特許第6863721号(P6863721)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863721
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】モータ駆動組立体
(51)【国際特許分類】
   H02K 13/00 20060101AFI20210412BHJP
【FI】
   H02K13/00 X
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-228699(P2016-228699)
(22)【出願日】2016年11月25日
(65)【公開番号】特開2017-108614(P2017-108614A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2019年9月24日
(31)【優先権主張番号】201510833066.3
(32)【優先日】2015年11月25日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518263944
【氏名又は名称】ジョンソン エレクトリック インターナショナル アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ チン シク ラウ
(72)【発明者】
【氏名】ダンカン イウ ルン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】チュン キット チャン
【審査官】 三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−056099(JP,A)
【文献】 特開2006−217672(JP,A)
【文献】 特開2013−177972(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0326158(US,A1)
【文献】 特開2014−039467(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/092020(WO,A1)
【文献】 特開2004−026045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ(2)を備えるモータ駆動組立体であって、前記モータ(2)は、
外側ハウジング(4)と、
前記外側ハウジング(4)に収容され、前記外側ハウジング(4)から外に延びる回転軸(6)と、前記外側ハウジング(4)の中で前記回転軸(6)の軸部分に固定された整流子(20)とを含むロータと、
前記外側ハウジング(4)に収容され、その上に配置された整流子(20)と接触するブラシ(24)を含むブラシホルダと、
を備え、
前記回転軸(6)に対して固定された可視識別マーク(8)が、前記モータの前記外側ハウジング(4)の外部に配置され、回転軸(6)の回転方向における前記ブラシ(24)と前記整流子(20)との間の相対位置が、前記回転軸(6)の回転方向における前記外側ハウジング(4)に対する前記可視識別マーク(8)の位置を参照することによって識別可能であ
前記ハウジングの外側で前記回転軸(6)に固定的に結合されて前記回転軸(6)と一緒に回転するウォーム(10)をさらに備え、前記ウォーム(10)は、ウォーム歯車に噛み合うように構成され、前記可視識別マーク(8)は、前記ウォーム(10)に配置される、モータ駆動組立体。
【請求項2】
前記可視識別マーク(8)は、前記外側ハウジング(4)の外部で前記回転軸(6)に配置される、請求項1に記載のモータ駆動組立体。
【請求項3】
前記可視識別マーク(8)は、前記回転軸(6)の外周面に配置された光学反射マーク、色マーク、又は平面である、請求項2に記載のモータ駆動組立体。
【請求項4】
前記可視識別マーク(8)は、前記外側ハウジング(4)から離れた前記回転軸(6)の一端に配置される、請求項2に記載のモータ駆動組立体。
【請求項5】
固定ブロック(16)が前記回転軸(6)に固定され、前記ウォーム(10)は、ねじ部分(12)と、前記ねじ部分(12)の一端における固定リング(14)とを含み、前記固定リング(14)は、前記固定ブロック(16)の周りに取り付けられて前記回転軸(6)の回転方向において前記固定ブロック(16)に対して固定され、前記可視識別マーク(8)は、前記固定リング(14)に配置される、請求項に記載のモータ駆動組立体。
【請求項6】
前記可視識別マーク(8)は、前記固定リング(14)の外周面に配置された光学反射マーク、色マーク、又は平面である、請求項に記載のモータ駆動組立体。
【請求項7】
前記可視識別マーク(8)は、前記外側ハウジング(4)から離れた前記ウォーム(10)の一端に配置される、請求項に記載のモータ駆動組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動組立体に関し、より具体的には、アークノイズを排除できるモータ駆動組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
モータの停止状態において、モータのブラシ及び整流子が、ブラシが2つの隣接する整流子のセグメントの両方に接近する相対位置にある場合、2つのセグメントは短絡してブラシと整流子との間で電気アークが発生する可能性があり、電気アークによって大きなアークノイズが生じる場合があり、これはモータのエンドユーザにとって非常に迷惑である。この問題は、特に整流子セグメントの数が少ない(例えば、3バー型電機子)場合に生じ易い。このようなアークノイズを防止するために、モータが停止状態にある場合に、ブラシと整流子との間の相対位置を制御することが必要である。しかしながら、作業者がモータを歯車伝達機構等の伝達機構に取り付ける場合、整流子及びブラシの全てが外側ハウジングの中に取り付けられるのでこれらを観察することができない。その結果、作業者は、モータ駆動機構が組み立てられた後にブラシと整流子との間の相対位置を知ることができないので整流子セグメント短絡を確実に防止することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、アークノイズを排除できるモータ駆動組立体に対する要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
モータを含むモータ駆動組立体が提供される。モータは、外側ハウジングと、外側ハウジングに収容されたロータ及びブラシホルダとを含む。ロータは、外側ハウジングから外に延びる回転軸を含む。外側ハウジングの内部にある回転軸の軸部分に整流子が固定される。整流子と接触するブラシがブラシホルダに配置される。回転軸に対して固定された可視識別マークがモータの外側ハウジングの外部に配置され、回転軸の回転方向におけるブラシと整流子との間の相対位置が、回転軸の回転方向における外側ハウジングに対する可視識別マークの位置を参照することによって識別可能である。
【0005】
好ましくは、可視識別マークは、外側ハウジングの外部に位置する回転軸の軸部分に配置される。
【0006】
好ましくは、可視識別マークは、回転軸の外周面に配置された光学反射マーク、色マーク、又は平面である。
【0007】
好ましくは、可視識別マークは、外側ハウジングから離れた回転軸の一端に配置される。
【0008】
好ましくは、モータ駆動組立体は、ハウジングの外部にある回転軸の軸部分に固定的に結合されて回転軸と一緒に回転するウォームをさらに備え、ウォームは、ウォーム歯車へ駆動的に結合するように構成され、可視識別マークはウォームに配置される。
【0009】
好ましくは、回転軸に固定ブロックが固定され、ウォームは、ねじ部分と、ねじ部分の一端にある固定リングとを含み、固定リングは、固定ブロックの周りに取り付けられて、回転軸の回転方向において固定ブロックに対して固定され、可視識別マークは固定リングに配置される。
【0010】
好ましくは、可視識別マークは、固定リングの外周面に配置された光学反射マーク、色マーク、又は平面である。
【0011】
好ましくは、可視識別マークは、外側ハウジングから離れたウォームの一端に配置される。
【0012】
以上を考慮して、本発明によるアークノイズを排除できるモータ駆動組立体では、回転軸に対して固定された可視識別マークは、モータの外側ハウジングの外部に配置され、回転軸の回転方向におけるブラシと整流子との間の相対位置は、回転軸の回転方向における外側ハウジングに対する可視識別マークの位置を参照することによって識別できる。従って、モータを歯車伝達機構に組み付ける際に、作業者は、可視識別マークを参照することによって、ブラシと整流子との間の相対位置を特定することができ、結果的にアークノイズが発生し易い位置で整流子が停止することを防止できる。本発明のモータ駆動組立体は、構造が簡単であり、製造が容易であり、ブラシの位置によって生じるアークノイズの問題に確実に対処することができるので、市場に出すのが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】1つの実施形態による回転軸上に配置された可視識別マークを示す。
図2】1つの実施形態によるモータの整流子及びブラシを示す。
図3】別の実施形態による回転軸上に配置された可視識別マークを示す。
図4】1つの実施形態による固定リング上に配置された可視識別マークを示す。
図5図4の実施形態における固定ブロックの装備を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の何れかの実施形態を詳細に説明する前に、本発明の用途は、以下の説明に記載された又は図面に示された構成部品の構成及び配置の詳細内容に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態とすることができ、様々な方法で実行又は実施される。また、本明細書で用いる語法及び用語は、説明を目的としており、限定的とみなすべきでないことを理解されたい。本明細書中の「含む」、「備える」、又は「有する」、及びその派生語の使用は、それ以後に列挙された要素及びその均等物以外に追加の要素を包含することを意味する。特に、「1つ」という用語の使用は、それ以後に列挙された要素の数を1つに限定することを意図していない。むしろ「1つ」という用語の後に列挙された1つ以上の要素を含むことができる。
【0015】
図1及び図2を参照すると、本発明の1つの実施形態によるアークノイズを排除できるモータ駆動組立体は、モータ2を含む。モータ2は、外側ハウジング4と、外側ハウジング4内に取り付けられたロータ及びブラシホルダ(これは外側ハウジング4によって隠蔽されているので不可視)とを含む。ロータは回転軸6を含む。回転軸6は、外側ハウジング4内の軸部分と、外側ハウジング4から外に延びる軸部分とを含む。外側ハウジング4内の軸部分には、整流子20が固定的に取り付けられており、整流子20は、回転軸6と一緒に回転することができる。整流子20は、円周方向に沿って配置された複数のセグメント22を含む。ブラシ24は、ブラシホルダ上に配置されて、整流子20の各セグメント22と弾力的かつ摺動可能に接触する。整流子20、ブラシホルダ、及びブラシ24は、全て外側ハウジング4内に配置される。上述したように、ブラシ24と整流子20との間の相対位置は、直接観察することができない。これらが不適切な位置で取り付けられる場合、隣接する整流子20の各セグメント22の間で短絡が生じる可能性がある。
【0016】
従って、例示の実施形態では、回転軸6に対して固定された可視識別マーク8が、モータ2の外側ハウジング4の外部に配置されており、回転軸6の回転方向におけるブラシ24と整流子20との間の相対位置は、回転軸6の回転方向における外側ハウジング4に対する可視識別マーク8の位置を参照することによって識別される。可視識別マーク8は回転軸6に対して固定され、整流子20も同様に回転軸6に対して固定されるが、ブラシホルダは外側ハウジング4に対して固定される。従って、ブラシの位置は直接観察できないが、整流子20とブラシとの間の相対位置は、外側ハウジング4に対する可視識別マーク8の位置に照らして間接的に特定することができる。
【0017】
可視識別マーク8は、外側ハウジング4の外部に位置しかつ回転軸6に対して固定された任意の部品上に配置することができる。例えば、可視識別マーク8は、外側ハウジング4の外部の回転軸6の軸部分上に配置すること、又は回転軸6に対して固定された別の部品上に配置することができる。
【0018】
図1に図示した実施形態では、可視識別マーク8は、外側ハウジング4から離れた回転軸6の一端に配置されかつ回転軸6の外周面上に形成された平面とすることができる。別の実施形態では、可視識別マーク8は、光学反射マーク又は色マークの形態といった別の形態とすることもできることを理解されたい。また、可視識別マーク8は、モータ組込みの実際の要求に応じて、外側ハウジング4に隣接する回転軸6の一端(図3を参照)等の、外側ハウジング4の外部の回転軸6の別の位置に配置することもできることを理解されたい。
【0019】
図4及び図5に示すように、別の実施形態では、モータ駆動組立体はウォーム10をさらに含み、ウォーム10は、外側ハウジング4の外部の回転軸6の軸部分に固定的に結合され、回転軸6と一緒に回転する。ウォーム10は、ウォーム歯車(図示しない)に駆動的に結合して、ウォーム歯車を駆動して回転させる。可視識別マーク8は、ウォーム10上に配置される。
【0020】
特に、ウォーム10は、ねじ部分12と、ねじ部分12の一端にある固定リング14とを含む。固定ブロック16は回転軸6に固定され、固定リング14は、固定ブロック16の周りに取り付けられて固定ブロック16に対して固定される。可視識別マーク8は固定リング14に配置される。
【0021】
本実施形態では、固定ブロック16は、一対の反対側にある平面及び一対の反対側にある円弧面を含む、4つの側面を有する。固定リング14は、固定ブロック16の形状と一致する形状を有するように構成され、固定ブロック16の周りに取り付けられた場合、固定リング14は、回転軸6の回転方向において固定ブロック16に対して固定される。固定ブロック16及び固定リング14の形状及びこれらの間の結合は、本明細書に説明及び図示されたものに限定すべきでないことを理解されたい。むしろ、回転軸6の回転方向において固定リング14及び固定ブロック16が互いに固定され、簡単かつ実際的な構造を有する限り、固定ブロック16は、三角形のような別の形状とすることもでき、固定リングの形状はそれに対応して変わる。
【0022】
例示の実施形態では、可視識別マーク8は、固定リング14の外面上に形成された平面8である。他の実施形態では、可視識別マーク8は、光学反射マーク又は色マークの形態といった別の形態とすることもできる。また、可視識別マーク8は、モータ組込みの実際の要求に応じて、外側ハウジングから離れたウォーム10の一端といったウォーム10上の別の位置にも配置できることに留意されたい。
【0023】
同様に、モータ2の組込みに際して、モータ2の内部のブラシの位置は固定される。可視識別マークとして役立つ平面8の向きは、同様に回転軸6上に固定される整流子の位置に対応する。従って、平面8の向きを観察することによって、整流子とブラシとの間の相対位置を特定することができる。例えば、平面8が上向きの場合、短絡位置(すなわち、1つのブラシが、2つの隣接する整流子セグメントの両方と接触する位置)を表すことができる。従って、例えば歯車伝達機構を用いて車両窓を上方へ又は下方へ移動させるように駆動するモータ用途において、作業者は、回転軸6を回転させることによって、外側ハウジングに対するモータ電機子の初期位置、すなわち識別マークの向きを調整することができ、それによってモータ電機子がその整流子の短絡位置で停止することを防止できる。
【0024】
要約すると、本発明によるアークノイズを排除できるモータ駆動組立体では、回転軸に対して固定された可視識別マークは、モータの外側ハウジングの外部に配置され、回転軸の回転方向におけるブラシと整流子との間の相対位置は、回転軸の回転方向における外側ハウジングに対する可視識別マークの位置を参照することによって識別できる。従って、モータを歯車伝達機構に組み付ける際に、作業者は、可視識別マークを参照することによって、ブラシと整流子との間の相対位置を特定することができ、結果的にアークノイズが発生し易い位置で整流子が停止することを防止できる。本発明のモータ駆動組立体は、構造が簡単であり、製造が容易であり、ブラシの位置によって生じるアークノイズの問題に確実に対処することができるので、市場に出すのが容易である。
【0025】
本発明は1又は2以上の実施形態を参照して説明されるが、上記の実施形態の説明は、当業者が本発明を実施又は使用できるようにするためだけに用いられる。当業者であれば、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく様々な修正が可能であることを理解できるはずである。本明細書に例示された実施形態は、本発明を限定するものとして解釈されるべきではなく、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲を参照することによって決定される。
【符号の説明】
【0026】
2 モータ
4 外側ハウジング
6 回転軸
8 可視識別マーク
20 整流子
24 ブラシ
図1
図2
図3
図4
図5