(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記放熱装置は、自装置の稼動指示が前記所定期間の終了前から前記所定期間の終了後に継続しているときは、前記所定期間の終了後、補填指示を含む前記動作要求を行い、
前記給湯器は、前記補填指示を含む動作要求を受けた場合は、前記循環ポンプの動作速度を通常より高めて前記循環流体加熱動作を行う
ことを特徴とする請求項1または2に記載の給湯システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シャワー使用時の快適性を確保する等の観点から、給湯動作を停止してから一定時間(たとえば、5分)の経過前に給湯動作を再開した場合における出湯温度の変動が、たとえば、±3℃以内に収まるようにする機能(Q機能と呼ばれる)が望まれる。
【0005】
しかしながら、給湯動作の停止後に、風呂の追い焚きや暖房のための燃焼が第2燃焼室で行われると、この燃焼のために燃焼ファンが作動するので、給湯側の第1燃焼室にも燃焼ファンからの空気が送り込まれ、給湯側の熱交換器が冷却されてしまう。そのため、給湯停止後の再給湯の際の出湯温度が著しく低下し、快適性や省エネルギー性が損なわれる。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、給湯停止後の一定時間内に給湯を再開した際の出湯温度が著しく低下することのない給湯システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0008】
[1]給湯器と、前記給湯器を熱源とする放熱装置を備えた給湯システムであって、
前記給湯器は、
第1燃焼室と、
前記第1燃焼室に収められ、給湯用の配管が通る第1熱交換器と、
前記第1熱交換器を加熱する第1バーナと、
第2燃焼室と、
前記第2燃焼室に収められ、前記放熱装置の放熱器が介挿された所定の循環経路の配管が通る第2熱交換器と、
前記循環経路に設けられた循環ポンプと、
前記第2熱交換器を加熱する第2バーナと、
前記第1バーナと前記第2バーナの少なくとも一方が燃焼中に作動して前記第1燃焼室と前記第2燃焼室の双方に燃焼用の空気を送風する燃焼ファンと、
前記給湯用の配管に通水があるときに前記第1バーナを燃焼させて給湯設定温度の湯を供給する給湯動作、および、前記放熱装置からの動作要求に応じて行う、前記循環ポンプを作動させて前記循環経路を循環する流体を前記第2バーナで加熱する循環流体加熱動作を制御する制御部と、
前記放熱装置と通信する通信部と、
を備え、
前記制御部は、前記給湯動作の動作状態を示す給湯動作情報を前記通信部を用いて前記放熱装置に送信し、
前記放熱装置は、前記給湯器から受信した前記給湯動作情報に基づいて前記給湯器が前記給湯動作を停止した後の所定期間か否かを判別し、前記所定期間中は、前記動作要求を禁止する、もしくは、前記動作要求で要求する熱量を所定量以下に制限する
ことを特徴とする給湯システム。
【0009】
上記発明では、給湯動作の停止後の所定期間は、放熱装置から給湯器への動作要求の送信を禁止等する。これにより、給湯動作の停止後、給湯動作が再開されなければ、燃焼ファンが停止した状態(あるいは小風量の状態)に維持され、燃焼ファンからの送風による給湯側熱交換器(第1熱交換器)の冷却が抑制されて、給湯再開時の出湯温度の著しい低下が防止される。
【0010】
[2]前記所定期間は、前記給湯動作の停止後であって前記給湯動作の再開前かつ前記給湯動作の停止から所定時間が経過する前の期間である
ことを特徴とする[1]に記載の給湯システム。
【0011】
[3]前記放熱装置は、自装置の稼動指示が前記所定期間の終了前から前記所定期間の終了後に継続しているときは、前記所定期間の終了後、補填指示を含む前記動作要求を行い、
前記給湯器は、前記補填指示を含む動作要求を受けた場合は、前記循環ポンプの動作速度を通常より高めて前記循環流体加熱動作を行う
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の給湯システム。
【0012】
上記発明では、放熱装置を稼動させているにもかかわらず、給湯動作停止後の所定期間において動作要求の送信を禁止等した場合は、該禁止等によって生じた加熱量の不足を補うために、禁止等を解除した後の循環流体加熱動作において循環ポンプの動作速度を通常より高める。
【0013】
[4]前記放熱装置は、前記給湯動作情報に基づいて、前記給湯器が停止した給湯動作がシャワーを用途とするものか否かを判別し、シャワーを用途
とする給湯動作であった場合にのみ、該給湯動作を停止した後の所定期間中に前記動作要求の送信を禁止する、もしくは、前記動作要求で要求する熱量を所定量以下に制限する
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の給湯システム。
【0014】
上記発明では、給湯停止直前の給湯使用がシャワーであると推定される場合にのみ、動作要求の送信を禁止あるいは要求する熱量を制限する制御を行う。
【0015】
[5]前記制御部は、前記所定期間は、前記給湯動作の停止に基づくポストファンを禁止する
ことを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか1つに記載の給湯システム。
【0016】
[6]前記制御部は、前記給湯動作の停止後の所定期間内に前記循環流体加熱動作が予定されている場合は、前記給湯動作の停止に基づくポストファンを行わない
ことを特徴とする[1]乃至[5]のいずれか1つに記載の給湯システム。
【0017】
上記発明では、給湯動作の停止後の所定期間内に循環流体加熱動作の実行予定がある場合には、循環流体加熱動作に伴う燃焼ファンの動作で、給湯ポストファンを代用する。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る給湯システムによれば、給湯停止後の一定時間内に給湯を再開した際に、当初の出湯温度が著しく低下することがなく、快適性や省エネルギー性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に係る給湯システム1の概略構成を示している。給湯システム1は、給湯器10と、該給湯器10を熱源とする放熱装置70および第2放熱装置80とを備えて構成される。給湯器10は、給水を加熱して浴室内のシャワーや台所の水栓等へお湯を供給(出湯)する給湯機能、浴槽2へ湯を落とし込む注湯機能、浴槽2内の湯水を追い焚きして昇温する追い焚き機能などを備えている。また、浴槽2に設定温度の湯を設定水位になるように自動的に湯張りし、湯張り完了後は設定水位・設定温度が所定時間(たとえば、4時間)に渡って維持されるように追い焚き等を行う風呂の自動運転機能を備えている。
【0022】
さらに給湯器10は、放熱装置70や第2放熱装置80に、加熱した熱媒体流体(ここでは、温水とする)を循環させる熱源機能を備えている。たとえば、放熱装置70は、高温暖房端末であり、温風を送出して浴室を温める浴室暖房器である。第2放熱装置80は、低温暖房端末であり、たとえば、床材の下に設置された床暖房用の温水マットなどである。
【0023】
給湯器10は、燃焼ファン11、および該燃焼ファン11が送風する空気が下方から送り込まれ、上部に排気口12を備えた縦長筒状の燃焼室13を備えている。燃焼室13は、仕切り板で縦に仕切ることにより内部が第1燃焼室13aと第2燃焼室13bに分かれている。燃焼ファン11は、第1燃焼室13aと第2燃焼室13bで兼用されており、第1燃焼室13aと第2燃焼室13bの双方に同時に送風して燃焼用の空気を供給する。
【0024】
第1燃焼室13aの下部には第1バーナ14aが設けられ、その上方には給湯用の配管が通る第1熱交換器15が配置されている。第1熱交換器15は、潜熱熱交換器15aと顕熱熱交換器15bで構成される。第2燃焼室13bの下部には第2バーナ14bが設けられ、その上方には所定の循環経路を構成する配管が通る第2熱交換器16が配置されている。第2熱交換器16は、第2潜熱熱交換器16aと、第2顕熱熱交換器16bで構成される。なお、燃焼ファンは、第1燃焼室13aと第2燃焼室13bに個別に設けられてもよいが、この場合、第1バーナ14aと第2バーナ14bの少なくとも一方が燃焼しているときは、両方の燃焼ファンが作動するように制御される。
【0025】
ここでは、上記の循環経路は、基礎経路と、基礎経路から分岐して放熱装置70の放熱器71を経由する高温暖房経路と、基礎経路から分岐して第2放熱装置80の放熱器81を経由する低温暖房経路と、浴槽2の湯水を追い焚きするための追い焚き回路で構成される。
【0026】
基礎経路は、第2顕熱熱交換器16bの出側から、管路21、流量制御弁22、水―水熱交換器23の一次側配管、管路24、管路25を経由して第2潜熱熱交換器16aに至り、第2潜熱熱交換器16aの出側からシスターン17、循環ポンプ18を経た後、管路26を通じて第2顕熱熱交換器16bの入側に戻る経路で構成される。さらに基礎経路は、第2顕熱熱交換器16bの出側に接続された管路21と第1顕熱熱交換器15bの出側とシスターン17との間の管路26を接続する連結管38を有する。連結管38の途中には、流量調整弁39が設けてあり、この流量調整弁39をバイパスするバイパス管38bが設けてある。
【0027】
シスターン17は、基礎経路を循環する水が所定量貯水される大気開放の容器である。シスターン17には、シスターン17内の水位を検出する水位センサが設けてあり、水位が所定値以下になると、後述する注水管61を通じて給水が補給されるようになっている。
【0028】
高温暖房経路は、管路21から分岐して放熱装置70が有する熱動弁72を介して放熱器71の入側に至る高温往き管31と、放熱器71の出側から合流部28のいずれか1つの入側接続口に至る高温戻り管32とから構成される。合流部28の出側に接続された管路29は、管路25と管路24の合流箇所に接続されて合流する。
【0029】
低温暖房経路は、循環ポンプ18の下流で管路26から分岐し、熱動弁33を経由してて第2放熱装置80の放熱器81の入側に至る低温往き管34と、放熱器81の出側から合流部28のいずれか1つの入側接続口に至る高温戻り管35とから構成される。
【0030】
追い焚き回路は、水―水熱交換器23の二次側の水管と、該二次側の水管の出側から浴槽2の循環口(出側)に至る風呂往き管36と、水―水熱交換器23の二次側の水管の入側から風呂循環ポンプ19を経由して浴槽2の循環口(入側)に至る風呂戻り管37とから構成される。
【0031】
第2顕熱熱交換器16bの出側に接続された管路21には、第2顕熱熱交換器16bから出る湯の温度を検出する熱交温度センサ41が設けてある。第2潜熱熱交換器16aの入側に接続された管路25には、第2潜熱熱交換器16aに戻る湯の温度を検出する戻り温度センサ42が設けてある。また風呂戻り管37には、風呂戻り温度センサ40が設けてある。循環ポンプ18の直ぐ下流の管路26には、低温暖房経路に送り出される湯温を検出する低温往き温度センサ49が設けてある。
【0032】
給水元から給水の供給を受ける給水管51は、第1潜熱熱交換器15aの入側に接続され、第1潜熱熱交換器15aの出側は第1顕熱熱交換器15bの入側に接続され、第1顕熱熱交換器15bの出側には、出湯栓に通じる給湯管52が接続されている。給水管51の途中には、給水管51を流れる給水の水量を検出する水量センサ53が設けてあり、その下流隣には給水元からの給水量を調整(制限)するための水量サーボ54が設けてある。
【0033】
水量サーボ54の下流の所定箇所で給水管51から分岐したバイパス管55は、給湯管52の所定箇所に合流し接続されている。バイパス管55の途中には、バイパス管55を通じて給水管51から給湯管52側に流す給水量を調整するためのバイパス混合弁56が設けてある。
【0034】
水量センサ53より上流側の給水管51には、給水の温度を検出する給水温度センサ43が設けてある。第1顕熱熱交換器15bの出側近傍の給湯管52には、第1顕熱熱交換器15b内の湯の温度を検出するための給湯熱交温度センサ44が設けてある。
【0035】
さらに、風呂戻り温度センサ40が設けられた箇所の近傍の風呂戻り配管37と、バイパス管55の合流箇所より下流の所定箇所の給湯管52は、連結管57で接続されており、連結管57の途中には、該連結管57を開通状態と遮断状態とに切り替える注湯電磁弁58と、風呂戻り配管37側から給湯管52への逆流を防止するための逆止弁59が介挿されている。
【0036】
また、給水管51の途中で分岐した注水管61がシスターン17に通じており、該注水管61の途中には、注水管61を開通状態と遮断状態とに切り替える電磁弁62が介挿されている。電磁弁62を開くと、シスターン17に水が補充される。
【0037】
燃焼ガスの供給経路は次の様になっている。燃焼ガスの供給元に接続されるガス供給管64の途中には、供給元からの燃焼ガスを遮断するか否かを切り替える元ガス電磁弁65が設けられ、その下流には、供給する燃焼ガスの量を任意に調整するためのガス比例弁66が設けてある。ガス供給管64は、ガス比例弁66の下流で2つに分岐し、一方は、ガス電磁弁67を介して第1バーナ14aに接続され、他方は、ガス電磁弁68を介して第2バーナ14bに接続されている。
【0038】
このほか、給湯器10は、外気温を検出する外気温度センサ45を有する。さらに、給湯器10は、当該給湯器10の動作を制御する制御部40を備える。制御部40はCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを主要部とする回路で構成され、ROMに格納されたプログラムに従ってCPUが各種の処理を実行することで給湯器10としての動作が実現される。
【0039】
制御部40は通信部46を備えている。通信部46は、使用者から各種の設定や運転の指示を受ける機能、設定内容や運転状況を表示する機能等を備えたリモートコントローラ(リモコンと略称する)、および、放熱装置70や第2放熱装置80と通信する機能を果たす。ここでは、リモートコントローラとして、風呂に設置された風呂リモコン47と、台所等に設置されたメインリモコン48がある。
【0040】
放熱装置70は、放熱器71と、放熱器71で受熱した温風が吹き出し口から出るように放熱器71に向けて送風する送風ファン73と、放熱装置70の動作を制御する制御部74を備えている。制御部74は、給湯器10と通信するための通信部75を備えている。また、制御部75には、使用者から、暖房運転のオンオフ、暖房温度の設定等の操作を受ける操作パネル76が接続されている。放熱装置70は、周囲の温度を検出する室温センサ77を備えている。
【0041】
第2放熱装置80はリモコンを有するが、その記載は省略する。第2放熱装置80のリモコンも制御部40の通信部46に接続されている。
【0042】
次に、給湯システム1における注湯動作、追い焚き動作、暖房動作の概要を説明する。
【0043】
<給湯動作>
出湯栓が開かれて給水管51内の通水を水量センサ53が検出すると、制御部40は、燃焼ファン11を作動させ、第1バーナ14aを点火し、第1バーナ14aで燃焼ガスを燃焼させる。給水元からの給水は、第1熱交換器15(第1潜熱熱交換器15aおよび第1顕熱熱交換器15b)を通る際に第1バーナ14aからの排気の熱を受けて加熱され、バイパス混合弁56が開いているときはさらにバイパス管55からの給水と混合された後、出湯栓へ出湯される。制御部40は、出湯温度が給湯設定温度になるように第1熱交換器15の燃焼量やバイパス混合弁56の開度等を制御する。水量センサ53が通水を検出しなくなると、第1熱交換器15への燃焼ガスの供給を遮断して第1熱交換器15の燃焼を停止させ、燃焼ファン11を停止させる。
【0044】
<注湯動作>
注湯動作は、風呂リモコン47やメインリモコン48から、風呂の自動運転や注湯の指示を受けた場合に実行される。注湯動作では、制御部40は、注湯電磁弁58を開くと共に、燃焼ファン11を作動させ、第1バーナ14aを点火して燃焼ガスを燃焼させる。これにより、給湯動作と同様にして生成された湯が連結管57を通じて風呂戻り管37に流れ込み、該風呂戻り配管37および風呂往き管36を通じて浴槽2に落とし込まれる。浴槽2内の湯が設定された水位になったら注湯動作は停止される。具体的には、注湯電磁弁58を閉じると共に、第1バーナ14aへの燃焼ガスの供給を遮断し、燃焼ファン11を停止させる。
【0045】
<追い焚き動作>
追い焚き動作は、風呂の自動運転の指示に基づいて上記の注湯動作が行われて設定水位に湯張りされた後、浴槽2内の浴槽水の温度を風呂設定温度まで昇温させるとき、あるいは、風呂の自動運転中に浴槽2内の湯水を風呂設定温度に維持するために昇温するとき、あるいは、使用者から追い焚きの指示を受けた場合に実行される。風呂の自動運転中に浴槽2内の湯水を風呂設定温度に維持するための追い焚き動作は、たとえば、30分毎に定期的に行われる。
【0046】
追い焚き動作では、制御部40は、流量制御弁22を開き、循環ポンプ18および風呂循環ポンプ19を作動させると共に、燃焼ファン11を作動させ、第2バーナ14bを点火し、該第2バーナ14bで燃焼ガスを燃焼させる。循環ポンプ18の作用により、循環経路内の湯水が第2熱交換器16及び水―水熱交換器23を経由して循環する。すなわち、第2熱交換器16の第2顕熱熱交換器16bを出た湯水は、管路21の途中の分岐箇所から流量制御弁22、水―水熱交換器23の一次側を通り、その後、管路24、管路25、第2潜熱熱交換器16a、シスターン17、循環ポンプ18、管路26を経て第2顕熱熱交換器16bに至るようにして循環する。なお、流量調整弁39は閉じてあるが、第2顕熱熱交換器16bの出側の管路21を通る湯の一部は、連結管38およびバイパス管38bを通じてシスターン17の上流で管路26に流れ込む。
【0047】
上記の動作と並列に、風呂循環ポンプ19の作用により、浴槽2内の浴槽水は、風呂戻り管37から水―水熱交換器23の二次側の水管を通り、風呂往き管36を経て浴槽2に戻るように循環する。循環経路を循環する循環水は、第2熱交換器16によって加熱され、水―水熱交換器23の一次側を通る際にその熱が水―水熱交換器23の一次側を循環する浴槽水に移動して浴槽水を昇温させる。
【0048】
<暖房動作>
暖房動作(循環流体加熱動作)は、放熱装置
70からの動作要求に基づいて行われる。放熱装置
70は操作パネル
76にて使用者から暖房運転をオンにする指示を受けると、操作パネル
76にて設定されている暖房設定温度と室温センサ
77が検出する室温を比較し、室温が暖房設定温度になるように暖房動作の動作要求を給湯器10に対して送信する。動作要求には、要求する熱量を示す情報が含まれる。放熱装置
70から暖房動作の動作要求を受信した給湯器10の制御部4
0は、循環ポンプ1
8を作動させると共に、燃焼ファン11を作動させ、第2バーナ14bを点火して該第2バーナ14bで燃焼ガスを燃焼させる。循環ポンプ1
8の作用により、湯水が暖房回路内で循環する。循環する湯水は、
第2熱交換器16を通る際に
第2バーナ14bからの排気の熱を受けて昇温され、放熱装置70の放熱器71を通る際に放熱して送風ファン73からの空気を暖める。
<暖房動作>
暖房動作には、高温暖房経路に約80℃の湯を送り出して循環させる高温暖房動作と、低温暖房経路に約60℃湯を送り出して循環させる低温暖房動作がある。
【0049】
高温暖房動作では、たとえば、高温暖房端末である放熱装置70の操作パネル76で暖房運転がオンにされると、放熱装置70は熱動弁72に通電すると共に、暖房運転オンの指示(高温暖房要求)を給湯器10の制御部40に送信する。より詳細には、操作パネル76にて設定されている暖房設定温度と室温センサ77が検出する室温を比較し、室温が暖房設定温度になるように暖房動作の動作要求を給湯器10に対して送信する。動作要求には、要求する熱量を示す情報が含まれる。
【0050】
高温暖房の動作要求を受けた給湯器10は、循環ポンプ18をオンにして第2バーナ14bを燃焼させ、燃焼ファン11を作動させる。
【0051】
熱動弁72は、通電されても直ぐには開弁せず、たとえば、通電開始から約1分経過後に開弁する。そのため、当初は(なお、流量制御弁22、低温暖房経路の熱動弁33は閉じているものとする)、循環ポンプ18によって送り出された循環水は、第2熱交換器16の第2顕熱熱交換器16bで加熱された後、管路21から高温往き管31には向かわずに、連結管38およびバイパス管38bを通り、さらにシスターン17を経て循環ポンプ18に至る短い経路を循環する。そのため、最初の10秒ほどで熱交温度センサ41の検出温度が約80℃に達し、第2バーナ14bがオフになる。その後、熱動弁72が開弁するまでの間(たとえば、約50秒間)は、第2バーナ14bの燃焼をオフした状態になる。
【0052】
熱動弁72が開弁すると、循環ポンプ18によって送り出された循環水は、第2熱交換器16の第2顕熱熱交換器16b、管路21、高温往き管31、放熱装置70の熱動弁72および放熱器71、高温戻り管32、合流部28、管路29、管路25、第2潜熱熱交換器16a、シスターン17を通って循環ポンプ18に至る経路を循環する。なお、第2顕熱熱交換器16bの出側の管路21を通る湯の一部は、連結管38およびバイパス管38bを通じてシスターン17の上流で管路26に流れ込む。
【0053】
このような経路で循環を開始すると、給湯器10の機外にあった高温往き管31や高温戻り管32の中の冷たい循環水が給湯器10に入って来るので、給湯器10は、放熱装置70に向けて送り出す湯の温度(熱交温度センサ41の検出温度)を80℃に維持するために、第2バーナ14bの燃焼を開始する。その後、約5分位は連続で燃焼するが、浴室が暖まってくると、その後は、燃焼をオン/オフさせて熱交温度センサ41の検出温度を80℃に維持する。なお、流量制御弁22が開いている場合は、第2顕熱熱交換器16bから出て管路21を流れる循環水は分岐し、その一部は水―水熱交換器23の一次側を経て管路24、管路25に至るように流れる。
【0054】
低温暖房動作では、たとえば、低温暖房端末である第2放熱装置80のリモコン(たとえば、床暖房用のリモコン)で暖房運転オンの操作を受けると、該リモコンから低温暖房運転をオンにする指示(低温暖房の動作要求)が給湯器10の制御部40に送信される。この指示を受けた給湯器10は、熱動弁33への通電を開始すると共に、循環ポンプ18をオンにして第2バーナ14bを燃焼させ、燃焼ファン11を作動させる。
【0055】
なお、この場合も熱動弁33が通電当初は開弁しないので、高温暖房端末が稼動していないときには、循環ポンプ18によって送り出された循環水はすぐに目標温度に達し、給湯器10は、その後、熱動弁33が開弁するまで第2バーナ14bの燃焼をオフした状態で待機する。
【0056】
熱動弁33が開弁すると、循環ポンプ18によって送り出された循環水は、循環ポンプ18の下流で分岐し、一方は、熱動弁33、低温往き管34、第2放熱装置80の放熱器81、低温戻り管35、合流部28、管路29、第2熱交換器16の第2顕熱熱交換器16b、シスターン17を経て循環ポンプ18に至る経路に流れる。分岐した他方は、第2顕熱熱交換器16bで加熱された後、連結管38(バイパス管38bおよび流量調整弁39)を通り、シスターン17を経て循環ポンプ18に至るように流れる。
【0057】
低温暖房動作では、最初の30分間は、ホットダッシュ運転という、急速暖房が行われる。具体的には、ホットダッシュ運転中は、流量調整弁39を開弁して、高温往き管31に向かう湯に、第2顕熱熱交換器16bで加熱された熱い湯をより多く混合するようにすると共に、熱交温度センサ41の検出温度が80℃(あるいは90℃)になるように第2バーナ14bの燃焼量を制御する。一方、ホットダッシュ運転中終了後の通常の低温暖房動作では、流量調整弁39を閉弁(あるいは開度を少なく)し、循環ポンプ18の下流の低温往き温度センサ49の検出温度が60℃になるように第2バーナ14bの燃焼量を制御する。
【0058】
給湯器10は、給湯動作と暖房動作や追い焚き動作を同時並行に実行できるが、本発明に係る給湯システム1では、給湯動作が終了した後の所定期間は、給湯動作を再開したときの出湯温度の低下を少なくするために、暖房動作や追い焚き動作(第2バーナ14bの燃焼)が行われないようにする等の制御(給湯側湯温保持制御)を行う。
【0059】
すなわち、給湯動作の停止後、暖房動作や追い焚き動作による第2バーナ14bの燃焼があると、燃焼ファン11は給湯動作の停止後も動作を継続するので、給湯側の第1熱交換器15が燃焼ファン11からの送風によって冷却され、給湯再開時の出湯温度が著しく低下してしまう。一方、暖房動作や追い焚き動作は、短時間停止させても、加熱対象である室内の空気の温度はそれほど大きく変化しない。そこで、給湯動作の終了後の所定期間は暖房動作や追い焚き動作が行われないようにする等の給湯側湯温保持制御を行う。
【0060】
以下、放熱装置70から動作要求に基づく暖房動作を抑制する場合の給湯側湯温保持制御について説明する。また、追い焚き動作や低温暖房の動作要求はないものとする。
【0061】
給湯器10は、給湯動作の動作状況を示す給湯動作情報を放熱装置70に対して送信し、これを受信した放熱装置70は、給湯器10から受信した給湯動作情報に基づいて給湯器10の状態が給湯動作停止後の所定期間中か否かを判断する。そして、給湯動作停止後の所定期間中は、暖房動作の動作要求の送信を禁止する、あるいは、動作要求で要求する熱量を所定量以下に制限するといった制御(給湯側湯温保持制御)を行う。ここでは、給湯動作停止後の5分間は、給湯再開時の温度変化を±3℃以内(雰囲気温度は常温、給水温度は16℃にて)にするQ機能が満足されるように上記の制御を行う。
【0062】
また、Q機能による快適性向上の効果が顕著に表れるのは、給湯使用がシャワーの場合である。すなわち、シャワーを使用中に一度止めて再使用するとき、ユーザは出湯温度の変動を全身で感じるため、温度変動が大きいとユーザに与える不快感が大きい。一方、台所等の水栓に出湯する場合、手指に触れるだけなので、温度低下に対する不快感は少ない。そこで、直前の給湯使用がシャワーの場合だけ、給湯側湯温保持制御を実行する。これにより、給湯側湯温保持制御によって暖房動作が禁止や制限されるケースが限定されるので、放熱装置70による暖房効果に与える影響を少なく抑えることができる。
【0063】
図2は、給湯器10が行う、燃焼ファン11の動作の制御を示す流れ図である。前述したように、暖房動作、追い焚き動作、給湯動作のいずれでも燃焼ファン11は作動する。詳細には、制御部40は、第1バーナ14aと第2バーナ14bのいずれか一方もしくは双方を燃焼させる場合(ステップS101;Yes)、燃焼量に応じた動作速度で燃焼ファン11を作動させる(ステップS102)。すなわち、燃焼量が少ないほど燃焼ファン11の動作速度を遅くし、燃焼量が多くなれば燃焼ファン11の動作速度を速くする制御を行う。その後、第1バーナ14aと第2バーナ14bの燃焼が共に停止した場合(ステップS103;Yes)、燃焼ファン11を停止させる。なお、上記のほか、所謂、ポストパージ、プリパージのために燃焼ファン11は動作するが、これらによる燃焼ファン11の動作については、後述する。
【0064】
図3は、給湯器10の制御部40が給湯動作情報の送信に関して行う処理を示す流れ図である。給湯動作を開始したら(ステップS121;Yes)、給湯動作中を示す給湯動作情報を作成して放熱装置70に送信する(ステップS122)。その後、給湯動作が停止したら(ステップS123;Yes)、直前の給湯動作がシャワーを用途
とする出湯であったか否かを判定する。たとえば、直前の給湯使用量が、7L/min〜13L/min であれば、もしくは、シャワーの最低使用量と考えられる 7L/min 以上であれば、直前の給湯使用がシャワーであったと判定する。あるいは、直前の給湯使用量がシャワーでの使用量に相当し、かつ、風呂リモコン47に給湯設定温度を変更する優先権がある場合にシャワー使用であると判定する。
【0065】
直前の給湯動作がシャワー使用によるものであると判定した場合は(ステップS124;Yes)、給湯動作の停止と、該停止した給湯動作がシャワー使用である旨を示す給湯動作情報を作成して放熱装置70に送信する(ステップS125)。一方、直前の給湯動作がシャワーでないと判定した場合は(ステップS124;No)、給湯動作の停止と、該停止した給湯動作がシャワー使用でない旨を示す給湯動作情報を作成して放熱装置70に送信する(ステップS126)。
【0066】
図4は、暖房動作に関して給湯器10が行う動作を示す流れ図である。放熱装置70から暖房動作の動作要求があるか否かを監視する(ステップS141)。放熱装置70から暖房動作の動作要求を受けたら(ステップS141;Yes)、該動作要求に補填指示が含まれるか否かを判断する(ステップS142)。補填指示が含まれていない場合は(ステップS142;No)、循環ポンプ18の動作速度を通常モードとし、要求された熱量に応じた燃焼量で暖房動作を実行し(ステップS143)、ステップS145に移行する。
【0067】
動作要求に補填指示が含まれる場合は(ステップS142;Yes)、循環ポンプ18の動作速度を通常よりも速い高速モードとし、要求された熱量に応じた燃焼量で暖房動作を実行し(ステップS143)、ステップS145に移行する。
【0068】
ステップS145では、放熱装置70からの動作要求の受信を監視し、動作要求が継続していれば(ステップS145;No)、ステップS142に戻って処理を継続する。暖房動作の動作要求が終了した場合は(ステップS145;Yes)、暖房動作を停止する(ステップS146)。なお、
図2に示したように、給湯動作中でなければ、暖房動作の停止により、第1バーナ14a、第2バーナ14bの双方の燃焼が停止するので、燃焼ファン11は停止する。
【0069】
次に、放熱装置70が行う給湯側湯温保持制御について説明する。
【0070】
図5は、放熱装置70の制御部74が行う、給湯側湯温保持制御の流れを示している。給湯器10から受信される給湯動作情報に基づいて、給湯器10が給湯動作中から(ステップS201)、給湯動作が終了したと判断したら(ステップS202;Yes)、直前に停止した給湯動作がシャワー使用であったか否かを判定する(ステップS203)。シャワー使用でなければ(ステップS203;No)、ステップS201に戻る。
【0071】
シャワー使用の場合は(ステップS203;Yes)、暖房動作の動作要求の送信を禁止もしくは要求する熱量を制限する状態(禁止・制限状態)に設定する(ステップS204)。そして、所定時間を計時するためのタイマーをスタートさせる(ステップS205)。このタイマーは、上記の禁止・制限状態を解除するまでの時間を計時する。給湯器10では、給湯動作終了後は第1バーナ14aが燃焼していないので、暖房動作の動作要求の送信を禁止すれば第2バーナ14bの燃焼が止まり、その結果、第1バーナ14a、第2バーナ14bの双方が燃焼しない状態になって燃焼ファン11が停止する。
【0072】
なお、放熱装置70は、暖房運転の指示を使用者から受けていなければ、そもそも暖房動作の動作要求を給湯器10に送信することはないが、暖房運転の指示を受けている場合であっても、禁止・制限状態が設定されていれば、この設定に従い、暖房運転の動作要求の送信を行わない、あるいは、暖房動作の動作要求で要求する熱量を制限する。
【0073】
タイマーに設定する時間は、たとえば、3分あるいは5分等の予め定めた時間とする。この時間は、前述のQ機能の目標時間(5分)、もしくは、それよりも、ある程度短い時間にされる。
【0074】
タイマーがタイプアップした場合は(ステップS206;Yes)、上記の禁止・制限状態を解除して(ステップS208)、ステップS201に戻る。上記タイマーがタイムアップする前に(ステップS206;No)、給湯使用が再開された場合は(ステップS207;Yes)、上記の禁止・制限状態を解除して(ステップS208)、ステップS101に戻る。
【0075】
図6は、放熱装置70が動作要求の送信に関して行う処理を示す流れ図である。暖房運転をオンにする指示(稼動指示)を使用者から受けるのを待ち(ステップS301;No)、稼動指示を受けたら(ステップS301;Yes)、
図5に示す処理によって禁止・制限状態に設定されているか否か調べる(ステップS302)。
【0076】
禁止・制限状態に設定されていなければ(ステップS302;No)、通常に動作要求を送信し(ステップS303)、稼動指示が終了したかを判断する(ステップS313)。稼動指示が終了した場合は(ステップS313;Yes)、暖房動作の動作要求の送信を停止して(ステップS314)、本処理を終了する。
【0077】
稼動指示が継続していれば(ステップS313;No)、ステップS302に戻り、暖房動作の動作要求を行っている状態下で禁止・制限状態に変化したか否かを調べる。
【0078】
禁止・制限状態に設定されている場合は(ステップS302;Yes)、禁止・制限の内容を判断する(ステップS304)。動作要求の送信が禁止されている場合は(ステップS304:動作禁止)、動作要求の送信を停止して(ステップS305)、ステップS307に移行する。これにより、第2バーナ14bの燃焼が停止し、
図2に示す制御により、燃焼ファン11が停止する。なお、暖房動作を停止した場合、循環ポンプ18の動作も停止する。
【0079】
要求する熱量を制限する設定がなされている場合は(ステップS304:制限)、要求する熱量を所定値以下に制限した動作要求を送信して(ステップ306)、ステップS307に移行する。この場合、給湯器10は、要求が示す制限された熱量に応じて第2バーナ14bの燃焼量を抑えて暖房動作を実行する。第2バーナ14bの燃焼量を少なく抑えることで、該燃焼量に応じて燃焼ファン11も小風量で動作する。
【0080】
ステップS307では、禁止・制限状態が解除されたか否かを判断し、禁止・制限状態が解除される前に(ステップS307;No)、稼動指示(放熱装置70の運転オンの指示)が終了した場合は(ステップS308;Yes)、動作要求の送信を停止して(ステップS314)本処理を終了する。稼動指示が終了する前に(ステップS308;No)、禁止・制限状態が解除された場合は(ステップS307;Yes)、補填指示を含む動作要求を給湯器10に送信する(ステップS309)。なお、補填指示を含む動作要求を受けた場合、給湯器10は、要求熱量に応じた燃焼量で第2バーナ14bを燃焼させながら、循環ポンプ18をこの燃焼量に対応する回転数より高い回転数で作動させて暖房動作を実行する。これにより、暖房動作を禁止あるいは熱量を制限していたい期間における暖房効果の低下を早期に補填することができる。
【0081】
補填指示を含む動作要求の送信を開始してから所定時間が経過する前に(ステップS310;No)、稼動指示が終了した場合は(ステップS311;Yes)、暖房動作の動作要求の送信を停止して(ステップS314)、本処理を終了する。
【0082】
補填指示を含む動作要求の送信を開始してから所定時間が経過したら(ステップS310;Yes)、補填指示を含まない通常の動作要求を送信する(ステップS312)。その後、稼動指示が終了したか否かを判断し、終了の場合は(ステップS313;Yes)、暖房動作の動作要求の送信を停止して(ステップS314)、本処理を終了する。
【0083】
稼動指示が継続している場合は(ステップS313;No)、ステップS302に戻って処理を継続する。
【0084】
このように、給湯動作が終了してから所定時間が経過するまでの間、暖房動作の動作要求の送信を禁止あるいは要求する熱量を制限することで、燃焼ファン11の動作が停止あるいは低速となり、燃焼ファン11からの送風によって第1熱交換器15の温度が低下してQ機能が損なわれることが防止・抑制される。
【0085】
たとえば、外気温度7℃、暖房動作中に給湯使用(たとえば、シャワーを使用)し、給湯使用を停止してから4分後に給湯使用を再開した場合、上記の給湯側湯温保持制御を行わなければ、出湯温度が40℃から30℃に低下するところ、給湯側湯温保持制御(タイマー設定時間3分の場合)を行えば、出湯温度は40℃から37℃に低下するに留まり、顕著な効果を得ることができる。
【0086】
なお、第2放熱装置80についても、放熱装置70と同様の給湯側湯温保持制御を行えばよい。追い焚き動作(あるいは追い焚き動作と第2放熱装置80による低温暖房動作)についての給湯側湯温保持制御は、給湯器10が第2バーナ14bの燃焼を禁止したりする、燃焼量を制限して行えばよい。
【0087】
次に、ポストファンの制御について説明する。
給湯動作の停止後、ポストファン(燃焼を伴わない燃焼排ガス排出のための燃焼ファン11の駆動)を省略、又はポストファンの時間を短くすると、温かい燃焼排ガスが器具(燃焼室13)内に留まる(もしくは留まる量が多くなる)。すなわち、給湯ポストファン(給湯動作の停止に伴うポストファン)による送風により熱交換器が冷やされるのを防止しつつ、温かい燃焼排ガスも器具内に留まることで、次回の給湯動作が短時間後に行われた場合の給湯の効率が高くなる。
【0088】
しかし、器具内に温かい燃焼排ガスを留めている内に、排気ガスの温度は低下する。この時、排気ガス中の水分が結露してしまうことがある。本来ならば、排気ガス中の水分が器具内で結露して、例えば点火系統に付着すると、イグナイタの高電圧が地絡することで点火不良を起こす場合があるのを防止するために、給湯ポストファンを十分に行って、結露の原因となる排気ガスを排出する。しかし、本実施の形態に係る給湯器10では、給湯使用による第1バーナ14aの燃焼を停止した後、すぐに燃焼ファン11を停止(給湯ポストファンを0秒にする)、又は給湯ポストファンの運転時間を短くする制御を行う。このため、結露が発生しやすくなる。
【0089】
そこで、給湯器10は、給湯単独使用時の給湯動作の停止(第1バーナ14aの燃焼停止)では、燃焼停止時にすぐに燃焼ファン11を停止させ、燃焼停止から5分間(Q機能を確保するための時間)は給湯動作の停止に伴うポストファンを禁止し、燃焼停止から5分後に給湯ポストファンを行うように制御する。これにより、結露しやすくなっている燃焼排ガスを、結露する前に器具外に排出、又は、結露してしまった水分を乾燥させて、地絡等点火不良の原因を取り除くことができる。なお、ポストファンを給湯動作の停止から5分後にすると、給湯熱交換器(第1熱交換器15)内の湯が保温材の代わりとなって、燃焼排ガスが結露しにくい状態をより長く維持することができる。
【0090】
他方、追い焚き動作や暖房動作と給湯動作が同時に行われる場合がある。給湯器10は、このような場合で、給湯動作が先に停止した時には、その後の所定時間において追い焚き動作や暖房動作の禁止または燃焼量の制限を行うと共に、給湯動作の停止に基づくポストファンを5分後に延期するので、燃焼ファン11からの送風によって給湯熱交換器(第1熱交換器15)が冷やされることが防止される。
【0091】
ところで、風呂の自動運転中に浴槽2内の湯水を風呂設定温度に維持するために昇温する動作(保温運転)を行う場合がある。すなわち、浴槽2の湯温を風呂設定温度に維持するために、例えば30分毎に、設定温度まで上昇させるための追い焚き動作が行われる。これにより、たとえば、風呂の自動運転中の4時間にわたり、浴槽2の湯は風呂設定温度に保温される。そのため、たとえば、給湯動作の停止と、予定されている追い焚き動作の開始時間とが近い場合がある。
【0092】
たとえば、30分毎の追い焚き動作の開始予定時刻の8分前に給湯使用が終わった場合には、給湯動作の停止から5分後に給湯ポストファンが行われ、さらに給湯動作の停止から8分後に追い焚き動作のために燃焼ファン11が動作することになる。追い焚き用の燃焼ファンと給湯用の燃焼ファンは共通なので、追い焚き動作のために燃焼ファン11が動作するならば、その直前に給湯ポストファンを行う必要はない。
【0093】
暖房運転についても同様で、設定温度に室温を維持するためにオンオフ燃焼が行われるが、燃焼オフ中の温度の低下状況から、次回の燃焼オンが何分後になるかを予測することができる。たとえば、給湯使用が終わってから7分後に次回の暖房運転による燃焼オンが予定されている場合がある。
【0094】
そこで、給湯動作停止から所定時間以内(たとえば、10分以内)に、追い焚き動作や暖房動作が予定されている場合には、給湯動作の停止から5分後に通常は行われる給湯ポストファンを省略して行わないように制御する。すなわち、所定時間内に予定されている追い焚き動作や暖房動作の燃焼による燃焼ファン11の駆動で給湯ポストファンを代用する。
【0095】
ただし、予定されていた追い焚き動作や暖房動作が中止される場合もある。たとえば、風呂の保温動作において風呂循環ポンプ19を駆動した結果、浴槽水の温度低下があまりみられず、予定していた次回の追い焚き動作を行わない決定がなされる場合がある。また、次回の追い焚き動作の予定時刻が来る前にユーザにより風呂の自動運転を停止する操作が行われる場合がある。そこで、給湯使用停止後の給湯ポストファンを省略する要因になった追い焚き動作や暖房動作の予定が消滅した場合には、その消滅時点を基点として(消滅時点が給湯停止から5分経過前であれば5分経過後に)給湯ポストファンを行うように制御する。
【0096】
図7は、給湯使用終了後のポストファンの制御を示す流れ図である。
給湯器10の制御部40は、給湯使用が終了すると(ステップS401;Yes)、Q機能を確保するためのタイマ―がタイムアップするのを待つ(ステップS402;No)。このタイマーは、たとえば、5分間に設定される。なお、給湯器10は、給湯使用が終了すると給湯側湯温保持制御を行うが、ここでは、該給湯側湯温保持制御において、第2バーナ14bの燃焼を上記のタイマーと同じ時間だけ禁止するものとする。
【0097】
上記のタイマーがタイムアップする前に給湯使用が再開された場合は(ステップS403;Yes)、第1バーナ14aの燃焼のために燃焼ファン11が作動するので、給湯ポストファンは不要となるので、本処理を終了する。なお、Q機能のタイマーがタイムアップする前に追い焚き動作や暖房動作の要求に基づいて第2バーナ14bが燃焼した場合にも、本処理を終了する。例えば、ステップS205;Yesとなって第2バーナ14bの燃焼禁止が解除されて追い焚き動作が開始したような場合がこれに該当する。
【0098】
また、Q機能のタイマーがタイムアップする前に給湯器10の運転がオフにされた場合は(ステップS404;Yes)、ポストファンを実行して(ステップS408)本処理を終了する。このポストファンは、給湯ポストファンではなく、運転オフに対応するポストファン(たとえば、給湯ポストファンより長い時間のポストファン)である。
【0099】
Q機能のタイマーがタイムアップすると(ステップS402;;Yes)、所定時間内に追い焚き動作や暖房動作に伴う第2バーナ14bの燃焼予定があるか否かを判断する(ステップS405)。所定時間はたとえば、5分等の時間に固定的に定める、あるいは、排気が結露するまでの残り時間を導出し、該残り時間もしくは該残り時間より少し短い時間を所定時間に設定する。この流れ図では、所定時間をQ機能のタイマーがタイムアップした以後の時間としたが、給湯動作の停止からの時間としてもよい。
【0100】
所定時間内に第2バーナ14bの燃焼予定がなければ(ステップS405;No)、給湯器10は、給湯ポストファンを実行して(ステップS408)、本処理を終了する。
【0101】
所定時間内に第2バーナ14bの燃焼予定があれば(ステップS405;Yes)、給湯器10は、該燃焼予定に係る第2バーナ14bの燃焼が開始したとき(ステップS406;Yes)、本処理を終了する。給湯器10は、燃焼予定に係る第2バーナ14bの燃焼が開始する前にその燃焼予定が、運転オフや風呂自動運転、暖房運転のオフ等によって消滅した場合は(ステップS407;Yes)、ポストファンを実行して(ステップS408)、本処理を終了する。この際、給湯器10は、燃焼予定の消滅が風呂の自動運転や暖房運転のオフに由来するものであれば給湯ポストファンを行い、給湯器10の運転オフに由来する場合は、運転オフに対応するポストファン(たとえば、給湯ポストファンより長い時間のポストファン)を実行する。
【0102】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0103】
実施の形態では、循環経路を暖房回路としたが、ミストサウナ用の熱媒体流体を循環させる回路等であってもかまわない。
【0104】
実施の形態では、直前の給湯動作がシャワー使用の場合にのみ暖房動作の動作要求を禁止あるいは要求する熱量を制限するようにしたが、シャワー使用か否かにかかわらず給湯動作の停止後の所定期間は動作要求の送信の禁止や要求する熱量を制限するように構成されてもよい。
【0105】
なお、放熱装置70は、暖房動作の動作要求の送信を禁止している状態では、送風ファン73を停止させる、あるいは送風ファン73の動作速度を低速にする。暖房動作の動作要求で要求する熱量を制限している場合は、送風ファン73の動作速度を低速に制限する。
【0106】
給湯器10が放熱装置70に対して、給湯器10の動作状況や各種センサの検出温度等の情報を送信する場合には、それらの情報に基づいて、禁止・制限状態を継続する所定時間の長さを変更するようにしてもよい。たとえば、外気温度、第1熱交換器15の温度、給湯器10の設置場所の風の強さなど情報に基づいて禁止・制限状態を継続する所定時間の長さを変更する。
【0107】
詳細には、給湯器10が給湯熱交温度センサ44を有して給湯器10から放熱装置70へ第1熱交換器15の温度を通知する場合には、給湯動作停止後の第1熱交換器15の温度の低下度合いに基づいて禁止・制限状態を継続する所定時間の長さを変更する。具体的には、放熱装置70は、
図5のステップS205においてタイマーに規定時間を設定する。その後、第1熱交換器15の温度低下の状況を監視し、温度低下の度合いが基準より少なければ、早期に燃焼ファン11の動作を再開させてもQ機能を満足できるので、タイマーがタイムアップするまでの残り時間を短く変更する。
【0108】
また、給湯器10が給湯熱交温度センサ44の検出温度を通知せず、外気温度センサ45が検出した外気温度、もしくは外気温度と設置場所での風の強さを放熱装置70に通知する場合には、外気温度あるいは外気温度と風の強さに基づいて、給湯動作停止後の第1熱交換器15の温度の低下度合いを推定し、温度の低下度合いが大きいほど、時間が長くなるように、タイマーに設定する時間を変更するようにしてもよい。
【0109】
たとえば、外気温度が高い夏場は、第1熱交換器15の温度の低下度合いが小さいので、タイマーに設定する時間を短くし、早期に禁止・制限状態が解除されて燃焼ファン11が動作しても、5分間経過までQ機能を達成することができる。設置場所での風の強さを考慮するのは、風が強い場合、この風が排気口から流入して第1熱交換器15が冷却されることによる。なお、風の影響で燃焼ファン11に加わる負荷が変わるので、風の強さは、給湯動作停止直前の給湯動作で燃焼ファン11を単位時間駆動するために要した電力や電流の大小に基づいて判断することができる。
【0110】
なお、給湯器10は、第1潜熱熱交換器15a、第1顕熱熱交換器15b、第2潜熱熱交換器16a、第2顕熱熱交換器16bを有する潜熱回収型を例示したが、潜熱熱交換器を具備せず、顕熱熱交換器のみを有するタイプであってもかまわない。