【実施例】
【0160】
実施例1
実験
図1及び
図2は、MAPKシグナル経路とMEK5シグナル経路をそれぞれ示す。MEK5を抑制する化合物を設計する戦略を開発するため、EGFを介したpERKイソ型の形成の抑制の細胞アッセイをHEK293(腎臓)とBT−474細胞株の合成済みの抑制剤で行った。設計戦略は、
図3に示す4つのエリアについて検討した。側鎖のバリエーションを、溶解度を変化させるためにターゲットとし、MEK5の予想された反応を調べるために使用した。設計戦略エリア2及び3は、それぞれ、アミド変化形と中央のアレーンに集中した。第4のエリアは、末端アレーンであり、ゴールは置換の必要性を最小限にすることと、MEK5の選択的相互反応を促進することである。
【0161】
化合物の合成は、大きく分けて2種類のアプローチにより多数のスキームを使用して行った。第1のアプローチは、リチウムアミドの置換である。化合物9a〜9jを
図4に示すスキームで合成した。化合物15は、
図5に示すようにEDCIカップリングで合成した。
図6は、第1アミド化合物3、18、19の合成を示すものである。
【0162】
第2のアプローチはウルマン結合である。化合物23と化合物24は、酸塩化物を介して
図7に示されるスキームにより合成された。化合物23の合成は、DIC結合により
図8に示すように向上した。
【0163】
MEK5抑制剤である可能性について、多数の化合物をテストした。MDA−MB−231トリプルネガティブ乳がん細胞株を10μMの化合物24、9b、9a、9c、9e、9f、9d、9h、23、7、及び15で30分間前処理し、その後上皮成長因子(EGF、50ng/mL)で15分間刺激した。賦形剤処理をした細胞と公知のMEK1/2抑制剤細胞をそれぞれDMSOとU0126とで30分間前処理し、その後EGF刺激を15分間行った。タンパク質可視化と定量分析をLI−CORオデッセイイメージャーを用いて行った。ウェスタンブロット分析の結果を
図9に示す。
*P<0.05vs.賦形剤、一元配置分散分析、その後テューキー=クレーマー法(n=3)。pERKイソ型のEGF介在形成の抑制についての細胞アッセイの結果の表を
図10に示す。
【0164】
増殖研究を、トリプルネガティブがん表現型を示すMDA−MB231細胞を使用して行った。MEK1/2とMEK5の両方を抑制する可能性があるので、化合物3を選択した。5%活性炭デキストラン処理済み培地を用いた96ウェルTCプレートにMDA−MB231細胞をウェル毎に1万個蒔き、5%CO
2雰囲気下1晩37℃にて培養した。次の日、上記細胞を薬剤または賦形剤で処理した。プレートは、3日目、5日目、7日目に採取され、クリスタルバイオレットで染色された。細胞の形態の変化を倒立顕微鏡で観察した。細胞を洗浄し、溶解させ、生体細胞で失われるクリスタルバイオレットの吸光度を630nMで測定した。ウェルは重複して作製された。実験は3回実施された。細胞は初期細胞数にて正常化された。結果を
図11に示す。
【0165】
増殖試験により、化合物3には用量応答効果があることが示された。未処理の試料(DMSO)と比較し、7日目に増殖が70%減少した。飽和濃度でも化合物3からは明らかな細胞死は見られなかった。
【0166】
増殖試験期間中にMDA−MB231細胞を試験した。未処理(DMSO)細胞は、移動性かつ侵襲性の間葉表現型である細長い、くぎ状の細胞形態を示した。該細胞を1μMの化合物3で処理すると、大多数の細胞の表現型が変化したことが観察された。この処理濃度が増殖を抑制した。より高濃度(10μM)の化合物3で処理すると、殆ど全ての細胞が、より丸い表現型である、移動性が低く、侵襲性も低い上皮表現型に戻ったことが観察された。観察された表現型の転換は、間葉表現型に戻ることなく14日間持続した。
図12を参照。
【0167】
表2は、最も活性が高いか最も可能性が高い化合物を5種類示したものである。
【0168】
【表2】
【0169】
これら結果は、共に、本明細書で開示された化合物が、様々ながんの治療及び/または予防、特にMEK5が過剰発現また顕著に上方制御されたがんの治療及び/または予防をする組成物または方法を提供することを示す。また、これら化合物は、MEK1/2及び/またはMEK5シグナル経路に関する他の疾患の治療及び/または予防のための組成物や方法を提供する。
【0170】
実施例2
合成方法
全ての溶媒と試薬は、別途記載がないかぎり、受領された状態そのままで使用された。全ての反応は、別途記載が無い限り乾いたガラス器具を用いて、アルゴン雰囲気下で行われた。シールしたチューブ内でマイクロ波反応を行い、マルチモードマイルストーンスタート装置を使用して、記載の電力と制御パラメータで放射を行った。融点は、MelTemp装置で測定され、修正は行わなかった。全てのプロトンNMRスペクトルは、ブルーカーアヴァンスシステム(Bruker Avance system)で制御されたオックスフォードスペクトロスピンクリオスタット(Oxford spectrospin cryostat)を用いて500MHzまたは400MHzで測定され、ブルーカートップスピン2.0取得ソフト(Bruker TOPSPIN2.0 acquisition software)で取得された。取得したFIDを、MestReC3.2を用いて分析した。元素分析は、アトランティックマイクロラブを用いて実施され、理論的に±0.4である。全ての
1H NMRスペクトルは、別途記載が無い限りCDCl
3を用いて測定された。内部標準であるTMSに対するppmとして報告する。カップリング値をヘルツで報告する。全てのTLCは、厚さ200μmのソルベントテクノロジーポリエステルバックドシリカG TLCプレートで測定された。
【0171】
一般方法A
3,4−ジフルオロ−2−((2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ)安息香酸(SC−1−180)(39) 250mLの丸底フラスコに2−フルオロ−4−ヨードアニリン(38;2.38g、10.0mmol)、2,3,4−トリフルオロ安息香酸(37;1.80g,10.2mmol)、そして無水THF(30mL)を仕込んだ。該反応混合液を氷水浴で0℃に冷却し、LiNH
2(561.2mg,24.45mmol)を3回に分けて10分かけて添加した。その後、反応は、内部温度58℃まで温め、12時間攪拌した。該混合液を0℃まで冷却し、反応混合液の温度を0℃に保ちながら1NのHClを添加して、最終pH1.0を得た(ピハイドリン紙(pHydrion paper)で赤)。次に反応混合液を10mLのEt
2Oを用いて3回抽出し、5mLの1NのHClで3回洗浄し、NaCl(飽和水溶液)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥した。抽出物をデカントし、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を2:1ヘキサン/EAを用いてSiO
2で単離し、白色の固体を2.11g(53%)得た。MP=199.0−200.1℃(lit.MP=200−201℃) SiO
2 TLC R
f 0.51(2:1へキサン/EA)
1H NMR(400MHz,MeOD−d4):δ6.74(m, 1H, Ar),6.91(m, 1H, Ar),7.38−7.45(d, 1H, J=8.5Hz,Ar),7.47(dd,1H,J
1=1.8Hz and J
2=10.5Hz,Ar),7.89(br, 1H, Ar) 計算値 C
13H
7F
3INO
2:C,39.72;H,1.79;N,3.56.実測値:C,39.41;H,1.91;N,3.52.
【0172】
一般手順B:アミド合成の酸塩化物アプローチ
乾燥した100mLの丸底フラスコに3,4−ジフルオロ−2−((2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ)安息香酸(39)及びDCMを5mL仕込んだ。該反応混合液を氷水浴で0℃に冷却した。無水DMFを100μL添加し、純粋な塩化オキサリル(2当量)を5分かけて滴下した。該反応液を23℃で4時間攪拌した。次に溶媒を減圧下で除いた。余剰の塩化オキサリルを、減圧下で2x5mLのDCMと共沸させて除去した。該粗生成物を5mLのDCMに溶解し、適切なアミンを精確に0℃で添加した。10分後氷水浴を除き、該反応液を放置して室温にした。その後該反応液を23℃で6時間攪拌し、反応が終了したことをTLCで確認した。10mLのH
2Oと10mLのEt
2Oの混合液を添加し、結果得られた混合液をEt
2Oで抽出し、NaCl(飽和水溶液)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥した。抽出物をデカントし、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をヘキサン/EAを用いてSiO
2で単離した。
【0173】
3,4−ジフルオロ−2−((2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ)安息香酸(SC−1−151)(57):手順Bを用いて、3,4−ジフルオロ−2−((2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ)安息香酸(39;1.2g,3.0mmol)と7NのNH
3(メタノール溶液)(2mL,15.73mmol)から合成した。粗生成物を2:1ヘキサン/EAを用いてSiO
2で単離し、ピンク〜白色の粉末を900mg(73%)得た。MP=160.9−162.0℃。 SiO
2TLC Rf 0.29(2:1ヘキサン/EA)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ5.72−6.22(br. d, 2H, NH
2),6.60−6.64(m, 1H, NH), 6.85−6.90(m, 1H, Ar),7.34(d,1H,J=8.5Hz, Ar),7.39−7.43(m, 2H, Ar),8.71(s, 1H, Ar).計算値 C
13H
8F
3IN
2O:C,39.82;H,2.06;N,7.14.実測値:C,39.86;H,2.18;N,7.24.
【0174】
N,N−ジエチル−3,4−ジフルオロ−2−((2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ)ベンズアミド(SC−1−65)(59):化合物59を手順B(酸塩化物アプローチ)を用いて、3,4−ジフルオロ−2−((2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ)安息香酸(39;200mg,0.51mmol)とジエチルアミン(0.16mL,1.53mmol)から合成した。粗生成物を1:1ヘキサン/EAを用いてSiO
2で単離し、ヘキサンから再結晶させて、白色の固体を100.2mg(45%)得た。MP=78.9−80.1℃。 SiO
2TLC Rf0.7(1:1ヘキサン/EA)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ1.07(br, 6H), 3.22−3.46(br.d, 4H, 2N−CH
2),6.50(s, 1H, NH)6.51−6.55(m, 1 H, Ar),6.9−7.04(m,2H, Ar),7.27−7.29(d,1H,J=8.5Hz,Ar),7.34−7.37(dd, 1H, J
1=1.9Hz and J
2=10.5Hz, Ar). 計算値 C
17H
16F
3IN
2O:C, 45.5; H, 3.60; N, 6.25; F, 12.72; I, 28.31.実測値:C, 45.25; H, 3.57; N, 6.25; F, 12.86; I, 28.22.
【0175】
3,4−ジフルオロ−2−((2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ)−N,N−ジメチルベンズアミド(SC−1−69)(58):化合物58を手順Bにより、3,4−ジフルオロ−2−((2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ)安息香酸(39;200.0mg,0.51mmol)及びジメチルアミンHCl(408mg,5.0mmol)から合成した。ジメチルアミンHClを5mLのH
2Oに溶かした溶液をNa
2CO
3(7mmol)、H
2O(5mL)、DCM(25mL)、及びDMAP(5.0mg,0.04mmol)の懸濁液に0℃で滴下した。酸塩化物のDCM溶液を5分かけて添加し、該反応液を23℃で2時間攪拌した。10mLのH
2Oと50mLのDCMの混合液を添加し、得られた混合液をH
2O(2x10mL)で洗浄し、NaCl(飽和水溶液)で洗浄し、そしてNa
2SO
4で乾燥した。粗生成物を2:1ヘキサン/EAを用いてSiO
2で単離し、白色固体を47mg(22%)得た。MP=115.4−117.7℃。 SiO
2 TLC Rf 0.61(2:1ヘキサン/EA)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ2.96(br, 3H, CH3), 2.91(br, 3H, CH
3), 6.53−6.59 (m, 1H, Ar), 6.82(s, 1H, NH), 6.91−6.95 (m, 1H, Ar), 7.02−7.06 (m, 1H, Ar), 7.29−7.31(d,1H,J = 8.5Hz, Ar), 7.36−7.39(dd, 1H, J
1 =1.9 Hz and J
2 = 10.4Hz, Ar).計算値 C
15H
12F
3IN
2O:C,42.8;H,2.8;N,6.67;F,13.5;I,30.2.実測値:C,42.69;H,2.89;N,6.53;F,13.45;I,29.99.
【0176】
3,4−ジフルオロ−2−((2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ)−N−メチルベンズアミド(SC−1−72 アミド)(60):手順Bを用い3,4−ジフルオロ−2−((2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ)安息香酸(39;315mg,0.8mmol)とメチルアミン(メタノール溶液)(0.5mL,4mmol,8M)から合成した粗生成物をSiO
2で5:1ヘキサン/EAを用いて単離し、加温されたEtOHから再結晶されて白色の固体を203mg(63%)得た。MP=159.0−160.2℃。 SiO
2TLC Rf 0.51(1:1ヘキサン/EA)。
1H NMR(500MHz,CDCl
3):δ2.95(d, 3H, J=4.8Hz), 6.23(br, 1H, NH), 6.54−6.59 (m, 1H, Ar), 6.82−6.88(m, 1H, Ar), 7.28−7.32(m, 2H, Ar), 7.40 (dd, 1 H, J=1.9Hz and J =10.3Hz, Ar), 8.61(s, 1H, NH).計算値 C
14H
10F
3IN
2O:C,41.40;H,2.48;N,6.90;F,14.03;I,31.25.実測値:C,41.67;H,2.51;N,6.79;F,13.79;I,31.35.
【0177】
3,4−ジフルオロ−2−((2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ)安息香酸メチル(SC−1−72エステル)(62):手順Bを用いた化合物60を3,4−ジフルオロ−2−((2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ)安息香酸(39;315mg,0.8mmol)とメチルアミン(メタノール溶液)(0.5mL,4mmol,8M)から合成する際の副産物として得た。該生成物は60mg(17%)の白色の固体として得られた。MP=118.5−111.4℃。 SiO
2 TLC Rf 0.82(2:1ヘキサン/EA).
1H NMR(400MHz, CDCl3):δ3.91(s, 3H),6.65−6.71(m,1H, Ar), 6.74−6.80 (m, 1H, Ar), 7.35(d, 1H, J = 8.6Hz), 7.42 (dd, 1H, J=1.9Hz and J=10.2Hz, Ar), 7.78−7.82(m, 1H, Ar), 9.04 (s, 1H, NH).計算値 C
14H
9F
3INO
2:C,41.30;H,2.23;N,3.44;F,14.00;I,31.17.実測値:C,41.43;H,2.08;N,3.52;F,14.18;I,31.31.
【0178】
Tert−ブチル4−(3,4−ジフルオロ−2−((2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ)ベンゾイル)ピペラジン−1−カルボン酸塩(SC−1−75)(64):化合物64を、手順Bを用い3,4−ジフルオロ−2−((2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ)安息香酸(39;1.00g,2.54mmol)及びN−Boc−ピペラジン(2.85g,5.08mmol)から合成した。酸塩化物を6mLのDCMに溶解した溶液をN−Boc−ピペラジン、TEA(0.70mL, 5.08mmol)、DCM(12mL)及びDMAP(5.0mg,0.04mmol)の溶液に0℃で滴下し、該反応液を23℃で2時間攪拌した。粗生成物をSiO
2で2:1ヘキサン/EAを用いて単離し、630mg(44%)の白色の固体を得た。MP=188.4℃。 SiO
2TLC Rf0.5(1:1ヘキサン/EA)。
1H NMR(400MHz, CDCl
3):δ1.45(s, 9H), 3.34−3.55(m, 8H),6.53−6.58(m,1H,Ar), 6.62 (s, 1H, NH),6.92−6.96(m, 1H,Ar), 7.03(m, 1H, Ar),7.30(d, 1H, J = 8.9Hz, Ar),7.39(dd, 1H, J = 1.9Hz and J=10.4Hz, Ar).計算値 C
22H
23F
3IN
3O3:C,47.07;H,4.13;N,7.49;F,10.15;I,22.61.実測値:C,47.22;H,4.18;N,7.40;F,9.94;I,22.64.
【0179】
(3,4−ジフルオロ−2−((2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ)フェニル)(ピペラジン−1−イル)メタノン塩酸塩(SC−1−79)(63):化合物64(530mg, 0.94mmol)と1:1の15mL(v/v)のHCl/ジオキサンから合成した。化合物64の溶液を250mLのRBFに仕込み、15mLの1:1濃度のHClのDioxane溶液を添加して、23℃で3.5時間攪拌した。粗生成物を高温のEtOHから再結晶させ、340mg(79%)の白色の固体を得た。MP=201.2−203.6℃。
1H NMR (400MHz, MeOD−d4):δ3.08(br, 4H),3.60(m, 4H), 6.58−6.62(t, 1H, Ar),7.12−7.22(m, 2H, Ar), 7.32(d, 1H, J=8.5Hz, Ar) 7.46 (dd, 1H, J=1.9Hz and J =10.8Hz, Ar).計算値 C
17H
15F
3IN
3O:C,41.03;H,3.24;N,8.44;F,11.45;I,25.50.実測値:C,40.77;H,3.38;N,8.34;F,11.20;I,25.24.
【0180】
N−エチル−3,4−ジフルオロ−2−((2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ)ベンズアミド(SC−1−80)(61):手順Bにより3,4−ジフルオロ−2−((2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ)安息香酸(39;315mg,0.8mmol)及びエチルアミンの2MのTHF溶液(2.25mL, 4.5mmol)から合成した。粗生成物をSiO
2で2:1ヘキサン/EAを用いて単離し、加温されたEtOHから再結晶されて白色の固体を155mg(41%)得た。MP=172.5−173.6℃。 SiO2TLC R_f_ _0.7 (2:1ヘキサン/EA)。
1H NMR(400MHz, CDC
l3):δ1.19(t, 3H, J=7.3Hz), 3.38−3.45(m, 2 H), 6.22(br, 1H, NH), 6.54−6.59 (m, 1H, Ar), 6.82−6.89(m, 1H, Ar), 7.31 (m, 2H, Ar), 7.40 (dd, 1H, J=2.0Hz, J=10.3Hz, Ar), 8.52 (s, 1 H, NH).計算値 C
15H
12F
3IN
2O:C, 42.88; H, 2.88; N, 6.67; F, 13.56; I, 30.20.実測値:C, 42.89; H, 2.89; N, 6.60; F, 13.57; I, 30.47.
【0181】
N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−3,4−ジフルオロ−2−((2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ)−N−メチルベンズアミド塩酸塩(SC−1−122)(65):手順Bを用いて3,4−ジフルオロ−2−((2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ)安息香酸(39;360mg,0.88mmol)及びN,N,N’−トリメチルエタン−1,2−ジアミン(0.34ml,2.64mmol)から合成した。N,N,N’−トリメチルエタン−1,2−ジアミン(0.34 ml, 2.64 mmol)、TEA (0.37 mL, 2.64 mmol)及びDMAP(6mg,0.05 mmol)を3mLのDCMに溶解した溶液を、酸塩化物をDCMに溶解した溶液に5分かけて滴下し、該反応液を23℃で12時間攪拌した。粗組成物をSiO
2でCHCl
3と5% MeOHを用いて単離し、290mgを得た。HCl塩をHClのエーテル溶液から生成し、高温のエタノールから再結晶して、168.2mg(40%)の白色の固体を得た。MP=211−213℃。 SiO2 TLC Rf0.7(DCM/ 5%MeOH/0.1% NH
4OH)。
1H NMR(500 MHz, DMSO−d6) :δ 2.78 (s, 6 H, 2CH
3), 2.84 (s, 3 H, CH
3), 3.13(m, 2 H, CH
2), 3.61(t, 2 H, CH
2), 6.59−6.63 (t, 1 H, Ar), 7.27−7.33 (m, 2 H, Ar),7.52−7.53 (dd, 1 H, J = 1.6 Hz, J = 11.3 Hz, Ar), 8.05 (s, 1 H, Ar), 10.06 (s, 1 H, NH).計算値 C
18H
20ClF
3IN
3O:C, 42.08; H, 3.92; N, 8.18; F, 11.09; I, 24.70.実測値:C, 42.21; H, 3.98; N, 8.09; F, 11.22; I, 24.52.
【0182】
手順C(ウルマン結合)
2−((2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ)安息香酸(SC−1−14)(98):マイクロ波反応器チューブにオルト−ヨード安息香酸(496mg, 2mmol)、2−フルオロ−4−ヨードアニリン(237mg, 1mmol)、K
2CO
3(416mg,3mmol)、CuI(200mg,1.04mmol)及び5mLのDMF/H2O(9:1)を仕込んだ該反応液を、内部温度を100℃に保ちながら2時間300Wのマイクロ波放射に晒した。完了後、該反応液をTLCで分析し、1NのHCl(約4 mL)を該反応混合液に添加して、最終的な溶液pH6.0を得た。その後溶媒を減圧下で除去した。 粗生成物をSiO2で1:1ヘキサン/EAを用いて単離し、217mg(61%)の白色の固体を得た。MP=186.2−186.5℃。SiO
2 TLC Rf 0.70(1:1 ヘキサン/EA)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 6.85 (t, 1 H, J = 7.1 Hz, Ar), 7.11(d, 1 H, J = 8.6 Hz, Ar), 7.20 (t, 1 H, J = 8.4 Hz, Ar), 7.42 (m, 2 H, Ar), 7.50 (dd, 1 H, J = 2.0 Hz and J = 9.8 Hz, Ar), 8.06 (dd, 1 H, J = 1.6 Hz and J = 8.1 Hz, Ar), 9.25 (s, 1 H, CO2H).計算値 C
13H
9FINO
2:C, 43.72; H, 2.54; N, 3.92.実測値:C, 43.81; H, 2.65; N, 3.80.
【0183】
(2−((2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ)フェニル)(4−メチルピペラジン−1−イル)メタノン塩酸塩(SC−1−24)(74):乾燥した100mLの丸底フラスコに化合物98(140mg, 0.39mmol)と5mLのDCMを仕込んだ。該反応混合液を氷水浴で0℃に冷却した。100μLの無水DMFを添加し、その後塩化オキサリル(70マイクロL, 0.8mmol)を2分かけて0℃で滴下した。該反応液を23℃で2時間攪拌した。その後溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を5mLのDCMに溶解し、N−メチルピペラジン(0.5mL,4.5mmol)を精確に23℃で添加した。反応の終了は、TLCにて確認した。10mLのDCMと5mLの5%のNa2CO3の混合液を添加し、得られた混合物をDCMで抽出し、NaCl(飽和水溶液)で洗浄して、Na
2SO
4で乾燥させた。抽出物をデカントし、その後溶媒を減圧下で除去し、トルエンで水を除去した。粗生成物をSiO2でEA/0.5% TEA/10%エタノールを用いて単離し、HCl塩(HClエーテル溶液)から再結晶させて20mg(12%)の灰色がかった白色の粉末を得た。MP=217.2−217.5℃。 SiO2 TLC Rf 0.24 (20% EA/EtOH).
1H NMR(400 MHz, MeOD−d4):δ 1.18 (t, 4 H, J = 7.0 Hz), 2.89 (s, 3 H), 3.49 (q, 2 H, J = 7.0 Hz), 3.60 (q, 2 H, J = 7.1 Hz), 6.92 (t, 1 H, J = 8.7 Hz), 7.09 (t, 1 H, J = 7.5 Hz), 7.15 (d, 1 H, J = 8.2 Hz), 7.34−7.42 (m, 3 H), 7.49 (dd, 1 H, J = 2.0 Hz and J = 10.7 Hz).計算値 C
18H
20ClFIN
3O.0.38 % EtOH:C, 45.68; H, 4.55; N, 8.51; F, 3.85; I, 25.71; Cl, 7.18.実測値:C, 45.9; H, 4.49; N, 8.54; F, 3.66; I, 25.68; Cl, 7.49.
【0184】
2−(フェニルアミノ)安息香酸(SC−1−39)(25):マイクロ波反応器チューブにオルト−ヨード安息香酸(496mg, 2mmol)、アニリン(24)(0.45mL, 4mmol)、K
2CO
3(832mg, 6mmol)、CuI(400mg,2.08mmol)及び10mLのDMF/H2O(9:1)を仕込んだ。該反応液を、内部温度を100℃に保ちながら1時間300Wのマイクロ波放射に晒した。完了後、該反応液をTLCで分析し、1NのHCl(約9mL)を該反応混合液に添加して、最終的な溶液pH6.0を得た。その後溶媒を減圧下で除去し、3x10mLのトルエンと共沸させて水を除去した。粗生成物をSiO
2でヘキサン/EAを用いて単離し、トルエンから再結晶させて267mg(63%)の白色固体を得た。MP=176.6−177.0℃。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3):δ 6.76 (t, 1 H, J = 7.5 Hz, Ar), 7.13 (t, 1 H, J = 7.3 Hz, Ar), 7.23 (d, 1 H, J = 8.7 Hz, Ar), 7.26−7.28 (m, 2 H, Ar), 7.33−7.39 (m, 3 H, Ar), 8.04 (dd, 1 H, J = 1.6 Hz a
【0185】
手順D(DIC結合)
(4−メチルピペラジン−1−イル)(2−(フェニルアミノ)フェニル)メタノン(SC−1−177アミド)(75):乾燥させた100mLの丸底フラスコに化合物25(1.00g, 4.69mmol)と12mLのDCMを仕込んだ。N−メチルピペラジン(2.59mL, 23.45mmol)とDMAP(9mg,0.07mmol)を添加し、その後、DIC(1.08mL,7mmol)を添加した。該反応混合液を23℃で22時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去した。10mLのエーテルとHClの混合液を添加し、得られた混合液をHCl(3x5mL)に抽出して、エーテル(2x5mL)で洗浄した。水相を5%Na
2CO
3でアルカリ化し、粗生成物をDCM(3x8mL)に抽出した。粗生成物をSiO
2に充填し、クロロフォルム:メタノール(95:5)で溶出した。適切な分画を採取し、溶媒を除去して、高温のエタノールから再結晶させて、232mg(17%)の透明無色の針状の物質を得た。MP=105.9−108.0℃。 SiO
2 TLC Rf 0.35 (chloroform/ 1% メタノール).
1H NMR(400 MHz, MeOD−d4):δ 2.23 (s, 3 H, CH
3), 2.35 (br, 4 H, 2CH
2), 3.73−3.82 (m, 4 H, 2CH2), 6.88 (t, 1 H, J = 7.3 Hz), 6.97−7.01 (m, 3 H, Ar), 7.19−7.26 (m, 4 H, Ar), 7.30−7.34 (m, 1 H, Ar).計算値 C
18H
21N
3O:C, 73.19; H, 7.17; N, 14.23.実測値:C, 73.14; H, 7.22; N, 14.23.
【0186】
3,4−ジフルオロ−2−(フェニルアミノ)安息香酸(SC−1−175 酸)(71):250mLの丸底フラスコにアニリン(24)(0.57mL, 5.7mmol)、2,3,4−トリフルオロ安息香酸(37)(1g, 5.7mmol)、及び15mLの無水THFを仕込んだ。該反応混合液を氷水浴で0℃に冷却し、LiNH2(327mg, 14.25mmol)を2回に分けて10分かけて添加した。次に該反応液を58℃まで昇温し(外部温度)、7時間攪拌した。次に1NのHClを0℃で該反応混合液に添加し、最終pH1.0(ピハイドリン紙(pHydrion paper)で赤)。該反応混合液を5mLのEt
2Oで3回抽出し、5mLの1NのHClで3回洗浄し、NaCl(飽和水溶液)で洗浄して、Na
2SO
4で乾燥させた。該抽出物をデカントし、溶媒を減圧下で除去した。該粗生成物をSiO
2でヘキサン/EAを用いて単離し、606mg(44%)の黄色の結晶を得た。MP=162.1−162.6℃。 SiO
2TLC Rf0.61(2:1 ヘキサン/EA).
1H NMR (500 MHz, CDCl
3):δ 6.73−6.78 (m, 1 H, Ar), 7.05 (d, 2 H, J = 7.5 Hz, Ar), 7.10 (t, 1 H, J = 7.4 Hz), 7.32 (t, 2 H, J = 7.6 Hz), 7.87−7.90 (m, 1 H, Ar), 8.99 (s, 1 H, OH).
【0187】
手順E(EDCI結合)
3,4−ジフルオロ−2−(フェニルアミノ)フェニル)(4−メチルピペラジン−1−イル)メタノン(SC−1−181)(72):化合物71(249mg,1mmol)、N−メチルピペラジン(0.25mL, 2mmol)及びDMAP(6mg, 0.05mmol)の溶液を10mLの無水THFに溶解して準備し、EDCI(382mg, 2mmol)を一度に添加した。反応混合液を23℃で12時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、エーテル50mLとH
2O1mLを添加した。得られた混合液を1mLのH
2Oで3回洗浄し、5mLの飽和NaClで洗浄し、その後無水Na
2SO
4で乾燥させた。粗生成物をSiO
2でCHCl
3、1%MeOH、1%TEAを用いて単離し、204mg(62%)の白色の固体を得た。MP=153.0−155.3℃。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3):δ 2.22 (s, 4 H, 2CH
2), 2.27(br, 3 H, CH
3),3.47 (br, 4 H, 2CH
2), 6.60 (s, 1 H, NH), 6.82−6.95 (m, 4 H, Ar), 6.99−7.03 (m, 1 H, Ar), 7.22−7.24 (m, 2 H, Ar).計算値 C
18H
19F
2N
3O:C, 65.24; H, 5.78; N, 12.68; F, 11.47.実測値:C, 65.38; H, 5.89; N, 12.72; F, 11.46.
【0188】
3,4−ジフルオロ−2−((2−フルオロフェニル)アミノ)安息香酸(SC−2−25酸)(68):100mLの乾燥した丸底フラスコに2−フルオロアニリン(0.27mL, 2.97mmol)、2,3,4−トリフルオロ安息香酸(528mg,3mmol)及び7mLの無水THFを仕込んだ。該反応混合液を氷水浴で0℃に冷却し、LiNH
2(165.2mg, 7.2mmol)を2回に分けて10分間隔で添加した。該反応液を58℃(外部温度)まで昇温し、4時間攪拌した。その後1NのHClを0℃で該反応混合液に添加して、最終pH1.0(ピハイドリン紙(pHydrion paper)で赤)を得た。該反応混合液を3回5mLのEt
2Oで抽出し、3回5mLの1NのHClで洗浄し、NaCl(飽和水溶液)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥した。該抽出物をデカントし、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をSiO
2でヘキサン/EAを用いて単離し、471mg(59%)の白色の結晶を得た。MP=170−172℃。 SiO
2 TLC Rf 0.55 (2:1ヘキサン/EA).
1H NMR(400 MHz, CDCl
3):δ 6.72−6.78 (dt, 1 H, J = 6.8 Hz and J = 9.1 Hz, Ar), 7.00−7.13 (m, 4 H, Ar), 7.87−7.91 (ddd, 1 H, J = 2.1 Hz, J = 5.8 Hz and J = 9.1 Hz, Ar), 8.92 (s, 1 H, CO
2H).計算値 C
13H
8F
3NO
2:C, 58.44; H, 3.02; N, 5.24.実測値:C, 58.41; H, 3.02; N, 5.23.
【0189】
(3,4−ジフルオロ−2−((2−フルオロフェニル)アミノ)フェニル)(4−メチルピペラジン−1−イル)メタノンモノフマル酸(SC−2−45)(69):手順Eを用いて化合物68、N−メチルピペラジン及びEDCIから合成した。化合物68(430mg, 1.61 mmol)、N−メチルピペラジン(0.35mL, 3.22mmol)及びDMAP(6mg, 0.05mmol)を12mLの無水THFに用解した溶液にEDCI(615mg, 3.22mmol)を添加した。反応混合液を23℃で6時間攪拌し、TLC後に反応を終了した。粗組成物をSiO2でCHCl3、1% MeOH、1% TEAを用いて単離した。この化合物のフタル酸塩をフタル酸(186mg,1.61mmol)から生成し、高温のEtOHから再結晶させて、81mg(14%)の白色の固体を得た。MP=155.0−160℃。 SiO
2 TLC Rf 0.2 (CHCl
3 + 2% MeOH).
1H NMR(400 MHz, CDCl
3):δ 2.68 (s, 3 H, CH
3), 2.83−2.94 (br, 4 H, 2CH
2), 3.57(br, 4 H, 2CH
2), 6.72 (s, 2 H, CH=CH),6.82−6.86 (m, 1 H, Ar), 6.89−6.94 (m, 1 H, Ar), 6.97−7.01 (m, 1 H, Ar), 7.04−7.12 (m, 2 H, Ar), 7.14−7.18 (m, 1 H, Ar).計算値 C
22H
22F
3N
3O
5. 0.55 % フタル酸0.78 % EA:C, 54.87; H, 5.13; N, 7.02.実測値:C, 54.98; H, 4.88; N, 6.86.
【0190】
3,4−ジフルオロ−2−((2−フルオロフェニル)アミノ)ベンズアミド(SC−2−37)(70):手順Bを用いて、化合物68(267mg, 1mmol)と7NのNH
3(メタノール溶液)(0.65mL, 5.03mmol)から合成した。粗組成物をSiO
2にヘキサン/EAを用いて単離し、96mg(36%)の白色粉体を得た。MP=157.6−161.2℃。
1HNMR(400MHz,CDCl
3):δ 6.82−6.88 (m, 2 H, NH
2),6.91−6.97 (m, 1 H, Ar), 6.99−7.10 (m, 3 H, Ar), 7.44 (ddd,
1H, J = 2.1 Hz, J = 5.5 Hz and J = 8.8 Hz, Ar), 8.45 (s, 1 H, Ar).計算値 C
13H
9F
3N
2O:C, 58.65; H, 3.41; N, 10.52; F, 21.41.実測値:C, 58.22; H, 3.27; N, 10.20; F, 21.71.
【0191】
2−フルオロ−4−ヨード−N−メチルアニリン(SC−2−20 アミン)(108):2−フルオロ−4−ヨードアニリン(474mg,2mmol)を、乾燥した100mLの丸底フラスコのNaOMe(540mg, 10mmol)懸濁液(MeOH溶液)(5mL)に添加した。この混合物をパラフォルムアルデヒド(84mg, 2.8mmol)の無水MeOH懸濁液(4mL)に添加し、該反応混合物を25℃で5時間攪拌した。5時間後、NaBH
4(75mg, 2mmol)を添加し、90℃で2.5時間還流した。溶媒を蒸発させ、反応混合液を5mLの1MのKOHで処理した。生成物を抽出し、ジエチルエーテル(2x8mL)に抽出してNa
2SO
4で乾燥した。該抽出物をデカントし、溶媒を減圧下で除去した。粗組成物をSiO
2で20%のEA/ヘキサンで単離し、270mg(54%)の白色の針状の固体をえた。MP=44℃。 SiO
2 TLC Rf 0.75 (2:1 ヘキサン/EA).
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 2.85 (d, 3 H, J = 4.6 Hz), 3.97 (s, 1 H, NH), 6.43 (t, 1 H, J = 8.8 Hz), 7.22−7.26 (m, 1 H, Ar), 7.30 (d, 1 H, J = 9.3 Hz, Ar).計算値 C
7H
7FIN:C, 33.39; H, 2.81; N, 5.58.実測値:C, 33.69; H, 2.67; N, 5.64.
【0192】
3,4−ジフルオロ−2−((2−フルオロ−4−ヨードフェニル)(メチル)アミノ)安息香酸(SC−2−32)(76):100mLの乾燥させた丸底フラスコに2−フルオロ−4−ヨード−N−メチルアニリン(270mg,1.07mmol)、2,3,4−トリフルオロ安息香酸(192mg,1.09mmol)と10mLの無水THFを仕込んだ。反応混合物を氷水浴で0℃に冷却し、LiNH
2(60mg, 2.6mmol)を2回に分けて5分かけて添加した。該反応液を58℃に加熱し、(外部温度)、48時間攪拌した。1NのHClを0℃で該混合液に添加して、最終pH1.0を得た(ピハイドリン紙(pHydrion paper)で赤)。反応混合液を3回5mLのEt
2Oで抽出し、3回5mLの1NのHClで洗浄し、NaCl(飽和水溶液)で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。該抽出物をデカントし、溶媒を減圧下で除去した。粗組成物をSiO2で3:1ヘキサン/EAを用いて単離し、トルエンとヘキサンから再結晶させて286mg(66%)の茶色の結晶を得た。MP=86.2−89.1℃。 SiO
2 TLC Rf 0.45 (2:1 ヘキサン/EA).
1H NMR (500 MHz, CDCl
3):δ 3.34 (s, 3 H), 6.97 (t, 1 H, J = 8.8 Hz, Ar), 7.24−7.27 (m, 1 H, Ar), 7.35−7.37 (dd, 1 H, J = 2.0 Hz and J = 11.4 Hz, Ar), 7.50 (d, 1 H, J = 8.6 Hz, Ar), 8.07−8.10 (m, 1 H, Ar).計算値 C
14H
9F
3INO
2.0.0436 % C
6H
5CH
3:C, 41.78; H, 2.29; N, 3.40.実測値:C, 41.77; H, 2.42; N, 3.35.
【0193】
実施例3
生物的評価
細胞の培養と処理
MDA−MB−231細胞を、10cm細胞培養プレート[Sarstedt]中のダルベッコ改変イーグル培地(DMEM; Gibco)にハムF12栄養混合物(1:1)(Invitrogen)、10%熱不活性化FBS[Atlanta Biological及び0.5%ペニシリン/ストレプトマイシン[Gibco]を添加した培地にて培養した。細胞を5%CO
2の雰囲気下37℃で保持された。処理の36時間前に35mmの培養プレート[Sarstedt]への細胞の播種を行い、コンフルエンスさせた。MEK−5抑制剤をテストする為、化合物での処理の前に30分、細胞を上皮成長因子(EGF; Sigma−Aldrich)にて処理した。EGFの添加15分後に、細胞を1XPBS [Sigma−Aldrich]で洗浄し、20mMトリス(pH 6.8)、137mMのNaCl、25mMのベータグリセロリン酸エステル、2mMのNaPPi、2mMのEDTA、1mMのNa
3VO
4、10%のグリセロール、5μg/mLのロイペプチン、5μg/mLのアプロチニン、2mMのベンズアミジン、0.5mMのDTT、及び1mMのPMSFを含有した1%Triton X−100バッファーで溶解した。溶解物を4℃において10,000rpmで10分間遠心分離した。
【0194】
ウェスタンブロット分析
トータルタンパク質含有量をブラッドフォードバイオラドタンパク質アッセイ(Cat.No.500−0006, Bio−Rad, Hercules, CA)で分析し、30μgのタンパク質を8%SDS−PAGEジェルに充填して、リン酸化とトータルERK1/2及びERK5タンパク質とした。試料を準備後、ジェルをニトロセルロース薄膜(Cat.No. 926−31092, Licor Biosciences, Lincoln, NE)に移した。移動後、該薄膜を5分間1xPBSで洗浄し、1時間カゼインブロッキングバッファー(Cat.No.927−40200,Licor Biosciences)で室温にてブロックした。該薄膜を0.2% Tween−20を添加したCBB中にて第1抗体と共に一晩4℃で培養した。抗体はラビットアンチフォスフォ−ERK1/2(希釈 1:1000, Cat.No. 9101, Cell Signaling, Beverly, MA)マウスアンチ−トータルERK1/2 (希釈 1:1000, Cat.No. 9107, Cell Signaling)、及びラビットアンチートータルERK5(希釈 1:1,000, Cat.No. 3372, Cell Signaling)を含んでいた。マウスアンチα−チューブリン(希釈 1:10,000, Cat.No.T5168, Sigma−Aldrich)をローディングコントロールとして用いた。第1抗体との培養後、ブロットを0.2% Tween−20を添加した1xPBS溶液(1xPBS−T)で洗浄し、ゴートアンチ−ラビット(希釈 1:10,000, Cat.No. 926−68021, LICOR Biosciences)と、ゴートアンチ−マウス(希釈 1: 10,000, Cat.No. 926−32210, LICOR Biosciences)第2抗体で、1時間室温にて培養した。該薄膜を1xPBS−Tで洗浄し、タンパク質バンドをオデッセイ赤外線撮像装置で可視化して、オデッセイソフト(LICOR Biosciences)で定量化した。
【0195】
【表3】
【0196】
クリスタルバイオレット増殖アッセイ
トリネガティブ乳がん(TNBC)細胞MDA−MB−231を96ウェルプレートに5%活性炭処理無フェノールDMEMが入った各ウェルに2,000個播種した。一晩放置して付着させた後、DMSOとMEK抑制剤化合物で2回処理した。プレートは、3日目、5日目、7日目に採取され、クリスタルバイオレットで染色された。細胞の形態の変化を倒立顕微鏡で観察した。細胞を洗浄し、33%の酢酸で溶解して、バイオテックシナジープレートリーダー(Biotek Synergy plate reader)を用いて吸光度を630nmにて測定した。データを、各2回測定した3回の実験からの賦形剤処理±SEMで正常化した平均細胞生存率として得た。
【0197】
量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)
【0198】
がん細胞を5%活性炭処理無フェノールDMEMで48時間培養し、化合物(1μM)で処理した。24時間後、細胞を採取し、製造者の指示(Qiagen, Germantown, MD)に従ってトータルRNAを、RNeasyキットを用いて抽出した。RNAの量と濃度を分光光度法で260nmと280nmにて測定した。トータルRNA(1μg)をiScriptキット(BioRad, Hercules, CA)を用いて逆転写した。サイクル数をβ−アクチンで正常化し、賦形剤処理した細胞を1とする。n=3。
【0199】
移動アッセイ
TNBC細胞を5%CS無フェノールDMEMにて48時間培養し、SC−1−151または賦形剤で処理して、3日間培養した。その後、2.5x10
4個の細胞をトランスウェルインサートで播種した。24時間後、細胞を固定化し、クリスタルバイオレットで染色して、移動した細胞数をカウントした。データを200xの視野中のコントロールに対する移動した細胞±SEMとして得た。実験は3回行った。
【0200】
動物異種移植片実験
免疫低下したSCID/ベージュのメスのマウス(生後29日〜32日目)をチャールズリバーラボラトリー(Wilmington, MA)から得た。該動物を消毒済みの無菌の環境にて食料と水を不断給餌して適応させた。乳がん細胞MDA−MB−231を5%FBS無フェノールDMEMにて5日間培養し、採取した。生存細胞をPBSとマトリゲル減衰因子(BD Biosciences, San Jose, CA)と混合した。0日(13年7月5日)に乳腺脂肪体の両側に注射した(1x10
6細胞/注射)。動物に対する全ての手順は、マスクで供給されたイソフルレンと酸素の混合気を用いた麻酔状態で行われた。動物は0日にDMSOまたはSC−1−151(25mg/kg)で処理された。腫瘍サイズを、30日間デジタルキャリパーを使用して2週間毎に測定した。腫瘍体積を以下の式で算出した。4/3πLM
2、式中Lは最大半径であり、Mは最小半径である。31日目に、腫瘍を切除し、OCT化合物でブロックした。マウスを毎日観察し、手術後の生存を確認した。マウスを14日間観察下に置き、転移に対する薬剤治療の効果を調べた。
【0201】
統計分析
グラフパッドプリズムソフト(Graph−Pad Software, Inc., San Diego, CA)を用いて統計分析を行った。データをペアにしていないスチューデントテストにて分析した。p<0.05を統計的に顕著だと判断した。
【0202】
実施例4
対象者の処理
本実施例は、開示されたアントラニルアミド誘導体で治療可能な、がんなどの具体的な疾患や状態を有する対象者の治療に使用できる方法を説明するものである。その様な治療は、単独でも他の治療(化学的治療など)と組み合わされて使用されてもよい。
【0203】
具体例では、本方法は、開示されたアントラニルアミド誘導体で治療可能な任意の疾患や状態を有するまたは有すると思われる対象者をスクリーニングすることを含む。疾患の病状や状態が分かっていない対象者については、開示されたアントラニルアミド誘導体にて、例えば本明細書に記載する方法で治療可能な疾患か状態であるかを判定するために、該対象者を検査してもよい。
【0204】
対象者は、開示されたアントラニルアミド誘導体の治療量を投与される。開示されたアントラニルアミド誘導体の投与量は、体重に対して、投与量あたり、0.0001μg/kgから約10mg/kg、例えば、0.0001μg/kg〜0.001μg/kg、0.001μg/kg〜0.01μg/kg、0.01μg/kg〜0.1μg/kg、0.1μg/kg〜10μg/kg、1μg/kg〜100μg/kg、100μg/kg〜500μg/kg、500μg/kg〜1000μg/kg、または1.0mg/kg〜10mg/kgである。しかし、具体的な投与量は、スキルを有する臨床医により決定することが可能である。開示されたアントラニルアミド誘導体は、数回に分けて投与されてもよく、例えば連続的、毎日、毎週、毎月投与されてもよい。投与は、他の薬剤と同時でも連続でもよい。
【0205】
投与の方法は、本技術分野において使用される如何なるものであってもよい。対象者に投与される、開示されたアントラニルアミド誘導体の量は、臨床医によって決定することができる、また、具体的な治療対象の対象者にも依存して決定されてもよい。投与量の具体的例は本明細書に例示されているが、この開示は投与量を限定するものではない。
【0206】
疾患や状態に伴う1つ以上の兆候や病状が10%軽減されたら、治療は有効である。
【0207】
本発明の原理が応用可能な多くの可能実施形態に鑑み、ここに説明された実施形態は本発明の好ましい例であるだけであり、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の範囲は、以下の請求項の範囲により定義されるものである。よって、我々は、これら請求項の範囲の範囲と精神を越えない範囲で本発明について請求するものである。