【実施例】
【0039】
図8から
図10に、本発明の実施例にかかる異形ブロックの反転装置の構成を示す。反転装置1は、ブロックBを載置する反転台2と、反転台2の内側に設けられ
上下方向に移動可能に構成された昇降テーブル3と、昇降テーブル3を移動させる駆動機構4とを備える。
る。
【0040】
反転台2は、反転装置の載置面である台船100の甲板に据え付けるベースユニット5と、ベースユニット5の上方に設けられる載置台ユニット6とで構成される。ベースユニット5と載置台ユニット6とは、本発明の反転台に相当する。
【0041】
ベースユニット5は、長方形形状の底板7と、底板7の上面に設けられた載置ユニット取付部8とを備える。左右一組の載置ユニット取付部8の間には隙間が設けられており、後述するように退避領域70として機能する。当該載置ユニット取付部8の間には昇降テーブル3が配置される。
【0042】
底板7の上面には、中央支持転倒支柱30と補助上昇シリンダ31とが設けられている。中央支持転倒支柱30と補助上昇シリンダ31についての詳細は後述する。
【0043】
中央支持転倒支柱30は、
図9、
図10に示すように、底板の左右方向中央部分に傾倒可能に設けられた前後方向に並列された1対の支柱部材30aと、支柱部材30aを回動させるためのシリンダ30bとを備えている。
【0044】
支柱部材30aは、底板7に設けられた軸受部30cに回動可能に連結されており、シリンダ30bによって、ほぼ鉛直方向に起立した起立位置と略水平方向にまで傾倒した傾倒位置との間を矢印97に示すように移動する。
【0045】
補助上昇シリンダ31は、底板7の2箇所に起立した状態に設けられ、ピストンを上下移動させることができるように構成されている。補助上昇シリンダ31は、後述するように昇降テーブル3が下側から上昇する場合に、昇降テーブル3を下側から持ち上げる。
【0046】
載置ユニット取付部8は、載置
台ユニット6の異形ブロックBの載置位置を高くするために設けられる台であり、異形ブロックBを支持できる強度を有するものであれば特にその構造は限定されない。
【0047】
載置台ユニット6は、載置レール9と載置台10a,10bと油圧シリンダ11を備え、載置ユニット取付部8の上方に固定されている。載置レール9と載置台10a,10bは、ほぼ同じ高さレベルを有しており、後述するように異形ブロックBの脚を下側から受けるものである。載置レール9と載置台10aは、本発明の載置部に、また、載置レール9と載置台10bは本発明の支持部にそれぞれ相当する。
【0048】
載置レール9は、断面円形に構成された直線状のレール9aとレール9aから下側に伸びる取付脚9bを有しており、所定の離間距離をおいて互いに平行となるように前後の載置ユニット取付部8の互いに近接位置に配置されている。レール9aの上面には、ブロックBとの摩擦抵抗を大きくするためにゴムライニングなどを施してもよい。
【0049】
また、レール9aは、中央部分にレールの軸を回転軸とするローラー9cを備えている。ローラー9cは、後述する蝶々位への反転時に用いられるものであり、異形ブロックBの脚を支持する。
【0050】
載置レール9の下端に設けられた支持脚9bは、
図10に示すように断面L字状に構成され、コーナー部分が載置ユニット取付部8の上面に揺動可能にヒンジ結合されている。支持脚9bの上方位置には、油圧シリンダ11が連結されている。油圧シリンダ11は、載置台10a,10bのフレームと連結しており、油圧シリンダ11の伸縮に伴い、
図10に破線で示すように載置レール9の傾斜角度を変化させることができる。これにより、載置レール9の傾斜角度に応じてレール9aの離間距離が変化する。
【0051】
また、支持脚9bは、油圧シリンダ11による傾斜角度を維持するために、載置ユニット取付部8の上面に設けられた固定部8aと係合して、傾斜角度を固定することができる。
【0052】
前後の載置台10a,10bは、載置レール9の外側、すなわち、退避領域70に対して反対側に設けられ、
図8に示すように、一方側(
図8では図示上側に位置する載置台10a)の奥行き寸法が大きくなるように構成されている。奥行き寸法が大きい載置台10aは、後述する正位から蝶々位への反転時において異形ブロックBの脚を載置支持可能な寸法に構成されればよく、
図8では、ローラー9cの外側に位置する中央部分10cの奥行き寸法が大きく構成されている。
【0053】
油圧シリンダ11は、前後1組の載置台ユニット6にそれぞれ2つずつ接続され、前後の載置台ユニット6に設けられたそれぞれの油圧シリンダ11は同期して動作するように構成され、前後1組載置台ユニット6の載置レールは、装置の中心線に対して常に平行を維持したまま揺動する。また、
【0054】
昇降テーブル3は、反転台2のベースユニット5の間に形成された退避領域70内に配置されており、反転装置の幅方向両端に設けられた駆動機構4、4によって両持ち支持されている。昇降テーブル3は、略直方体形状の天板12と、天板12の幅方向両端側に設けられ、駆動機構4、4に取り付けられて案内される取付部13を備える。
【0055】
天板12は、幅方向に伸びる2本のスライドレール14が上面に設けられており、スライドレール14に可動受台15と固定受台16が設けられている。可動受台15は、底面側に配置されたローラー15aによって、スライドレール14に沿って自由に移動可能に設けられており、固定受台16は、スライドレール14における取り付け位置を変更可能であるが、自由移動はできないようになっている。
【0056】
可動受台15は、
図12に示すように、底板部15bの底面に設けられたローラー15aによって、矢印90に示すようにスライドレール14上を摺動自在に配置される。ローラー15a
は、スライドレール14の延在方向に対し直行する回転軸15d周りに自由回転可能になっており、スライドレール14に沿って自由移動可能となっている。底板部15bは、中央部分が凹状に設けられた断面V字状の板状部材であり、上面に平面視円形状の包囲壁15cが設けられている。包囲壁15cは、底板部15b上に載置された異形ブロックBの脚の先端を包囲する。なお、可動受台15のストッパー17が天板12に設けられている。ストッパー17は、その取り付け位置を変更可能に構成されており、可動受台15は、ストッパー17と固定受台16との間で移動可能となっている。
【0057】
固定受台16は、
図13に示すように、中央部分が凹状に設けられた断面V字状の底板部16aであり、後述する蝶々位への反転時において異形ブロックBの脚の先端が載置される。
【0058】
取付部13は、天板12の左右両側に設けられており、天板12前後方向端部から左右方向に伸びフレーム18に複数のローラー20,21が設けられ、駆動機構4、4と連結してスムーズに上下移動できるようになっている。
【0059】
駆動機構4、4は、昇降テーブル3の幅方向両端側に設けられ、昇降テーブル3を上下方向の任意の高さ方向位置に移動させ、また、任意の位置において異形ブロックBの荷重を受けた昇降テーブル3の位置を維持するものである。左右の駆動機構4は、それぞれ独立して動作可能であり、いずれも同様の構成を有しているため、
図14において、図示左側の駆動機構4を例にとってその構造を説明する。
【0060】
駆動機構4、4は、ベースユニット5の底板7に固定されたフレーム22に、鉛直方向に伸びるガイドレール23が設けられている。フレーム22には、昇降テーブル3を昇降させるための駆動モータ24が設けられ、その回転軸25に設けられた1組の巻き取りリール26に巻き取られたワイヤWによって、
図9の矢印91a,91bに示すように、それぞれが支持する昇降テーブル3の取付部13を昇降させる。なお、それぞれの駆動機構4、4の昇降幅や昇降速度については、通常は同期するように動作させることが好ましいが、後述するように昇降テーブル3を傾斜させるために左右で異ならせて挙動させることも可能である。
【0061】
ワイヤWは、フレーム22の上端に位置する案内ローラー27,28に案内され、案内ローラー28の下方位置に吊り下げられた可動ローラー29に巻き回される。案内ローラー28及び可動ローラー29は、昇降テーブル3に載置される異形ブロックBを支持できるように同じ回転軸を有する複数のローラーで構成されている。
【0062】
可動ローラー29は、昇降テーブルの取付部13のフレーム18に設けられた接続部19と連結する。接続部19と可動ローラー29は、後述するように前後方向に伸びる支持軸19aにより接続され、可動ローラー29は昇降テーブル3に対して角度変更可能となっている。
【0063】
取付部13のフレーム18に設けられた各種ローラー20,21は、ガイドレール23の前後方向及び左右方向の端面23a,23bに当接するように配置される。なお、ガイドレールの左右方向の端面23bに当接するローラー21は、後述するように昇降テーブル3を傾斜可能とするために、
図14に示すように、ガイドレールの端面23bとの間にわずかに隙間21aが設けられている。
【0064】
昇降テーブル3は、モータ24により巻き取りリール26を回転させ、ワイヤWの巻取り又は繰り出しにより、昇降できるようになっている。昇降テーブル3は、可動受台15が載置台ユニット6の載置レール9及び載置台10a,10bと略同じ高さに位置する上側位置と、載置レール9及び載置台10a,10bより低位に位置する下側位置との間の任意の位置に移動可能である。
【0065】
上側位置では、少なくとも一方の載置レール9及び載置台10a,10bと昇降テーブル3の上面とで異形ブロックBの3つの脚を下持ちし、ブロックBを正位に配置することができるようになっている。
【0066】
また、下側位置では、昇降テーブル3に載置された異形ブロックBの脚が退避領域70に収容されることにより、反転位又は蝶々位に配置されることになる。下側位置において、異形ブロックBの反転位又は蝶々位への反転は、後述するように、正位において、3つの異形ブロックの脚の配置位置によって決定される。
【0067】
また、反転時には、昇降テーブル3は、異形ブロックBのサイズ及び反転位又は蝶々位の各位置に対応した脚の鉛直方向成分の長さに応じて、昇降テーブル3の下降幅を決定すればよい。
【0068】
本実施例にかかる反転装置1は異形ブロックBの反転を行うにあたり、次のようにして使用する。
図15は、異形ブロックを正位から反転位へ反転させる場合に、反転装置へ異形ブロックを載置した状態を示す模式図であり、
図16は、異形ブロックを正位から蝶々位へ反転させる場合に、反転装置へ異形ブロックを載置した状態を示す模式図である。
図15及び
図16とも、(a)は平面側から見た図、(b)は側面側から見た図となっている。
【0069】
以下、ブロックBの3次元空間内での位置を明確にするために、
図15,
図16において、異形ブロックの鉛直方向に伸びる脚(第1の脚)をL1とし、正位において着床する三本の脚を第2の脚L2、第3の脚L3、第4の脚L4として、それぞれ符号を付す。また、以下の説明において、平面上で安定し台船100上で保管されている配置姿勢である正位が第1姿勢に、反転位及び蝶々位が第2姿勢にそれぞれ相当する。
【0070】
異形ブロックBは、中心から放射状に4本の脚が伸びる形状をしたテトラポッド(商品名)であり、正位で台船100に載置されている。クランプ装置111は、台船100から正位のブロックBを吊り上げる。
【0071】
なお、載置レール9は、異形ブロックBのサイズに応じて離間距離が事前に調整されており、クランプ装置の挟持アームが挿入できるように、脚の根本部分から所定の隙間が形成されている。
【0072】
異形ブロックBは、
図15に示すように、反転位に反転させる場合には、第2の脚L2が昇降テーブル3の可動受台15に、第3の脚L3が図示上側の載置レール9及び載置台10aに、第4の脚L4が図示下側の載置レール9及び載置台10bに支持されるように、旋回方向が決定された後、載置される。
【0073】
また、
図16に示すように、蝶々に反転させる場合には、第2の脚L2が昇降テーブル3の可動受台15に、第3の脚L3が図示上側の載置レール9及び載置台10aに、第4の脚L4が第2の脚L2が昇降テーブル3の固定受台16に支持されるように載置される。すなわち、蝶々位に反転させる場合には、反転位に反転する場合に比べて30度旋回した状態に配置される。このとき、第3の脚L3は、載置レール9のローラー9c及び載置台10aの中央部分10cに載置することが好ましい。また、可動受台15と固定受台16との距離は、異形ブロックBの大きさに応じて位置を調整することが好ましい。
【0074】
なお、正位における昇降テーブル3の可動受台15は、異形ブロックBの大きさに合わせて、その位置を調整することができる。なお、可動受台15の移動は、左右の駆動機構のワイヤW巻き取り量を異ならせることにより、昇降テーブル3を傾斜させることで行なうことができる。例えば、可動受台15をストッパー17に当接させた原点位置に移動させる場合には、ストッパー17と離れた図示右側の側駆動機構4のワイヤWを左側のストッパー17側の駆動機構よりも巻き取り量を多くし、昇降テーブル13を固定受台16側が上側となるように傾斜させて、可動受台15を原点位置側にスライドさせることで行なうことができる。
【0075】
中央支持転倒支柱30は、特に重たい異形ブロックBを載置するとき、ブロック自身の重量、クランプ装置111の重量及び載置時の衝撃により過大な垂直荷重が昇降テーブル3や駆動機構4の巻き取りリール26に掛かる。この垂直荷重を中央支持転倒支柱30で支持することで駆動機構4への負荷及び昇降テーブル3のたわみを防止する。通常はシリンダ30bが伸びて支柱部材30aは傾倒位置に収納されており、使用時にシリンダ30bを縮ませ支柱部材30aを起立位置に引き起こし、昇降テーブル3の中央を下側から支持する。なお、支柱部材30aを駆動するシリンダ30bには載置時の荷重はかからないため支柱部材30aを引き起こせる程度の出力があればよい。反転動作時は支柱部材30aは傾倒位置に移動させる。
【0076】
異形ブロックBが載置された後、駆動モータ24を動作させて昇降テーブル3を矢印91に示すように下降させる。この昇降テーブル3の下降に伴い載置テーブル3上に配置された脚が退避領域70内に収容され、反転位又は蝶々位への反転が行われる。
【0077】
図15に示す正位から反転位への反転は、
図9及び
図17の矢印91に示すように、昇降テーブル3の下降に伴い、第2の脚L2が矢印92に示すように下降する。
【0078】
第2の脚L2の下降に伴い、異形ブロックBは載置レール9上を図示左側へ転動する。異形ブロックBが転動する過程において、異形ブロックBの重心移動により、ブロックBが載置レール上で滑りにより先走りする可能性がある。この先走りを軽減するため、第2の脚L2を支持する可動テーブル15は、スライドレール14上を矢印93に示すように図示右側に移動する。なお、可動テーブル15の位置は、第2の脚L2が下向きになった状態で、固定受台16に当接するようになっている。これにより、異形ブロックBのさらなる転動が防止され、反転位が維持される。
【0079】
図16に示す正位から蝶々への反転は、
図18の矢印91に示すように、昇降テーブル3の下降に伴い、昇降テーブル3に載置されている第2の脚L2及び第4の脚L4が下がることにより、矢印94に示すように、載置台10a載置されている第3の脚L3が持ち上がる。これに伴い、異形ブロックは、第1及び第3の脚の付け根部分が載置レール9当接し、第2の脚L2及び第4の脚L4が載置テーブル3から下支えされた状態となる。
【0080】
なお、反転装置1上に載置されている異形ブロックBは、その姿勢のままクランプ装置111により吊持可能である。クランプ装置111によるブロックBの吊持は、載置レール9とブロックBの間にクランプ装置111の挟持アーム34を挿入した後、挟持アームを閉じてブロックの根本部分を掴持した後、クランプ装置111を上昇させることで行われる。
【0081】
なお、昇降テーブル3が下降した状態では、補助上昇シリンダ31が昇降テーブル3の下面に当接し、昇降テーブル3を支持することができるようになっている。反転完了後の異形ブロックBをクランプ装置111で取り出すとき、クランプ装置111の爪先が退避領域70に入りづらい場合などに、補助上昇シリンダ31で昇降テーブル3を押し上げ適度に上昇させて取出し作業を補助する。また、補助上昇シリンダ31は、昇降テーブル3の補強も兼ねる。昇降テーブル3の無負荷時の昇降及びブロック反転時の下降は駆動機構4で行うが、異形ブロックBが載置された状態で上昇させる場合はより大きな出力が必要となる。補助上昇シリンダ31を備えることで、駆動機構4に小さな巻き取りリール26を用いることが可能となる。
【0082】
図19は、クランプ装置111の構成を示す模式図である。クランプ装置111は、クレーンに連結される連結部材32と連結部材に対して、鉛直軸周りに旋回可能に連結された支持胴体33と、当該支持胴体33の外周部に沿って設けられ吊持しようとするブロックBを狭持するための3本の挟持アーム34とを備えている。
【0083】
挟持アーム34は、支持胴体33の外周部に沿って、120度間隔で配設したブラケット35に枢軸36を介して、枢着することにより枢軸より下側部分が互いに開閉する方向に回動自在に支持されている。
【0084】
また、支持胴体33の上方に位置するシリンダ取り付け部38に設けられるブラケット38aには、それぞれ油圧シリンダ37が設けられており、これらの油圧シリンダ37のシリンダロッドが挟持アーム34の上端に枢着されている。シリンダ取り付け部38には、それぞれの油圧シリンダ37用のアキュムレータ(図示なし)などが内蔵されている。
【0085】
支持胴体33は、天面部42と天面部42の周囲に設けられ下方へ伸びる側壁41から構成された下方が開口したキャップ部40を有している。当該キャップ部40の側壁41の外面には、挟持アーム34を取り付けるブラケット35が設けられている。
【0086】
側壁41は、環状に設けられており、当該側壁で囲まれた領域がブロックBの頭脚部Hを挿入する収納空間43として機能する。収納空間43には、図
19に示すように、正位のブロックBの上向きに伸びる脚の頭脚部Hが挿入されることで、挟持アーム34が閉じてブロックBの脚付け根部分Rに到達し、当該付け根部分が把持される。このように支持した場合、ブロックBが傾いた場合にも、頭脚部Hの先端が側壁41に引っかかり、ブロックBが落下しにくくなっている。
【0087】
なお、当該クランプ装置111により挟持可能な範囲のブロックBの大きさにより、挟持アーム34の長さ寸法、キャップ部40の径寸法及び側壁41の長さ寸法を決定することができる。また、側壁41の長さ寸法は、特に限定されるものではなく、ブロックBの大きさに応じて、収納空間43にブロックBの頭脚部H、すなわち、脚部の先端部分だけではなく、脚部が深く収納されるように構成されていてもよい。
【0088】
なお、クランプ装置111は、
図20に示すように、収納空間43に頭脚部Hが挿入されない状態、すなわち、ブロックBの脚部が下方向に向く反転位のブロックBを把持する場合も、側壁41の下端により、ブロックの根本部分Rが側壁41の下端に接近してブロックBの姿勢を維持することができ、挟持アームの先端側をブロックBの脚付け根部分Rに到達させ、安定して把持することが可能である。
図20に示すように、異形ブロックの頭脚部Hが収納空間43に挿入されない場合、ブロックBの根本部分がキャップ部40の側壁41下端に近づくように配置されるため、ブロックBをつり上げた場合にブロックBが傾いたとしても、側壁41の下端に接触してブロックの傾きが制限される。
【0089】
クランプ装置111は、ブロックBが正位の場合は、頭脚部Hを収納空間に挿入することで、反転位及び蝶々位の場合は、ブロックの根本部分Rが側壁41の下端に接近するようにブロックを把持することで、ブロックBの落下を防止しつつ把持することができる。このため、反転装置1上にあらゆる姿勢で配置されたブロックを把持し、ブロックの据え付けを容易にすることができる。
【0090】
また、キャップ部40の天面部42には、収納空間43内を撮像するカメラ装置44が設けられている。カメラ装置44により撮像された画像は、ケーブルで台船100などに設けられている表示装置に表示され、ブロックBとクランプ装置111との方向及び位置などの確認に用いられる。
【0091】
クランプ装置111は、支持胴体33及び挟持アーム34の傾斜角度を任意に変更可能に吊り下げられており、連結部材32に当該クランプ装置111の傾斜角度変更及び旋回機能を備えている。
【0092】
図21は、クランプ装置の連結部材の構成を示す拡大図である。
図21において、傾斜軸及び旋回軸を明確にするために図中に三次元座標軸を定義し、以下、連結部材による傾斜角度及び旋回角度の方向をこの座標軸に沿って説明する。
【0093】
連結部材32は、クレーン101の主ワイヤ102に連結される吊金具50と、吊金具50に接続される継ぎ手51と、継ぎ手51に連結されるスイベル装置52とを備える。吊金具50は、上側部分に主ワイヤ102と連結する環状部を備え、Y軸方向に伸びるボルト53により継ぎ手51の上側に連結される。これにより、
図23の矢印96に示すように、吊金具50はY軸周りに回転可能である。
【0094】
継ぎ手51は、
図22及び
図23に示すように、下側が開放したコの字型形状であり、上辺が吊金具50と連結されている。継ぎ手51の上面には、吊金具50と連結するためのリブ54がX方向に沿って設けられ、リブ54を挟むようにして吊金具50が連結される。
【0095】
スイベル装置52は、継ぎ手51の脚部55にX軸方向に沿った連結軸56で固定されており、
図21の矢印95に示すように、継ぎ手51に対してX軸周りに回転可能となっている。
【0096】
また、スイベル装置52は、支持胴体33の上端に位置する支持軸33aをZ軸周りに旋回可能に支持する。スイベル装置52は、中央にZ軸方向に伸びる貫通孔57を備えており、当該貫通孔57に支持軸33aを挿入可能となっている。また、貫通孔57の内壁には連結突部58が設けられており、支持軸33aをZ軸周りに旋回可能に支持する。支持軸33aとスイベル装置52との間には、ベアリング59が介在されており、支持軸33aの旋回をスムーズにしている。
【0097】
また、支持軸33aを回転させるための動力源として、旋回モータ60がスイベル装置52に設けられている。旋回モータ60の回転軸には駆動ギア60aが設けられ、支持軸33aと駆動ギア60aに巻き掛けられた駆動ベルト60bによって、旋回モータ60の駆動により支持軸33aが旋回する。
【0098】
上記構成の本実施例にかかる異形ブロックの反転装置1を使用して、ブロックBを所定の場所に据え付け又は移設する場合は、例えば、次のような工程により行われる。
【0099】
台船100に設けられているクレーン101の主ワイヤ102にクランプ装置111を吊り下げる。このとき、クランプ装置の傾斜角度を変更するために独立して操作可能な複数のワイヤを用いてもよく、主ワイヤ102を連結部材32に連結し、副ワイヤ(図示無し)を少なくとも1つの挟持アーム34の副ワイヤ連結部34aに連結するようにしてもよい。この状態で副ワイヤの繰り出し量を操作することでクランプ装置111の傾斜角度調整を行うことができる。
【0100】
クランプ装置により、台船100の保管位置に載置されている正位のブロックBを吊り下げ、反転後の姿勢にしたがって、所定の角度で旋回させた後、反転装置1上に載置する。なお、台船100上のブロックBは正位となっているため、据え付け時の配置姿勢が正位である場合は、反転装置1で反転させる必要がないため吊り下げ後、据え付けを行えばよい。
【0101】
なお、正位のブロックBをクランプ装置で把持するには、当該ブロックの脚部が収納空間43に収まるようにクランプ装置111を移動する。このとき、それぞれの挟持アーム34の先端がブロックBの脚の間となるように、必要に応じてスイベル装置52を操作して、支持胴体33を旋回させる。挟持アーム34が把持位置となるようにクランプ装置111を配置した後、油圧シリンダ37を操作して挟持アーム34を閉じ、ブロックBを狭持する。
【0102】
反転装置1に載置された異形ブロックBを上記の反転動作により、据え付け時の配置姿勢である反転位又は蝶々位に反転させる。その後、クランプ装置111により、反転装置1上に載置されている反転後の異形ブロックBを反転後の姿勢のまま吊り下げる。反転位又は蝶々位にあるブロックBを挟持するには、上記の通り、側壁41の下端が異形ブロックの脚の付け根部分Rに突き当たるようにし、その状態で挟持アーム34を操作する。なお、このとき、必要に応じて支持胴体33を旋回させる。
【0103】
その後、クレーン101を操作して、異形ブロックBを吊り下げたクランプ装置111を据え付け場所まで移動する。その後、クランプ装置111のスイベル装置52を操作して据え付けの方向となるようにクランプ装置111を旋回させる。その後、主ワイヤ102を繰り出して、クランプ装置111を降下させ、ブロックBの据え付け場所に異形ブロックBを設置する。
【0104】
以上説明したように、本実施例にかかる異形ブロックの反転装置によれば、離間して配置された載置部と、載置部の間に設けられた昇降テーブルにブロックBを正位状態で配置し、昇降テーブルを載置部に対し下降させることで、ブロックBを自重により反転させることができる。このため、ブロックの反転に必要なエネルギーが少なくてすみ、また、平面上では安定しないような配置姿勢にも安定した状態で姿勢を保つことができる。
【0105】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施可能である。