特許第6863627号(P6863627)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6863627ボルトが緩んだ状態での繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の回転振動試験ベンチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863627
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】ボルトが緩んだ状態での繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の回転振動試験ベンチ
(51)【国際特許分類】
   G01H 9/00 20060101AFI20210412BHJP
   G01M 99/00 20110101ALI20210412BHJP
   G01M 15/14 20060101ALI20210412BHJP
   G01M 15/12 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   G01H9/00 C
   G01M99/00 A
   G01M15/14
   G01M15/12
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-565523(P2019-565523)
(86)(22)【出願日】2017年12月27日
(65)【公表番号】特表2020-527694(P2020-527694A)
(43)【公表日】2020年9月10日
(86)【国際出願番号】CN2017118855
(87)【国際公開番号】WO2019071843
(87)【国際公開日】20190418
【審査請求日】2020年1月15日
(31)【優先権主張番号】201710933083.3
(32)【優先日】2017年10月10日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510000839
【氏名又は名称】東北大学
【氏名又は名称原語表記】Northeastern University
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】馬 輝
(72)【発明者】
【氏名】羅 忠
(72)【発明者】
【氏名】韓 清凱
(72)【発明者】
【氏名】孫 偉
(72)【発明者】
【氏名】李 暉
(72)【発明者】
【氏名】李 朝峰
(72)【発明者】
【氏名】姜 世傑
(72)【発明者】
【氏名】李 鶴
(72)【発明者】
【氏名】任 朝暉
(72)【発明者】
【氏名】聞 邦椿
【審査官】 後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第107132049(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第103884483(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第106017895(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0074674(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 1/00−17/00
G01M 99/00
G01M 15/12
G01M 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク・ドラム薄肉部材装置と、動的ボルト弛緩装置と、リニア発停装置と、周回レーザースキャン装置と、軸一体円板と、含み;前記リニア発停装置は、左スライド案内円板と、右スライド案内円板と、含み、前記動的ボルト弛緩装置が非同期回転盤を含み、前記ディスク・ドラム薄肉部材装置及び前記動的ボルト弛緩装置が前記軸一体円板に取り付けられ、両端が各々軸受座に連結され、前記リニア発停装置の前記左スライド案内円板及び前記右スライド案内円板が両端の前記非同期回転盤を介して各々前記動的ボルト弛緩装置と連結して前記動的ボルト弛緩装置の動作を駆動し;前記周回レーザースキャン装置は、繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の対応する測定点又は周方向断面の振動状況を測定するために用いられる
ことを特徴とするボルトが緩んだ状態での繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の回転振動試験ベンチ。
【請求項2】
前記動的ボルト弛緩装置は、内噛合ギアシリンダーと、駆動歯車と、伸縮軸と、を含み、前記駆動歯車及び前記内噛合ギアシリンダーがキーの結合によって前記軸一体円板に固結され、前記伸縮軸の左端部が締まりばめを通じて小歯車に連結され、右側スリーブが伸縮でき、かつ右側が正六角形のボルトスリーブを通じて前記繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材のボルトと連結し;右側構造と左側構造は、ブリスクに関連付けて軸対称を呈する
請求項1に記載のボルトが緩んだ状態での繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の回転振動試験ベンチ。
【請求項3】
前記ディスク・ドラム薄肉部材装置は、ブリスクと、繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材と、を含み、前記ブリスクが左ブレード取付部及び右ブレード取付部に分かれ、前記ブリスク左側、前記左ブレード取付部が前記繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材及び前記動的ボルト弛緩装置と順に連結され、前記軸一体円板に一緒に固定され、かつ軸受を通じて前記軸受座に固定され;前記ブリスクの右側構造と左側構造は、前記ブリスクに関連付けられて軸対称を呈し;前記軸一体円板の軸が軸継手を通じてモータに接続される
請求項1に記載のボルトが緩んだ状態での繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の回転振動試験ベンチ。
【請求項4】
前記リニア発停装置は、アクチュエータと、左スライド案内円板と、右スライド案内円板と、非同期回転盤と、サーボモータと、を含み、前記サーボモータを起動させると、前記左スライド案内円板と前記右スライド案内円板が相寄り相離れる方向へ相対的に移動し、前記非同期回転盤を通じて駆動歯車の送りの噛み合い及び噛み合いから離脱を完了させ、前記リニア発停装置により前記動的ボル弛緩プロセスを制御する
請求項1に記載のボルトが緩んだ状態での繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の回転振動試験ベンチ。
【請求項5】
前記周回レーザースキャン装置は、レーザードップラ振動計と、反射ミラーと、ボールねじと、モータと、を含み、前記レーザードップラ振動計のレーザー発射口が前記反射ミラーの中心に合わせられ、光路が前記反射ミラーを経由してX軸方向からY軸方向に変えて前記ディスク・ドラム薄肉部材の内面に当たり;前記反射ミラーは、ボールねじの頂端に連結され、かつモータと接続して一緒に前記繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の中空軸内に45度の傾斜角で固設され;前記ボールねじの後端のノブを回転させると、前記反射ミラーのZ軸方向の送りを実現させ、ディスク・ドラム胴の被測定横断面の位置を変更でき;前記モータがオフになり、レーザー光路と前記ディスク・ドラム胴が同期回転することで、前記繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の特定測定点の振動状況を測定でき、前記モータが起動され、前記レーザー光路と前記ディスク・ドラム胴が差動運動し、前記繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材内側の特定周方向断面の振動状況を測定できる
請求項1に記載のボルトが緩んだ状態での繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の回転振動試験ベンチ。
【請求項6】
請求項1に記載のボルトが緩んだ状態での繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の回転振動試験ベンチの使用方法であって、
必要な機能が確実に達成されることを保証するため、ボルトが緩んだ状態での繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の回転振動試験ベンチを取り付けるステップ(1)と、
弛緩したい前記繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の一部或いは全てのボルトを決定し、それに応じて伸縮軸を調整するステップ(2)と、
予備実験を実施し、モータを起動させ、前記繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の空転実験を30分ほど実施させることで、前記モータ熱的誤差の実験に対する影響を排除するステップ(3)と、
リニア発停装置を通じて、動的ボルト弛緩装置を弛緩対象のボルト位置に送られ、同時に手動で前記伸縮軸を調整して、前記伸縮軸をボルトに確実に密着させるステップ(4)と、
前記動的ボルト弛緩装置を起動させ、前記繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の一部或いは全てのボルト弛緩をシミュレートするステップ(5)と、
発射したビームを前記繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材のドラム胴の中心線に位置するようにレーザードップラ振動計を調整し、周回レーザースキャン装置を前記繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材のドラム胴の中空軸の対応する位置に調整し、また前記レーザードップラ振動計を利用して、注目する前記繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材のドラム胴の特定測定点の振動測定を実施するステップ(6)と、
反射ミラーの低回転モータを起動させて差動回転を実施し、前記レーザードップラ振動計を利用して前記繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材のドラム胴の特定周方向断面上の全測定点の振動測定を実施するステップ(7)と、
前記周回レーザースキャン装置のモータを起動させ、前記反射ミラーの位置を変更し、前記ステップ(6)及び前記ステップ(7)を繰り返すことで、前記繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材のドラム胴の任意の周方向断面上の全測定点の振動測定を実施するステップ(8)と、
発射したレーザービームを前記繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材外側の注目する特定測定点の位置に投射するように前記レーザードップラ振動計の半径方向位置を調整し、また回転状態下で前記繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材外側の特定測定点の振動測定も実施できるステップ(9)と、を含む
ことを特徴とするボルトが緩んだ状態での繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の回転振動試験ベンチの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー振動計測技術分野に関し、特に、ボルトが緩んだ状態での繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の回転振動試験ベンチに関する。
【背景技術】
【0002】
航空用エンジンでは、静止ケーシングは一般に幾つかのセクションで構成され、各セクション間がボルトで連結された取り付け側を結合し、各セクション間において機械的な接触面が形成される。これら接触面の存在は、必然的に接触領域の接触剛性及び接触減衰に変化を生じさせ、システム全体の剛性及び減衰に変化を生じさせることで、連結システム全体の振動特性に影響を及ぼし、生じる危害及び損失を推定するのは困難である。ボルトの緩みという現象は、機械製品及び組立体においてよく見られ、特に航空宇宙分野の高回転速度及び高精度を特徴とする組立の組み合わせでは、ボルトの緩みという現象がコア部材の正常運転に悪影響を及ぼし、著しくなると事故を引き起こす。現代の航空用エンジンは、高性能及び高い推力重量比が追求されており、機構が益々複雑になり、動作条件が益々厳しくなることで、エンジン全体の振動を徐々に増大させる要因が徐々に増えている。エンジン全体の振動は、航空用エンジンの寿命及び飛行の安全性に影響を与える決定的な要因である。エンジンの回転子の異常な振動の非常に大きな要因は、ボルトの緩みによって引き起こされる回転子のずれである。
【0003】
本発明は、無視できないという現象について、航空宇宙エンジンのディスク及びドラムの実際の動作状況をシミュレートできる試験ベンチを設計し、また設計を通じて、安全な範囲内で個々の対称的に配置される連結ボルトを選択的に緩ませてから、ドップラーレーザーセンサーを通じて、ボルトの緩みで生じるブリスク及びディスク・ドラム内壁の振動状況を測定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術的課題を解決するため、本発明は、ボルトが緩んだ状態での繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の回転振動試験ベンチを提供する。本発明は、ボルトの緩みをシミュレートするための動的ボルト弛緩装置を設計する。反射ミラーをモータに接続して一緒に繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の中空軸内に45度の傾斜角で固設し、モータのオンオフを通じて、レーザー光路とディスク・ドラム胴の差動回転或いは同期回転を実現し、反射ミラーと組み合わせて光路を変更させ、繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材内側の特定周方向断面又は特定測定点の振動状況の測定を実現し、ディスク・ドラム部材の振動特性の変化とボルトの緩み具合との関係及び規則性を研究し、ボルト連結構造、連結方法、配置設計の改善についてより多くの根拠を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では次のような技術的手段を講じた。ボルトが緩んだ状態での繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の回転振動試験ベンチであって、ディスク・ドラム薄肉部材装置と、動的ボルト弛緩装置と、リニア発停装置と、周回レーザースキャン装置と、軸一体円板と、含み;前記リニア発停装置は、左スライド案内円板と、右スライド案内円板と、含み、前記動ボルト弛緩装置が非同期回転盤を含み、前記ディスク・ドラム薄肉部材装置及び動的ボルト弛緩装置が軸一体円板に取り付けられ、両端が各々軸受座に連結され、前記リニア発停装置の左スライド案内円板及び右スライド案内円板が両端の非同期回転盤を介して各々動的ボルト弛緩装置と連結して動的ボルト弛緩装置の動作を駆動し;前記周回レーザースキャン装置は、繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の対応する測定点又は周方向断面の振動状況を測定するために用いられる。
【0006】
前記動的ボルト弛緩装置は、内噛合ギアシリンダーと、駆動歯車と、伸縮軸と、を含み、前記駆動歯車及び内噛合ギアシリンダーがキーの結合によって軸一体円板に固結され、伸縮軸の左端部が締まりばめを通じて小歯車に連結され、右側スリーブが伸縮でき、かつ右側が正六角形のボルトスリーブを通じてディスク・ドラム薄肉部材のボルトと連結し;右側構造と左側構造は、ブリスクに関連付けて軸対称を呈する。
【0007】
前記ディスク・ドラム薄肉部材装置は、ブリスクと、繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材と、を含み、前記ブリスクが左ブレード取付部及び右ブレード取付部に分かれ、ブリスク左側、左ブレード取付部が繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材及び動的ボルト弛緩装置と順に連結され、軸一体円板に一緒に固定され、かつ軸受を通じて軸受座に固定され;ブリスクの右側構造と左側構造は、ブリスクに関連付けられて軸対称を呈し;前記軸一体円板の軸が軸継手を通じてモータに接続される。
【0008】
前記リニア発停装置は、アクチュエータと、左スライド案内円板と、右スライド案内円板と、非同期回転盤と、サーボモータと、を含み、サーボモータを起動させると、前記左スライド案内円板と右スライド案内円板が相寄り相離れる方向へ相対的に移動し、非同期回転盤を通じて駆動歯車の送りの噛み合い及び噛み合いから離脱を完了させ、リニア発停装置により動的ボルド弛緩プロセスを制御する。
【0009】
前記周回レーザースキャン装置は、レーザードップラ振動計と、反射ミラーと、ボールねじと、モータと、を含み、前記レーザードップラ振動計のレーザー発射口が反射ミラーの中心に合わせられ、光路が反射ミラーを経由してX軸方向からY軸方向に変えてディスク・ドラム薄肉部材の内面に当たり;反射ミラーは、ボールねじの頂端に連結され、かつモータと接続して一緒に繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の中空軸内に45度の傾斜角で固設され;ボールねじの後端のノブを回転させると、反射ミラーのZ軸方向の送りを実現させ、ディスク・ドラム胴の被測定横断面の位置を変更でき;モータがオフになり、レーザー光路とディスク・ドラム胴が同期回転することで、繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の特定測定点の振動状況を測定でき、モータが起動され、レーザー光路とディスク・ドラム胴が差動運動し、繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材内側の特定周方向断面の振動状況を測定できる。
【0010】
ボルトが緩んだ状態での繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の回転振動試験ベンチの使用方法は、
必要な機能が確実に達成されることを保証するため、ボルトが緩んだ状態での繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の回転振動試験ベンチを取り付けるステップ(1)と、
弛緩したい繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の一部或いは全てのボルトを決定し、それに応じて伸縮軸を調整するステップ(2)と、
予備実験を実施し、モータを起動させ、繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の空転実験を30分ほど実施させることで、モータ熱的誤差の実験に対する影響を排除するステップ(3)と、
リニア発停装置を通じて、動的ボルト弛緩装置を弛緩対象のボルト位置に送られ、同時に手動で伸縮軸を調整して、伸縮軸をボルトに確実に密着させるステップ(4)と、
動的ボルト弛緩装置を起動させ、繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の一部或いは全てのボルト弛緩をシミュレートするステップ(5)と、
発射したビームを繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材のドラム胴の中心線に位置するようにレーザードップラ振動計を調整し、周回レーザースキャン装置を繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材のドラム胴の中空軸の対応する位置に調整し、またレーザードップラ振動計を利用して、注目する繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材のドラム胴の特定測定点の振動測定を実施するステップ(6)と、
反射ミラーの低回転モータを起動させて差動回転を実施し、レーザードップラ振動計を利用して繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材のドラム胴の特定周方向断面上の全測定点の振動測定を実施するステップ(7)と、
周回レーザースキャン装置のモータを起動させ、反射ミラーの位置を変更し、ステップ(6)及びステップ(7)を繰り返すことで、繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材のドラム胴の任意の周方向断面上の全測定点の振動測定を実施するステップ(8)と、
発射したレーザービームを繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材外側の注目する特定測定点の位置に投射するようにレーザードップラ振動計の半径方向位置を調整し、また回転状態下で繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材外側の特定測定点の振動測定も実施できるステップ(9)と、
を含む。
【発明の効果】
【0011】
1、本発明は、繊維強化複合材料を使用して実際の航空用エンジンの薄壁ディスク・ドラム胴のシミュレーションを実現し;
2、本発明のリニア発停装置の駆動歯車が送り状態にあって噛合が完了した時、左スライド案内円板と右スライド案内円板は、相寄り方向へ相対的に移動し;駆動歯車が分離状態にあり、噛み合いから離脱すると、左スライド案内円板と右スライド案内円板は、相離れる方向へ相対的に移動する。したがって、ボールねじの設計は螺線を一つの回転方向に保持させることではなく、ボールねじの中央を境界線とし、両側で用異なる回転方向の設計を用いる。サーボモータが起動すると、左スライド案内円板と右スライド案内円板が相寄り相離れる方向へ相対的に移動し、非同期回転盤を通じて駆動歯車の送りの噛み合い及び噛み合いから離脱を完了させることで、リニア発停装置により試験ベンチの動的ボルド弛緩プロセスを制御し;
3、本発明は、ボルトの緩みをシミュレートするための動的ボルト弛緩装置を設計し、反射ミラーがモータに接続されて一緒に繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の中空軸内に45度の傾斜角で固設され、反射ミラー全体が繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材のドラム胴に対して静止しており、モータがオフになり、レーザー光路とディスク・ドラム胴が同期回転すると、繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の特定測定点の振動状況を測定でき、モータが起動し、レーザー光路とディスク・ドラム胴が差動運動すると、繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材内側の特定周方向断面の振動状況を測定できる。反射ミラーを利用して光路の変更を実現し、差動回転を利用して周方向断面の全測定点のレーザー振動計測を実現する。本発明は、モータをオンオフにすることにより、レーザー光路とディスク・ドラム胴の差動回転又は同期回転を実現し、反射ミラーと組み合わせて光路の変更を実現し、繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材内側の特定周方向断面或いは特定測定点の振動の周波数、振幅及び位相を測定し、上述の振動状況を通じてディスク・ドラム部材の振動特性の変化とボルトの緩み具合との関係及び規則性を研究し、ボルト連結構造、連結方法、配置設計の改善についてより多くの根拠を提供でき;
4、本発明で使用されるレーザードップラ振動計は、ドップラ効果を利用して振動に対する光情報記録機能を実現し、表面に対し非接触振動試験を行うことができ、振動状況を通じてディスク・ドラム部材の振動特性の変化とボルトの緩み具合との関係及び規則性を研究し、ボルト連結構造、連結方法、配置設計の改善についてより多くの根拠を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ボルトが緩んだ状態での繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の回転振動試験ベンチの構造を示す模式図
図2】動的ボルト弛緩装置を示す模式図
図3】周回レーザースキャンコア装置を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明を詳細に説明するが、本発明の保護範囲は添付図面により限定されるものではない。
【0014】
図1は、ボルトが緩んだ状態での繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の回転振動試験ベンチの構造を示す模式図であり;ボルトが緩んだ状態での繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の回転振動試験ベンチは、ディスク・ドラム薄肉部材装置と、動的ボルト弛緩装置と、リニア発停装置と、周回レーザースキャン装置と、軸一体円板6と、含み;前記リニア発停装置は、左スライド案内円板4と、右スライド案内円板19と、含み、前記動ボルト弛緩装置が非同期回転盤9を含み、前記ディスク・ドラム薄肉部材装置及び動的ボルト弛緩装置が軸一体円板に取り付けられ、両端が各々軸受座8に連結され、前記リニア発停装置の左スライド案内円板4及び右スライド案内円板19が両端の非同期回転盤9を介して各々動的ボルト弛緩装置と連結して動的ボルト弛緩装置の動作を駆動し;前記周回レーザースキャン装置は、繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材3の対応する測定点又は周方向断面の振動状況を測定するために用いられる。
【0015】
図2は、動的ボルト弛緩装置を示す模式図である。前記動的ボルト弛緩装置は、内噛合ギアシリンダー12と、駆動歯車10と、伸縮軸13と、を含み、前記駆動歯車10及び内噛合ギアシリンダー12がキーの結合によって軸一体円板6に固結され、伸縮軸13の左端部が締まりばめを通じて小歯車11に連結され、右側スリーブ22が伸縮でき、かつ右側が正六角形のボルトスリーブを通じて繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材3のボルトと連結し;右側構造と左側構造は、ブリスク7に関連付けて軸対称を呈し;
前記ディスク・ドラム薄肉部材装置は、ブリスク7と、繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材3と、を含み、前記ブリスク7が左ブレード取付部20及び右ブレード取付部21に分かれ、ブリスク左側、左ブレード取付部20が繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材3及び動的ボルト弛緩装置と順に連結され、軸一体円板6に一緒に固定され、かつ軸受を通じて軸受座8に固定され;ブリスクの右側構造と左側構造は、ブリスクに関連付けられて軸対称を呈し;前記軸一体円板6の軸が軸継手を通じてモータに接続され;
前記リニア発停装置は、アクチュエータ2と、左スライド案内円板4と、右スライド案内円板19と、非同期回転盤9と、サーボモータ5と、を含み、前記リニア発停装置の左スライド案内円板4及び右スライド案内円板19が両端の非同期回転盤9を介して各々動的ボルト弛緩装置と連結して動的ボルト弛緩装置の動作を駆動し、サーボモータ5を起動させると、前記左スライド案内円板4と右スライド案内円板19が相寄り相離れる方向へ相対的に移動し、非同期回転盤9を通じて駆動歯車10の送りの噛み合い及び噛み合いから離脱を完了させ、リニア発停装置により動的ボルド弛緩プロセスを制御し;
図3は、周回レーザースキャンコア装置を示す模式図である。前記周回レーザースキャン装置は、レーザードップラ振動計1と、反射ミラー16と、ボールねじ15と、モータと、を含み、前記レーザードップラ振動計1のレーザー発射口が反射ミラー16の中心に合わせられ、光路が反射ミラー16を経由してX軸方向からY軸方向に変えてディスク・ドラム薄肉部材3の内面に当たり;反射ミラー16は、ボールねじ15の頂端に連結され、かつモータと接続して一緒に繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材3の中空軸内に45度の傾斜角で固設され;ボールねじ15の後端のノブ17を回転させると、反射ミラー16のZ軸方向の送りを実現させ、ディスク・ドラム胴の被測定横断面の位置を変更でき;モータがオフになり、レーザー光路とディスク・ドラム胴が同期回転することで、繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材3の特定測定点の振動状況を測定でき、モータが起動され、レーザー光路とディスク・ドラム胴が差動運動し、繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材3内側の特定周方向断面の振動状況を測定できる。
【0016】
ボルトが緩んだ状態での繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材の回転振動試験ベンチの使用方法は、
必要な機能が確実に達成されることを保証するため、ボルトが緩んだ状態での繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材3の回転振動試験ベンチを取り付けるステップ(1)と、
弛緩したい繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材3の一部或いは全てのボルトを決定し、それに応じて伸縮軸13を調整するステップ(2)と、
予備実験を実施し、モータを起動させ、繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材3の空転実験を30分ほど実施させることで、モータ熱的誤差の実験に対する影響を排除するステップ(3)と、
リニア発停装置を通じて、動的ボルト弛緩装置を弛緩対象のボルト位置に送られ、同時に手動で伸縮軸13を調整して、伸縮軸13をボルトに確実に密着させるステップ(4)と、
動的ボルト弛緩装置を起動させ、繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材3の一部或いは全てのボルト弛緩をシミュレートするステップ(5)と、
発射したビームを繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材3のドラム胴の中心線に位置するようにレーザードップラ振動計1を調整し、周回レーザースキャン装置を繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材3のドラム胴の中空軸の対応する位置に調整し、またレーザードップラ振動計1を利用して、注目する繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材3のドラム胴の特定測定点の振動測定を実施するステップ(6)と、
反射ミラー16の低回転モータを起動させて差動回転を実施し、レーザードップラ振動計1を利用して繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材3のドラム胴の特定周方向断面上の全測定点の振動測定を実施するステップ(7)と、
周回レーザースキャン装置のモータを起動させ、反射ミラー16の位置を変更し、ステップ(6)及びステップ(7)を繰り返すことで、繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材3のドラム胴の任意の周方向断面上の全測定点の振動測定を実施するステップ(8)と、
発射したレーザービームを繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材3外側の注目する特定測定点の位置に投射するようにレーザードップラ振動計1の半径方向位置を調整し、また回転状態下で繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材3外側の特定測定点の振動測定も実施できるステップ(9)と、を含む。
【符号の説明】
【0017】
1. レーザードップラ振動計
2. アクチュエータ
3. 繊維強化複合ディスク・ドラム薄肉部材
4. 左スライド案内円板
5. サーボモータ
6. 軸一体円板
7. ブリスク
8. 軸受座
9. 非同期回転盤
10. 駆動歯車
11. 小歯車
12. 内噛合ギアシリンダー
13. 伸縮軸
14. 左ホイールディスク
15. ボールねじ
16. 反射ミラー
17. ノブ
18. 右ホイールディスク
19. 右スライド案内円板
20. 左ブレード取付部
21. 右ブレード取付部
22. スリーブ
図1
図2
図3