特許第6863582号(P6863582)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863582
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】ロボットアームカップリング装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/04 20060101AFI20210412BHJP
【FI】
   B25J15/04 A
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-134499(P2017-134499)
(22)【出願日】2017年7月10日
(65)【公開番号】特開2019-14028(P2019-14028A)
(43)【公開日】2019年1月31日
【審査請求日】2020年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】596037194
【氏名又は名称】パスカルエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】高橋卓也
【審査官】 牧 初
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−200585(JP,A)
【文献】 特開平7−223187(JP,A)
【文献】 特開平6−190760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームの先端部に装備されるマスタープレートと、このマスタープレートに連結可能でツールが付設されるツールプレートと、マスタープレートにツールプレートを連結解除可能に連結するロック機構とを有するロボットアームカップリング装置において、
前記ロック機構は、
前記マスタープレートの下端側部分に下端開放状に形成された係合凹部と、
前記係合凹部に挿入可能に前記ツールプレートの上端側部分に形成された係合凸部と、 前記係合凹部の外周壁部に装着され且つ前記係合凸部に形成された係合部に係合するロック位置と係合しないアンロック位置に切換え可能な複数の係合具と、
前記マスタープレートに形成された流体圧シリンダであって複数の係合具をアンロック位置からロック位置に切換え可能な流体圧シリンダとを備え、
前記マスタープレートのうちの前記複数の係合具及び流体圧シリンダよりも内径側に、
前記流体圧シリンダに流体圧を給排する少なくとも1つの流体圧通路を配置したことを特徴とするロボットアームカップリング装置。
【請求項2】
前記流体圧シリンダは、複数の係合具を径方向内方へ移動させることでアンロック位置からロック位置に切換える環状の流体圧シリンダからなることを特徴とする請求項1に記載のロボットアームカップリング装置。
【請求項3】
前記複数の係合具及び流体圧シリンダよりも内径側に、ロボットアーム側からツール側へ流体圧を供給可能な1又は複数の流体圧給排路を配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載のロボットアームカップリング装置。
【請求項4】
前記複数の係合具及び流体圧シリンダよりも内径側に、ロボットアーム側とツール側との間で電力又は電気信号を授受する為の1又は複数の導電線を配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載のロボットアームカップリング装置。
【請求項5】
前記係合具は鋼球からなり、
前記係合凹部の外周壁部には、複数の鋼球を周方向に密に並べて収容可能な環状隙間であって1対の環状テーパ面を対向させて形成された環状隙間が形成され、
前記環状隙間は前記外周壁部本体と外周壁部の先端側部分を分割した先端側分割部材とで形成されたことを特徴とする請求項2に記載のロボットアームカップリング装置。
【請求項6】
前記流体圧シリンダは前記マスタープレートの外周寄り部位に形成され、
前記複数の鋼球は前記マスタープレートの外周寄り部位に配置されたことを特徴とする請求項5に記載のロボットアームカップリング装置。
【請求項7】
前記流体圧給排路は、マスタープレート内に形成された第1通路と、ツールプレート内に形成された第2通路と、前記第1,第2通路を接続可能なカップリング機構とを有することを特徴とする請求項3に記載のロボットアームカップリング装置。
【請求項8】
前記導電線は、前記マスタープレートに前記ツールプレートを前記ロック機構により連結した際に電気的に接続されるコネクタを備えていることを特徴とする請求項4に記載のロボットアームカップリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットアームカップリング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロボットアームの先端にロボットアームカップリング装置を介して種々の工具(ツール)を取付けて種々の作業を行うことが広く行われている。種々の工具としては、溶接トーチ、塗装用ガン、接着剤を塗布する接着剤用ガン、成形機からの成形品の取出し用チャック装置、種々の部品を掴むチャック装置等である。
【0003】
前記ロボットアームカップリング装置は、ロボットアームの先端部に装備されるマスタープレートと、このマスタープレートに連結可能でツールが付設されるツールプレートと、マスタープレートにツールプレートを連結解除可能に連結するロック機構とを有する。 前記ロック機構は、複数の鋼球を組み込んだボール式ロック機構、複数のローラを組み込んだローラ式ロック機構、回動カムや回動爪等を組み込んだカム式ロック機構等が公知である。
【0004】
前記ロック機構は、通常流体圧シリンダにより複数の係合具(鋼球やローラ)を径方向に移動させることで、ロック位置とアンロック位置に亙って切換える。その流体圧シリンダとして、環状の流体圧シリンダではない通常の構造の流体圧シリンダを採用する関係上、流体圧シリンダは、マスタープレートとツールプレートの中央側部分に配置されている。そのため、複数の係合具を径方向外方へ移動させることで、アンロック位置からロック位置に切換える構造が一般に採用されている。
【0005】
特許文献1のロボットアームカップリング装置では、マスタープレート側からツールプレート側へ加圧エアを供給する為の配管部材が、マスタープレートとツールプレートの外径側へ突出状に設けられている。
【0006】
特許文献2のロボットアームカップリング装置では、第1ユニット(マスタープレート)の下面に第2ユニット(ツールプレート)が連結され、第2ユニットの外周面の複数部位から外径側へ電気ケーブルや電源ケーブルが突出する状態に取付けられている。
【0007】
特許文献3のロボットアームカップリング装置では、ボール式ロック機構が採用され、鋼球に接する部位の面圧を下げる為にボール収容溝に鋼球を収容する構成を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−23050号公報
【特許文献2】特開2015−213964号公報
【特許文献3】国際公開WO2004/113031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記流体圧シリンダをマスタープレートとツールプレートの中央側部分に配置する関係上、マスタープレートとツールプレートの中央側部分に、流体圧供給管や電気ケーブルを配置するスペースを確保しにくくなり、それら流体圧給排配管や電気ケーブルをマスタープレートとツールプレートの外周寄り部位や外周外空間に配置する場合が多い。
【0010】
特許文献1 ,2のロボットアームカップリング装置では、マスタープレートやツールプレートの外径側に配管や電気ケーブルが突出しているため、ロボットアームカップリング装置の外形寸法を正確に定めにくく、ティーチングの際に配管や電気ケーブルが邪魔になること、配管や電気ケーブルが損傷しやすくなること、等の問題がある。
【0011】
特許文献3のロボットアームカップリング装置では、ボール式ロック機構の鋼球に接する部位の面圧を下げるために、鋼球を収容溝に収容する構成を採用しているため、収容溝の溝加工にコストがかかるという問題がある。
【0012】
本発明の目的は、マスタープレートとツールプレートの中央側部分に流体圧供給配管や
電気ケーブル等を配置可能にしてマスタープレートとツールプレートの外周外へ突出しないようにしたロボットアームカップリング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1のロボットアームカップリング装置は、ロボットアームの先端部に装備されるマスタープレートと、このマスタープレートに連結可能でツールが付設されるツールプレートと、マスタープレートにツールプレートを連結解除可能に連結するロック機構とを有するロボットアームカップリング装置において、
前記ロック機構は、前記マスタープレートの下端側部分に下端開放状に形成された係合凹部と、前記係合凹部に挿入可能に前記ツールプレートの上端側部分に形成された係合凸部と、前記係合凹部の外周壁部に装着され且つ前記係合凸部に形成された係合部に係合するロック位置と係合しないアンロック位置に切換え可能な複数の係合具と、前記マスタープレートに形成された流体圧シリンダであって複数の係合具をアンロック位置からロック位置に切換え可能な流体圧シリンダとを備え、
前記マスタープレートのうちの前記複数の係合具及び流体圧シリンダよりも内径側に、前記流体圧シリンダに流体圧を給排する少なくとも1つの流体圧通路を配置したことを特徴としている。
【0014】
上記の構成によれば、前記流体圧シリンダに流体圧を給排する少なくとも1つの流体圧通路を前記複数の係合具及び流体圧シリンダよりも内径側に配設し、マスタープレートの外周外に突出しないように配設することができる。
【0015】
請求項2のロボットアームカップリング装置は、請求項1の発明において、前記流体圧シリンダは、複数の係合具を径方向内方へ移動させることでアンロック位置からロック位置に切換える環状の流体圧シリンダからなることを特徴としている。
【0016】
上記の構成によれば、前記流体圧シリンダを環状の流体圧シリンダで構成したため、複数の係合具を径方向内方へ移動させることでアンロック位置からロック位置に切換えることができる。しかも、環状の流体圧シリンダの中心側空間に流体圧通路や導電線を配置するスペースを確保することができる。
【0017】
請求項3のロボットアームカップリング装置は、請求項1又は2の発明において、前記複数の係合具及び流体圧シリンダよりも内径側に、ロボットアーム側からツール側へ流体圧を供給可能な1又は複数の流体圧給排路を配置したことを特徴としている。
上記の構成によれば、1又は複数の流体圧給排路を前記複数の係合具及び流体圧シリンダよりも内径側に配置することができ、マスタープレートやツールプレートの外周外に突出しないように配設することができる。
【0018】
請求項4のロボットアームカップリング装置は、請求項1又は2の発明において、前記複数の係合具及び流体圧シリンダよりも内径側に、ロボットアーム側とツール側との間で電力又は電気信号を授受する為の1又は複数の導電線を配置したことを特徴としている。
上記の構成によれば、1又は複数の導電線を前記複数の係合具及び流体圧シリンダよりも内径側に配置することができ、マスタープレートやツールプレートの外周外に突出しないように配設することができる。
【0019】
請求項5のロボットアームカップリング装置は、請求項2の発明において、前記係合具は鋼球からなり、前記係合凹部の外周壁部には、複数の鋼球を周方向に密に並べて収容可能な環状隙間であって1対の環状テーパ面を対向させて形成された環状隙間が形成され、前記環状隙間は前記外周壁部本体と外周壁部の先端側部分を分割した先端側分割部材とで形成されたことを特徴としている。
【0020】
上記の構成によれば、複数の鋼球を環状に配置し、複数の鋼球を周方向に密に並べるため、鋼球の数も多くなり、鋼球と接触する接触面の面圧も小さくなる関係上、1対の環状テーパ面を対向させて形成された環状隙間に、複数の鋼球を周方向に密に並べて収容することができる。鋼球との接触面の面圧を下げるために収容溝を形成する必要がないため、製作費を低減可能である。
【0021】
請求項6のロボットアームカップリング装置は、請求項5の発明において、前記流体圧シリンダは前記マスタープレートの外周寄り部位に形成され、前記複数の鋼球は前記マスタープレートの外周寄り部位に配置されたことを特徴としている。
上記の構成によれば、前記流体圧シリンダが環状の流体圧シリンダであってマスタープレートの外周寄り部位に形成されているため、流体圧シリンダの受圧面積を大きくして流体圧シリンダの駆動力を強くすることができる。前記複数の鋼球を前記マスタープレートの外周寄り部位に配置するため、鋼球の数を多くし、鋼球を受ける部位の面圧を下げることができる。
【0022】
請求項7のロボットアームカップリング装置は、請求項3の発明において、前記流体圧給排路は、マスタープレート内に形成された第1通路と、ツールプレート内に形成された第2通路と、前記第1,第2通路を接続可能なカップリング機構とを有することを特徴としている。
上記の構成によれば、ロボットアームカップリング装置を接続する際に、第1,第2通路をカップリング機構を介して接続することができる。
【0023】
請求項8のロボットアームカップリング装置は、請求項4の発明において、前記導電線は、前記マスタープレートに前記ツールプレートを前記ロック機構により連結した際に電気的に接続されるコネクタを備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、ロボットアームカップリング装置を接続する際に、導電線をコネクタを介して接続することができる。
【発明の効果】
【0024】
本願の発明によれば、上記のような種々の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係るロボットアームカップリング装置の縦断面図である。
図2】ロボットアームカップリング装置の横断面図である。
図3】ロボットアームカップリング装置(アンロック状態)の縦断面図である。
図4】ロボットアームカップリング装置(ロック状態)の縦断面図である。
図5】流体圧給排路の要部拡大断面図である。
図6】実施形態2に係るロボットアームカップリング装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明を実施するための実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1図5に示すように、ロボットアームカップリング装置1は、ロボットアーム2の先端部に装備されるマスタープレート3と、このマスタープレート3に連結可能でツールが付設されるツールプレート4と、マスタープレート3にツールプレート4を連結解除可能に連結するロック機構6とを有する。
【0027】
マスタープレート3は、所定の厚さを有し且つ中心側部分に円筒状の貫通孔8が形成された環状部材11と、この環状部材11の外周側を囲むリング部材12とを備えている。
リング部材12は、外周面を有するリング壁12aと、このリング壁12aと一体の環状板12bとを有する。環状板12bはマスタープレート3の外周側部分の上端部に配設され、環状板12bの外周端部とリング壁12aの上端部は一体形成されている。
【0028】
環状部材11の外径側部位と環状板12bの内径側部位とに挿通された例えば6本のボルト13により、環状部材11とリング部材12とがロボットアーム2の先端面(下端面)に固定されている。
【0029】
環状部材11の下端側部分には円形の係合凹部3aが下端開放状に形成され、この係合凹部3aの外周壁部15のうちの外周壁部本体15aより下方の先端側部分が先端側分割部材11aとされ、この先端側分割部材11aは外周壁部下端部15bと水平壁部と外径側縦壁部を有する。この外周壁部15はマスタープレート3の外周寄り部位に位置している。外周壁部本体15aと外周壁部下端部15bとの間に、複数の鋼球16を収容し保持する環状隙間17が形成され、先端側分割部材11aはリング壁12aに上方から挿通させた例えば6本のボルト18によりリング壁12aに固定されている。
【0030】
ツールプレート4は、所定の厚さの円板部材から形成されて中心側部分に円筒状の貫通孔9が形成され、ツールプレート4の上端側部分には係合凹部3aに下方から挿入可能な係合凸部4aが形成され、ツールプレート4の外径側部分には、先端側分割部材11aの下面に当接可能なフランジ部4bが形成され、このフランジ部4bが例えば6本のボルト19により、ツールプレート4の下面に固定されたツール保持部材5の上面に固定されている。係合凸部4aの上端部分には外径側へ張り出した環状係合部4cが形成されている。
【0031】
ロック機構6は、係合凹部3aと、係合凸部4aと、係合凹部3aの外周壁部15に装着され且つ環状係合部4cに係合するロック位置と係合しないアンロック位置に切換え可能な複数の鋼球16(係合具に相当する)と、マスタープレート3に形成された流体圧シリンダ20であって複数の鋼球16をアンロック位置とロック位置とに亙って切換え可能な流体圧シリンダ20とを備えている。
【0032】
この流体圧シリンダ20は、複数の鋼球16を径方向内方へ移動させることでアンロック位置からロック位置に切換える環状の流体圧シリンダからなる。
この流体圧シリンダ20は、マスタープレート3の外周寄り部位に形成されている。この流体圧シリンダ20は、環状のシリンダ孔21と、環状のピストン部材22と、ロック用流体室21aと、アンロック用流体室21bと、後述する2本の流体圧通路23,24とを有する。
【0033】
シリンダ孔21は、マスタープレート3の環状部材11とリング部材12とで断面L形に形成されている。ピストン部材22は、環状のピストン部22aと、このピストン部22aの外径側部分の下端から下方へ延びる環状のロッド部22bとを有する。ピストン部材22の内周部には2本のシール部材a,bが装着され、ピストン部材22の外周部には1本のシール部材cが装着されている。
【0034】
ロッド部22bの下端部分の内周面には、下方へ移行する程径が大きくなる環状湾曲面22cが形成され、ピストン部材22を下方へ駆動すると、環状湾曲面22cが複数の鋼球16を外径側のアンロック位置から内径側のロック位置へ押動する。
【0035】
係合凹部3aの外周壁部15に形成された環状隙間17に複数の鋼球16を周方向に密に並べて収容可能になっている。環状隙間17は、外周壁部本体15aの下端の環状テーパ面17aと、外周壁部下端部15bの上端の環状テーパ面17bとを上下に対向させて形成されている。尚、前記テーパ面17aは内径側ほど低くなるように傾斜し、前記テーパ面17bは内径側ほど高くなるように傾斜しており、鋼球16が環状隙間17から内径側へ脱落しないように形成されている。
【0036】
図3に示すように、アンロック用流体室21bに流体圧を充填してピストン部材22を上昇させたアンロック状態のとき、流体圧シリンダ20のピストン部材22は上限位置にあり、複数の鋼球16は最大限外径側に位置し、外周壁部15の内周面から内径側へ突出することはない。図4に示すように、ロック用流体室21aに流体圧を充填してピストン部材22を下降させたロック状態のとき、複数の鋼球16は、ロッド部22bの環状湾曲面22cで最大限内径側に押動され、外周壁部15の内周面よりも内径側へ部分的に突出し、環状係合部4cの下向き傾斜面に係合して、このロボットアームカップリング装置1を連結状態にする。
【0037】
次に、前記流体圧シリンダ20に流体圧を給排する2つの流体圧通路23,24について説明する。図3図4に示すように、ロボットアーム2の内部の中心側部分には貫通孔8よりも大径の中空孔7が形成されている。
第1の流体圧通路23は、中空孔7内に導設され且つ流体圧供給源に接続された管材23aと、この管材23aの下端に接続され且つ環状部材11のネジ穴に螺合接続された管継手23bと、ネジ穴をロック用流体室21aに接続するように環状部材11に形成された小径通路23cとを有する。
【0038】
第2の流体圧通路24は、中空孔7内に導設され且つ流体圧供給源に接続された管材24aと、この管材24aの下端に接続され且つ環状部材11のネジ穴に螺合接続された管継手24bと、ネジ穴をアンロック用流体室21bに接続するように環状部材11に形成された小径通路24cとを有する。流体圧シリンダ20が環状の流体圧シリンダであるため、第1,第2の流体圧通路23,24は、マスタープレート3のうちの複数の鋼球16及び流体圧シリンダ20よりも内径側に配置することができる。
【0039】
次に、ロボットアーム側からツール側へ流体圧を供給可能な同構造の2つの流体圧給排路25について図1に基づいて説明する。尚、2つの流体圧給排路25に限定されず、1つの流体圧給排路25を設けてもよく、3つ以上の流体圧給排路25を設けてもよい。
【0040】
流体圧給排通路25は、ロボットアーム2内の中空孔7内に導設され且つ流体圧供給源に接続された管材26と、この管材26の下端に接続された管継手27と、マスタープレート3内に形成され且つ管継手27に接続された第1通路28と、ツールプレート4内に形成された第2通路30と、第1通路28に介装されて第1,第2通路28,30を接続可能なカップリング機構29と、ツール保持部材5内の中空孔10内に導設された管材32と、この管材32の上端に接続され且つ第2通路30に接続された管継手31とを備えている。
【0041】
前記カップリング機構29は、バネ収容孔29aと、バネ収容孔29aに収容された圧縮バネ29bと、バネ収容孔29aから下方へ延びた円筒孔29cと、この円筒孔29cに可動に装着された可動子29dであって圧縮バネ29bにより下方へ付勢され且つ中心部に小径通路29eを有する可動子29dとを備えている。
【0042】
前記可動子29dの上部の外周と下端部にはシール部材d,eが装着されている。可動子29dはその中段部の外周部に装着された止め輪29fにより円筒孔29cから脱落しないようになっている。ロボットアームカップリング装置1を接続したとき、可動子29dがツールプレート4の上面に当接し、第1通路28の下端が第2通路30の上端に流体密状に接続される。
【0043】
以上説明したロボットアームカップリング装置1の作用、効果について説明する。
流体圧シリンダ20に流体圧を給排する2つの流体圧通路23,24を複数の鋼球16及び流体圧シリンダ20よりも内径側に配設したため、流体圧通路23,24がマスタープレート3の外周外に突出しないように配設することができる。
【0044】
流体圧シリンダ20を環状の流体圧シリンダで構成したため、複数の鋼球16を径方向内方へ移動させることでアンロック位置からロック位置に切換えることができる。しかも、環状の流体圧シリンダ20の中心側空間に流体圧供給通路や導電線を配置するスペースを確保することができる。
【0045】
2つの流体圧給排路25を複数の鋼球16及び流体圧シリンダ20よりも内径側に配置したため、2つの流体圧給排路25がマスタープレート3やツールプレート4の外周外に突出しないように配設することができる。
【0046】
複数の鋼球16を環状隙間17に環状に配置し、複数の鋼球16を周方向に密に並べるため、鋼球16の数も多くなり、鋼球16と接触する接触面の面圧も小さくなる関係上、1対の環状テーパ面17a,17bを対向させて形成された環状隙間17に、複数の鋼球16を周方向に密に並べて収容することができる。鋼球16との接触面の面圧を下げるために収容溝を形成する必要がないため、製作費を低減可能である。
【0047】
流体圧シリンダ20が環状の流体圧シリンダであるため、流体圧シリンダ20をマスタープレート3の外周寄り部位に配置し、複数の鋼球16をマスタープレート3の外周寄り部位に配置することができる。
【0048】
前記流体圧給排路25は、マスタープレート3内に形成された第1通路28と、ツールプレート4内に形成された第2通路30と、第1,第2通路28,30を接続可能なカップリング機構29とを有し、ロボットアームカップリング装置1を接続する際に、第1,第2通路28,30をカップリング機構29を介して接続することができる。
【0049】
次に、変更形態に係るロボットアームカップリング装置1Aについて説明する。
但し、前記実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略し、異なる構成要素についてのみ説明する。
図6に示すように、複数の鋼球16及び流体圧シリンダ20よりも内径側に、ロボットアーム側とツール側との間で電力又は電気信号を授受する為の複数の導電線を束にした導電線束40が配置されている。
【0050】
前記導電線束40は、中空孔7とマスタープレート3内の貫通孔8内に配設された第1導電線束41と、ツールプレート4内の貫通孔9とツール保持部材5内の中空孔10内に配設された第2電線束42と、マスタープレート3にツールプレート4をロック機構6により連結した際に第1,第2導電線束41,42を接続するコネクタ43とを有する。
【0051】
前記コネクタ43は、環状部材11の貫通孔8に張り出したフランジ部11aで位置規制された雄側コネクタ43aと、ツールプレート4の貫通孔9に張り出したフランジ部4fで位置規制された雌側コネクタ43bとを有する。ロボットアームカップリング装置1Aを接続する際に、第1,第2導電線束41,42をコネクタ43を介して接続することができる。
【0052】
更に、このロボットアームカップリング装置1Aでは前記流体圧シリンダ20が変更されている。この流体圧シリンダ20Aでは、ロック用流体室が省略されて大気開放室21cとされている。ピストン部22aに上端が大気開放室21cに開放された環状溝45が形成され、この環状溝45に圧縮スプリング46が装着され、この圧縮スプリング46の弾性力でロック機構6Aをロック状態に保持可能になっている。なお、アンロック用流体室21bに供給する流体圧によりアンロック状態に切換えるように構成されている。
【0053】
上記の圧縮スプリング46は1つのコイルスプリングで構成してもよく、また、複数のコイルスプリングで構成してもよい。
圧縮スプリング46の弾性力でロック状態に保持するため、流体圧のリークが発生しても、ロボットアームカップリング装置1Aの連結状態が保持される。
【0054】
前記の実施形態を部分的に変更する例について説明する。
1)流体圧シリンダとして、加圧エアで駆動する形式のエアシリンダが望ましいが、油圧(圧縮油)で駆動する形式の油圧シリンダも採用可能である。
【0055】
2)前記外周壁部15の先端側分割部材15bに代えて、外周壁部15を一体的に形成し、その外周壁部15に適当間隔おきに水平方向向きのテーパ孔からなる複数の鋼球保持孔を形成し、それら鋼球保持孔に鋼球16を可動に装着してもよい。
【0056】
3)前記鋼球16の代わりに、ローラやコロを採用してもよく、また、回動カムや回動爪を採用してもよい。
【0057】
4)その他、当業者ならば本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそれらをも包含するものである。
【符号の説明】
【0058】
1,1A ロボットアームカップリング装置
2 ロボットアーム
3 マスタープレート
3a 係合凹部
4 ツールプレート
4a 係合凸部
4c 環状係合部
6,6A ロック機構
11a 先端側分割部材
15 外周壁部
15a 外周壁部本体
15b 外周壁部下端部
16 鋼球(係合具)
17 環状隙間
17a,17b 環状テーパ面
20,20A 流体圧シリンダ
23,24 流体圧通路
25 流体圧給排路
28 第1通路
29 カップリング機構
30 第2通路
40,42 第1,第2導電線束
43 コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6