(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外部への出入口となるゲートを有するコンテナヤードを備え、このコンテナヤードが、コンテナが蔵置される複数の蔵置レーンと、それぞれの蔵置レーンに配置されてその蔵置レーンを跨いでその蔵置レーンの長手方向に沿って走行する門型クレーンとを有し、前記ゲートを通過する外来車両が、外部と前記コンテナヤードとの間で前記コンテナを運搬して、前記門型クレーンが前記コンテナヤードに進入した前記外来車両に対して前記コンテナの荷役を行う構成にしたコンテナターミナルにおいて、
それぞれの蔵置レーンの側方でその蔵置レーンの長手方向に延在する走行レーンと、それぞれの走行レーンの長手方向に間隔を空けて設置されて、近接する前記外来車両を検知する複数の車両検知装置と、これらの車両検知装置に通信可能に接続された制御装置とを備えて、
前記車両検知装置の検知結果に基づいて、前記制御装置により、前記外来車両の前記走行レーンにおける位置を逐次、特定する構成にしたことを特徴とするコンテナターミナル。
特定した前記外来車両の位置が、その特定した位置よりも前記外来車両の進行方向の前方で前記コンテナの荷役を行っている前記門型クレーンに対して所定範囲内になったときに、前記制御装置により、その門型クレーンに対して前記走行レーンの上方での前記コンテナの荷役を禁止する指令を出す構成にした請求項1又は2に記載のコンテナターミナル。
前記車両検知装置が前記外来車両を検知している検知時間の長さに基づいて、前記制御装置により、前記外来車両の荷役位置での停車を特定し、その特定した荷役位置で前記門型クレーンに対して前記コンテナの荷役を開始させる指令を出す構成にした請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンテナターミナル。
それぞれの前記車両検知装置により、前記コンテナヤードとこのコンテナヤードに隣接する本船荷役エリアとの間で前記コンテナを運搬する構内車両が近接したときに、その構内車両を検知する構成にして、その構内車両を検知したその検知結果に基づいて、前記制御装置により、その構内車両の前記走行レーンにおける位置を逐次、特定する構成にした請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンテナターミナル。
外部との出入口となるゲートを経由して、コンテナヤードと外部との間で、外来車両によりコンテナを運搬し、前記コンテナが蔵置される複数の蔵置レーンを有して、それぞれの蔵置レーンに門型クレーンを有する前記コンテナヤードに進入した前記外来車両に対し
て、前記蔵置レーンを跨いで前記蔵置レーンの長手方向に移動する前記門型クレーンにより前記コンテナの荷役を行うコンテナターミナルの運用方法において、
それぞれの蔵置レーンの側方でその蔵置レーンの長手方向に延在する走行レーンに存在している前記外来車両を、それぞれ前記走行レーンの長手方向に間隔を空けて設置された複数の車両検知装置を用いて検知し、
その検知結果に基づいて、制御装置により、前記走行レーンにおけるその外来車両の位置を逐次、特定することを特徴とするコンテナターミナルの運用方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のコンテナターミナル及びその運用方法の実施形態について説明する。図中では、陸側から海側に向う方向をx方向、停泊しているコンテナ船15の進行方向(x方向に直交する方向)をy方向、鉛直方向をz方向で示している。
【0011】
図1〜
図3に例示する第一実施形態のコンテナターミナル10は、x方向に隣接するコンテナヤード11と本船荷役エリア12とを備えている。
【0012】
コンテナヤード11は、外部との出入口となる複数のゲート13を有している。また、コンテナヤード11は、コンテナCが蔵置される複数の蔵置レーン14と、蔵置レーン14を跨いで蔵置レーン14の長手方向(y方向)に沿って走行する門型クレーン30とを有している。複数の蔵置レーン14は、それぞれの長手方向がy方向に向いて、隣接する蔵置レーン14とは所定の間隔を空けて配置されている。蔵置レーン14は、その長手方向がx方向に向いて配置されてもよい。
【0013】
本船荷役エリア12は、コンテナ船15が接岸しているエリアであって、そのコンテナ船15に対してコンテナCの荷役を行う複数の岸壁クレーン16を有している。
【0014】
コンテナターミナル10のゲート13の近傍の領域内には、管理棟17が設置されている。
【0015】
外来車両20及び構内車両21は、運転者が搭乗しているコンテナトラックやコンテナトレーラである。外来車両20は、ゲート13を経由して一点鎖線で示した外来用走行路22に沿って走行する。構内車両21は、二点鎖線で示した構内用走行路23に沿って走行する。構内車両21としては、無人搬送台車(AGV)を用いてもよい。
【0016】
外来用走行路22は、あるゲート13から延びる一本の外来用進入路24から複数の外来用レーン(走行レーン)25に分岐して、別のゲート13に向う一本の外来用退出路26に合流している。構内用走行路23は、一本の構内用進入路27から複数の構内用レーン(走行レーン)28に分岐して一本の構内用退出路29に合流している。外来用進入路24は、コンテナヤード11の入口となるゲート13から各外来用レーン25の一端まで、つまり、各蔵置レーン14の一端部の近傍まで延在している。
【0017】
構内用レーン28は、蔵置レーン14のx方向における側方に配置されており、蔵置レーン14の一端から他端に向かってこの蔵置レーン14と隣接するとともに平行となる状態で配置されている。外来用レーン25は、構内用レーン28のx方向における側方に配置されており、構内用レーン28に隣接するとともに平行となる状態で配置されている。外来用レーン25及び構内用レーン28は、蔵置レーン14の長手方向(y方向)に沿って配置されており、互いに重なることがなく独立して設けられている。構内用レーン28は、蔵置レーン14と外来用レーン25との間に挟まれた状態で配置されている。
【0018】
この実施形態では、外来用レーン25と構内用レーン28との二つの走行レーンをそれぞれ独立して設けたが、それらを一つの走行レーンとして、外来車両20と構内車両21とが共通の走行レーンを走行する構成としてもよい。
【0019】
門型クレーン30は、例えば、運転者が搭乗しない無人のタイヤ式門型クレーン(RTG)であって、蔵置レーン14と外来用レーン25と構内用レーン28とをx方向に跨ぎ、蔵置レーン14に沿ってy方向に移動する。門型クレーン30としては、レール式門型クレーン(RMG)を用いることもできる。この実施形態では、二台の門型クレーン30が各蔵置レーン14で荷役しているが、門型クレーン30の台数については限定されない。
【0020】
図2に例示するように、門型クレーン30は、トロリ31と、トロリ31を介して昇降する吊具32と、x方向に延設されたガーダ33と、ガーダ33の両端部のそれぞれから下方に向って延在する脚体34とを備える。この脚体34は、下端にy方向に走行する走行装置35を有する。門型クレーン30は、クレーン制御装置36を有していて、このクレーン制御装置36により自動走行が制御される。門型クレーン30は、外来用レーン25の側方の脚体34に設置された警告装置38を有している。この実施形態で、警告装置38は、警告音を発するスピーカである。警告装置38としては、警告灯や、外来用レーン25を遮断する遮断機などを用いてもよい。
【0021】
図3に例示するように、管理棟17には、クレーンオペレータにより操作される遠隔操作装置37が設置されており、この遠隔操作装置37により門型クレーン30のトロリ31のx方向の移動と、吊具32のz方向の昇降が制御されている。遠隔操作装置37としては、吊具32により吊上げられているコンテナCの画像を表示するモニタや、トロリ31及び吊具32を遠隔で操作するためのコントローラを例示できる。
【0022】
コンテナターミナル10では、管理棟17に設けられた管理装置(TOS)40の指示により、各装置が荷役作業を行う。外来車両20は、外部とコンテナヤード11との間でコンテナCを運搬し、構内車両21は、コンテナヤード11と本船荷役エリア12との間でコンテナCを運搬する。岸壁クレーン16は、本船荷役エリア12に進入した構内車両21に対して荷役を行い、門型クレーン30は、蔵置レーン14に進入した外来車両20及び構内車両21に対して荷役を行う。
【0023】
管理装置40は、岸壁クレーン16、構内車両21、及び門型クレーン30に対しては
、専用の通信機や、それぞれに取り付けられた衛星測位システムを利用した位置検知装置などにより、それぞれの存在位置を確認し、指示を出す。
【0024】
一方、外来車両20は、このコンテナターミナル10の専用の車両ではないために、専用の通信機や位置検知装置などが搭載されていない。そこで、本発明のコンテナターミナル10は、車両検知装置49と制御装置43とを備えている。制御装置43は、それらを利用して、外来用レーン25における外来車両20の位置をリアルタイムに特定する。また、本発明のコンテナターミナル10は、ヤード用検知装置41及びゲート用検知装置42も備えている。
【0025】
車両検知装置49は、近接する外来車両20を検知する。制御装置43は、その検知結果に基づいて、外来車両20の位置を特定する。また、車両検知装置49は、近接する外来車両20が検知範囲で停車すると、その外来車両20を検知し続ける。制御装置43は、停車した外来車両20の検知時間の長さtxに基づいて、外来車両20の停車を特定する。
【0026】
複数の車両検知装置49は、それぞれの外来用レーン25の長手方向に間隔を空けて設置されている。この実施形態では、車両検知装置49が、外来用レーン25に埋められている。複数の車両検知装置49は、荷役位置Qxごとにつまり、ベイ番号ごとに等間隔に設置されている。
【0027】
同一の外来用レーン25に設置された複数の車両検知装置49a〜49xには、互いに異なる検知番号nが割り当てられている。検知番号nとしては、例えば、最も入口側に設置された車両検知装置49aを「1」として、外来用レーン25の入口から出口に向って一つずつ繰り上がる数字が例示できる。車両検知装置49に割り当てられる検知番号nとしては、例えば、レーン番号とベイ番号とを組み合わせたものでもよく、数字に限定されない。
【0028】
この実施形態で、車両検知装置49は、ループコイル式車両検知センサである。ループコイル式車両検知センサは、コイル状に埋設された電線に電流を流すことで生じる磁界(検知範囲)を外来車両20が通過及び停車したときに変化するインダクタンスにより、外来車両20を検知する。車両検知装置49としては、例えば、停車用のループコイル及び通過用のループコイルの両方を備えたものや、通過用のループコイルを二つ備えて外来車両20の進行方向を検知するものを用いてもよい。
【0029】
ヤード用検知装置41は、制御装置43に無線又は有線で通信可能に接続されている。複数のヤード用検知装置41は、各外来用レーン25のレーン入口に設置されている。ゲート用検知装置42は、管理装置40に無線又は有線で通信可能に接続されている。ゲート用検知装置42は、各ゲート13に配置されている。
【0030】
ヤード用検知装置41及びゲート用検知装置42は、外来車両20が予め備えている車両固有の識別情報Nxを検知する。この実施形態では、ヤード用検知装置41及びゲート用検知装置42は、電子料金収受システムの路側装置であり、通過する外来車両20に予め備えられている電子料金収受システムの車載機44と無線通信を行う。そして、ヤード用検知装置41及びゲート用検知装置42は、その車載機44に記憶されている固有の車載機番号を識別情報Nxとして読み取る。
【0031】
ヤード用検知装置41及びゲート用検知装置42としては、例えば、外来車両20が予め備えているナンバープレート、あるいは外装を撮像する撮像装置を用いてもよい。撮像装置を用いた場合に、識別情報Nxは撮像されたナンバープレートに記載されている車両
固有の自動車登録番号、あるいは外装の形状、色となる。また、外来車両20が予め備えているRFIDタグと通信して、そのRFIDタグに記憶されている識別情報Nxを読み取るリーダを用いてもよい。
【0032】
ヤード用検知装置41の近傍には、ヤード用遮断機45とヤード用指示機46とが設置され、これらは制御装置43に無線又は有線で通信可能に接続されている。
【0033】
ゲート13には、ゲート用遮断機47とゲート用指示機48とが設置され、これらは管理装置40に無線又は有線で通信可能に接続されている。
【0034】
荷役位置Qxは、外来車両20の外来用レーン25における停車位置である。具体的に、荷役位置Qxは、外来車両20の荷役対象のコンテナCの蔵置位置Pxのベイ番号(蔵置レーン14の長手方向(y方向)の位置)を示している。例えば、レーン番号「1」では、コンテナCの蔵置位置P1に対応する荷役位置Q1が、ベイ番号「5」で示される。
【0035】
図4は、コンテナターミナル10における制御信号の流れを例示している。管理装置40及び制御装置43は、各種情報処理を行うCPU、その各種情報処理を行うために用いられるプログラムや情報処理結果を読み書き可能な内部記憶装置、及び各種インターフェースなどから構成されている。
【0036】
管理装置40の内部記憶装置には、外来車両20の識別情報Nxに関連付けられた管理番号Mx、蔵置位置Px、及び荷役位置Qxが記憶されている。
【0037】
識別情報Nxは、ゲート用検知装置42で検出される番号であり、この実施形態では車載機44の車載機番号である。管理番号Mxは、コンテナCの固有の番号であり、所有者コードやコンテナCのサイズや種類を表す番号を含めてもよい。蔵置位置Pxは、コンテナCのコンテナヤード11における蔵置位置であり、レーン番号(蔵置レーン14の位置)、ベイ番号、ロウ番号(蔵置レーン14の横手方向(x方向))、ティア番号(蔵置レーン14の高さ方向(z方向))からなる。
【0038】
制御装置43の内部記憶装置には、識別情報Nx、車両検知装置49の検知結果に基づいて特定された外来車両20の位置、検知時間の長さtx、及び相対距離dxが記憶されている。
【0039】
識別情報Nxは、ヤード用検知装置41で検出される番号である。特定された外来車両20の位置は、蔵置レーン14におけるベイ番号である。検知時間の長さtxは、車両検知装置49が一台の外来車両20を連続して検知した時間の長さである。相対距離dxは、外来車両20の進行方向で荷役している門型クレーン30に対する相対距離である。この実施形態では、特定された外来車両20の位置と門型クレーン30との間のベイ数である。
【0040】
例えば、レーン番号「1」の蔵置レーン14では、検知番号「3」(入口から3番目に設置)の車両検知装置49cの検知結果に基づいて、識別情報N1の外来車両20の位置がベイ番号「3」と特定されている。この外来車両20は走行しているため、検知時間の長さtxがゼロであり、この外来車両20の進行方向には、コンテナCを荷役している門型クレーン30が存在しないため、相対距離dxがゼロになる。
【0041】
以下に、コンテナターミナル10の運用方法について、
図5〜
図8に例示するフローチャートを参照しながら、説明する。
【0042】
外来車両20が外来用レーン25に進入するまでの動作は以下のとおりである。外部から外来車両20がゲート13に到着すると、管理装置40は、ゲート用検知装置42が検知した外来車両20の識別情報Nx、管理番号Mx、蔵置位置Px、及び荷役位置Qxを関連付ける。次いで、管理装置40は、識別情報Nxに関連付けられた荷役位置Qxを、外来車両20の運転者に指示する。これと同時に、管理装置40は、制御装置43に関連付けた各種情報を送信する。そして、外来車両20は、管理装置40により指示された蔵置レーン14に向かって外来用走行路22に沿って走行する。
【0043】
ゲート13を通過した外来車両20が外来用レーン25のレーン入口に到着すると、制御装置43は、ヤード用検知装置41が検知した外来車両20の識別情報Nxに基づいて、この外来車両20を特定するとともに、門型クレーン30へ移動指令を出す。
【0044】
図5に例示するように、外来車両20が外来用レーン25をレーン入口からレーン出口に向って走行すると、検知番号nの車両検知装置49は、近接する外来車両20を検知する(S10)。次いで、制御装置43は、検知番号nの車両検知装置49の検知結果を受信する(S20)。次いで、制御装置43は、車両検知装置49の検知番号nに基づいて、外来車両20の位置を特定する(S30)。
【0045】
以上のステップは、外来車両20が車両検知装置49に近接して、その車両検知装置49を通過するごとに繰り返される。制御装置43は、外来車両20が車両検知装置49を通過するごとに外来車両20の位置を逐次、特定する。制御装置43は、同時に複数の蔵置レーン14に対して、上記の処理を行っている。
【0046】
このように、車両検知装置49が近接する外来車両20を検知した結果に基づいて、外来用レーン25を走行している外来車両20の位置を逐次、特定するので、制御装置43は、リアルタイムで外来車両20の運行状況を把握することができる。
【0047】
これにより、外来車両20の荷役位置Qxでの停車の特定には有利になり、外来車両20の停車を確認してから門型クレーン30によるコンテナCの荷役を開始できる。また、外来車両20の位置の特定に、専用の無線タグや携帯端末が不要になり、ゲート13における外来車両20の進入作業を簡略化には有利になり、ゲート13における外来車両20の進入作業を短縮できる。これらに伴って、荷役効率を向上できる。
【0048】
この実施形態では、各車両検知装置49に互いに異なる検知番号nを割り当てているので、その検知番号nを取得するだけで、制御装置43は、リアルタイムに外来車両20の位置を特定できる。また、同一の外来用レーン25に複数台の外来車両20が進入しても、それぞれの位置を特定できる。さらに、車両検知装置49に割り当てられた検知番号nをベイ番号と同一にしたことで、制御装置43は瞬時に外来車両20の位置を特定できるので、リアルタイム性の確保に有利である。
【0049】
一方で、各車両検知装置49に検知番号nを割り当てなくてもよい。外来車両20が外来用レーン25のレーン入口からレーン出口に向って走行する場合に、外来車両20の通過順に車両検知装置49の検知結果が送信される。例えば、制御装置43は、同一の外来用レーン25において、検知結果を所定の間隔で三つ受信したときに、外来車両20の位置としてベイ番号「3」を特定できる。このように、レーン入口からレーン出口に向って外来車両20の通過順に変化する検知結果に基づいても、外来車両20の位置を特定できる。
【0050】
外来車両20が荷役位置Qxに近接すると、制御装置43は外来車両20の位置を特定する(S10〜S30)。このとき、外来車両20は荷役位置Qxで停車する。
【0051】
図6に例示するように、車両検知装置49が外来車両20を検知する(S100)と、制御装置43は、車両検知装置49が外来車両20を検知した検知時間の長さtxをカウントする(S110)。次いで、制御装置43は、検知時間の長さtxが停車時間ta以上になったか否かを判定する(S120)。
【0052】
停車時間taは、外来車両20が荷役位置Qxに停車したことを判定可能な時間に設定されている。このステップで、検知時間の長さtxが停車時間ta未満と判定すると、引き続き、制御装置43は、検知時間の長さtxをカウントする(S110)。
【0053】
検知時間の長さtxが停車時間ta以上になるまでカウントしている間に、車両検知装置49が外来車両20を検知しなくなると(S100)、制御装置43は、検知時間の長さtxをリセットする(S130)。
【0054】
次いで、検知時間の長さtxが停車時間ta以上と判定すると、制御装置43は、外来車両20が荷役位置Qxに停車したことを特定する(S140)。次いで、制御装置43は、荷役準備が整ったと判定して、その特定した荷役位置Qxで門型クレーン30に対してコンテナCの荷役を開始させる指令を出す(S150)。この実施形態では、この指令が、門型クレーン30の制御を自動走行制御から遠隔操作に切り換える指令である。
【0055】
そして、その特定した荷役位置Qxで、遠隔操作装置37を用いたクレーンオペレータによる遠隔操作が開始されて、門型クレーン30が外来車両20に対してコンテナCの荷役を行う。
【0056】
クレーンオペレータによる遠隔操作が開始されてから、外来車両20が外部へ退出するまでの動作は以下のとおりである。遠隔操作においては、門型クレーン30に設置されたカメラでコンテナC及び外来車両20を撮影して、この画像を管理棟17のモニタに表示する。クレーンオペレータは、モニタに表示されているコンテナCと外来車両20の画像を確認しながら、コントローラによる遠隔操作でコンテナCを荷役する。
【0057】
外来車両20は、外来車両20に搭載されていたコンテナCが吊具32により吊上げられて、吊具32が所定の高さまで上昇した時点で、出口となるゲート13に向かって走行を再開する。門型クレーン30は、コンテナCを蔵置レーン14の蔵置位置P1に蔵置した後に、吊具32が所定の高さまで上昇した時点でクレーンオペレータによる遠隔操作が終了する。
【0058】
クレーンオペレータによる遠隔操作が終了したとき、門型クレーン30は、制御装置43から新たに送信された移動指令に基づいて、クレーン制御装置36により自動走行を開始する。また、外来用レーン25のレーン出口を経由して外来車両20がゲート13に到着すると、管理装置40は、ゲート用検知装置42が検知した外来車両20の識別情報Nx、管理番号Mx、蔵置位置Px、及び荷役位置Qxの関連付けを解除する。そして、外来車両20はゲート13を通過して、外部へ退出する。以上を繰り返して外来車両20により外部とコンテナヤード11との間でコンテナCの運搬を行う。
【0059】
以上のように、車両検知装置49が外来車両20を検知した検知時間の長さtxが停車時間ta以上になったときに、外来車両20の荷役位置Qxでの停車を特定し、門型クレーン30にコンテナCの荷役を開始させる指令を出すので、門型クレーン30は、外来車両20の荷役準備が整った段階になってからコンテナCの荷役を開始できる。
【0060】
つまり、外来車両20が荷役位置Qxに停車するまでは、クレーンオペレータはその外
来車両20に対する門型クレーン30のコンテナCの荷役を開始せず、他の門型クレーン30の荷役を遠隔操作することができる。これにより、クレーンオペレータの待機時間の短縮には有利になり、その分、他の門型クレーン30の遠隔操作を行うことができる。これに伴って、遠隔操作装置37の台数を従来に比して減らすことができ、且つ、荷役効率を向上できる。
【0061】
この実施形態では、門型クレーン30が先に荷役位置Qxに到着する例を説明したが、門型クレーン30が外来車両20に遅れて荷役位置Qxに到着することもある。そこで、検知時間の長さtxを、外来車両20が荷役位置Qxに停車し、且つ、この外来車両20に対して荷役する門型クレーン30が荷役位置Qxに到着してからカウントするとよい。このように、外来車両20及び門型クレーン30の両方が荷役位置Qxに到着したことを確認してから、車両検知装置49の検知時間の長さtxをカウントすることで、クレーンオペレータの待機時間の短縮には有利になる。
【0062】
図7、
図8に例示するように、外来車両20とその行き先である荷役位置Qxとの間で、門型クレーン30が別の車両に対して荷役を行っている場合について説明する。
【0063】
上記のステップ(S10〜S30)により、制御装置43が、車両検知装置49の検知結果に基づいて、外来車両20の位置を特定する。
【0064】
次いで、制御装置43は、特定した外来車両20の位置が、その特定した位置よりも外来車両20の進行方向の前方でコンテナCの荷役を行っている門型クレーン30に対して所定範囲内になったか否かを判定する。この実施形態では、具体的に、特定した外来車両20の位置とその門型クレーン30の位置との相対距離dxが予め設定した距離da以下になったか否かを判定する(S200)。
【0065】
距離daは、制限速度で走行している外来車両20が門型クレーン30の手前で停車可能な距離に設定されている。このステップで、相対距離dxが距離daを上回っていると判定した場合は、スタートへ戻る。
【0066】
次いで、相対距離dxが距離da以下になったと判定した場合に、制御装置43は、吊具32が領域Rにあるか否かを判定する(S210)。
【0067】
領域Rは、
図2に示すように、外来用レーン25及び構内用レーン28の上方に存在する領域であり、蔵置レーン14の上方に存在する領域は含まれない。この実施形態では、領域Rは、x方向において、外来用レーン25に隣接する門型クレーン30の一方の脚体34の内側から、構内用レーン28に隣接する蔵置レーン14の幅方向の一端までを含み、z方向において、地面からガーダ33の下端までを含む領域である。門型クレーン30が、ガーダ33の一端部から側方にスライドするスライド式梁部材を備えている場合に、領域Rは、x方向において、そのスライド式梁部材の一端から他端までを含む領域である。
【0068】
このステップで吊具32が領域Rにあると判定した場合に、
図8に示すAに進む。一方、吊具32が領域Rにないと判定した場合に、
図8に示すBに進む。次いで、吊具32が領域Rにあると判定した場合に、制御装置43は、門型クレーン30の警告装置38に対して警告を発する指令を出す(S220)。次いで、この指令により、警告装置38は、警告を発する(S230)。
【0069】
この警告による外来車両20の停車は一時的な停車であり、停車した位置は荷役位置Qxとは異なる。そこで、制御装置43は、警告装置38から警告を発した場合に、検知時
間の長さtxをリセットする(S240)。
【0070】
次いで、制御装置43は、遠隔操作が完了したか否かを判定する(S250)。このステップで、遠隔操作中の場合に、制御装置43は、警告装置38による警告を維持する。一方、遠隔操作が完了したと判定した場合に、制御装置43は、警告装置38による警告を解除する(S260)。警告が解除されたことを外来車両20の運転者が確認すると、外来車両20は、目的の荷役位置Qxに向けて走行を再開する。
【0071】
一方、吊具32が領域Rにないと判定した場合に、制御装置43は、門型クレーン30の外来用レーン25及び構内用レーン28の上方でのコンテナCの荷役を禁止する指令を出す(S270)。この実施形態では、制御装置43が、管理棟17に存在するクレーンオペレータに対して、荷役を禁止する指令を出す。この指令により、クレーンオペレータは、遠隔操作装置37によるトロリ31及び吊具32の遠隔操作を停止する。
【0072】
次いで、制御装置43は、外来車両20が遠隔操作を停止した門型クレーン30を通過したか否かを判定する(S280)。このステップで、外来車両20が通過していないと判定した場合に、制御装置43は、遠隔操作の停止を維持する。一方、外来車両20が通過したと判定した場合に、制御装置43は、荷役の禁止を解除する(S290)。この実施形態では、制御装置43が、クレーンオペレータに対して、遠隔操作の再開の指令を出す。この指令により、クレーンオペレータは、遠隔操作装置37によるトロリ31及び吊具32の遠隔操作を再開する。以上を繰り返して外来車両20により外部とコンテナヤード11との間でコンテナCの運搬を行う。
【0073】
このように、外来車両20の位置をリアルタイムで特定することで、制御装置43は、その特定した位置がコンテナCの荷役を行っている門型クレーン30に対して所定範囲内になったか否かを判定できる。これにより、外来車両20がコンテナCを荷役している門型クレーン30を通過しようとするときに、コンテナCの下方に有人の外来車両20が存在することを回避するには有利になり、有人の外来車両20の安全を向上できる。
【0074】
特定した外来車両20の位置が、その特定した位置よりも外来車両20の進行方向の前方でコンテナCの荷役を行っている門型クレーン30に対して所定範囲内になったときに、門型クレーン30が既にコンテナCの荷役を領域Rで行っている場合には、警告装置38により警告を発することで、外来車両20の運転者は、その外来車両20を門型クレーン30の手前に一時的に停車することができる。
【0075】
また、門型クレーン30が蔵置レーン14でコンテナCの荷役を行っている場合には、門型クレーン30に対して外来用レーン25及び構内用レーン28の上方でのコンテナCの荷役を禁止する指令を出すことで、クレーンオペレータは、外来車両20が門型クレーン30を通過するまで遠隔操作を停止して、外来車両20の上方をコンテナCが横断する事態を避けることができる。
【0076】
以上のような制御により、荷役中のコンテナCの下方を外来車両20が通過することを防止するには有利になり、有人の外来車両20の安全を向上できる。
【0077】
一方で、特定した外来車両20の位置が、門型クレーン30に対して所定範囲内に無い場合には、外来用レーン25で不必要に外来車両20が停車しないことで、外来車両20の走行時間の短縮や、外来用レーン25における渋滞の抑制には有利になる。
【0078】
特定した外来車両20の位置が門型クレーン30に対して所定範囲内になったときに、警告装置38による警告とコンテナCの荷役を禁止する指示を出すことのどちらか一方を行うようにしてもよい。どちらか一方でも、有人の外来車両20の安全を確保できる。
【0079】
この実施形態では、警告装置38による警告とコンテナCの荷役を禁止する指示を出すことのどちらかを状況に応じて選択することで、有人の外来車両20の安全性を最優先に確保しながら、この安全性の確保に伴う荷役効率の低下を回避できる。
【0080】
例えば、門型クレーン30の外来用レーン25及び構内用レーン28の上方でのコンテナCの荷役を禁止する指示としては、門型クレーン30が外来用レーン25及び構内用レーン28の上方でのコンテナCの荷役を停止して、外来車両20が門型クレーン30を通過する前に、そのコンテナCを蔵置レーン14の上方に移動する指令を含んでもよい。
【0081】
この実施形態では、ヤード用検知装置41を外来用レーン25のレーン入口に設置しているので、ヤード用検知装置41が検知した外来車両20の識別情報Nxに基づいて、その外来車両20の荷役対象となるコンテナCの蔵置位置Pxや荷役位置Qxを特定できる。これにより、制御装置43は、外来車両20が荷役位置Qxに到着する前に、その外来車両20に対して荷役する門型クレーン30を特定して、早期に移動指令を出すには有利になり、門型クレーン30は速やかに荷役位置Qxに移動できる。これに伴って、外来車両20の待機時間を短縮して、荷役効率を向上できる。
【0082】
この実施形態では、検知番号nを外来用レーン25の入口から出口に向って一つずつ繰り上げているので、検知結果には、検知番号nに基づいた連続性が確保されている。これにより、欠番の確認には有利になり、その欠番に基づいて制御装置43は、早期に車両検知装置49の動作不良や故障を判定できる。
【0083】
外来車両20が荷役位置Qxで停車したときに、外来車両20に積載したコンテナCと、蔵置レーン14に載置しているコンテナCと中心位置が一致することが好ましい。そこで、外来車両20の運転者が目視で確認可能な停止線を外来用レーン25に設けるとよい。外来車両20がその停止線で停車すると、門型クレーン30はコンテナCを把持したまま走行方向yに移動する必要がなくなるので、荷役効率を向上するには有利である。
【0084】
図9に例示する第二実施形態のコンテナターミナル10は、第一実施形態に対して、車両検知装置49が異なっている。この実施形態の車両検知装置49は、光電式車両検知装置である。光電式車両検知装置は、赤外線やレーザーを照射し、その照射範囲(検知範囲)を外来車両20が通過及び停車したときに赤外線やレーザーを遮る、あるいは反射することにより、外来車両20を検知する。車両検知装置49として、光電式車両検知装置を用いる場合に、外来車両20の最低地上高よりも上方に赤外線やレーザーを照射する必要がある。
【0085】
そこで、この実施形態の車両検知装置49は、外来用レーン25の側方にこの外来用レーン25に沿って設置されたフェンス50に設置することが好ましい。このように、車両検知装置49をフェンス50に設置することで、車両検知装置49を地面から上方(z方向)に離間することができる。これにより、赤外線やレーザーを通過する外来車両20の側面に確実に照射するには有利になる。また、外来用レーン25を走行する外来車両20と門型クレーン30との間にフェンス50を設置することで、安全性の向上に有利になる。
【0086】
既述した実施形態の他に、車両検知装置49としては、例えば、磁気式車両検知センサや超音波式車両検知センサを用いてもよい。
【0087】
図10に例示する第三実施形態のコンテナターミナル10は、既述した実施形態に対して、構内用レーン28にも車両検知装置49が設置されている点が異なっている。これに
より、外来車両20と同様に、構内車両21の構内用レーン28における位置をリアルタイムで把握できる。これにより、専用の通信機や衛星測位システムを利用した位置検知装置を用いた方式に比して、構内車両21の位置を高精度に、且つ、リアルタイムに把握するには有利になる。
【0088】
既述した実施形態では、車両検知装置49をベイ番号ごとに設置する例に説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、車両検知装置49を、複数のベイ番号ごとに設置してもよい。また、車両検知装置49を、外来用レーン25や構内用レーン28以外に設置してもよい。例えば、外来用進入路24や構内用進入路27に設置して、外来用レーン25や構内用レーン28に進入するまでをリアルタイムで把握してもよい。