特許第6863569号(P6863569)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863569
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】コーティング剤用表面調整剤
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20210412BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20210412BHJP
   C09D 133/26 20060101ALI20210412BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20210412BHJP
   C09D 5/16 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   C09D201/00
   C09K3/00 112D
   C09D133/26
   C09D7/65
   C09D5/16
   C09K3/00 R
【請求項の数】5
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2016-232783(P2016-232783)
(22)【出願日】2016年11月30日
(65)【公開番号】特開2018-90663(P2018-90663A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2019年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000162076
【氏名又は名称】共栄社化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002251
【氏名又は名称】特許業務法人眞久特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴行
(72)【発明者】
【氏名】津曲 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】牛尾 英宏
(72)【発明者】
【氏名】衣川 雅之
【審査官】 菅野 芳男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−138027(JP,A)
【文献】 特表2007−513249(JP,A)
【文献】 特開2010−132769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 201/00
C09D 5/16
C09D 7/65
C09D 133/26
C09K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド類から選ばれる少なくとも一種のN,N−ジ置換(メタ)アクリルアミドモノマー、及び/又は不飽和基含有モルホリンアミド類から選ばれる少なくとも一種の不飽和基含有モルホリンアミドモノマー65.00〜99.99質量部と、下記化学式(1)
CH=C(R)−CO−O−R−R ・・・(1)
(式(1)中、Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素数0〜12のアルキレン基、Rは炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基、及び/又はパーフルオロポリエーテル基)で表わされるフッ素含有(メタ)アクリレートモノマー35.00〜0.01質量部と、前記N,N−ジ置換(メタ)アクリルアミドモノマー及び/又は前記不飽和基含有モルホリンアミドモノマーと前記フッ素含有(メタ)アクリレートモノマーと、それらモノマーの総質量100部に対して質量比で最大30部のアルキル(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、及び/又はビニル基含有化合物類である不飽和コモノマーとからなるコモノマーが共重合されたもので重量平均分子量を1500〜50000とする共重合物からなり、
シリコーン系樹脂又はフッ素系樹脂を含むコーティング剤、及び/又はシリコーン系レベリング剤である表面配向性を有する添加剤が配合されたコーティング剤に、コーティング剤全量に対する固形分換算値で0.1〜10質量%である少量を添加され前記コーティング剤で形成がなされる被膜表面に親水性と、防汚性及び/又はレベリング性と、前記被膜の前記形成時にワキ防止性とを付与するためのものであることを特徴とするコーティング剤用表面調整剤。
【請求項2】
前記N,N−ジ置換(メタ)アクリルアミドモノマー及び/又は前記不飽和基含有モルホリンアミドモノマーと前記フッ素含有(メタ)アクリレートモノマーと、それらモノマーの総質量100部に対して質量比で最大10部のブロックイソシアネートを有する(メタ)アクリレートモノマー、アルコキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー、水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー、及び水酸基を含有する(メタ)アクリルアミドから選ばれる少なくとも何れかの官能基含有コモノマーとが共重合された前記共重合物を含有していることを特徴とする請求項に記載されたコーティング剤用表面調整剤。
【請求項3】
請求項1〜の何れかに記載のコーティング剤用表面調整剤と、被膜形成成分とを含有することを特徴とするコーティング剤。
【請求項4】
請求項に記載のコーティング剤により基材上で形成されていることを特徴とする硬化被膜。
【請求項5】
前記コーティング剤用表面調整剤によって前記被膜表面で、前記親水性と、前記防汚性及び/又は前記レベリング性を有し、前記被膜の前記形成時での前記ワキ防止性を有することを特徴とする請求項に記載の硬化被膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被膜を形成するコーティング剤に少量配合することにより、そのコーティング剤で形成された被膜表面に親水性や防汚性を付与する表面調整剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、塗装面の高付加価値化に伴い、水性・油性塗料、焼き付け塗料、インキ等の様々なコーティング剤で形成された被膜表面を親水化して、それの防汚性を向上させる要望がある。
【0003】
一般に、被膜に親水性を付与する手法としては、被膜を形成するコーティング剤に含まれる樹脂自体やそれを形成する架橋性成分自体を親水性にすることで、形成された被膜表面を親水性にする場合が多い(例えば下記特許文献1〜5参照)。しかし、この場合、親水性の樹脂を選択したり樹脂や架橋性成分を親水官能基化したりして樹脂全体が親水性となることから、被膜の用途に応じ使用できる樹脂や架橋性成分が制限される。また、コーティング剤の樹脂や架橋性成分自体へ親水性を付与する結果、形成された被膜全体が親水性となるので、被膜内部への水分の浸入が生じ易くなり、被膜そのものの耐久性に懸念が生じる。このように既存のコーティング剤を改良してそれへ親水性を付与する場合には、被膜を形成する樹脂や架橋性成分からの抜本的改善が必要であり、コーティング剤ごとに樹脂等の大幅な見直しが必要となる。
【0004】
一方、樹脂や架橋性成分を代えることなく被膜に親水性を付与する手法としては、既存のコーティング剤に親水性表面調整剤を添加する手法がある。この場合、少量の親水性表面調整剤を添加することで、形成された被膜の耐久性や硬度といった、被膜に求められる基本的な物性を変えずに被膜表面を親水化できる。親水性表面調整剤として、加水分解により親水性を発現するエチルシリケートで代表されるシリケート類が用いられる場合が多い。シリケート類が被膜表面での加水分解に概ね2〜3ヶ月間の時間を必要とすることから、被膜形成直後に被膜は未加水分解のシリケート類により疎水性表面となるため親油性の汚れが付着し易い状況下にある。シリケート類の加水分解により親水性発現後に長期的な親水性発現が可能であるが、長期的な親水性は、かえって徐々に被膜内部へ水分を侵入させ、被膜そのものの耐久性を低下させる恐れがある。さらに、シリケート類のような親水性表面調整剤を含有するコーティング剤の問題点として、親水性表面調整剤自身のゲル化、樹脂との架橋によるコーティング剤の増粘といった経時安定性の観点から不具合が生じ易いことも挙げられる。親水性表面調整剤自体が、空気中の水分による加水分解を生じて高極性化し、シリケート類の疎水性による表面配向性を失い、親水化性能を低下させてしまうこともある。
【0005】
被膜形成初期から親水性を発現させる親水性表面調整剤として、親水性セグメントであるポリアルキレンオキサイドや4級塩を含有したものがある。ポリアルキレンオキサイドを含有する親水性表面調整剤を含むコーティング剤は、常温で被膜を形成するのに比較的適しているが、焼き付け塗料のように高温焼き付けで被膜を形成する場合、ポリアルキレンオキサイドの耐熱性の低さから熱分解又は加水分解と考えられる親水性発現性能低下傾向が認められ、耐候性も良くない。4級塩を含有する親水性表面調整剤を含むコーティング剤は、親水性がかなり高い反面、硬化被膜内部にまで水が浸入し易く、硬化被膜の劣化が生じやすくなる。このポリアルキレンオキサイドや4級塩を含有する表面調整剤について、親水性は発揮されるが含有し過ぎることでこれらの問題がおこる為、含有するとしても少量であることが望ましい。また、これらの親水性表面調整剤がコーティング剤中の泡を安定化させ易いため、コーティング剤の塗工時に巻き込まれた微細な泡が焼付け時に泡抜け痕(ワキ)を発生させることがある。そのようなことから、近年、焼き付け塗料を親水化したいという要望が多く、その用途としては屋外設置用物置や屋根用のプレコートメタル等が挙げられる。
【0006】
また、下記特許文献6に、シロキシ基含有アクリレート類のようなシリコーンマクロモノマーと不飽和ポリエーテル成分とアクリルアミド類とがラジカル重合した親水性有機官能性シリコーンポリマーを有している親水性表面調整剤が、記載されている。この親水性表面調整剤は、ポリマー中、ポリエーテル成分を30%以上含有する必要がある。この親水性表面調整剤を含有するコーティング剤が高温焼付け工程においてポリエーテル成分の熱分解を生じ易く、飛散した分解物が焼付け炉等の設備を汚染してしまう。また、このコーティング剤で形成した被膜は、疎水性であるシリコーン部と親水性であるポリエーテル部を有することで高極性両親媒骨格となり、コーティング剤中の気泡を安定化させ易く、ワキを発生させ易い。
【0007】
一方、特許文献7に、シロキシ基含有モノ(メタ)アクリレートとアクリルアミド類とがラジカル重合した親水性表面調整剤が記載されている。この親水性表面調整剤は、平滑に形成された被膜表面に親水性を付与しつつ、焼き付け時に発生するワキも防止する。この表面調整剤は、ポリエステルメラミン等の樹脂を用いた工業用焼き付け塗料で、親水性を発揮できる。
【0008】
上記表面調整剤は被膜表面に配向することで効果を発揮する。配向性を発揮する主たる成分はシロキシ基となる。上記特許公報記載のポリエステルメラミン等のコーティング剤では十分な表面配向性を達成可能である。しかし近年、高耐候性塗料の樹脂として、シリコーン系樹脂もしくはフッ素系樹脂が用いられることもある。シリコーン系樹脂を用いたコーティング剤では、配向基となるシロキシ基とシリコーン系樹脂との相溶性が良く、表面配向性が十分に発揮されず、結果として被膜表面に十分な親水性を発現できない場合がある。またフッ素系樹脂の場合は配向基であるシロキシ基以上に樹脂表面張力が低くなり、シロキシ基では十分な表面配向性が得られない。
【0009】
また、ポリエステルメラミンに代表される上記特許記載のコーティング剤においても、レベリング剤に代表される他の表面調整剤が強力な表面配向性を有するシリコーン系表面調整剤やフッ素系表面調整剤を多く含む場合に、それら他の表面調整剤が被膜最表面に配向し、親水性表面調整剤が最表面に到達できないことで十分な効果を発揮できない場合がある。
【0010】
フッ素系樹脂塗料に親水性を付与する方法として、下記特許文献8に、スルホン酸をグラフト重合させた4フッ化エチレン樹脂を塗料成分として用いる方法が記載されている。この樹脂では、焼き付け温度200℃が上限であり、焼き付け温度が250℃に達することもあるプレコートメタルのような塗装には適さない。また、改良となると、樹脂からの大幅な見直しが必用となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平5−179145号公報
【特許文献2】特開平7−196977号公報
【特許文献3】特開平9−31401号公報
【特許文献4】特開2002−80789号公報
【特許文献5】特開平4−370176号公報
【特許文献6】特表2008−542462号公報
【特許文献7】特許第5437523号公報
【特許文献8】特許第5721753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、表面張力の低いシリコーン系樹脂やフッ素系樹脂等を含む塗料等のコーティング剤、及び/又はシリコーン系レベリング剤に代表される強力な表面配向性を有する他添加剤を多く配合されたコーティング剤に少量配合することにより、ワキを防止して平滑に形成された被膜表面に親水性を付与し、その結果として防汚性を付与できるコーティング剤用表面調整剤、コーティング剤、及びそれを塗布され硬化させて形成された被膜を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の目的を達成するためになされた本発明のコーティング剤用表面調整剤は、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド類から選ばれる少なくとも一種のN,N−ジ置換(メタ)アクリルアミドモノマー、及び/又は不飽和基含有モルホリンアミド類から選ばれる少なくとも一種の不飽和基含有モルホリンアミドモノマー65.00〜99.99質量部と、下記化学式(1)
CH=C(R)−CO−O−R−R ・・・(1)
(式(1)中、Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素数0〜12のアルキレン基、Rは炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基、及び/又はパーフルオロポリエーテル基)で表わされるフッ素含有(メタ)アクリレートモノマー35.00〜0.01質量部と、前記N,N−ジ置換(メタ)アクリルアミドモノマー及び/又は前記不飽和基含有モルホリンアミドモノマーと前記フッ素含有(メタ)アクリレートモノマーと、それらモノマーの総質量100部に対して質量比で最大30部のアルキル(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、及び/又はビニル基含有化合物類である不飽和コモノマーとからなるコモノマーが共重合されたもので重量平均分子量を1500〜50000とする共重合物からなり、
シリコーン系樹脂又はフッ素系樹脂を含むコーティング剤、及び/又はシリコーン系レベリング剤である表面配向性を有する添加剤が配合されたコーティング剤に、コーティング剤全量に対する固形分換算値で0.1〜10質量%である少量を添加され前記コーティング剤で形成がなされる被膜表面に親水性と、防汚性及び/又はレベリング性と、前記被膜の前記形成時にワキ防止性とを付与するためのものである。
【0014】
このコーティング剤用表面調整剤は、前記N,N−ジ置換(メタ)アクリルアミドモノマー及び/又は前記不飽和基含有モルホリンアミドモノマーと前記フッ素含有(メタ)アクリレートモノマーと、それらモノマーの総質量100部に対して質量比で最大30部のアルキル(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、及び/又はビニル基含有化合物類である不飽和コモノマーとが共重合された前記共重合物を含有しているものであってもよい。
【0015】
このコーティング剤用表面調整剤は、前記N,N−ジ置換(メタ)アクリルアミドモノマー及び/又は前記不飽和基含有モルホリンアミドモノマーと前記フッ素含有(メタ)アクリレートモノマーと、それらモノマーの総質量100部に対して質量比で最大10部のブロックイソシアネートを有する(メタ)アクリレートモノマー、アルコキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー、水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー、及び水酸基を含有する(メタ)アクリルアミドから選ばれる少なくとも何れかの官能基含有コモノマーとが共重合された前記共重合物を含有しているものであってもよい。
【0016】
前記の目的を達成するためになされた本発明のコーティング剤は、前記のコーティング剤用表面調整剤と、被膜形成成分とを含有するというものである。
【0017】
前記の目的を達成するためになされた本発明の硬化被膜は、前記のコーティング剤により基材上で形成されているものである。
【0018】
この硬化被膜は、前記コーティング剤用表面調整剤によって前記被膜表面で、前記親水性と、前記防汚性及び/又は前記レベリング性を有し、前記被膜の前記形成時での前記ワキ防止性を有するものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明のコーティング剤用表面調整剤によれば、コーティング剤へ少量添加するだけで、事後的な加水分解等の反応を必要とせずに、被膜形成直後から親水性を被膜表面に付与でき、水接触角を小さくし雨水等の水による洗浄性を向上させて、防汚性を発現させることができる。
【0020】
また、この表面調整剤を含有する本発明のコーティング剤は、貯蔵時の表面調整剤の性能変化、及び/又は表面調整剤に起因したコーティング剤の粘度変化がなく、貯蔵安定性に優れている。さらに、コーティング剤に配合された消泡剤による脱泡・破泡が促進され、ワキ防止が達成されて、平滑な被膜を形成することができる。
【0021】
この表面調整剤はシリコーン系樹脂やフッ素系樹脂に代表される表面張力の低いコーティング剤中でも硬化時に十分な表面配向性を発揮し、被膜表面に親水性を付与する。又、ポリエステルメラミン系やアクリルメラミン系に代表される比較的表面配向し易いコーティング剤において、レベリング剤に代表されるシリコーン系表面調整剤やフッ素系表面調整剤のような表面張力の低い疎水性成分を多く含有するコーティング剤中でもこの表面調整剤は十分な表面配向性を発揮でき、被膜表面に親水性を発現する。その結果、難親水化性又は非親水性の樹脂や被膜形成成分を含有するコーティング剤を用いても被膜に十分な防汚性を付与でき、且つ、硬化被膜のレベリング性を有し、被膜形成時でのワキ防止性を有することができる。
【0022】
従来多く使用されてきたシリケート系親水性付与添加剤は非常に高い表面配向性を有するため、他の親水性を付与する表面調整剤と併用した場合でも被膜最表層にはシリケート系添加剤だけが配向し、相乗効果を得難い材料であった。しかし本発明のコーティング剤用表面調整剤は、強力な表面配向性を有し、シリケート系添加剤と混ざり難く、また従来の添加剤よりも強力な表面配向性を有するため、同時に最表面に配向することが可能となり、両方の特性を合わせることができる。そのため、常温硬化性のコーティング剤のみならず焼付塗装用のコーティング剤にも使用することができる。
【0023】
また本発明のコーティング剤用表面調整剤を使用することで添加されたコーティング剤により形成された被膜は平滑であり、さらに上塗り特性に優れ、また焼き付け処理時にハジキやブツの発生が無く耐熱性に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
【0025】
本発明のコーティング剤用表面調整剤は、少なくともN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド類であるN,N−ジ置換(メタ)アクリルアミドモノマー及び/又は不飽和基含有モルホリンアミド類である不飽和基含有モルホリンアミドモノマーと、フッ素含有(メタ)アクリレートモノマーとが共重合した共重合物が、含有されたものである。
【0026】
より具体的には、このコーティング剤用表面調整剤は、N,N−ジメチルアクリルアミドのようなジメチル(メタ)アクリルアミド類とN,N−ジエチルアクリルアミドのようなジエチル(メタ)アクリルアミド類とで例示される炭素数1〜3の直鎖状、分岐鎖状及び/又は環状のアルキル基を有するN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド類から選ばれる少なくとも一種のアクリルアミドモノマー65.00〜99.99質量部と、フッ素含有(メタ)アクリレートモノマー35.00〜0.01質量部との共重合物を含有するものである。この表面調整剤は、硬化させて被膜を形成するために被膜形成組成物である各種コーティング剤に添加して含有されるのに用いられるものである。
【0027】
(メタ)アクリルは、アクリル及びメタクリルを意味する。
【0028】
N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドモノマー及び/又は不飽和基含有モルホリンアミドモノマーが65質量部未満の場合、得られた表面調整剤は、被膜に十分な親水性を発現させることができない。また、表面調整剤を含有するコーティング剤中に配合される他成分との相溶性が極端に悪くなり、それの塗装の際にハジキが生じたり、塗装膜表面に凹みが生じたりするうえ、形成された被膜への上塗りのレベリング性を悪化させ、十分な上塗り付着性も得られなくなる。N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドモノマー及び/又は不飽和基含有モルホリンアミドモノマーが70〜99質量部及びフッ素含有(メタ)アクリレートモノマーが30〜1質量部であることが好ましい。
【0029】
フッ素含有(メタ)アクリレートモノマーが35.00質量部を超える場合、得られた表面調整剤は疎水性であるフッ素の含有量が多くなってしまい、十分な親水性を発揮することができない。一方、0.01質量部未満である場合、得られた表面調整剤は表面張力の低いフッ素による被膜中での表面配向性を十分に得られず、被膜表面での親水性を十分に発揮できない。
【0030】
この共重合物の重量平均分子量は、1500〜50000の範囲内のものである。その重量平均分子量が1500未満の場合は、共重合物含有のコーティング剤塗工時に泡の問題が生じ易くなる。一方、その重量平均分子量が50000を超える場合は、被膜表面への配向性が低下し、十分な親水性が得られなくなる。共重合物の重量平均分子量が、1500〜20000であることが好ましい。
【0031】
上述したN,N−ジ置換アクリルアミドモノマー及び/又は不飽和基含有モルホリンアミドモノマーとフッ素含有(メタ)アクリレートモノマーとの共重合物中に、水酸基含有(メタ)アクリレート類、水酸基含有(メタ)アクリルアミド類、アクリレートエステル基以外のアルコキシ基含有(メタ)アクリレート類、及びブロックイソシアネート基含有(メタ)アクリレート類から選ばれる少なくとも何れかの官能基含有コモノマーが共重合されていてもよい。この官能基含有コモノマーは、N,N−ジ置換(メタ)アクリルアミドモノマー及び/又は不飽和基含有モルホリンアミドモノマー及びフッ素含有(メタ)アクリレートモノマーの総質量100部に対して質量比で10部以下であると好ましい。これにより、コーティング膜表面で塗料中の樹脂と反応するため雨水による表面調整剤の溶け出しがさらに生じ難くなり、防汚性に有利に働くことができる。10部を超えると本来の性能を害する恐れがある。これらの官能基含有コモノマーは、総質量が規定の配合量以下であれば単独で用いてもよく、併用して用いてもよい。
【0032】
フッ素含有(メタ)アクリレートモノマーとして、下記化学式(1)
CH=C(R)−CO−O−R−R (1)
(式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは炭素数0〜12の直鎖状、分岐鎖状及び/又は環状のアルキレン基を示し、Rは炭素数1〜12の直鎖状、分岐鎖状及び/又は環状のパーフルオロアルキル基及び/又はパーフルオロポリエーテル基を示す。なお、Rはパーフルオロアルキル基、パーフルオロポリエーテル基の何れかでもよいが、パーフルオロポリエーテル基含有パーフルオロアルキル基であっても、パーフルオロアルキル基含有パーフルオロポリエーテル基であってもよい)で表される片末端(メタ)アクリル変性のフッ素含有(メタ)アクリレートモノマーが用いられる。
【0033】
化学式(1)で表されるフッ素含有(メタ)アクリレートモノマーで、パーフルオロアルキル基含有のものとしては、例えば、パーフルオロメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘキシル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチル(メタ)アクリレート、パーフルオロノニル(メタ)アクリレート、パーフルオロデシル(メタ)アクリレート、パーフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、パーフルオロドデシル(メタ)アクリレート、
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パーフルオロシクロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘプチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロオクチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロノニル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロデシル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロウンデシル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロドデシル(メタ)アクリレート、
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【0034】
化学式(1)で表されるフッ素含有(メタ)アクリレートモノマーで、パーフルオロポリエーテル基含有のものとしては、例えば、
下記化学式(2)及び(3)
CH=C(R)-CO-O-CH-CF-O-(CF-CF-O)-(CF-CF-CF-O)-(CFCF-CF-O)-RF2 ・・・(2)
(式(2)中、Rは水素原子またはメチル基、n、m、pは0〜8の数、RF2は炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。)
CH=C(R)-CO-O-(CH)-NH-CO-O-CH-CF-O-(CF-CF-O)-(CF-CF-CF-O)-(CFCF-CF-O)-RF3 ・・・(3)
(式(3)中、Rは水素原子またはメチル基、q、r、sは0〜8の数、RF3は炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を示す。)で表わされるものが挙げられる。
【0035】
フッ素含有(メタ)アクリレートモノマーは、これらを単独で用いてもよく、複数組み合わせて用いてもよい。
【0036】
N,N−ジ置換アクリルアミドモノマーは、ジメチル(メタ)アクリルアミド類及びジエチル(メタ)アクリルアミド類として、例えばN,N−ジメチルアクリルアミドであるDMAA、N,N−ジエチルアクリルアミドであるDEAA(KJケミカルズ株式会社の製品名)が挙げられる。
【0037】
不飽和基含有モルホリンアミドモノマーは、(メタ)アクリロイルモルホリン類として、例えばアクリロイルモルホリンであるACMO(KJケミカルズ株式会社の製品名)が挙げられる。
【0038】
水酸基含有(メタ)アクリレート類は、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートにε-カプロラクトンをnモル(nは1〜5)付加したモノマー(例えばプラクセルFMシリーズ:株式会社ダイセル製 商品名)等が、挙げられる。
【0039】
水酸基含有(メタ)アクリルアミド類は、例えばN−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド等が挙げられる。
【0040】
アルコキシ基を有する(メタ)アクリレート類は、例えば(メタ)アクリル酸アルコキシシリル基含有エステル、より具体的には、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(KBM−502)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503)、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン(KBE−502)、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(KBE−503)、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103)(いずれも信越シリコーン株式会社製)が挙げられる。
【0041】
ブロックイソシアネート基含有(メタ)アクリレート類は、ブロック剤でブロック化されたイソシアネート基を有する(メタ)アクリレートモノマーであって、例えば2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートにブロック剤として、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、カプロラクタム、MEK−オキシム、ジメチルピラゾール、マロン酸ジエチル、等を反応させたものが挙げられる。より具体的には、メタクリル酸2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(カレンズMOI−BM:昭和電工株式会社製;登録商標)、メタクリル酸2−([3,5−ジメチルピラゾリル]カルボニルアミノ)エチル(カレンズMOI−BP:昭和電工株式会社製;登録商標)等で例示される。
【0042】
上述したN,N−ジ置換(メタ)アクリルアミドモノマー及び/又は不飽和基含有モルホリンアミドモノマーとフッ素含有(メタ)アクリレートモノマーとの共重合物中に、アルキル(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類及びビニル基含有化合物類から選ばれる少なくとも一種の不飽和コモノマーが共重合されていてもよい。但し、その不飽和コモノマーの共重合量は、得られた共重合物が親水性付与性能を害しない程度とすべきであり、前記N,N−ジ置換(メタ)アクリルアミドモノマー及び/又は不飽和基含有モルホリンアミドモノマーとフッ素含有(メタ)アクリレートモノマーの総質量100部に対し質量比で30部以下であると好ましい。
【0043】
アルキル(メタ)アクリレート類は、無置換、又はアミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、炭化水素芳香環、複素環の少なくとも何れかで置換され若しくはヒドロキシ基に酸無水物が開裂付加していてもよい直鎖状、分岐鎖状、及び/又は環状で炭素数1〜12のアルキル基を有する無置換又は置換アルキル(メタ)アクリレートである希釈モノマー、例えば、アルキルアクリレート、又はアルキルメタクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−アクリロイロキシエチル−コハク酸、2−アクリロイロキシエチル−フタル酸、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が、挙げられる。
【0044】
(メタ)アクリルアミド類は、ジメチル(メタ)アクリルアミド類やジエチル(メタ)アクリルアミド類のようなN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド類や(メタ)アクリロイルモルホリン以外のもので、(メタ)アクリルアミド、無置換又はケトン基やアミノ基やスルホン酸基やその塩で置換していてもよい炭素数1〜12のアルキル基によるN−アルキル(メタ)アクリルアミドや環状(メタ)アクリルアミド、例えばジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリルアミド−tert−ブチルスルホン酸、(メタ)アクリルアミド−tert−ブチルスルホン酸有機塩、(メタ)アクリルアミド−tert−ブチルスルホン酸無機塩等が、挙げられる。
【0045】
ビニル基含有化合物類は、例えばn−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテルのような炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキルビニルエーエルモノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニルのような脂肪酸ビニルエステルモノマーが挙げられる。
【0046】
この共重合物は、ラジカル重合方法で得ることができる。ラジカル重合方法では、例えばジメチル(メタ)アクリルアミド及びジエチル(メタ)アクリルアミドから選ばれた少なくとも一種のN,N−ジ置換(メタ)アクリルアミドモノマー及び/又は前記不飽和基含有モルホリンアミドモノマーの所定量と、所定量のフッ素含有(メタ)アクリレートモノマーと、必要に応じて、所定量の水酸基含有(メタ)アクリレート類、アルコキシ基含有(メタ)アクリレート類、水酸基含有(メタ)アクリルアミド類、及びブロックイソシアネート基含有(メタ)アクリレート類から選ばれる少なくとも何れかの官能基含有コモノマーと、さらに必要に応じて、所定量のアルキル(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類及びビニル基含有化合物類から選ばれる少なくとも一種の不飽和コモノマーとを、適宜溶媒中、ラジカル重合開始剤、必要に応じて連鎖移動剤の存在下でランダム共重合させて得ることができる。ラジカル重合開始剤としては、例えばtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイトを用いることができ、連鎖移動剤としては、例えばドデシルメルカプタンを用いることができる。また、溶媒としては、例えばシクロヘキサノン等の不活性溶媒を用いることができる。尚、共重合物は、ラジカル重合で得られてもよく、アニオン重合のようなイオン重合で得られてもよい。共重合物は、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよく、グラフト共重合体であってもよく、交互共重合体であってもよい。
【0047】
得られた共重合物を含有する表面調整剤は、共重合物のみからなっていてもよく、共重合物を不活性溶媒で溶解又は懸濁させて用いてもよい。不活性溶媒は、この共重合物を溶解又は懸濁させることができるものである。具体的にはキシレン、トルエン、シクロヘキサンのような炭化水素溶媒;シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンのようなケトン溶媒;メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、カルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテルのようなエーテル溶媒;酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテートのようなエステル溶媒;n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、シクロヘキサノール、2−エチルヘキサノール、3−メチル−3−メトキシブタノールのようなアルコール溶媒が、挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよく、複数種混合して用いてもよい。
【0048】
コーティング剤は、表面調整剤と、被膜形成成分とを含有するものである。この表面調整剤を配合してコーティング剤を調製する場合、表面調整剤未含有で被膜形成成分含有の公知のコーティング剤を予め調製した後、表面調整剤を配合し、混練することにより、所望のコーティング剤が得られる。それらを同時に又は任意の順で混合してもよい。コーティング剤は、コーティング剤全量に対する固形分換算値で0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5.0質量%の共重合物となるよう表面調整剤が配合されることが好ましい。コーティング剤に、被膜形成成分や不活性溶媒以外の第三成分が配合されていてもよい。その第三成分は、特に限定されないが、例えば顔料・染料のような着色剤、樹脂、希釈溶媒、触媒、界面活性剤が挙げられる。また、必要に応じて、増感剤、帯電防止剤、消泡剤、分散剤、粘度調整剤が、この配合されてもよい。
【0049】
コーティング剤中に配合される被膜形成成分である樹脂は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミン樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂が挙げられる。この樹脂は、例えば、加熱硬化型、紫外線硬化型、電子線硬化型、酸化硬化型、光カチオン硬化型、過酸化物硬化型、及び酸/エポキシ硬化型のように、触媒存在下、又は触媒非存在下で化学反応を伴って硬化するものであってもよく、ガラス転移点が高い樹脂で、化学反応が伴わず、溶媒が揮発するだけで被膜となるものであってもよい。
【0050】
また、希釈溶媒は、一般的に用いられる水又は有機溶媒であれば、特に限定されないが、有機溶媒として例えば、キシレン、トルエン、シクロヘキサンのような炭化水素溶媒;シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンのようなケトン溶媒;メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、カルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテルのようなエーテル溶媒;酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテートのようなエステル溶媒;n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、シクロヘキサノール、2−エチルヘキサノール、3−メチル−3−メトキシブタノールのようなアルコール溶媒が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。
【0051】
この表面調整剤が含有されたコーティング剤を基材の表面に塗布し、得られた塗装膜を乾燥又は硬化して、表面が親水化した被膜を形成することができる。この被膜は、表面が親水化していることにより水と馴染み易くなって、塵埃が付着しても雨水等の水で洗浄され易くなるという防汚性を有する。
【0052】
基材は、特に限定されないが、プラスチック、ゴム、紙、木材、ガラス、金属、石材、セメント材、モルタル材、セラミックスの素材で形成されたもので、家電製品や自動車の外装材、日用品、建材が挙げられる。
【0053】
また、コーティング剤の塗布方法は、例えば、スピンコート、スリットコート、スプレーコート、ディップコート、バーコート、ドクターブレード、ロールコート、フローコート、ベルコートが挙げられる。
【0054】
このように本発明の表面調整剤が含有されたコーティング剤を基材表面に塗布し硬化して形成した被膜は、ワキ防止が達成され平滑であって、被膜形成直後から表面に親水性が付与されており、それによって雨水等の水による洗浄性が向上して防汚性を発現できる。すなわち、表面調整剤は、親水性を付与するための加水分解等の反応を必要とせず、被膜形成直後から親水性表面を付与できる。このように表面調整剤を含むコーティング剤で形成された被膜によれば、N,N−ジ置換(メタ)アクリルアミドモノマー及び/又は、不飽和基含有モルホリンアミドモノマーとフッ素含有(メタ)アクリレートモノマーとに由来して、シリコーン系樹脂やフッ素系樹脂を用いたコーティング剤、又はシリコーン系表面調整剤やフッ素系表面調整剤に代表されるレベリング剤等の表面張力の低い被膜形成成分を用いても、形成された被膜表面を親水化でき、表面張力の高いコーティング剤を上塗りした際の濡れ広がり性を改善でき、その効果から上塗り被膜の平滑性を向上させることができる。また、被膜表面を親水化することで、結果として親水性表面は基材に対する水接触角が低くなり、雨水等の水による洗浄性が向上することで高い防汚性を発現できる。この防汚性も、被膜形成直後から発現する。
【0055】
この表面調整剤は、常温では前掲の特許文献6に記載された親水性有機官能性シリコーンコポリマーと同様に高極性両親媒骨格であることから被膜形成成分との相溶性に優れているが、気泡を安定化し難い状態になっている。その理由の詳細は必ずしも明らかでないが、以下のように推察される。この表面調整剤は、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドを主成分とする共重合物を含有している。共重合物は、疎水性のポリシロキサンセグメントと親水性/疎水性のアクリルアミドに由来するセグメントとを有している。N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドはその構造内に疎水部と親水部を有しているから、ジメチル及び/またはジエチル(メタ)アクリルアミドのようなN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド由来のセグメントを有する共重合物は、水溶液中で感温性ポリマーとなる。これはある程度の比率までモノマーを共重合した場合でも同様に観察される。感温温度前後にてアクリルアミドを主成分とするポリマーは親水性/疎水性が相転換する。この特性により、ワキの発生する焼付け工程時に、この表面調整剤は親水性から疎水性へと変化し、安定化された気泡がこの表面調整剤の相転換により不安定になり、消泡剤による脱泡・破泡が促進され、ワキ防止が達成される。しかも焼付け後、常温に戻ると疎水性が再び親水性となり、形成された被膜は親水性を有している。
【0056】
この表面調整剤を含むコーティング剤を基材上に塗布して被膜を形成したとき、表面調整剤は高い界面への配向性も有しており、表面張力の均一化効果からレベリング性も発現し、塗工ムラやユズ肌等の被膜表面の不具合が僅少である。しかも、この被膜はそれに上塗りする際にも塗装ムラが生じず、被膜と上塗り層との付着性を低下させることなく、しっかりと密着しており、被膜と上塗り層のいずれも剥がれ落ちないので、美的外観が良好である。また、プレコートメタル用コーティング剤を塗装した場合のように、高温で焼き付け処理をした場合でも耐熱性に優れるため、塗装膜表面にハジキやブツを生じず、平滑性に優れ、硬化させて形成した被膜への上塗り付着性の阻害がなく、耐久性に優れる。
【実施例】
【0057】
以下、本発明の表面調整剤を調製した例を実施例1〜18に示し、本発明を適用外の表面調整剤を調製した例を比較例1〜7に示す。
【0058】
<実施例1>
撹拌装置、還流冷却管、滴下ロート、温度計及び窒素ガス吹き込み口を備えた1000mLの反応容器に、シクロヘキサノンを100質量部加えて、窒素ガス雰囲気下で110℃に昇温した。シクロヘキサノンの温度を110℃に維持し、下記表1に示す滴下溶液(a−1)を滴下ロートにより2時間で等速滴下して、モノマー溶液を調製した。滴下終了後、モノマー溶液を、115℃まで昇温させ、2時間反応させて共重合物を合成して表面調整剤を得た。異なる分子量の分子を分離できるゲル浸透クロマトグラフィー(カラムは東ソー株式会社製で製品名TSKGEL SUPERMULTIPORE HZ−M、溶出溶媒はTHF(テトラヒドロフラン))を用いて、得られた表面調整剤を分子量ごとに溶出し、分子量分布を求めた。予め分子量既知のポリスチレン標準物質から校正曲線を得ておき、表面調整剤の分子量分布と比較して、表面調整剤の重量平均分子量を求めた。その結果、この表面調整剤の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で3500であった。
【0059】
<実施例2>
実施例1中の滴下溶液を下記表1の(а−2)に変更し、滴下温度を90℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で共重合物を合成して表面調整剤を得た。得られた表面調整剤の重量平均分子量を、実施例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で8000であった。
【0060】
<実施例3>
実施例1中の滴下溶液を下記表1の(а−3)に変更し、滴下温度を90℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で共重合物を合成して表面調整剤を得た。得られた表面調整剤の重量平均分子量を、実施例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で15000であった。
【0061】
<実施例4>
実施例1中の滴下溶液を下記表1の(а−4)に変更し、滴下温度を90℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で共重合物を合成して表面調整剤を得た。得られた表面調整剤の重量平均分子量を、実施例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で8000であった。
【0062】
<実施例5>
実施例1中の滴下溶液を下記表1の(а−5)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で共重合物を合成して表面調整剤を得た。得られた表面調整剤の重量平均分子量を、実施例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で3500であった。
【0063】
<実施例6>
実施例1中の滴下溶液を下記表1の(а−6)に変更し、滴下温度を90℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で共重合物を合成して表面調整剤を得た。得られた表面調整剤の重量平均分子量を、実施例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で8000であった。
【0064】
<実施例7>
実施例1中の滴下溶液を下記表1の(а−7)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で共重合物を合成して表面調整剤を得た。得られた表面調整剤の重量平均分子量を、実施例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で4000であった。
【0065】
<実施例8>
実施例1中の滴下溶液を下記表1の(а−8)に変更し、滴下温度を90℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で共重合物を合成して表面調整剤を得た。得られた表面調整剤の重量平均分子量を、実施例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で8000であった。
【0066】
<実施例9>
実施例1中の滴下溶液を下記表1の(а−9)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で共重合物を合成して表面調整剤を得た。得られた表面調整剤の重量平均分子量を、実施例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で2000であった。
【0067】
<実施例10>
実施例1中の滴下溶液を下記表1の(а−10)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で共重合物を合成して表面調整剤を得た。得られた表面調整剤の重量平均分子量を、実施例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で3500であった。
【0068】
<実施例11>
実施例1中の滴下溶液を下記表2の(а−11)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で共重合物を合成して表面調整剤を得た。得られた表面調整剤の重量平均分子量を、実施例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で2500であった。
【0069】
<実施例12>
実施例1中の滴下溶液を下記表2の(а−12)に変更し、滴下温度を90℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で共重合物を合成して表面調整剤を得た。得られた表面調整剤の重量平均分子量を、実施例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で45000であった。
【0070】
<実施例13>
実施例1中の滴下溶液を下記表2の(а−13)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で共重合物を合成して表面調整剤を得た。得られた表面調整剤の重量平均分子量を、実施例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で1500であった。
【0071】
<実施例14>
実施例1中の滴下溶液を下記表2の(а−14)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で共重合物を合成して表面調整剤を得た。得られた表面調整剤の重量平均分子量を、実施例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で3500であった。
【0072】
<実施例15>
実施例1中の滴下溶液を下記表2の(а−15)に変更し、滴下温度を90℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で共重合物を合成して表面調整剤を得た。得られた表面調整剤の重量平均分子量を、実施例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で50000であった。
【0073】
<実施例16>
実施例1中の滴下溶液を下記表2の(а−16)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で共重合物を合成して表面調整剤を得た。得られた表面調整剤の重量平均分子量を、実施例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で4000であった。
【0074】
<実施例17>
実施例1中の滴下溶液を下記表2の(а−17)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で共重合物を合成して表面調整剤を得た。得られた表面調整剤の重量平均分子量を、実施例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で3000であった。
【0075】
<実施例18>
実施例1中の滴下溶液を下記表2の(а−18)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で共重合物を合成して表面調整剤を得た。得られた表面調整剤の重量平均分子量を、実施例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で4500であった。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
<比較例1>
撹拌装置、還流冷却管、滴下ロート、温度計及び窒素ガス吹き込み口を備えた1000mLの反応容器に、シクロヘキサノンを100質量部加えて、窒素ガス雰囲気下で110℃に昇温した。シクロヘキサノンの温度を110℃に維持し、下記表3に示す滴下溶液(b−1)を滴下ロートにより2時間で等速滴下して、モノマー溶液を調製した。滴下終了後、モノマー溶液を、115℃まで昇温させ、2時間反応させて共重合物を合成して表面調整剤を得た。異なる分子量の分子を分離できるゲル浸透クロマトグラフィー(カラムは東ソー株式会社製で製品名TSKGEL SUPERMULTIPORE HZ−M、溶出溶媒はTHF)を用いて、得られた表面調整剤を分子量ごとに溶出し、分子量分布を求めた。予め分子量既知のポリスチレン標準物質から校正曲線を得ておき、表面調整剤の分子量分布と比較して、表面調整剤の重量平均分子量を求めた。その結果、この表面調整剤の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で4000であった。比較例1では、モノマー溶液にアクリルアミドモノマーが添加されていなかった。
【0079】
<比較例2>
比較例1中の滴下溶液を下記表3の(b−2)に変更し、比較例1と同様の方法で共重合物を合成して表面調整剤を得た。得られた表面調整剤の重量平均分子量を、比較例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で10000であった。比較例2では、モノマー溶液中のアクリルアミドモノマーが65質量部未満であり、フッ素含有(メタ)アクリレートモノマーが35質量部を超えていた。
【0080】
<比較例3>
比較例1中の滴下溶液を下記表3の(b−3)に変更し、滴下温度を90℃に変更したこと以外は、比較例1と同様の方法で共重合物を合成して表面調整剤を得た。得られた表面調整剤の重量平均分子量を、比較例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で70000であった。比較例3では、得られた表面調整剤の重量平均分子量が50000を超えていた。
【0081】
<比較例4>
比較例1中の滴下溶液を下記表3の(b−4)に変更し、比較例1と同様の方法で共重合物を合成して表面調整剤を得た。得られた表面調整剤の重量平均分子量を、比較例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で6000であった。比較例4では、モノマー溶液中にアクリルアミドモノマーが添加されていなかった。
【0082】
<比較例5>
比較例1中の滴下溶液を下記表3の(b−5)に変更し、比較例1と同様の方法で共重合物を合成して表面調整剤を得た。得られた表面調整剤の重量平均分子量を、比較例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で5000であった。比較例4では、モノマー溶液中にフッ素含有(メタ)アクリレートモノマーが添加されていなかった。
【0083】
<比較例6>
表面調整剤としてエチルシリケート48(コルコート社製)を用いた。
【0084】
【表3】
【0085】
<評価塗板作製>
予め調製した準備塗料に、実施例1〜18及び比較例1〜6で得られた表面調整剤を配合して、コーティング剤として試験塗料を得た。この試験塗料を基材に塗布して得られた硬化被膜の特性、及び試験塗料の経時安定性等の評価を行った。
【0086】
(準備塗料1の調製)
ベッコライト M−6154−40(ポリエステルポリオール樹脂、不揮発分:50%、水酸基価50;大日本インキ化学工業株式会社製)324質量部とCR−93(酸化チタン 石原産業株式会社製)270質量部とのミルベースにガラスビーズを加え、ペイントシェーカーにより6時間攪拌した。更に、このミルベース594質量部に、ベッコライト M−6154−40(大日本インキ化学工業株式会社製)135質量部、スーパーベッカミンL−117−60(ブチル化メラミン樹脂、NV60%、大日本インキ化学工業株式会社製)22質量部、スーパーベッカミンL−105−60(メチル化メラミン樹脂 NV60% 大日本インキ化学工業株式会社製)45質量部及びシンナー(ソルベッソ150/シクロヘキサノン=50/50)204質量部からなるレッドダウンを配合した後、ガラスビーズを濾別して準備塗料1を得た。
【0087】
(準備塗料2の調製)
フルオネートK700(水酸基含有フッ素樹脂、不揮発分:50%、水酸基価50;大日本インキ化学工業株式会社製)324質量部とCR−93(酸化チタン 石原産業株式会社製)270質量部とのミルベースにガラスビーズを加え、ペイントシェーカーにより6時間攪拌した。更に、このミルベース594質量部に、フルオネートK700(大日本インキ化学工業株式会社製)135質量部、スーパーベッカミンL−117−60(ブチル化メラミン樹脂、NV60%、大日本インキ化学工業株式会社製)22質量部、スーパーベッカミンL−105−60(メチル化メラミン樹脂 NV60% 大日本インキ化学工業株式会社製)45質量部及びシンナー(ソルベッソ150/シクロヘキサノン=50/50)204質量部からなるレッドダウンを配合した後、ガラスビーズを濾別して準備塗料2を得た。
【0088】
(試験塗料1の調製及び被膜作製)
得られた準備塗料1に、消泡剤(フローレンAC−300、共栄社化学株式会社製)0.5%及び、表面張力が低く親水化剤の表面配向を阻害すると考えられるシリコーン系レベリング剤(ポリフローKL−700)0.5%と、固形分として実施例1〜18及び比較例1〜6で得られた表面調整剤1.5%とを添加し、ラボディスパーにて2000rpm×2分間撹拌して、焼き付け型ポリエステル塗料である試験塗料を得た。得られた試験塗料を直ちに、アルミ製の基材上に♯42バーコーターにて塗装し、直ちに245℃×60秒(PMT:225℃)にて焼き付け、硬化させて硬化被膜を形成した。
【0089】
尚、比較のため、比較例6の表面調整剤を用いて得た試験塗料から調製された硬化被膜を、1%硫酸水溶液に24時間浸し、加水分解を促進させて得た硬化被膜を比較例7として、親水性比較用の硬化被膜とした。
【0090】
(硬化被膜上に発生したワキの評価)
硬化被膜10cm当たりに発生しているワキ数を目視で数え、下記評価基準にて5段階で評価した結果を、下記表4に記載した。
ワキ発生の評価基準
ワキの発生なし:◎
概ね3カ所以下:○
概ね7カ所以下:○〜△
10カ所以上 :△
全面にワキ発生:×
【0091】
(硬化被膜面のレベリング性の評価)
硬化後の塗装面の肌状態を目視にて観察し、下記評価基準にて4段階で評価した結果を、下記表4に記載した。
レベリング性の評価基準
良好;○
バーコーターの塗装筋が僅かに残る:○〜△
バーコーターの塗装筋が顕著に残る:△
ハジキが発生:×
【0092】
(硬化被膜の水接触角測定)
硬化した直後の硬化被膜面に0.02μLの水滴を滴下し、接触角測定計(協和界面科学株式会社製)を用いて初期の水接触角を測定した。その結果を下記表4に記載した。尚、比較例7の硬化被膜を親水性比較用として水接触角を測定した。
水接触角の評価基準
30°未満:◎
30°以上40℃未満:○
40°以上50°未満:○〜△
50°以上60°未満:△
60°以上:×
【0093】
(硬化被膜の実曝評価)
表面に硬化被膜を形成した塗装板を45°に折り曲げ垂直に立て、屋外南面に向けて2ヶ月間の曝露を行い、目視にて汚染の度合いを下記評価基準にて4段階で評価した。その結果を下記表4に併記した。
汚染の評価基準
汚染が殆どなく良好:○
やや汚染がある:○〜△
汚染がある:△
汚染が激しい:×
【0094】
【表4】
【0095】
表4から明らかなように、試験塗料1を用いた実施例1〜18の硬化被膜は、比較例1〜6の硬化被膜に比較して、ワキ発生量が少なく且つレベリング性も良好であって、被膜表面が平滑である。また、実施例1〜17の硬化被膜の水接触角及び実曝試験での汚れも、親水性比較用の比較例7の硬化被膜と同程度であって、良好な親水性と防汚性とを呈している。
【0096】
(試験塗料2の調整及び被膜作製)
得られた準備塗料2に、消泡剤(フローレンAC−300、共栄社化学株式会社製)0.5%及と、固形分として実施例1〜18及び比較例1〜6で得られた表面調整剤1.5%とを添加した以外、試験塗料1と同様の硬化被膜の形成及び、性能評価を行った。性能評価の結果を下記表5に示した。
【0097】
【表5】
【0098】
表5から明らかなように、試験塗料2を用いた実施例1〜18の硬化被膜は、比較例1〜6の硬化被膜に比較して、ワキ発生量が少なく且つレベリング性も良好であって、被膜表面が平滑である。また、実施例1〜18の硬化被膜の水接触角及び実曝試験での汚れも、親水性比較用の比較例7の硬化被膜と同程度であって、良好な親水性と防汚性とを呈している。一方、比較例1〜7の硬化被膜は、水接触角が高く、又はワキを生じており、表面特性が不十分であった。
【0099】
(試験塗料の経時安定性評価)
調製した試験塗料1での実施例1〜18及び比較例1〜6について、初期、40℃×1ヶ月及び2ヶ月間貯蔵後の粘度(B型粘度計)を測定し、その結果を下記表6に記載した。また、初期及び40℃×1ヶ月間保管後のそれぞれについて、前述した被膜作成方法にて硬化被膜を作製し、前述した水接触角の測定方法で水接触角評価を行い、その結果を下記表6に併記した。尚、下記表6には、表4に示した水接触角を初期の水接触角として併記した。
【表6】
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明のコーティング剤用表面調整剤は、プラスチック、ゴム、紙、木材、ガラス、金属、石材、セメント材、モルタル材、セラミックスの素材で形成された家電製品や自動車の外装材、日用品、建材の表面に塗布される塗料等のコーティング剤中に配合することができる。また、そのコーティング剤中に、表面張力の低い、レベリング剤に代表されるシリコーン系表面調整剤やフッ素樹脂を含有する場合でも、親水性を発揮することが出来る。
【0101】
この表面調整剤と被膜形成成分とを含有するコーティング剤により基材上で形成されている硬化被膜は、被膜表面で親水性を発現するので防汚性が付与されており、各種基材のコーティング被膜として有用である。