【実施例】
【0015】
実施例に係る間仕切パネル装置につき、
図1から
図10を参照して説明する。以下、
図9の紙面手前側を間仕切パネル装置の正面側(前方側)とし、
図9の紙面奥側を間仕切パネル装置の背面側(後方側)とし、その前方側から見たときの上下左右方向を基準として説明する。
【0016】
本実施例の間仕切パネル装置1は、例えば、オフィス、展示会場、会議室等の室内空間を区画するために設置され、
図1に示されるように、室内空間に天井部C(躯体)に亘って設置されるレール3(天井部)に沿って移動可能な吊支部材34,34により上端を吊支される複数の間仕切パネル2,2,…と、最後尾の間仕切パネル2’の側部2b’(
図2(a)参照)と側壁Wとの隙間を閉塞する側部閉塞部材40を該間仕切パネル2’に対して進退自在な側部閉塞装置4と、から主に構成され、レール3の一方の端部に設けられる格納レール31の位置に格納された間仕切パネル2,2,…をレール3に沿って側壁W’に設けられる移動規制端部5の方向に所定の位置まで手動で順次移動させることによって、間仕切パネル2,2,…を一列に連接させて天井部Cから床部F(躯体)に亘って室内空間を仕切ることができるようになっている。
【0017】
尚、移動規制端部5とは、間仕切パネル装置1を構成する間仕切パネル2,2,…の内、先頭に設置される間仕切パネル2が当接し、先頭の間仕切パネル2の移動を規制する端部を構成する所定の側壁部や支柱等のことである。
【0018】
また、間仕切パネル装置1を構成する間仕切パネル2,2,…の内、最後尾の間仕切パネル2’は、側壁Wに設けられる側部閉塞装置4から左右方向に進出退入可能に移動する側部閉塞部材40によって間仕切パネル2’の側部2b’と側部閉塞装置4との隙間が閉塞されるようになっている。尚、間仕切パネル2’の側部2b’と側部閉塞装置4との隙間が側部閉塞部材40により閉塞される際に、側部閉塞部材40によって間仕切パネル2’が移動規制端部5の方向に押圧されることにより、一列に連接された間仕切パネル2,2,…,2’がそれぞれ移動規制端部5の方向に押圧され、隣接する間仕切パネル2,2,…,2’同士を密着させて遮音性や遮蔽性が高められるようになっている。
【0019】
次いで、側部閉塞装置4の構造について
図3を用いて説明する。側部閉塞装置4は、レール3に沿って移動可能な吊支部材34により吊支される側部閉塞部材40と、レール3に対し吊支部材34により吊支されレール3及び床部Fに固定されるベース体49と、側部閉塞部材40を左右方向に動作させる進退機構50と、から主に構成されており、側壁Wに対して所定の奥行きを形成するように上下方向に亘って凹設された空間X内に収納(配設)されており、該空間X内から室内に向けて側部閉塞部材40が進退可能となっている。また、天井部Cに設置されるレール3の端部は、側壁W内の空間Xの内側に入り込むように延設されている。これによれば、室内空間を仕切らない場合には、側部閉塞装置4が室内に露出しないため、美観を高めることができるとともに、側部閉塞装置4が通行の邪魔になることがない。
【0020】
ベース体49は、金属製であり、押出し成形により断面視ロ字状の柱状に形成されているため、剛性を有している。また、ベース体49は、ベース体49の上端部とレール3が、断面視L字状の取付金具49aと複数のボルトナットにより固定されている。同様に、ベース体49の長尺方向の略中央部と壁部Y(躯体)及びベース体49の下端部と床部Fとが固定されている。このように、ベース体49は、建物を構成する強度の高い天井部C、壁部Y及び床部Fに強固に固定されるため、側部閉塞部材40を安定して進退移動させることができる。尚、ベース体49は、天井部C、壁部Y及び床部Fの3箇所に固定されることに限られず、それらの1か所にだけ固定されていてもよく、建物を構成する強度の高い躯体であれば、例えば、柱等に固定されてもよい。さらに尚、取付金具49aは、ベース体49に溶接により固定されていてもよい。
【0021】
図3及び
図5に示されるように、吊支部材34は、上下一対の上ローラ34a(案内部),下ローラ34b(案内部)と、側部閉塞部材40及びベース体49の上端から上方に延設され上ローラ34a,下ローラ34bを回転自在に支持する吊支杆34cと、から主に構成されている。これら上ローラ34a,下ローラ34bがレール3に形成された後述する上下一対の走行部3a,3bにそれぞれに支持されることで側部閉塞部材40及びベース体49が吊持されている。
【0022】
レール3は、吊支杆34cの軸心周りに回動する上ローラ34a及び下ローラ34bを遊嵌可能に開口した上下一対の上部走行部3aと下部走行部3bとが長手方向に向けて形成されている。
【0023】
上部走行部3aの両脇底部のうち、一方には下方に傾斜した上部傾斜底部30aが形成され、他方には上部略水平底部31aが形成されており、上部傾斜底部30aの上面には、上ローラ34aの下端縁35aが接しており、上部略水平底部31aには、上ローラ34aが接触しない。
【0024】
下部走行部3bの両脇底部のうち、一方には下方に傾斜した下部傾斜底部30bが形成されており、他方には下部略水平底部31bが形成されており、下部傾斜底部30bの上面には、下ローラ34bの下端縁35bが接しており、下部略水平底部31bには、下ローラ34bが接触しない。
【0025】
このように、上ローラ34aは上部傾斜底部30aの上面に接しており、下ローラ34bは下部傾斜底部30bの上面に接しているため、側部閉塞部材40又はベース体49を移動させた場合、上ローラ34aと下ローラ34bは、互いに逆方向に回動することになるので、両傾斜底部30a,30bにより左右方向位置が安定して支持される。
【0026】
図3に示されるように、側部閉塞部材40は、正面視コ字形状の枠体41と、枠体41の両側面に取付けられる化粧パネル42,42と、から主に構成されている。枠体41における上部横杆部材41bは、上方向に開口する上向きコ字状を成し、枠体41における下部横杆部材41cは、下方向に開口する下向きコ字状を成している(特に
図5参照)。また、化粧パネル42,42は、その上端部が上部横杆部材41bよりも上方に張り出すように取付けられており、下端部が下部横杆部材41cよりも下方に張り出すように取付けられている。
【0027】
また、枠体41における縦杆部材41aは、最後尾の間仕切パネル2’側の端部に該間仕切パネル2’側に突設される図示しない凸条部が上下方向に亘って形成されている。また、最後尾の間仕切パネル2’における前記凸条部と対向する面には、該凸条部が嵌入可能な図示しない凹条部が形成されている。尚、凸条部及び凹条部には、パッキンが取付けられており、凸条部及び凹条部が嵌合した際には、側部閉塞部材40と最後尾の間仕切パネル2’との間が上下方向に隙間なく密閉されるようになっている。
【0028】
また、側部閉塞装置4は、側部閉塞部材40の上端部40bに備え付けられた上部塞ぎ部材6と、側部閉塞部材40の下端部40cに備え付けられた下部塞ぎ部材7と、を備えている。
【0029】
図4及び
図5に示されるように、上部塞ぎ部材6は、金属製であり、略板状の側壁部6b、側壁部6c、下壁部6eにより上向きコ字状に形成されており、下壁部6eのベース体49側には、長手方向に一部切り欠かれた切欠部6dが形成されている。また、上部塞ぎ部材6には、側部閉塞装置4のリンク部材60と、ねじりばね65が取付けられている。
【0030】
側部閉塞装置4のリンク部材60は、一端にリンク部材60の長手方向に形成された長孔60aと、他端に形成された丸孔60bを有している。また、ねじりばね65は、環状のばね部分を有し、ばね部分から略ハ字状に延びる両端部が後述する軸61a,61bが挿通可能な環状を成すように曲げ形成されている。
【0031】
また、上部塞ぎ部材6の側壁部6b,6cには、軸61aが互いを連結するように固定されており、該軸61aに長孔60aが挿通されることにより側部閉塞装置4のリンク部材60の一端が上部塞ぎ部材6に連結されている。また、上部横杆部材41bの側壁部46b,46cには、軸61bが互いを連結するように固定されており、該軸61bに丸孔60bが挿通されることにより上部横杆部材41bに連結されている。すなわち、リンク部材60は、切欠部6dを介して一端が上部塞ぎ部材6に連結され、他端が上部横杆部材41b(側部閉塞部材40)に連結されている。
【0032】
これにより、上部塞ぎ部材6は、上部横杆部材41bと化粧パネル42,42とで形成された凹部43内に収納される収納状態(
図4(a)及び
図5(a)の状態)において、上部塞ぎ部材6の移動規制端部5側の端部6aが間仕切パネル2’側から反力を受けることにより、後退するように上方向に回動し、レール3に押圧されることで、側部閉塞部材40の上端部40bと天井部Cとの間の隙間を閉塞する閉塞状態(
図4(b)及び
図5(b)の状態)に変化することができる。尚、上部塞ぎ部材6の側壁部6b,6cの上端辺には、パッキン63,63が取付けられており、これにより、閉塞状態において上部塞ぎ部材6と天井部Cとの間を隙間なく密閉することができる。さらに尚、上部塞ぎ部材6の側壁部6b,6cの上端辺の間には、板材6fが取り付けられており、これにより、上部塞ぎ部材6内にチリやホコリ等の侵入を防いでいる。
【0033】
また、軸61a,61bは、側部閉塞装置4のリンク部材60の長孔60a、丸孔60bと共に、ねじりばね65の環状に形成された両端にもそれぞれが挿通されており、ベース体49側にねじりばね65の環状のばね部分が位置するようにねじりばね65を固定している。ねじりばね65は、上部塞ぎ部材6の端部6aが間仕切パネル2’側から反力を受けることで、側部閉塞部材40の上端部40bとレール3が当接し、軸61aがリンク部材60の長孔60aを軸61b側に移動すると、ねじりばね65の両端部が接近するようにねじれが生じることでレール3に対する圧接力が発生し、閉塞状態において上部塞ぎ部材6と天井部Cとの間を隙間なく密閉することができる。
【0034】
尚、上部塞ぎ部材6には、切欠部6dが形成されているため、側部閉塞装置4のリンク部材60及びねじりばね65を上部塞ぎ部材6の外側に大きく張り出させることなく設置できるようになっている。
【0035】
また、上部塞ぎ部材6は、枠体41の幅寸法よりも短尺に形成されており、上部塞ぎ部材6の移動規制端部5側の端部6aは、側部閉塞装置4のリンク部材60が凹部43内に収納されている場合、すなわち上部塞ぎ部材6の端部6aが間仕切パネル2’側から反力を受けていない場合、枠体41の縦杆部材41aにおける間仕切パネル2’側の端面と略同一面を成すように位置合わせがなされている。さらに、枠体41の幅寸法よりも短尺に形成されているため、収納状態の際には、側部閉塞部材40の幅方向内に収納されている。
【0036】
図6及び
図7に示されるように、下部塞ぎ部材7は、金属製であり、略板状の側壁部7b、側壁部7c、上壁部7eにより上向きコ字状に形成されており、上壁部7eのベース体49側には、長手方向に一部切り欠かれた切欠部7dが形成されている。また、下部塞ぎ部材7は、側部閉塞装置4のリンク部材70と、ねじりばね75と、引きばね76が取り付けられている。
【0037】
側部閉塞装置4のリンク部材70は、一端にリンク部材70の長手方向に形成された長孔70aと、他端に形成された丸孔70bを有している。また、ねじりばね75は、環状のばね部分を有し、ばね部分より略ハ字状に延びる両端部が後述する軸71a,71bが挿通可能な環状を成すように曲げ形成され、引きばね76は、長尺の円筒形状に形成された螺旋状のばね部分を有し、ばね部分の両端部が軸71a,71bが挿通可能な環状を成すように曲げ形成されている。
【0038】
また、下部塞ぎ部材7の側壁部7b,7cには、軸71aが互いを連結するように固定されており、該軸71aに長孔70aが挿通されることにより側部閉塞装置4のリンク部材70の一端が下部塞ぎ部材7に連結されている。また、下部横杆部材41cの側壁部47b,47cには、軸71bが互いを連結するように固定されており、該軸71bに丸孔70bが挿通されることにより下部横杆部材41cに連結されている。すなわち、リンク部材70は、切欠部7dを介して一端が下部塞ぎ部材7に連結され、他端が下部横杆部材41c(側部閉塞部材40)に連結されている。
【0039】
これにより、下部塞ぎ部材7は、下部横杆部材41cと化粧パネル42,42とで形成された凹部43’内に収納される収納状態(
図6(a)及び
図7(a)の状態)において、下部塞ぎ部材7の移動規制端部5側の端部7aが間仕切パネル2’側から反力を受けることにより、後退するように下方向に回動し、床部Fに押圧されることで、側部閉塞部材40の下端部40cと床部Fとの間の隙間を閉塞する閉塞状態(
図6(b)及び
図7(b)の状態)に変化することができる。尚、下部塞ぎ部材7の側壁部7b,7cの下端辺には、パッキン73,73が取付けられており、これにより、閉塞状態において下部塞ぎ部材7と床部Fとの間を隙間なく密閉することができる。さらに尚、下部塞ぎ部材7の側壁部7b,7cの下端辺の間には、板材7fが取り付けられており、これにより、下部塞ぎ部材7内にチリやホコリ等の侵入を防いでいる。
【0040】
また、軸71a,71bは、側部閉塞装置4のリンク部材70の長孔70a、丸孔70bと共に、ねじりばね75の環状に形成された両端にもそれぞれが挿通されており、ベース体49側にねじりばね75の環状のばね部分が位置するようにねじりばね75を固定している。ねじりばね75は、下部塞ぎ部材7の端部7aが間仕切パネル2’側から反力を受けることで、側部閉塞部材40の下端部40cと床部Fが当接し、軸71aがリンク部材70の長孔70aを軸71b側に移動すると、ねじりばね75の両端部が接近するようにねじれが生じることで床部Fに対する圧接力が発生し、閉塞状態において下部塞ぎ部材7と床部Fとの間を隙間なく密閉することができる。
【0041】
引きばね76の環状に形成された一端は、軸71cが挿通され、下部塞ぎ部材7の側壁部7b,7cに連結されており、引きばね76の環状に形成された他端は、軸71dが挿通され、下部横杆部材41cの側壁部47b,47cに連結されている。
【0042】
また、引きばね76は、側部閉塞装置4のリンク部材70に作用して、リンク部材70を収納する方向に付勢する付勢手段として機能している。すなわち、引きばね76は、リンク部材70を収納状態とすることで、リンク部材70に連結された下部塞ぎ部材7を収納状態とすることができる。このとき、引きばね76は、下部塞ぎ部材7を間仕切パネル2’方向に引き上げるように付勢している。下部塞ぎ部材7は、引きばね76の付勢により、重力により降下することなく凹部43’内に収納されている。
【0043】
このように、上部塞ぎ部材6及び下部塞ぎ部材7を動作させる構造を側部閉塞装置4のリンク部材60,70、ねじりばね65,75及び引きばね76といった単純な構造とすることができるため、電動機を用いた駆動機構等に比べて動作不良が起こりにくく、且つ安価に構成することができる。
【0044】
尚、下部塞ぎ部材7には、切欠部7dが形成されているため、側部閉塞装置4のリンク部材70、ねじりばね75及び引きばね76を下部塞ぎ部材7の外側に大きく張り出させることなく設置できるようになっている。
【0045】
また、下部塞ぎ部材7は、枠体41の幅寸法よりも短尺に形成されており、下部塞ぎ部材7の移動規制端部5側の端部7aは、ねじりばね75により側部閉塞装置4のリンク部材70が収納されている場合、すなわち下部塞ぎ部材7の端部7aが間仕切パネル2’側から反力を受けていない場合、枠体41の縦杆部材41aにおける間仕切パネル2’側の端面と略同一面を成すように位置合わせがなされている。さらに、枠体41の幅寸法よりも短尺に形成されているため、収納状態の際には、側部閉塞部材40の幅方向内に収納されている。
【0046】
このように、上部塞ぎ部材6及び下部塞ぎ部材7の収納状態において、側部閉塞部材40の幅方向内に収納され、側部閉塞部材40から幅方向に突出しないため、側部閉塞装置4の幅方向の寸法を小さくできる。
【0047】
図3に示されるように、進退機構50は、横向きy字状のリンク部51,51と、上下に延びるボールねじ52と、ボールねじ52の回動により上下方向に移動するロッド53と、から構成されており、リンク部51は、長尺部材である第1部材51a(リンク部材)と、短尺部材である第2部材51b(リンク部材)と、から形成されており、第1部材51aの長尺方向の略中央に第2部材51bの他端が回動可能に取付けられている。尚、ボールねじ52は、直交方向(左右方向)に延びる他のボールねじに連動するように連結されており、該他のボールねじを操作する操作部54(
図1参照)は、外部から操作可能に側壁Wに配設されている。
【0048】
また、第1部材51aは、その一端がロッド53に取付けられ、他端が側部閉塞部材40の縦杆部材41aにそれぞれ回動可能に取付けられており、第2部材51bにおける第1部材51aに取付けられていない一端が、第1部材51aの一端よりも下方にてベース体49に回動可能に取付けられている。
【0049】
操作部54に図示しないハンドルを取付け、該ハンドルを回動操作することにより、ロッド53が上下に移動する。
図8に示されるように、ロッド53が下方に移動すると、第1部材51aの一端が第2部材51bの一端に近接し、第1部材51aの他端が間仕切パネル2’方向に移動し、側部閉塞部材40を間仕切パネル2’側に進出動作させるようになっている。
【0050】
また、
図3に示されるように、ロッド53が上方に移動すると、第1部材51aの一端が第2部材51bの一端から離間し、第1部材51aの他端が間仕切パネル2’側と反対方向に移動するため、側部閉塞部材40を間仕切パネル2’とは反対側に後退動作させるようになっている。
【0051】
このように、リンク部51,51がロッド53の上下方向の動きを略水平方向に変換するため、側部閉塞装置4の幅方向の寸法をコンパクトにでき、空間X内への収納容積を小さくすることができる。尚、上部塞ぎ部材6及び下部塞ぎ部材7は、間仕切パネル2’側から反力を受けるまでは収納状態となっており、天井部C及び床部Fと当接しないため、側部閉塞部材40の移動をスムーズに行うことができる。
【0052】
図9に示されるように、間仕切パネル2は、パネル材20a,20aを表裏に備えたパネル本体20と、パネル本体20と天井部Cとの隙間を塞ぐ上部塞ぎ部材26と、パネル本体20と床部Fとの隙間を塞ぐ下部塞ぎ部材27が設けられている。これら上部塞ぎ部材26の端部26a及び下部塞ぎ部材27の端部27aは、間仕切パネル2が移動可能な吊支状態において、間仕切位置への進行方向(移動規制端部5側)に向かって突出されている(
図1等参照)。尚、パネル本体20、上部塞ぎ部材26及び下部塞ぎ部材27は、それぞれ幅寸法L1に形成されている。
【0053】
また、最後尾の間仕切パネル2’は、パネル本体20の幅寸法L1よりも長尺の幅寸法L2に形成された上部塞ぎ部材26’及び下部塞ぎ部材27’を備えており、上部塞ぎ部材26’の端部26a’及び下部塞ぎ部材27’の端部27a’は、間仕切パネル2’が移動可能な吊支状態において、詳しくは
図2(a)に示されるように、間仕切位置への進行方向(移動規制端部5側)に向かって突出されている。
【0054】
間仕切パネル2,2,…,2’と側部閉塞装置4とにより室内空間を仕切る際には、
図1に示されるように、レール3に沿って間仕切パネル2,2,…を移動させる。その後、
図3に示されるように、最後尾の間仕切パネル2’を間仕切パネル2,2,…に向けて移動させた後、側部閉塞部材40を側壁W内から間仕切パネル2’に向けて進行させる。これにより、最後尾の間仕切パネル2’が間仕切パネル2,2,…,に向けて押しつけられ、
図8,9に示されるように、間仕切パネル2,2,…,2’と側部閉塞装置4とにより室内空間が仕切られる。
【0055】
詳しくは、間仕切パネル2,2,…の上部塞ぎ部材26の端部26a及び下部塞ぎ部材27の端部27aは、先頭の間仕切パネル2が移動規制端部5に、それ以降の間仕切パネル2,2,…,2’が先行する間仕切パネル2の側端面に当接して、その反力によりパネル本体20内に押し込まれることにより、上昇または降下させられて、パネル本体20と天井部C及び床部Fとの隙間を閉塞する。このとき、上部塞ぎ部材26及び下部塞ぎ部材27は、パネル本体20の幅寸法と略同一寸法に形成されているため、間仕切パネル2の両側部は、略同一面を成している。
【0056】
また、最後尾の間仕切パネル2’の上部塞ぎ部材26’の端部26a’及び下部塞ぎ部材27’の端部27a’は、先行する間仕切パネル2の上部塞ぎ部材26の端部26b及び下部塞ぎ部材27の端部27bに当接して、その反力によりパネル本体20内に押し込まれることにより、上昇または降下させられて、パネル本体20と天井部C及び床部Fとの間の間隙を閉塞する。このとき、上部塞ぎ部材26’及び下部塞ぎ部材27’は、パネル本体20の幅寸法L1より長尺である幅寸法L2に形成されているため、間仕切パネル2’の先行する間仕切パネル2と当接する端部2a’は略同一面を成し、上部塞ぎ部材26’及び下部塞ぎ部材27’における間仕切パネル2’の側部閉塞装置4側の端部26b’,27b’は、パネル本体20よりも側部閉塞装置4側に突出した状態となる(
図2(b)参照)。
【0057】
図3の状態から、側部閉塞装置4の操作部54に図示しない操作ハンドルを接続して側部閉塞部材40を最後尾の間仕切パネル2’側に当接・進行させ、間仕切パネル2’を先行する間仕切パネル2に当接させることで、間仕切パネル2’の上部塞ぎ部材26’及び下部塞ぎ部材27’が反力により押し込まれるため、端部26b’,27b’が側部閉塞装置4側に突出していく(
図2(a)の状態から
図2(b)の状態へと移行していく)。この操作により、側部閉塞装置4の上部塞ぎ部材6及び下部塞ぎ部材7は、上部塞ぎ部材26’の端部26b’及び下部塞ぎ部材27’の端部27b’に当接し、その反力により後退するように上方向及び下方向に回動し、側部閉塞部材40と天井部C及び床部Fとの隙間を閉塞する。これにより、室内空間が上下方向及び左右方向に亘って仕切られる。尚、最後尾の間仕切パネル2’側を先行する間仕切りパネル2に当接させ、最後の間仕切パネル2’の上部塞ぎ部材26’及び下部塞ぎ部材27’を側部閉塞装置4側に突出させた状態としておき、この状態から側部閉塞部材40を移動させて天井部C及び床部Fとの隙間を閉塞するようにしてもよい。
【0058】
このように、側部閉塞部材40に隣接する間仕切パネル2’の上部塞ぎ部材26’及び下部塞ぎ部材27’は、側部閉塞部材40を進行させると、側部閉塞部材40側に突出されるため、側部閉塞部材40の上部塞ぎ部材6及び下部塞ぎ部材7に対して進行方向の反力が発生し、上部塞ぎ部材6及び下部塞ぎ部材7を後退方向かつ上方向及び後退方向かつ下方向に回動させることができる。
【0059】
このように、上部塞ぎ部材6を上方に移動させて側部閉塞部材40と天井部Cとの隙間を閉塞させ、下部塞ぎ部材7を下方に移動させて側部閉塞部材40と床部Fとの隙間と閉塞させることができるため、側部閉塞部材40により間仕切パネル2’と側壁Wとの隙間を閉塞したときに光や音の漏れを確実に防止することができる。
【0060】
また、間仕切パネル2’から受ける反力により、上部塞ぎ部材6及び下部塞ぎ部材7を閉塞動作させるため、側部閉塞部材40が間仕切パネル2’に当接する前に、上部塞ぎ部材6及び下部塞ぎ部材7が閉塞動作して、側部閉塞部材40の進行動作を妨げて側部閉塞部材40と間仕切パネル2’との間に隙間が形成されることを防止できる。
【0061】
尚、上部塞ぎ部材26,26’の進退方向の両端面、下部塞ぎ部材27,27’の進退方向の両端面、上部塞ぎ部材6及び下部塞ぎ部材7の進行方向の端面には、図示しないパッキンが取付けられており、上部塞ぎ部材26,26’、下部塞ぎ部材27,27’、上部塞ぎ部材6及び下部塞ぎ部材7間の隙間が密閉され、遮音性や遮蔽性が高められている。
【0062】
次に、
図10を参照し、側部閉塞装置4の設置について説明する。従来のように、側壁W内に側部閉塞部材40を室内側に突出自在に設ける場合には、間仕切パネル2’に対する側部閉塞部材40が正確な位置で進退するようにする必要があり、側部閉塞装置4を設置する際の位置合わせ、特に固定側のベース体49の位置合わせが煩雑であった。
【0063】
対して、本実施例の側部閉塞装置4は、ベース体49及び側部閉塞部材40が一体に組立てられた状態で、それぞれが有する吊支部材34により略直線状に間仕切パネル2,2,…,2’が移動する同一のレール3に案内されているため、間仕切パネル2,2,…,2’の進退方向の位置合わせが既になされている。これにより、高さ寸法が長尺であるベース体49を、レール3に沿って移動させるだけで、進退方向における所望の設置位置に容易に位置決めできる。その後、設置位置にて、ベース体49のその幅方向(紙面左右方向)を進退方向に平行となるように吊支部材34を支点としてベース体49を厚み方向に回動させて微調整を行うことができるため、隣接する間仕切パネル2’に対する厚み方向の位置を上下に亘って容易に位置合わせすることができる。
【0064】
また、進退機構50は、ベース体49と側部閉塞部材40が共に吊支部材34によりレール3に案内されており、かつ、上述のように正確な位置に設置されたベース体49を起点として略直線状の往復移動である進退動作を行うものである。これにより、側部閉塞部材40は、正確に進退動作を行う進退機構50によって進退し、かつ、レール3に案内されるため、間仕切パネル2,2,…,2’に対して位置がずれることなく正確に進退することができる。すなわち、ベース体49を正確に取付けることで、高さ寸法が長尺である側部閉塞部材40も正確に位置合わせがなされた状態で取付けることが可能であるため、側部閉塞部材40の位置合わせも容易である。
【0065】
また、側部閉塞装置4は、設置する際に、吊支部材34のローラ34a,34bを介してレール3に吊支された状態となっているため、移動が容易であり、一方でベース体49から手を離したとしても転倒することがないため、作業者の負担を減らすことができる。
【0066】
これらにより、側部閉塞装置4は、側部閉塞部材40と間仕切パネル2’との間の高い閉塞性を実現しながらも、側部閉塞部材40の進行方向と間仕切パネル2,2,…,2’の進行方向との位置合わせ作業が極めて簡便である。
【0067】
尚、側部閉塞装置4は、ベース体49と側部閉塞部材40が一体に組立てられた状態で設置される態様であると説明したが、組立前の状態であったとしても、取付寸法等があらかじめ計算されていれば、ベース体49はレール3に案内されているため、設置位置、吊支部材34を支点とした傾き、間仕切パネル2,2,…,2’に対する向きを適切に合わせることで容易に設置することができる。同様に、側部閉塞部材40についても、レール3に吊支させた状態でベース体49に連結させることができるため、作業員の負担が少ない。よって、側部閉塞装置4は、組立前の状態であっても、設置が簡便である。
【0068】
さらに前述したように、ベース体49は、天井部C及び床部Fに対して取付金具49aとボルトナットとを用いて固定されており、ベース体49を天井部C、壁部Y及び床部Fに対して固定された状態と、レール3に沿って移動可能な状態と、に簡便に変更できる。
【0069】
また、
図10に示されるように、側部閉塞装置4のベース体49は、レール3に吊支部材34により吊支されているため、ベース体49をレール3に沿って移動させ、ベース体49の設置位置を適宜変更することができる。これによれば、間仕切パネル2,2,…,2’の閉塞時の幅寸法と室内空間の幅寸法との関係性に応じて、ベース体49を適正な設置位置を移動させて調整することができる。
【0070】
また、側部閉塞装置4の側部閉塞部材40は、ベース体49と同様に吊支部材34によりレール3に吊支されているため、側部閉塞部材40の進行方向も間仕切パネル2,2,…,2’の進行方向と位置合わせされるように案内され、側部閉塞部材40と間仕切パネル2’との間の閉塞性が向上する。
【0071】
また、ベース体49は、上ローラ34a及び下ローラ34bによりレール3に吊支されているため、ベース体49の移動が簡便であるとともに、設置位置の調整を細やかに行うことができる。
【0072】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0073】
例えば、前記実施例では、上部塞ぎ部材6及び下部塞ぎ部材7が収容状態において側部閉塞部材40の間仕切パネル2’側の端面と略同一面を成すように位置合わせされた形態について説明したが、上部塞ぎ部材及び下部塞ぎ部材は、進行方向への反力により動作すればよく、例えば、側部閉塞部材40よりも間仕切パネル2’方向に突出していてもよい。
【0074】
また、前記実施例では、上部塞ぎ部材6及び下部塞ぎ部材7がリンク部材60,70、ねじりばね65,75及び引きばね76により側部閉塞部材40に取付けられていたが、例えば、上部塞ぎ部材及び下部塞ぎ部材に、通電により上下方向に駆動するアクチュエータを取付け、上部塞ぎ部材及び下部塞ぎ部材が隣接する間仕切パネルに当接した際に、その反力により前記駆動機構のスイッチが入り、上部塞ぎ部材及び下部塞ぎ部材が閉塞動作を行うようにしてもよい。
【0075】
また、前記実施例では、間仕切パネル2,2,…,2’と側部閉塞装置4とにより室内空間が仕切られる態様について説明したが、先述した態様に限らず、側部閉塞部材40が間仕切パネル2,2,…,2’を移動規制端部5に押し付け、その反力により上部塞ぎ部材26,26,…,26’、下部塞ぎ部材27,27,…,27’、上部塞ぎ部材6及び下部塞ぎ部材7が一体的に閉塞動作するようになっていてもよい。
【0076】
また、前記実施例では、間仕切パネル2’において、可動的に設けられた上部塞ぎ部材26’及び下部塞ぎ部材27’の側部閉塞部材40側に突出した部分により、側部閉塞部材40の上部塞ぎ部材6及び下部塞ぎ部材7に対して進行方向の反力を発生させていたが、例えば、側部閉塞部材40の上部塞ぎ部材6及び下部塞ぎ部材7に対して進行方向の反力を与える部分を、間仕切パネル2’に側部閉塞部材40側に突出するように固定的に設置してもよい。
【0077】
また、前記実施例では、間仕切パネル2’において、上部塞ぎ部材26’及び下部塞ぎ部材27’がパネル本体20の幅寸法よりも長尺に形成された態様として説明したが、これに限らず、間仕切パネル2,2,…の上部塞ぎ部材26及び下部塞ぎ部材27と同一であってもよく、この場合、間仕切パネルの上部塞ぎ部材及び下部塞ぎ部材は収納状態においてパネル本体内に収納されており、側部閉塞部材40の上部塞ぎ部材6及び下部塞ぎ部材7に対して進行方向の反力を与える部分を、移動規制端部5に側部閉塞部材40側に突出するように固定的に設置することで、間仕切パネルの上部塞ぎ部材及び下部塞ぎ部材がすべてパネル本体の側部閉塞部材40側に突出する構成であってもよい。
【0078】
尚、前記実施例では、側部閉塞部材40がレール3に対して吊支されていたが、側部閉塞部材はレール3に対して吊支されず、ベース体49に対してのみ支持されていてもよい。
【0079】
また、前記実施例では、レール3に移動が案内される案内部を上ローラ34a及び下ローラ34bとして説明したが、案内部はレールに案内されるものであればよい。例えば、レールの溝部に対して嵌入される突片等をベース体に設けてもよい。
【0080】
尚、前記実施例では、進退機構50は、ロッド53の上下方向の動きを略水平方向に変換するリンク部51を備える態様として説明したが、これに限らず、ハンドルの操作によって側部閉塞部材40が進退可能である進退機構であってもよい。
【0081】
また、前記実施例では、側部閉塞装置4は、側壁Wの後方である空間X内に収納(配設)されている態様として説明したが、例えばコンクリート壁等に埋設(配設)されていてもよい。
【0082】
また、前記実施例では、付勢手段は引きばね76である態様として説明したが、これに限らず、引きばねでなくともよい。また、引きばねは、上部塞ぎ部材6に備えられていてもよい。