特許第6863567号(P6863567)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6863567-水田の貯水量調整装置及び水位調整板 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863567
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】水田の貯水量調整装置及び水位調整板
(51)【国際特許分類】
   A01G 25/00 20060101AFI20210412BHJP
【FI】
   A01G25/00 501A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-196875(P2016-196875)
(22)【出願日】2016年10月5日
(65)【公開番号】特開2018-57315(P2018-57315A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2019年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】514160434
【氏名又は名称】岡田 勘一
(74)【代理人】
【識別番号】100087169
【弁理士】
【氏名又は名称】平崎 彦治
(72)【発明者】
【氏名】岡田 勘一
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−007158(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3202897(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 25/00
E02B 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水田の排水口に設置して水位を調整する為の水位調整装置において、底版部と両側版部、それに排水穴を設けた背版部を有して正面側と上方を開口した排水枡を上記排水口に設け、該排水枡の両側版部の内側面には上下方向に延びるガイド溝を有し、このガイド溝に取付けた下部板と水位調整板を有し、該下部板の下端は排水枡の底版部に通常は接し、水位調整板は底版部から所定の高さに固定され、そして水位調整板には概略三角形又は概略三日月形などで上側ほど横断面の長さが小さく成る開口を形成し、水位調整板の正面両側にはガイド部が設けられ、このガイド部には上記開口を閉じることが出来る閉塞板の両側端が嵌って取付けられ、そして、該ガイド部には支持部材が設けられて、上記閉塞板の上部側端に突出したストッパーが支持部材の上端に当たって支持されてガイド部から抜け落ちて落下しない構造としたことを特徴とする水田の水位調整装置。
【請求項2】
上記下部板は2枚又は3枚を上下方向に組み合わせて構成した請求項1記載の水田の水位調整装置。
【請求項3】
上記ガイド溝にガイドレールを嵌め、ガイドレールに設けた仕切り片にて仕切られた溝に上記下部板と水位調整板を嵌めた請求項1、又は請求項2記載の水田の水位調整装置。
【請求項4】
上記下部板に両側端部をU字状に湾曲すると共に、該湾曲部をガイド溝に嵌めると共に、U字状の湾曲溝に水位調整板を嵌めた請求項1、又は請求項2記載の水田の水位調整装置。
【請求項5】
水田の排水口に設置して水位を調整する為の水位調整装置の水位調整板において、該水位調整板は排水枡に下部板の上方に取付けられ、水位調整板には水を流すことが出来る概略三角形又は概略三日月形などで上側ほど面積が小さく成る開口を形成し、水位調整板の正面両側にはガイド部が設けられ、このガイド部には上記開口を閉じることが出来る閉塞板の両側端が嵌って着脱可能に取付けられ、そして、該ガイド部には支持部材が設けられて、上記閉塞板の上部側端に突出したストッパーが支持部材の上端に当たって支持されてガイド部から抜け落ちて落下しない構造としたことを特徴とする水田の水位調整板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豪雨の際には水田に一定量の雨水を貯めて水害を防止することが出来るように、水田の貯水量を調整する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年においては地球温暖化の影響により、ゲリラ的な集中豪雨が増えており、この短時間に集中的に降る雨による洪水の被害が頻発している。昔から、洪水対策としてはダムの建設や河川の改修、調整池の設置などが行われてきているが、これら従来からの対策では巨額な費用や時間がかかり早急に対応することは難しい。
【0003】
このような集中豪雨の際の対策として、水田を利用した「田んぼダム」が提案されている。水田の面積は非常に大きく、この広い水田に一時的に降った雨水を溜めることで河川への流出を抑え、河川の氾濫を防止することが出来る。すなわち、豪雨時に水田に雨水を一時的に貯留させることで、河川への雨水の流出量を抑制し、下流域の住宅地や耕地の浸水被害を緩和することが出来る。
【0004】
勿論、水田には排水口と成る位置に排水枡が設置され、該排水枡には主に木製の水位調整板を取付け、該水位調整板の高さを変えることで排水量の調整を行っている。降った雨は水位調整板を越えて排水管から排水路へ流れ、水田の水位を一定に保っている。降った雨が直ぐに排水路へ流れ込むことから、集中豪雨の時には、降った雨が短時間に一気に排水路から河川へと流れ込み、その結果、洪水が発生してしまう。
【0005】
そこで、集中豪雨時に降った雨水を水田に一時的に溜めることで、排水路の氾濫、及び河川の氾濫を防止するようにした技術が色々と知られている。
例えば、特開2012−120510号に係る「水田用貯水量調整装置」は、豪雨時には水田に「田んぼダム」機能を働かせて自動的に一定水量を貯水して、河川への雨水の流入を抑制する。
すなわち、一対の側壁の対向位置に、土留板差し戸口を設けると共に、該土留板差し戸口と垂直壁のほぼ中間位置に貯水量調整板差し戸口を設け、土留板差し戸口には、土壌面とほぼ同じ高さの土留板を垂直に差し込むとともに、土留板上に載置した時に営農水位となる高さの営農水位調整板を垂直に差し込み、前記貯水量調整板差し戸口には、上端高さを稲の生育状態に合わせた任意の高さである貯水水位とほぼ同じ高さに形成し、下部に排水量調整孔を穿設した貯水量調整板を垂直に差し込むように構成し、通常雨量の場合は、雨水を排水管を介して排水路へ排水して水田の営農水位を保持し、豪雨の場合は、貯水量調整高さに越流高さを加えた高さの最高貯水水位まで雨水を貯めることが出来る。
【0006】
特開2010−22324号に係る「水田用水位設定装置」は、水田を一時的に雨水を貯蔵してダム化し、河川に流れ込む雨水を抑制し、下流域の急激な水位上昇を抑えることが出来る装置である。
すなわち、水田排水部に連結する取付管に本体筒部を連結する構成とし、本体筒部を取付管に対して昇降自在若しくは本体筒部を取付管に対して昇降自在となる可動管を有する構成とし、本体筒部の上部に限界排水口部を設け、限界排水口部より下方の周面に限界排水口部より小さい周面排水口部を設け、この周面排水口部若しくは限界排水口部を上部排水口部として設けて、雨水を周面排水口部より排水して水位を保持し、雨水の増水量が周面排水口部からの排水量を超えると水位が上昇して、限界排水口部に達するまでの増水量が水田に貯水されるように構成している。
【0007】
特開2009−100683号に係る「水田貯水装置」は、水位調整ができるとともに豪雨時には雨水により自動的に排水口を止水し、下流位置の水害被害を防止できる。すなわち、水田の排水口に設置するもので、水田排水口を堰き止める止水体と、止水体を水田側から排水路側に連通した排水管体と、雨水受け容器とを備え、排水管体の取水口は雨水受け容器に溜まった雨水の重量にて所定の高さまで上昇するようになっている。
【0008】
これらの他にも水田の水位を調整する従来技術は色々知られているがその構造が比較的複雑化し、設置するにはコストも嵩むといった問題がある。また、水田の水位調整のために木製の板を色々な高さで切断し組み合わせて調整している状況であり、腐食はするし調整が面倒である。
【0009】
出願人は従来の問題点を解決することが出来る「水田の貯水量調整装置及び水位調整板」に関して平成26年6月24日付けで特許出願を行っている(特開2016−7158号)。
この「水田の貯水量調整装置及び水位調整板」は、水田の排水口に設置して水位を調整する為の水位調整装置であり、排水枡の両側版部の内側面には上下方向に延びるガイド溝を設け、このガイド溝に下部板と水位調整板を取付け、該下部板の下端は排水枡の底版部に接し、水位調整板は底版部から所定の高さに固定し、そして水位調整板には三角形開口を形成している。
【0010】
水位調整板を超えることがない降雨時には、水位調整板に設けている開口から流出する。この開口から流出する水量は限定され、排水路への排水が抑制される為に、排水路が氾濫することは緩和され、河川の氾濫が抑制される。そして、水位調整板に設けている開口は概略三角形や概略三日月形を成し、下側の面積は大きいが上側の面積は小さく成る為に、豪雨によって水位が上昇するにしたがって、開口から流出する水量は抑制され、排水路及び河川の氾濫を抑制する効果は高い。
【0011】
【特許文献1】特開2012−120510号に係る「水田用貯水量調整装置」
【特許文献2】特開2010−22324号に係る「水田用水位設定装置」
【特許文献3】特開2009−100683号に係る「水田貯水装置」
【特許文献4】特開2016−7158号に係る「水田の貯水量調整装置及び水位調整板」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように、集中豪雨時に降った雨水を一時的に水田に溜めることで、河川の氾濫を防止する技術は色々知られている。
特開2016−7158号に係る「水田の貯水量調整装置及び水位調整板」は、その構造が簡単であると共に、水位調整板に形成している開口から流出する水量は抑制され、排水路及び河川の氾濫を効率的に抑制する効果は高い。
【0013】
ところで、水位調整板に形成した開口に達すると水田の水は流れ出るが、開口に達しない水位までは水田に水を満たすことが出来る。
しかし、水田は完全な平坦面ではなく多少の凹凸面(起伏した面)と成っている為に、所々に点在する凸部が水面から顔を出すことになる。凸部が水面から突出しても氾濫抑制には何ら問題はない。水田には各種雑草が生え、この雑草が生育しないように除草剤を散布することが常であり、除草剤散布時に水面から突出する凸部が存在すると、この部分から雑草が生えてくる。
そこで、除草剤散布時には凸部が水面から突出することなく、水田の全面が水面下になるようにする必要がある。
【0014】
本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、上記特開2016−7158号に係る「水田の貯水量調整装置及び水位調整板」を改良することで、水田を田んぼダムとして機能させることで河川の氾濫抑制を図ることはもちろん、除草剤を散布した際にはその効果が水田全体に均一に働くようにした水田の貯水量調整装置及び水位調整板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る水田の貯水量調整装置は水田の排水口に設置され、本体と成る排水枡に下部板と水位調整板が嵌って構成している。排水枡は底版部と両側版部、及び背版部を有して、正面側と上方は開口した形状としている。そして、背版部には排水穴を形成して、排水穴には排水路へ通じる排水管が接続される。水位調整板は上下方向にスライドしてその高さを調整出来、止めピンなどを差し込んで所定の位置で固定することが出来る。
【0016】
両側版部にはガイド溝を設け、このガイド溝に上記下部板及び水位調整板が互いに接し合った状態で嵌っている。下部板は底版部に接して取付けられ、これに対して水位調整板は底版部から所定の高さに固定され、該水位調整板には概略三角形をした開口を形成している。そして、この水位調整板には必要に応じて開口を塞ぐことが出来る閉塞板を取付けている。
【0017】
ただし、上記開口の具体的な形状に関しては限定しないことにし、概略三角形に限らず、丸みを有す概略三日月形開口とすることも出来る。すなわち、本発明の開口は上方側の水平断面の長さが短くなる形状であればよい。そして、水位調整板の下側に配置する下部板は一枚に限らず、複数枚を上下方向に組み合わせて構成する場合もある。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、排水枡に下部板と水位調整板を嵌め、水位調整板は上下方向にスライドすることが出来、水位調整板の上端を所定の高さになるように固定することが出来る。すなわち、水田の貯水量の最大水面高さを水位調整板にて設定でき、集中豪雨によって、この水位を超えた場合には水位調整板を超えて排水穴から流出することが出来る。
【0019】
一方、水位調整板を超えることがない豪雨時には、水位調整板に設けている開口から流出する。この開口から流出する水量は限定され、排水路への排水が抑制される為に、排水路が氾濫することは緩和され、河川の氾濫が抑制される。そして、水位調整板に設けている開口は概略三角形や概略三日月形を成し、下側の面積は大きいが上側の面積は小さく成る為に、豪雨によって水位が上昇するにしたがって、開口から流出する水量は抑制され、排水路及び河川の氾濫を抑制する効果は高い。
【0020】
一方、水位調整板には閉塞板が取付けられて必要に応じて開口を塞ぐことが出来る。その為に、除草剤を散布した際には該閉塞板によって開口を塞いで、水田の所々に点在する凸部(盛り上がり)を水面下になるように水を満たすことが出来、散布した除草剤の効果を水田全体に均一に行き渡らせて雑草の発生を抑制することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の水位調整装置を構成する排水枡。
図2】水位調整装置を示す実施例。
図3】排水枡のガイド溝に取付けるガイドレール。
図4】閉塞板を取付けた水位調整板を示す実施例。
図5】水位調整装置を示す他の実施例。
図6】平常時水位、貯水時水位、越流時水位をそれぞれ表している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は本発明の水田の貯水量調整装置を構成する排水枡1を示す実施例であり、該排水枡1はコンクリート製のブロックから成っている。同図の2は底版部、3,3は側版部、4は背版部をそれぞれ表わし、上方及び正面側は開口した形状と成っている。そして、上記側版部3,3の内側面5,5には、上下方向に一定幅の細長いガイド溝6,6を上端から底版部2にかけて設けている。また、上記背版部4には排水穴7を有し、この排水穴7には排水路へ連通する排水管(図示なし)が接続される。
【0023】
ところで、この排水枡1は水田の排水口に設置され、水田に溜まる水の水位を調整することが出来る。その為に、排水枡1の側版部3,3に設けているガイド溝6,6には下部板と水位調整板が嵌って取付けられる。下部板は底版部2にその下端が当接して隙間が無いように取付けられ、水位調整板は所定の高さに取付けて水田の水位を調整することが出来る。
勿論、下部板を少し持ち上げて底版部2との間に隙間を作り、水田に水を必要としない時期にはこの隙間から水を流すことも出来、本発明では、下部板と水位調整板の両方を使うことで水田の水位調整を図ることが出来るようにしている。
【0024】
図2は上記排水枡1に下部板8と水位調整板9が取付けられている状態を示す実施例である。ここで、側版部3,3に設けたガイド溝6,6にガイドレール10,10が嵌合し、このガイドレール10,10に形成した2本の溝に下部板8及び水位調整板9の両側端が嵌って取付けられている。下部板8はその下端が底版部2との間に隙間が無いように接している。そして、水位調整板9は所定の高さに配置され、水位調整板9の下端部と下部板8の上端部は互いに重なり合っている。
そして、上記水位調整板9の正面両側には後述する閉塞板が嵌るガイド部20,20を設けている。
【0025】
図3はガイドレール10を示す具体例であり、該ガイドレール10は底片11の両側に側片12,12を起立し、そして両側片12,12の間に仕切り片13を起立した形状を有している。従って、ガイドレール10には仕切り片13を間にして2本の溝14,14を設けている。
【0026】
排水枡1の側版部3,3に形成したガイド溝6,6に下部板8と水位調整板9を直接嵌めることなく、上記図3に示したガイドレール10,10を介して下部板8と水位調整板9を取付けている。下部板8と水位調整板9をガイドレール10に形成したそれぞれの溝14,14に嵌り、間には仕切り片13が介在している。したがって、下部板8と水位調整板9が互いに重なり合う部分には仕切り片13に相当する僅かな隙間が形成される。
【0027】
ところで、上記水位調整板9には三角形の開口15が形成されている。豪雨で水田の水位が上昇するならば、水田に溜まった雨水は三角形の開口15から流れ出し、背版部4に設けた排水穴7から排水管へ流出し、そして排水路へ流れる。水位が上がって三角形開口15の下辺16に達し、該下辺16を超えるならば、雨水は開口15から流出する。
【0028】
該開口15は三角形である為に、下辺16側の面積は大きくて水位の上昇に対してより多くの水が流れ出ることが出来、しかし下辺16から離れるにしたがって面積は小さくなる。
例えば、四角形をした開口であるならば、下辺からの距離と面積は比例する為に、水位が上昇するならば、開口からの流出水量は比例して増加する。
しかし、本発明のような三角形の開口15とするならば、水位が上昇しても開口15からの流出する水量は比例して増大することはなく、その為に、豪雨時の水量流出を抑制して水田に溜めることが出来、排水路の氾濫が防止される。
【0029】
ここで、開口15の形状は同図に示すような二等辺三角形とする必要はなく、下辺から上方へ離れるにしたがって面積が小さくなるような形状であればよい。例えば、概略三日月形の開口とすることも可能である。
このように、本発明の水位調整装置では、水位調整板9に形成した開口15の形状を三角形や三日月形とすることで、豪雨時に降る雨水を排水路へ直ちに流すことなく水田に貯水することが出来る。
【0030】
図4は水位調整板9に閉塞板21を取付けた状態の実施例である。この閉塞板21を取付けることで上記水位調整板9に形成している三角形の開口15を塞ぐことが出来る。水位調整板9の正面両側にはガイド部20,20が設けられ、このガイド部20,20に閉塞板21の両側端が嵌って取付けられる。
【0031】
閉塞板21の両側には長穴22,22が貫通して設けられ、この両長穴22,22に指を掛けて該閉塞板21を上記ガイド部20,20に沿って上下方向にスライドすることが出来、水位調整板9から取り外し出来る。そして、ガイド部20には支持部材23が取付けられていて、閉塞板21の上部側端に突出したストッパー24が支持部材23の上端に当たって支持され、ガイド部20,20から抜け落ちて落下しないようにしている。
【0032】
ここで、閉塞板21は水位調整板9の正面側に取付けられていて、その為に水田に満たされる水の水圧は閉塞板21の正面に作用して水位調整板9にて支えられる。上記閉塞板21が無い場合、水位が上昇して開口15まで達するならば、該開口15から水が流れ出て豪雨でない限り水田の水位が上昇することはない。
【0033】
勿論、水位調整板9を排水枡1のガイド溝6,6に沿って上昇するならば、開口15の位置が高くなることで、水路から水田へ供給した水の水位をある程度高くすることは可能であるが、本発明の水位調整板9には閉塞板21が取付けられていて、この閉塞板21によって開口15を塞ぐことが出来る。
したがって、水田の表面に起伏する凹凸部が存在している場合には、水路から供給される水による水位の上昇にて凸部を沈めることが出来、水面から凸部が突出しないようにすることが可能である。
【0034】
水田には各種雑草が生えるが、これら雑草がある程度大きく生育した段階で、手で草取り作業をすることもある。しかし、大きな水田に生えた雑草を除去する作業は大変な重労働であり、その為に一般的には雑草が生えないように前以て除草剤を散布する。除草剤は水に溶けて水田の表面に浸透するが、水面より突出した凸部が存在する場合には、これら凸部に除草剤が行き渡ることなく、この部分に雑草が生える。
【0035】
本発明の水位調整板9は排水路の氾濫抑制を主目的とするものであるが、水位調整板に形成した開口15を塞ぐ閉塞板21を取付けることで、水路から水を供給することで水田の水位が上昇し、散布した除草剤が水田全面に行き渡るようにすることが出来る。
【0036】
図5は本発明に係る水田の水位調整装置を示す他の実施例である。基本的な構造は前記図2の水田の水位調整装置と同じであり、排水枡1の両側版部3,3に形成したガイド溝6,6に嵌って下部板8及び水位調整板9を取付けている。
前記実施例のようなガイドレールは使用していないが、下部板8の両側端部をU字状に湾曲し、この湾曲側端部17,17をガイド溝6,6に嵌合している。そして、湾曲したU字状の溝18,18に水位調整板9が上下動出来るように嵌っている。
ここで、水位調整板9の正面(水田側)には開口15を塞ぐことが出来る閉塞板21を取付けている。閉塞板21を取付けた水位調整板9の形態は前記図4に示した場合と同じである。
【0037】
水位調整板9の高さはU字状に湾曲して形成される溝18に沿ってスライドすることで自由に変更することが出来、この場合、下部板8と水位調整板9を繋ぐ為に所定の位置に貫通した穴にピンを差し込むことが出来る。平常時、又は稲刈りが近く成って水田に水が溜まらないようにする時期には、下部板8を少し持ち上げて底版部2との間に隙間を形成するが、例えば、下部板8の下端に石ころを流されないように置けばよい。
【0038】
一方、激しい豪雨で水位調整板9の開口15を超え、さらに上端19を超えて流れ出すことが出来る。水位調整板9の高さは自由に決めることが出来るが、水田に植えられている稲に悪影響のない程度とされる。
図6は平常時水位、貯水時水位、及び越流時水位をそれぞれ表しており、本発明の水位調整装置を用いて水田の水位を調整できる。さらに、水位調整板9に形成した開口15に閉塞板21を取付けて該開口15を閉じることが出来る。
【符号の説明】
【0039】
1 排水枡
2 底版部
3 側版部
4 背版部
5 内側面
6 ガイド溝
7 排水穴
8 下部板
9 水位調整板
10 ガイドレール
11 底片
12 側片
13 仕切り片
14 溝
15 開口
16 下辺
17 側端部
18 溝
19 上端
20 ガイド部
21 閉塞板
22 長穴
23 支持部材
24 ストッパー






図1
図2
図3
図4
図5
図6