮後厚さt
aを求め、式(t
b−t
a)/t
b×100より70℃圧縮残留歪みを算出した:単位%(n=3の平均値)。ここで、圧縮前厚さt
bおよび圧縮後厚さt
aは、圧縮前および圧縮後の各サンプル1か所の高さを測定しその平均値を厚さとした。
(8)網状構造体の反発弾性率
  試料を幅方向10cm×長さ方向10cm×試料厚さの大きさに切断し、20℃±2℃の環境下に無荷重で24時間放置した後、20℃±2℃の環境下にあるエー・アンド・デイ社製テンシロン(RTG−1310)にてφ200mm、厚み10mmの加圧板を用いて、試料を10mm/minの速度で圧縮を開始し、荷重が5.0Nになる時の厚みを計測し、この時の加圧板の位置をゼロ点として、速度100mm/minで硬度計厚みの75%まで圧縮した後、速度100mm/minにて加圧板をゼロ点まで戻し、連続した動作で、速度100mm/minで硬度計厚みの75%まで圧縮した後、速度100mm/minにて加圧板をゼロ点まで戻す。サンプルを15分間静置した後、直径80mm、重さ600gの円柱状の錘を15cmの高さから落下させ、最初の跳ね返りの高さを求め、以下の式より反発弾性率を求める。跳ね返りの高さは高速度デジタルカメラで測定した(n=3の平均値)。
  反発弾性率(%)=(跳ね返り高さ(cm)/15(cm))×100
(9)見掛け密度
  試料を15cm×15cmの大きさに切断し、4か所の高さを測定し、体積を求め、試料の重さを体積で除した値(g/cm
3)で示す。(n=4の平均値)
【0036】
  <合成例1>
  ジメチルテレフタレート(DMT)と1,4−ブタンジオール(1,4−BD)とポリテトラメチレングリコール(PTMG:平均分子量2000)を少量の触媒と仕込み、常法によりエステル交換後、昇温減圧しつつ重縮合せしめ、DMT/1,4−BD/PTMGが100/75/25(mol比)のポリエステルエーテルブロック共重合エラストマーを生成させ、次いで抗酸化剤1%を添加混合練込み後ペレット化し、50℃48時間真空乾燥してポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−1)を得た。その特性を表1に示す。
【0037】
  <合成例2>
  ジメチルテレフタレート(DMT)と1,4−ブタンジオール(1,4−BD)とポリテトラメチレングリコール(PTMG:平均分子量1000)を少量の触媒と仕込み、常法によりエステル交換後、昇温減圧しつつ重縮合せしめ、DMT/1,4−BD/PTMGが100/71.8/28.2(mol比)のポリエステルエーテルブロック共重合エラストマーを生成させ、次いで抗酸化剤1%を添加混合練込み後ペレット化し、50℃48時間真空乾燥してポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−2)を得た。その特性を表1に示す。
【0038】
  <合成例3>
  ジメチルテレフタレート(DMT)と1,4−ブタンジオール(1,4−BD)とポリテトラメチレングリコール(PTMG:平均分子量1000)を少量の触媒と仕込み、常法によりエステル交換後、昇温減圧しつつ重縮合せしめ、DMT/1,4−BD/PTMGが100/84/16(mol比)のポリエステルエーテルブロック共重合エラストマーを生成させ、次いで抗酸化剤1%を添加混合練込み後ペレット化し、50℃48時間真空乾燥してポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−3)を得た。その特性を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
  <実施例1>
  合成例1で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−1)と、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーである水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(TPS)(旭化成ケミカルズ社製「S.O.E.S1611」)とを、それぞれ240℃で溶融して、体積比30/70でシース/コアがA−1/TPSとなるようにオリフィス前で合流させ、幅50cm×長さ5cmのノズル有効面に、長さ方向の列間ピッチが5mm、幅方向の孔間ピッチが10mmで配置された丸型中空断面連続線状体形成用の孔径1.0mmのオリフィスを備えるノズルより、240℃にて総吐出量を1000g/分で吐出させた。ノズル面25cm下に冷却水を配し、幅60cmのステンレス製エンドレスネットを平行に5cm間隔で一対の引取りコンベアを水面上に一部出るように配した上に、吐出させた連続線状体を引取り、連続線状体の接触部分を融着させつつ、両面を挟み込みつつ毎分0.66mの速度で25℃の冷却水中へ引込み固化させた。次いで、105℃の熱風乾燥機中で20分間の疑似結晶化処理した後、所定の大きさに切断して複合構造の連続線状体からなる網状構造体を得た。得られた網状構造体の特性を表2に示す。
【0041】
  <実施例2>
  合成例1で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−1)と、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーである水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(TPS)(旭化成ケミカルズ社製「S.O.E.S1611」)とを、体積比50/50でシース/コアがA−1/TPSとなるようにした以外は実施例1と同じようにして網状構造体を得た。得られた網状構造体の特性を表2に示す。
【0042】
  <実施例3>
  合成例1で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−1)と、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーである水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(TPS)(旭化成ケミカルズ社製「S.O.E.S1611」)とを、体積比10/90でシース/コアがA−1/TPSとなるようにした以外は実施例1と同じようにして網状構造体を得た。得られた網状構造体の特性を表2に示す。
【0043】
  <実施例4>
  合成例1で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−2)と、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーである水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(TPS)(旭化成ケミカルズ社製「S.O.E.S1611」)とを、体積比50/50でシース/コアがA−2/TPSとなるようにした以外は実施例1と同じようにして網状構造体を得た。得られた網状構造体の特性を表2に示す。
【0044】
  <比較例1>
  合成例3で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−3)と、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーである水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(TPS)(旭化成ケミカルズ社製「S.O.E.S1611」)とを、体積比30/70でシース/コアがA−3/TPSとなるようにした以外は実施例1と同じようにして網状構造体を得た。得られた網状構造体の特性を表2に示す。
【0045】
  <比較例2>
  体積比を70/30に変えた以外は比較例1と同じようにして網状構造体を得た。得られた網状構造体の特性を表2に示す。
【0046】
  <比較例3>
  ポリスチレン系熱可塑性エラストマーである水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(TPS)(旭化成ケミカルズ社製「S.O.E.S1611」)を240℃で溶融して、幅65cm×長さ5cmのノズル有効面に、幅方向の列間ピッチが5.2mm、長さ方向の列間ピッチが6.0mmで配置された丸型中空断面連続線状体形成用の孔径1.0mmのオリフィスを備えるノズルより、240℃にて総吐出量を1000g/分で吐出させた。ノズル面25cm下に冷却水を配し、幅70cmのステンレス製エンドレスネットを平行に5cm間隔で一対の引取りコンベアを水面上に一部出るように配した上に、吐出させた連続線状体を引取り、連続線状体の接触部分を融着させつつ、両面を挟み込みつつ毎分0.66mの速度で冷却水中へ引込み固化させた。次いで、70℃の熱風乾燥機中で15分間の疑似結晶化処理した後、所定の大きさに切断して網状構造体を得た。得られた網状構造体の特性を表2に示す。
【0047】
  <比較例4>
  ポリスチレン系熱可塑性エラストマーである水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(TPS)に変えて合成例3で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−3)を用いて、熱風乾燥器の温度を105℃に変えた以外は比較例3と同じようにして網状構造体を得た。得られた網状構造体の特性を表2に示す。
【0048】
  <比較例5>
  ポリスチレン系熱可塑性エラストマーである水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(TPS)に変えて合成例2で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−2)を用いて、熱風乾燥器の温度を105℃に変え、吐出温度を220℃に変えた以外は比較例3と同じようにして網状構造体を得た。得られた網状構造体の特性を表2に示す。
【0049】
  <比較例6>
  ポリスチレン系熱可塑性エラストマーである水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(TPS)に変えて合成例1で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−1)を用いて、熱風乾燥器の温度を105℃に変え、吐出温度を220℃に変えた以外は比較例2と同じようにして網状構造体を得た。得られた網状構造体の特性を表2示す。
【0050】
【表2】
【0051】
  <実施例5>
  合成例1で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−1)と、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーである水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(TPS)(旭化成ケミカルズ社製「S.O.E.S1611」)とを、それぞれ240℃で溶融して、体積比40/60でシース/コアがA−1/TPSとなるようにオリフィス前で合流させ、幅50cm×長さ5cmのノズル有効面に、長さ方向の列間ピッチが5mm、幅方向の孔間ピッチが10mmで配置された丸型中空断面連続線状体形成用の孔径1.0mmのオリフィスを備えるノズルより、240℃にて総吐出量を1000g/分で吐出させた。ノズル面25cm下に冷却水を配し、幅60cmのステンレス製エンドレスネットを平行に5cm間隔で一対の引取りコンベアを水面上に一部出るように配した上に、吐出させた連続線状体を引取り、連続線状体の接触部分を融着させつつ、両面を挟み込みつつ毎分0.66mの速度で25℃の冷却水中へ引込み固化させた。次いで、105℃の熱風乾燥機中で20分間の疑似結晶化処理した後、所定の大きさに切断して複合構造の連続線状体からなる網状構造体を得た。得られた網状構造体の特性を表3に示す。
【0052】
  <実施例6>、
  合成例1で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−1)と、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーである水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(TPS)(旭化成ケミカルズ社製「S.O.E.S1611」)とを、体積比60/40でシース/コアがA−1/TPSとなるようにした以外は実施例5と同じようにして網状構造体を得た。得られた網状構造体の特性を表3に示す。
【0053】
  <実施例7>
  合成例1で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−1)と、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーである水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(TPS)(旭化成ケミカルズ社製「S.O.E.S1611」)とを、体積比20/80でシース/コアがA−1/TPSとなるようにした以外は実施例5と同じようにして網状構造体を得た。得られた網状構造体の特性を表3に示す。
【0054】
  <実施例8>
  合成例2で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−2)と、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーである水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(TPS)(旭化成ケミカルズ社製「S.O.E.S1611」)とを、体積比60/40でシース/コアがA−2/TPSとなるようにした以外は実施例5と同じようにして網状構造体を得た。得られた網状構造体の特性を表3に示す。
【0055】
  <比較例7>
  合成例3で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−3)と、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーである水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(TPS)(旭化成ケミカルズ社製「S.O.E.S1611」)とを、体積比40/60でシース/コアがA−3/TPSとなるようにした以外は実施例5と同じようにして網状構造体を得た。得られた網状構造体の特性を表3に示す。
【0056】
  <比較例8>
  体積比を60/40に変えた以外は比較例7と同じようにして網状構造体を得た。得られた網状構造体の特性を表3に示す。
【0057】
  <比較例9>
  ポリスチレン系熱可塑性エラストマーである水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(TPS)(旭化成ケミカルズ社製「S.O.E.S1611」)を240℃で溶融して、幅65cm×長さ5cmのノズル有効面に、幅方向の孔間ピッチが5.2mm、長さ方向の孔間ピッチが6.0mmで配置された丸型中空断面連続線状体形成用の孔径1.0mmのオリフィスを備えるノズルより、240℃にて総吐出量を1000g/分で吐出させた。ノズル面25cm下に冷却水を配し、幅70cmのステンレス製エンドレスネットを平行に5cm間隔で一対の引取りコンベアを水面上に一部出るように配した上に、吐出させた連続線状体を引取り、連続線状体の接触部分を融着させつつ、両面を挟み込みつつ毎分0.66mの速度で冷却水中へ引込み固化させた。次いで、70℃の熱風乾燥機中で15分間の疑似結晶化処理した後、所定の大きさに切断して網状構造体を得た。得られた網状構造体の特性を表3に示す。
【0058】
  <比較例10>
  ポリスチレン系熱可塑性エラストマーである水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(TPS)に変えて合成例3で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−3)を用いて、熱風乾燥器の温度を105℃に変えた以外は比較例9と同じようにして網状構造体を得た。得られた網状構造体の特性を表3に示す。
【0059】
  <比較例11>
  ポリスチレン系熱可塑性エラストマーである水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(TPS)に変えてを合成例2で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−2)を用いて、熱風乾燥器の温度を105℃に変えた以外は比較例9と同じようにして網状構造体を得た。得られた網状構造体の特性を表3に示す。
【0060】
  <比較例12>
  ポリスチレン系熱可塑性エラストマーである水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(TPS)に変えてを合成例1で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−1)を用いて、熱風乾燥器の温度を105℃に変えた以外は比較例8と同じようにして網状構造体を得た。得られた網状構造体の特性を表3に示す。
【0061】
【表3】
【0062】
  今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態および実施例ではなく請求の範囲によって規定され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。