特許第6863573号(P6863573)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863573
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】回転ダンパー
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/12 20060101AFI20210412BHJP
   F16D 41/06 20060101ALI20210412BHJP
   F16D 41/07 20060101ALI20210412BHJP
   F16H 1/32 20060101ALI20210412BHJP
   F16H 1/28 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   F16F9/12
   F16D41/06 F
   F16D41/07 Z
   F16H1/32 A
   F16H1/28
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-28349(P2017-28349)
(22)【出願日】2017年2月17日
(65)【公開番号】特開2018-132176(P2018-132176A)
(43)【公開日】2018年8月23日
【審査請求日】2019年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236665
【氏名又は名称】不二ラテックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 正夫
(72)【発明者】
【氏名】増本 良澄
【審査官】 鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−130111(JP,A)
【文献】 特開平03−239843(JP,A)
【文献】 特開昭61−024850(JP,A)
【文献】 実開平06−018744(JP,U)
【文献】 特開平10−184734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/12
F16H 1/28, 1/32
F16D 41/06, 41/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダンパー・ケース内から第1回転軸が引き出され前記ダンパー・ケース側と前記第1回転軸側との相対回転に対する制動トルクを生じさせるダンパー本体と、
前記ダンパー本体の前記第1回転軸に連結され前記制動トルクを増幅して第2回転軸に作用させる減速機構と、
前記ダンパー本体の第1回転軸前記減速機構との間に介設されたワンウェイ・クラッチと、
を備えたことを特徴とする回転ダンパー。
【請求項2】
請求項1記載の回転ダンパーであって、
前記減速機構は、前記第1回転軸周りに偏心回転する偏心板と、該偏心板と同心回転する遊星ギアと、該遊星ギアが噛み合うインターナル・ギアとを備え、
前記ワンウェイ・クラッチは、前記第1回転軸と前記偏心板との間に介設された、
ことを特徴とする回転ダンパー。
【請求項3】
請求項1記載の回転ダンパーであって、
前記減速機構は、前記第1回転軸周りに同心回転するサン・ギアと、該サン・ギアに径方向で間隔をあけて対向するインターナル・ギアと、前記サン・ギアとインターナル・ギアとに噛み合う遊星ギアとを備え、
前記ワンウェイ・クラッチは、前記第1回転軸と前記サン・ギアとの間に介設された、
ことを特徴とする回転ダンパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方向性の回転ダンパーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の回転ダンパーとしては、例えば特許文献1に記載のように、磁性体のケース内に磁気粘性流体を封入すると共に磁性体の回転板を相対回転自在に収容し、電磁コイルの通電により、ケース及び回転板間で磁気粘性流体による制動トルクを生じさせるものがある。
【0003】
この回転ダンパーは、電磁コイルの通電制御によって制動トルクをオンオフできるので、一方向性の回転ダンパーとすることが可能となる。
【0004】
しかし、実際は、残留磁気等の影響、磁気粘性流体の形成されたクラスターの維持、磁気粘性流体自体の抵抗等により、電磁コイルを通電していないときにも制動トルクが生じることがあり、一方向性の回転ダンパーとしては不十分であった。このことは、より大きい制動トルクを得ようとする場合に顕著になる。
【0005】
一方、回転ダンパーとしては、粘性オイルに接する内側ロータとその中空内部に設けられた内外回転軸との間に一方向クラッチ機構を備えたものがある。
【0006】
この回転ダンパーでは、一方向に回転するときにのみ、内外回転軸と内側ロータとが連動して、粘性オイルによる制動トルクを内外回転軸に作用させることができる。
【0007】
しかし、かかる回転ダンパーでは、より大きい制動トルクを得ようとする場合に、クラッチ機構を含めて全体が大型化されるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2014−20539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題点は、より大きい制動トルクを得ようとする場合に、一方向性の回転ダンパーとしての機能を十分に発揮しつつ大型化を抑制することができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、より大きい制動トルクを得ようとする場合でも一方向性の回転ダンパーとしての機能を十分に発揮しつつ大型化を抑制可能とするために、ダンパー・ケース内から第1回転軸が引き出され前記ダンパー・ケース側と前記第1回転軸側との相対回転に対する制動トルクを生じさせるダンパー本体と、前記ダンパー本体の前記第1回転軸に連結され前記制動トルクを増幅して第2回転軸に作用させる減速機構と、前記ダンパー本体の第1回転軸前記減速機構との間に介設されたワンウェイ・クラッチと、を備えた回転ダンパーを最も主な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の回転ダンパーは、大型化を抑制しながら減速機構のギア比に応じてより大きい制動トルクを得ることができると共に、ワンウェイ・クラッチによって一方向性の回転ダンパーとしての機能を十分に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】回転ダンパーの断面図である。(実施例1)
図2図1のII−II線に係る断面図である。(実施例1)
図3】回転ダンパーの断面図である。(実施例2)
図4図3のIV−IV線に係る断面図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0013】
より大きい制動トルクを得ようとする場合でも一方向性の回転ダンパーとしての機能を十分に発揮しつつ大型化を抑制可能とするという目的を、ダンパー本体に対して減速機構を設けると共にダンパー本体の第1回転軸から減速機構の第2回転軸までの制動トルクの伝達経路にワンウェイ・クラッチを設けた回転ダンパーによって実現した。
【0014】
すなわち、回転ダンパーは、ダンパー・ケース内から第1回転軸が引き出され前記ダンパー・ケース側と前記第1回転軸側との相対回転に対する制動トルクを生じさせるダンパー本体と、前記ダンパー本体の前記第1回転軸に連結され前記制動トルクを増幅して第2回転軸に作用させる減速機構と、前記ダンパー本体の第1回転軸から前記減速機構の第2回転軸までの前記制動トルクの伝達経路に介設されたワンウェイ・クラッチと、を備えている。
【0015】
減速機構は、第1回転軸周りに偏心回転する偏心板と、この偏心板と同心回転する遊星ギアと、この遊星ギアが噛み合うインターナル・ギアとを備え、ワンウェイ・クラッチは、第1回転軸と偏心板との間に介設されていてもよい。
【0016】
減速機構は、第1回転軸周りに同心回転するサン・ギアと、該サン・ギアに径方向で間隔をあけて対向するインターナル・ギアと、サン・ギアとインターナル・ギアとに噛み合う遊星ギアとを備え、ワンウェイ・クラッチは、第1回転軸とサン・ギアとの間に介設されてもよい。
【実施例1】
【0017】
[回転ダンパーの構造]
図1は、回転ダンパーの断面図、図2は、図1のII−II線に係る断面図である。
【0018】
本実施例の回転ダンパー1は、ダンパー本体3と、減速機構としての遊星ギア機構5と、ダンパー本体3と遊星ギア機構5との間のワンウェイ・クラッチ7とを備える。なお、減速機構は、遊星ギア機構に限られず、例えば、ウォーム減速機構やべべルギア減速機構等の他の減速機構を用いることも可能である。
【0019】
ダンパー本体3は、ダンパー・ケース9内から第1回転軸11が引き出されて形成され、ダンパー・ケース9側と第1回転軸11側との相対回転に対する制動トルクを生じさせる。本実施例のダンパー本体3は、磁気粘性流体や磁性流体等の磁力によって剪断抵抗を変化させる機能性流体を内部に封入しており、配線15を介した図示しない電磁コイルの通電により制動トルクを生じさせることが可能となっている。
【0020】
このため、電磁コイルの通電制御により、回転ダンパー1に一方向性を持たせることができる。ただし、電磁コイルの通電制御のみでは、上記のように、残留磁気等の影響、磁気粘性流体のクラスターの維持、磁気粘性流体自体の粘性等により、電磁コイルを通電していないときにも制動トルクが生じることがあり、一方向性が不十分となっている。
【0021】
なお、ダンパー本体3は、機能性流体に代えてシリコンオイル等の粘性オイルを封入してもよい。この場合は、ダンパー・ケース9側と第1回転軸11側との相対回転時に、常時制動トルクを生じさせるようになる。
【0022】
ダンパー・ケース9及び第1回転軸11の構成は、ダンパー・ケース9から第1回転軸11が引き出されて、ダンパー・ケース9側と第1回転軸11側との相対回転が可能であれば、特に限定されるものではない。本実施例では、ダンパー・ケース9が円筒形状に形成されている。ダンパー・ケース9の回転軸心方向の遊星ギア機構5側には、第1回転軸11を引き出すための開口部9aを備えている。第1回転軸11は、ダンパー・ケース9の開口部9aを挿通して先端部がダンパー・ケース9外に突出している。第1回転軸11とダンパー・ケース9の開口部9aとの間には、ベアリング13が配置されている。
【0023】
遊星ギア機構5は、ギア・ケース17と、ギア・ケース17内の機構部19と、ギア・ケース17から突出する第2回転軸21とを備え、ダンパー本体3で発生した制動トルクをギア比に応じて増幅し第2回転軸21に作用可能とする。従って、遊星ギア機構5は、ギア比に応じてより大きい制動トルクを得ること可能にする。
【0024】
ギア・ケース17は、ダンパー本体3のダンパー・ケース9に結合されるケース本体部23と、このケース本体部23に取り付けられるカバー部25とで構成されている。
【0025】
ケース本体部23は、径の異なる筒部23a及び23bを回転軸心方向に結合した形状となっている。ケース本体部23のダンパー本体3側は、端壁部23cが設けられ、端壁部23cがダンパー本体3のダンパー・ケース9にボルト等の締結具によって締結される。端壁部23cの軸心部には、開口部23dが設けられている。開口部23d内には、ダンパー本体3のダンパー・ケース9の環状突起9bが入り込んで嵌合している。
【0026】
カバー部25は、回転軸心方向のダンパー本体3に対する反対側でケース本体部23にねじ込みによって取り付けられている。具体的には、カバー部25の雄ねじ部25aが、ケース本体部23の筒部23bの内周に設けられた雌ねじ部23eに螺合している。カバー部25の軸心部には、第2回転軸21を支持するための中空筒状のボス部25bが設けられている。
【0027】
機構部19は、偏心板27と、遊星ギア29と、インターナル・ギア31とを備えている。
【0028】
偏心板27は、ワンウェイ・クラッチ7を介して第1回転軸11に連結されている。従って、偏心板27は、第1回転軸11に一方向へ連動回転し、他方向へ空転することで、回転ダンパー1の一方向性を確保する。なお、ワンウェイ・クラッチ7については後述する。
【0029】
偏心板27は、第1回転軸11の軸心周りに偏心状態で回転(偏心回転)するようになっている。本実施例において、偏心板27は、円板状であり、第1回転軸11への連結が中心を外れた偏心位置で行われている。
【0030】
具体的には、偏心板27に貫通孔27aが形成され、この貫通孔27aを第1回転軸11が貫通している。偏心板27は、回転軸心方向のダンパー本体3側において、ダンパー本体3の環状突起9bに摺動部材33を介して突き当てられて位置決められている。摺動部材33は、非磁性体のリングにより形成され、ギア・ケース17の開口部23dの内周面に支持されている。
【0031】
ダンパー本体3に対する反対側においては、第1回転軸11の先端に取り付けられた抜け止め用のリング35によって偏心板27が位置決められている。
【0032】
貫通孔27aの内周には、径方向の凹部27bが形成されている。この凹部27b内において、貫通孔27a(偏心板27)と第1回転軸11との間に、ワンウェイ・クラッチ7が配置される。
【0033】
偏心板27の外周部には、遊星ギア29の支持部27cが設けられている。支持部27cは、回転軸心方向において、内周側の貫通孔27aの凹部27bに対応した範囲にわたる凹形状となっている。これにより、支持部27cは、ダンパー本体3側にフランジ部27caが設けられている。
【0034】
遊星ギア29は、リング状のギアで、ベアリング37を介して偏心板27に同心回転するように連結されている。なお、図1及び図2において、ベアリング37は、メッシュにより示し、具体構成は、省略している。ベアリング37は、特に限定されるものではなく、遊星ギア29と偏心板27との間の相対回転を許容するものであればよい。
【0035】
遊星ギア29の内周は、ベアリング37を介して偏心板27の支持部27cに支持され、遊星ギア29の外周は、歯部29aがインターナル・ギア31に噛み合っている。インターナル・ギア31は、その歯部がギア・ケース17のケース本体部23の筒部23aの内周に一体的に形成されている。
【0036】
遊星ギア29の回転軸心方向のダンパー本体3側は、支持部27cのフランジ部27caに突き当てられ、ダンパー本体3に対する反対側は、外周に遊星キャリア39に一体回転するように結合されている。
【0037】
遊星キャリア39は、遊星ギア29と第2回転軸21との間でオルダム・カップリング状に形成されており、図2のXY面内を変位することで遊星ギア29の偏芯を吸収する。
【0038】
具体的には、遊星キャリア39は、円板状に形成されて、回転軸心方向のダンパー本体3側に遊星ギア29から突出する結合突起29bが溝形状の結合部39aにスライド自在に係合している。なお、結合部39aは、内周側に第1回転軸11の先端を入れ込む凹部を有する。
【0039】
ダンパー本体3に対する反対側では、遊星キャリア39から突出する結合突起39bが第2回転軸21側の溝状の結合部21bにスライド自在に係合している。なお、図1において、結合部21bは、紙面に対する直交方向に伸び、同方向において結合突起39bをスライド可能としている。
【0040】
結果として、遊星キャリア39は、オルダム・カップリングのスライダーとして偏心板27の回転に伴って遊星ギア29と第2回転軸21との間で図2のXY面内で変位可能となっている。
【0041】
第2回転軸21は、その円盤状の基部21aが遊星キャリア39に取り付けられ、基部21aの軸心部からダンパー本体3に対する反対側に向けて突出している。第2回転軸21は、ボス部25bの内周を挿通して先端がボス部25bから外部に突出している。第2回転軸21とボス部25bとの間には、ベアリング41a及び41bが介設されている。
【0042】
上記ワンウェイ・クラッチ7は、回転ダンパー1の一方向性を確保するものであり、ダンパー本体3の第1回転軸11から遊星ギア機構5の第2回転軸21までの制動トルクの伝達経路に介設される。これにより、一方向への回転時にダンパー本体3の制動トルクを第2回転軸21に作用させることを可能とする。
【0043】
本実施例では、第1回転軸11、遊星ギア機構5の偏心板27、ベアリング37、遊星ギア29、遊星キャリア39及び第2回転軸21が伝達経路であり、ワンウェイ・クラッチ7をダンパー本体3の第1回転軸11と遊星ギア機構5の偏心板27との間に配置している。これにより、遊星ギア機構5によって制動トルクが増幅される前にワンウェイ・クラッチ7を位置させることができ、ワンウェイ・クラッチ7が受けるトルクを小さくして、ワンウェイ・クラッチ7の小型化や軽量化等を図ることが可能である。
【0044】
なお、ワンウェイ・クラッチ7は、伝達経路上に形成されればよく、例えば、遊星キャリア39と第2回転軸21との間や遊星ギア29と遊星キャリア39との間等に設けることも可能である。また、ワンウェイ・クラッチ7は、形成位置等に応じて、スプラグ式やカム式等の適宜のものを採用することができる。
【0045】
[回転ダンパーの動作]
回転ダンパー1は、例えばダンパー本体3を固定側に、遊星ギア機構5の第2回転軸21を可動側に連動するように連結する。
【0046】
そして、図示しない電磁コイルの通電により、機能性流体、例えば磁気粘性流体に分散されている強磁性体粒子がクラスタを形成し、ダンパー本体3のダンパー・ケース9と第1回転軸11との相対回転に対する制動トルクを生じさせる。かかる制動トルクは、第1回転軸11から遊星ギア機構5の偏心板27、ベアリング37、遊星ギア29、遊星キャリア39を介して第2回転軸21に作用する。このとき、制動トルクは、遊星ギア機構5のギア比に応じて増幅されることになる。
【0047】
このため、第2回転軸21に入力された可動側のトルクが増幅された制動トルクによって減衰され、可動側に緩やかな動作を行わせたり或は可動側をロックすることができる。
【0048】
一方、電磁コイルの通電を解除しても、一度形成されたクラスタが維持されること、残留磁気の影響、或は磁気粘性流体自体の粘性により、ダンパー本体3に制動トルクが生じる。
【0049】
これが、回転ダンパー1に一方向性を持たせる必要がある可動側の円滑な動作を妨げることになる。例えば、回転ダンパー1を歩行補助具に適用する場合には、可動側の動作を妨げ、ひいては被補助者の歩行を困難にする。本実施例のように制動トルクが増幅される場合には、可動側の円滑な動作の妨げが顕著になる。
【0050】
これに対し、本実施例では、ダンパー本体3の第1回転軸11から遊星ギア機構5の第2回転軸21までの制動トルクの伝達経路上、特にダンパー本体3と遊星ギア機構5との間にワンウェイ・クラッチ7が介設されているので、電磁コイルの通電解除時にダンパー本体3に制動トルクが生じていても、その制動トルクが第2回転軸21に作用することはなく、可動側の円滑な動作を可能とする。
【0051】
[実施例1の効果]
本実施例の回転ダンパー1は、ダンパー・ケース9内から第1回転軸11が引き出されダンパー・ケース9側と第1回転軸11側との相対回転に対する制動トルクを生じさせるダンパー本体3と、ダンパー本体3の第1回転軸11に連結され制動トルクを増幅して第2回転軸21に作用させる遊星ギア機構5と、ダンパー本体3の第1回転軸11から遊星ギア機構5の第2回転軸21までの制動トルクの伝達経路に介設されたワンウェイ・クラッチ7とを備えた。
【0052】
従って、回転ダンパー1は、ダンパー本体3の大型化を抑制しながら遊星ギア機構5のギア比に応じてより大きい制動トルクを得ることができると共に、ワンウェイ・クラッチ7によって一方向性の回転ダンパーとしての機能を十分に発揮することができる。
【0053】
また、本実施例では、遊星ギア機構5が、第1回転軸11周りに偏心回転する偏心板27と、この偏心板27と同心回転する遊星ギア29と、この遊星ギア29が噛み合うインターナル・ギア31とを備え、ワンウェイ・クラッチ7が、第1回転軸11と偏心板27との間に介設されている。
【0054】
このため、本実施例では、ワンウェイ・クラッチ7を制動トルクの増幅前に位置させることができ、ワンウェイ・クラッチ7の負荷を軽減して小型化、軽量化を図ることができる。
【0055】
また、本実施例の回転ダンパー1は、既存の回転ダンパーに対してワンウェイ・クラッチ7を介して遊星ギア機構5を取り付けることで構成することが可能である。
【実施例2】
【0056】
図3は、回転ダンパーの断面図、図4は、図3のIV−IV線に係る断面図である。なお、本実施例は、実施例1と基本構造が共通するため、対応する部分に同符号を付して、重複した説明を省略する。また、図4においては、カバー部25の記載を省略している。
【0057】
本実施例の回転ダンパー1は、遊星ギア機構5の構造を変更したものである。
【0058】
遊星ギア機構5のギア・ケース17は、ケース本体部23が単一の筒部23aによって形成されている。カバー部25は、外縁に設けられた雌ねじ部25Aaがケース本体部23の外周面に設けられた雄ねじ部23Aeに螺合している。
【0059】
かかるギア・ケース17内の機構部19は、サン・ギア43と、インターナル・ギア31と、一対の遊星ギア29とを備えている。
【0060】
サン・ギア43は、第1回転軸11の軸周りにワンウェイ・クラッチ7を介して取り付けられ、第1回転軸11と同心回転可能となっている。具体的には、サン・ギア43の回転軸心部に貫通孔43aが形成され、この貫通孔43aを第1回転軸11が貫通している。そして、サン・ギア43は、回転軸心方向のダンパー本体3側において、ダンパー本体3の環状突起9bに非磁性体のリング等からなる摺動部材45を介して突き当てられて位置決められている。ダンパー本体3に対する反対側においては、第1回転軸11の先端に取り付けられた抜け止め用のリング35によって位置決められている。
【0061】
貫通孔43aは、実施例1の偏心板27の貫通孔27aと同様に構成され、内周の凹部43b内において、第1回転軸11との間にワンウェイ・クラッチ7が配置される。
【0062】
インターナル・ギア31は、ギア・ケース17のケース本体部23の筒部23aの内周に一体に設けられ、サン・ギア43に径方向で対向配置されている。
【0063】
サン・ギア43とインターナル・ギア31との間に一対の遊星ギア47a,47bが介在している。
【0064】
遊星ギア47a,47bは、ピン39bを介して遊星キャリア39に軸周りに回転自在に支持されている。遊星キャリア39は、第2回転軸21に一体に設けられ、第2回転軸21を介してギア・ケース17に回転自在に支持されている。
【0065】
従って、本実施例では、遊星ギア機構5が、第1回転軸11周りに同心回転するサン・ギア43と、このサン・ギア43に径方向で間隔をあけて対向するインターナル・ギア31と、サン・ギア43とインターナル・ギア31とに噛み合う遊星ギア471,47bとを備えている。制動トルクの伝達経路は、第1回転軸11、遊星ギア機構5のサン・ギア43、遊星ギア47a及び47b、遊星キャリア39、並びに第2回転軸21が伝達経路であり、ワンウェイ・クラッチ7は、第1回転軸11とサン・ギア43との間に介設された構成となっている。
【0066】
かかる本実施例の回転ダンパー1でも、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 回転ダンパー
3 ダンパー本体
5 遊星ギア機構(減速機構)
7 ワンウェイ・クラッチ
11 第1回転軸
21 第2回転軸
29,47a,47b 遊星ギア
31 インターナル・ギア
39 遊星キャリア
43 サン・ギア
図1
図2
図3
図4