(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
絶縁シートが、(i)アラミドファイブリッドとアラミド短繊維とからなるアラミド紙、(ii)前記アラミド紙と樹脂フィルムとが積層されてなるアラミド−樹脂フィルム積層体、および(iii)前記アラミド紙上に樹脂を溶融押し出しして形成されたシートからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜2のいずれか1項に記載のスロットライナー。
絶縁シートの胴体部内面を、スロット内周面の形状を有する略U字型の加熱した金型に挟んで固定した後に、金型から突出した絶縁シートの端部を引き延ばしながら胴体部に対して略直角となるように外側に折り曲げ、その後に折り曲げた絶縁シートを端部側に設置した金型と前記略U字型の金型の側面部とで挟んで固定して鍔部を形成することを特徴とする、前記胴体部の長手方向の両端部に鍔部を有するスロットライナーの製造方法。
【背景技術】
【0002】
モータや発電機等の回転電機のステータは、内周面の周方向に複数のスロットを有する環状のステータコアと、前記スロットに巻回されたコイルによって構成され、前記ステータコアとコイルとの間には、電気絶縁性を確保するために絶縁シートが挿入されている。
従来、このような絶縁シートには、ポリメタフェニレンイソフタルアミド(以下、メタアラミドと称す)のファイブリッド及び繊維から構成されるアラミド紙(例えば、ノーメックス(登録商標)など)、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム、前記アラミド紙と前記樹脂フィルムとが積層されてなるアラミド−樹脂フィルム積層体、等が使用されている。
一般的に前記絶縁シートは、例えば、実開昭60−162951号公報の第3図に記載されているように、両端部を折り返し、その折り返し部を外側にして略U字型に曲げてスロットライナーが形成され、その後スロットに挿入される。この時、折り返し部がコア材端面から軸方向に突出した状態で存在し、折り返しの先端がコア材端面に接触することで、スロットライナーがスロット軸方向に位置ずれしないように構成されている。
しかし、前記折り返し部はコア材から突出して存在しているため、コイルを挿入、巻回する際に折り返し部が変形や損傷を生じやすく、また、スロット端部のバリ等により破損されやすいという問題がある。
これらの問題を解決するスロットライナーとして、前述の実開昭60−162951号公報には、前記折り返し部をさらに外側に二つ折りにして折り返し部を補強したスロットライナーが提案され、また、特開2010−288405号公報の第4実施例には、補強の目的ではないが、折り曲げ部と胴体部とをプレス等により密着させたスロットライナーが提案されている。
これらの技術ではたしかに折り返し部の変形や破損への耐性は向上するものの、いずれも折り返し部がコア材端面から軸方向に突出している分、コア材の軸方向長さが長くなるため、例えば、ハイブリッド車等の車両の駆動用に用いられる電気モータ等の、限られたスペースに搭載される回転電機としては好ましくなく、より回転電機の小型化に寄与するスロットライナーが所望されていた。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態のスロットライナーについて詳細に説明するが、特にこれに限定されるものではない。
図1は、本発明の好ましい実施形態のスロットライナーの斜視図である。
スロットライナー1は、1枚の絶縁シートから形成され、ステータコアのスロット内面を覆う断面略U字型の胴体部2と、略U字型の軸線方向両端に設けられ外方に向かって伸びる半円形の鍔部3を備えている。本実施形態の鍔部とは、絶縁シートの一端を胴体部2に対して略垂直方向に折り曲げて形成されたフランジ状の部位を意味する。このような鍔部を形成する構造を採用することにより、端部に折り返し部を形成する場合と比較して、ステータコアの軸先方向におけるスロットライナーの長さを短くすることができる。また、折り返し部を鍔部にすることにより、折り返し部で発生する変形や損傷を抑制することができる。
なお、本明細書において「略垂直/略直角」とは、90°±5°であることを意味し、好ましくは90°±3°であり、より好ましくは90°±1°である。
【0008】
図4は、
図1とは異なる本発明の一実施形態のスロットライナー5の斜視図を示しており、このスロットライナー5では、一方の鍔部3に代えて、カフス部8が形成されている。ステータコアに装着されるとき、コイル巻回の際の位置ずれを防止するために、カフス端8aをステータコアの軸方向端面と接触させる。これにより、カフス部8はステータコアから軸方向に突出する分コアの軸方向長さが長くなるものの、スロット側端部からカフス部8を挿入することにより容易にスロット内に嵌入することができる。なお、本明細書において「カフス部」とは、スロットライナー5の胴体部の軸線方向端部に設けられた、「カフス」状に外方に折り曲げられた部分を指す。
図1や
図4に示されているスロットライナーは、ステータコアのスロットに嵌合して使用される。この時、鍔部3がステータコア端面に接触した状態で存在するため、スロットにコイルを巻回する際にスロットライナーの位置ずれを防止することができる。
【0009】
(アラミド)
本発明においてアラミドとは、アミド結合の60%以上が芳香環に直接結合した線状高分子化合物を意味する。このようなアラミドとしては、例えば、ポリメタフェニレンイソフタルアミド及びその共重合体、ポリパラフェニレンテレフタルアミドおよびその共重合体、コポリパラニフェニレン・3,4’−ジフェニルエーテルテレフタルアミドなどが挙げられる。これらのアラミドは、例えば、芳香族酸二塩化物及び芳香族ジアミンとの縮合反応による溶液重合法、二段階界面重合法等により工業的に製造されており、市販品として入手することができるが、これに限定されるものではない。これらのアラミドの中では、ポリメタフェニレンイソフタルアミドが良好な成型加工性、難燃性、耐熱性などの特性を備えている点で好ましく用いられる。
【0010】
(アラミドファイブリッド)
本発明においてアラミドファイブリッドとは、アラミドからなるフィルム状微小粒子で、アラミドパルプと称することもある。製造方法は、例えば特公昭35−11851号、特公昭37−5732号公報等に記載の方法が例示される。アラミドファイブリッドは、通常の木材パルプと同じように抄紙性を有するため、水中分散した後、抄紙機にてシート状に成形することができる。この場合、抄紙に適した品質を保つ目的でいわゆる叩解処理を施すことができる。この叩解処理は、ディスクリファイナー、ビーター、その他の機械的切断作用を及ぼす抄紙原料処理機器によって実施することができる。この操作において、ファイブリッドの形態変化は、JIS P8121に規定の濾水度(フリーネス)でモニターすることができる。本発明において、叩解処理を施した後のアラミドファイブリッドの濾水度は、10〜300cm
3(カナディアンスタンダードフリーネス)の範囲内にあることが好ましい。この範囲より大きな濾水度のファイブリッドでは、それから成形されるシートの強度が低下する可能性がある。他方、10cm
3よりも小さな濾水度を得ようとすると、投入する機械動力の利用効率が小さくなり、また、単位時間あたりの処理量が少なくなることが多く、さらに、ファイブリッドの微細化が進行しすぎるため、いわゆるバインダー機能の低下を招きやすい。
【0011】
(アラミド短繊維)
本発明においてアラミド短繊維とは、アラミドを原料とする繊維を所定の長さに切断したものであり、そのような繊維としては、例えば、帝人(株)の「コーネックス(登録商標)」、「テクノーラ(登録商標)」、デュポン社の「ノーメックス(登録商標)」、「ケブラー(登録商標)」、テイジンアラミド社の「トワロン(登録商標)」などが例示できるが、これらに限定されるものではない。
アラミド短繊維は、好ましくは、0.05dtex以上25dtex未満の範囲内の繊度を有することができる。繊度が0.05dtex未満の繊維は、湿式法での製造(後述)において凝集を招きやすく、また、繊度が25dtex以上の繊維は、繊維直径が大きくなり過ぎるため、アスペクト比の低下、力学的補強効果の低減、アラミド紙の均一性不良が生じるおそれがある。
アラミド短繊維の長さは、1mm以上25mm未満、好ましくは2〜12mmの範囲から選ぶことができる。短繊維の長さが1mmよりも小さいと、アラミド紙の力学特性が低下し、他方、25mm以上のものは、後述する湿式法でのアラミド紙の製造に際して「からみ」「結束」などが発生しやすく欠陥の原因となりやすい。
【0012】
(アラミド紙)
本発明においてアラミド紙とは、前記のアラミドファイブリッド及びアラミド短繊維を主として構成されるシート状物であり、一般に20μm〜1000μmの範囲内の厚さを有している。さらにアラミド紙は、一般に10g/m
2〜1000g/m
2の範囲内の目付を有している。ここで、アラミドファイブリッドとアラミド短繊維の混合割合は任意とすることができるが、アラミドファイブリッド/アラミド短繊維の割合(質量比)を1/9〜9/1とするのが好ましく、より好ましくは2/8〜8/2であるが、この範囲に限定されるものではない。
アラミド紙は、一般に、前述したアラミドファイブリッドとアラミド短繊維とを混合した後シート化する方法により製造される。具体的には、例えば上記アラミドファイブリッド及びアラミド短繊維を乾式ブレンドした後に、気流を利用してシートを形成する方法、アラミドファイブリッド及びアラミド短繊維を液体媒体中で分散混合した後、液体透過性の支持体、例えば網またはベルト上に吐出してシート化し、液体を除いて乾燥する方法などが適用できるが、これらのなかでも水を媒体として使用する、いわゆる湿式抄造法が好ましく選択される。
【0013】
湿式抄造法では、少なくともアラミドファイブリッド、アラミド短繊維を含有する単一または混合物の水性スラリーを、抄紙機に送液し分散した後、脱水、搾水及び乾燥することによって、シートとして巻き取る方法が一般的である。抄紙機としては長網抄紙機、円網抄紙機、傾斜型抄紙機及びこれらを組み合わせたコンビネーション抄紙機などが利用される。コンビネーション抄紙機での製造の場合、配合比率の異なるスラリーをシート成形し合一することで複数の紙層からなる複合体シートを得ることができる。抄造の際に必要に応じて分散性向上剤、消泡剤、紙力増強剤などの添加剤が使用される。
上記のようにして得られたアラミド紙は、一対のロール間にて高温高圧で加熱加圧加工することにより、密度、機械的強度を向上することができる。加熱加圧加工の条件は、例えば金属製ロールを使用する場合、温度100℃〜400℃、線圧50〜400kg/cmの範囲を例示することができるが、これらに限定されるものではない。熱圧の際に複数のアラミド紙を積層することもできる。また、上記の加熱加圧加工を任意の順に複数回行うこともできる。
【0014】
(絶縁シート)
本発明において絶縁シートとは、電気絶縁性を有するシートを意味する。絶縁シートは、好ましくは1×10
10〜1×10
20Ω・cmの体積抵抗率を有し、より好ましくは1×10
12〜1×10
20Ω・cmの体積抵抗率を有する。前記アラミド紙単体、前記アラミド紙と樹脂フィルムとを積層し、接着剤などで接着したアラミド−樹脂フィルム積層体、又は前記アラミド紙上に樹脂を溶融押出して形成されたシートが挙げられる。
アラミド−樹脂フィルム積層体に使用される樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンサルファイドなどが例示される。これらは単独で使用してもよく、また2種以上をブレンドした樹脂や共重合体を使用しても良い。また、アラミド紙を積層するために用いる接着剤としては、当該技術分野において通常用いられる、いずれの接着剤を使用しても良く、例えば、エポキシ系、アクリル系、フェノール系、ウレタン系、シリコン系、ポリエステル系、アミド系などの接着剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0015】
アラミド紙と上記フィルムとの接着剤による積層の場合、フィルムは通常延伸されており、後述の成形方法でスロットライナーを製造する場合、収縮によりアラミド−樹脂フィルム積層体の変形が起こりやすいので、変形を少しでも抑える必要がある場合には、あらかじめポリマーを溶融製膜したフィルムと前記アラミド紙を重ね合わせて加熱加圧し、ポリマーをアラミド紙中に溶融含浸させる方法、アラミド紙上に樹脂を溶融押出して熱融着させる方法などにより、接着剤を介することなくアラミド紙を樹脂と直接積層させたシートが好ましく用いられる。
積層の層数は積層体の用途、目的に応じて適宜選択できるが、少なくとも片側の表層にアラミド紙を配すると、すべり性が良好となるため、モータにおいて例えばステータコアに設けたスロットに上記のようなスロットライナーを挿入しやすくなるという効果があり、好ましい。例えば、特開2006−321183号に記載されているような、アラミド紙上に樹脂を溶融押出して熱融着する方法で作製された、芳香族ポリアミド樹脂と分子内にエポキシ基を有するエポキシ基含有フェノキシ樹脂とからなり、前記エポキシ基含有フェノキシ樹脂の比率が30〜50質量%であるポリマーとアラミド紙の2層積層シート、アラミド紙と前記ポリマーとアラミド紙の3層の積層シートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
絶縁シートの厚みは、ステータコアの大きさやスロット形状、及び用途や目的に応じて適宜選択でき、折り曲げ加工性に問題なければ、任意の厚みを選択することができる。一般には、加工性の観点から50μm〜1000μm、好ましくは50μm〜500μm、更に好ましくは70〜300μmであるが、これに限定されるものではない。
【0016】
(スロットライナーの製造方法)
次に、絶縁シートから、立体形状のスロットライナー1を構成する方法について説明する。
図2は、本発明の第1実施形態のスロットライナー1を形成するために用いる絶縁シート4の正面図である。長方形状の絶縁シート4の長手方向両端に示された一点鎖線3aと、絶縁シート4の端3bとの間の領域は、後に、鍔部に加工される箇所である。絶縁シート4の2本の一点鎖線3a、3a間の距離は、スロットライナー1の軸線方向長さとなり、この軸線方向長さがステータコアの軸方向長さに対応している。
図3は、絶縁シート4がスロットライナー1に加工される途中の中間品の斜視図である。本実施形態の製造方法では、まず、
図2に示すような長方形或いは正方形状に裁断した絶縁シートを、
図2の2本の破線部3c、3cを起点として、略U字状に折り曲げ、
図3に示すような形状に加工する。詳細には、略U字型の内面を有する金型内に絶縁シート4を配置し、
図2の破線部3c、3cを、正面から見て谷折りにした状態になるように、絶縁シート4をU字型に折り曲げる。2本の破線部3c、3c間の距離は、スロットの幅および金型のU字型内面の幅に対応するように設定されている。金型の略U字型の内面に沿って曲げられた絶縁シート4の部分が、スロットライナー1の胴体部2となる。金型内に絶縁シート4を配置するときには、絶縁シート4は、絶縁シート4の両端において、絶縁シート4の一点鎖線3aと端3bの間の領域が金型のU字型内面からU字型内面の軸線方向外方に突出するように、配置される。
【0017】
次いで、絶縁シート4の一点鎖線3aと端3bの間の領域を、外方側(
図3の奥方向および横方向)に引き伸ばしながら折り曲げ、一点鎖線3aと端3bの間の領域が、胴体部2に対して略直角になったところで折り曲げを停止し、
図1に示すスロットライナー1が得られる。必要とされる鍔部の形状に応じて、加工前の絶縁シートの裁断形状を適宜変更するのが良く、例えば、六角形などの多角形状としても良く、また、端縁部3bを曲線としたり、曲線と直線を組み合わせた形状としても良い。絶縁シート4の一点鎖線3aと端3bの間の領域を外側に折り曲げる際に、胴体部2は金型内に固定されていることが、均質な鍔部3を得るという点で好ましい。銅体部2の固定方法としては、加工中の絶縁シート4の胴体部2を、金型のU字型の内面とスロット内面形状と相補的な形状を有する部材との間に、挟み込む方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。その際、金型の凹部の輪郭として、ステータコアのスロットの形状と同じ形状を有するものを使用しても良く、又はステータコアのスロットをそのまま金型として使用しても良い。また、スロット内面形状と相補的な形状を有する部材は、U字型の内面を有する金型と合わせた時に、コア軸方向から見て、絶縁シートの厚さに相当するクリアランスが設けられていることが好ましい。更に、端部を引き延ばしながら倒す方法としては、端縁をクランプで挟む方法、圧空を吹き付ける方法などが例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
鍔部を形成する方法としては、スロット内周面の形状、且つ高さが胴体部の高さと同じである金型で絶縁シートを挟んだ状態を維持して、コア側面側から加熱された水平な盤面で挟み込み、一定時間加熱加圧して固定するなどの方法が例示される。加熱加圧固定した後に、金型を冷却してから絶縁シートを取り出すなどの方法をとっても良い。その際、胴体部を挟み込む金型も所定の温度に加熱しながら固定することが好ましい。加工時の金型の温度は、100℃〜300℃、好ましくは150℃〜250℃、コア側面側から挟み込む水平な盤面温度は100℃〜300℃、好ましくは150℃〜250℃である。胴体部を覆う金型は上下盤面で挟み込む前から絶縁シートと密着しているため、胴体部を覆う金型が絶縁シートと接触して、鍔部の形成完了までの時間は短時間であることが好ましく、具体的には3〜300秒、より好ましくは3〜60秒、更に好ましくは3〜30秒である。上記のように形状を固定することにより、本発明のスロットライナーを製造することができる。
【実施例】
【0019】
以下、本発明を実施例を挙げてさらに具体的に説明する。なお、これらの実施例は、単なる例示であり、本発明の内容を何ら限定するためのものではない。
[実施例1]
(原料調製)
特開昭52−15621号公報に記載のステータとローターの組み合わせで構成されるパルプ粒子の製造装置(湿式沈殿機)を用いて、ポリメタフェニレンイソフタルアミドのファイブリッドを製造した。これを、離解機、叩解機で処理して長さ加重平均繊維長を0.9mmに調製した。得られたファイブリッドの濾水度は90cm
3であった。一方、デュポン社製メタアラミド繊維(ノーメックス(登録商標)、単糸繊度2.2dtex)を長さ6mmに切断し、抄紙用原料とした。
(アラミド紙の製造)
上記の通り調製したアラミドファイブリッドとアラミド短繊維をおのおの水中で分散しスラリーを作製した。これらのスラリーを、アラミドファイブリッドとアラミド短繊維が1/1の混合比率(重量比)となるように混合した後、タッピー式手抄き機(断面積625cm
2)にてシート状物を作製した。次いで、これを金属製カレンダーロールにより温度330℃、線圧300kg/cmで加熱加圧加工しアラミド紙を得た。
更に、アラミド紙とポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、「テオネックス(登録商標)Q51」、厚さ100μm)を接着剤で貼り合わせ、アラミド紙を外側に配置した、アラミド紙/ポリエチレンナフタレートフィルム/アラミド紙の3層構造からなるアラミド−樹脂フィルム積層体を得た。
【0020】
(スロットライナーの製造)
上記アラミド−樹脂フィルム積層体を用いて、
図2に示す通りに裁断し、
図2の2本の破線部3c、3cを起点として軽く折り曲げた後、外周面の輪郭がスロット内周面と同じ形状、且つ高さが
図2の2本の一点鎖線部3a、3a間と同一である金型の凸部と凹部を、金型温度を240℃に加熱した状態で挟み込んだ後、金型から突出したシート部(
図3の上下端部3)に圧空を30秒間吹き付けて上下端部を胴体部に対して直角となるように倒して鍔部を形成し、即座に240℃に加熱した、鍔部に水平な盤面で両側から挟み込み、150kg/cm
2の面圧で10秒間圧縮し、胴体部との接合部から鍔端縁までの距離が10mmである、
図1に示す形状のスロットライナーを得た。このようにして得られたスロットライナーの主要特性値を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
[測定方法]
(1)目付、厚み、密度
JIS C 2300-2に準じて実施し、密度は(目付/厚み)により算出した。
(2)鍔部しわ
鍔部の外観を目視により観察し、しわがないものを「良好」、僅かにしわがあるものを「ほぼ良好」、顕著なしわがあるものを「不良」と判断した。
(3)鍔部反り
鍔部の外観を目視により観察し、反りがないものを「良好」、僅かに反りがあるものを「ほぼ良好」、顕著な反りがあるものを「不良」と判断した。
(4)鍔部絶縁破壊電圧
ASTM D149に準じて、径6mmの電極を用いて交流による直昇圧法により実施した。この時沿面破壊を防ぐため、鍔部の端縁全面に電気絶縁用テープ((株)寺岡製作所製、650S#50)を貼付け、鍔部で絶縁破壊した時の値を鍔部絶縁破壊電圧とした。
【0021】
[実施例2]
実施例1で得たアラミド紙と、エポキシ基含有フェノキシ樹脂が50重量%含有されている半芳香族ポリアミド樹脂組成物(デュポン社製ザイテル(登録商標)HTN501 50重量部と、エポキシ基含有フェノキシ樹脂50重量部を用いて、特開2006−321183号公報の[0027]に記載の方法で調製した半芳香族ポリアミド樹脂組成物)を用いて、特開2006−321183号公報の[0024]に記載の方法で、アラミド紙を外側に配置した、アラミド紙/樹脂組成物/アラミド紙の3層構造からなる積層シートを得た。その積層シートを用いて、
図1に示す形状のスロットライナーを得た。このようにして得られたスロットライナーの主要特性値を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0022】
[実施例3]
絶縁シートを表1に示す特性を有するアラミド紙に変更した以外は実施例1と同様に実施し、
図1に示す形状のスロットライナーを得た。このようにして得られたスロットライナーの主要特性値を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0023】
表1
【0024】
表1の結果から、本発明のスロットライナーは、外観も均質で、鍔部の絶縁破壊電圧も高く、またステータコアに嵌入しても端部が突出していなかった。また、本発明のスロットライナーは、回転電機の軸方向長さを抑えることができ、該スロットライナーを用いた回転電機の小型化、高効率化、大出力化が期待できる。
実施例1〜3の比較からは、アラミドファイブリッドとアラミド短繊維とからなるアラミド紙および樹脂フィルムが積層されてなるアラミド−樹脂フィルム積層体、および前記アラミド紙上に樹脂を溶融押し出しして形成されたシートからなる群より選択を用いることによって、高い鍔部絶縁破壊電圧が得られることがわかる。