特許第6863654号(P6863654)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6863654タイヤ式門型クレーンおよびその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863654
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】タイヤ式門型クレーンおよびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/22 20060101AFI20210412BHJP
   B66C 9/04 20060101ALI20210412BHJP
   B66C 19/00 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   B66C13/22 G
   B66C9/04
   B66C19/00 B
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-31739(P2018-31739)
(22)【出願日】2018年2月26日
(65)【公開番号】特開2019-147638(P2019-147638A)
(43)【公開日】2019年9月5日
【審査請求日】2020年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】518126144
【氏名又は名称】株式会社三井E&Sマシナリー
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】栢菅 信哉
【審査官】 有賀 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−226485(JP,A)
【文献】 米国特許第06206127(US,B1)
【文献】 特開2002−019629(JP,A)
【文献】 特表平10−502601(JP,A)
【文献】 特開2003−261284(JP,A)
【文献】 特開2005−239352(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/150640(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 9/00─11/26
B66C 17/00─17/26
B66C 13/00─15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に延在する一対のガーダと、それぞれの前記ガーダの延在方向両端部から下方に向って延在する脚部と、前記脚部の下方に設置された複数の走行装置とを備え、前記走行装置がタイヤと、前記タイヤの回転軸と、前記回転軸を軸支する軸受部と、ボギーフレームと、前記ボギーフレームに対するそれぞれの前記軸受部の水平方向の固定角度を変更する固定機構とを有して構成されたタイヤ式門型クレーンにおいて、
前記ガーダの延在方向を横行方向、前記横行方向及び鉛直方向に直交する方向を主走行方向として、
前記固定機構が、前記ボギーフレームに対するそれぞれの前記軸受部の水平方向の固定角度を変更することにより、前記タイヤの回転軸の軸方向の向きを、当該タイヤ式門型クレーンを前記主走行方向に走行させる通常走行モードの場合と、当該タイヤ式門型クレーンを前記横行方向に走行させる横行走行モードの場合とに切り替えできる機構を有し、
前記通常走行モードの場合に、前記固定機構により、前記ボギーフレームに対して前記軸受部が予め設定された所定の向きで固定されることで、平面視において、1本以上の前記タイヤの回転軸の軸方向が、前記横行方向に対して当該タイヤ門型クレーンの中心側に所定の傾斜角度を付けた向きに固定され、
当該タイヤ式門型クレーンを前記主走行方向から見て、前記主走行方向に関して当該タイヤ式門型クレーンが走行する方向の最も前方に配置された左右両側の前記タイヤの回転軸の軸方向は、それぞれ前記傾斜角度を付けた向きに固定されていることを特徴とするタイヤ式門型クレーン。
【請求項2】
水平方向に延在する一対のガーダと、それぞれの前記ガーダの延在方向両端部から下方に向って延在する脚部と、前記脚部の下方に設置された複数の走行装置とを備え、前記走行装置がタイヤと、前記タイヤの回転軸と、前記回転軸を軸支する軸受部と、前記軸受部が固定されたボギーフレームと、当該タイヤ式門型クレーンのクレーン構造体に対するそれぞれの前記ボギーフレームの向きを変更する固定機構とを有して構成されたタイヤ式門型クレーンにおいて、
前記ガーダの延在方向を横行方向、前記横行方向及び鉛直方向に直交する方向を主走行方向として、
前記固定機構が、前記クレーン構造体に対するそれぞれの前記ボギーフレームの向きを変更することにより、前記タイヤの回転軸の軸方向の向きを、当該タイヤ式門型クレーンを前記主走行方向に走行させる通常走行モードの場合と、当該タイヤ式門型クレーンを前記横行方向に走行させる横行走行モードの場合とに切り替えできる機構を有し、
前記通常走行モードの場合に、前記固定機構により、前記クレーン構造体に対して前記ボギーフレームが予め設定された所定の向きで固定されることで、平面視において、1本以上の前記タイヤの回転軸の軸方向が、前記横行方向に対して当該タイヤ門型クレーンの中心側に所定の傾斜角度を付けた向きに固定され、
当該タイヤ式門型クレーンを前記主走行方向から見て、前記主走行方向に関して当該タイヤ式門型クレーンが走行する方向の最も前方に配置された左右両側の前記タイヤの回転軸の軸方向は、それぞれ前記傾斜角度を付けた向きに固定されていることを特徴とするタイヤ式門型クレーン。
【請求項3】
当該タイヤ式門型クレーンを前記主走行方向から見て、前記主走行方向に関して当該タイヤ式門型クレーンが走行する方向の最も後方に配置された左右両側の前記タイヤの回転軸の軸方向が、それぞれ前記傾斜角度を付けた向きに固定されている請求項1または2に記載のタイヤ式門型クレーン。
【請求項4】
当該タイヤ式門型クレーンを前記主走行方向から見て、前記主走行方向に関して当該タイヤ式門型クレーンが走行する方向の前記最も前方に配置された左右両側のタイヤと前記最も後方に配置された左右両側のタイヤとの間に配置された中央側に配置された前記タイヤの内、1本以上の前記タイヤの回転軸の軸方向が前記傾斜角度を付けた向きに固定されている請求項3に記載のタイヤ式門型クレーン。
【請求項5】
前記最も前方に配置された左右両側のタイヤおよび前記最も後方に配置された左右両側のタイヤの前記傾斜角度が、前記中央側に配置されたタイヤの前記傾斜角度よりも大きい角度に設定されている請求項4に記載のタイヤ式門型クレーン。
【請求項6】
水平方向に延在する一対のガーダと、それぞれの前記ガーダの延在方向両端部から下方に向って延在する脚部と、前記脚部の下方に設置された複数の走行装置とを備え、前記走行装置がタイヤと、前記タイヤの回転軸と、前記回転軸を軸支する軸受部と、ボギーフレームと、前記ボギーフレームに対するそれぞれの前記軸受部の水平方向の固定角度を変更する固定機構とを有して構成されたタイヤ式門型クレーンの制御方法において、
前記ガーダの延在方向を横行方向、前記横行方向及び鉛直方向に直交する方向を主走行方向として、
前記固定機構により、前記ボギーフレームに対してそれぞれの前記軸受部を予め設定された所定の向きで固定することで、平面視において、1本以上の前記タイヤの回転軸の軸方向を、前記横行方向に対して当該タイヤ式門型クレーンの中心側に所定の傾斜角度を付けた向きに固定し、当該タイヤ式門型クレーンを前記主走行方向から見て、前記主走行方向に関して当該タイヤ式門型クレーンが走行する方向の最も前方に配置された左右両側の前記タイヤの回転軸の軸方向を、それぞれ前記傾斜角度を付けた向きに固定した状態で、当該タイヤ式門型クレーンを前記主走行方向に走行させ、それぞれの前記タイヤの走行速度を相対的に制御することにより、当該タイヤ式門型クレーンの進行方向を制御することを特徴とするタイヤ式門型クレーンの制御方法。
【請求項7】
水平方向に延在する一対のガーダと、それぞれの前記ガーダの延在方向両端部から下方に向って延在する脚部と、前記脚部の下方に設置された複数の走行装置とを備え、前記走行装置がタイヤと、前記タイヤの回転軸と、前記回転軸を軸支する軸受部と、前記軸受部が固定されたボギーフレームと、当該タイヤ式門型クレーンのクレーン構造体に対するそれぞれの前記ボギーフレームの向きを変更する固定機構とを有して構成されたタイヤ式門型クレーンの制御方法において、
前記ガーダの延在方向を横行方向、前記横行方向及び鉛直方向に直交する方向を主走行方向として、
前記固定機構により、前記クレーン構造体に対してそれぞれの前記ボギーフレームを予め設定された所定の向きで固定することで、平面視において、1本以上の前記タイヤの回転軸の軸方向を、前記横行方向に対して当該タイヤ式門型クレーンの中心側に所定の傾斜角度を付けた向きに固定し、当該タイヤ式門型クレーンを前記主走行方向から見て、前記主走行方向に関して当該タイヤ式門型クレーンが走行する方向の最も前方に配置された左右両側の前記タイヤの回転軸の軸方向を、それぞれ前記傾斜角度を付けた向きに固定した状態で、当該タイヤ式門型クレーンを前記主走行方向に走行させ、それぞれの前記タイヤの走行速度を相対的に制御することにより、当該タイヤ式門型クレーンの進行方向を制御することを特徴とするタイヤ式門型クレーンの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ式門型クレーンに関し、より詳細には、タイヤ式門型クレーンを主走行方向に走行させる際の旋回性能を向上させることができるタイヤ式門型クレーンおよびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテナターミナルにおいてコンテナの荷役を行う装置として、走行装置がタイヤを有して構成されたタイヤ式門型クレーン(以下、門型クレーンという)が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されているように、従来では、門型クレーンを主走行方向(ガーダの延在方向及び鉛直方向に直交する方向)に走行させる際には、すべてのタイヤの回転軸の軸方向を横行方向(ガーダの延在方向)と平行な向きに固定した状態で走行させている。一方、門型クレーンを横行方向に走行させてレーンチェンジ等を行う際には、タイヤの向きを90°変えて、すべてのタイヤの回転軸の軸方向を主走行方向(水平方向において横行方向と直交する向き)に固定した状態で走行させている。
【0003】
また、門型クレーンを主走行方向に走行させて左右に旋回(ステアリング)させる場合には、左右のタイヤに相対的な走行速度差(回転数の差)を付けることによって、走行装置とクレーン構造体(ガーダや脚部等)に捻れを発生させ、その捻れによって変形したタイヤの接地面が旋回方向に徐々に移動しながらタイヤが復元していくことによって門型クレーンの進行方向を変更させている。しかしながら、従来では、すべてのタイヤの回転軸の軸方向を横行方向に平行な向きに固定していたので、門型クレーンを旋回させる方向に推進力を効率よく発生させることができず、門型クレーンを旋回させる際には、走行装置やクレーン構造体に大きな捻れを発生させ、タイヤを大きく変形させる必要があった。
【0004】
門型クレーンの旋回性能を向上させる方法としては、自動車のようにタイヤの向きをハンドル操作する門型のトランスファークレーンが提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、このトランスファークレーンでは、前述した走行時にタイヤの向きを固定する門型クレーンに比して、走行装置の構造が複雑になり部品点数が増加する。それ故、門型クレーンの製造コストが高くなるというデメリットがある。また、コンテナを荷役する門型クレーンでは、タイヤにかかる荷重が非常に大きいため、走行中にタイヤの向きを変える際には、タイヤの向きを変える機構に非常に大きな負荷が掛かることになる。それ故、それぞれの部品の耐久性を十分に確保するには、走行装置のサイズや重量が大きくなり、門型クレーンの走行効率(エネルギー効率)が低下する可能性があり一般的ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−261284号公報
【特許文献2】特開2013−129530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、タイヤ式門型クレーンを主走行方向に走行させる際の旋回性能を向上させることができるタイヤ式門型クレーンおよびその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような目的を達成するための本発明のタイヤ式門型クレーンは、水平方向に延在する一対のガーダと、それぞれの前記ガーダの延在方向両端部から下方に向って延在する脚部と、前記脚部の下方に設置された複数の走行装置とを備え、前記走行装置がタイヤと、前記タイヤの回転軸と、前記回転軸を軸支する軸受部と、ボギーフレームと、前記ボギーフレームに対するそれぞれの前記軸受部の水平方向の固定角度を変更する固定機構とを有して構成されたタイヤ式門型クレーンにおいて、前記ガーダの延在方向を横行方向、前記横行方向及び鉛直方向に直交する方向を主走行方向として、前記固定機構が、前記ボギーフレームに対するそれぞれの前記軸受部の水平方向の固定角度を変更することにより、前記タイヤの回転軸の軸方向の向きを、当該タイヤ式門型クレーンを前記主走行方向に走行させる通常走行モードの場合と、当該タイヤ式門型クレーンを前記横行方向に走行させる横行走行モードの場合とに切り替えできる機構を有し、前記通常走行モードの場合に、前記固定機構により、前記ボギーフレームに対して前記軸受部が予め設定された所定の向きで固定されることで、平面視において、1本以上の前記タイヤの回転軸の軸方向が、前記横行方向に対して当該タイヤ門型クレーンの中心側に所定の傾斜角度を付けた向きに固定され、当該タイヤ式門型クレーンを前記主走行方向から見て、前記主走行方向に関して当該タイヤ式門型クレーンが走行する方向の最も前方に配置された左右両側の前記タイヤの回転軸の軸方向は、それぞれ前記傾斜角度を付けた向きに固定されていることを特徴とする。
上記のような目的を達成するための本発明の別のタイヤ式門型クレーンは、水平方向に延在する一対のガーダと、それぞれの前記ガーダの延在方向両端部から下方に向って延在する脚部と、前記脚部の下方に設置された複数の走行装置とを備え、前記走行装置がタイヤと、前記タイヤの回転軸と、前記回転軸を軸支する軸受部と、前記軸受部が固定されたボギーフレームと、当該タイヤ式門型クレーンのクレーン構造体に対するそれぞれの前記ボギーフレームの向きを変更する固定機構とを有して構成されたタイヤ式門型クレーンにおいて、前記ガーダの延在方向を横行方向、前記横行方向及び鉛直方向に直交する方向を主走行方向として、前記固定機構が、前記クレーン構造体に対するそれぞれの前記ボギーフレームの向きを変更することにより、前記タイヤの回転軸の軸方向の向きを、当該タイヤ式門型クレーンを前記主走行方向に走行させる通常走行モードの場合と、当該タイヤ式門型クレーンを前記横行方向に走行させる横行走行モードの場合とに切り替えできる機構を有し、前記通常走行モードの場合に、前記固定機構により、前記クレーン構造体に対して前記ボギーフレームが予め設定された所定の向きで固定されることで、平面視において、1本以上の前記タイヤの回転軸の軸方向が、前記横行方向に対して当該タイヤ門型クレーンの中心側に所定の傾斜角度を付けた向きに固定され、当該タイヤ式門型クレーンを前記主走行方向から見て、前記主走行方向に関して当該タイヤ式門型クレーンが走行する方向の最も前方に配置された左右両側の前記タイヤの回転軸の軸方向は、それぞれ前記傾斜角度を付けた向きに固定されていることを特徴とする。
【0008】
上記のような目的を達成するための本発明のタイヤ式門型クレーンの制御方法は、水平方向に延在する一対のガーダと、それぞれの前記ガーダの延在方向両端部から下方に向って延在する脚部と、前記脚部の下方に設置された複数の走行装置とを備え、前記走行装置がタイヤと、前記タイヤの回転軸と、前記回転軸を軸支する軸受部と、ボギーフレームと、前記ボギーフレームに対するそれぞれの前記軸受部の水平方向の固定角度を変更する固定機構とを有して構成されたタイヤ式門型クレーンの制御方法において、前記ガーダの延在方向を横行方向、前記横行方向及び鉛直方向に直交する方向を主走行方向として、前記固定機構により、前記ボギーフレームに対してそれぞれの前記軸受部を予め設定された所定の向きで固定することで、平面視において、1本以上の前記タイヤの回転軸の軸方向を、前記横行方向に対して当該タイヤ式門型クレーンの中心側に所定の傾斜角度を付けた向きに固定し、当該タイヤ式門型クレーンを前記主走行方向から見て、前記主走行方向に関して当該タイヤ式門型クレーンが走行する方向の最も前方に配置された左右両側の前記タイヤの回転軸の軸方向を、それぞれ前記傾斜角度を付けた向きに固定した状態で、当該タイヤ式門型クレーンを前記主走行方向に走行させ、それぞれの前記タイヤの走行速度を相対的に制御することにより、当該タイヤ式門型クレーンの進行方向を制御することを特徴とする。
上記のような目的を達成するための本発明の別のタイヤ式門型クレーンの制御方法は、水平方向に延在する一対のガーダと、それぞれの前記ガーダの延在方向両端部から下方に向って延在する脚部と、前記脚部の下方に設置された複数の走行装置とを備え、前記走行装置がタイヤと、前記タイヤの回転軸と、前記回転軸を軸支する軸受部と、前記軸受部が固定されたボギーフレームと、当該タイヤ式門型クレーンのクレーン構造体に対するそれぞれの前記ボギーフレームの向きを変更する固定機構とを有して構成されたタイヤ式門型クレーンの制御方法において、前記ガーダの延在方向を横行方向、前記横行方向及び鉛直方向に直交する方向を主走行方向として、前記固定機構により、前記クレーン構造体に対してそれぞれの前記ボギーフレームを予め設定された所定の向きで固定することで、平面視において、1本以上の前記タイヤの回転軸の軸方向を、前記横行方向に対して当該タイヤ式門型クレーンの中心側に所定の傾斜角度を付けた向きに固定し、当該タイヤ式門型クレーンを前記主走行方向から見て、前記主走行方向に関して当該タイヤ式門型クレーンが走行する方向の最も前方に配置された左右両側の前記タイヤの回転軸の軸方向を、それぞれ前記傾斜角度を付けた向きに固定した状態で、当該タイヤ式門型クレーンを前記主走行方向に走行させ、それぞれの前記タイヤの走行速度を相対的に制御することにより、当該タイヤ式門型クレーンの進行方向を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、平面視において、1本以上のタイヤの回転軸の軸方向を、横行方向に対してタイヤ式門型クレーンの中心側に所定の傾斜角度を付けた向きに固定機構により固定することで、タイヤ式門型クレーンを主走行方向に走行させて左右に旋回させる際に、傾斜角度を付けたタイヤによって、タイヤ式門型クレーンを旋回させる方向に直接的に推進力を発生させることができる。これにより、従来のタイヤ式門型クレーンに比して、タイヤ式門型クレーンをより円滑に効率よく旋回させることが可能となる。さらに、従来に比して、タイヤ式門型クレーンを旋回させる際の、走行装置やクレーン構造体に発生させる捻れやタイヤの変形を低減できるので、走行装置や、クレーン構造体、タイヤの劣化を抑制するにも有利になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る実施形態のタイヤ式門型クレーンを側面視で模式的に例示する説明図である。
図2図1のA矢視図である。
図3図2のタイヤを可視化して模式的に例示する説明図である。
図4図1のタイヤ式門型クレーンが旋回する状況をタイヤを可視化した平面視で模式的に例示する説明図である。
図5図1のタイヤ式門型クレーンが直進走行する状況をタイヤを可視化した平面視で模式的に例示する説明図である。
図6】本発明に係る別の実施形態のタイヤ式門型クレーンをタイヤを可視化した平面視で模式的に例示する説明図である。
図7】本発明に係るさらに別の実施形態のタイヤ式門型クレーンを平面視で模式的に例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のタイヤ式門型クレーン(以下、門型クレーンという)を図に示した実施形態に基づいて説明する。図中では、門型クレーンの横行方向(ガーダの延在方向)を矢印X、門型クレーンの主走行方向(ガーダの延在方向及び鉛直方向に直交する方向)を矢印Y、鉛直方向を矢印Zで示している。即ち、横行方向Xと主走行方向Yは門型クレーンを基準とした方向を示している。以下の説明で用いる前後左右の方向は、門型クレーンを主走行方向Yから見たときの方向を示している。
【0012】
図1および図2に例示するように、本発明に係る実施形態の門型クレーン1は、水平方向に延在する一対のガーダ2と、それぞれのガーダ2の延在方向両端部から下方に向って延在する脚部3と、脚部3の下方に設置された複数の走行装置20とを備えている。門型クレーン1はさらに、脚部3の下端部どうしを連結する下部フレーム4(シルビーム)と、一対のガーダ2の上部に架け渡されガーダ2に沿って横行方向Xに移動するトロリ5とを備えている。
【0013】
一対のガーダ2は主走行方向Yに離間して配置されていて、それぞれのガーダ2の延在方向両端部の下部にそれぞれ脚部3の上端部が接合されている。主走行方向Yに離間して配置された左右それぞれの脚部3の下端部どうしは、主走行方向Yに延在する下部フレーム4によってそれぞれ連結されている。
【0014】
トロリ5の上部には複数の回転ドラムが設置されていて、それぞれの回転ドラムから繰り出されたワイヤロープ6にコンテナを係合可能な吊具7(スプレッダ)が吊り下げられている。トロリ5の側部には運転室8が設けられている。
【0015】
この実施形態では、4本の脚部3の下方にそれぞれ1基ずつ計4基の走行装置20が設置されている。それぞれの走行装置20は、ボギーフレーム23と、タイヤTと、タイヤTの回転軸Sと、回転軸Sを軸支する軸受部24と、軸受部24を予め設定された所定の向きで固定する固定機構25と、タイヤTを回転駆動させる駆動部26とを有して構成されている。軸受部24はボギーフレーム23に対して水平方向に回転可能に連結されている。駆動部26は回転軸Sに接続されている。
【0016】
この実施形態では、下部フレーム4の下部に連結部21が接合されていて、連結部21とボギーフレーム23とが横行方向Xに延在するボギーピン22によって傾動可能に連結されている。それぞれの走行装置20に2本のタイヤTが備えられていて、その2本のタイヤTは主走行方向Yに離間して配置されている。それぞれのタイヤTに駆動部26が設けられていて、それぞれのタイヤTの走行速度V(回転速度)を個別に制御できる構成となっている。
【0017】
固定機構25は、ボギーフレーム23に対するそれぞれの軸受部24の水平方向の固定角度を変更することによって、それぞれのタイヤTの回転軸Sの軸方向の向きを、門型クレーン1を主走行方向Yに走行させる通常走行モードの場合と、門型クレーン1を横行方向Xに走行させる横行走行モードの場合とに切り替え(変更)できる機構を有している。固定機構25は例えば、ボギーフレーム23に対する軸受部24の水平方向の固定角度を変更するステアリングロッドと、軸受部24をボギーフレーム23に対して所定の固定角度で固定する固定ピンとを有して構成される。
【0018】
なお、走行装置20を構成するタイヤTの数や配置は特に限定されず、例えば、走行装置20が1本のタイヤTを備えた構成にすることもできるし、3本以上のタイヤTを備えた構成にすることもできる。門型クレーン1が備える走行装置20の数も特に限定されず、門型クレーン1が4基以上の走行装置20を備えた構成にすることもできる。また、この実施形態では、すべてのタイヤTが駆動輪である門型クレーン1を例示しているが、一部のタイヤTを、駆動部26を有しない非駆動輪とした門型クレーン1にすることもできる。
【0019】
図3に例示するように、本発明に係る実施形態の門型クレーン1では、門型クレーン1を主走行方向Yに走行させる通常走行モードの場合に、平面視において(門型クレーン1を鉛直方向Zから見て)、1本以上のタイヤTの回転軸Sの軸方向が、横行方向Xに対して門型クレーン1の中心C0側に所定の傾斜角度θを付けた向きに固定機構25により固定された状態となる。
【0020】
門型クレーン1の中心C0は、主走行方向Yにおいて一対のガーダ2どうしの中央を通り横行方向Xに延在する中心線C1と、横行方向Xにおいて横行方向Xに離間した脚部3どうしの中央を通り主走行方向Yに延在する中心線C2との交点位置を示している。傾斜角度θの大きさは適宜決定できるが、例えば、0°より大きく20°以下、好ましくは0.1°以上9°以下、より好ましくは0.4°以上9°以下、さらに好ましくは0.4°以上6°以下の所定の角度に設定される。
【0021】
この実施形態では、門型クレーン1を主走行方向Yに走行させる通常走行モードの場合に、門型クレーン1を主走行方向Yから見て、主走行方向Yに関して門型クレーン1が走行する方向の最も前方に配置された左右両側のタイヤT1、T5と、最も後方に配置された左右両側のタイヤT4、T8の回転軸Sの軸方向が、固定機構25によりそれぞれ横行方向Xに対して、門型クレーン1の中心C0側に同じ傾斜角度θを付けた向きに固定される門型クレーン1を例示している。この門型クレーン1では、最も前方に配置されたタイヤT1、T5と最も後方に配置されたタイヤT4、T8との間に配置されている中央側(中心線C1側)に配置されたタイヤT2、T3、T6、T7の回転軸Sの軸方向は、横行方向Xと平行な向きに固定される。
【0022】
即ち、この門型クレーン1では、主走行方向Yに走行する際には、最も前方の左右両側のタイヤT1、T5はそれぞれ前部が傾斜角度θだけ中心線C2側に向いた状態で回転し、最も後方の左右両側のタイヤT4、T8はそれぞれ後部が傾斜角度θだけ中心線C2側に向いた状態で回転する。中央側の4本のタイヤT2、T3、T6、T7は、主走行方向Yと平行な向きで回転する。
【0023】
次に、この門型クレーン1を主走行方向Yに走行させる際の制御方法を説明する。
【0024】
前述したように、この門型クレーン1では、タイヤT1、T4、T5、T8の回転軸Sの軸方向を固定機構25により、水平方向において横行方向Xに対して門型クレーン1の中心C0側に所定の傾斜角度θを付けた向きに固定した状態で主走行方向Yに走行させる。そして、それぞれのタイヤT1〜T8の走行速度V1〜V8(回転速度)を相対的に制御することによって、門型クレーン1の進行方向を制御する。
【0025】
具体的には、図3および図4に例示するように、門型クレーン1を主走行方向Yに走行させて左右に旋回(ステアリング)させる場合には、旋回させる方向から遠い側のタイヤT1〜T4の走行速度V1〜V4を旋回させる方向に近い側のタイヤT5〜T8の走行速度V5〜V8よりも速く設定して、旋回させる方向から遠い側のタイヤT1〜T4と近い側のタイヤT5〜T8との間に相対的な走行速度差を設けることで、門型クレーン1を旋回させる。
【0026】
図5に例示するように、門型クレーン1を主走行方向Yに直進走行させる場合には、基本的には、左右のタイヤTの走行速度Vを同じ速度に設定し、傾斜角度θを付けたタイヤT1、T4、T5、T8による横行方向Xの力を互いに相殺させることで、門型クレーン1を直進走行させることができる。ただし、門型クレーン1が走行する走行路Gに傾斜(勾配)がある場合や、タイヤTの摩耗状況の違い等により左右のタイヤTの径の大きさが異なる場合等には、左右のタイヤTの走行速度Vを同じ速度にしても門型クレーン1の進行方向が左右にずれる場合がある。
【0027】
そのため、門型クレーン1を直進走行させる際には、門型クレーン1に搭載したセンサによって検知した門型クレーン1とコンテナヤードの基準位置との相対位置データや、全地球測位システム情報(GNSS)等で検出した門型クレーン1の絶対位置データ、ジャイロコンパス等によって取得した門型クレーン1の方位情報などに基づいて、門型クレーン1の進行方向と予め設定された走行コースTCとの左右のずれ量やずれ角度を算出し、そのずれ量やずれ角度を低減するように、左右のタイヤTの走行速度Vを相対的に制御する。
【0028】
具体的には例えば、図5に例示するように、門型クレーン1の進行方向が走行コースTCに対して右方向にずれた場合には、左側のタイヤT5〜T8よりも右側のタイヤT1〜T4の走行速度Vを相対的に速くして門型クレーン1を左方向に旋回させることで、門型クレーン1の進行方向と走行コースTCとのずれを修正する。
【0029】
このように、本発明によれば、門型クレーン1を主走行方向Yに走行させる際に、平面視において、1本以上のタイヤTの回転軸Sの軸方向を、横行方向Xに対して門型クレーン1の中心C0側に所定の傾斜角度θを付けた向きに固定機構25により固定することで、門型クレーン1を旋回させる際に、傾斜角度θを付けたタイヤTによって、門型クレーン1を旋回させる方向に直接的に推進力を発生させることができる。これにより、従来の門型クレーンに比して、門型クレーン1をより円滑に効率よく旋回させることが可能となる。さらに、従来に比して、門型クレーン1を旋回させる際の、走行装置20やクレーン構造体(ガーダ2、脚部3、および下部フレーム4)に発生させる捻れやタイヤTの変形を低減できるので、走行装置20や、クレーン構造体、タイヤTの劣化を抑制するにも有利になる。
【0030】
また、従来では吊具7にコンテナを吊った状態では、走行装置20やクレーン構造体に大きな荷重が掛かり、走行装置20やクレーン構造体に捻じれが生じ難くなるため、門型クレーン1を旋回させることが困難であったが、本発明では、傾斜角度θを付けたタイヤTによって、門型クレーン1を旋回させる方向に直接的に推進力を発生させることができるので、コンテナを吊った状態でも門型クレーン1を円滑に旋回させることが可能となる。
【0031】
さらに、本発明では、門型クレーン1の旋回性能が向上することで、門型クレーン1を主走行方向Yに直進走行させる際においても、走行コースTCに対する門型クレーン1の進行方向のずれを修正し易くなる。それ故、門型クレーン1をより円滑に精度よく直進走行させることが可能となる。
【0032】
さらに、本発明の門型クレーン1は、従来提案されているタイヤの向きをハンドル操作する門型クレーンに比して、走行装置20を簡易な構造にできるので、門型クレーン1の製造コストや軽量化の面においても非常に優れている。
【0033】
この実施形態のように、門型クレーン1を主走行方向Yから見て、主走行方向Yに関して門型クレーン1が走行する方向の最も前方に配置された左右両側のタイヤT(T1、T5)の回転軸Sの軸方向を、それぞれ傾斜角度θを付けた向きに固定する構成にすると、進行方向の前方に配置されたタイヤTによって門型クレーン1を旋回させる方向に直接的に推進力を発生させることができるので、門型クレーン1を安定した状態で円滑に旋回させ易くなる。
【0034】
また、前方の左右両側のタイヤTを傾斜角度θを付けた向きで固定することで、門型クレーン1を左右両方向に旋回させ易くなり、門型クレーン1を直進走行させる際においても、走行コースTCに対する門型クレーン1の進行方向の左右のずれを修正し易くなる。さらに、前方に配置された左右両側のタイヤTの進行方向側が門型クレーン1の中央側(中心線C2側)に向いて略逆V字形状に固定された状態となるので、門型クレーン1を直進走行させる際の直進安定性も向上する。
【0035】
門型クレーン1を主走行方向Yから見て、主走行方向Yに関して門型クレーン1が走行する方向の最も後方に配置された左右両側のタイヤT(T4、T8)の回転軸Sの軸方向を、それぞれ傾斜角度θを付けた向きに固定する構成にすると、後方に配置されたタイヤTによっても門型クレーン1を旋回させる方向に直接的に推進力を発生させることができるので、門型クレーン1をより小さい旋回半径で旋回させることが可能となる。さらに、最も前方の左右両側のタイヤTと最も後方の左右両側のタイヤTをそれぞれ傾斜角度θを付けた向きに固定することで、門型クレーン1を主走行方向Yの前後どちら側に走行させる場合にも、門型クレーン1を左右両方向に旋回させ易くなり、より機動性に優れた門型クレーン1にすることができる。
【0036】
さらに、右側のタイヤT1〜T4の回転駆動方向と左側のタイヤT5〜T8の回転駆動方向を逆方向に設定して門型クレーン1をその場で旋回させる場合にも、前方の左右両側のタイヤT1、T5と後方の左右両側のタイヤT4、T8がそれぞれ門型クレーン1をその場旋回させる方向に向いた状態となっているので、門型クレーン1を円滑にその場旋回させることが可能となる。
【0037】
固定機構25によって固定するタイヤTの回転軸Sの軸方向の向きは、平面視において左右非対称に設定することもできるが、この実施形態のように、タイヤTの回転軸Sの軸方向の向きを主走行方向Yに延在する中心線C2を対称軸として線対称に設定すると、門型クレーン1を主走行方向Yに走行させる際の制御が容易になり、門型クレーン1を直進走行させる際の直進安定性も向上する。
【0038】
それぞれのタイヤTの傾斜角度θは、門型クレーン1のサイズや、タイヤTの配置等に応じて適宜決定できるが、傾斜角度θを0.1°以上、より好ましくは0.4°以上に設定すると、門型クレーン1の旋回性能を向上させるには有利になる。傾斜角度θを9°以下、より好ましくは6°以下に設定すると、門型クレーン1を直進走行させる際の走行効率(エネルギー効率)を高くするには有利になる。傾斜角度θを0.4°以上9°以下に設定すると、直進走行する際の走行効率を高く維持しつつ、旋回性能に優れた門型クレーン1にすることができる。
【0039】
図6に本発明に係る別の実施形態の門型クレーン1を例示する。
【0040】
この実施形態の門型クレーン1では、門型クレーン1を主走行方向Yに走行させる通常走行モードの場合に、平面視において、主走行方向Yに関して門型クレーン1が走行する方向の最も前方に配置されたタイヤT1、T5と最も後方に配置されたタイヤT4、T8との間に配置された中央側のタイヤT2、T3、T6、T7の回転軸Sの軸方向が、固定機構25により横行方向Xに対して門型クレーン1の中心C0側に傾斜角度θ(θ2)を付けた向きに固定される構成となっている。
【0041】
この門型クレーン1では、最も前方に配置されたタイヤT1、T5と最も後方に配置されたタイヤT4、T8の傾斜角度θ1が、中央側のタイヤT2、T3、T6、T7の傾斜角度θ2よりも大きい角度に設定されている。門型クレーン1のその他の構成と制御方法は先に示した実施形態と同じである。
【0042】
この実施形態のように、最も前方に配置されたタイヤTと最も後方に配置されたタイヤTがそれぞれ傾斜角度θを付けた向きに固定されるとともに、中央側のタイヤTの内、1本以上のタイヤTの回転軸Sの軸方向が傾斜角度θを付けた向きに固定される構成にすると、中央側のタイヤTによっても旋回する方向に直接的に推進力を発生させることができるので、門型クレーン1の旋回性能を高めるには有利になる。この実施形態のように、中央側のすべてのタイヤTを傾斜角度θを付けた向きに固定すると、門型クレーン1の旋回性能を高めるにはより有利になる。
【0043】
さらに、この実施形態のように、最も前方に配置されたタイヤTと最も後方に配置されたタイヤTの傾斜角度θ1を、中央側に配置されたタイヤTの傾斜角度θ2よりも大きい角度に設定すると、門型クレーン1を円滑に旋回させるには益々有利になる。
【0044】
これは、図6に示すように、平面視において、門型クレーン1の中心C0およびタイヤTの中心を結ぶ線分と、横行方向Xに延在する中心線C1とのなす角度αが大きい前方のタイヤT1、T5と後方のタイヤT4、T8の傾斜角度θ1を相対的に大きく設定し、なす角度βが小さい中央側のタイヤT2、T3、T6、T7の傾斜角度θ2を相対的に小さく設定することで、それぞれのタイヤTの走行方向(タイヤTが回転する向き)を、門型クレーン1の中心C0を中心とした円の接線方向と近い角度関係に設定できるからである。
【0045】
図7に本発明に係るさらに別の実施形態の門型クレーン1を例示する。
【0046】
この門型クレーン1では、それぞれのボギーフレーム23がクレーン構造体(下部フレーム4)に対して水平方向に回転可能に連結されている。それぞれの軸受部24は、ボギーフレーム23に接合され、ボギーフレーム23に対するタイヤTの回転軸Sの軸方向はボギーフレーム23の短手方向と平行な向きに固定されている。
【0047】
この実施形態の固定機構25は、クレーン構造体に対するボギーフレーム23の水平方向の向きを、門型クレーン1を主走行方向Yに走行させる通常走行モードの場合と、門型クレーン1を横行方向Xに走行させる横行走行モードの場合とに切り替えできる機構を有している。
【0048】
そして、通常走行モードの場合に、固定機構25によってクレーン構造体に対してボギーフレーム23を所定の向きで固定することで、平面視において、タイヤTの回転軸Sの軸方向を、横行方向Xに対して門型クレーン1の中心C0側に所定の傾斜角度θを付けた向きに固定できる構成となっている。その他の構成と制御方法は、先に示した実施形態と同じである。
【0049】
この実施形態の門型クレーン1のように、固定機構25によりクレーン構造体に対するボギーフレーム2の向きを変更することで、軸受部24の向きを変えてタイヤTを傾斜角度θを付けた向きに固定する構成にした場合にも、先に示した実施形態の門型クレーン1と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 タイヤ式門型クレーン
2 ガーダ
3 脚部
4 下部フレーム
5 トロリ
6 ワイヤロープ
7 吊具
8 運転室
20 走行装置
21 連結部
22 ボギーピン
23 ボギーフレーム
24 軸受部
25 固定機構
T、T1〜T8 タイヤ
S (タイヤの)回転軸
G 走行路
TC 走行コース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7