(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
潤滑ポンプを始動及び停止させ始動時に潤滑ポンプから主配管に潤滑油を送給し、該主配管に接続した複数の定量バルブから給脂配管を介して潤滑ポートに潤滑油を間欠的に供給する潤滑システムに設けられた潤滑システムの異常検出装置において、
上記各潤滑ポートに設けられ内部の弁体の開閉により潤滑油の流動を検知する流動検知器と、上記潤滑油の温度を検知する温度センサと、上記各流動検知器の弁体の開閉及び上記温度センサの検知温度に基づいて上記潤滑システムの異常管理を行う管理部とを備え、
上記管理部は、上記潤滑ポンプの始動及び停止を認識する始動停止認識手段と、上記各流動検知器の弁体の開及び閉を検出する開閉検出手段と、上記各流動検知器毎に上記始動停止認識手段が始動を認識してから上記開閉検出手段が弁体の開を検出するまでの開開始時間を算出する開開始時間算出手段と、上記各流動検知器毎に潤滑油の温度と弁体の適正な適正開開始時間範囲との相関関係を記憶する相関関係記憶手段と、上記各流動検知器毎に上記温度センサが検知した温度から上記相関関係記憶手段に記憶され該当する温度における適正開開始時間範囲を導出する適正開開始時間範囲導出手段と、上記各流動検知器毎に上記開開始時間算出手段が算出した開開始時間が上記適正開開始時間範囲導出手段が導出した適正開開始時間範囲内か範囲外を判断する開開始時間判断手段と、該開開始時間判断手段が少なくともいずれか1つの流動検知器について範囲外と判断したとき異常と判断する異常判断手段とを備えたことを特徴とする潤滑システムの異常検出装置。
上記開開始時間判断手段を、上記開開始時間が上記適正開開始時間範囲導出手段が導出した適正開開始時間範囲の最小値より小さいか否か、且つ、該適正開開始時間範囲の最大値より大きいか否かを判断する機能を備えて構成し、
上記異常判断手段は、上記各流動検知器毎に、上記開開始時間判断手段が上記開開始時間が最小値より小さいと判断したとき、「早開始異常」と判断し、上記開開始時間判断手段が上記開開始時間が最大値より大きいと判断したとき、「遅開始異常」として、夫々区別して判断する機能を備えて構成したことを特徴とする請求項1記載の潤滑システムの異常検出装置。
上記異常判断手段は、上記流動検知器全てが「早開始異常」のとき「全早開始異常」と判断し、上記流動検知器全てが「遅開始異常」のとき「全遅開始異常」と判断する機能を備えて構成したことを特徴とする請求項2記載の潤滑システムの異常検出装置。
上記管理部は、上記潤滑ポンプの始動から停止までの運転時間を認識する運転時間認識手段と、上記各流動検知器毎に、上記開閉検出手段が上記運転時間認識手段が認識する運転時間が過ぎても弁体の開を検出しないときこれを通知する開不検出通知手段とを備え、上記異常判断手段は、上記各流動検知器毎に、上記開不検出通知手段が弁体の開を検出しないことを通知したとき、「不開異常」と判断する機能を備えたことを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の潤滑システムの異常検出装置。
上記管理部は、上記各流動検知器毎に、上記開閉検出手段が上記運転時間認識手段が認識する運転時間が過ぎても弁体の閉を検出しないときこれを通知する閉不検出通知手段を備え、上記異常判断手段は、上記各流動検知器毎に、上記閉不検出通知手段が弁体の閉を検出しないことを通知したとき、「不閉異常」と判断する機能を備えたことを特徴とする請求項4記載の潤滑システムの異常検出装置。
上記管理部は、上記潤滑ポンプの始動から停止までの運転時間を認識する運転時間認識手段と、該潤滑ポンプの始動から停止までの運転時間内において上記各流動検知器毎に上記開閉検出手段による弁体の開閉回数をカウントする開閉回数カウント手段と、上記潤滑ポンプの始動から停止までの運転時間内において上記各流動検知器毎に適正な弁体の開閉回数を記憶する適正開閉回数記憶手段と、上記各流動検知器毎に上記開閉回数カウント手段がカウントした開閉回数が上記適正開閉回数記憶手段が記憶した適正開閉回数範囲内か範囲外を判断する開閉回数判断手段とを備え、上記異常判断手段は、該開閉回数判断手段が少なくともいずれか1つの流動検知器について範囲外と判断したとき異常と判断する機能を備えたことを特徴とする請求項1乃至5何れかに記載の潤滑システムの異常検出装置。
上記開閉回数判断手段を、上記開閉回数が上記適正開閉回数記憶手段が記憶した適正回数範囲の最小値より小さいか否か、且つ、該適正回数範囲の最大値より大きいか否かを判断する機能を備えて構成し、
上記異常判断手段は、上記各流動検知器毎に、上記開閉回数判断手段が上記開閉回数が最小値より小さいと判断したとき、「少回数異常」として、上記開閉回数判断手段が上記開閉回数が最大値より大きいと判断したとき、「多回数異常」として、夫々区別して判断する機能を備えて構成したことを特徴とする請求項6記載の潤滑システムの異常検出装置。
【背景技術】
【0002】
一般に、
図13に示すように、例えば、射出成形機Mにおいては、グリスやオイル等の潤滑油を供給する潤滑システムが備えられている。射出成形機Mは、機台1に射出部2及び型締部3を備えている。射出部2は、ホッパ4からの樹脂を加熱溶融して型締部3の金型5に図示外のスクリューにより射出する射出シリンダ6を備えている。射出部2には、射出シリンダ6内のスクリューを回転駆動する回転機構及びスクリューを前後動させるボールネジ機構Bを備えた射出駆動部7が備えられているとともに、射出シリンダ6を前後動させるボールネジ機構Bを備えた前後動駆動部8が備えられている。一方、型締部3は、機台1上に固定され固定型5aを支持する固定盤10と、固定盤10に対して軸方向に移動可能な可動型5bを支持する可動盤11と、可動盤11と後側盤12との間に設けられ可動盤11を型閉じ方向あるいは型開き方向に駆動するトグル機構Tと、このトグル機構Tを駆動するボールネジ機構Bを備えた駆動ユニット13とを備えて構成されている。
【0003】
そして、この射出成形機Mにおいては、潤滑システムJにより、所要の潤滑箇所Lにグリスやオイル等の潤滑油を供給している。潤滑箇所Lは、トグル機構Tの軸及び軸受からなる回動部、ボールネジ機構Bのねじ軸及びねじ軸にボールを介して噛合したナットからなる噛合部等、各所に設けられる。潤滑システムJは、
図13に示すように、例えば、潤滑油を送給する潤滑ポンプ20を備え、潤滑油の加圧及び脱圧により作動させられる複数の定量バルブVをジャンクション21に取付け、このジャンクション21に潤滑ポンプ20からの潤滑油を送給する主配管22を接続し、潤滑箇所Lが設けられた機械部材に孔状の潤滑ポートPを形成し、各定量バルブVに潤滑ポートPへ至る給脂配管23を接続し、各定量バルブVから吐出される潤滑油を潤滑箇所Lに間欠的に供給する。例えば、トグル機構Tの潤滑ポートPは軸受を包持するハウジングに形成され、ボールネジ機構Bの潤滑ポートPはナットに形成されている。定量バルブVの1ショット当たりの流量は、例えば、0.005cc〜1ccの範囲で、数種用意され、潤滑箇所Lに合わせてこれらから1若しくは複数種類選択されて配管される。
【0004】
この潤滑システムJにおいては、潤滑システムの異常を検出する異常検出装置を備え、潤滑油が正常に供給されているか否かを見て安全を図ることを行う。異常検出装置は、例えば、実開昭53−16743号公報に掲載されているような流動検知器を用いることができる。
【0005】
図14に示すように、流動検知器Kaは、潤滑油が通過可能な円筒内面を有した流体空間Eを有した絶縁体からなる本体100を備え、この本体100に流体空間Eの一端に流体空間Eの中心軸Pを中心とする供給開口101を有した潤滑油の供給口102を形成し、本体100の側部に流体空間Eに連通する吐出開口103を有した潤滑油の吐出口104を形成し、供給開口101を形成する供給開口101の形成部材を導電体からなる一方電極105として構成し、本体100に流体空間Eの他端側に露出する露出部106を有するとともに一方電極105に対して絶縁された導電体からなる他方電極107を設け、流体空間E内に流体空間Eの中心軸Pに沿って移動させられ供給開口101の開口縁部108に当接して供給開口101を閉にする一方、供給開口101から離間して供給開口101を開にする導電体からなる弁体110を収納し、また、流体空間E内に一端が弁体110に接続され他端が他方電極107の露出部106に接続されて弁体110を供給開口101を閉にする方向に常時付勢する導電体からなるコイルスプリング111を収納して構成されている。また、他方電極107には、流体空間Eの中心軸Pに沿う軸線を軸とし弁体110が先端部112を突出させて摺動可能に挿入されるとともに基端側にコイルスプリング111の一端側が収納される摺動孔113を有した筒状のガイド部材114が固着されている。この潤滑油の流動検知装置Kaは、弁体110の開閉による所謂チェック弁を構成することになる。
【0006】
そして、この流動検知装置Kaを用いた異常検出装置は、例えば、流動検知装置Kaを各潤滑ポートPに取付けて給脂配管23をこれに接続する。そして、各流動検知装置Kaをその一方電極105に接続された配線115及び他方電極107に接続された配線116を介して図示外の管理部に接続し、この管理部により、一方電極105,弁体110,コイルスプリング111及び他方電極107から構成される電気回路に常時電圧を付与して、この電気回路の弁体110が閉になったときの接続,開になったときの切断を電気的に検出し、開閉の検知が行なわれないとき、異常があったとして報知するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した潤滑油の流動検知装置Kaを用いた異常検出装置にあっては、潤滑システムJにおいて、流動検知装置Kaを定量バルブVから潤滑箇所Lに至る給油配管23に接続して、潤滑油の流動を検知する際、例えば、主配管22や給脂配管23の配管漏れ,目詰まり,バルブV内の潤滑油の固着などの原因で支障が生じても、潤滑油が僅かに流れたり、過剰に流れて、流動検知装置Kaが潤滑油の流動を検知して、正常と判断することがありえるので、正確な異常判断ができないという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みて為されたもので、弁体の開閉検知に基づいて、できるだけ多岐に亘って正確に異常の判断ができるようにした潤滑システムの異常検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するため、本発明の潤滑システムの異常検出装置は、潤滑ポンプを始動及び停止させ始動時に潤滑ポンプから主配管に潤滑油を送給し、該主配管に接続した複数の定量バルブから給脂配管を介して潤滑ポートに潤滑油を間欠的に供給する潤滑システムに設けられた潤滑システムの異常検出装置において、
上記各潤滑ポートに設けられ内部の弁体の開閉により潤滑油の流動を検知する流動検知器と、上記潤滑油の温度を検知する温度センサと、上記各流動検知器の弁体の開閉及び上記温度センサの検知温度に基づいて上記潤滑システムの異常管理を行う管理部とを備え、
上記管理部は、上記潤滑ポンプの始動及び停止を認識する始動停止認識手段と、上記各流動検知器の弁体の開及び閉を検出する開閉検出手段と、上記各流動検知器毎に上記始動停止認識手段が始動を認識してから上記開閉検出手段が弁体の開を検出するまでの開開始時間を算出する開開始時間算出手段と、上記各流動検知器毎に潤滑油の温度と弁体の適正な適正開開始時間範囲との相関関係を記憶する相関関係記憶手段と、上記各流動検知器毎に上記温度センサが検知した温度から上記相関関係記憶手段に記憶され該当する温度における適正開開始時間範囲を導出する適正開開始時間範囲導出手段と、上記各流動検知器毎に上記開開始時間算出手段が算出した開開始時間が上記適正開開始時間範囲導出手段が導出した適正開開始時間範囲内か範囲外を判断する開開始時間判断手段と、該開開始時間判断手段が少なくともいずれか1つの流動検知器について範囲外と判断したとき異常と判断する異常判断手段とを備えた構成としている。
【0011】
これにより、潤滑システムの潤滑ポンプが始動されて潤滑油が主配管に送給されると、主配管に接続した複数の定量バルブから給脂配管を介して潤滑ポートに潤滑油が供給される。これを受けて、流動検知器においては、内部の弁体に潤滑油が作用し弁体が開になり、潤滑油は潤滑ポートに供給される。定量バルブからの潤滑油の供給が停止されると、弁体は戻って閉になる。流動検知器は、この弁体の開閉により潤滑油の流動を検知する。一方、温度センサは、潤滑油の温度を検知している。
【0012】
管理部においては、始動停止認識手段が潤滑ポンプの始動及び停止を認識しており、開閉検出手段が流動検知器の弁体の開及び閉を検出する。また、開開始時間算出手段が、各流動検知器毎に始動停止認識手段が始動を認識してから開閉検出手段が弁体の開を検出するまでの開開始時間を算出する。一方、相関関係記憶手段においては各流動検知器毎に潤滑油の温度と弁体の適正な適正開開始時間範囲との相関関係が記憶されており、適正開開始時間範囲導出手段は、温度センサが検知した温度から相関関係記憶手段に記憶され該当する温度における適正開開始時間範囲を導出する。
そして、開開始時間判断手段が、各流動検知器毎に開開始時間算出手段が算出した開開始時間が適正開開始時間範囲導出手段が導出した適正開開始時間範囲内か範囲外を判断し、範囲内と判断したときは正常とし、範囲外と判断したとき異常判断手段が異常と判断する。
【0013】
このため、弁体の開開始時間が潤滑油の温度と相関関係にある適正開開始時間範囲内にあるか、範囲外なのかを判断するので、弁体の開開始時間の長短により潤滑システムの異常を判断できるようになる。弁体の開開始時間が適正開開始時間範囲外と判断されれば、潤滑システムに何らかの支障が生じていると判断することができる。
【0014】
そして、必要に応じ、上記開開始時間判断手段を、上記開開始時間が上記適正開開始時間範囲導出手段が導出した適正開開始時間範囲の最小値より小さいか否か、且つ、該適正開開始時間範囲の最大値より大きいか否かを判断する機能を備えて構成し、
上記異常判断手段は、上記各流動検知器毎に、上記開開始時間判断手段が上記開開始時間が最小値より小さいと判断したとき、「早開始異常」と判断し、上記開開始時間判断手段が上記開開始時間が最大値より大きいと判断したとき、「遅開始異常」として、夫々区別して判断する機能を備えて構成している。
【0015】
即ち、例えば、流動検知器の弁体が適正開開始時間より早く開開始した「早開始異常」の場合、例えば、潤滑ポート側のすべり軸受等が摩耗して潤滑システムに影響していることを知ることができる。また、「早開始異常」が全部の流動検知器に及ぶようになると、例えば、潤滑油の粘度が低すぎるなどの潤滑油異常を知ることができる。また、例えば、流動検知器の弁体が適正開開始時間より遅く開開始した「遅開始異常」の場合には、例えば、給脂配管の負荷が増大しているとして、異常を知ることができる。更に、全部の流動検知器の弁体が適正開開始時間より遅く開開始した場合には、例えば、主配管に破損があったり、大量のエアが混入するなどの主配管異常を知ることができる。その結果、多岐に亘って異常の判断ができ、できるだけ正確に異常の判断ができるようになり、異常検知の信頼性を向上させることができる。また、異常の種類を知ることができるようになり、適切な対処を取ることができるようになる。
【0016】
そしてまた、必要に応じ、上記異常判断手段は、上記流動検知器全てが「早開始異常」のとき「全早開始異常」と判断し、上記流動検知器全てが「遅開始異常」のとき「全遅開始異常」と判断する機能を備えて構成している。これにより、異常の種類を特定して知ることができるようになり、より一層適切な対処を取ることができるようになる。例えば、全部の流動検知器の弁体が適正開開始時間より早く開開始した「全早開始異常」の場合には、例えば、潤滑油の粘度が低すぎるなどの潤滑油異常を知ることができる。また、全部の流動検知器の弁体が適正開開始時間より遅く開開始した「全遅開始異常」の場合には、例えば、主配管に破損があったり、大量のエアが混入するなどの主配管異常を知ることができる。
【0017】
また、必要に応じ、上記管理部は、上記潤滑ポンプの始動から停止までの運転時間を認識する運転時間認識手段と、上記各流動検知器毎に、上記開閉検出手段が上記運転時間認識手段が認識する運転時間が過ぎても弁体の開を検出しないときこれを通知する開不検出通知手段とを備え、上記異常判断手段は、上記各流動検知器毎に、上記開不検出通知手段が弁体の開を検出しないこと通知したとき、「不開異常」と判断する機能を備えた構成としている。これにより、「不開異常」と判断されたときは、例えば、バルブや給脂配管の詰まりなどの異常を知ることができる。そのため、異常の種類を更に特定して知ることができるようになり、より一層適切な対処を取ることができるようになる。
【0018】
この場合、上記管理部は、上記各流動検知器毎に、上記開閉検出手段が上記運転時間認識手段が認識する運転時間が過ぎても弁体の閉を検出しないときこれを通知する閉不検出通知手段を備え、上記異常判断手段は、上記各流動検知器毎に、上記閉不検出通知手段が弁体の閉を検出しないことを通知したとき、「不閉異常」と判断する機能を備えたことが有効である。これにより、「不閉異常」と判断されたときは、例えば、流動検知器自体の異常を知ることができる。異常の種類を更に特定して知ることができるようになり、より一層適切な対処を取ることができるようになる。
【0019】
更に、必要に応じ、上記管理部は、上記潤滑ポンプの始動から停止までの運転時間を認識する運転時間認識手段と、該潤滑ポンプの始動から停止までの運転時間内において上記各流動検知器毎に上記開閉検出手段による弁体の開閉回数をカウントする開閉回数カウント手段と、上記潤滑ポンプの始動から停止までの運転時間内において上記各流動検知器毎に適正な弁体の開閉回数を記憶する適正開閉回数記憶手段と、上記各流動検知器毎に上記開閉回数カウント手段がカウントした開閉回数が上記適正開閉回数記憶手段記憶した適正開閉回数範囲内か範囲外を判断する開閉回数判断手段とを備え、上記異常判断手段は、該開閉回数判断手段が少なくともいずれか1つの流動検知器について範囲外と判断したとき異常と判断する機能を備えた構成としている。例えば、適正開閉回数範囲より多い場合には、給脂負荷増大などの異常を知ることができる。
【0020】
この場合、必要に応じ、上記開閉回数判断手段を、上記開閉回数が上記適正開閉回数記憶手段が記憶した適正回数範囲の最小値より小さいか否か、且つ、該適正回数範囲の最大値より大きいか否かを判断する機能を備えて構成し、
上記異常判断手段は、上記各流動検知器毎に、上記開閉回数判断手段が上記開閉回数が最小値より小さいと判断したとき、「少回数異常」として、上記開閉回数判断手段が上記開閉回数が最大値より大きいと判断したとき、「多回数異常」として、夫々区別して判断する機能を備えて構成している。
これによっても、異常の種類を更に特定して知ることができるようになり、より一層適切な対処を取ることができるようになる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明によれば、弁体の開開始時間が潤滑油の温度と相関関係にある適正開開始時間範囲内にあるか、範囲外なのかを判断するので、弁体の開開始時間の長短により潤滑システムの異常を判断できるようになる。弁体の開開始時間が適正開開始時間範囲外と判断されれば、潤滑システムに何らかの支障が生じていると判断することができる。そのため、弁体の開閉検知に基づいて、できるだけ多岐に亘って正確に異常の判断ができるようになり、管理の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施の形態に係る潤滑システムの異常検出装置をこれが適用される潤滑システムとともに示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る潤滑システムの異常検出装置が適用される潤滑システムを示す要部図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る潤滑システムの異常検出装置で用いられる流動検知器の潤滑箇所への取付例を示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る潤滑システムの異常検出装置で用いられる流動検知器を示す断面図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る潤滑システムの異常検出装置で用いられる流動検知器の潤滑箇所への取付例を示す断面図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る潤滑システムの異常検出装置の管理部の構成を示すブロック図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る潤滑システムの異常検出装置の管理部の構成を示す別のブロック図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係る潤滑システムの異常検出装置において、潤滑油の温度と弁体の適正な開開始時間範囲との相関関係の一例を示すグラフ図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係る潤滑システムの異常検出装置において、管理部の処理フローを示すフローチャートである。
【
図10】本発明の実施の形態に係る潤滑システムの異常検出装置において、管理部の処理フローを示すフローチャートである。
【
図11】本発明の実施の形態に係る潤滑システムの異常検出装置において、管理部の処理フローを示すフローチャートである。
【
図12】本発明の実施の形態に係る潤滑システムの異常検出装置において、管理部の処理フローを示すフローチャートである。
【
図13】本発明の実施の形態に係る潤滑システムの異常検出装置が適用される射出成形機の構成例を示す図である。
【
図14】従来からある流動検知器の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係る潤滑システムの異常検出装置について説明する。
図1乃至
図7に示す実施の形態に係る潤滑システムの異常検出装置Kは、上述もした射出成形機Mに搭載される潤滑システムとしての潤滑システムJに適用される。
【0024】
射出成形機Mは、
図13に示すように、機台1に設けられた射出部2及び型締部3を備えている。射出部2は、ホッパ4からの樹脂を加熱溶融して型締部3の金型5に図示外のスクリューにより射出する射出シリンダ6を備えている。射出部2には、射出シリンダ6内のスクリューを回転駆動する回転機構及びスクリューを前後動させるボールネジ機構Bを備えた射出駆動部7が備えられているとともに、射出シリンダ6を前後動させるボールネジ機構Bを備えた前後動駆動部8が備えられている。一方、型締部3は、機台1上に固定され固定型5aを支持する固定盤10と、固定盤10に対して軸方向に移動可能な可動型5bを支持する可動盤11と、可動盤11と後側盤12との間に設けられ可動盤11を型閉じ方向あるいは型開き方向に駆動するトグル機構Tと、このトグル機構Tを駆動するボールネジ機構Bを備えた駆動ユニット13とを備えて構成されている。
【0025】
そして、
図3及び
図5にも示すように、潤滑システムJにより、所要の潤滑箇所Lにグリスやオイル等の潤滑油が供給される。潤滑箇所Lは、潤滑箇所Lが設けられる機械部材に形成した孔状の潤滑ポートPを通して潤滑油が供給され、トグル機構Tの軸15及び軸受16からなる回動部、ボールネジ機構Bのねじ軸及びねじ軸にボールを介して噛合したナットからなる噛合部(図示せず)等、各所に設けられる。トグル機構Tにおいては、潤滑ポートPは軸受16を覆う機械部材としてのハウジング17に形成され、ボールネジ機構Bにおいてはナットに形成されている。尚、
図3及び
図5において、潤滑箇所Lはトグル機構Tの軸15及び軸受16からなる回動部を示しており、ボールネジ機構Bのねじ軸及びねじ軸にボールを介して噛合したナットからなる噛合部については図示を省略する。
【0026】
潤滑システムJは、
図1,
図2及び
図13に示すように、例えば、潤滑油を送給する潤滑ポンプ20を備え、潤滑油の加圧及び脱圧により作動させられる複数の定量バルブV(V1〜Vn)をジャンクション21に取付け、このジャンクション21に潤滑ポンプ20からの潤滑油を送給する主配管22を接続し、潤滑箇所Lが設けられた機械部材に孔状の潤滑ポートPを形成し、各定量バルブVに潤滑ポートPへ至る給脂配管23を接続し、各定量バルブVから吐出される潤滑油を潤滑箇所Lに間欠的に供給する。例えば、トグル機構Tの潤滑ポートPは軸受を包持するハウジングに形成され、ボールネジ機構Bの潤滑ポートPはナットに形成されている。
【0027】
定量バルブVの1ショット当たりの流量は、例えば、0.005cc〜1ccの範囲で、数種用意され、潤滑箇所Lに合わせてこれらから1若しくは複数種類選択されて配管される。潤滑ポンプ20は、後述の管理部60によって駆動制御される。潤滑ポンプ20の間欠時間は、所要の時間に定められており、例えば、管理部60が備えるタイマーによりその間欠時間が設定される。また、潤滑ポンプ20の作動時間も全定量バルブVが作動できる適正な時間に設定され、例えば、タイマーによりその作動時間が設定される。
【0028】
本異常検出装置Kは、各定量バルブV(Vn1〜Vn)毎に夫々設けられ、対応する定量バルブVから潤滑箇所Lに潤滑油が確実に供給されているか否かを検知する流動検知器30(SM1〜SMn)を備えている。
図1乃至
図5に示すように、流動検知器30は、孔状の潤滑ポートPにアダプタ31を介して取付けられている。詳しくは、
図4に示すように、流動検知器30は、潤滑油が通過可能な円筒内面を有した流体空間Eを有した本体32を備えている。この本体32には、流体空間Eの一端に流体空間Eの中心軸を中心とする供給開口33を有した潤滑油の供給口34が形成され、また、本体32には、流体空間Eに連通する吐出開口35を有しアダプタ31の流路に接続される潤滑油の吐出口36が形成されている。更に、本体32には、流体空間Eの一端側に露出する接点部37を有した導電体からなる一方電極Daが設けられるとともに、流体空間Eの他端側に露出する露出部38を有し一方電極Daに対して絶縁された導電体からなる他方電極Dbが設けられている。本体32は、供給開口33を形成する金属等の導電体からなるブッシュ39を備えており、このブッシュ39及び/またはその周囲を流体空間Eの一端側に露出する接点部37とした一方電極Daとして構成されている。
【0029】
また、流体空間E内には、流体空間Eの中心軸に沿って移動させられ一方電極Daの接点部37に当接して供給開口33を閉にし、接点部37から離間して供給開口33を開にする導電体からなる弁体40が収納されている。また、流体空間E内には、一端が弁体40に接続され他端が他方電極Dbの露出部38に接続されて弁体40を供給開口33を閉にする方向に常時付勢する導電体からなるコイルスプリング41が収納されている。更に、流動検知器30においては、弁体40に付設されて流体空間E内に設けられる樹脂などの絶縁体からなるガイド部材42が備えられている。このガイド部材42は、供給開口33から吐出開口35に至る潤滑油の流路を確保して流体空間Eの円筒内面を摺動可能に形成されるとともに、流体空間Eの一端面に対峙して供給開口33からの潤滑油を受ける受面43を有し且つ流体空間Eの他端面に対峙する天面44を有して構成されている。
【0030】
これにより、この流動検知器30は、一方電極Da,弁体40,コイルスプリング41及び他方電極Dbから構成される電気回路において、弁体40が閉になったときの接続,開になったときの切断を電気的に検出することにより、潤滑油の流動を検知できるように構成されている。流動検知器30は、アダプタ31を介して潤滑ポートPに接続されている。詳しくは、流動検知器30の吐出口36には雌ネジ45が形成されているとともに、潤滑ポートPにも雌ネジ46が形成されており、アダプタ31は、その中心に流路を有し軸方向一側に吐出口36の雌ネジ44に螺合する雄ネジ47が形成され、軸方向他側に潤滑ポートPの雌ネジ46に螺合する雄ネジ48が形成されて構成されている。これにより、このアダプタ31は、一側の雄ネジ47を吐出口36に螺合し、他側の雄ネジ48を潤滑ポートPの雌ネジ46に螺合することにより、流動検知器30を潤滑箇所Lに取り付けている。
【0031】
また、本異常検出装置Kは、潤滑油としての潤滑油の温度を検知する温度センサSを備えている。温度センサSとしては、例えば、温度によって出力電圧が上昇するタイプの周知のものが用いられる。温度センサSは、
図1に示すように、潤滑ポンプ20のタンク20a内の潤滑油の温度を検知している。
【0032】
また、
図1,
図6及び
図7に示すように、本異常検出装置Kは、流動検知器30,温度センサSからの検知信号に基づいて、潤滑システムJの異常管理を行う管理部60を備えている。管理部60は、CPU等の機能によって実現され、
図6及び
図7に示すように、潤滑ポンプ20の始動及び停止を認識する始動停止認識手段61と、各流動検知器30の弁体40の開及び閉を検出する開閉検出手段62と、各流動検知器30毎に始動停止認識手段61が始動を認識してから開閉検出手段62が弁体40の開を検出するまでの開開始時間を算出する開開始時間算出手段63と、各流動検知器30毎に潤滑油の温度と弁体40の適正な適正開開始時間範囲との相関関係を記憶する相関関係記憶手段64と、各流動検知器30毎に温度センサSが検知した温度から相関関係記憶手段64に記憶され該当する温度における適正開開始時間範囲を導出する適正開開始時間範囲導出手段65と、各流動検知器30毎に開開始時間算出手段63が算出した開開始時間が適正開開始時間範囲導出手段65が導出した適正開開始時間範囲内か範囲外を判断する開開始時間判断手段66と、開開始時間判断手段66が少なくともいずれか1つの流動検知器30について範囲外と判断したとき異常と判断する異常判断手段67とを備えて構成されている。
【0033】
管理部60においては、流動検知器30の一方電極Da,弁体40,コイルスプリング41及び他方電極Dbから構成される電気回路に常時電圧を付与しており、開閉検出手段62は、この電気回路の弁体40が閉になったときの接続,開になったときの切断を電気的に検出する。
【0034】
相関関係記憶手段64が記憶する各流動検知器30毎に潤滑油の温度と弁体40の適正な適正開開始時間範囲との相関関係は、例えば、潤滑油の種類や定量バルブVの吐出量等によって各潤滑箇所毎に異なるので、予め、潤滑箇所L毎に試験を行って定めておく。
図8には、その一例を示す。温度変化に対して、適正開開始時間範囲の最小値及び最大値を求めておく。
【0035】
詳しくは、開開始時間判断手段66は、開開始時間が適正開開始時間範囲導出手段65が導出した適正開開始時間範囲の最小値より小さいか否か、且つ、適正開開始時間範囲の最大値より大きいか否かを判断する機能を備えて構成されている。異常判断手段67は、各流動検知器30毎に、開開始時間判断手段66が上記開開始時間が最小値より小さいと判断したとき、「早開始異常」と判断し、開開始時間判断手段66が上記開開始時間が最大値より大きいと判断したとき、「遅開始異常」として、夫々区別して判断する機能を備えて構成されている。
【0036】
また、異常判断手段67は、流動検知器30全てが「早開始異常」のとき「全早開始異常」と判断し、流動検知器30全てが「遅開始異常」のとき「全遅開始異常」と判断する機能を備えて構成されている。
【0037】
更に、管理部60は、潤滑ポンプ20の始動から停止までの運転時間を認識する運転時間認識手段70と、各流動検知器30毎に、開閉検出手段62が運転時間認識手段70が認識する運転時間が過ぎても弁体40の開を検出しないときこれを通知する開不検出通知手段71と、各流動検知器30毎に、開閉検出手段62が運転時間認識手段70が認識する運転時間が過ぎても弁体40の閉を検出しないときこれを通知する閉不検出通知手段72とを備えて構成されている。
【0038】
異常判断手段67は、各流動検知器30毎に、開不検出通知手段71が弁体40の開を検出しないことを通知したとき、「不開異常」と判断する機能を備えているとともに、各流動検知器30毎に、閉不検出通知手段72が弁体40の閉を検出しないことを通知したとき、「不閉異常」と判断する機能を備えて構成されている。
【0039】
更にまた、管理部60は、運転時間認識手段70が認識した潤滑ポンプ20の始動から停止までの運転時間内において各流動検知器30毎に開閉検出手段62による弁体40の開閉回数をカウントする開閉回数カウント手段73と、潤滑ポンプ20の始動から停止までの運転時間内において各流動検知器30毎に適正な弁体40の開閉回数を記憶する適正開閉回数記憶手段74と、各流動検知器30毎に開閉回数カウント手段73がカウントした開閉回数が適正開閉回数記憶手段74が記憶した適正開閉回数範囲内か範囲外を判断する開閉回数判断手段75とを備えて構成されている。
【0040】
適正開閉回数記憶手段74が記憶する各流動検知器30毎の適正な弁体40の開閉回数は、例えば、潤滑油の種類や定量バルブVの吐出量等によって各潤滑箇所毎に異なるので、予め、潤滑箇所L毎に試験を行って定めておく。適正な弁体40の開閉回数の最小値及び最大値を求めておく。
【0041】
異常判断手段67は、開閉回数判断手段75が少なくともいずれか1つの流動検知器30について範囲外と判断したとき異常と判断する機能を備えて構成されている。詳しくは、開閉回数判断手段75は、開閉回数が適正開閉回数記憶手段74が記憶した適正回数範囲の最小値より小さいか否か、且つ、適正回数範囲の最大値より大きいか否かを判断する機能を備えて構成されている。異常判断手段67は、各流動検知器30毎に、開閉回数判断手段75が開閉回数が最小値より小さいと判断したとき、「少回数異常」として、開閉回数判断手段75が開閉回数が最大値より大きいと判断したとき、「多回数異常」として、夫々区別して判断する機能を備えて構成されている。
【0042】
また、本異常検出装置Kは、
図7に示すように、異常判断手段67が判断した判断結果に対応した異常内容を表示する表示手段80を備えている、表示手段80は、例えば、画面表示を行うモニターなどを備えて構成することができる。表示手段80が表示する表示内容は、
図7に示すように、「正常」,「早開始異常」,「遅開始異常」,「全早開始異常」,「全遅開始異常」,「不開異常」,「不閉異常」,「少回数異常」,「多回数異常」である。表示は、流動検知器30(SM1〜SMn)の番号毎に行われる。また、異常と判断されると、例えば、射出部2及び型締部3の駆動を停止し、あるいは、警報ランプを点灯したり警報器を鳴動させることができる。更にまた、管理部60は、上述したように潤滑システムJの潤滑ポンプ20の作動制御も行う機能等を備えている。
【0043】
従って、この射出成形機Mにおいては、射出部2及び型締部3が駆動されて射出成形を行うが、この射出成形機Mの駆動中においては、異常検出装置K及びその管理部60の制御により潤滑システムJの潤滑ポンプ20が稼動する。
図9乃至
図12に示すフローチャートを用い、管理部60において行われる処理について説明する。
【0044】
図9に示すフローチャートを参照し、温度センサSは温度検知を行っており(S101)、管理部60においては、適正開開始時間範囲導出手段65が、流動検知器30(SM1〜SMn)毎に、温度センサSが検知した温度から相関関係記憶手段64に記憶され該当する温度における適正開開始時間範囲を導出する(S102)。適正開開始時間範囲導出手段65は、適正開開始時間範囲を逐次更新して記憶する。
【0045】
そして、間欠時間の所定時間になると(S103Yes)、潤滑ポンプ20が駆動されるとともに、タイマーが作動する(S104)。これにより、各定量バルブVから潤滑油が吐出され、流動検知器30を通って、潤滑箇所Lに潤滑油が供給される。流動検知器30においては、本体32内の弁体40に潤滑油が作用し弁体40が開になり、潤滑油は供給開口33から流体空間Eに流入し吐出開口35から吐出させられ、その後、弁体40は戻って供給開口33を閉にする。この開閉動作は、流動検知器30毎に異なる。
【0046】
管理部60においては、開閉検出手段62が、先ず、流動検知器30の弁体40の開を検出する(S105)。この場合、開を検知しないとき(S105No)、最初は、開閉回数カウント手段73のカウントした開閉回数がゼロであるから(S106Yes)、タイマー時間が到来するまで弁体40の開を検出する(S107No→S105)。タイマー時間が到来してもなお弁体40の開を検出しないときは(S107Yes)、ポンプが停止後(S108)、開不検出通知手段71が、開閉検出手段62が運転時間認識手段70が認識する運転時間が過ぎても弁体40の開を検出しないとして、これを通知し、異常判断手段67は、「不開異常」と判断し(S109)、表示手段80に表示する。一方、タイマー時間内に弁体40の開を検出すると(S105Yes)、その開が最初か否かが判断され(S110)、先ずは最初であるので(S110Yes)、次へ進む(a)。
【0047】
そして、
図10に示すフローチャートを参照し、開開始時間算出手段63が、各流動検知器30毎に始動停止認識手段61が始動を認識してから開閉検出手段62が弁体40の開を検出するまでの開開始時間を算出する(S201)。そして、開開始時間判断手段66が、各流動検知器30毎に開開始時間算出手段63が算出した開開始時間が適正開開始時間範囲導出手段65が導出した適正開開始時間範囲内か範囲外を判断する(S202)。開開始時間判断手段66が適正開開始時間範囲外と判断すると(S202No)、開開始時間判断手段66は、開開始時間が適正開開始時間範囲導出手段65が導出した適正開開始時間範囲の最小値より小さいか否か、且つ、適正開開始時間範囲の最大値より大きいか否かを判断し(S203)、異常判断手段67は、各流動検知器30毎に、開開始時間判断手段66が開開始時間が最小値より小さいと判断したとき(S203Yes)、「早開始異常」と判断し(S204)、開開始時間判断手段66が開開始時間が最大値より大きいと判断したとき(S203No)、「遅開始異常」と判断する(S205)。一方、開開始時間判断手段66が適正開開始時間範囲内と判断すると(S202Yes)、次へ進む(b)。
【0048】
図11に示すフローチャートを参照し、管理部60においては、開閉検出手段62は、弁体40が開になった後、閉になることを検知しており(S301)、タイマー時間が到来するまで弁体40の閉を検出する(S302No→S301)。タイマー時間が到来してもなお弁体40の閉を検出しないときは(S302Yes)、ポンプが停止後(S303)、閉不検出通知手段72が、開閉検出手段62が運転時間認識手段70が認識する運転時間が過ぎても弁体40の閉を検出しないとして、これを通知し、異常判断手段67は、「不閉異常」と判断し(S304)、表示手段80に表示する。
【0049】
一方、タイマー時間内に弁体40の閉を検出すると(S301Yes)、開閉回数カウント手段73が、開閉検出手段62による弁体40の開閉回数を1回カウントして積算する(S305)。そして、タイマー時間が到来するまで弁体40の開閉を上述したとおりに検出する(S306No→c→S105Yes→S110No→b→S301Yes→S305→S306)。この過程で不具合があれば、上述のとおり、「不開異常」(S109),「不閉異常」(S304)と判断される。
【0050】
タイマー時間が経過すると(S306Yes)、ポンプが停止される(S307)。そして、開閉回数カウント手段73がカウントした弁体40の開閉回数が確定し(S308)、開閉回数判断手段75が、各流動検知器30毎に開閉回数カウント手段73がカウントした開閉回数が適正開閉回数記憶手段74が記憶した適正開閉回数範囲内か範囲外を判断する(S309)。開閉回数判断手段75が適正開閉回数範囲外と判断すると(S309No)、開閉回数判断手段75は、開閉回数が適正開閉回数が記憶した適正回数範囲の最小値より小さいか否か、且つ、適正回数範囲の最大値より大きいか否かを判断する(S310)。異常判断手段67は、各流動検知器30毎に、開閉回数判断手段75が開閉回数が最小値より小さいと判断したとき(S310Yes)、「少回数異常」と判断し(S311)、開閉回数判断手段75が開閉回数が最大値より大きいと判断したとき(S310No)、「多回数異常」と判断する(S312)。異常判断手段67は、「少回数異常」,「多回数異常」を表示手段80に表示する。一方、開閉回数判断手段75が適正開閉回数範囲内と判断すると(S309Yes)、次へ進む(f)。
【0051】
そして、
図12に示すフローチャートを参照し、異常判断手段67は、流動検知器30全てにおいて、異常判断手段67による「早開始異常」があるか否か(S401)、「遅開始異常」があるか否か(S402)をみて、いずれの異常もないとき(S401No,S402No)、「正常」と判断して(S403)、これを表示手段80に表示する。異常判断手段67による「早開始異常」があるときは(S401Yes)、それが流動検知器30全てにおいて有るか否かが判断され(S404)、流動検知器30全てが「早開始異常」のとき(S404Yes)、「全早開始異常」と判断する(S405)。全てでないときは(S404No)、個別の異常として(S406)、表示手段80に流動検知器30(SM1〜SMn)の番号毎に「早開始異常」を表示する。
【0052】
また、異常判断手段67による「遅開始異常」があるときは(S402Yes)、それが流動検知器30全てにおいて有るか否かが判断され(S407)、流動検知器30全てが「遅開始異常」のとき(S407Yes)、「全遅開始異常」と判断する(S408)。全てでないときは(S407No)、個別の異常として(S409)、表示手段80に流動検知器30(SM1〜SMn)の番号毎に「遅開始異常」を表示する。
【0053】
図7に示すように、表示手段80には、「正常」,「早開始異常」,「遅開始異常」,「全早開始異常」,「全遅開始異常」,「不開異常」,「不閉異常」,「少回数異常」,「多回数異常」のいずれかが表示される。また、何れかにおいて、異常があれば、表示に加えて、例えば、射出部2及び型締部3の駆動を停止し、あるいは、警報ランプを点灯したり警報器を鳴動させることができる。
【0054】
これにより、例えば、流動検知器30の弁体40が適正開開始時間より早く開開始した「早開始異常」の場合、例えば、潤滑ポートP側のすべり軸受等が摩耗して潤滑システムJに影響していることを知ることができる。また、「早開始異常」が全部の流動検知器30に及ぶようになると、例えば、潤滑油の粘度が低すぎるなどの潤滑油異常を知ることができる。また、例えば、流動検知器30の弁体40が適正開開始時間より遅く開開始した「遅開始異常」の場合には、例えば、給脂配管23の負荷が増大しているとして、異常を知ることができる。更に、全部の流動検知器30の弁体40が適正開開始時間より遅く開開始した場合には、例えば、主配管22に破損があったり、大量のエアが混入するなどの主配管異常を知ることができる。その結果、多岐に亘って異常の判断ができ、できるだけ正確に異常の判断ができるようになり、異常検知の信頼性を向上させることができる。また、異常の種類を知ることができるようになり、適切な対処を取ることができるようになる。
【0055】
また、例えば、全部の流動検知器30の弁体40が適正開開始時間より早く開開始した「全早開始異常」の場合には、例えば、潤滑油の粘度が低すぎるなどの潤滑油異常を知ることができる。また、全部の流動検知器30の弁体40が適正開開始時間より遅く開開始した「全遅開始異常」の場合には、例えば、主配管22に破損があったり、大量のエアが混入するなどの主配管異常を知ることができる。このため、異常の種類を特定して知ることができるようになり、より一層適切な対処を取ることができるようになる。
【0056】
更に、「不開異常」の場合には、例えば、バルブVや給脂配管23の詰まりなどの異常を知ることができる。そのため、異常の種類を更に特定して知ることができるようになり、より一層適切な対処を取ることができるようになる。更にまた、「不閉異常」のときは、例えば、流動検知器30自体の異常を知ることができる。異常の種類を更に特定して知ることができるようになり、この点でも、より一層適切な対処を取ることができるようになる。また、「少回数異常」や「多回数異常」の異常も知ることができる。例えば、「多回数異常」の場合は、給脂負荷増大を知ることができる。異常の種類を更に特定して知ることができるようになり、より一層適切な対処を取ることができるようになる。
【0057】
尚、上記実施の形態において、温度センサSを、潤滑ポンプ20のタンク20a内の潤滑油の温度を検知するように設けたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、弁体40の開開始時間との相関関係があれば、流動検知器30に付設しても良く、適宜変更して差支えない。また、潤滑箇所Lは上述した部位に限定されるものではなく、どのような部位に設けても良いことは勿論である。要するに、当業者は、本発明の新規な教示及び効果から実質的に離れることなく、これら例示である実施の形態に多くの変更を加えることが容易であり、これらの多くの変更は本発明の範囲に含まれる。