(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
赤外光を放射する光源と、前記赤外光を試料に照射する赤外光照射手段と、前記試料を透過または反射した赤外光を集光する赤外光集光手段と、集光した赤外光を検出するための検出手段と、を備えた赤外顕微鏡であって、
前記赤外光照射手段は第1のアパーチャーを備え、該第1のアパーチャーは前記光源からの赤外光が前記第1のアパーチャーを通過して前記試料へ照射される位置に配置され、
前記赤外光集光手段は第2のアパーチャーを備え、該第2のアパーチャーは前記第1のアパーチャーの位置における赤外光に対する結像点に位置し、
前記第1のアパーチャーは、複数の穴を有し、
前記穴は、前記検出手段が前記赤外光を検出光として検出できるように、前記検出手段に設けられた受光素子の配列に対応した間隔で配列され、
前記第2のアパーチャーは、前記第1のアパーチャーと同じ大きさおよび同じ配列の穴を有し、
前記第1のアパーチャーおよび第2のアパーチャーは穴の数ないし穴の配列が異なる複数個のアパーチャーを有し、該第1のアパーチャーおよび第2のアパーチャーは前記複数個のアパーチャーの中から前記赤外光の波長に応じて選択された1個のアパーチャーであることを特徴とする赤外顕微鏡。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように検出器の受光素子間隔を大きくすることで、短波長の光ではクロストーク(スペクトル同士の重なり合い)を防ぐことが出来るが、長波長の光ではクロストークは完全に除去しきれない問題がある。特に、赤外顕微鏡においては長波長領域が指紋領域と呼ばれる物質の同定に重要な波長領域であり、この領域におけるクロストークの影響で、正確な測定が妨げられてしまう。加えて、短波長の光の場合は素子の間隔が空いてしまうので、試料面の光学情報が欠落することも発生してしまい、精度の良い測定を行ううえでは、まだまだ改良の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記従来技術の課題に鑑みて行われたものであって、その目的はクロストークの少ない精度の良い測定が可能な赤外顕微鏡を提供することである。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる赤外顕微鏡は、
赤外光を放射する光源と、前記赤外光を試料に照射する赤外光照射手段と、前記試料を透過または反射した赤外光を集光する赤外光集光手段と、集光した赤外光を検出するための検出手段と、を備えた赤外顕微鏡であって、
前記赤外光照射手段は第1のアパーチャーを備え、該第1のアパーチャーは前記光源からの赤外光が前記第1のアパーチャーを通過して前記試料へ照射される位置に配置され、
前記赤外光集光手段は第2のアパーチャーを備え、該第2のアパーチャーは前記第1のアパーチャーの位置における赤外光に対する結像点に位置し、
前記第1のアパーチャーは、複数の穴を有し、
前記穴は、前記検出手段が前記赤外光を検出光として検出できるように、前記検出手段に設けられた受光素子の配列に対応した間隔で配列され、
前記第2のアパーチャーは、前記第1のアパーチャーと同じ大きさおよび同じ配列の穴を有することを特徴とする。
【0008】
また、前記第1のアパーチャーおよび第2のアパーチャーは、穴の数または穴の配列が異なる複数個のアパーチャーを有し、該複数個のアパーチャーの中から、前記赤外光の波長に応じて選択された1個のアパーチャーであることが好ましい。
【0009】
また、前記第1のアパーチャーおよび第2のアパーチャーは、一方向に規則的な間隔で配列された複数の穴を有することが好ましい。
【0010】
また、前記第1のアパーチャーおよび第2のアパーチャーの前記穴は、二次元配列され、
第1の配列方向の間隔が規則的であり、第2の配列方向の間隔も規則的であることが好ましい。
【0011】
また、前記第1のアパーチャーおよび第2のアパーチャーは、一方向に不規則的な間隔で配列された複数の穴を有する事が好ましい。
【0012】
また、前記第1のアパーチャーおよび第2のアパーチャーの前記穴は、二次元配列され、
第1の配列方向の間隔が不規則的であり、第2の配列方向の間隔も不規則的であることが好ましい。
【0013】
また、前記赤外光照射手段と前記試料を透過した赤外光を集光する前記赤外光集光手段の両方またはどちらか一方にカセグレンミラーを含むことが好ましい。
【0014】
また、前記赤外光照射手段および前記試料を反射した赤外光を集光する前記赤外光集光手段は、共通のカセグレンミラーを含むことが好ましい。
【0015】
また、前記検出手段は、MCT検出器であって、
前記MCT検出器が備える受光素子の配列および前記赤外光の波長に応じて前記アパーチャーの切換えが行われることが好ましい。
【0016】
また、前記赤外光照射手段は、前記光源から放射された赤外光を移動鏡の走査に伴い赤外光の干渉波を生成する干渉計を備え、
前記検出手段によって検出された赤外光の干渉波を解析する解析手段が設けられていることが好ましい。
【0017】
また、前記第1のアパーチャーは、前記干渉計に含まれることが好ましい。
【0018】
また、前記赤外光照射手段は、透過による測定のための第1の照射経路と、反射による測定のための第2の照射経路と、を備え、
前記第1の照射経路および第2の照射経路の両方の照射経路に前記第1のアパーチャーを備えたことが好ましい。
【0019】
また、前記赤外光の波長が2μm以上であることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の赤外顕微鏡によれば、光源と試料の間に複数の穴を有する第1のアパーチャーを備え、さらに、試料と検出器の間に第1のアパーチャーと対応した第2のアパーチャーを備えること(第1のアパーチャーの位置における赤外光に対する結像位置に第2のアパーチャーを設置すること)によって、それぞれの穴に対して同時に共焦点効果が得られ、クロストーク(スペクトル同士の重なり合い)の少ない、精度の良い測定が可能となる。また、第1のアパーチャーおよび第2のアパーチャーをそれぞれ複数個用意することで、測定試料や赤外光の波長に合わせて最適なアパーチャーを選定し、測定することが出来る。例えば、赤外光が短波長の場合には従来のアパーチャーを利用した測定を行い、赤外光が長波長の場合には、クロストークを減らすために複数個の穴の開いたアパーチャーを利用して測定を行うこと等が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の赤外顕微鏡について図面を用いて説明するが、本発明の趣旨を超えない限り何ら以下の例に限定されるものではない。
<第1実施形態>
【0023】
図1に本発明の第1実施形態に係る赤外顕微鏡の概念図を示す。なお、本実施形態では説明を分かりやすくするために簡略化した概略構成図としている。そのため、図示を省略するが、試料を載置するための可動テーブルや、検出光を解析するためのコンピューターなどの一般的な顕微鏡に必要な構成部品等は全て備えているものとする。同図に示す赤外顕微鏡10は、赤外光を放射する光源12と、放射された赤外光を試料16へ照射するための赤外光照射光学系14と、該試料16を透過した赤外光を集光する赤外光集光光学系18と、集光した赤外光を検出するMCT検出器20を備えている。
【0024】
本発明について特徴的なことは、赤外光照射光学系14は少なくとも1以上の穴を有する第1のアパーチャー24を備えており、さらに、赤外光集光光学系18は前記第1のアパーチャー24と穴の位置および大きさが対応した第2のアパーチャー30を備えていることである(第1のアパーチャー24の位置における赤外光に対する結像位置に第2のアパーチャー30を設置)。そのため
図1に示すように、第1のアパーチャー24は光源12と試料16との間に配置され、第2のアパーチャー30は試料16と検出器20との間に配置されている。
【0025】
はじめに赤外光照射光学系14および赤外光の照射過程について詳しく説明する。
赤外光照射光学系14は赤外光を試料16方向へ反射させる照射ミラー22と、第1のアパーチャー24と、赤外光をビームスポットとして試料16へ照射するための照射カセグレンミラー26を備える。光源12から放射された赤外光は照射ミラー22に到達すると試料16方向へと反射される。ここでの赤外光の波長は測定試料および測定方法(赤外光の波長、透過による測定、反射による測定等)にもよるが、1.0μm〜30μmであり、特に好ましくは2.0μm〜25μmが好適である。そして、反射ミラー22によって反射された赤外光は、第1のアパーチャー24へ到達する。
【0026】
ここで、第1のアパーチャー24の形状について説明する。
図2(a)〜(c)に第1のアパーチャー24の外形および穴の形状を示す。第1のアパーチャー24は少なくとも1以上の穴を有しており、それぞれの穴が一般的なアパーチャー(ピンホール)の役割を果たしている。また、第1のアパーチャー24は1種類ではなく、例えば
図2(a)のように縦長の穴が1つのアパーチャーや、
図2(b)のように縦方向に一定間隔で複数の穴が配列されているものや、
図2(c)のように2次元状に縦横一定間隔で穴が配列されているもの等を数種類用意する。本実施形態では3種類のアパーチャーを用意しているが、当然ながら2種類でも3種類以上でも構わない。また、測定試料が決まっているような赤外顕微鏡であれば、第1のアパーチャー24は少なくとも1以上の穴を有する1種類のアパーチャーでも構わない。そして、
図2(a)〜(c)は穴が規則的に配列された形状となっているが、このような配列に限定されず、例えば不規則な配列形状の穴を有するアパーチャーや、他の形状のアパーチャーでも構わない。加えて、アパーチャーの外形は
図2(a)〜(c)のような四角形状に限定されず、例えば円形状や他の形状でも構わない。このように複数個用意した第1のアパーチャー24の中から、試料16の特性や赤外光の波長に合わせて適宜アパーチャーを選定して、測定に使用する。本実施形態では、
図2(b)のアパーチャーを選定するものとする。
【0027】
選定された第1のアパーチャー24(
図2(b))によって形状を変えられた赤外光は、照射カセグレンミラー26によってビームスポットを形成し、試料16へと照射される。ここで、試料16に照射された赤外光は、
図3(b)に示すような形状で試料16表面でビームスポットを形成する。また、
図2(a)のアパーチャーを選定した場合には試料16表面では
図3(a)のような形状のビームスポットとなり、
図2(c)を選定した場合には試料16表面では
図3(c)のような形状のビームスポットとなる。ビームスポットとしての赤外光は、
図3(b)の形状で試料16を透過し、赤外光集光光学系18へと進む。
【0028】
次に
図1の赤外光集光光学系18について詳しく説明する。
赤外光集光光学系18は、試料16を透過したビームスポットとしての赤外光を集光するための集光カセグレンミラー28と、第1のアパーチャー24に対応した第2のアパーチャー30と、該第2のアパーチャーを通過した光をMCT検出器20の方向へ反射させる集光ミラー32から構成される。試料16を透過した赤外光(
図3(b)の形状の赤外光)は、集光カセグレンミラー28によって集光され、第2のアパーチャー30に到達する。
【0029】
ここで、第2のアパーチャー30について説明する。
第2のアパーチャー30は、第1のアパーチャー24と同等のものを用意する。本明細書における同等とは、穴の位置や大きさ等のアパーチャー機能(ピンホール機能)が同等であることを意味する。従って、例えば
図2(a)〜(c)と穴の位置や大きさが同じであれば、アパーチャー自体の外形寸法、材質、色、形状等が異なっていても構わない。例えば、第1のアパーチャー24は
図2に示すような四角形状であるが、第2のアパーチャー30が丸形状やその他の形状でも構わない。そして、第2のアパーチャー30は、第1のアパーチャー24の位置における赤外光に対する結像位置に配置する。ここで、第2のアパーチャー30は、第1のアパーチャー24位置における赤外光に対して共焦点効果が得られれば良く、例えば、結像位置から少しずれた位置に配置されていても、第1のアパーチャー24と相似関係が成り立ち、共焦点効果が得られれば良い。
【0030】
また、本実施形態では、第1のアパーチャー24を3種類用意しているので、これに対応した第2のアパーチャー30を3種類用意し、あらかじめ選定してある第1のアパーチャー24と対応した第2のアパーチャー30(アパーチャー機能が同等のもの)を選定する。第1のアパーチャー24と同等の第2のアパーチャー30を赤外光集光光学系18(試料16とMCT検出器20との間)に入れることにより、それぞれの穴に対して同時に共焦点効果が得られ、良好な赤外光を集光することが出来る。本実施形態では、
図2(b)のアパーチャーを選定しているので、縦方向に一定間隔で配列された全ての穴に対して、同時に共焦点効果を得ることができる。その結果、複数点の空間分解能を同時に改善することが出来る。また、異なる試料に対して測定を行う場合には、測定試料の特性や赤外光の波長に応じてアパーチャーを
図2(b)の多点を有するアパーチャーから、例えば短波長の赤外光を測定に使用する場合には縦長スリットのアパーチャー(
図2(a))に切り換えたり、試料の二次元方向を同時に測定したい場合には二次元方向へ規則的に配列された穴を有するアパーチャー(
図2(c))に切換えることが出来る。
【0031】
そして、第2のアパーチャー30を通過した赤外光は、集光ミラー32によってMCT検出器20の方向へと反射され、良好な赤外光としてMCT検出器20へ導光され、精度の良い測定が行われる。
【0032】
ここで、本実施形態における、MCT検出器20の検出受光素子面の様子を
図4(a)〜(c)に示す。
図4において、実際の受光素子面ではアパーチャーの穴の形状と同じ(
図2(b)と同じ四角形状)であるが、受光素子面での受光素子と赤外光を分かりやすく区別するために、赤外光は円形状で表している。
図4(a)は試料面におけるビームスポットの形状である。本実施形態では前述のとおり
図2(b)の第1のアパーチャーおよび第2のアパーチャーを使用している。そのため、検出された赤外光の形状は、縦方向に一定間隔でスポットを有する形状となっている。この
図4(a)の形状を維持したままMCT検出器20へ導光されるので、例えばMCT検出器20の受光素子面において素子間隔をあけた場合では、
図4(b)のように受光素子面でのクロストーク(スペクトル同士の重なり合い)を防ぐことが出来る。また、赤外光による測定において、物質の同定に非常に重要な指紋領域となる400cm
−1〜4000cm
−1(2.5μm〜25μmの波長)の赤外スペクトルのクロストークを防ぐことにより、より正確な測定が可能となる。加えて、
図4(c)に示すように素子間隔が狭い場合でも、間の素子を無視すれば、クロストークを無視することができ、クロストークの少ない測定が可能となる。
【0033】
このように複数の穴を有する第1のアパーチャー24と、該第1のアパーチャー24に対応した第2のアパーチャー30を用いることによって、複数点で同時に共焦点効果が得られ、クロストークの少ない精度の良い測定が可能となる。
<第2実施形態>
【0034】
次に、本発明の第2実施形態に係る赤外顕微鏡について図面を用いて説明する。
図1に示した赤外顕微鏡10(第1実施形態)と共通する構成については、符号に100を足して示している。
【0035】
図5に本発明の第2実施形態に係る赤外顕微鏡の概念図を示す。同図に示す赤外線顕微鏡110は、赤外光を放射する光源112と、放射された赤外光を試料116へ照射するための赤外光照射光学系114と、該試料116を透過または反射した赤外光を集光するための赤外光集光光学系118と、集光した赤外光を検出するMCT検出器120を備えている。
【0036】
本実施形態は、赤外光照射光学系114が備える干渉計140を利用して赤外光を試料116へ照射し、該試料116から透過または反射した赤外光を検出し、コンピュータなどを用いてフーリエ変換を行い、各波長成分を計算・解析するフーリエ変換赤外分光計(FTIR:Fourier transform infrared spectrometer)に本発明を利用した実施形態である。また、第1のアパーチャー124(124は図面にないが、124Aと124Bの両方を意味する)は、試料116を透過する赤外光を該試料116に照射するための照射経路Aと、試料116を反射する赤外光を該試料116に照射するための照射経路Bの両方に、それぞれ配置されている。加えて、照射経路Aまたは照射経路Bのどちらか一方に赤外光を導光するための切換えミラー162を備えている。
【0037】
はじめに赤外光照射光学系114および赤外光の照射過程について詳しく説明する。
赤外光照射光学系114は、干渉計140と、照射経路Aまたは照射経路Bのどちらか一方に赤外光を反射するための切換えミラー162と、試料116の方向に赤外光を導く照射ミラー122Aおよび122Bと、さらに、試料116方向に照射経路Aを通過した赤外光(試料を透過する赤外光)を導くための透過光導光ミラー164と、試料116方向に照射経路Bを通過した赤外光(試料を反射する赤外光)を導く反射光導光ミラー166と、試料116を透過する赤外光を試料116へ照射するための照射カセグレンミラー126と、試料116を反射する赤外光を試料116へ照射するための集光カセグレンミラー128と、を備える。光源112から放射された赤外光は後述する干渉計140で干渉光となり、切換えミラー162の方向へと進む。
【0038】
ここで、干渉計140について説明する。干渉計140は、干渉計スリット142と、第1干渉計ミラー144と、第2干渉計ミラー146と、干渉計140の波数分解能を決定する分解能決定スリット148と、第3干渉計ミラー150と、該第3干渉計ミラー150によって反射された赤外光のうち、略半分の赤外光を透過し、残りの半分の赤外光を反射する半透鏡152と、コーナーキューブ状であって、照射された方向に赤外光を反射させる固定鏡154と、同じくコーナーキューブ状であって、照射された方向に赤外光を反射させると共に、半透鏡152までの距離が変化する移動鏡156を備えている。
【0039】
光源112から放射された赤外光は干渉計140に導かれ、干渉計スリット142を経由し、第1干渉計ミラー144と第2干渉計ミラー146で方向が変えられ、分解能決定スリット148を経由して第3干渉計ミラー150へ到達する。そして赤外光は、第3干渉計ミラー150によって半透鏡152の方向へと反射され、半透鏡152に入射される。ここで、赤外光のうちの半分は透過光となり、残りの半分は反射光となり、二つの赤外光に分割される。この二つの赤外光は、固定鏡154および移動鏡156の方向へと進み、該固定鏡154および移動鏡156で反射されて半透鏡152に戻り、再び合成され、干渉光となる。つまり、移動鏡156の位置の変化(光路差)によって、2つの異なる赤外光による干渉光が得られる。
【0040】
こうして得られた干渉光としての赤外光は、切換えミラー162によって照射経路A(試料を透過することで測定する場合)または照射経路B(試料を反射することで測定する場合)へと導光される。例えば、試料116を透過することで該試料116を測定する場合は、照射経路Aを経由しながら透過光導光ミラー164によって試料116へ照射され、試料116を反射することで該試料116を測定する場合には照射経路Bを経由しながら反射光導光ミラー166によって試料116へと反射される。また、照射経路Aおよび照射経路Bの両方の照射経路には、試料116方向へと赤外光を導くための入射ミラー122(照射経路Aには122A、照射経路Bには122B)と、第1のアパーチャー124(照射経路Aには124A、照射経路Bには124B)を備えている。このように照射経路Aおよび照射経路Bの両方の照射経路を同じ機器構成とすることで、異なる測定方法(透過による測定、または反射による測定)においても、1台の赤外顕微鏡110で対応出来るようになる。
【0041】
次に
図5の赤外光集光光学系118について説明する。
赤外光集光光学系118は、試料116を透過または反射した赤外光を集光するための集光カセグレンミラー128と、第1のアパーチャー124に対応した第2のアパーチャー130と、該第2のアパーチャーを通過した光を集光ミラー132へ導く第1平面ミラー168および第2平面ミラー170と、集光した赤外光をMCT検出器120の方向へ反射させる集光ミラー132から構成される。集光カセグレンミラー128は、赤外光照射光学系114における照射経路Bを通過した赤外光を試料116へ照射するための集光カセグレンミラー128と共通のものである。
【0042】
試料116を透過または反射した赤外光は、集光カセグレンミラー128によって集光される。そして、集光された赤外光は、反射光導光ミラー166を透過して第2のアパーチャー130に到達する。本実施形態における第2のアパーチャー130は、第1実施形態で説明したアパーチャーと同じもの(
図2(b))であり、第1のアパーチャー124に対応したものである。
【0043】
そして、第2のアパーチャー130を通過した赤外光は、第1平面ミラー168および第2平面ミラー170で集光ミラー132の方向へと反射され、さらに集光ミラー132によってMCT検出器120の方向へと反射され、良好な赤外光としてMCT検出器120へ導光され、測定が行われる。
【0044】
このように、本実施形態では、赤外光照射光学系114が備える照射経路Aおよび照射経路Bの両方の照射経路にそれぞれ第1のアパーチャー124(照射経路Aには124A、照射経路Bには124B)を設け、赤外光集光光学系118には第1のアパーチャー124と対応した第2のアパーチャー130を備えることによって、1台の顕微鏡で透過・反射のどちらの測定にも対応でき、且つ、第1実施形態と同様に、第1のアパーチャーおよび第2のアパーチャーによる共焦点効果が得られたクロストークの少ない良好な測定が可能となる。
<第3実施形態>
【0045】
次に、本発明の第3実施形態に係る赤外顕微鏡について図面を用いて説明する。
図5に示した赤外顕微鏡110(第2実施形態)と共通する構成については、符号100を足して示している。
【0046】
図6に本発明の第3実施形態に係る赤外顕微鏡の概念図を示す。同図に示す赤外顕微鏡210は、赤外線を放射する光源212と、放射された赤外光を試料216へ照射するための赤外光照射光学系214と、該試料216を透過または反射した赤外光を集光する赤外光集光光学系218と、集光した赤外光を検出するMCT検出器220を備えている。本実施形態も第2実施形態と同様のFTIR(フーリエ変換赤外分光計)に本発明を利用した実施形態である。
【0047】
本実施形態において特徴的なことは、照射経路Aおよび照射経路Bには第1のアパーチャー224を備えておらず、干渉計240と切換えミラー262の間(
図6における第1凹面ミラー258と第2凹面ミラー260の間)に1つだけ第1のアパーチャー224を備えていることである。
【0048】
したがって、光源212から放射された赤外光は干渉計240で干渉光としての赤外光となり、第1凹面ミラー258および第2凹面ミラー260の間に位置する第1のアパーチャー224に到達する。そして干渉光となった赤外光は、第1のアパーチャー224により形状を変えられ(
図2(b))、切換えミラー262によって試料216を透過する赤外光(または試料216を反射する赤外光)は照射経路A(または照射経路B)へと反射され、照射ミラー222A(または222B)で試料216方向へ導かれ、さらに、透過光導光ミラー264(または反射光導光ミラー266)で照射カセグレンミラー226(または集光カセグレンミラー228)方向へと反射され、該照射カセグレンミラー226(または集光カセグレンミラー228)によってビームスポットとして第1のアパーチャー224による形状を保ったまま試料216へと照射される。
【0049】
そして、試料216を透過(または反射)した赤外光は集光カセグレンミラー228で集光され、反射光導光ミラー266を透過し、第1のアパーチャー224と穴の位置および大きさが対応した第2のアパーチャー230で焦点の合った赤外光のみを通過させ、第1平面ミラー268および第2平面ミラー270で集光ミラー232の方向へ反射され、該集光ミラー232によってMCT検出器220へと導かれ、クロストークの少ない良好な測定が行われる。
【0050】
このように、本実施形態では第1のアパーチャー224を照射経路Aおよび照射経路Bに配置しなくても、1つの第1のアパーチャー224を干渉計240と切換えミラー262の間(第1凹面ミラー258と第2凹面ミラー260の間)に設置することで、第2実施形態と同様の効果(透過・反射の両方の測定方法に対応可能で、且つ、クロストークの少ない分析が可能)を得ることが出来る。
<第4実施形態>
【0051】
次に、本発明の第4実施形態に係る赤外顕微鏡について図面を用いて説明する。
図5に示した赤外顕微鏡110(第2実施形態)と共通する構成については、符号200を足して示している。
【0052】
図7に本発明の第4実施形態に係る赤外顕微鏡の概念図を示す。
図7における赤外顕微鏡310の基本的な構成は
図5に示す赤外顕微鏡110と同じであるが、本実施形態において特徴的なことは、干渉計340の波数分解能を決定する分解能決定スリットが第1のアパーチャー324としての役割(アパーチャー機能)も果たしていることである。そのため本実施形態では、他の実施形態とは異なり、独立した第1のアパーチャーを備えていないため、第2実施形態(
図5)や第3実施形態(
図6)と比べて、簡単な構成で同じ効果(透過・反射の両方の測定方法に対応可能で、且つ、クロストークの少ない分析が可能)を得ることが出来る。
【0053】
以上のように本発明の赤外顕微鏡によれば、光源と試料の間に少なくとも1以上の穴を有し、測定に応じて選択可能な第1のアパーチャーを備え、さらに、試料と検出器の間に第1のアパーチャーに対応した第2のアパーチャーを備えることによって、複数点で同時に共焦点効果が得られ、クロストーク(スペクトル同士の重なり合い)の少ない、精度の良い測定が可能となる。
加えて、赤外光照射光学系に照射経路Aおよび照射経路Bを備え、両方の照射経路にそれぞれ第1のアパーチャーを設け、赤外光集光光学系に第2のアパーチャーを備えることによって、クロストークの少ない良好な測定ができ、且つ、透過・反射の両方の測定に対応可能な赤外顕微鏡が得られる。
さらに、試料と切換えミラーの間に第1のアパーチャーを備えることによって、第1のアパーチャーを2つ準備することなく、クロストークの少ない良好な測定ができ、且つ、透過・反射の両方の測定に対応可能な赤外顕微鏡が得られる。