(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の電話機と交換機とから構成される電話システムにおいていずれか指定した前記電話機を捜索する処理をコンピュータによって実行する電話機捜索プログラムであって、
前記交換機は、
複数の前記電話機のうち、いずれかの電話機から、捜索対象として指定した電話機の所在を捜索する電話機捜索要求を受信した際に、
前記捜索対象の電話機に対して、人間の耳には聞こえない不可聴周波数領域に属するあらかじめ定めた特定周波数の不可聴音を周辺に出力することを指示する不可聴音出力指示を送信し、
前記捜索対象の電話機は、
前記交換機から前記不可聴音出力指示を受信すると、
前記不可聴音を出力し、
前記捜索対象以外の他の各電話機は、
前記不可聴音を受信すると、
受信音量レベルを測定し、測定した該受信音量レベルを、不可聴音情報として、前記交換機に送信し、
前記交換機は、
前記捜索対象以外の他の電話機それぞれから前記不可聴音情報を受信すると、
受信した前記不可聴音情報に含まれている前記不可聴音の受信音量レベルに関する情報を、前記不可聴音を出力した前記捜索対象の電話機と前記不可聴音を受信した前記捜索対象以外の他の電話機それぞれとに対応付けて、不可聴音情報登録テーブルに登録して保存するとともに、
前記捜索対象以外の他の電話機のうち、前記捜索対象以外の他の電話機における前記不可聴音の受信音量レベルが大きい順に、前記捜索対象以外の他の電話機を示す情報を並べ替えた結果を、電話機捜索結果として、前記電話機捜索要求の送信元の電話機に対して送信する、
ことを特徴とする電話機捜索プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明による電話システム、電話機捜索方法および電話機捜索プログラムの好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、以下の説明においては、本発明による電話システムおよび電話機捜索方法について説明するが、かかる電話機捜索方法をコンピュータにより実行可能な電話機捜索プログラムとして実施するようにしても良いし、あるいは、電話機捜索プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしても良いことは言うまでもない。また、以下の各図面に付した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではないことも言うまでもない。
【0019】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明は、捜索対象の電話機に対する交換機からの着信音を頼りにして探し出すことができない状態にあっても、人間の耳には聞こえない不可聴音を利用して、該捜索対象の電話機の所在位置を捜索することが可能な仕組みを提供することを主要な特徴としている。
【0020】
つまり、ユーザから特定の電話機に関する捜索要求が発生した際に、捜索対象に指定された該電話機から発した不可聴音(あらかじめ定めた周波数の不可聴音)を、該捜索対象の電話機の周辺に存在する各電話機それぞれにて受信して、受信した該不可聴音の受信音量レベルをそれぞれにおいて測定して、各電話機が測定した該不可聴音の受信音量レベルそれぞれを交換機に対して送信する。交換機は、捜索対象の電話機の周辺に存在する各電話機から送信されてきた不可聴音の受信音量レベルに基づいて、該捜索対象の電話機近辺に位置している電話機に関する情報を、該捜索対象の電話機の捜索を依頼したユーザの電話機に対して通知する。
【0021】
その結果、該ユーザは、通知された該捜索対象の電話機近辺の電話機に関する情報を受け取ることにより、該捜索対象の電話機の所在位置を絞り込むことができ、たとえ、該捜索対象の電話機が交換機に接続されていない状態になっていても、該捜索対象の電話機を見つけ出すことができる。さらに、該捜索対象の電話機を捜索する際に、着信音や区画識別音のような可聴音を利用することなく、人間の耳には聞こえない不可聴音を利用して捜索を実施するので、会議室や執務室や多数の人がいる場所等で実施中の会議や業務や会話等を妨げることもない。したがって、本発明の電話システムを例えば企業や公共施設等の構内に適用することも可能になる。
【0022】
(実施形態の構成例)
次に、本発明に係る電話システムの実施形態について、その一例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電話システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
図1に示す電話システム100は、交換機10と複数の電話機20すなわち電話機A20a、電話機B20b、電話機C20c、電話機D20d、電話機E20e、…とから構成されている。そして、各電話機20すなわち電話機A20a、電話機B20b、電話機C20c、電話機D20d、電話機E20e、…と交換機10との間は、それぞれ、無線または有線の通信回線30すなわち通信回線A30a、通信回線B30b、通信回線C30c、通信回線D30d、通信回線E30e、…によって接続されている。
【0023】
なお、以下の説明においては、説明を理解し易くするために、本電話システム100を、企業の構内に設置されるボタン電話システムに適用することを想定して説明するが、構内交換機(PBX:Private Branch Exchange)システムや通常の電話交換システム等の一般的な電話システムにおいても全く同様に適用することができる。
【0024】
次に、
図1に示す交換機10の内部構成の一例について
図2を用いて説明する。
図2は、
図1に示す交換機10の内部構成の一例を示すブロック構成図である。
図2に例示するように、交換機10は、内部に、中央制御装置101、通信インタフェース102、データベース103を有して構成される。中央制御装置101は、メモリ(ROM(Read-Only Memory)/RAM(Random Access Memory))にあらかじめ格納している制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)を有していて、内部に電話機捜索処理部104を実装している。
【0025】
電話機捜索処理部104は、通信回線30が接続されている通信インタフェース102を経由して、いずれかの電話機20(
図1の場合は電話機A20a)から捜索対象として指定した電話機20(
図1の場合は電話機B20b)の所在位置を探すことを要求する電話機捜索要求を受け取ると、まず、捜索対象の電話機20が当該交換機10に接続されていて通信を行うことが可能な状態にあるか否かを確認する。
【0026】
捜索対象の電話機20が当該交換機10に接続されていた場合には、電話機捜索処理部104は、捜索対象の電話機20(
図1の場合は電話機B20b)に対して人間の耳には聞こえない不可聴音を周辺に出力することを指示する不可聴音出力指示を送信するとともに、当該交換機10に接続されている、捜索対象の電話機20(
図1の場合は電話機B20b)以外のすべての他の電話機20(
図1の場合は電話機A20a、電話機C20c、電話機D20d、電話機E20e、…)に対して、不可聴音を受信した際に、受信した不可聴音の受信音量レベルを、不可聴音情報として、交換機10に返送することを要求する不可聴音情報返送要求を送信する。
【0027】
その結果、電話機捜索処理部104は、捜索対象の電話機20(
図1の場合は電話機B20b)以外の他の各電話機20(
図1の場合は電話機A20a、電話機C20c、電話機D20d、電話機E20e、…)から返送されてくる前記不可聴音情報を受信すると、受信した該不可聴音情報それぞれをデータベース103に格納する。さらに、電話機捜索処理部104は、受信した該不可聴音情報それぞれにより取得した捜索対象の電話機20以外の他の各電話機20それぞれの受信音量レベルに基づいて、捜索対象の電話機20(
図1の場合は電話機B20b)の近辺に存在している電話機20(
図1の場合は電話機C20c、電話機D20d等)に関する端末情報(例えば電話番号等)を、通信インタフェース102から通信回線30を経由して、前記電話機捜索要求を送信してきた電話機20(
図1の場合は電話機A20a)に対して返送する。
【0028】
また、捜索対象の電話機20が当該交換機10に接続されていない状態になっていた場合には、電話機捜索処理部104は、データベース103に定期的に格納している前記不可聴音情報を参照し、捜索対象の電話機20(
図1の場合は電話機B20b)の近辺に存在している電話機20(
図1の場合は電話機C20c、電話機D20d等)に関する端末情報(例えば電話番号等)を、通信インタフェース102から通信回線30を経由して、前記電話機捜索要求を送信してきた電話機20(
図1の場合は電話機A20a)に対して返送する。
【0029】
なお、電話機捜索処理部104は、いずれかの電話機が捜索対象の電話機20として指定された際に、該捜索対象の電話機20が交換機10に接続されていないか、あるいは、故障等により交換機10と通信を行うことができない場合が生じることを想定して、あらかじめ定めた周期で、定期的に、交換機10に接続されているすべての電話機20を対象にして、前述したような動作を行い、不可聴音の出力動作を順次行わせて、該不可聴音を受信した他の電話機20から交換機10に対して前記不可聴音情報を順次返送させて、データベース103に格納するという動作を定期的に繰り返している。
【0030】
次に、
図1に示す各電話機20すなわち電話機A20a、電話機B20b、電話機C20c、電話機D20d、電話機E20e、…の内部構成の一例について
図3を参照しながら説明する。ここで、各電話機20すなわち電話機A20a、電話機B20b、電話機C20c、電話機D20d、電話機E20e、…は、いずれも同じ内部構成からなっている。
図3は、
図1に示す各電話機20の内部構成の一例を示すブロック構成図である。
図3に例示するように、各電話機20は、内部に、中央制御装置201、通信インタフェース202、音声送信デバイス203、音声受信デバイス204、表示デバイス205を有して構成される。中央制御装置201は、あらかじめメモリ(ROM/RAM)に格納している制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)を有していて、内部に、不可聴音処理部206を実装している。
【0031】
不可聴音処理部206は、通信回線30が接続されている通信インタフェース202を経由して交換機10から不可聴音出力指示を受け取ると、人間の耳には聞こえない不可聴周波数領域に属するあらかじめ定めた特定周波数を用いた不可聴音を、スピーカ等からなる音声送信デバイス203から周辺に対して出力する。また、不可聴音処理部206は、周辺の電話機20から出力された前記不可聴音がマイク等からなる音声受信デバイス204に入力されてきた場合には、該不可聴音の受信音量レベルを、不可聴音情報として、通信インタフェース202から通信回線30を経由して交換機10に対して返送する。
【0032】
なお、
図1においては、前述した動作内容の一例も併せて示している。つまり、
図1において、電話機A20aは、捜索対象として電話機B20bの所在位置を知りたいという電話機捜索要求をユーザから受け取る電話機であり、電話機A20aは、該電話機捜索要求をユーザから受け取ると、捜索対象の電話機B20bに関する電話機捜索要求を、通信回線A30aを経由して交換機10に対して送信する。
【0033】
交換機10は、捜索対象の電話機B20bに関する電話機捜索要求を電話機A20aから受け取ると、
図2に示した電話機捜索処理部104を起動して、不可聴音出力指示を、受け取った前記電話機捜索要求において指定された捜索対象の電話機B20bに対して、通信インタフェース102から通信回線B30bを経由して送信する。
【0034】
捜索対象の電話機B20bは、交換機10からの不可聴音出力指示を受け取ると、
図3に示した不可聴音処理部206を起動して、交換機10からの指示に従って、不可聴音を
図3に示した音声送信デバイス203から周辺に対して出力する。ここで、
図1に例示した各電話機20それぞれの所在位置に関し、所在位置を知りたい捜索対象の電話機B20bの周辺には、電話機C20c、電話機D20d、電話機A20aの順番に近傍に存在している場合を示し、電話機E20eは、捜索対象の電話機B20bから離れた場所に位置している。
【0035】
電話機A20a、電話機C20c、電話機D20d、電話機E20eのそれぞれは、捜索対象の電話機B20bが出力している不可聴音を、
図3に示した音声受信デバイス204にて受信すると、不可聴音処理部206を起動して、
図3に示した音声受信デバイス204にて、受信した不可聴音の受信音量レベルを、不可聴音情報として、それぞれの通信インタフェース202から通信回線30(通信回線A30a、通信回線C30c、通信回線D30d、通信回線E30e)を経由して、交換機10に対して送信する。
【0036】
交換機10は、電話機A20a、電話機C20c、電話機D20d、電話機E20eの各電話機20それぞれから不可聴音情報を受信すると、受信したそれぞれの不可聴音情報を、
図2に示した電話機捜索処理部104により、データベース103に保存する。しかる後、電話機捜索処理部104は、各電話機20それぞれにおける不可聴音の受信音量レベルに基づいて、捜索対象の電話機B20bの所在位置の近辺に位置する電話機20(
図1においては電話機C20c、電話機D20d、電話機A20a)に関する情報を、通信インタフェース102から通信回線A30aを経由して、電話機捜索要求を送信してきた電話機A20aに対して返送する。
【0037】
(実施形態の動作例の説明)
次に、本発明の実施形態の一例として
図1に示した電話システム100の動作について、その一例を、
図4のシーケンス図を参照しながら詳細に説明する。
図4は、
図1に示した電話システム100の動作の一例を説明するシーケンス図であり、電話機A20aからの電話機捜索要求にて指定された捜索対象の電話機B20bが、交換機10に接続されて稼働している状態にある場合の電話機捜索動作の一例について示している。
【0038】
ここで、
図4のシーケンス図においては、交換機10と、捜索対象の電話機B20bと、捜索対象の電話機B20bに関する電話機捜索要求を交換機10へ送信した送信元の電話機A20aと、捜索対象の電話機B20bが出力する不可聴音を受信する電話機20の代表として該電話機B20bの最も近傍に位置している電話機C20cとの、それぞれの間で送受信する情報に着目して、動作の流れの一例を示している。なお、交換機10に接続された状態にある電話機20のうち、電話機B20bと電話機A20aと電話機C20cとを除く他の電話機20(すなわち、
図1に示すシステム構成図においては、電話機D20d、電話機E20e)に関しても、
図4には表示していないが、電話機C20cと全く同様の情報送受信動作を行う。
【0039】
図4に示すシーケンス図において、まず、電話機A20aのユーザが、電話機A20aの操作を行って、電話機A20aの液晶パネル等からなる表示デバイス205に、電話機B20bの所在位置を捜索するための画面を、例えば
図5に示すような電話機捜索画面として画面表示する(シーケンスSeq1)。
図5は、捜索対象の電話機20に関する電話番号を入力するために、
図3に示した電話機A20aの表示デバイス205に画面表示する電話機捜索画面の一例を示す模式図である。なお、
図5においては、構内に設置したボタン電話システムの場合を想定して、捜索対象の電話機の電話番号を入力する入力欄には、「×」マークで示したように、4桁の電話番号(すなわち内線電話番号)を入力する例を示しているが、通常の桁数の電話番号を入力するようにしても勿論構わない。
【0040】
電話機A20aの表示デバイス205に電話機捜索画面が画面表示されると、電話機A20aのユーザは、画面表示された該電話機捜索画面の電話番号の入力欄に、例えば捜索対象の電話機20として電話機B20bの電話番号を入力して「実行」ボタンを押す(シーケンスSeq1a)。その結果、電話機A20aの表示デバイス205は、電話機A20aのユーザからの要求として、入力された電話機B20bに関する電話機捜索要求を、該電話機B20bの電話番号を付した形式で、電話機A20aの中央制御装置201に対して出力する。
【0041】
電話機A20aの中央制御装置201は、捜索対象の電話機B20bに関する電話機捜索要求を、該電話機B20bの電話番号を付して通信インタフェース202から通信回線A30aを経由して交換機10に対して送信する(シーケンスSeq2)。
【0042】
交換機10は、捜索対象の電話機B20bに関する電話機捜索要求を電話機A20aから受け取ると、電話機捜索処理部104を起動して、該電話機捜索要求に付して送信されてきた電話機B20bの電話番号を取り出して、
図6のフローチャートに例示するような電話機捜索要求処理を実行する。
図6は、
図2に示した交換機10内の電話機捜索処理部104が実行する電話機捜索要求処理の一例を示すフローチャートである。
【0043】
図6に示す電話機捜索要求処理のフローチャートにおいては、まず、前記電話機捜索要求において捜索対象の電話機として指定された電話機B20bの当該交換機10との接続状態を確認する(ステップS1)。捜索対象の電話機B20bが当該交換機10と接続されている状態であった場合には(ステップS1の‘接続’の場合)、電話機捜索処理部104は、当該交換機10に接続されている各電話機20に対して、次のような情報(不可聴音の送受信に関する情報)を送信する。
【0044】
すなわち、交換機10の電話機捜索処理部104は、まず、捜索対象の電話機B20b以外の当該交換機10に接続された状態にある各電話機20(
図1に示すシステム構成図においては、電話機A20a、電話機C20c、電話機D20d、電話機E20e、…)に対して、不可聴音の受信準備を要求する。すなわち、捜索対象の電話機B20b以外の各電話機20(
図1に示すシステム構成図においては、電話機A20a、電話機C20c、電話機D20d、電話機E20e、…)に対して、あらかじめ定めた特定時間が経過するまでの間に、人間の耳には聞こえないあらかじめ定めた特定周波数の不可聴音を受信した場合には、次のような不可聴音情報を、交換機10に対して返送してくることを要求する不可聴音情報返送要求を、通信インタフェース102から各通信回線30を経由して送信する(ステップS2)。
【0045】
ここで、該不可聴音情報とは、受信した前記不可聴音の受信音量レベルを測定して、測定した該不可聴音の受信音量レベルに関する情報を含む情報である。
【0046】
しかる後、交換機10の電話機捜索処理部104は、捜索対象として指定された電話機B20bに対して、人間の耳には聞こえない前記特定周波数の不可聴音を出力することを指示する不可聴音出力指示を、通信インタフェース102から通信回線B30bを経由して送信する(ステップS3)。
【0047】
なお、前記特定周波数の不可聴音としては、例えば可聴周波数帯域の上限周波数である20kHzに近接する不可聴音領域の周波数の音声情報(すなわち不可聴の音声情報)を用いる。また、捜索対象の電話機B20b以外の各電話機20が、捜索対象の電話機B20bが出力した不可聴音を受信するための時間範囲を示す前記特定時間に関しては、任意の時間に設定しても構わない。
【0048】
一方、ステップS1において、
図4のシーケンス図の場合(すなわち、捜索対象の電話機B20bが交換機10に接続されて稼働している状態にある場合の動作シーケンスの一例を示している場合)とは異なり、捜索対象の電話機B20bが当該交換機10と接続されていない状態であった場合には(ステップS1の‘非接続’の場合)、交換機10の電話機捜索処理部104は、次のような動作を行う。
【0049】
捜索対象の電話機B20bが交換機10に接続されていない場合、交換機10の電話機捜索処理部104は、データベース103に今までに定期的に更新して保持している不可聴音の受信音量レベルに関する情報を参照して、捜索対象の電話機B20bが交換機10と接続されていた最新の状態において、該電話機B20b以外の各電話機20が取得していた不可聴音の受信音量レベルを検索する。言い換えると、捜索対象の電話機B20bが交換機10と接続されていた最新の状態において交換機10からの指示に基づいて不可聴音を出力した際に、電話機B20b以外の各電話機20において受信していた該不可聴音の受信音量レベルに関する情報を検索する。
【0050】
そして、捜索対象の電話機B20bが不可聴音を出力した際の電話機B20b以外の各電話機20における該不可聴音の受信音量レベルに関する情報を、データベース103から取り出して、捜索対象の電話機B20bの所在位置を捜索するための情報として使用する(ステップS4)。かかる場合の具体的な動作シーケンスに関しては、後述する
図10Aおよび
図10Bのシーケンス図において、その一例を具体的に説明する。
【0051】
図4のシーケンス図の説明に戻って、捜索対象の電話機B20bが交換機10に接続されて稼働している状態にある場合には、
図6のフローチャートのステップS2の説明として前述したように、交換機10は、起動した電話機捜索処理部104の動作により、まず、捜索対象の電話機B20b以外で、当該交換機10に接続されている各電話機20に対して、前述した不可聴音情報返送要求を、通信インタフェース102から各通信回線30を経由して送信する。つまり、
図4のシーケンス図においては、前記不可聴音情報返送要求を、電話機A20aと電話機C20cとのそれぞれに対して送信している場合を示している(シーケンスSeq3とシーケンスSeq4)。
【0052】
ここで、該不可聴音情報返送要求は、前述したように、あらかじめ定めた特定時間が経過するまでの間にあらかじめ定めた特定周波数の不可聴音を受信した場合には、受信した該不可聴音の受信音量レベルを測定して、測定した該不可聴音の受信音量レベルに関する情報を、不可聴音情報として、交換機10に対して返送してくることを要求する信号である。
【0053】
しかる後、
図6のフローチャートのステップS3の説明として前述したように、交換機10は、電話機捜索処理部104の動作により、交換機10に接続されて稼働している状態にある捜索対象の電話機B20bに対して、前述した不可聴音出力指示を、通信インタフェース102から通信回線B30bを経由して送信する(シーケンスSeq5)。
【0054】
ここで、該不可聴音出力指示とは、前述したように、あらかじめ定めた特定周波数の不可聴音を出力することを指示する信号である。また、該不可聴音の前記特定周波数としては、前述したように、例えば可聴周波数帯域の上限周波数である20kHzに近接する不可聴音領域の周波数を用いる。
【0055】
捜索対象の電話機B20bは、交換機10からの不可聴音出力指示を受け取ると、不可聴音処理部206を起動して、交換機10からの指示に従って、不可聴音を音声送信デバイス203から周辺に対して出力する(シーケンスSeq6)。
【0056】
一方、シーケンスSeq3およびシーケンスSeq4のそれぞれにおいて交換機10からの不可聴音情報返送要求を受信すると、電話機A20aと電話機C20cとは、それぞれ、不可聴音処理部206を起動して、あらかじめ定めた特定時間が経過するまで、前記特定周波数の不可聴音が出力されてきたか否かを監視する状態に設定されている。そして、電話機A20aと電話機C20cとのそれぞれの音声受信デバイス204において、前記特定時間が経過するまでの間に、前記特定周波数の不可聴音(すなわち捜索対象の電話機B20bから出力された不可聴音)を受信すると、それぞれの不可聴音処理部206に対して、受信した該不可聴音の情報を引き渡す。
【0057】
電話機A20aと電話機C20cとのそれぞれの不可聴音処理部206は、音声受信デバイス204から引き渡されたそれぞれ前記特定周波数の不可聴音(すなわち捜索対象の電話機B20bから出力された不可聴音)の受信音量レベルを測定して取得する(シーケンスSeq7とシーケンスSeq8)。
【0058】
ここで、
図1に例示している場合においては、所在位置を知りたい捜索対象の電話機B20bの周辺には、電話機C20c、電話機D20d、電話機A20aの順番に近傍に存在している場合を示し、電話機E20eは、捜索対象の電話機B20bから離れた場所に位置している。したがって、捜索対象の電話機B20bから出力された不可聴音を受信した各電話機20においては、受信した該不可聴音の受信音量レベルが、電話機C20c、電話機D20d、電話機A20a、電話機E20eの順番に大きいレベルになっている。例えば、不可聴音を受信した各電話機20における該不可聴音の受信音量レベルは、電話機C20cにおいては音量7の受信音量レベル、電話機D20dにおいては音量5の受信音量レベル、電話機A20aにおいては音量4の受信音量レベル、電話機E20eにおいては音量1の受信音量レベルになっている。
【0059】
不可聴音の受信音量レベルを取得すると、電話機A20aと電話機C20cとのそれぞれの不可聴音処理部206は、それぞれにおいて取得した不可聴音の受信音量レベルを、不可聴音情報として、それぞれの通信インタフェース202から通信回線30を経由して、不可聴音情報返送要求の送信元の交換機10に対して返送する(シーケンスSeq9とシーケンスSeq10)。しかる後、電話機A20aと電話機C20cとのそれぞれは、不可聴音処理部206の動作を終了する。
【0060】
交換機10は、当該交換機に接続されている捜索対象の電話機B20b以外の各電話機20から返送されてきた不可聴音情報を受信すると、電話機捜索処理部104の動作により、受信した該不可聴音情報に含まれている不可聴音の受信音量レベルを取り出して、該不可聴音情報の返送元の電話機20それぞれと該不可聴音出力元の電話機B20bとを対応付けて、データベース103に配置されている登録テーブルに、すなわち、例えば
図7に示すような不可聴音情報登録テーブル40に、各電話機20が受信した不可聴音の受信音量レベルに関する情報を保存する(シーケンスSeq11)。
【0061】
図7は、
図2に示した交換機10のデータベース103に配備されている不可聴音情報登録テーブル40に各電話機20から受信した不可聴音情報が保存された登録例を示すテーブルである。
図7の不可聴音情報登録テーブル40は、不可聴音を出力する電話機20を示す不可聴音出力電話機欄41と該不可聴音を受信する各電話機20を示す不可聴音受信電話機欄42とのマトリックス構造によって構成されている例を示している。
【0062】
例えば、今回の捜索対象となっている電話機B20bが不可聴音の出力元であった場合には、交換機10は、電話機捜索処理部104の動作により、電話機B20b以外の各電話機20から受信した不可聴音情報それぞれに含まれている不可聴音の受信音量レベルに関する情報を取り出して、
図7の不可聴音情報登録テーブル40に太枠で囲んで示しているように、不可聴音出力電話機欄41と不可聴音受信電話機欄42とのそれぞれに該当する位置にそれぞれの受信音量レベルを登録して保存する。
【0063】
つまり、
図7の不可聴音情報登録テーブル40の不可聴音出力電話機欄41の電話機B20bに該当する列のそれぞれの不可聴音受信電話機欄42に示す各電話機20に該当する行ごとの位置には、該当する各電話機20それぞれの受信音量レベルが設定される。例えば、
図7に示すように、不可聴音受信電話機欄42の電話機A20aにおいては音量4の受信音量レベル、電話機C20cにおいては音量7の受信音量レベル、電話機D20dにおいては音量5の受信音量レベル、電話機E20eにおいては音量1の受信音量レベルがそれぞれ設定される。
【0064】
交換機10は、電話機捜索処理部104の動作により、
図7の不可聴音情報登録テーブル40に各電話機20から受信した不可聴音情報を保存すると、しかる後、捜索対象の電話機B20bが出力している不可聴音の出力動作を停止させるための不可聴音停止指示を、通信インタフェース102から通信回線B30bを経由して、捜索対象の電話機B20bに対して送信する(シーケンスSeq12)。
【0065】
電話機B20bは、交換機からの不可聴音停止指示を通信回線B30bから通信インタフェース202を経由して受信すると、不可聴音処理部206の動作により、音声送信デバイス203の動作を停止させて、音声送信デバイス203から周辺に対して出力していた不可聴音の出力動作を停止する(シーケンスSeq13)。そして、電話機B20bは、不可聴音処理部206の動作を終了する。
【0066】
しかる後、交換機10は、電話機捜索処理部104の動作により、
図7の不可聴音情報登録テーブル40に保存した不可聴音情報の中から、今回の捜索対象である電話機B20bが出力した不可聴音の各電話機20における受信音量レベルに関する情報(
図7の不可聴音情報登録テーブル40に太枠で囲んで示した情報)を読み出して、
図8に示すように、該不可聴音を受信した各電話機20の順番を受信音量レベルが大きい順に並べ替える。
【0067】
つまり、電話機捜索処理部104は、
図7の不可聴音情報登録テーブル40に保存した不可聴音情報(電話機B20bが出力した不可聴音に関する各電話機20の受信音量レベル)に基づいて、該受信音量レベルが大きい電話機20の順に、捜索対象の電話機B20bのより近くに位置している電話機20であると推測して、捜索対象の電話機B20bからの不可聴音を受信した各電話機20の表示順を該受信音量レベルが大きい順に並べ替える(シーケンスSeq14)。
【0068】
図8は、
図2に示した交換機10内の電話機捜索処理部104において、捜索対象である電話機B20bが出力した不可聴音を受信した各電話機20の表示順を該不可聴音の受信音量レベルが大きい順番に並べ替えた一例を示す説明図である。
図8の説明図に太枠で囲んで示すように、
図7の不可聴音情報登録テーブル40の不可聴音受信電話機欄42においては、電話機A20a、電話機C20c、電話機D20dの順番に並んで、電話機B20bから出力した不可聴音の受信音量レベルとして音量4、音量7、音量5がそれぞれ設定保存されていたが、該受信音量レベルが大きい順番である電話機C20c、電話機D20d、電話機A20aの順番に並べ替える。
【0069】
そして、交換機10は、電話機捜索処理部104の動作により、不可聴音の受信音量レベルが大きい電話機20が順番に捜索対象の電話機B20bのより近辺に位置している電話機20であると推定されることを示す情報として、番号付けを行って、それぞれの電話機20の電話番号を画面表示するための情報、および、受話音量レベルの情報を、画面表示情報として作成する。交換機10は、該画面表示情報を作成すると、作成した該画面表示情報を、捜索対象として要求された電話機B20bの所在位置の捜索結果を示す電話機捜索結果として、通信インタフェース102から通信回線A30aを経由して、電話機捜索要求を送信してきた送信元の電話機A20aに対して返送する(シーケンスSeq15)。
【0070】
電話機B20bに関する電話機捜索要求を交換機10に対して送信した電話機A20aは、交換機10から返送されてきた該電話機捜索結果を通信回線A30aから通信インタフェース202を経由して受信すると、不可聴音処理部206の動作により、受信した該電話機捜索結果を、
図9に示すように表示デバイス205に画面表示する(シーケンスSeq16)。
【0071】
つまり、捜索対象の電話機B20bが出力した不可聴音の受信音量レベルが大きい電話機20が、順番に、捜索対象の電話機B20bのより近辺に位置している電話機20であるとして番号付けを行って、各電話機20の電話番号および受話音量レベルを順番に表示デバイス205に画面表示する
【0072】
図9は、
図1に示した電話システム100において、電話機捜索要求を交換機10に対して送信した電話機A20aが、交換機10から返送されてきた電話機捜索結果を表示デバイス205に画面表示した一例を示す模式図である。
図9に示すように、電話機A20aの表示デバイス205には、捜索対象の電話機B20bが所在する場所に近い順番に、電話機C20cの電話番号と受話音量レベル、電話機D20dの電話番号と受話音量レベル、電話機A20aの電話番号と受話音量レベルを、番号付きで画面表示する。
【0073】
したがって、電話機A20aのユーザは、表示された電話番号の電話機20(例えば電話機C20c)を頼りにして、該電話機20(例えば電話機C20c)の近辺に所在している捜索対象の電話機B20bを見つけ出すことができる。
【0074】
かくのごときユーザインタフェースを提供することにより、捜索対象とした電話機B20bが交換機10に接続されていた場合において、たとえ、該電話機B20bの故障等により該電話機B20bの着信音が鳴動しない状態に陥っていたとしても、該電話機B20bの所在位置を捜索することが可能である。
【0075】
(
図4とは異なる実施形態の動作例の説明)
次に、本発明の実施形態の一例として
図1に示した電話システム100の動作に関し、
図4のシーケンス図とは異なる動作例について、
図6のフローチャートのステップS1の‘非接続’の場合を、
図10Aおよび
図10Bのシーケンス図を参照しながら詳細に説明する。
図10Aの下端が
図10Bの上端に繋がっていて、両図が接続されて1つのシーケンス図を構成している。
図10Aおよび
図10Bは、
図1に示した電話システム100の
図4のシーケンス図とは異なる動作の一例を説明するシーケンス図であり、
図10Aとして、あらかじめ定めた周期で、定期的に常時実施しているシーケンスグループSeqGの動作例を示し、また、
図10Bとして、電話機A20aからの電話機捜索要求にて指定された捜索対象の電話機B20bが、交換機10に接続されていなかった場合の電話機捜索動作の一例について示している。
【0076】
ここで、
図10Aおよび
図10Bのシーケンス図においても、
図4のシーケンス図の場合と同様、交換機10と、捜索対象の電話機B20bと、捜索対象の電話機B20bに関する電話機捜索要求の交換機10への送信元である電話機A20aと、捜索対象の電話機B20bが出力する不可聴音を受信する電話機20の代表として該電話機B20bの最も近傍に位置している電話機C20cとの、それぞれの間で送受信する情報に着目して、動作の流れの一例を示している。なお、
図10AのシーケンスグループSeqGにおいては、電話機B20bが捜索対象の電話機20の場合を示し、交換機10に接続された状態にある電話機20のうち、電話機B20bと電話機A20aと電話機C20cとを除く他の電話機20(すなわち、
図1に示すシステム構成図においては、電話機D20d、電話機E20e)に関しても、
図10Aには表示していないが、電話機C20cと全く同様の情報送受信動作を行う。
【0077】
また、
図10Aおよび
図10Bには、前述したように、交換機10に接続されているいずれの電話機20が、交換機との通信ができない状態に陥って、捜索対象の電話機20となってしまう場合が発生しても、捜索対象として対応することが可能なように、
図10Aとして、破線で囲んだシーケンスグループSeqGに示すように、今回の捜索対象となった電話機B20bも交換機10に接続されていた状態にあった以前の期間も含めて、常時、あらかじめ定めた周期で、交換機10に接続されているすべての電話機20を対象にして、データベース103の不可聴音情報登録テーブル40に各電話機20に関する不可高温情報を順番に登録していく動作を定期的に繰り返しているシーケンスも示している。
【0078】
シーケンスグループSeqGとして示した
図10Aにおいては、不可聴音を出力する電話機20として電話機B20bを指定した場合の動作例を示し、
図10AのシーケンスSeq3〜シーケンスSeq13に示すように、
図4のシーケンス図に示したシーケンスS3〜シーケンスSeq13までの動作と全く同様の各情報に関する送受信動作を行っている。ただし、シーケンスグループSeqGとしては、交換機10に接続されているすべての電話機20を対象にして、不可聴音を出力する電話機20を電話機B20bから順次他の各電話機20に切り替えて実施する動作を、あらかじめ定めた周期で、定期的に繰り返している。つまり、シーケンスSeq5およびシーケンスSeq12には、不可聴音出力指示の送信先および不可聴音停止要求の送信先の電話機20として電話機B20bが指定された場合について示しているが、電話機B20bに限らず、順次、電話機B20b以外の他のすべての電話機20を、不可聴音出力指示および不可聴音停止要求の送信先の電話機20として指定していく動作を、あらかじめ定めた周期で、定期的に繰り返している。
【0079】
その結果として、交換機10は、各電話機20から出力される不可聴音の受信音量レベルに関する不可聴音情報を、不可聴音出力動作を行った電話機20以外のすべての電話機20から収集して、交換機10のデータベース103に配置されている不可聴音情報登録テーブル40に登録して保存するという動作を、すべての電話機20に関して、定期的に繰り返して実施することになる。つまり、不可聴音情報登録テーブル40には、不可聴音受信電話機欄42に示す各電話機20それぞれに、不可聴音出力電話機欄41として不可聴音出力動作を行った各電話機20に関する不可聴音情報(すなわち不可聴音の受信音量レベルを示す情報)が保存されるという動作を、すべての電話機20に関して、定期的に繰り返して実施していることになる。
【0080】
さらに説明すると、交換機10は、自交換機10に接続されているすべての電話機20を対象にして、常時、あらかじめ定めた周期で、定期的に、捜索対象の電話機20として順番に指定して、順番に指定した捜索対象の電話機20から不可聴音を出力する動作を行わせて、該不可聴音を受信した捜索対象以外の他の各電話機20から不可聴音情報を返送させる。そして、交換機10は、捜索対象以外の他の各電話機20から返送されてきた前記不可聴音情報に含まれている不可聴音の受信音量レベルに関する情報を、不可聴音を出力した捜索対象の電話機20と該不可聴音を受信した前記捜索対象以外の他の電話機20それぞれとに対応付けて、不可聴音情報登録テーブル40を定期的に更新する形で不可聴音情報登録テーブル40に登録して保存するという動作を、すべての電話機20に関して、定期的に繰り返して実施していることになる。
【0081】
かくのごとく、シーケンスグループSeqGとして示した
図10Aにおいては、交換機10は、各電話機20から順番に前記不可聴音を出力させて、該不可聴音を受信した他の各電話機20から前記不可聴音情報を返送させて、データベース103の不可聴音情報登録テーブル40に更新して登録していくという動作を定期的に繰り返している。
【0082】
図10Aのシーケンス図において、かくのごとき定期的な電話機B20bに関する不可聴音情報の収集動作を交換機10において繰り返して実施している状況下において、
図10Bのシーケンス図に示すように、例えば、電話機B20bの電源断が発生して、該電話機B20bが交換機10と接続されない状態に陥ってしまい、該電話機B20bの所在位置が不明の状態になる(シーケンスSeq20)。
【0083】
まず、
図10BのシーケンスSeq21においては、
図4のシーケンス図におけるシーケンスSeq1の場合と同様に、例えば、該電話機B20bの所在位置を知ろうとする電話機A20aのユーザは、電話機A20aの操作を行って、電話機A20aの表示デバイス205に、電話機B20bの所在位置を捜索するための画面を、例えば
図5に示したような電話機捜索画面として画面表示する(シーケンスSeq21)。
【0084】
電話機A20aの表示デバイス205に電話機捜索画面が画面表示されると、
図4のシーケンス図におけるシーケンスSeq1aの場合と同様に、電話機A20aのユーザは、画面表示された該電話機捜索画面における電話番号の入力欄に例えば捜索対象の電話機20として電話機B20bの電話番号を入力して「実行」ボタンを押す(シーケンスSeq21a)。その結果、電話機A20aの表示デバイス205は、電話機A20aのユーザからの要求として、入力された電話機B20bに関する電話機捜索要求を、該電話機B20bの電話番号を付した形式で、電話機A20aの中央制御装置201に対して出力する。
【0085】
電話機A20aの中央制御装置201は、
図4のシーケンス図におけるシーケンスSeq2の場合と同様に、捜索対象の電話機B20bに関する電話機捜索要求を、該電話機B20bの電話番号を付して通信インタフェース202から通信回線A30aを経由して交換機10に対して送信する(シーケンスSeq22)。
【0086】
交換機10は、捜索対象の電話機B20bに関する電話機捜索要求を電話機A20aから受け取ると、
図4のシーケンス図におけるシーケンスSeq3の場合と同様に、電話機捜索処理部104を起動して、該電話機捜索要求に付して送信されてきた電話機B20bの電話番号を取り出して、
図6のフローチャートに例示したような電話機捜索要求処理を実行して、まず、捜索対象の電話機B20bの交換機10との接続状態を確認する。
【0087】
交換機10の電話機捜索処理部104は、交換機10との接続状態の確認結果として、
図4のシーケンス図におけるシーケンスSeq3の場合とは異なり、捜索対象の電話機B20bが交換機10とは接続されていない状態にあることを確認すると、
図6のフローチャートのステップS1の‘非接続’の場合として示したように、
図7に示したようなデータベース103の不可聴音情報登録テーブル40に、捜索対象の電話機B20bが不可聴音を出力した際の電話機B20b以外の各電話機20における該不可聴音の受信音量レベルに関する情報を使用する。
【0088】
ここで、
図10AのシーケンスグループSeqGとして示したように、データベース103の不可聴音情報登録テーブル40には、交換機10に接続されているすべての電話機20に関する不可聴音情報(受信音量レベル)を順次更新して保存する動作を繰り返している。したがって、捜索対象の電話機B20bに関しても、以前に交換機10に接続されていた時期に取得された最新の不可聴音情報(受信音量レベル)が
図7に例示したような不可聴音情報登録テーブル40に保存されている。
【0089】
その結果、交換機10は、電話機捜索処理部104の動作により、
図6のフローチャートのステップS4に示したように、捜索対象の電話機B20bが不可聴音を出力した際の電話機B20b以外の各電話機20における該不可聴音の受信音量レベルに関する情報を、最新の受信音量レベルを示す情報として、不可聴音情報登録テーブル40から取り出して、今回の捜索対象の電話機B20bの所在位置を捜索するための情報として使用する。そして、例えば
図7の不可聴音情報登録テーブル40に保存した不可聴音情報の中から、今回の捜索対象である電話機B20bが出力した不可聴音の各電話機20における受信音量レベルに関する情報(
図7の不可聴音情報登録テーブル40に太枠で囲んで示した情報)を取り出す。
【0090】
しかる後、交換機10は、電話機捜索処理部104の動作により、
図4のシーケンス図におけるシーケンスSeq14の場合と同様に、取り出した各電話機20における該不可聴音の受信音量レベルを確認することにより、捜索対象の電話機B20bからの不可聴音を受信した各電話機20の表示順を該受信音量レベルが大きい順に並べ替える(シーケンスSeq23)。つまり、例えば、
図7の不可聴音情報登録テーブル40の太枠で囲んで示した電話機B20bからの不可聴音を受信した各電話機20の表示順を、該不可聴音の受信音量レベルが大きい順になるように、電話機C20c、電話機D20d、電話機A20aの順番に並べ替える。
【0091】
そして、交換機10は、
図4のシーケンス図におけるシーケンスSeq15の場合と同様に、電話機捜索処理部104の動作により、不可聴音の受信音量レベルが大きい電話機20が順番に捜索対象の電話機B20bのより近辺に位置している電話機20であると推定されることを示す情報として、番号付けを行って、それぞれの電話機20の電話番号と受話音量レベルを画面表示するための情報を、画面表示情報として作成する。交換機10は、該画面表示情報を作成すると、作成した該画面表示情報を、捜索対象として要求された電話機B20bの所在位置の捜索結果を示す電話機捜索結果として、通信インタフェース102から通信回線A30aを経由して、電話機捜索要求を送信してきた送信元の電話機A20aに対して返送する(シーケンスSeq24)。
【0092】
電話機B20bに関する電話機捜索要求を交換機10に対して送信した電話機A20aは、交換機10から返送されてきた電話機捜索結果を通信回線A30aから通信インタフェース202を経由して受信すると、
図4のシーケンス図におけるシーケンスSeq16の場合と同様に、不可聴音処理部206の動作により、受信した該電話機捜索結果を、
図9に示したように、表示デバイス205に画面表示する(シーケンスSeq25)。
【0093】
例えば、
図9に示したように、電話機A20aの表示デバイス205には、捜索対象の電話機B20bが所在する場所に近い順番に、電話機C20cの電話番号と受話音量レベル、電話機D20dの電話番号と受話音量レベル、電話機A20aの電話番号と受話音量レベルを、番号付きで画面表示する。
【0094】
したがって、電話機A20aのユーザは、表示された電話機20(例えば電話機C20c)を頼りにして、該電話機20(例えば電話機C20c)の近辺に所在している捜索対象の電話機B20bを見つけ出すことができる。
【0095】
かくのごときユーザインタフェースを提供することにより、捜索対象とした電話機B20bが交換機10に接続されていなかった場合であっても、該電話機B20bの所在位置を捜索することが可能である。
なお、不可聴音として、出力元を示す電話機20の端末情報(電話番号等)を含むあらかじめ定めた情報からなる音声情報を出力し、捜索対象以外の他の電話機は、該不可聴音の受信音量レベルと該不可聴音に含まれている電話機20(該不可聴音の出力元の電話機20)の端末情報(電話番号等)とを分析して、分析結果(不可聴音の受信音量レベルおよび該不可聴音の出力元を示す電話機20の端末情報(電話番号等)に関する情報)を、不可聴音情報として送信するとしてもよい。
また、交換機10は、不可聴音停止指示を送信するとしたが、不可聴音停止指示を送信せず、捜索対象の電話機B20bは、不可聴音を一定時間出力するとしてもよい。
【0096】
(実施形態の効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本実施形態においては、以下のような効果が得られる。
【0097】
第1に、不可聴音を用いて捜索対象の電話機20を捜索することにしているので、企業や公共施設等の構内における会議やデスクワークや会話等の妨げになることなく、捜索対象の電話機20の近傍に位置している電話機20を利用して、捜索対象の電話機20を見つけ出すことができる。
【0098】
第2に、あらかじめ定めた周期で定期的にすべての電話機20を対象にして、各電話機20が順次出力した不可聴音を受信した他の各電話機20それぞれにおける該不可聴音に関する受信音量レベルを登録して保存する動作を繰り返しているので、捜索対象の電話機が、故障や電源未投入の状態に陥ったり、捜索対象の電話機が交換機10に接続されていない状態になったりした場合であっても、捜索対象の電話機20の近傍に位置している電話機20を利用して、捜索対象の電話機20を見つけ出すことができる。
【0099】
以上、本発明の好適な実施形態の構成を説明した。しかし、かかる実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。
【解決手段】交換機10は、電話機A20aから、捜索対象として電話機B20bの所在を捜索する電話機捜索要求を受信した際に電話機B20bが接続されている状態であれば、電話機B20bに対しあらかじめ定めた特定周波数の不可聴音の周辺への出力を指示することにより、電話機B20bから前記不可聴音を周辺に出力させ、前記不可聴音を受信した他の各電話機20から該不可聴音の受信音量レベルの測定結果を不可聴音情報として返送させて、不可聴音情報登録テーブルに保存するとともに、該受信音量レベルが大きい順に、電話機B20bに対してより近辺に存在している電話機であると判定して、該受信音量レベルが大きい順番に電話機B20b以外の他の電話機20を示す情報を並べ替えた結果を、電話機A20aに対して送信する。