特許第6863761号(P6863761)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863761
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】発熱制御装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/355 20060101AFI20210412BHJP
   B41J 2/32 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   B41J2/355 Z
   B41J2/32 Z
   B41J2/355 D
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-19530(P2017-19530)
(22)【出願日】2017年2月6日
(65)【公開番号】特開2018-126876(P2018-126876A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2020年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リム チェン パン
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 典幸
【審査官】 上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−268317(JP,A)
【文献】 特開2015−199326(JP,A)
【文献】 特開2011−240505(JP,A)
【文献】 特開2014−168903(JP,A)
【文献】 特開平05−000533(JP,A)
【文献】 特開2013−022925(JP,A)
【文献】 特開2012−201005(JP,A)
【文献】 特開2009−298037(JP,A)
【文献】 特開2015−024547(JP,A)
【文献】 特開2012−016874(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0062833(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/315−2/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の搬送可能な速度の最小値と最大値との間を、印字率に応じて複数の区間に区分けする複数の中間速度の中から、印字データの印字率に基づいて、前記記録媒体を搬送する目標の搬送速度を設定する目標速度設定手段と、
前記目標速度設定手段によって設定された前記目標の搬送速度と現在の搬送速度との間にある中間速度を取得する中間速度取得手段と、
前記中間速度取得手段が取得した中間速度によって区分けされる、前記現在の搬送速度から前記目標の搬送速度までの区間毎の予め定められた制御情報に基づいて、前記記録媒体の搬送速度が前記目標の搬送速度に到達するまで、前記記録媒体に印字する印字用発熱素子を制御する発熱制御手段と、を備える、
発熱制御装置。
【請求項2】
記中間速度によって区分けされる区間毎に、前記印字用発熱素子を駆動するパルス信号のパルス幅を求める演算式を記憶した記憶手段を備え、
前記発熱制御手段は、前記中間速度によって区分けされる前記目標の搬送速度までの区間毎に、対応する前記演算式を前記記憶手段から読み出し、読み出した前記演算式によって求められたパルス幅に基づいて前記印字用発熱素子を制御する、
請求項1に記載の発熱制御装置。
【請求項3】
記中間速度によって区分けされる区間毎に、前記印字用発熱素子を駆動するパルス信号のパルス幅を当該区間内で段階的に変化させる情報を記憶した記憶手段を備え、
前記発熱制御手段は、前記中間速度によって区分けされる前記目標の搬送速度までの区間毎に、対応する前記段階的に変化させる情報を前記記憶手段から読み出し、読み出した当該情報に基づいて前記印字用発熱素子を制御する、
請求項1に記載の発熱制御装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、複数の素子群に分割された前記印字用発熱素子のうち駆動対象のブロック数を前記区間毎に有し、
前記発熱制御手段は、前記現在の搬送速度から前記目標の搬送速度までの区間毎の前記ブロック数に基づいて前記印字用発熱素子を制御する、
請求項2または3に記載の発熱制御装置。
【請求項5】
前記記録媒体に印字される対象である印字データの印字率を取得する印字率取得手段を備え、
前記目標速度設定手段は、前記印字率取得手段によって取得された前記印字率に基づいて前記目標速度を設定する、
請求項1から4の何れか1項に記載の発熱制御装置。
【請求項6】
記録媒体を搬送する目標の搬送速度を設定する目標速度設定手段と、
前記目標速度設定手段によって設定された前記目標の搬送速度と現在の搬送速度との間にある中間速度を取得する中間速度取得手段と、
前記中間速度取得手段が取得した中間速度によって区分けされる、前記現在の搬送速度から前記目標の搬送速度までの区間毎の予め定められた制御情報に基づいて、前記記録媒体の搬送速度が前記目標の搬送速度に到達するまで、前記記録媒体に印字する印字用発熱素子を制御する発熱制御手段と、を備え
前記発熱制御手段は、現在の搬送速度の属する区間における搬送速度の最大値に対応する搬送周波数に対する現在の搬送速度に対応する搬送周波数の比率に、前記最大値に対応する前記印字用発熱素子を駆動するパルス信号のパルス幅を掛けることにより、前記印字用発熱素子を駆動するパルス信号のパルス幅を求める、
発熱制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発熱制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
POS(Point Of Sales)端末に用いられるサーマルプリンタは、レシート用紙等の記録媒体に印字される印字データの印字率に応じて、記録媒体の搬送速度を制御する。また、サーマルプリンタは、搬送方向と直交する方向にライン状に配列された複数の発熱素子を備え、搬送速度に対応する予め定められたパルス幅(ストローブ時間)のパルス信号によって発熱素子を駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−193664号公報
【特許文献2】特開2009−113445号公報
【特許文献3】国際公開第2012/132987号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サーマルプリンタは、目標の搬送速度に到達するまでの発熱素子を適切に制御する必要がある。目標の搬送速度に到達するまでの発熱素子の制御情報を、搬送可能な速度毎に目標の搬送速度との組み合わせに応じて備える場合、搬送可能な速度の数が増えるにつれ発熱素子の制御情報の数も増える。例えば、搬送可能な速度が3つある場合は6つの制御情報が必要となり、搬送可能な速度が5つある場合は20の制御情報が必要となる。このように、制御情報の数が増えるとコストがかかる。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、搬送可能な速度の数を保って、目標の搬送速度に到達するまでの発熱素子の制御情報の数を低減できる搬送速度制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の発熱制御装置は、記録媒体の搬送可能な速度の最小値と最大値との間を、印字率に応じて複数の区間に区分けする複数の中間速度の中から、印字データの印字率に基づいて、前記記録媒体を搬送する目標の搬送速度を設定する目標速度設定手段と、前記目標速度設定手段によって設定された前記目標の搬送速度と現在の搬送速度との間にある中間速度を取得する中間速度取得手段と、前記中間速度取得手段が取得した中間速度によって区分けされる、前記現在の搬送速度から前記目標の搬送速度までの区間毎の予め定められた制御情報に基づいて、前記記録媒体の搬送速度が前記目標の搬送速度に到達するまで、前記記録媒体に印字する印字用発熱素子を制御する発熱制御手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の発熱制御装置(サーマルプリンタ)の斜視図である。
図2図1に示した発熱制御装置の構成を示すブロック図である。
図3図2に示したプラテンローラとサーマルヘッドとの配置位置の関係を示した図である。
図4図3に示したサーマルヘッドを上方から見た図である。
図5】搬送速度データの構成を示した図である。
図6】定速時制御データの構成を示した図である。
図7】変速時制御データの構成を示した図である。
図8】ステップ毎に発熱パルス信号のパルス幅が定められた変速時制御データの構成を示した図である。
図9】実施形態の発熱制御装置が実行する発熱制御処理を示すフローチャートである。
図10図9に示した変速時発熱処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る発熱制御装置は、POS(Point Of Sales)端末に用いられるサーマルプリンタである。なお、図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
【0009】
図1に示すように、サーマルプリンタ1は、ロール紙PRを着脱自在に格納、保持するホルダHを備える。ロール紙PRは、加熱によって発色される感熱紙が巻かれたものである。ホルダHによって保持されたロール紙PRは、その先端からロール紙PRの回転軸と直交する方向に連続的に搬送され、搬送された用紙には取引明細(買い物商品の内容)等の情報が印字される。
【0010】
サーマルプリンタ1は、取引明細情報を表す印字データの印字率に応じて、用紙の搬送速度を制御する機能を有する。また、サーマルプリンタ1は、搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)にライン状に配列された複数の発熱素子を備える。サーマルプリンタ1は、搬送速度に応じて発熱素子を制御する機能を備える。
【0011】
図2に示すように、サーマルプリンタ1は、制御部101と、記憶部102と、操作部103と、表示部104と、通信部105と、モータ駆動部106と、ステッピングモータ(パルスモータ)107と、変速部108と、プラテンローラ109と、ヘッド駆動部110と、サーマルヘッド111とを備える。
【0012】
操作部103は、ロール紙PRを着脱するためのカバー開閉ボタン、サーマルプリンタ1の電源のオンオフを切り替えるための電源ボタン、用紙Pを搬送させるためのフィードボタン、用紙を切り取るためのカットボタン等、ユーザによって操作される入力インタフェース装置から構成される。
【0013】
表示部104は、液晶ディスプレイ等の表示装置やLED(Light Emitting Diode)ランプ等の点灯装置を備える。表示部104は、サーマルプリンタ1の各種状態を表す情報を表示する。例えば、表示部104は、印刷実行の状態、カバーの開閉状態、ロール紙PRの量等を表示する。
【0014】
通信部105は、POS(Point Of Sales)端末等の外部機器と通信を行う通信インタフェース装置から構成される。通信部105は、外部機器からネットワークを介して、取引明細(買い物商品の内容)等の情報を表す印字データを受信する。通信部105は、受信した印字データを制御部101に供給する。なお、外部機器との接続手段は有線、無線の何れでもよい。
【0015】
モータ駆動部106は、制御部101の制御のもとステッピングモータ107に搬送パルス信号を供給し、ステッピングモータ107を駆動する。
【0016】
ステッピングモータ107は、モータ駆動部106から搬送パルス信号を受け取り、受け取った搬送パルス信号に応じて、1パルス当たり予め定められた角度(ステップ角)だけ回転する。
【0017】
変速部108は、複数の歯車列等を備えた減速機構から構成される。変速部108は、ステッピングモータ107とプラテンローラ109との間に設けられる。変速部108は、ステッピングモータ107の回転力をプラテンローラ109に伝達させ、プラテンローラ109を回転させる。
【0018】
プラテンローラ109は、ステッピングモータ107の回転力が変速部108を介して伝達されることにより回転する。また、プラテンローラ109は、図3に示すように、サーマルヘッド111と対向した位置に設けられている。ロール紙PRの先端から引き出された用紙Pは、プラテンローラ109の回転によって搬送方向(副走査方向)に搬送される。
【0019】
ヘッド駆動部110は、制御部101の制御のもとサーマルヘッド111に発熱パルス信号(ストローブ信号)を供給し、サーマルヘッド111に備えられた複数の発熱素子111aを駆動する。
【0020】
サーマルヘッド111は、ヘッド駆動部110から発熱パルス信号を受け取り、受け取った発熱パルス信号に応じて、プラテンローラ109と対向する位置で用紙Pに1ドットライン分の印字を行う。
【0021】
各発熱素子111aは、図4に示すように、搬送方向と直交する方向(主走査方向)に、ライン状に配列されている。各発熱素子111aは、発熱パルス信号によって駆動され、発熱する。また、各発熱素子111aは、複数のブロック(素子群)に分割され、1ドットライン毎に時分割駆動される。図4には、複数の発熱素子111aを4つのブロック(素子群)に分割した例が示され、制御部101の制御のもとブロック毎に駆動される。
【0022】
記憶部102は、HDD(Hard disk drive)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の記憶装置から構成される。記憶部102は、制御部101が各種処理を行うためのプログラムおよびデータ、制御部101が各種処理を行うことにより生成、取得されたデータを記憶する。
【0023】
また、記憶部102は、図5に示すように、印字率の範囲と搬送速度と搬送周波数(PPS:パルスレート)とが対応付けられたデータ(搬送速度データ)が記憶されている。これにより、印字データの印字率に応じて、用紙Pを搬送する目標の搬送速度と、ステッピングモータ107の搬送周波数が設定される。
【0024】
また、記憶部102は、図6に示すように、搬送速度と発熱素子通電パルス幅と発熱素子ブロック数とが対応付けられた定速時制御データが記憶されている。定速時制御データは、定速時に発熱素子111aを制御するためのデータである。
【0025】
搬送速度は、用紙Pを搬送可能な速度を表す。ここでは、14.0、10.0、8.0、6.0、4.0、2.0、1.0(IPS)から構成される7つの搬送速度を有する。発熱素子通電パルス幅は、ヘッド駆動部110がサーマルヘッド111に供給する発熱パルス信号のパルス幅(ストローブ時間)を表す。発熱素子通電ブロック数はヘッド駆動部110によって駆動される発熱素子111aのブロックの数を表す。
【0026】
また、記憶部102は、図7に示すように、搬送速度の区間と発熱素子制御情報とが対応付けられた変速時制御データが記憶されている。変速時制御データは、搬送速度が変化するときの発熱素子111aを制御するためのデータである。
【0027】
搬送速度の区間は、搬送速度の最小値と最大値との間の少なくとも1以上の中間速度によって区分けされる。ここでは、図5に示した搬送速度データにより表される搬送可能な速度が中間速度に定められ、搬送速度の区間が定められている。つまり、ここでは、搬送速度の最小値(0(IPS))と最大値(14.0(IPS))との間で7つの区間を有する。
【0028】
発熱素子制御情報は、発熱素子通電パルス幅および発熱素子ブロック数を有する。発熱素子ブロック数は、定速時制御データのものと同様、ヘッド駆動部110によって駆動される発熱素子111aのブロックの数を表す。
【0029】
発熱素子通電パルス幅は、ヘッド駆動部110がサーマルヘッド111に供給する発熱パルス信号のパルス幅(ストローブ時間)を表し、予め定められた演算式によって求められる。ここでは、現在の搬送速度の区間における最大値に対応する搬送周波数と現在の搬送周波数との比率に当該最大値に対応する発熱パルス信号のパルス幅を掛けることにより発熱パルス信号のパルス幅を求める演算式が示されている。例えば、現在の搬送速度が、図7に示した搬送速度10.0から14.0(IPS)の区間に含まれる場合、当該区間における最大値(14.0(IPS))に対応する搬送周波数(MF1)と現在の搬送周波数との比率を、当該最大値(14.0(IPS))に対応する発熱パルス信号のストローブ時間で掛けることにより、ヘッド駆動部110に供給される発熱パルス信号のストローブ時間が求められる。
【0030】
また、演算式の代わりに、図8に示すように、発熱素子111aを駆動するパルス信号のパルス幅を区間内で段階的に変化させる情報が定められてもよい。具体的には、搬送速度10.0から14.0(IPS)の区間が、予め定められた8つのステップで搬送速度が変化されるように制御される場合、8つのステップにそれぞれ対応するET11からET18のパルス幅(ストローブ時間)が設定される。
【0031】
図2に戻り、制御部101は、CPU(Central Processing Unit)、CPUのメインメモリとして機能するRAM(Random Access Memory)、タイマ等から構成される。なお、制御部101は、一部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用回路から構成されてもよい。
【0032】
また、制御部101は、記憶部102に記憶されたプログラムを実行することにより、印字率取得部101a、目標速度設定部101b、中間速度取得部101c、発熱制御部101dとして機能する。
【0033】
以上のように構成されたサーマルプリンタ1によって行われる発熱制御処理について、以下、図9および図10を参照して説明する。
【0034】
サーマルプリンタ1の制御部101は、サーマルプリンタ1の電源の投入に応じて記憶部102に記憶されたプログラムを実行する。これにより、制御部101は、印字率取得部101a、目標速度設定部101b、中間速度取得部101c、発熱制御部101dとして機能する。
【0035】
印字率取得部101aは、通信部105を介してPOS端末等の外部機器から印字データを取得する。印字率取得部101aは、印字データを取得したタイミングで、ドットラインを表すNを「N=0」とし(ACT11)、その後「N=N+1」とする(ACT12)。
【0036】
印字率取得部101aは、印字データのN行目の印字率を取得する(ACT13)。ここでいう印字率とは、ドットラインの総ドット数に対する印字ドット数の割合である。印字データ取得後の最初のACT13の処理では、印字率取得部101aは、印字データの1行目の印字率を取得する。
【0037】
目標速度設定部101bは、図5に示した搬送速度データを参照し、印字率取得部101aによって取得された印字率に対応する搬送速度、搬送周波数を目標の搬送速度、搬送周波数として設定する(ACT14)。例えば、ACT13で取得された印字率Rが「Rb≦R≦Rc」の範囲に含まれている場合、当該印字率Rに対応する8.0(IPS)が目標の搬送速度として設定され、MF3(PPS)が搬送周波数として設定される。
【0038】
目標速度設定部101bは、設定した目標の搬送速度が現在の搬送速度から変化するか否かを判別する(ACT15)。印字データ取得後の最初の処理(N=1)では、現在の搬送速度は0(IPS)なので、ここでは目標速度設定部101bは変化すると判別する(ACT15;YES)。この場合、中間速度取得部101cは、変速時発熱処理を実行する(ACT16)。
【0039】
図10に示すように、中間速度取得部101cは、目標速度設定部101bによって設定された目標の搬送速度と現在の搬送速度との間の予め定められた中間速度を取得する(ACT161)。中間速度は1.0、2.0、4.0、6.0、8.0、10.0、14.0(IPS)と定められている。よって、ここでは中間速度取得部101cは、1.0、2.0、4.0、6.0(IPS)を中間速度として取得する。
【0040】
発熱制御部101dは、図7に示した変速時制御データを参照し、中間速度取得部101cが取得した中間速度によって区分けされる、現在の搬送速度から目標の搬送速度までの区間を選択し、当該区間毎の発熱素子制御情報を取得する(ACT162)。現在の搬送速度が0(IPS)であって、目標の搬送速度が8.0(IPS)で設定されたので、発熱制御部101dは、区間No.3からNo.7に設定された各発熱素子制御情報を取得する。
【0041】
そして、発熱制御部101dは、ACT162で取得した発熱素子制御情報のうち、現在の搬送速度を含む区間に対応する発熱素子制御情報を選択する(ACT163)。現在の搬送速度が0(IPS)の場合、発熱制御部101dは、区間No.7に対応する発熱素子制御情報を選択する。
【0042】
発熱制御部101dは、選択した発熱素子制御情報に基づいて発熱素子111aを制御する(ACT164)。具体的には、発熱制御部101dは、「(Current MF/MF7)*ET7」の演算式によって、区間No.7における発熱パルス信号のパルス幅(ストローブ時間)を求める。また、区間No.7における発熱素子ブロック数は「4」である。よって、発熱制御部101dは、4つ(全て)のブロックに対応する発熱素子111aを、求めたパルス幅の発熱パルス信号によって駆動する。
【0043】
発熱制御部101dは、目標の搬送速度または対象区間の最終速度に達したか否かを判別する(ACT165,ACT166)。対象区間の最終速度に達したと判別した場合(ACT166;YES)、発熱制御部101dは、ACT163に戻る。この場合、発熱制御部101dは、次の区間(現在の搬送速度を含む区間)に対応する発熱素子制御情報を選択し、ACT164においても上記と同様の処理を行う。例えば、区間No.7の最終速度である1.0(IPS)に到達した場合には、発熱制御部101dは、区間No.2に対応する発熱素子制御情報に基づいて、発熱素子111aを制御する処理を行う。
【0044】
発熱制御部101dは、ACT163からACT166の処理を繰り返し行うことにより、用紙Pの搬送速度が目標の搬送速度(8.0(IPS))に到達するまで、各区間の発熱素子制御情報に基づいて発熱素子111aを制御する。そして、当該目標の搬送速度に達した場合には(ACT165;YES)、図9に示したACT16に進む。
【0045】
図9に戻り、ACT15で搬送速度が変化しないと判別された場合(ACT15;NO)やACT16の処理を行った後は、発熱制御部101dは、図6に示した定速時制御データの現在の搬送速度(一定の速度)に対応するパルス幅の発熱パルス信号と、設定されたブロック数とによって、N行目の印字が終わるまで発熱素子111aを制御する。
【0046】
その後、発熱制御部101dは、Nが最終行であるか否かを判別する(ACT18)。発熱制御部101dは、Nが最終行でなければACT12に戻ってNをインクリメントして上記と同様の処理を行う(ACT18;NO)。一方、発熱制御部101dは、Nが最終行であれば発熱制御処理を終了する(ACT18;YES)。
【0047】
以上、本実施形態に係るサーマルプリンタ1は、目標の搬送速度と現在の搬送速度との間の予め定められた少なくとも1以上の中間速度を取得し、取得した中間速度によって区分けされる、現在の搬送速度から目標の搬送速度までの区間毎の発熱素子制御情報に基づいて、用紙Pの搬送速度が目標の搬送速度に到達するまで、発熱素子111aを制御する。これにより、搬送可能な速度の数を保って、目標の搬送速度に到達するまでの発熱素子の制御情報の数を低減できる。
【0048】
なお、上記実施形態は一例を示したものであり、種々の変更及び応用が可能である。
【0049】
例えば、上記実施形態に係る発熱制御装置は、発熱素子を制御する装置として、発熱素子111aとは独立した装置として構成されてもよい。また、発熱制御装置は、POS端末やATM(Automated Teller Machine)端末によって構成されてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、搬送可能な速度の全てが中間速度として定められた例を説明したが、搬送可能な速度の一部でもよい。例えば、図5に示した、4.0、6.0、10.0(IPS)が中間速度として定められてもよい。また、搬送可能な速度以外の速度(3.0、5.0、7.0(IPS)等)が中間速度として定められてもよい。
【0051】
また、上記実施形態の発熱素子通電パルス幅を求める演算式において、搬送速度の最大値に対応する搬送周波数や発熱パルス信号のパルス幅(ストローブ時間)が用いられたが、それぞれ搬送速度の最大値以外の値(最小値や平均値)に対応するものが用いられてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、印字率に応じて目標の搬送速度が定められる例を説明したが、目標の搬送速度は、印字率と他の基準を併せて、または、印字率を含まない基準によって設定されてもよい。他の基準としては、例えば、サーマルヘッド111の発熱素子111aをブロック単位で駆動する場合の駆動ブロック数がある。
【0053】
また、上記実施形態では、ロール紙PRを格納するサーマルプリンタを例に説明したが、発熱制御装置は、定型紙や折り畳み連続紙に印字を行う発熱素子を制御するものでもよい。
【0054】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
1…サーマルプリンタ(発熱制御装置)
101…制御部
101a…印字率取得部
101b…目標速度設定部
101c…中間速度取得部
101d…発熱制御部
102…記憶部
103…操作部
104…表示部
105…通信部
106…モータ駆動部
107…ステッピングモータ
108…変速部
109…プラテンローラ
110…ヘッド駆動部
111…サーマルヘッド
111a…発熱素子
PR…ロール紙
P…用紙(記録媒体)
H…ホルダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10