【実施例1】
【0010】
(半導体装置)
図1(a)は実施例1に係る半導体装置100を例示する平面図である。
図1(a)に示すように、半導体装置100は、基板10、ゲートパッド12、ゲートフィンガー13、ソースパッド14、ソースフィンガー15、ドレインパッド16およびドレインフィンガー17を有する電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)である。基板10は、炭化珪素(SiC)の絶縁基板11および半導体層19を含む半導体基板である。半導体層19には窒化ガリウム(GaN)のチャネル層、および窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)の電子供給層などが形成されている。
【0011】
各パッドおよび各フィンガーは基板10の上面に設けられている。ゲートフィンガー13はゲートパッド12から延伸する。ソースフィンガー15はソースパッド14から延伸する。ドレインフィンガー17はドレインパッド16から延伸する。ソースフィンガー15、ドレインフィンガー17およびゲートフィンガー13は順に並んでいる。ソースパッド14、ソースフィンガー15、ドレインパッド16およびドレインフィンガー17は、例えばチタン(Ti)層とアルミニウム(Al)層とを積層したオーミック電極、およびその上のAuの配線層などで形成されている。ゲートパッド12およびゲートフィンガー13は、例えばニッケル(Ni)層、パラジウム(Pd)層、およびAu層などを積層したものである。
【0012】
図1(b)は
図1(a)の線A−Aに沿った断面図であり、実装基板30に実装された状態を示している。
図1(a)および
図1(b)に示すように、基板10には、基板10を上面から下面にかけて貫通するビアホール10aが設けられている。ソースパッド14はビアホール10aと重なっており、ビア受けパッドとして機能する。
【0013】
図1(b)に示すように、基板10の下面には金属層20(第1金属層)およびメッキ層22が設けられている。金属層20は基板10の表面(
図1(b)では下面)からビアホール10aの内壁にわたり連続して設けられ、ソースパッド14の下面に接触している。メッキ層22には基準電位(例えばグランド電位)が供給される。メッキ層22は後述のように金属層20を用いたメッキ処理により形成され、ビアホール10aの内側から外側にわたって、金属層20の表面に設けられている。金属層24(第2金属層)は、ビアホール10aの内側から外側にわたって、メッキ層22の表面に設けられている。基板10の表面が広がる方向において、メッキ層22は金属層24よりも大きく延伸し、金属層20はメッキ層22よりも大きく延伸する。
【0014】
金属層20は、例えば基板10に近い方から厚さ50〜200nmのニッケル−クロム合金(Ni−Cr)層と厚さ50〜200nmの金(Au)層とを積層したものである(Ni−Cr/Au)。メッキ層22は例えばAuなどの金属で形成されている。金属層24は例えばNi−Crなどの金属で形成されている。金属層20およびメッキ層22の表面は、金属層24に比べロウ材に対する濡れ性が高い。メッキ層22の厚さは例えば5〜10μm、金属層24の厚さは例えば10〜50nmである。
【0015】
図1(b)に示すように、半導体装置100は、ロウ材32を用いて、実装基板30に搭載することができる。ロウ材32は、例えば金錫を含む合金(Au−Sn)または銀(Ag)などの金属により形成されている。ロウ材32は金属層20、金属層24およびメッキ層22に接触する。ロウ材32は金属層24に対する濡れ性が悪いため、ビアホール10aの内部には侵入しにくく、内部に充填されない。
【0016】
(半導体装置の製造方法)
図2(a)から
図7(c)は半導体装置100の製造方法を例示する断面図である。
図2(a)に示すように、例えば蒸着法およびリフトオフ法などにより、基板10の一方の面にソースパッド14を形成し、さらに
図2(a)では不図示のゲートパッド、ドレインパッドおよびフィンガーなどを形成する。ワックス42を用いて、基板10をガラスの支持基板40に貼り付ける。基板10はウェハ状態である。
図2(b)に示すように、上から絶縁基板11を研削し、厚さを例えば100μmとする。
図2(c)に示すように、例えばスパッタリング法により、基板10の表面(第1面)から支持基板40の表面にかけて、例えばNi−Cr/Auの金属層44を形成する。
【0017】
図3(a)に示すように、レジストパターニングにより、金属層44の表面であって、ソースパッド14と重なる位置にフォトレジスト46を形成する。
図3(b)に示すように、金属層44を給電線に用いたメッキ処理により、Auのメタルマスク48を形成する。
図3(c)に示すように、フォトレジスト46を除去する。
【0018】
図4(a)に示すように、メタルマスク48をマスクとするエッチング処理により、金属層44および基板10のうち、ソースパッド14と重なる部分を除去する。これにより、基板10に、ソースパッド14まで達するビアホール10aが形成される。
図4(b)に示すように、エッチング処理により金属層44およびメタルマスク48を除去する。
図4(c)に示すように、例えばスパッタリング法により、基板10の表面の全面にNi−Cr/Auの金属層20を形成する。金属層20中のNi−Cr層およびAu層それぞれの厚さは例えば200nmである。金属層20は、支持基板40の表面、基板10の表面(第1面)、ビアホール10aの内壁およびソースパッド14の表面にかけて連続的に形成される。
【0019】
図5(a)に示すように、レジストパターニングを行い、フォトレジスト50を形成する。フォトレジスト50は基板10の周縁部およびスクライブライン10bに設けられる。
図5(b)に示すように、金属層20をシードメタルとして用いたメッキ処理により、Auのメッキ層22を形成する。メッキ層22は金属層20上のフォトレジスト50のある領域には形成されず、フォトレジスト50のない領域に形成される。
図5(c)に示すようにフォトレジスト50を除去する。基板10のうちスクライブライン10bにメッキ層22は形成されず、金属層20が露出する。
【0020】
図6(a)に示すように、例えばスパッタリング法により、金属層20の表面に例えば厚さ40nmのNi−Crの金属層24を形成する。金属層24は支持基板40の表面、基板10の表面、ビアホール10aの内壁およびソースパッド14の表面にかけて連続的に形成される。スクライブライン10bにおいて、金属層24は金属層20を覆う。
図6(b)に示すように、ビアホール10a内にフォトレジスト52を形成する。
図6(c)に示すように、例えばヨウ素系エッチング液を用いてエッチング処理を行うことにより、金属層20が残存するように、フォトレジスト52から露出する金属層24を除去する。金属層20と金属層24とは、ヨウ素系エッチング液(ヨウ化カリウム水溶液にヨウ素を溶解させた液を指す)を用いているため、何れもエッチングされてしまう。スクライブライン10bはダイシングされるため、金属層20を残存させる必要がない。しかし、実施例1においては、わざわざ金属層20を残存させるように、金属層24をエッチングする。後述するが、金属層20をスクライブライン10b残存させることで、ロウ材32との接合強度を高めることができるからである。なお、スクライブライン10b以外の領域である、ビアホール10a内およびその周辺において、金属層24は残存する。金属層20と金属層24は、それぞれ上記以外の材料として、次の材料、およびエッチング液(またはエッチングガス)を用いることもできる。例えば、金属層20がNi−Cr/Cu、金属層24がNi−Crの場合には、塩化第2鉄(FeCl
3)のエッチング液を用いることができる。さらに、金属層20がNi−Cr/Cuで金属層24がTiの場合、および金属層20がNi−Cr/Auで金属層24がTiの場合には、アルゴンガスによるミリングやフッ素系ガスを用いることもできる。また、金属層20は、スパッタリング法以外にも蒸着・リフトオフ法により形成することもできる。
【0021】
図7(a)に示すようにフォトレジスト52を除去する。
図7(b)に示すように、例えば100〜200℃の高温で熱処理を行い、基板10を支持基板40から剥離する。剥離の後、基板10を有機溶剤などで洗浄する。
図7(c)に示すように、基板10のメッキ層22が設けられた側の面をテープ54に貼り付ける。その後、ダイシング処理を行い、
図7(c)に矢印で示すようにスクライブライン10bにおいて基板10を切断する。これにより半導体装置100が形成される。スクライブライン10bの幅W1は、ダイシングで切断される幅W2より大きいため、金属層20は基板10の周縁部に残存する。すなわち基板10の表面には、周辺部から中央部にかけて、金属層20、メッキ層22および金属層24がそれぞれ露出する。例えば
図1(b)に示したように、半導体装置100の下面を溶融したロウ材32に接触させると、Au−Snのロウ材32は金属層20およびメッキ層22に濡れ広がる。ロウ材32を固化することで、実装基板30に実装することができる。
【0022】
(比較例)
図8(a)および
図8(b)は比較例に係る半導体装置100Rの製造方法を例示する断面図である。実施例1と同じ構成については説明を省略する。
図8(a)に示すように、エッチング処理により、金属層24とともに金属層20も除去する。スクライブライン10b上に金属層20は残存しない。
図8(b)に示すようにダイシング処理を行う。基板10の外周部には金属層20は残存せず、基板10の表面が露出する。
【0023】
図9は半導体装置100Rを例示する断面図であり、実装基板30に実装した状態を示している。基板10および金属層24はメッキ層22に比べて、ロウ材32への濡れ性が低い。このため、
図9に示すように、ロウ材32はメッキ層22に濡れ広がるが、基板10および金属層24には濡れ広がりにくい。したがってロウ材32は半導体装置100Rの外周部には接触しない。このように濡れ性の異なる面が多いと、ロウ材32との接合が不安定になり、半導体装置100Rのロウ材32との接合強度が低下する。比較例のように、エッチング処理により金属層24とともに金属層20をスクライブライン10bから除去することがある。これによりダイシング後に基板10が露出し、ロウ材32との濡れ性が悪化してしまう。
【0024】
これに対し実施例1によれば、
図6(b)に示したように、エッチング処理によりスクライブライン10bから金属層24を除去するが、金属層20は残存させる。このため、
図7(c)に示したように、ダイシング後の基板10の外周部に金属層20が露出する。金属層20およびメッキ層22のロウ材32に対する濡れ性は金属層24に比べて高い。実施例1によれば、半導体装置100の表面に濡れ性の高い部分が多くなるため、ロウ材32は金属層20およびメッキ層22に濡れ広がり、
図1(b)のようにロウ材32は金属層20およびメッキ層22に接合する。この結果、実施例1によれば、接合が安定し、接合強度が向上する。すなわち基板10と実装基板30との間の剥離を抑制することができる。
【0025】
エッチング処理において、スクライブライン10bから金属層24を除去し、かつ金属層20を残存させるため、金属層20は金属層24に対してエッチング選択性を有することが好ましい。例えば金属層20の表面はAu、金属層24はNi−Cr、エッチャントは例えば塩酸とすることで、金属層20と金属層24とのエッチング選択比が大きくなり、金属層20を残存させることができる。
【0026】
図1(b)に示すように、基板10にはビアホール10aが形成され、ビアホールの内側から基板10の表面にかけて金属層20、メッキ層22および金属層24が形成される。金属層24のロウ材32への濡れ性は、金属層20およびメッキ層22に比べて低いため、溶融したロウ材32がビアホール10aの内側に入りにくい。例えばビアホール10a内にロウ材32が入り込み固化すると、熱膨張係数の違いに起因して、メッキ層22などにクラックが発生する恐れがある。実施例1によれば、金属層24によりロウ材32のビアホール10a内への侵入を抑制することができる。このためロウ材32が固化してもクラックは抑制される。
【0027】
金属層20、メッキ層22および金属層24はソースパッド14、ビアホール10aの内壁および基板10の下面に連続的に形成される。このため金属層24によりロウ材32の侵入を抑制し、かつ金属層20およびメッキ層22によりロウ材32との強固な接合をすることができる。また、金属層24はビアホール10a内へのロウ材32の侵入抑制以外の目的を有してもよい。
【0028】
ダイシング処理後、基板10の周縁部には金属層20が残存する。これによりロウ材32は基板10の周縁部において金属層20と接合する。したがって接合強度が向上する。
図7(c)に示すように、スクライブライン10bの幅W1は、ダイシングで切断される幅W2より大きいことにより、金属層20を残存させることができる。
【0029】
金属層20はNiを含み、金属層24はNiまたはTiを含むものとすることができる。材料が互いに異なり、かつエッチング選択性を有するため、金属層24を除去し、金属層20を残存させることができる。
【0030】
金属層20の表面およびメッキ層22は同じ材料を含むことが好ましく、例えばAuなど濡れ性の高い材料とすることで接合がより安定する。また、例えば金属層20はAuを含み、金属層24はNi−Crで形成することができる。金属層20およびメッキ層22はAu以外に例えばCuで形成してもよい。金属層24は例えばTiで形成してもよい。
【0031】
金属層20の露出面の面積は、基板10の下面の面積の10%以上を占めることが好ましく、例えば15%以上、20%以上などを占めてもよい。これによりロウ材32との接合強度を高めることができる。また、基板10上に形成される半導体装置の収集率を考慮すると、金属層20の露出面積は30%以下が好ましい。
【0032】
基板10の半導体層19には、例えば窒化物半導体を含むFETなどが形成されている。窒化物半導体とは、窒素(N)を含む半導体であり、例えば窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)、窒化インジウム(InN)、および窒化アルミニウムインジウムガリウム(AlInGaN)などがある。基板10は、窒化物半導体以外に、例えば砒素系半導体などの化合物半導体を含んでもよい。砒素系半導体とはガリウム砒素(GaAs)など砒素(As)を含む半導体である。またFET以外のトランジスタなどが形成されていてもよい。基板10の絶縁基板11はSiC、シリコン(Si)またはサファイアなどで形成される。半導体装置100は例えば増幅器として機能するが、他の機能を有してもよい。
【0033】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。