特許第6863701号(P6863701)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863701
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】インクジェット印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20210412BHJP
   B41J 2/17 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   B41J2/165 205
   B41J2/17 203
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-189165(P2016-189165)
(22)【出願日】2016年9月28日
(65)【公開番号】特開2018-51862(P2018-51862A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】高田 淳
【審査官】 小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−238614(JP,A)
【文献】 特開2014−065157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットヘッド部にクリーニング処理を行うクリーニング部と、前記クリーニング処理によって回収された廃インクを収容する廃液タンクとを備えるインクジェット印刷装置であって、
前記廃液タンクに収容されている廃インク量が、前記廃液タンクに収容可能な限度量よりも所定量小さい警戒量以上となったか否かを判定する判定部と、
前記廃液タンク内への廃インクの増加速度を算出し、前記廃液タンクに収容されている廃インク量が前記警戒量となってから、前記限度量に達するまでの期間を算出してユーザに提示し、廃インク量を抑制した前記クリーニング処理を実行するか否かの選択を受け付ける受付処理部と、
前記廃インク量が前記警戒量以上となり、且つ、前記受付処理部において前記廃インク量を抑制したクリーニング処理を実行することが選択された場合、前記廃液タンクに回収される前記廃インク量を抑制した前記クリーニング処理を実行するように前記クリーニング部を制御するクリーニング制御部と、
を備えることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項2】
前記クリーニング制御部は、前記クリーニング部を制御する場合、前記クリーニング処理の実行頻度と、前記クリーニング処理において前記インクジェットヘッド部から前記廃インクを吐出させるパージ圧力との少なくとも一方を抑制して、前記クリーニング処理を実行するように前記クリーニング部を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項3】
前記クリーニング制御部は、前記クリーニング処理の実行頻度を抑制する場合、前記クリーニング処理を実行する実行条件として設定される印刷枚数と電源遮断期間との少なくとも一方を変更する
ことを特徴とする請求項2記載のインクジェット印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッド部にクリーニング処理を行うクリーニング部と、クリーニング処理によって回収された廃インクを収容する廃液タンクとを備えるインクジェット印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット印刷装置は、インクジェットヘッド部の正常な吐出状態を維持するため、定期的にインクジェットヘッド部にクリーニング処理を行うクリーニング部を備えている。クリーニング処理は、複数のノズルが形成されたインクジェットヘッド部のインク吐出面からインクを強制的に排出するパージ処理や、排出されたインクとともにインク吐出面に付着したゴミ等をワイパブレードで払拭するワイプ処理などを含む。
【0003】
また、かかるクリーニング処理により廃インクが排出される。クリーニング処理により排出された廃インクは、専用の廃液タンクに収容される。そして、廃液タンクに収容される廃インクが限度量(満杯)に達すると、メンテナンス員等により廃棄される。
【0004】
また、廃液タンクに収容される廃インクが限度量に達した後に、もしも継続して廃インクが追加されると、廃インクを収容しきれずにインク漏れを引き起こすおそれがある。よって、インクジェット印刷装置は、廃インクが限度量に達した場合、廃液タンクに収容された廃インクが廃棄されるまで、印刷不可状態となるように構成されている。
【0005】
ここで、廃液タンクが限界値に達することによって印刷不可状態になることは、インクジェット印刷装置の生産性を低下させる一因となっている。そこで、廃液タンクに収容される廃インクを過熱及び乾燥させて、廃液タンクに収容される廃インクを低減させることで、廃液タンクが限界値に達する期間を延長するようにしたインクジェット印刷装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−121229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のインクジェット印刷装置は、水性インクなどのように沸点の低い廃インクであれば、廃液タンクに収容される廃インクを低減させる効果が高いものの、油性インクなどのように沸点の高い廃インクであると効果が低くなり、廃液タンクが限界値に達するまでの期間を延長する効果が得られ難いという問題がある。
【0008】
このように、従来技術に係る印刷装置では、沸点の低い廃インクに限定される等、廃インクの種類に制限があったため、廃インクの種類に制限されずに、廃液タンクが限界値に達するまでの期間を延長するための手段が望まれていた。
【0009】
本発明は、上述の状況に鑑みてなされたものであり、廃インクの種類に制限されずに、廃液タンクが限度量に達するまでの期間を延長することが可能なインクジェット印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係るインクジェット印刷装置の第1の特徴は、インクジェットヘッド部にクリーニング処理を行うクリーニング部と、前記クリーニング処理によって回収された廃インクを収容する廃液タンクとを備えるインクジェット印刷装置であって、前記廃液タンクに収容されている廃インク量が、前記廃液タンクに収容可能な限度量よりも所定量小さい警戒量以上となったか否かを判定する判定部と、前記廃液タンク内への廃インクの増加速度を算出し、前記廃液タンクに収容されている廃インク量が前記警戒量となってから、前記限度量に達するまでの期間を算出してユーザに提示し、廃インク量を抑制した前記クリーニング処理を実行するか否かの選択を受け付ける受付処理部と、前記廃インク量が前記警戒量以上となり、且つ、前記受付処理部において前記廃インク量を抑制したクリーニング処理を実行することが選択された場合、前記廃液タンクに回収される前記廃インク量を抑制した前記クリーニング処理を実行するように前記クリーニング部を制御するクリーニング制御部と、を備えることにある。
【0011】
本発明に係るインクジェット印刷装置の第2の特徴は、上記特徴に係り、前記クリーニング制御部は、前記クリーニング部を制御する場合、前記クリーニング処理の実行頻度と、前記クリーニング処理において前記インクジェットヘッド部から前記廃インクを吐出させるパージ圧力との少なくとも一方を抑制して、前記クリーニング処理を実行するように前記クリーニング部を制御することにある。
【0012】
本発明に係るインクジェット印刷装置の第3の特徴は、上記特徴に係り、前記クリーニング制御部は、前記クリーニング処理の実行頻度を抑制する場合、前記クリーニング処理を実行する実行条件として設定される印刷枚数と電源遮断期間との少なくとも一方を変更することにある。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るインクジェット印刷装置の第1の特徴によれば、判定部は、廃液タンクに収容されている廃インク量が限度量よりも所定量小さい警戒量以上となったか否かを判定する。また、廃インク量が警戒量以上となった場合、クリーニング制御部は、廃液タンクに回収される廃インク量を抑制したクリーニング処理を実行するようにクリーニング部を制御する。
【0015】
かかるインクジェット印刷装置によれば、廃液タンクに収容されている廃インク量が限度量よりも所定量小さい警戒量以上となった場合、すなわち、廃インク量が警戒量に達した場合に、回収される廃インク量を抑制したクリーニング処理を実行することが可能になる。これにより、廃インク量が限度量に達して印刷不可状態になるよりも前の時点で、廃液タンクに回収される廃インク量の増加ペースを抑制できるため、限度量に達するまでの期間を延長することができる。
【0016】
また、廃インクの種類は、特に限定されないため、廃インクの種類に制限を受けずに、廃液タンクが限界値に達するまでの期間を延長することができる。更には、廃液タンクに収容される廃インクの廃棄サイクルを延長できるため、インクジェット印刷装置の生産性の低下も抑制できる。
【0017】
また、第1の特徴に係るインクジェット印刷装置においては、例えば、クリーニング制御部は、クリーニング部を制御する場合、クリーニング処理の実行頻度と、クリーニング処理においてインクジェットヘッド部から廃インクを吐出させるパージ圧力との少なくとも一方を抑制して、クリーニング処理を実行するようにクリーニング部を制御してもよい(本発明の第2の特徴)。これにより、廃液タンクに回収される廃インク量の増加ペースを抑制できるため、廃液タンクに収容される廃インク量が限度量に達するまでの期間を延長することができる。
【0018】
また、第1の特徴に係るインクジェット印刷装置においては、例えば、クリーニング制御部は、クリーニング処理の実行頻度を抑制する場合、クリーニング処理を実行する実行条件として設定される印刷枚数と電源遮断期間との少なくとも一方を変更してもよい(本発明の第3の特徴)。このように、クリーニング処理を実行する実行条件として設定される印刷枚数や電源遮断期間などを変更することで、廃液タンクが限度量に達するまでの期間を延長することができる。
【0019】
また、第1の特徴に係るインクジェット印刷装置においては、廃液タンクに収容されている廃インク量が警戒量以上となった場合、廃液タンクに回収される廃インク量を抑制したクリーニング処理を実行するか否かをユーザから受け付ける受付処理部を更に備え、クリーニング制御部は、廃インク量が警戒量以上となって、廃インク量を抑制したクリーニング処理を実行することをユーザから受け付けた場合に、廃インク量を抑制したクリーニング処理を実行するように前記クリーニング部を制御してもよい。これにより、インクジェット印刷装置では、ユーザが、廃インク量を抑制したクリーニング処理と廃インク量を抑制しないクリーニング処理とを選択することが可能になるため、ユーザによる選択自由度を高めて、利便性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態に係るインクジェット印刷装置の概略構成図である。
図2】(a)本発明の第1実施形態に係るインクジェット印刷装置によるインク量の検出方法を説明するための側面図である。(b)本発明の第1実施形態に係るインクジェット印刷装置によるインク量の検出方法を説明するための側面図である。(c)本発明の第1実施形態に係るインクジェット印刷装置によるインク量の検出方法を説明するための側面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るインクジェット印刷装置の機能を示すブロック図である。
図4】(a)本発明の第1実施形態に係るインクジェット印刷装置の記憶部に記憶されるテーブルの一例を示す図である。(b)本発明の第1実施形態に係るインクジェット印刷装置の記憶部に記憶されるテーブルの一例を示す図である。
図5】本発明の第1実施形態に係るインクジェット印刷装置の動作を示すフローチャートである。
図6】本発明の第1実施形態の変形例1に係るインクジェット印刷装置の記憶部に記憶されるテーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施例に係るインクジェット印刷装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。また、以下に示す実施例は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0022】
[第1実施形態]
<インクジェット印刷装置の構成>
図1は、本発明に係る第1実施形態のインクジェット印刷装置1の概略構成を示す図である。なお、以下の説明において、図1に示すように、図1の上下左右を上下左右方向として説明する。
【0023】
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態のインクジェット印刷装置1は、搬送部2と、インクジェットヘッド部3と、クリーニング部4と、廃液部5とを備える。
【0024】
搬送部2は、インクジェットヘッド部3に対向して設けられた搬送ベルト21と、搬送ベルト21を周回駆動させる駆動ローラ22と、駆動ローラ22に従動する従動ローラ23,24,25とを備える。
【0025】
搬送ベルト21は、駆動ローラ22および従動ローラ23,24,25に掛け渡され、印刷時において、駆動ローラ22の駆動により無端移動し、左側に設けられた図示しない給紙台から供給される用紙を保持して搬送する。
【0026】
搬送部2は、上下モータ(不図示)等によって、印刷時に用紙の搬送処理を行う印刷ポジションと、印刷ポジションよりも下方に下がり、その上にクリーニング部4を移動させる退避ポジションと、クリーニング部4とともに退避ポジションよりも上昇してクリーニング部4にインクジェットヘッド部3のクリーニングを実行させるクリーニングポジションとの間を移動可能に構成されている。
【0027】
この搬送部2の退避ポジションへの移動は、インクジェットヘッド部3のクリーニングを行う際に、クリーニング部4を搬送部2とインクジェットヘッド部3との間に移動させるために行われる。なお、図1の例では、搬送部2は、クリーニングポジションに配置されている。
【0028】
インクジェットヘッド部3は、ノズル列を有するライン型のインクヘッド3a,3b,3c,3dを有し、搬送ベルト21により搬送される用紙にインクを吐出して画像を印刷するものである。
【0029】
インクヘッド3a,3b,3c,3dのそれぞれは、ブラック(K),シアン(C),マゼンダ(M),イエロー(Y)のそれぞれのインクを吐出する。インクヘッド3a,3b,3c,3dのそれぞれは、吐出されるインク色が異なるが、同一の物理構造を有している。
【0030】
インクヘッド3a,3b,3c,3dには、インクを収容するインク室が設けられており、このインク室内にはピエゾ素子が配置されている。そして、供給された駆動信号に基づいて、ピエゾ素子にインクが吐出する駆動電圧が印加されることにより、各色のインクが吐出される。これにより、各色のインクによる画像が、例えば300(dpi)の解像度で形成される。
【0031】
クリーニング部4は、インクジェットヘッド部3にクリーニング処理を行う。クリーニング処理は、インクジェットヘッド部3に備えられるインクヘッド3a,3b,3c,3dのそれぞれのインク吐出面をクリーニングするための処理である。クリーニング処理は、パージ処理とワイプ処理とを含む。
【0032】
パージ処理は、インクジェットヘッド部3に所定のパージ圧力を与えることによって、インクジェットヘッド部3の各インクヘッド3a,3b,3c,3dのノズル列から、インクジェットヘッド部3の内部にある廃インクを吐出させる。このとき、ノズル列から吐出されたインクは液滴となってノズル面から離脱することなく、ノズル面上でパージインク滴として滞留する。
【0033】
ワイプ処理は、パージ処理の後にワイパ(不図示)を移動させて、インクヘッド3a,3b,3c,3dのノズル面に滞留しているインクを払拭する。
【0034】
なお、クリーニング処理では、ワイプ処理の後に、各インクヘッド3a,3b,3c,3dのノズル列から一定量のインクを噴射するフラッシング処理を実行してもよい。
【0035】
クリーニング部4は、印刷時には、図1において点線で示すホームポジション(収納位置)に配置される。ホームポジション(収納位置)は、搬送部2の右側の下方にある。クリーニング部4は、クリーニングを行う際には、搬送部2が下方の退避ポジションへ移動した後、搬送部2の上にクリーニング部4が展開され搬送部2と共に上方へ移動することにより図1において実線で示すクリーニングポジションに移動される。クリーニングポジションは、搬送部2とインクジェットヘッド部3との間にある。
【0036】
クリーニング部4は、移動モータ(不図示)の駆動によりホームポジションとクリーニングポジションとの間を移動する。
【0037】
廃液部5は、廃インクを回収及び収容するためのものである。廃液部5は、タンクトレイ51と、回収ポンプ52と、廃液タンク53と、検出センサ54とを備える。
【0038】
タンクトレイ51は、廃液タンク53を配置するためのものである。
【0039】
回収ポンプ52は、クリーニング部4により回収された廃インクを吸引/回収して、廃液タンク53に搬送する。回収ポンプ52は、インクジェットヘッド部3のクリーニング処理時に、制御部7(図3参照)の制御によって駆動される。
【0040】
廃液タンク53は、タンクトレイ51上に配置され、タンクトレイ51に対して着脱可能となっている。廃液タンク53は、クリーニング処理によって回収された廃インクを収容する。
【0041】
廃液タンク53は、回収ポンプ52及び回収管52aを介して、クリーニング部4に接続されている。そして、廃液タンク53は、回収ポンプ52が駆動されると、クリーニング部4から搬送された廃インクを収容する。なお、廃液タンク53は、収容している廃インクの量に応じて、軸53aを中心に傾斜するように構成されている(図2参照)。
【0042】
検出センサ54は、廃液タンク53内に収容されるインク量に応じた検出信号を制御部7に送信する。具体的に、検出センサ54は、第1センサ54aと第2センサ54bとを備える。
【0043】
第1センサ54aと第2センサ54bとは、発光素子と受光素子とからなる光学式センサである。第1センサ54aと第2センサ54bとは、廃液タンク53の端部に設けられる遮蔽板55に照射した照射光の受光結果に応じて、“ON信号”又は“OFF信号”を出力する。
【0044】
ここで、図2は、検出センサ54によるインク量の検出方法を説明するための側面図である。具体的に、図2(a)は、例えば、廃液タンク53が空の状態を示しており、図2(b)は、廃液タンク53に収容される廃インクが警戒量である状態を示しており、図2(c)は、廃液タンク53に収容される廃インクが限度量(満杯)である状態を示している。
【0045】
ここで、警戒量は、廃液タンク53に収容可能な限度量よりも所定量小さい廃インク量であり、予め規定されている。なお、所定量は、例えば、限度量の10%であってもよい。
【0046】
図2(a)に示すように、廃液タンク53が空の状態である場合、第1センサ54aは、“ON”を示す検出信号を出力し、第2センサ54bは、“OFF”を示す検出信号を出力する。これにより、廃液タンク53が空の状態であることの他、廃液タンク53が装着されていることも検出できる。
【0047】
また、図2(b)に示すように、廃液タンク53に収容される廃インクが警戒量に達した場合、第1センサ54aと第2センサ54bとは、いずれも“ON”を示す検出信号を出力する。これにより、廃液タンク53に収容される廃インクが警戒量であることを検出できる。
【0048】
そして、図2(c)に示すように、廃液タンク53に収容される廃インクが限度量に達した場合、第1センサ54aは、“OFF”を示す検出信号を出力し、第2センサ54bは、“ON”を示す検出信号を出力する。これにより、廃液タンク53に収容される廃インクが限度量であることを検出できる。
【0049】
図3は、インクジェット印刷装置1の機能ブロック図である。インクジェット印刷装置1は、図1で示した搬送部2と、インクジェットヘッド部3と、クリーニング部4と、廃液部5とに加えて、操作パネル部6と、制御部7と、を備える。
【0050】
操作パネル部6は、ユーザの入力操作を受け付けるとともに、各種の情報等を表示する。操作パネル部6は、ユーザが各種の入力操作を行うための操作ボタン及びタッチパネル等を有する入力部と、各種の情報等を表示する液晶パネル等からなる表示部(いずれも不図示)とを備える。
【0051】
制御部7は、インクジェット印刷装置1全体の動作を制御するものである。制御部7は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備える。制御部7は、制御プログラムを読込んだCPUにより各種制御処理を実現する。
【0052】
制御部7は、検出信号取得部71と、判定部72と、受付処理部73と、クリーニング制御部74と、記憶部76とを備える。
【0053】
検出信号取得部71は、検出センサ54から送信される検出信号を取得する。
【0054】
判定部72は、検出信号取得部71によって取得された検出信号に基づいて、廃インク量が警戒量以上となったか否かを判定する。
【0055】
例えば、判定部72は、検出信号取得部71によって取得された第1センサ54aと第2センサ54bの検出信号がいずれも“ON”を示す場合、廃インク量が警戒量であると判定する。また、判定部72は、検出信号取得部71によって取得された第1センサ54aの検出信号が“OFF”を示し、第2センサ54bの検出信号が“ON”を示す場合、廃インク量が限度量であると判定する。
【0056】
受付処理部73は、廃液タンクに収容されている廃インク量が警戒量以上となった場合、すなわち、廃インク量が警戒量に達した場合に、廃液タンクに回収される廃インク量を抑制したクリーニング処理を実行するか否かをユーザから受け付ける。具体的に、受付処理部73は、廃インク量が警戒量以上となった場合、抑制モードと、通常モードとのいずれに設定すべきかを指示するモード指示データをユーザから受け付ける。
【0057】
ここで、抑制モードと通常モードは、クリーニング処理の動作内容を規定するものである。抑制モードは、廃液タンク53に回収される廃インク量を抑制したクリーニング処理を実行するモードである。通常モードは、廃液タンク53に回収される廃インク量を抑制せずにクリーニング処理を実行するモードである。
【0058】
クリーニング制御部74は、クリーニング処理を実行する実行条件が満たされた場合に、クリーニング部4を制御してクリーニング処理を実行する。本実施形態では、クリーニング処理を実行する実行条件は、印刷枚数によって設定されている。
【0059】
また、クリーニング制御部74は、モード指示データに基づいて、抑制モード又は通常モードのいずれかによりクリーニング処理を実行するようにクリーニング部4を制御する。
【0060】
例えば、クリーニング制御部74は、廃インク量が警戒量以上となって、受付処理部73が廃インク量を抑制した抑制モードによりクリーニング処理を実行することをユーザから受け付けた場合、抑制モードによりクリーニング処理を実行するようにクリーニング部4を制御する。また、クリーニング制御部74は、抑制モードによりクリーニング部4を制御する場合、クリーニング処理の実行頻度と、クリーニング処理においてインクジェットヘッド部3から廃インクを吐出させるパージ圧力との両方を抑制して、クリーニング処理を実行するようにクリーニング部4を制御する。
【0061】
なお、実行頻度は、クリーニング処理の実行条件として設定される印刷枚数によって規定される。また、パージ圧力は、クリーニング処理に含まれるバージ処理において、インクジェットヘッド部3から廃インクを吐出させるための圧力である。
【0062】
ここで、図4(a)には、通常モードと抑制モードとのそれぞれのモードと、実行条件として設定される印刷枚数とを関連づけた実行条件テーブルが示されている。
【0063】
図4(a)に示すように、通常モードにおける実行条件は、インクジェット印刷装置1により印刷された印刷枚数が「1000枚」ごとにクリーニング処理を実行するように、印刷枚数を「1000枚」に設定している。
【0064】
一方、抑制モードにおける実行条件は、インクジェット印刷装置1により印刷された印刷枚数が「3000枚」ごとにクリーニング処理を実行するように、印刷枚数を「3000枚」に設定している。このように、実行条件として設定される印刷枚数は、クリーニング処理の実行頻度を規定する。そして、抑制モードでは、実行条件として設定される印刷枚数は、クリーニング処理の実行頻度を抑制するように設定されている。これにより、クリーニング処理の実行頻度が抑制されるので、廃インクの回収量が抑制される。
【0065】
また、図4(b)には、通常モードと抑制モードとのそれぞれのモードと、クリーニング処理で実施されるバージ処理のパージ圧力(加圧力)とを関連づけたパージ圧テーブルが示されている。
【0066】
図4(b)に示すように、通常モードにおけるパージ圧力は、インクジェットヘッド部3の内部から廃インクを確実に取り除くようにパージ圧力の強い「強パージ」に設定されている。
【0067】
一方、抑制モードにおけるパージ圧力は、「強パージ」よりも圧力を下げた「弱パージ」に設定されている。このように、抑制モードにおけるパージ圧力は、クリーニング処理においてインクジェットヘッド部3から廃インクを吐出させるパージ圧力を抑制するように設定されている。これにより、クリーニング処理の一回当たりの廃インクの回収量が抑制される。
【0068】
図4(a)〜(b)に示すテーブルは、記憶部76に予め記憶されている。クリーニング制御部74は、記憶部76に記憶されるテーブルを参照して、抑制モード又は通常モードのいずれかによりクリーニング処理を実行するようにクリーニング部4を制御する。
【0069】
印刷制御部75は、インクジェット印刷装置1において用紙に画像を印刷するための各種処理を実行する。具体的に、印刷制御部75は、搬送部2やインクジェットヘッド部3の動作を制御して用紙に画像を印刷する。
【0070】
記憶部76は、ハードディスクなどの装置によって構成される。記憶部76は、インクジェット印刷装置1の処理に用いられる各種情報を記憶する。記憶部76に記憶される情報は、制御部7内の各部によって参照される。例えば、記憶部76は、図4(a)〜(b)に示すテーブルや、操作パネル部6に表示される各種画面データを記憶する。
【0071】
<インクジェット印刷装置1の動作>
次に、インクジェット印刷装置1の動作について説明する。具体的に、インクジェット印刷装置1がクリーニング処理を実行する際の動作について説明する。図5は、インクジェット印刷装置1の動作を示すフローチャートである。
【0072】
なお、以下の動作において、インクジェット印刷装置1では、予め通常モードに設定されている場合を例に挙げて説明する。具体的に、クリーニング処理を実行する実行条件として、印刷枚数が「1000枚」に設定され、クリーニング処理において実行されるパージ処理のバージ圧が「強パージ」に設定されているものとする。
【0073】
ステップS10において、制御部7では、クリーニング制御部74が、クリーニング処理の実行条件を満たすか否かを判定する。具体的に、クリーニング制御部74は、インクジェット印刷装置1により印刷された印刷枚数が実行条件として設定されている印刷枚数の「1000枚」を満たすか否かを判定する。なお、印刷制御部75が、クリーニング処理の実行条件を満たさない場合(ステップS10“No”)、ステップS10の動作を繰り返す。
【0074】
一方、ステップS11において、クリーニング制御部74が、クリーニング処理の実行条件を満たすと判定した場合(ステップS10“Yes”)、検出信号取得部71は、検出センサ54からの検出信号を取得する。
【0075】
ステップS12において、判定部72は、検出信号取得部71によって取得された検出信号に基づいて、廃インク量が廃液タンクに収容可能な限度量以上であるか否かを判定する。具体的に、判定部72は、検出信号取得部71によって取得された第1センサ54aの検出信号が“OFF”を示し、かつ、第2センサ54bの検出信号が“ON”を示すか否かを判定する。
【0076】
ステップS13において、判定部72は、廃インク量が廃液タンクに収容可能な限度量以上であると判定した場合(ステップS12“Yes”)、廃インク量が限度量に達したことを示す通知画面を操作パネル部6に表示して、ユーザに報知する。
【0077】
そして、ステップS14において、印刷制御部75は、廃液タンク53の廃インクが廃棄されるまで、インクジェット印刷装置1において印刷処理を実行しない印刷不可状態に設定する。
【0078】
一方、ステップS15において、判定部72は、廃インク量が廃液タンクに収容可能な限度量以上でないと判定した場合(ステップS12“No”)、検出信号取得部71によって取得された検出信号に基づいて、廃インク量が警戒量以上となったか否かを判定する。具体的に、判定部72は、検出信号取得部71によって取得された第1センサ54aと第2センサ54bの検出信号がいずれも“ON”を示すか否かを判定する。
【0079】
ステップS16において、判定部72が、廃インク量が警戒量以上でないと判定した場合(ステップS15“No”)、クリーニング制御部74は、通常モードに設定する。なお、ここでは、既に通常モードであるため、クリーニング制御部74は、特に動作を行わない。
【0080】
そして、ステップS17において、クリーニング制御部74は、通常モードによるクリーニング処理を行う。具体的に、クリーニング制御部74は、パージ圧力「強パージ」により廃インクを回収するパージ処理を含むクリーニング処理を実行するようにクリーニング部4を制御する。なお、以降、通常モードの実行条件として設定されている印刷枚数の「1000枚」に基づいて、ステップS10の動作が行われる。
【0081】
一方、ステップS18において、判定部72は、廃インク量が警戒量以上であると判定した場合(ステップS15“Yes”)、受付処理部73は、廃インクが限度量に達するまでの期間を予測する。
【0082】
具体的に、受付処理部73は、廃インクの警戒量V1と、廃液タンク53が装着された時点から廃インク量が警戒量V1となった時点(現在)までの期間T1とに基づいて、廃インクの増加速度S1(=V1/T1)を算出する。
【0083】
そして、受付処理部73は、警戒量V1と限度量V2との差である所定量ΔVと、廃インクの増加速度S1とに基づいて、限度量V2に達するまでの期間T2(=ΔV/S1)を算出する。そして、受付処理部73は、算出した期間T2を操作パネル部6に表示する。
【0084】
続いて、ステップS19において、受付処理部73は、モード選択画面を操作パネル部6に表示する。このとき、受付処理部73は、算出した期間T2を含むモード選択画面を操作パネル部6に表示してもよい。
【0085】
ここで、モード選択画面は、通常モードと抑制モードとのいずれに設定すべきかをユーザに選択させるための画面である。操作パネル部6は、モード選択画面を表示した後、ユーザによって通常モードと抑制モードとのいずれかが入力されると、入力された通常モード又は抑制モードを指示するモード指示データを受付処理部73に送信する。
【0086】
ステップS20において、受付処理部73が、操作パネル部6から送信されたモード指示データを受け付ける。
【0087】
ステップS21において、クリーニング制御部74は、受付処理部73によって受け付けられたモード指示データが通常モードと抑制モードとのいずれを示すものか判定する。クリーニング制御部74は、モード指示データが通常モードを示す場合(ステップS20“通常モード”)、ステップS16の動作を行う。
【0088】
一方、ステップS22において、クリーニング制御部74は、モード指示データが抑制モードを示す場合(ステップS20“抑制モード”)、抑制モードによりクリーニング処理を実行するようにクリーニング部4を制御する。具体的に、クリーニング制御部74は、クリーニング処理の実行頻度と、クリーニング処理においてインクジェットヘッド部3に与えるパージ圧力の両方を抑制して、クリーニング処理を実行するようにクリーニング部4を制御する。
【0089】
また、クリーニング制御部は、抑制モードによりクリーニング処理の実行頻度を抑制する場合、クリーニング処理を実行する実行条件として設定される印刷枚数を変更する。
【0090】
具体的に、クリーニング制御部74は、記憶部76に記憶される実行条件テーブルを参照して、抑制モードに関連づけて記憶されている印刷枚数の「3000枚」を特定する。そして、クリーニング制御部74は、実行条件として現在設定されている印刷枚数の「1000枚」を「3000枚」に変更する。
【0091】
続いて、クリーニング制御部74は、記憶部76に記憶されるパージ圧テーブルを参照して、抑制モードに関連づけて記憶されているパージ圧力の「弱パージ」を特定する。そして、クリーニング制御部74は、クリーニング処理のパージ処理のパージ圧力として現在設定されているパージ圧力の「強パージ」を「弱パージ」に変更する。
【0092】
ステップS22において、クリーニング制御部74は、抑制モードによるクリーニング処理を行う。具体的に、クリーニング制御部74は、パージ圧力を「弱パージ」にしたパージ処理を含むクリーニング処理を実行するようにクリーニング部4を制御する。なお、以降、抑制モードの実行条件として設定された印刷枚数の「3000枚」に基づいて、ステップS10の動作が行われる。
【0093】
<作用及び効果>
以上のように、本発明の第1実施形態に係るインクジェット印刷装置1では、判定部72は、廃液タンク53に収容されている廃インク量が警戒量以上となったか否かを判定する。また、廃インク量が警戒量以上となった場合、受付処理部73は、抑制モードと通常モードとのいずれに設定すべきかを指示するモード指示データをユーザから受け付け、クリーニング制御部74は、モード指示データに基づいて、抑制モード又は通常モードとのいずれかによりクリーニング処理を実行するようにクリーニング部4を制御する。
【0094】
具体的に、クリーニング制御部74は、抑制モードによりクリーニング部4を制御する場合、クリーニング処理の実行頻度と、クリーニング処理においてインクジェットヘッド部3から廃インクを吐出させるパージ圧力との両方を抑制して、クリーニング処理を実行するようにクリーニング部4を制御する。ここで、クリーニング制御部74は、抑制モードによりクリーニング処理の実行頻度を抑制する場合、クリーニング処理を実行する実行条件として設定される印刷枚数を「1000枚」から「3000枚」に変更する。
【0095】
かかるインクジェット印刷装置1によれば、廃インク量が警戒量以上となった場合に、回収される廃インク量を抑制したクリーニング処理を実行する抑制モードを選択することが可能になる。
【0096】
これにより、廃インク量が限度量に達して印刷不可状態になるよりも前の時点で、廃液タンクに回収される廃インク量の増加ペースを抑制できるため、限度量に達するまでの期間を延長することができる。更には、廃液タンク53に収容される廃インクの廃棄サイクルを延長できるため、インクジェット印刷装置1の生産性の低下も抑制できる。
【0097】
また、廃インクの種類は、特に限定されないため、廃インクの種類に制限を受けずに、廃液タンクが限界値に達するまでの期間を延長することができる。
【0098】
また、インクジェット印刷装置1では、廃インク量が警戒量以上となった場合に、廃インク量を抑制しない通常モードを選択することも可能であるため、ユーザによる選択自由度を高めて、利便性を向上できる。
【0099】
なお、上述した第1実施形態において、ステップS18〜S21における受付処理部73の動作は、必ずしも必要ない。例えば、判定部72が、廃インク量が警戒量以上であると判定した場合(ステップS15“Yes”)、ステップS22に進み、クリーニング制御部74は、抑制モードによりクリーニング処理を実行するようにクリーニング部4を制御してもよい。つまり、クリーニング制御部74は、廃インク量が警戒量以上となった場合に、廃液タンクに回収される廃インク量を抑制したクリーニング処理を実行するようにクリーニング部4を制御してもよい。
【0100】
かかるインクジェット印刷装置1によれば、廃インク量が警戒量以上となった場合、すなわち、廃インク量が警戒量に達した場合に、ユーザからの指示を受け付けなくても、回収される廃インク量を抑制したクリーニング処理を実行できる。これにより、廃液タンクに回収される廃インク量の増加ペースをより確実に抑制できるため、限度量に達するまでの期間をより確実に延長することができる。
【0101】
[変形例1]
次いで、第1実施形態に係るインクジェット印刷装置1の変形例1について、第1実施形態との相違点に着目して説明する。
【0102】
ここで、上述した第1実施形態では、実行条件として印刷枚数が規定されていたが、本変形例1では、実行条件として電源遮断期間が規定されている。
【0103】
そして、本変形例1では、クリーニング制御部74は、抑制モードによりクリーニング処理の実行頻度を抑制する場合、実行条件として設定される電源遮断期間を変更するように構成されている。なお、電源遮断期間は、インクジェット印刷装置1の電源が遮断(OFF)となっている期間である。
【0104】
ここで、図6には、通常モードと抑制モードとのそれぞれのモードと、実行条件として設定される電源遮断期間とを関連づけた実行条件テーブルが示されている。なお、図6に示す実行条件テーブルは、記憶部76に予め記憶されている。
【0105】
また、本変形例1では、上述したステップS22(図5参照)において、クリーニング制御部74が、次のように動作する。
【0106】
具体的に、ステップS22において、クリーニング制御部74は、記憶部76に記憶される実行条件テーブルを参照して、抑制モードに関連づけて記憶されている電源遮断期間の「6時間」を特定する。そして、クリーニング制御部74は、実行条件として現在設定されている電源遮断期間の「4時間」を「6時間」に変更する。
【0107】
なお、ステップS22において、クリーニング制御部74は、クリーニング処理のパージ処理のパージ圧力として現在設定されているパージ圧力の「強パージ」を「弱パージ」に変更する動作については、上述した第1実施形態と同様である。
【0108】
以上のように、変形例1に係るインクジェット印刷装置1では、クリーニング制御部74は、抑制モードによりクリーニング処理の実行頻度を抑制する場合、実行条件として設定される電源遮断期間を変更する。これにより、廃液タンクが限度量に達するまでの期間を延長することができる。
【0109】
[本発明のその他の実施形態]
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。
【0110】
例えば、上述した第1実施形態では、クリーニング制御部74は、抑制モードによりクリーニング部4を制御する場合、クリーニング処理の実行頻度と、パージ圧力との両方を抑制して、クリーニング処理を実行するようにクリーニング部4を制御していたが、これに限定されない。クリーニング制御部74は、抑制モードにおいて、クリーニング処理の実行頻度のみを抑制してもよいし、パージ圧力のみを抑制してもよい。すなわち、クリーニング制御部74は、抑制モードにおいて、クリーニング処理の実行頻度と、パージ圧力との少なくとも一方を抑制して、クリーニング処理を実行するようにクリーニング部4を制御してもよい。
【0111】
また、例えば、上述した変形例1では、クリーニング制御部74は、クリーニング処理の実行頻度を抑制する場合、実行条件として設定される電源遮断期間を変更するように構成されていたが、印刷枚数と電源遮断期間との両方を変更してもよい。すなわち、クリーニング制御部74は、抑制モードによりクリーニング処理の実行頻度を抑制する場合、実行条件として設定される印刷枚数と電源遮断期間との少なくとも一方を変更するように構成してもよい。
【0112】
また、例えば、上述した変形例1では、クリーニング制御部74は、実行条件として設定される電源遮断期間を変更し、更に、パージ圧力も抑制するように構成されていたが、電源遮断期間のみを変更してもよい。すなわち、クリーニング制御部74は、抑制モードによりクリーニング部4を制御する場合、クリーニング処理の実行頻度のみを抑制してもよい。
【0113】
また、図4(a)の実行条件テーブルに示される印刷枚数「1000枚」及び「3000枚」は、一例であって、特に限定されない。適切な印刷枚数を設定可能である。
【0114】
このように、本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0115】
1…インクジェット印刷装置
2…搬送部
3…インクジェットヘッド部
4…クリーニング部
5…廃液部
6…操作パネル部
7…制御部
51…タンクトレイ
52…回収ポンプ
53…廃液タンク
54…検出センサ
55…遮蔽板
71…検出信号取得部
72…判定部
73…受付処理部
73…モード指示データを受付処理部
74…クリーニング制御部
75…印刷制御部
76…記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6