特許第6863597号(P6863597)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863597
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20210412BHJP
【FI】
   A63F5/04 603A
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-152085(P2018-152085)
(22)【出願日】2018年8月10日
(65)【公開番号】特開2020-25737(P2020-25737A)
(43)【公開日】2020年2月20日
【審査請求日】2020年10月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390026620
【氏名又は名称】山佐株式会社
(72)【発明者】
【氏名】亀山 恭平
【審査官】 櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−000149(JP,A)
【文献】 特開2015−012912(JP,A)
【文献】 特開2010−253184(JP,A)
【文献】 特開2009−131424(JP,A)
【文献】 特開2007−089804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F5/04、7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラットパネルディスプレイからなり、表示面を遊技者と略正対させるように配置された第1の表示器と、前記表示面を覆い、前記表示面の周囲で保持される第1の透明パネルとを備え、
前記第1の透明パネルの前記表示面を覆う部分には、前記表示面側に膨出して正面側に凹む膨出部が形成されて、前記膨出部の頂部が前記表示面に近接しており、
前記表示面と前記第1の透明パネルとの間に、平板からなる第2の透明パネルが、前記表示面と略平行に配置されて、前記表示面の周囲で保持されており、
前記第2の透明パネルは、前記第1の透明パネルよりも撓み難く、
前記膨出部が前記表示面側に押圧されたときに、前記第2の透明パネルによって前記膨出部が支持されるよう構成されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記第2の透明パネルは、前記第1の透明パネルよりも弾性率の高い材料からなることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記膨出部は、前記表示面に向かってドーム状又はアーチ状に膨出する湾曲形状をなしており、
前記膨出部の外周部を覆うことにより、前記膨出部を透して第1の表示器の表示面を視認可能な主表示領域を形成する枠体を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記主表示領域の左右両側に夫々配置されて、前記主表示領域の両側から外側前方に延出する左右一対の副表示領域を形成する第2の表示器及び第3の表示器を備えることを特徴とする請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記第1の透明パネルと前記第2の透明パネルの隙間に対して、当該隙間の周囲から光を照射可能な照明装置を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットパネルディスプレイからなる表示器を備える遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシン等の遊技機の正面には、液晶ディスプレイ等の表示器が配設される。こうした表示器は遊技者の手が届く位置に配設されるため、興奮した遊技者に押されたり、叩かれたりして破損しないように、表示面を透明パネルで覆って保護している。また、こうした透明パネルに凹凸を設けて意匠性を付与した遊技機も提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−267970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、表示面を覆う上記透明パネルに対して、表示面側に膨出する膨出部を形成した場合には、遊技者は、膨出部を透して表示器の表示画像を視認することとなるため、平坦な表示面に表示される画像に奥行感を付与することが可能となる。ここで、表示画像に奥行感を付与するためには、膨出部を表示面側に大きく膨出させることが望ましいが、スロットマシン等の遊技機では、表示面の前方のスペースが限られているため、表示面の前方で膨出部を大きく膨出させるためには、膨出部の頂部を表示面に近接させなくてはならない。
【0005】
しかしながら、透明パネルは、表示面の周囲で保持されており、表示面を覆う部位は直接保持されていないため、膨出部の頂部を表示器の表示面に近接配置した場合には、遊技者が透明パネルを押したり、叩いたりした際に、表示面側に撓んだ膨出部によって表示面が押圧されて破損するおそれがある。
【0006】
かかる問題に対して、弾性率の高い材料を用いたり、肉厚にしたりして、透明パネルを撓み難くすることが提案されるが、強化ガラス等の高弾性率の材料からなる板材は膨出部を成形する手間が大きく、製造コストが増大してしまう。また、透明パネルが過度に肉厚になると、表示器の表示画像を透かし見たときに膨出部が不自然に視認されて、表示画像の奥行感が損なわれてしまう。
【0007】
本発明は、かかる現状に鑑みて為されたものであり、表示面に向けて膨出する透明パネルを、製造コストの増大を抑えつつ、表示面に対して適切に近接配置することのできる遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、フラットパネルディスプレイからなり、表示面を遊技者と略正対させるように配置された第1の表示器と、前記表示面を覆い、前記表示面の周囲で保持される第1の透明パネルとを備え、前記第1の透明パネルの前記表示面を覆う部分には、前記表示面側に膨出して正面側に凹む膨出部が形成されて、前記膨出部の頂部が前記表示面に近接しており、前記表示面と前記第1の透明パネルとの間に、平板からなる第2の透明パネルが、前記表示面と略平行に配置されて、前記表示面の周囲で保持されており、前記第2の透明パネルは、前記第1の透明パネルよりも撓み難く、前記膨出部が前記表示面側に押圧されたときに、前記第2の透明パネルによって前記膨出部が支持されるよう構成されていることを特徴とする遊技機である。
【0009】
かかる構成では、第1の透明パネルの膨出部は、撓み難い第2の透明パネルに支持されるため、膨出部が第1の表示器の表示面に近接配置されていても、撓んだ第1の透明パネルによって第1の表示器の表示面が押圧されて破損することがない。また、かかる構成では、第1の透明パネルの撓みを、第2の透明パネルで支持するため、第1の透明パネルを弾性率の高い材料で構成したり、肉厚にしたりして撓み難くする必要はない。一方で、第1の透明パネルを支持する第2の透明パネルは成形容易な平板であるため、高弾性率の材料で構成しても製造コストは増大しない。したがって、本発明によれば、膨出部を具備する第1の透明パネルを、製造コストを増大させず、かつ、肉厚にすることもなく、第1の表示器の表示面に近接配置して、第1の表示器の表示画像に奥行感を付与できる。また、本発明にあっては、膨出部の表示面側への撓みを、第2の透明パネルで支持するため、膨出部の変形を極力抑えることで、第1の透明パネルを長持ちさせることも可能となる。
【0010】
本発明にあっては、前記第2の透明パネルは、前記第1の透明パネルよりも弾性率の高い材料からなることが提案される。
【0011】
第2の透明パネルを弾性率の高い材料で構成すれば、所要の撓み難さの透明パネルを薄く製造できる。このため、かかる構成では、第2の透明パネルの厚みを薄くすることで、膨出部を配置するスペースを表示面の前方に広く確保して、第1の表示器の表示画像の奥行感を増大させることが可能となる。
【0012】
また、本発明にあっては、前記膨出部は、前記表示面に向かってドーム状又はアーチ状に膨出する湾曲形状をなしており、前記膨出部の外周部を覆うことにより、前記膨出部を透して第1の表示器の表示面を視認可能な主表示領域を形成する枠体を備えることが提案される。
【0013】
かかる構成では、第1の表示器の表示画像が、ドーム状又はアーチ状に湾曲する膨出部の湾曲面に表示されているかのように遊技者に知覚させることができるため、第1の表示器の表示画像の臨場感を向上させることができる。
【0014】
上記構成にあって、さらに、前記主表示領域の左右両側に夫々配置されて、前記主表示領域の両側から外側前方に延出する左右一対の副表示領域を形成する第2の表示器及び第3の表示器を備えることが提案される。
【0015】
かかる構成では、中央の主表示領域に対して、両側の副表示領域は斜め前方に傾斜することとなるが、主表示領域の正面側は、膨出部が中央で凹んでいる分だけ、両側が前方に迫り出しているため、主表示領域と副表示領域が両者の境界部分でなす角度は、第1の表示器と第2の表示器の表示面同士がなす角度よりも小さくなる。このため、かかる構成によれば、第1の透明パネルによって、主表示領域と副表示領域の一体性を高めて、複数の表示領域に亘って表示する演出画像の臨場感を向上させることができる。
【0016】
また、本発明にあっては、前記第1の透明パネルと前記第2の透明パネルの隙間に対して、当該隙間の周囲から光を照射可能な照明装置を備えることが提案される。
【0017】
かかる構成によれば、第1の透明パネルと第2の透明パネルの隙間に照射された照射光が、第1の透明パネルの裏側で反射・散乱することで、遊技者に対して、膨出部の凹凸形状を強調して視覚効果を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】スロットマシン1の斜視図である。
図2】上部扉ユニット15を分離して示す前扉3の斜視図である。
図3】上部扉ユニット15の正面図である。
図4】上部扉ユニット15の平面図である。
図5】固定板部17から液晶表示ユニット19を分離して示す分解斜視図である。
図6】固定板部17の分解斜視図である。
図7】固定板部17の正面図である。
図8】固定板部17の背面図である。
図9】ランプユニット32a,32bの分解斜視図である。
図10】凹凸パネル10aを正面側(a)と背面側(b)から見た斜視図である。
図11】凹凸パネル10aの背面図である。
図12図11中のA−A線断面図である。
図13図11中のB−B線断面図である。
図14】左側の回動板部18の分解斜視図である。
図15】凹凸パネル10a、平板パネル10b,中央表示器8a等の配置関係を示す分解斜視図である。
図16図11中のA−A線の高さにおける凹凸パネル10a、平板パネル10b,中央表示器8aの配置を示す端面図である。
図17図16中のC−C線における凹凸パネル10a、平板パネル10b,中央表示器8aの配置を示す端面図である。
図18】回動板部18の定常位置Pにおける中央表示器8aと側方表示器8bの配置を示す平面図である。
図19】回動板部18の定常位置Pにおける各表示器8a,8bと各パネル10a〜10cの配置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明をスロットマシンに適用した実施形態を、以下の実施例に従って説明する。
なお、下記実施例にあって、本発明に係る第1の表示器は中央表示器8aに相当し、第1の透明パネルは凹凸パネル10aに相当し、第2の透明パネルは平板パネル10bに相当する。そして、本発明に係る膨出部は凹凸パネル10aの遮蔽部40に相当する。また、本発明に係る第2の表示器及び第3の表示器は、左右の側方表示器8b,8bに相当する。また、本発明に係る主表示領域は中央表示領域16aに相当し、副表示領域は側方表示領域16bに相当する。また、本発明に係る枠体は上部装飾枠27に相当する。また、本発明に係る照明装置はランプユニット32a,32bに相当する。また、以下の説明において、スロットマシン1の「正面方向」、「正面側」とは、スロットマシン1の「手前方向」、「手前側」であり、スロットマシン1の「左側」、「右側」とは、スロットマシン1を手前側から見た場合の「左側」、「右側」である。
【0020】
図1は、本実施例のスロットマシン1の斜視図である。かかるスロットマシン1の遊技機本体は、正面側が開放された筐体2と、該筐体2の正面側全体を覆う開閉可能な前扉3とによって構成される。前扉3の正面側には、遊技操作に用いるベットスイッチ5、スタートスイッチ6、ストップスイッチ7a〜7c等の各種スイッチが配設される。前扉3の正面中央部には、筐体2の内部に配設されたリール(図示省略)を視認可能とする透明な表示窓4が形成される。そして、前扉3の正面側上部には、3つの表示器8a,8bが配設される。各表示器8a,8bは、表示面14aを遊技者に正対させるよう正面に向けて配設される中央表示器8aと、中央表示器8aの左右両側に、表示面14bを内側に傾けて配設される一対の側方表示器8bとで構成される。各表示器8a,8bは、液晶フラットパネルディスプレイであり、後述するように、各表示器8a,8bの表示面14a,14bは、透明なパネル10a〜10cで覆われている。
【0021】
図2に示すように、前扉3は、前扉3の骨格を構成する前扉フレーム13を備え、該前扉フレーム13の上部には、上部扉ユニット15が正面側から固定される。上述した3つの表示器8a,8bは、上部扉ユニット15に配設されている。上部扉ユニット15は、図2図4に示すように、前扉フレーム13に固定される固定板部17と、該固定板部17の左右両側に、水平回動可能に軸支される一対の回動板部18と、固定板部17の背面側に装着される液晶表示ユニット19とで構成される。3つの表示器8a,8bのうち、中央表示器8aは液晶表示ユニット19に配設されて、その表示面14aを固定板部17の正面側から視認可能となっている。一方、2つの側方表示器8bは、左右の回動板部18に1つずつ配設されて、中央表示器8aの両側で表示面14bを水平回動可能となっている。左右の回動板部18は、通常は、固定板部17の外側前方に所定角度で延出する定常位置Pに保持される。かかる定常位置Pでは、回動板部18は、筐体2の外側に突出して、筐体2に隣接するメダルサンドを覆うこととなるが、遊技者は、回動板部18を定常位置Pから筐体2の内側前方に回動させることで、回動板部18に邪魔されることなく、メダルサンドを使用できる。
【0022】
図5に示すように、液晶表示ユニット19は、基板ケース23と、板状樹脂部材からなる液晶ベース24と、中央表示器8aと、矩形枠状の取付ベース25と、透明な矩形板状の平板パネル10bとを、前後方向に組み付けて一体化したものである。基板ケース23は、液晶ベース24の背面側に螺着される。基板ケース23の内部には、中央表示器8aや側方表示器8bを制御する表示制御基板や、サブ基板との中継基板、外部出力用の基板等が収容されている。中央表示器8aは、横長矩形状の平坦な表示面14aを具備する液晶表示モジュールであり、表示面14aを正面に向けた姿勢で液晶ベース24の正面側に螺着される。取付ベース25は、中央表示器8aの表示面14aと略同じ大きさの開口部を有する枠体であり、中央表示器8aの正面外周縁に当接した状態で、液晶ベース24の正面に螺着される。なお、液晶表示ユニット19は、かかる取付ベース25を介して固定板部17に螺着される。平板パネル10bは無色透明の強化ガラスからなる平板であり、表示面14aの周囲で取付ベース25の正面側に係止されることにより、中央表示器8aの表示面14aとの間に数ミリの空隙を挟んで平行に配置されて、中央表示器8aの表示面14aの全体を覆っている。
【0023】
固定板部17は、図6〜8に示すように、前扉フレーム13に螺着される上部装飾枠27を主体とする。上部装飾枠27は、前扉3の正面上部を装飾する横長矩形枠状の樹脂製枠体である。上部装飾枠27の中央部には略矩形状の開口部28が形成されており、図3に示すように、この開口部28により、背面側の中央表示器8aの表示面14aを正面側から視認可能とする中央表示領域16aが形成される。開口部28は、中央表示器8aの表示面14aよりも一回り小さい略矩形状をなしており、中央表示器8aの表示面14aの外周部は上部装飾枠27によって覆われている。また、中央表示領域16aは、上辺と下辺の中央部が内側に凹む弧状に湾曲しており、これにより、中央表示器8aの表示画像に奥行感を付与している。そして、上部装飾枠27の背面側には、透明な凹凸パネル10aが装着される。凹凸パネル10aは開口部28を閉塞する遮蔽部40を備えており、中央表示器8aの表示面14aは、中央表示領域16aにおいて遮蔽部40に覆われている。すなわち、中央表示領域16aにあっては、遊技者は、中央表示器8aの表示面14aに表示される画像を、遮蔽部40を透して視認することとなる。
【0024】
図7に示すように、上部装飾枠27の正面側には、開口部28の両側に、左右の回動板部18を軸支する軸支部29が配設される。軸支部29には、回動板部18を定常位置Pに付勢するコイルばね(図示省略)が配設される。また、上部装飾枠27の上部中央には、スピーカグリル39が配設され、該スピーカグリル39の背面側にスピーカ38が配設される。
【0025】
また、図6,8に示すように、上部装飾枠27の背面側には、開口部28の上方と下方にランプユニット32a,32bが配設される。図9に示すように、各ランプユニット32a,32bは、正面側と背面側にLEDが実装されたランプ基板34a,34bと、各ランプ基板34a,34bの背面側のLEDを覆うように配設される導光レンズ35a,35bと、各ランプ基板34a,34b及び導光レンズ35a,35bを背面側から覆う基板カバー36a,36bとで構成される。図7に示すように、上部装飾枠27の正面側には、開口部28の上方と下方にアーチ形状のランプレンズ33a,33bが組み付けられており、各ランプ基板34a,34bの正面側のLEDの光は、各ランプレンズ33a,33bを透して前扉3の前方に照射される。一方、各ランプ基板34a,34bの背面側のLEDの光は、背面側に配設された導光レンズ35a,35bを発光させる。図8に示すように、導光レンズ35a,35bは、上部装飾枠27の開口部28の上縁と下縁に配置されており、開口部28の上縁と下縁から光を照射する。
【0026】
図10〜13に示すように、凹凸パネル10aは正面視略矩形状をなす板状部材であり、無色透明のポリカーボネートからなる射出成形品である。凹凸パネル10aは、上部装飾枠27の開口部28を閉塞する遮蔽部40と、遮蔽部40の外周縁に形成される側壁部41と、遮蔽部40の上下両縁に沿って形成されるレンズ嵌合部42と、遮蔽部40の左右両縁から両側に延出する鍔部43とで構成される。
【0027】
図10〜13に示すように、遮蔽部40は、正面視略矩形状をなす略等厚な板状部であり、図8に示すように、上部装飾枠27の開口部28に背面側から嵌合して該開口部28を閉塞する。そして、遮蔽部40は、図12に示すように、水平断面において、中央部が表示面14aに向かってアーチ状に膨出して、正面側に凹む湾曲形状をなしている。かかる遮蔽部40によれば、遊技者が中央表示器8aの表示画像を、遮蔽部40を透して視認した時に、当該表示画像が遮蔽部40の湾曲面に表示されているかのように知覚させることができるため、平坦な表示面14aに表示される表示画像に奥行感を付与して、臨場感を向上させることが可能となる。
【0028】
図8に示すように、凹凸パネル10aの鍔部43は、遮蔽部40を開口部28に嵌合した状態で、開口部28の左右両縁に背面側から被着しており、かかる鍔部43を上部装飾枠27に螺着することにより、凹凸パネル10aが上部装飾枠27に対して固定される。また、図8に示すように、側壁部41は、凹凸パネル10aを上部装飾枠27に固定した状態で、開口部28の内周縁に沿って前方に延出して、遮蔽部40の外周縁を鍔部43より正面側で支持する。また、側壁部41の背面と、鍔部43の背面とは、同一平面状に形成されており、固定板部17に液晶表示ユニット19を装着した状態で、これらの背面に平板パネル10bの外周部が被着するよう構成される(図16参照)。なお、遮蔽部40は、左右方向の中心にあたる部位が最も背面側に膨出する頂部44となっているが、かかる頂部44は、側壁部41や鍔部43の背面よりも僅かに正面側に位置しており、常態では、平板パネル10bと当接しない。
【0029】
図11,13に示すように、凹凸パネル10aのレンズ嵌合部42は、遮蔽部40の上下縁に沿って形成された、背面側に開口する溝孔である。図8に示すように、かかるレンズ嵌合部42に、ランプユニット32a,32bの導光レンズ35a,35bが内嵌して、レンズ嵌合部42の内部で導光レンズ35a,35bが発光するよう構成されている。
【0030】
側方表示器8bは、縦長矩形状の平坦な表示面14bを具備する液晶表示モジュールである。図3,14に示すように、回動板部18には、側方表示器8bの表示面14bを平板パネル10cで覆い、さらに、前面カバー51によって当該表示面14bの外周部を覆うことによって、前面カバー51の開口部53の形状をなす側方表示領域16bが形成される。図3に示すように、左右の側方表示領域16bは、回動板部18の定常位置Pにおいて、中央表示領域16aの左右両側から外側前方に延出しており、本実施例では、中央表示領域16aと、両側の側方表示領域16bとに一体的な画像を表示することによって、奥行感に富んだ画像を表示できる。特に、側方表示領域16bの形状は、手前側ほど上下幅が広がる略台形状をなしているため、側方表示領域16bが実際よりも前方に延出しているように遊技者に知覚させて、奥行感を向上させることができる。
【0031】
以下に、本発明の要部に係る構成について説明する。
本実施例では、図15〜17に示すように、中央表示器8aの表示面14aを覆うように凹凸パネル10aが配設されて、中央表示器8aの表示画像が、凹凸パネル10aの遮蔽部40を透して奥行感のある画像として視認されるよう構成される。ここで、凹凸パネル10aの遮蔽部40は中央部が表示面側(背面側)に膨出する形状をなしているが、図5,6に示すように、遮蔽部40を上部装飾枠27の開口部28に配置した状態にあって、遮蔽部40の両側部を上部装飾枠27の前方に突出させることは設計上問題がある。このため、本実施例では、遮蔽部40の頂部44を表示面14aに近接配置することで、遮蔽部40を表示面側に膨出させるスペースをできるだけ確保している。そして、本実施例では、凹凸パネル10aの遮蔽部40を表示面14aに近接配置する一方で、撓んだ凹凸パネル10aが表示面14aと当接することのないように、凹凸パネル10aと表示面14aとの間に平板パネル10bを配置している。
【0032】
図16,17に示すように、平板パネル10bは、凹凸パネル10aの遮蔽部40の周囲で、側壁部41及び鍔部43の背面側に被着するように配置される。凹凸パネル10aの遮蔽部40は、側壁部41や鍔部43の背面よりも正面側に位置しているため、常態では遮蔽部40の全域と平板パネル10bとの間に隙間48が形成される。なお、本実施例では、遮蔽部40の頂部44は、平板パネル10bとの摩擦による損傷を防ぐために、平板パネル10bと当接させていないが、図16に示すように、平板パネル10bに極めて近接した位置に配置することにより、表示面14aに近接させている。
【0033】
一方、図15〜17に示すように、中央表示器8aと平板パネル10bとの間には、外周部に取付ベース25が配置され、平板パネル10bは表示面14aの周囲で取付ベース25に係止されており、平板パネル10bは、中央表示器8aの表示面14aに対して、数ミリの空隙47を挟んで平行に配置される。
【0034】
本実施例にあっては、図6に示すように、凹凸パネル10aは、中央表示器8aの表示面14aの周囲で上部装飾枠27に保持されており、表示面14aの中央部では保持されていないため、凹凸パネル10aの遮蔽部40が遊技者によって押されたり、叩かれたりした場合には、凹凸パネル10aが表示面側(背面側)に撓んで、遮蔽部40の頂部44が平板パネル10bを表示面側に押圧することとなる。
【0035】
ここで、凹凸パネル10aは、比較的弾性率の低い材料(ポリカーボネート)で形成されているため撓み易いが、平板パネル10bは、凹凸パネル10aよりもわずかに薄いものの、比較的弾性率の高い材料(強化ガラス)で形成されており、凹凸パネル10aよりも極めて撓み難くなっている。このため、遮蔽部40の頂部44に押圧されても、平板パネル10bは殆ど撓まずに、撓んだ遮蔽部40を支持する。また、平板パネル10bと表示面14aの間の空隙47は数ミリ程度であるが、遮蔽部40の頂部44に押圧された際の平板パネル10bの撓み量は当該空隙47の間隔よりも十分に小さいため、平板パネル10bが遮蔽部40の頂部44に押圧されても、平板パネル10bによって中央表示器8aの表示面14aが押圧されることはない。
【0036】
このように、本実施例では、遮蔽部40を膨出させるために、遮蔽部40の頂部44を表示面14aに近接配置しているため、平板パネル10bがなければ、凹凸パネル10aが撓んだ際に、遮蔽部40の頂部44が表示面14aを押圧して中央表示器8aが破損するおそれがあるが、凹凸パネル10aが撓んだ際に、撓み難い平板パネル10bが凹凸パネル10aの遮蔽部40を背面側から支持するため、中央表示器8aの破損を確実に防止できる。したがって、本実施例では、中央表示器8aの破損を懸念することなく、表示面14aに対して遮蔽部40を適切に近接配置して、表示面14aの前方の限られたスペースにおいて、遮蔽部40をできるだけ大きく膨出させることが可能となる。また、本実施例のように、凹凸パネル10aの撓みを平板パネル10bで支持すれば、凹凸パネル10aを撓み難くする必要がないため、凹凸パネル10aを弾性率の高い材料で構成したり、肉厚にしたりしなくてもよい。一方で、平板パネル10bは成形容易であるため、比較的低コストで撓み難いものを製造できる。したがって、本実施例では、製造コストを増大させたり、凹凸パネル10aを肉厚にしたりすることなく、凹凸パネル10aの遮蔽部40を、中央表示器8aの表示面14aに対して適切に近接配置して、中央表示器8aの表示画像に奥行感を付与できる。
【0037】
また、本実施例では、凹凸パネル10aの表示面側への撓みを、撓み難い平板パネル10bで支持するため、撓みやすい凹凸パネル10aの塑性変形を抑えて長持ちさせることもできる。
【0038】
特に、本実施例では、平板パネル10bが、弾性率の高い硬質ガラスからなるため、凹凸パネル10aを適切に支持可能な平板パネル10bを、凹凸パネル10aよりも薄く製造でき、これにより、表示面14aの前方で遮蔽部40を湾曲させるスペースをより広く確保することが可能となる。
【0039】
また、本実施例では、図15,17に示すように、凹凸パネル10aと平板パネル10bの上縁と下縁の間に、ランプユニット32a,32bの導光レンズ35a,35bが介装されており、ランプユニット32a,32bが導光レンズ35a,35bを発光させた時に、導光レンズ35a,35bの光が、凹凸パネル10aと平板パネル10bの隙間48の上下から、隙間48の内部へ照射されることとなる。かかる構成によれば、凹凸パネル10aと平板パネル10bの隙間48の内部に照射された照射光が、遮蔽部40の裏側で反射・散乱することで、遊技者に対して、遮蔽部40の湾曲形状を強調して視覚効果を高めることが可能となる。
【0040】
また、本実施例では、凹凸パネル10aの遮蔽部40は、中央表示器8aの表示面14aの左右両側部が手前側に迫り出すようにアーチ状に湾曲している。かかる構成にあっては、図18,19に示すように、かかる構成にあっては、中央表示領域16aに対して、両側の側方表示領域は斜め前方に傾斜することとなるが、中央表示領域16aの正面側は、遮蔽部40が中央で凹んでいる分だけ、左右両側が前方に迫り出しているため、中央表示領域16aと側方表示領域16bが両者の境界部分でなす角度(図19中のβ)は、中央表示器8aと側方表示器8bの表示面14a,14bのなす角度(図18中のα)よりも180°に近くなり、表示領域16a,16bの境界部分の屈曲が目立ち難くなる。このため、かかる構成によれば、凹凸パネル10aによって中央表示領域16aと側方表示領域16bの一体性を高めて、複数の表示領域に亘って表示する演出画像の臨場感を向上させることが可能となる。
【0041】
以上に本発明の実施例を説明したが、本発明の遊技機は、上記実施例の形態に限らず本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、上記実施例は、本発明をスロットマシンに適用したものであるが、本発明はパチンコ機等の遊技機にも適用可能である。
【0042】
また、本発明に係る第1の表示器は、液晶表示器に限られず、有機ELや無機ELでもよいし、プロジェクタとスクリーンの組合せであってもよい。また、本実施例では、本発明に係る第1の表示器(中央表示器8a)がスロットマシン1の上部に配設されているが、第1の表示器の配設位置は適宜変更可能である。
【0043】
また、上記実施例では、凹凸パネル10a及び平板パネル10bは無色透明なパネルであるが、本発明に係る第1の透明パネル及び第2の透明パネルは、着色透明であってもよい。また、本発明に係る第1の透明パネル及び第2の透明パネルは、表示面を覆う部分が透明であればよく、外周部は透明でなくても構わない。
【0044】
また、上記実施例では、凹凸パネル10aの遮蔽部40の全体が表示面14aに向けて膨出する膨出部を構成しているが、本発明に係る膨出部は、主表示領域を覆う部分全体に形成されていなくてもよい。また、上記実施例では、遮蔽部40が、水平断面が表示面14aに向けてアーチ状に膨出する湾曲形状をなしているが、本発明に係る膨出部は、垂直断面がアーチ状の湾曲形状でもよいし、表示面14aに向けてドーム状に膨出する形状であってもよい。
【0045】
また、上記実施例では、常態において、遮蔽部(膨出部)40の頂部44と平板パネル10bが当接せず、わずかな隙間が存在しているが、遮蔽部40の頂部44を側壁部41や鍔部43の背面と面一にして、常態において平板パネル10bと当接させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 スロットマシン(遊技機)
3 前扉
8a 中央表示器(第1の表示器)
8b 側方表示器(第2、第3の表示器)
10a 凹凸パネル(第1の透明パネル)
10b 平板パネル(第2の透明パネル)
14a.14b 表示面
15 上部扉ユニット
16a 中央表示領域(主表示領域)
16b 側方表示領域(副表示領域)
17 固定板部
18 回動板部
19 液晶表示ユニット
27 上部装飾枠(枠体)
28 開口部
32a,32b ランプユニット(照明装置)
40 遮蔽部(膨出部)
P 定常位置
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