特許第6863708号(P6863708)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863708
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20210412BHJP
   G01N 35/04 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   G01N35/02 G
   G01N35/04 H
【請求項の数】12
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-203707(P2016-203707)
(22)【出願日】2016年10月17日
(65)【公開番号】特開2018-66583(P2018-66583A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2019年7月12日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 正明
(72)【発明者】
【氏名】山崎 健司
(72)【発明者】
【氏名】高山 博子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 尚人
(72)【発明者】
【氏名】村田 達也
【審査官】 三好 貴大
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−034642(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/093166(WO,A1)
【文献】 特開2012−122865(JP,A)
【文献】 特開2016−176692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルラックを滞留させるための滞留エリアと、
発生したエラーに基づいて、前記エラーを発させた試料を収容する試料容器を保持するサンプルラックを、前記滞留エリアに滞留させるか否かを判定する判定部と、
前記滞留させると判定されたサンプルラックを前記滞留エリアへ移動させる駆動部と、
前記滞留エリアに滞留されたサンプルラックに対して、複数の排出先から選択された排出先の入力、および、排出指示が入力されると、前記排出指示の対象となるサンプルラックを、当該サンプルラックに対して入力された排出先へ排出するように前記駆動部を制御する排出管理部と
を具備し、
前記判定部は、複数のエラーの情報と滞留要否の情報とを対応付けることによって、サンプルラックを滞留にする条件を設定可能である、自動分析装置。
【請求項2】
前記滞留エリアへ移動されたサンプルラックの識別情報及び当該識別情報により識別されるサンプルラックに対し予め設定される排出先を表示する表示部をさらに具備する請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記排出指示が入力されると、前記排出指示の確定を受け付ける確認画面を前記表示部に表示させる表示制御部をさらに具備する請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記滞留エリアへ移動されたサンプルラックの識別情報及び当該識別情報により識別されるサンプルラックに対し予め設定される排出先が記憶される記憶部と、
前記表示される排出先に対する変更指示が入力されると、前記変更指示の対象となるサンプルラックに対し予め設定された複数の排出先の候補を前記表示部に表示させる表示制御部をさらに具備し、
前記排出管理部は、前記複数の排出先の候補のうち1つの排出先を選択する旨の指示が入力されると、前記記憶部に記憶され、前記識別情報により識別されるサンプルラックに対し予め設定される排出先を、前記選択された排出先に変更する請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記排出指示が入力されると、前記排出指示の確定を受け付ける確認画面を前記表示部に表示させる請求項4に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記表示される識別情報及び排出先に対する表示指示が入力されると、前記表示指示の対象となるサンプルラックの識別情報及び当該識別情報により識別されるサンプルラックに対し予め設定される排出先を前記表示部に表示させる請求項3乃至5のうちいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記表示部は、前記表示される排出先の排出可否を示す情報を表示し、
前記排出管理部は、前記表示される識別情報及び排出先に対する表示指示が入力されると、前記表示指示の対象となるサンプルラックの排出先毎の排出可否を判定し、当該排出先毎に前記排出可否を示す情報を当該判定の結果に変更し、
前記表示制御部は、前記排出可否を示す情報が変更された後、前記表示指示の対象となるサンプルラックの識別情報、当該識別情報により識別されるサンプルラックに対し予め設定される排出先、及び当該排出先の排出可否を示す情報を表示する請求項3乃至5のうちいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記エラーには所定の種別が付され、前記種別は個々の前記エラーを表すエラー名称又は複数の前記エラーを1つの集合としたエラー区分である請求項1乃至7のうちいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項9】
前記滞留エリアへ移動されたサンプルラックの識別情報及び当該識別情報により識別されるサンプルラックに対し予め設定される排出先を表示し、前記表示される識別情報により識別されるサンプルラックに対する排出指示を受け付ける排出指示受付領域を表示する表示部をさらに備える請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項10】
前記表示部は、前記表示される排出先に対する変更指示を受け付ける排出先選択領域をさらに表示する請求項9に記載の自動分析装置。
【請求項11】
前記表示部は、前記排出指示受付領域を表示する旨の指示を受け付ける表示受付アイコンをさらに表示する請求項9に記載の自動分析装置。
【請求項12】
前記表示部は、前記排出指示の確定を受け付ける確認画面をさらに表示する請求項9に記載の自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、試料容器に収容される試料に含まれる、生化学検査項目、及び免疫検査項目等の検査項目に関する成分を測定するための装置である。自動分析装置では、試料容器は、試料容器を複数本保持可能なサンプルラックに保持される。サンプルラックは、自動分析装置に設けられる投入レーンから投入され、自動分析装置内を搬送される。試料容器に収容される試料は、反応管へ分注され、反応管で検査項目と対応する試薬と混合される。試料と試薬との混合液は、成分を光学的に測定される。保持する全ての試料容器に収容される試料についての成分測定が終了すると、サンプルラックは所定の回収レーンへ排出される。
【0003】
ところで、自動分析装置は、測定時に発生する種々のエラーを検知可能である。自動分析装置では、測定時に所定のエラーが発生した場合、例えばエラーを発生させた試料を含むサンプルラックを、予め設定した排出先へ自動的に排出する。操作者は、所定の排出先に排出されているサンプルラックに保持される、エラーを発生させた試料を収容する試料容器を確認する。
【0004】
しかしながら、操作者が所定の排出先の前に常に待機しているとは限らない。そのため、操作者が気付いたときには、所定の排出先に複数のサンプルラックが排出されている場合もあり得る。このような場合、操作者は、複数のサンプルラックから、所望の試料容器を保持するサンプルラックを探し出さなくてはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−064537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
目的は、操作者が所望の試料容器を保持するサンプルラックを取得する際の負担を軽減することが可能な自動分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、自動分析装置は、滞留エリア、判定部、駆動部、及び排出管理部を具備する。滞留エリアは、サンプルラックを滞留させるためのものである。判定部は、発生したエラーに基づいて、前記エラーを発させた試料を収容する試料容器を保持するサンプルラックを、前記滞留エリアに滞留させるか否かを判定する。駆動部は、前記滞留させると判定されたサンプルラックを前記滞留エリアへ移動させる。排出管理部は、前記滞留エリアに滞留されたサンプルラックに対する排出指示が入力されると、前記排出指示の対象となるサンプルラックを、当該サンプルラックに対し予め設定される排出先へ排出するように前記駆動部を制御する。上記判定部は、複数のエラーの情報と滞留要否の情報とを対応付けることによって、サンプルラックを滞留にする条件を設定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係る自動分析装置の機能構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示される分析機構の構成を示す図である。
図3図3は、図1に示される分析機構の構成を示す図である。
図4図4は、図2に示されるサンプル分注ユニット、及び圧力検出器の構成を示すブロック図である。
図5図5は、実施形態に係る制御回路によるサンプルラックの滞留判定の流れを表すフローチャートである。
図6図6は、実施形態に係るエラー対応テーブルの一例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る排出管理テーブルの一例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る制御回路による排出管理に係る動作の例を表すフローチャートである。
図9図9は、実施形態に係る表示回路が表示するラック取り出しアイコンの表示例を示す図である。
図10図10は、実施形態に係る表示回路が表示するサンプルラックの識別情報及び排出先に関する情報の表示例を表す図である。
図11図11は、実施形態に係る表示回路が表示する、バッファレーンへ移動されたサンプルラックを所定の排出先へ排出する旨の指示の確定を受け付ける確認画面の表示例を表す図である。
図12図12は、実施形態に係る表示回路が表示する、排出できない旨を表すポップアップの表示例を表す図である。
図13図13は、変形例に係る制御回路によるサンプルラックの滞留判定に係る動作の例を表すフローチャートである。
図14図14は、他の実施形態に係る表示回路が表示するサンプルラックの識別情報及び排出先に関する情報の表示例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る自動分析装置1の機能構成を示すブロック図である。図1に示される自動分析装置1は、分析機構2、解析回路3、駆動機構4、入力インタフェース回路5、表示回路6、記憶回路7、及び制御回路8を具備する。
【0011】
分析機構2は、標準試料又は被検試料等の試料と、この試料に設定された各検査項目で用いられる試薬とを混合する。分析機構2は、試料と試薬との混合液を測定し、例えば吸光度で表される標準データ、及び被検データを生成する。
【0012】
解析回路3は、分析機構2により生成された標準データ、被検データに基づいて検量データ及び分析データ等を解析するプロセッサである。解析回路3は、記憶回路7から動作プログラムを読み出し、動作プログラムに従って検量データ及び分析データ等を生成する。例えば、解析回路3は、標準データと、標準試料に予め設定された標準値との関係を示す検量データを生成する。また、解析回路3は、被検データと、この被検データに対応する検査項目の検量データとに基づいて、濃度値及び酵素の活性値として表される分析データを生成する。解析回路3は生成した検量データ及び分析データ等を制御回路8へ出力する。
【0013】
駆動機構4は、ギア、ステッピングモータ、ベルトコンベア、及びリードスクリュー等により実現される。駆動機構4は、制御回路8の制御に従い、分析機構2を駆動させる。
【0014】
入力インタフェース回路5は、例えば、マウス、キーボード、及び、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパッド等により実現される。入力インタフェース回路5は、例えば、操作者から検査を行う検査対象の試料を識別する試料ID、この試料IDに対する検査項目、及び各検査項目の分析パラメータを受け付ける。入力インタフェース回路5は、制御回路8に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路8へ出力する。なお、本明細書において入力インタフェース回路5はマウス及びキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、自動分析装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路8へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース回路5の例に含まれる。
【0015】
表示回路6は、例えばCRT(Cathdode-Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、及びプラズマディスプレイ等を有する。また、表示回路6は、制御回路8に接続され、制御回路8から供給される信号を外部へ表示する。表示回路6は、例えば制御回路8から供給される検量データ及び分析データを表示する。
【0016】
記憶回路7は、磁気的若しくは光学的記録媒体又は半導体メモリ等の、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を含む。記憶回路7は、解析回路3で実行される動作プログラム、及び制御回路8で実行される動作プログラムを記憶する。記憶回路7は、解析回路3により生成される検量データを検査項目毎に記憶する。記憶回路7は、解析回路3により生成される分析データを被検試料毎に記憶する。記憶回路7は、自動分析装置1において発生したエラーの種別に基づいて、所定のエラーを発生させた試料を収容する試料容器100を保持するサンプルラック102の排出を制御するための情報、例えば各種テーブルを記憶する。
【0017】
制御回路8は、自動分析装置1の中枢として機能するプロセッサである。制御回路8は、記憶回路7に記憶されている動作プログラムを実行することで、この動作プログラムに対応する機能を実現する。
【0018】
図2及び図3は、図1に示される分析機構2の構成の一例を示す模式図である。図2及び図3に示される分析機構2は、反応ディスク201、及び試薬庫202を備える。
【0019】
反応ディスク201内には、恒温水で満たされた恒温槽2012が設けられている。恒温槽2012は円周形状を有している。反応ディスク201は、恒温槽2012により、複数の反応管2011を保持する。反応ディスク201は、駆動機構4によって既定の時間間隔で回動と停止とが交互に繰り返される。反応管2011は、例えば、ガラスにより形成される。
【0020】
試薬庫202は、試薬が収容されている試薬容器を複数保持する試薬庫の一例であり、この実施形態では、反応ディスク201の内側に配置される。試薬庫202は、試薬容器ラックにより、円周状に複数の試薬容器を保持する。図2及び図3に示される試薬庫202内の外円2021は、試薬庫202内で円周状に配列される試薬容器のうち、外側の円周に配列される試薬容器の開口部の位置を表す。試薬庫202内の内円2022は、試薬庫202内で円周状に配列される試薬容器のうち、内側の円周に配列される試薬容器の開口部の位置を表す。試薬庫202に保持されている試薬容器は、反応管2011に分注される試薬を収容している。開口部が外円2021に沿って配置される試薬容器101は、各検査項目に対応する第1試薬を収容している。第1試薬は、検査項目毎に使われるものが決められている。開口部が内円2022に沿って配置される試薬容器101は、各検査項目に対応する第2試薬を収容している。第2試薬は、第1試薬同様に検査項目毎に使われるものが決められている。試薬容器ラックは、駆動機構4によって試薬庫202の中心を回転中心として回動される。
【0021】
また、図2及び図3に示される分析機構2は、ラック投入ユニット230、ラック移動ユニット240、ラック回収ユニット250、及びSTATラック投入ユニット260を備える。
ラック投入ユニット230は、投入レーン231を備える。投入レーン231には、サンプルラック102が投入される。サンプルラック102は、試料を収容する試料容器100を複数保持している。サンプルラック102の両端の側面には、ラック移動ユニット240に設けられる搬送アーム241によりピックアップ可能な形状、例えば1対の溝が形成される。また、サンプルラック102には、サンプルラック102の有無を識別するためのRFID(Radio Frequency IDentification)チップ(無線タグ)が取り付けられている。
【0022】
試料容器100には、標準試料又は被検試料等の試料が収容される。試料容器100には、試料容器100に収容される試料の識別情報等が記載される光学式マークが印刷されたラベルが貼付されている。光学式マークは、試料容器100に関する情報、及び試料の識別情報等を符号化したマーク、例えば、バーコード、1次元コード、及び2次元コード等である。
【0023】
サンプルラック102は、投入レーン231へ投入される。投入レーン231へ投入されるサンプルラック102は、駆動機構4により駆動され、ラック移動ユニット240へ移動可能な投入位置へ移動される。このとき、投入レーン231におけるサンプルラック102の移動は、例えば、ベルトコンベア、及びリードスクリュー等により実現される。
【0024】
ラック移動ユニット240は、搬送アーム241、搬送レール242、サンプリングレーン243、バッファレーン244、及びリーダ245を備える。
【0025】
搬送アーム241は、例えば、1対の爪を上下動自在に有する。搬送アーム241は、サンプルラック102に形成される1対の溝に爪を差し込んだ状態で、フォークリフトがそのフォークで荷物を抱えて運ぶように、サンプルラック102を搬送する。
【0026】
搬送アーム241は、駆動機構4によって駆動され、サンプルラック102を搬送する。例えば、搬送アーム241は、投入レーン231における投入位置に載置されているサンプルラック102を抱えた後、搬送レール242上を移動する。これにより、搬送アーム241は、抱えたサンプルラック102をサンプリングレーン243へ搬送する。搬送レール242は、サンプリングレーン243と、バッファレーン244との間に設けられ、搬送アーム241が移動する際のガイドの役割を担う。また、搬送アーム241は、サンプリングレーン243における、ラック回収ユニット250へ移動可能な搬出位置に位置するサンプルラック102を抱えた後、搬送レール242上を移動する。これにより、搬送アーム241は、抱えたサンプルラック102をバッファレーン244又はラック回収ユニット250へ搬送する。また、搬送アーム241は、バッファレーン244上に載置されたサンプルラック102を、ラック回収ユニット250へ搬送する。また、搬送アーム241は、バッファレーン244上に載置されたサンプルラック102を、STATラック投入ユニット260へ搬送する。
【0027】
サンプリングレーン243は、分注対象となる試料容器100が保持される複数のサンプルラックを、サンプル分注プローブ205が試料を吸引する位置であるサンプル吸引位置2432の下へ搬送するためのレーンである。サンプリングレーン243は、駆動機構4により、投入レーン231における投入位置から搬入されたサンプルラック102を移動させる。例えば、サンプリングレーン243は、サンプルラック102に保持される試料容器100各々の開口を、サンプル吸引位置2432の下へ移動させる。また、サンプリングレーン243は、サンプルラック102に保持される全ての試料容器100に収容される試料の分注が正常に終了すると、サンプルラック102を、サンプル吸引位置2432の下から、ラック回収ユニット250へ移動可能な搬出位置へ移動させる。サンプリングレーン243におけるサンプルラック102の移動は、例えば、ベルトコンベア、及びリードスクリュー等により実現される。
【0028】
バッファレーン244は、所定のエラーを発生させた試料を収容する試料容器100を保持するサンプルラック102を一時的に滞留させるための滞留エリアである。
【0029】
リーダ245は、例えばサンプル吸引位置2432の近傍に設けられる。リーダ245は、制御回路8からのID読取開始の指示を契機として、読取りを開始する。リーダ245は、分注対象となる試料容器100が光学式マークを読取り可能な位置に到達すると、当該試料容器100に付された光学式マークから試料の識別情報を読み取る。リーダ245は、読取った試料の識別情報を制御回路8に供給する。リーダ245は、例えば所定の時間内に読取りができなかった場合、試料IDの読み取りに失敗したと判定する。リーダ245は、失敗した旨を制御回路8に通知する。なお、リーダ245は、RFID等を利用した他のセンサで代替してもよい。
【0030】
ラック回収ユニット250は、第1回収レーン251、第2回収レーン252、サンプルラック検知センサ253、及びサンプルラック検知センサ254を有する。第1回収レーン251及び第2回収レーン252は、測定が正常に終了した試料容器100が保持されるサンプルラック102の回収先の役割を有する。また、第1回収レーン251及び第2回収レーン252は、所定のエラーを発生させた試料を収容する試料容器100を保持するサンプルラック102の排出先の役割も有する。第1回収レーン251及び第2回収レーン252は、駆動機構4により駆動され、ラック移動ユニット240から搬送アーム241により搬送されたサンプルラック102を、取り出し位置へ移動させる。
【0031】
サンプルラック検知センサ253は、第1回収レーン251の近傍に設けられる。サンプルラック検知センサ253は、例えばRFIDリーダである。RFIDリーダは、例えば電波又は電磁界を利用して、RFIDチップとの間で、非接触でデータの送受信を行う装置である。サンプルラック検知センサ253は、放射部と受信部を有する。サンプルラック検知センサ253は、第1回収レーン251に載置される複数のサンプルラック102に対し、特定の波長の電波を放射部から放射する。サンプルラック検知センサ253は、制御回路8から供給されるサンプルラック102の有無の検知開始の指示を受け付けることを契機として、電波の放射を開始する。サンプルラック検知センサ253は、第1回収レーン251上に載置される複数のサンプルラック102それぞれに取り付けられたRFIDチップから応答信号を受信部により検出する。サンプルラック検知センサ253は、検出された応答信号を制御回路8へ出力する。
【0032】
サンプルラック検知センサ254は、第2回収レーン252の近傍に設けられる。サンプルラック検知センサ254は、例えばRFIDリーダである。サンプルラック検知センサ254は、放射部と受信部を有する。サンプルラック検知センサ254は、第2回収レーン252に載置される複数のサンプルラック102に対し、特定の波長の電波を放射部により放射する。サンプルラック検知センサ254は、制御回路8から供給されるサンプルラック102の有無の検知開始の指示を受け付けることを契機として、電波の放射を開始する。サンプルラック検知センサ254は、第2回収レーン252上に載置される複数のサンプルラック102それぞれに取り付けられたRFIDチップから応答信号を受信部により検出する。サンプルラック検知センサ254は、検出された応答信号を制御回路8へ出力する。
【0033】
STATラック投入ユニット260は、STATラック投入レーン261及びサンプルラック検知センサ262を有する。
【0034】
STATラック投入レーン261は、緊急で測定する必要のある試料を収容する試料容器100が保持されるサンプルラック102を投入するためのレーンである。また、STATラック投入レーン261は、所定のエラーを発生させた試料を収容する試料容器100を保持するサンプルラック102の排出先の役割も有する。
【0035】
サンプルラック検知センサ262は、例えば、図2に示されるようにSTATラック投入レーン261と、バッファレーン244との間に設けられる。サンプルラック検知センサ262は、例えば光センサである。サンプルラック検知センサ262は、STATラック投入レーン261上に載置されるサンプルラック102に対し投光可能な位置に設けられる。サンプルラック検知センサ262は、制御回路8から供給されるサンプルラック102の有無の検知開始の指示を受け付けることを契機として、投光を開始する。サンプルラック検知センサ262は、検出された電気信号を制御回路8へ出力する。
【0036】
また、図2及び図3に示される分析機構2は、サンプル分注アーム204、サンプル分注プローブ205、サンプル分注ユニット206、圧力検出器2061、第1試薬分注アーム216、第1試薬分注プローブ217、第1試薬分注ユニット218、圧力検出器2181、第2試薬分注アーム219、第2試薬分注プローブ220、第2試薬分注ユニット221、圧力検出器2211、第1撹拌ユニット222、及び第2撹拌ユニット223を備える。
【0037】
サンプル分注アーム204は、反応ディスク201とサンプリングレーン243との間に、鉛直方向には上下動自在に水平方向には回動自在に設けられている。サンプル分注アーム204は、一端にサンプル分注プローブ205を保持する。サンプル分注アーム204は、駆動機構4によって回動される。サンプル分注アーム204が回動に伴って、サンプル分注プローブ205は、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、サンプル分注プローブ205が試料容器100から試料を吸引する位置である、サンプル吸引位置2432が設定されている。サンプル吸引位置2432は、サンプリングレーン243上に位置するように予め設定されている。また、当該回動軌道上のサンプル吸引位置とは異なった位置には、サンプル分注プローブ205が吸引した試料を反応管2011へ吐出するサンプル吐出位置2013が設定されている。サンプル分注プローブ205の回動軌跡は、サンプリングレーン243上に載置されるサンプルラック102に保持されている試料容器100の移動軌跡、反応ディスク201に保持されている反応管2011の移動軌跡それぞれと交差している。それぞれの移動軌跡との交差点が、サンプル吸引位置2432、サンプル吐出位置2013である。
【0038】
サンプル分注プローブ205は、駆動機構4によって駆動され、サンプル吸引位置2432、及びサンプル吐出位置2013において上下方向に移動する。また、サンプル分注プローブ205は、制御回路8の制御に従い、サンプル吸引位置2432に位置する試料容器100から試料を吸引する。また、サンプル分注プローブ205は、制御回路8の制御に従い、吸引した試料を、サンプル吐出位置2013に位置する反応管2011へ吐出する。
【0039】
サンプル分注ユニット206は、所定の検査項目についての検査を実施する際、サンプル分注プローブ205により、サンプル吸引位置2432で、試料容器100に収容される試料を吸引する。また、サンプル分注ユニット206は、制御回路8の制御に従い、サンプル分注プローブ205により吸引した試料を、サンプル吐出位置2013に位置する反応管2011へ吐出する。また、サンプル分注ユニット206は、サンプルプローブ洗浄位置2069にてサンプル分注プローブ205へ洗浄液を供給し、サンプル分注プローブ205を洗浄する。
【0040】
圧力検出器2061は、サンプル分注プローブ205内の圧力を測定する。圧力検出器2061は、測定結果を制御回路8へ出力する。
【0041】
図4は、サンプル分注ユニット206及び圧力検出器2061の構成例を示す模式図である。図4に示されるサンプル分注ユニット206は、一端がサンプル分注プローブ205に接続されるチューブ2063、チューブ2063の他端部に接続されるシリンジ2064、及びシリンジ2064の下端部に設けられる開口に勘合するプランジャ2065を備える。また、サンプル分注ユニット206は、サンプル分注プローブ205、チューブ2063、及びシリンジ2064の各内部に充填される圧力伝達媒体を貯留するタンク2066を備える。
【0042】
また、サンプル分注ユニット206は、タンク2066に貯留された圧力伝達媒体を吸引し、吸引した圧力伝達媒体を洗浄液としてシリンジ2064、及びチューブ2063を経由してサンプル分注プローブ205内に供給する洗浄ポンプ2067を備える。また、サンプル分注ユニット206は、シリンジ2064と洗浄ポンプ2067との間を連通する流路を開閉する開閉弁2068を備える。開閉弁2068は、例えば電磁弁である。
【0043】
試料を分注する際、シリンジ2064と洗浄ポンプ2067との間の流路は、制御回路8により制御される開閉弁2068により閉鎖される。制御回路8の制御により開閉弁2068が正常に閉鎖されると、電気的に正しく開かれたことを確認するための、フィードバック信号が開閉弁2068から制御回路8へ出力される。駆動機構4がプランジャ2065を矢印L1方向へ吸引駆動することにより、サンプル分注プローブ205は、サンプル吸引位置2432で試料容器100内の試料を吸引する。また、駆動機構4がプランジャ2065を矢印L2方向へ吐出駆動することにより、サンプル分注プローブ205は、サンプル吐出位置2013に位置する反応管2011内へ試料を吐出する。
【0044】
同一試料の分注が終了したとき、又は試料の分注が異常であると判定されたとき、シリンジ2064と洗浄ポンプ2067との間の流路は、制御回路8により制御される開閉弁2068により開放される。制御回路8の制御により開閉弁2068が正常に開放されると、電気的なフィードバック信号が開閉弁2068から制御回路8へ出力される。洗浄ポンプ2067は、駆動機構4により駆動され、サンプル分注プローブ205内へ洗浄液を供給する。
【0045】
図4に示される圧力検出器2061は、一端がサンプル分注ユニット206のチューブ2063に接続される。圧力検出器2061は、圧力センサ20611、アンプ20612、及びA/D変換器20613を備える。圧力センサ20611は、サンプル分注プローブ205内の圧力を大気の圧力を基準として測定する。圧力センサ20611は、測定した圧力に基づく信号をアンプ20612へ出力する。アンプ20612は、圧力センサ20611から出力される信号を増幅し、A/D変換器20613へ出力する。A/D変換器20613は、アンプ20612で増幅された信号をデジタル信号に変換する。圧力検出器2061は、デジタル信号を制御回路8へ出力する。
【0046】
圧力検出器2061は、サンプル分注プローブ205により試料の吸引が行われているとき、即ちサンプル分注ユニット206により吸引動作が行われているときのサンプル分注プローブ205内の大気圧よりも低い吸引圧を検出する。また、圧力検出器2061は、サンプル分注プローブ205により試料の吐出が行われているとき、即ちサンプル分注ユニット206により吐出動作が行われているときのサンプル分注プローブ205内の大気圧よりも高い吐出圧を検出する。また、圧力検出器2061は、サンプル分注ユニット206の洗浄ポンプ2067により洗浄液の供給動作が行われているときのサンプル分注プローブ205内の大気圧よりも高い洗浄圧を検出する。
【0047】
第1試薬分注アーム216は、反応ディスク201とサンプリングレーン243との間に、鉛直方向には上下動自在に水平方向には回動自在に設けられている。第1試薬分注アーム216は、一端に第1試薬分注プローブ217を保持する。第1試薬分注アーム216は、駆動機構4によって回動される。第1試薬分注アーム216が回動されることにより、第1試薬分注プローブ217は、円弧状の回動軌道に沿って回動される。この回動軌道上には、第1試薬分注プローブ217が、試薬庫202の外円2021上に配置される試薬容器から各検査項目に対応する第1試薬を吸引する試薬吸引位置と、吸引した第1試薬を反応管2011へ吐出する第1試薬吐出位置2015とが設定されている。第1試薬分注プローブ217の回動軌跡は、試薬庫202の外円2021上に配置される試薬容器(の試薬吸引口)の移動軌跡、反応ディスク201に保持されている反応管2011の移動軌跡それぞれと交差している。それぞれの移動軌跡との交差点が、試薬吸引位置、第1試薬吐出位置2015である。
【0048】
第1試薬分注プローブ217は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の試薬吸引位置、及び第1試薬吐出位置2015において上下方向に移動する。また、第1試薬分注プローブ217は、制御回路8の制御に従い、回動軌道上の試薬吸引位置に位置する試薬容器101から第1試薬を吸引する。また、第1試薬分注プローブ217は、制御回路8の制御に従い、吸引した第1試薬を、第1試薬吐出位置2015に位置する反応管2011へ吐出する。
【0049】
第1試薬分注ユニット218及び圧力検出器2181の構成及び機能については、サンプル分注ユニット206と同様である。
【0050】
第2試薬分注アーム219は、試薬庫202とラック投入ユニット230との間に、鉛直方向には上下動自在に水平方向には回動自在に設けられている。第2試薬分注アーム219は、一端に第2試薬分注プローブ220を保持する。第2試薬分注アーム219は、駆動機構4によって回動される。第2試薬分注アーム219が回動されることにより、第2試薬分注プローブ220は、円弧状の回動軌道に沿って回動される。この回動軌道上には、第2試薬分注プローブ220が、試薬庫202の内円2022上に配置される試薬容器101から各検査項目に対応する第2試薬を吸引する試薬吸引位置と、吸引した第2試薬を反応管2011へ吐出する第2試薬吐出位置2017とが設定されている。第2試薬分注プローブ220の回動軌跡は、試薬庫202の内円2022上に配置される試薬容器(の試薬吸引口)の移動軌跡、反応ディスク201に保持されている反応管2011の移動軌跡それぞれと交差している。それぞれの移動軌跡との交差点が、試薬吸引位置、第2試薬吐出位置2017である。
【0051】
第2試薬分注プローブ220は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の試薬吸引位置、及び第2試薬吐出位置2017において上下方向に移動する。また、第2試薬分注プローブ220は、制御回路8の制御に従い、回動軌道上の試薬吸引位置に位置する試薬容器101から第2試薬を吸引する。また、第2試薬分注プローブ220は、制御回路8の制御に従い、吸引した第2試薬を、第2試薬吐出位置2017に位置する反応管2011へ吐出する。
【0052】
第2試薬分注ユニット221及び圧力検出器2211の構成及び機能については、サンプル分注ユニット206と同様である。
【0053】
第1撹拌ユニット222、及び第2撹拌ユニット223は、撹拌アーム、及び撹拌子をそれぞれ有する。撹拌アームは、先端近傍に、回動可能、かつ、上下動可能に撹拌子を支持する。第1撹拌ユニット222は、制御回路8の制御に従い、反応ディスク201における撹拌位置に位置する反応管2011へ撹拌子を移動させ、撹拌子により反応管2011内で試料及び第1試薬を混合した混合液、すなわち第1薬分注後の反応管2011内の混合液を撹拌する。第2撹拌ユニット223は、制御回路8の制御に従い、反応ディスク201における撹拌位置に位置する反応管2011へ撹拌子を移動させ、撹拌子により反応管2011内で試料、第1試薬、及び第2試薬を混合した混合液、すなわち第2試薬分注後の反応管2011内の混合液を撹拌する。
【0054】
また、図2及び図3に示される分析機構2は、測光ユニット224、洗浄ユニット225、及び電解質測定ユニット226を備える。
測光ユニット224は、反応管2011内に吐出された試料及び試薬の混合液等に光を照射し、当該混合液等を通過した光を光学的に測定する。測光ユニット224は、光源、及び光検出器を有する。測光ユニット224は、制御回路8の制御に従い、光源から反応管2011へ光を照射する。光検出器は、反応管2011内の標準試料と試薬との混合液、又は被検試料と試薬との混合液を通過した光を検出する。光検出器は、検出した光の強度に基づいて例えば吸光度で表される標準データ又は被検データを生成する。測光ユニット224は、生成した標準データ及び被検データを、解析回路3へ出力する。
【0055】
洗浄ユニット225は、廃液ノズル、洗浄ノズル、及び乾燥ノズルを備える。洗浄ユニット225は、廃液ノズルにより、反応管洗浄位置に位置する反応管2011内の混合液を廃液として吸引する。洗浄ユニット225は、洗浄ノズルにより、反応管洗浄位置に位置する反応管2011へ洗浄液を吐出し、反応管2011を洗浄する。洗浄ユニット225は、乾燥ノズルにより、反応管2011へ乾燥空気を供給することで、洗浄液により洗浄された反応管2011を乾燥させる。
【0056】
電解質測定ユニット226は、反応管2011内の混合液中に存在する特定電解質の測定を行う。電解質測定ユニット226は、例えば特定電解質から発生するイオン濃度を測定する。
【0057】
本実施形態に係る制御回路8は、記憶回路7から読み出した動作プログラムを実行することで、図1に示される各種機能を実現する。すなわち、制御回路8は、システム制御機能81、エラー監視機能82、滞留判定機能83、表示制御機能84、及び排出管理機能85を備える。なお、本実施形態では、単一のプロセッサによってシステム制御機能81、エラー監視機能82、滞留判定機能83、表示制御機能84、及び排出管理機能85が実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて制御回路を構成し、各プロセッサが動作プログラムを実行することによりシステム制御機能81、エラー監視機能82、滞留判定機能83、表示制御機能84、及び排出管理機能85を実現しても構わない。
【0058】
システム制御機能81は、入力インタフェース回路5から入力される入力情報に基づき、自動分析装置1における各部を統括して制御する機能である。
【0059】
エラー監視機能82は、自動分析装置1が備える各分析ユニットの状態を監視し、所定のエラーが発生したと判定した場合、発生したエラーに関する情報を、記憶回路7に記憶されるエラー履歴情報テーブルに登録する機能である。
【0060】
エラー履歴情報テーブルは、発生したエラーに関する情報を登録するためのテーブルであり、例えば自動分析装置1のスタートアップ時からシャットダウン時までに発生したエラーの履歴が登録される。
【0061】
エラー履歴情報テーブルには、例えば、発生時刻、エラー名称、及び動作条件等を示す情報が含まれる。発生時刻は、エラーが発生した時刻である。エラー名称は、エラーの種別の例であり、自動分析装置1で認識されるエラーを一意に識別するための名称である。動作条件は、自動分析装置1において所定のエラーが発生した時に、自動分析装置1に設定されていた各種パラメータ及びエラー発生部位の状態に関する情報等である。各種パラメータは、自動分析装置1における測定の際に実行される分注等の動作を実現するための制御パラメータである。エラー発生部位の状態に関する情報は、エラーが発生した時の、エラー発生部位おける定量的に検知可能な各種状態、例えばサンプル分注プローブ205内の圧力等を表す情報である。
【0062】
なお、エラー履歴情報テーブルには、自動分析装置1における所定のエラーが発生する毎に、制御回路8の制御の下、発生したエラーに関する情報が登録される。
【0063】
エラー監視機能82が実行されると、制御回路8は、圧力検出器2061により検出されるサンプル分注プローブ205内の大気圧に対する圧力の情報とに基づき、サンプル分注プローブ205の詰まりに関するエラーが発生しているか否かを判定する。具体的には、制御回路8は、吸引動作の際の検出値が、予め設定される吸引圧よりも低い場合、サンプル分注プローブ205の詰まりに関するエラーが発生していると判定する。
【0064】
また、制御回路8は、吐出動作の際の検出値が、予め設定される吐出圧よりも高い場合、サンプル分注プローブ205の詰まりに関するエラーが発生していると判定する。また、制御回路8は、圧力検出器2061により検出されるサンプル分注プローブ205内の大気圧に対する圧力の情報とに基づき、サンプル分注プローブ205の空吸いに関するエラーが発生しているか否かを判定する。具体的には、制御回路8は、吸引動作の際の検出値が、予め設定される吸引圧よりも高い場合、サンプル分注プローブ205の空吸いに関するエラーが発生していると判定する。また、制御回路8は、リーダ245からの読取り失敗の旨の通知の有無によって、試料IDの読取りに関するエラーが発生したか否かを判定する。具体的には、制御回路8は、リーダ245から読取り失敗の旨が通知された場合、試料IDの読取りに関するエラーが発生したと判定する。制御回路8は、所定のエラーが発生していると判定した場合、当該エラーに関する情報を記憶回路7に記憶されるエラー履歴情報テーブルに登録する。
【0065】
滞留判定機能83は、所定のエラーを発生させた試料を収容する試料容器100を保持するサンプルラック102を滞留させるか否か判定する機能である。具体的には、滞留判定機能83が実行されると、制御回路8は、例えば記憶回路7に記憶されるエラー履歴情報テーブル及びエラー対応テーブルを参照する。
【0066】
エラー対応テーブルは、発生したエラーの種別毎に当該エラーを発生させた試料を収容する試料容器100を保持するサンプルラック102をバッファレーン244に滞留させるか否かを示す情報を登録するテーブルである。
【0067】
エラー対応テーブルには、例えばエラー名称、エラー区分、及び滞留要否等を示す情報が含まれる。エラー名称は、エラー履歴情報テーブルのエラー名称と同様の名称である。エラー区分は、エラーの種別の例であり、エラーの性質及び属性等により複数のエラー名称を1つの集合として識別するための名称である。滞留要否は、所定のエラーを発生させた試料を収容する試料容器100を保持するサンプルラック102をバッファレーン244に滞留させる必要があるか否かを示すフラグである。
【0068】
エラー対応テーブルに含まれるエラー名称、エラー区分、及び滞留要否等に関する情報は、予め登録されている。なお、所定のエラーを発生させた試料を収容する試料容器100を保持するサンプルラック102をバッファレーン244に滞留させるか否かを示す情報を登録する処理は、入力インタフェース回路5を介して行われてもよい。また、滞留させる対象と判断されるエラーの具体例としては、例えば、サンプル分注プローブ205の詰まりに関するエラー、サンプル分注プローブ205の空吸いに関するエラー、及び試料IDの読取りに関するエラー等の試料に起因するエラーが挙げられる。これら試料に起因するエラーは、例えば装置起因で発生する重大なエラーとは異なり、エラー発生時に自動分析装置の測定動作を停止する必要がないエラーである。試料に起因するエラーが発生した場合、操作者は、試料に起因するエラーを発生させた試料を収容する試料容器100を保持するサンプルラック102を自動分析装置1から取り出し、バーコードラベルの貼り直し又は詰まりの原因物質の除去等の然るべき処置を行った上で、自動分析装置1に投入し直す。
【0069】
なお、エラー対応テーブルは、エラー名称及び当該エラー名称に対応する滞留要否の列のみで構成されてもよいし、エラー区分及び当該エラー区分に対応する滞留要否の列のみで構成されてもよい。
【0070】
制御回路8は、判定対象となるサンプルラック102に保持されるすべての試料容器100に係る測定が終了すると、エラー履歴情報テーブルに登録された各種情報及びエラー対応テーブルに登録された各種情報を読み込む。制御回路8は、エラー履歴情報に含まれるエラー名称と、エラー対応テーブルに含まれるエラー名称とを突合し、突合されるエラー名称に対応するエラーを発生させた試料を収容する試料容器100を保持するサンプルラック102を滞留させるか否か判定する。制御回路8は、突合されるエラー名称に対応するエラーを発生させた試料を収容する試料容器100を保持するサンプルラック102を滞留させると判定した場合、駆動機構4を制御し、滞留させると判定されたサンプルラック102を、サンプリングレーン243からバッファレーン244へ移動させる。また、制御回路8は、移動させたサンプルラック102の識別情報及び当該サンプルラック102の排出先に関する情報を排出管理テーブルに登録する。
【0071】
排出管理テーブルは、バッファレーン244に移動されたサンプルラック102の識別情報及び当該サンプルラック102の排出先に関する情報を記憶するテーブルである。
【0072】
排出管理テーブルには、例えば、ラックID、試料ID、エラー名称、排出先、及び排出可否等を示す情報が含まれる。ラックIDは、サンプルラック102を一意に識別するためのIDである。試料IDは、試料容器100(試料)を一意に識別するためのIDである。エラー名称は、エラー履歴情報テーブルのエラー名称と同様の名称である。排出先は、バッファレーン244に滞留されたサンプルラック102の排出先を示す情報である。排出可否は、排出先にサンプルラック102を排出可能であるか否かを示す情報である。以下、サンプルラック102の識別情報は、ラックID、試料ID、及びエラー名称を含み、サンプルラック102の排出先に関する情報は、排出先及び排出可否を含むものとして説明する。
【0073】
排出管理テーブルには、自動分析装置1における所定のエラーが発生する毎に、制御回路8の制御の下、当該エラーを発生させた試料を収容する試料容器100を保持するサンプルラック102に対応するラックID、試料ID、エラー名称、排出先、及び排出可否等を示す情報が登録される。このとき、排出先及び排出可否には、所定の初期値が登録される。
【0074】
なお、制御回路8は、エラー履歴情報に含まれるエラー名称に対応するエラー区分を所定のテーブルから読出し、読出したエラー区分と、エラー対応テーブルに含まれるエラー区分とを突合し、突合されるエラー区分に対応するエラーを発生させた試料を収容する試料容器100を保持するサンプルラック102を滞留させるか否かを判定するようにしてもよい。
【0075】
表示制御機能84は、表示回路6を制御し、バッファレーン244に滞留されたサンプルラック102の識別情報及び当該サンプルラック102の排出先に関する情報を表示する機能である。表示制御機能84が実行されると、制御回路8は、バッファレーン244に滞留されたサンプルラック102の識別情報及び当該サンプルラック102の排出先に関する情報を所定の表示形式に変換して表示回路6に表示させる。
【0076】
排出管理機能85は、サンプルラック102の排出に関する所定の入力指示に従い、サンプルラック102の排出に関する動作を制御する機能である。制御回路8は、サンプルラック102の排出に関する所定の指示が入力されると、排出管理機能85を実行する。所定の指示は、操作者が所定のエラーを発生させた試料を収容する試料容器100を保持するサンプルラック102を取り出して試料等の状態を確認するタイミングで入力される。制御回路8は、サンプルラック102の排出に関する所定の入力がされた場合、サンプルラック検知センサ253、254、及び262を制御し、第1回収レーン251、第2回収レーン252、及びSTATラック投入レーン261へサンプルラック102を排出可能であるか否か判定する。制御回路8は、各排出先の判定結果を用いて、排出管理テーブルに登録されたレコードの各排出先に対応する排出可否の値を更新(変更)する。制御回路8は、入力インタフェース回路5を介して、操作者からバッファレーン244に滞留されたサンプルラック102の識別情報及び当該サンプルラック102の排出先に関する情報の表示指示があった場合、表示回路6を制御し、排出管理テーブルに登録されるサンプルラック102の識別情報及び当該サンプルラック102の排出先に関する情報を表示する。制御回路8は、入力インタフェース回路5を介して、操作者から所定のサンプルラック102に対する排出先の変更指示があった場合、排出管理テーブルにおいて、変更指示があったサンプルラック102に対応する排出先の値を更新(変更)する。制御回路8は、入力インタフェース回路5を介して、操作者から所定のサンプルラック102に対する排出指示があった場合、指定された排出先へ排出指示されたサンプルラック102を移動させる。
【0077】
以上のように構成された自動分析装置1によるサンプルラック102の滞留判定の流れを、図5に示される制御回路8の処理手順に従い説明する。図5は、本実施形態に係る制御回路8によるサンプルラック102の滞留判定の流れの例を表すフローチャートである。以下、制御回路8は、滞留判定をサンプルラック102単位で実行するものとして説明する。すなわち、制御回路8は、滞留判定を行う前に、判定対象となるサンプルラック102に保持される全ての試料容器100に対する測定を実行し、エラーが発生した時点では当該発生エラーに基づいた滞留判定を行わない。なお、記憶回路7に記憶されるエラー履歴情報テーブルには、自動分析装置1が備える各分析ユニットにおいて所定のエラーが発生する度に、発生したエラーに関する情報が登録される。
【0078】
また、記憶回路7には、エラー対応テーブルが予め記憶されている。図6は、本実施形態に係るエラー対応テーブルの一例を示す図である。図6に示されるように、エラー対応テーブルには、例えば、エラー名称として、サンプル分注プローブ205の詰まりに関するエラーを示す「詰まりエラー」、サンプル分注プローブ205の空吸いに関するエラーを示す「空吸いエラー」、及び試料IDの読取りに関するエラーを示す「試料ID読取りエラー」等が設定される。また、図6に示されるように、エラー対応テーブルには、例えば「詰まりエラー」、「空吸いエラー」、及び「試料ID読取りエラー」を一つのグループとしてエラー区分「0001」が設定される。また、図6に示されるように、エラー対応テーブルには、例えば「詰まりエラー」、「空吸いエラー」、及び「試料ID読取りエラー」のそれぞれについて、滞留する対象であることを意味する値「1」が設定される。なお、設定される値が「0」の場合は、滞留する対象でない、すなわち、操作者が、所定のエラーを発生させた試料を収容する試料容器100を保持するサンプルラック102を取り出して試料等の状況を確認する必要のないエラーであることを意味するものとする。
【0079】
また、エラー対応テーブルに含まれるエラー名称、当該エラー名称に対応するエラー区分、及び当該エラー名称に対応する滞留要否等に関する情報は、入力インタフェース回路5を介して予め登録される。
【0080】
まず、制御回路8は、判定対象となるサンプルラック102に保持されるすべての試料容器100に係る測定が終了すると、図5に示されるように、滞留判定機能83を実行する。滞留判定機能83の実行により制御回路8は、エラー履歴情報テーブルに登録された発生時刻、エラー名称、及び動作条件等の情報及びエラー対応テーブルに登録されたエラー名称、エラー区分、及び滞留要否等の情報を読み込む(ステップSA1)。
【0081】
制御回路8は、エラー履歴情報テーブルに記憶されたエラー名称とエラー対応テーブルに記憶されたエラー名称を突合し、当該エラーを発生させた試料を収容する試料容器100を保持するサンプルラック102を滞留させるか否かを判定する(ステップSA2)。例えば、制御回路8は、エラー履歴情報テーブルに記憶されたエラー名称が「詰まりエラー」であった場合、図6に示されるエラー対応テーブルにおいて突合されたエラー名称「詰まりエラー」に対応する滞留要否の値が「1」であるため、滞留判定の対象となるサンプルラック102を滞留させると判定する。また、制御回路8は、エラー履歴情報テーブルに記憶されたエラー名称が「空吸いエラー」であった場合、図6に示されるエラー対応テーブルにおいて突合されたエラー名称「空吸いエラー」に対応する滞留要否の値が「1」であるため、滞留判定の対象となるサンプルラック102を滞留させると判定する。また、制御回路8は、エラー履歴情報テーブルに記憶されたエラー名称が「試料ID読み取りエラー」であった場合、図6に示されるエラー対応テーブルにおいて突合されたエラー名称「試料ID読み取りエラー」に対応する滞留要否の値が「1」であるため、滞留判定の対象となるサンプルラック102を滞留させると判定する。なお、制御回路8は、エラー履歴情報テーブルに記憶されたエラー名称と突合された、エラー履歴情報テーブルに記憶されたエラー名称に対応する滞留要否の値が「0」であった場合、滞留判定の対象となるサンプルラック102を滞留しないと判定する。
【0082】
制御回路8は、突合したエラー名称に対応するエラーを発生させた試料を収容する試料容器100を保持するサンプルラック102を滞留させると判定した場合(ステップSA2のYes)、駆動機構4を制御し、滞留させると判定したサンプルラック102を、サンプリングレーン243からバッファレーン244へ移動させる。制御回路8は、滞留させると判定したサンプルラック102の識別情報及び当該サンプルラック102の排出先に関する情報を記憶回路7の排出管理テーブルへ登録する(ステップSA3)。
【0083】
図7は、本実施形態に係る排出管理テーブルの一例を示す図である。図7に示されるように、排出管理テーブルには、例えばラックID、試料ID、エラー名称、排出先、及び排出可否の各項目に対し、「0001」、「00000001」、「詰まりエラー」、初期値としてSTATラック投入レーン261を示す「STAT」、及び初期値として排出先に排出不可能であることを示す「1」が登録される。また、図7に示されるように、排出管理テーブルには、例えばラックID、試料ID、エラー名称、排出先、及び排出可否の各項目に対し、「0002」、「00000002」、「空吸いエラー」、初期値として第1回収レーン251を示す「回収ストッカ1」、及び初期値として排出先に排出不可能であることを示す「1」が登録される。また、図7に示されるように、排出管理テーブルには、例えばラックID、試料ID、エラー名称、排出先、及び排出可否の各項目に対し、「0003」、「00000003」、「試料ID読み取りエラー」、初期値として第2回収レーン252を示す「回収ストッカ2」、及び初期値として排出先に排出不可能であることを示す「1」が登録される。
【0084】
滞留判定機能83の実行により制御回路8は、突合したエラー名称に対応するエラーを発生させた試料を収容する試料容器100を保持するサンプルラック102を滞留しないと判定した場合(ステップSA2のNo)、駆動機構4を制御し、滞留しないと判定したサンプルラック102をサンプリングレーン243上のラック回収ユニット250へ移動可能な搬出位置から第1回収レーン251又は第2回収レーン252へ移動させる(ステップSA4)。
【0085】
次に、自動分析装置1による排出管理に係る動作を、図8に示される制御回路8の処理手順に従い説明する。図8は、本実施形態に係る制御回路8による排出管理に係る動作の例を表すフローチャートである。図9は、表示回路6が表示するラック取り出しアイコンの表示例を示す図である。
【0086】
図8に示されるように、まず、制御回路8は、測定動作中に、排出管理機能85を実行する。排出管理機能85の実行により制御回路8は、図9に示されるラック取り出しアイコンI1が、例えば入力インタフェース回路5が備えるマウス等を介して押下されるまで待機する(ステップSB1)。ラック取り出しアイコンI1は、図9に示される、例えば表示回路6が表示する初期画面の一部として表示されるメニュー選択領域A1に含まれ、排出管理テーブルに記憶されるサンプルラック102の識別情報及び当該サンプルラック102の排出先に関する情報の表示を指示可能なアイコンである。
【0087】
排出管理機能85の実行により制御回路8は、入力インタフェース回路5が備えるマウス等の操作を介してラック取り出しアイコンI1が占める範囲の任意の位置が指定されると(ステップSB1のYes)、自動分析装置1における各排出先の排出可否を判定する(ステップSB2)。具体的には、制御回路8は、サンプルラック検知センサ253、254、及び262に対し、サンプルラック102の有無の検知の開始を指示する。制御回路8は、サンプルラック検知センサ253及び254から出力される応答信号の数に基づいて、第1回収レーン251又は第2回収レーン252に対しサンプルラック102を排出可能であるか否かを判定する。また、制御回路8は、サンプルラック検知センサ262から出力される電気信号に含まれる反射光の強度に基づいて、STATラック投入レーン261に対しサンプルラック102を排出可能であるか否かを判定する。制御回路8は、各判定結果に基づいて、排出管理テーブルの排出可否を更新する。例えば、制御回路8は、排出先である第1回収レーン251から出力される応答信号の数が所定の数より多い場合、排出が不可能であると判定し、排出管理テーブル上で、排出先が第1回収レーン251であるレコードに対応する排出可否の値を、排出先に排出不可能であることを示す「1」に更新する。また、制御回路8は、排出先である第2回収レーン252から出力される応答信号の数が所定の数以下の場合、排出が可能であると判定し、排出管理テーブル上で、排出先が第2回収レーン252であるレコードに対応する排出可否の値を、排出先に排出可能であることを示す「0」に更新する。また、制御回路8は、サンプルラック検知センサ262から出力される電気信号に含まれる反射光の強度が所定の値以下である場合、排出可能であると判定し、排出管理テーブル上で、排出先がSTATラック投入レーン261であるレコードに対応する排出可否の値を、排出先に排出可能であることを示す「0」に更新する。
【0088】
制御回路8は、排出管理テーブルを更新した後、表示制御機能84を実行する。表示制御機能84の実行により制御回路8は、表示回路6を制御し、排出可否の判定結果が反映された、排出管理テーブルに記憶されるサンプルラック102の識別情報及び当該サンプルラック102の排出先に関する情報を表示する(ステップSB3)。図10は、本実施形態に係る表示回路6が表示するサンプルラック102に係る情報の表示例を表す図である。図10に示される表示回路6に表示される画面は、排出指示受付領域A2、及びラックID毎に排出先を選択可能な排出先選択アイコンI2を備える。排出指示受付領域A2は、図10に示される表示回路6が表示する画面の一部を構成し、排出管理テーブルに記憶されるサンプルラック102の識別情報及び当該サンプルラック102の排出先に関する情報が表示される領域である。制御回路8は、入力インタフェース回路5が備えるマウス等の操作を介し、排出指示受付領域A2が占める範囲の任意の位置が指定されることにより、図10に示される表示回路6が表示する画面上に所定の確認画面が重畳表示される。排出先選択アイコンI2は、図10に示される排出指示受付領域A2に含まれ、バッファレーン244に滞留されたサンプルラック102の排出先の選択を指示可能なアイコンである。制御回路8は、入力インタフェース回路5が備えるマウス等の操作を介し、例えばラックID「0001」のサンプルラック102に対応する排出先選択アイコンI2が占める範囲の任意の位置が指定されることにより、エラー名称又はエラー区分毎に予め設定される選択可能な複数のサンプルラック102の排出先、例えば「STAT」、「回収ストッカ1」、及び「回収ストッカ2」が表示される。
【0089】
なお、排出指示受付領域A2には、最も左の列に「ラックID」の値が表示される。「ラックID」の右の列には、「試料ID」の値が表示され、さらに右の列に「エラー名称」の値が表示される。これにより、操作者は、排出単位であるサンプルラック毎に、排出先の選択及び排出指示を行うことが容易となる。
【0090】
制御回路8は、排出管理機能85を実行する。排出管理機能85の実行により制御回路8は、入力インタフェース回路5を介し、バッファレーン244に滞留されるサンプルラック102について、操作者から排出先の選択及び排出指示を受け付ける。例えば、制御回路8は、表示回路6を制御し、図10に示されるような画面を表示し、入力インタフェース回路5を介して、操作者から排出先の選択及び排出指示を受け付ける(ステップSB4)。このとき、操作者は、入力インタフェース回路5を介し、バッファレーン244に滞留されたサンプルラック102のうち、例えば再検査のために然るべき処置が必要なサンプルラック102について、図10に示される、例えばラックID「0001」に対応する排出先選択アイコンI2が占める任意の位置を指定することにより、ラックID「0001」のサンプルラック102の排出先を選択することができる。また、操作者は、図10に示される、例えば排出指示受付領域A2のうちラックID「0001」に対応する領域の任意の位置を入力インタフェース回路5が備えるマウス等を用いて指定することにより、ラックID「0001」のサンプルラック102について排出指示を行うことが可能となる。
【0091】
排出管理機能85の実行により制御回路8は、図10に示される画面において領域F2のうち、例えばラックID「0001」のサンプルラック102に対応する、図11に示される排出先選択アイコンI2が占める範囲を除く部分的な表示領域A21の範囲の任意の位置が指定されると(ステップSB4のYes)、排出管理テーブルを参照し、選択されたラックID「0001」サンプルラック102の排出先が排出可能であるか否か判定する(ステップSB5)。
【0092】
排出管理機能85の実行により制御回路8は、選択されたラックID「0001」のサンプルラック102の排出先「STAT」に排出可能であると判定し(ステップSB5のYes)、表示制御機能84を実行する。表示制御機能84の実行により制御回路8は、図11に示されるように、選択されたラックID「0001」のサンプルラック102を「STAT」へ排出する旨の指示の確定を受け付ける確認画面を表示する(ステップSB6)。確認画面には、排出処理を確定するための「はい」と表示されるアイコン及び排出処理をキャンセルするための「いいえ」と表示されるアイコンが含まれる。
【0093】
排出管理機能85の実行により制御回路8は、排出処理を確定するための確認画面を表示した後、入力インタフェース回路5を介して、操作者から排出処理を確定する指示があるまで待機する(ステップSB8)。
【0094】
排出管理機能85の実行により制御回路8は、入力インタフェース回路5を介して、操作者から排出処理を確定する指示を受け付けると(ステップSB8のYes)、駆動機構4を制御し、当該指示の対象となるサンプルラック102を指定された排出先へ排出する(ステップSB9)。例えば、制御回路8は、図11に示される「はい」と表示されるアイコンが占める範囲の任意の位置が指定されると、駆動機構4を制御し、ラックID「0001」のサンプルラック102を排出先「STAT」、すなわちSTATラック投入レーン261へ排出する。このとき、制御回路8は、排出管理テーブルにおいて、ラックID「0001」に関する情報を表示回路6の表示対象から除外するように、例えば排出管理テーブルに予め設定される非表示フラグ項目の値の更新を行う。
【0095】
また、排出管理機能85の実行により制御回路8は、ステップSB4において、図10に示される画面において、排出指示受付領域A2のうち、例えばラックID「0002」のサンプルラック102に対応する、図11に示される排出先選択アイコンI2が占める範囲を除く部分的な表示領域A22の範囲の任意の位置が指定されると(ステップSB4のYes)、排出管理テーブルを参照し、選択されたラックID「0002」のサンプルラック102の排出先が排出可能であるか否か判定する(ステップSB5)。
【0096】
排出管理機能85の実行により制御回路8は、選択されたラックID「0002」のサンプルラック102の排出先「回収ストッカ1」に排出不可能であると判定し(ステップSB5のNo)、表示制御機能84を実行する。表示制御機能84の実行により制御回路8は、図12に示されるように、ラックID「0002」のサンプルラック102が排出先「回収ストッカ1」、すなわち第1回収レーン251へ排出できない旨を表すポップアップを表示する(ステップSB7)。
【0097】
以上のように、第1の実施形態では、自動分析装置1に設けられる制御回路8は、所定のエラーを発生させた試料を収容する試料容器100を保持するサンプルラック102を所定の滞留エリアであるバッファレーン244に滞留させるか否かを判定する。制御回路8は、駆動機構4を制御し、バッファレーン244に滞留させると判定されたサンプルラック102をバッファレーン244へ移動させる。これにより、サンプルラック102を予め設定された最終的な排出先へ排出させずに、バッファレーン244に滞留することができる。また、操作者は、バッファレーン244に滞留されたサンプルラック102に対して排出先及び排出時点等を後から指定し、指定したサンプルラック102を指定した排出先へ排出することができる。
【0098】
したがって、操作者が所望の試料容器を保持するサンプルラックを取得する際の負担を軽減することが可能となる。
【0099】
また、第1の実施形態では、制御回路8は、表示回路6を制御し、バッファレーン244に滞留されたサンプルラックの識別情報及び当該サンプルラック102に対し予め設定される排出先を表示する。制御回路8は、表示回路6により表示される識別情報により識別されるサンプルラック102に対する排出指示が入力されると、駆動機構4を制御し、排出指示の対象となったサンプルラック102を予め設定される排出先へ排出する。これにより、操作者は、所定の滞留エリアに滞留されたサンプルラック102の識別情報及び当該サンプルラック102に対し予め設定される排出先を確認した上で、サンプルラック102を排出先へ移動させることが可能となる。
【0100】
また、第1の実施形態では、制御回路8は、識別情報により識別されるサンプルラック102を所定の排出先へ排出する旨の指示が入力されると、表示回路6を制御し、バッファレーン244へ移動されたサンプルラック102を所定の排出先へ排出する旨の指示の確定を受け付ける確認画面を表示する。これにより、人為的ミスにより排出を意図していないサンプルラック102を所定の排出先へ排出する旨の指示が入力された場合に、当該サンプルラック102がそのまま排出されてしまうことを防止することが可能となる。
【0101】
また、第1の実施形態では、制御回路8は、バッファレーン244に滞留されたサンプルラック102の識別情報及び当該サンプルラック102に対し予め設定される排出先を記憶回路7に記憶される排出管理テーブルに登録する。制御回路8は、排出指示受付領域A2に表示される排出先に対する変更指示が入力されると、表示回路6を制御し、変更指示の対象となるサンプルラック102に対し予め定められた複数の排出先の候補を表示する。制御回路8は、表示された複数の排出先の候補のうちの1つの排出先を選択する旨の指示が入力されると、記憶回路7に記憶される排出管理テーブルに登録された変更指示の対象となるサンプルラック102の排出先を選択された排出先に変更する。これにより、操作者は、各排出先の混雑状況を目視で確認しながら、排出する前に排出先の変更を行うことが可能となる。
【0102】
また、第1の実施形態では、制御回路8は、バッファレーン244に滞留されたサンプルラック102の識別情報及び当該識別情報により識別されるサンプルラック102に予め設定された排出先を表示する旨の指示が入力されると、表示回路6を制御し、当該識別情報及び排出先を表示する。これにより、操作者は、どのサンプルラック102が、どのようなエラーが原因で滞留エリアに滞留されているかを認識することが可能となる。
【0103】
また、第1の実施形態では、制御回路8は、バッファレーン244に滞留されたサンプルラック102の識別情報及び排出先を表示する旨の指示が入力されると、当該排出先の排出可否を判定する。制御回路8は、排出可否の判定後、排出管理テーブルにおいて、各排出先に対応する排出可否を判定で取得された結果により更新する。制御回路8は、排出可否の更新後、表示回路6を制御し、サンプルラック102の識別情報、排出先、及び排出可否の判定結果を表示する。これにより、操作者は、どのサンプルラック102が、どのようなエラーが原因で滞留エリアに滞留されているか、かつ、サンプルラック102に対して予め設定された排出先の排出可否を認識することが可能となる。
【0104】
また、第1の実施形態では、突合されるエラーの種別は、エラー名称を用いてもよいし、エラー区分を用いてもよい。これにより、操作者のニーズに合わせたエラー対応テーブルの設定を行うことが可能となる。
【0105】
また、第1の実施形態では、制御回路8は、表示回路6を制御し、バッファレーン244へ移動されたサンプルラック102の識別情報及び前記識別情報により識別されるサンプルラック102に対し予め設定される排出先を表示し、表示される識別情報により識別されるサンプルラック102に対する排出指示を受け付ける、排出指示受付領域A2を表示する。これにより、操作者は、どのサンプルラック102が、どのようなエラーが原因で滞留エリアに滞留されているか認識した上で、所望のサンプルラック102を排出する旨の指示を出すことが可能となる。
【0106】
また、第1の実施形態では、制御回路8は、表示回路6を制御し、排出指示受付領域A2内に表示される排出先に対する変更指示を受け付ける排出先選択アイコンI2を表示する。これにより、操作者は、所望の排出先へ変更する指示を出すことが可能となる。
【0107】
また、第1の実施形態では、制御回路8は、表示回路6を制御し、排出指示受付領域A2を表示する旨の指示を受け付ける表示受付アイコンI1を表示する。これにより、操作者は、サンプルラック102の排出の指示を出す前に、どのサンプルラック102が、どのようなエラーが原因で滞留エリアに滞留されているかを認識することが可能となる。
【0108】
また、第1の実施形態では、制御回路8は、表示回路6を制御し、バッファレーン244へ移動されたサンプルラック102を所定の排出先へ排出する旨の指示の確定を受け付ける確認画面を表示する。これにより、人為的ミスにより排出を意図していないサンプルラック102を所定の排出先へ排出する旨の指示が入力された場合に、操作者は、指示をやり直すことが可能となる。
【0109】
[変形例]
上記実施形態では、制御回路8は、滞留判定をサンプルラック102単位で実行し、滞留判定を行う前に、判定対象となるサンプルラック102に保持される全ての試料容器100に対する測定を行う、すなわちエラーが発生した時点で滞留判定を行わないものとした。変形例では、制御回路8は、所定のエラーが発生した時点で、当該エラーを発生させた試料を収容する試料容器100を保持するサンプルラック102を滞留させるか否かの判定を行う。図13は、変形例に係る制御回路8によるサンプルラック102の滞留判定に係る動作の例を表すフローチャートである。以下、変形例に係る自動分析装置1によるサンプルラック102の滞留判定に係る動作を、図13に示される制御回路8の処理手順に従い説明する。
【0110】
図13に示されるように、制御回路8は、自動分析装置1で認識されるエラーが検知されるまで待機する(ステップSC1)。制御回路8は、エラーの発生を、例えば自動分析装置1から標準で出力されるイベントログ等を捕捉することで検知する。
【0111】
制御回路8は、エラーの発生を検知した場合(ステップSC1のYes)、滞留判定機能83を実行する。滞留判定機能83の実行により制御回路8は、エラー対応テーブルを参照し、発生したエラーと、エラー対応テーブルに登録されたエラー名称とを突合し、当該エラーを発生させた試料を収容する試料容器100を保持するサンプルラック102を滞留させるか否かを判定する(ステップSC2)。
【0112】
滞留判定機能83の実行により制御回路8は、突合したエラー名称に対応するエラーを発生させた試料を収容する試料容器100を保持するサンプルラック102を滞留させると判定した場合(ステップSC2のYes)、駆動機構4を制御し、滞留させると判定したサンプルラック102をバッファレーン244へ移動させる。制御回路8は、滞留させると判定したサンプルラック102をバッファレーン244へ移動させる。制御回路8は、滞留させると判定したサンプルラック102の識別情報及び当該サンプルラック102の排出先に関する情報を記憶回路7の排出管理テーブルへ登録する(ステップSC3)。
【0113】
滞留判定機能83の実行により制御回路8は、突合したエラー名称に対応するエラーを発生させたサンプルラック102を滞留しないと判定した場合(ステップSC2のNo)、駆動機構4を制御し、滞留しないと判定したサンプルラック102をサンプリングレーン243上のラック回収ユニット250へ移動可能な搬出位置から第1回収レーン251又は第2回収レーン252へ移動させる(ステップSC4)。
【0114】
以上のように、変形例では、自動分析装置1に設けられる制御回路8は、エラーが発生した時点で、当該のエラーを発生させた試料を収容する試料容器100を保持するサンプルラック102を所定の滞留エリアであるバッファレーン244に滞留させるか否かを判定する。制御回路8は、駆動機構4を制御し、バッファレーン244に滞留させると判定されたサンプルラック102をバッファレーン244へ移動させる。よって、操作者は、所定のエラー発生後に、当該エラー発生させた試料を収容する試料容器100を保持するサンプルラック102がバッファレーン244に移動されたことにより早く気付くことができる。これにより、操作者は、所定のエラーを発生させた試料を収容する試料容器100を保持するサンプルラック102をより早く所定の排出先へ排出させることが可能となる。
【0115】
[他の実施形態]
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。サンプルラック102を滞留させる対象となるエラーは、上記実施形態で説明したものに限られない。例えば、制御回路8は、再検査を要するエラーである、ゴム栓に関するエラー、液面検知エラー、及び、位置ずれエラー等が発生した試料容器100が保持されるサンプルラック102を滞留させる対象としてもよい。ゴム栓に関するエラーは、ゴム栓が付けられた状態の試料容器100に対してサンプル分注プローブ205が下降された場合に発生するエラーである。液面検知エラーは、試料容器100に試料が入っていないことによりサンプル分注プローブ205による液面検知ができないエラーである。位置ずれエラーは、障害物等により吸引の際にサンプル分注プローブ205の試料に対する吸引位置がずれるエラーである。
【0116】
また、表示回路6が表示する画面レイアウトは、図10に示されるような表示方法に限定されない。図14は、他の実施形態に係る表示回路6が表示するサンプルラック102の識別情報及び排出先に関する情報の表示例を表す図である。図14に示されるように、最も左の列に「エラー名称」を表示し、その右の列に、「試料ID」を表示し、さらに右の列に「ラックID」を表示するようにしてもよい。これにより、操作者は、エラーの内容をキーとして見ながら、排出先を選択可能となる。
【0117】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0118】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0119】
1…自動分析装置、2…分析機構、3…解析回路、4…駆動機構、5…入力インタフェース回路、6…表示回路、7…記憶回路、8…制御回路、81…システム制御機能、82…エラー監視機能、83…滞留判定機能、84…表示制御機能、85…排出管理機能、100…試料容器、101…試薬容器、102…サンプルラック、201…反応ディスク、202…試薬庫、204…サンプル分注アーム、205…サンプル分注プローブ、205…サンプル分注プローブ、206…サンプル分注ユニット、206…サンプル分注ユニット、216…第1試薬分注アーム、217…第1試薬分注プローブ、218…第1試薬分注ユニット、219…第2試薬分注アーム、220…第2試薬分注プローブ、221…第2試薬分注ユニット、222…第1撹拌ユニット、223…第2撹拌ユニット、224…測光ユニット、225…洗浄ユニット、226…電解質測定ユニット、230…ラック投入ユニット、231…投入レーン、240…ラック移動ユニット、241…搬送アーム、242…搬送レール、243…サンプリングレーン、244…バッファレーン、245…リーダ、250…ラック回収ユニット、251…第1回収レーン、252…第2回収レーン、253…サンプルラック検知センサ、254…サンプルラック検知センサ、260…STATラック投入ユニット、261…STATラック投入レーン、262…サンプルラック検知センサ、2011…反応管、2012…恒温槽、2013…サンプル吐出位置、2013…サンプル吐出位置、2015…第1試薬吐出位置、2017…第2試薬吐出位置、2021…外円、2022…内円、2061…圧力検出器、2063…チューブ、2064…シリンジ、2065…プランジャ、2066…タンク、2067…洗浄ポンプ、2068…開閉弁、2069…サンプルプローブ洗浄位置、2181…圧力検出器、2211…圧力検出器、2431…ラック搬入位置、2432…サンプル吸引位置、20611…圧力センサ、20612…アンプ、20613…変換器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14