(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、3種類の照明装置(上部照明装置、中間照明装置および内部照明装置)がボックス状の外枠に上下方向に分離して設けられている。このため、照明装置の大型化は避けられず、それを装備する部品認識装置のサイズも大きくなってしまう。
【0005】
また、部品実装のタクトタイム短縮を図るために、ヘッドユニットに部品認識装置を装備し、部品をピックアップ位置から基板の上方に移動させる動作と並行して部品認識を行う技術が提案されている。この部品認識装置は、いわゆるスキャンカメラと称されるものであり、上記照明装置をスキャンカメラの照明系として用いるためには、照明装置の薄型化および小型化が必要である。
【0006】
この発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、撮像装置により部品を撮像する際に互いに異なる複数の照明態様で部品を照明することができる照明装置の薄型化および小型化を図ること、ならびに当該照明装置を装備した部品認識装置ならびに部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1態様は、撮像装置により部品を撮像する際に部品を照明する照明装置であって、撮像装置の光軸と直交する第1仮想面内で光軸を囲むように設けられた内側発光部と、第1仮想面内で内側発光部を囲むように設けられた外側発光部と、第1仮想面の部品側における光軸と直交する第2仮想面
上に部品と対向する第1部品側平面を配置して内側発光部から発光された内側照明光を拡散させて部品に案内する
プレート状の内側拡散部材と、第2仮想面
上に部品と対向する第2部品側平面を配置しながら内側拡散部材を囲むように設けられ、外側発光部から発光された外側照明光を拡散させて部品に案内する
プレート状の外側拡散部材と、
内側拡散部材と外側拡散部材との間で内側照明光および外側照明光を遮光する遮光手段と、を備えることを特徴としている。
【0008】
また、この発明の第2態様は、部品保持装置により保持された部品を撮像装置により撮像して部品の保持状態を認識する部品認識装置であって、上記照明装置を備え、撮像装置は反射光を受光して部品保持装置に保持された部品を撮像することを特徴としている。
【0009】
さらに、この発明の第3態様は、部品を基板に実装する部品実装装置であって、部品を保持する部品保持装置と、請求項6に記載の部品認識装置と、を備え、部品認識装置による認識結果に基づいて部品の基板への実装を行うことを特徴としている。
【0010】
このように構成された発明では、撮像装置の光軸と直交する第1仮想面内で内側発光部と外側発光部とが配置されるとともに撮像装置の光軸と直交する第2仮想面内で内側拡散部材および外側拡散部材が配置されている。そして、内側発光部から発光された内側照明光が内側拡散部材により拡散されて部品に照射され、また外側拡散部材から発光された外側照明光が外側拡散部材により拡散されて部品に照射される。このように外側照明光で部品を照明するための光学要素(外側発光部+外側拡散部材)が内側照明光で部品を照明するための光学要素(内側発光部+内側拡散部材)を囲むように構成され、互いに異なる2種類の照明光により部品を照明可能でありながらも、撮像装置の光軸方向において照明装置は薄型化および小型化されている。
【0011】
ただし、上記構成を有する照明装置では、内側拡散部材からの拡散光(内側照明光)が外側拡散部材に入射し、逆に外側拡散部材からの拡散光(外側照明光)が内側拡散部材に入射する可能性があり、これが迷光となって部品を良好に照明することが難しくなる。しかしながら、照明装置では、遮光手段が内側拡散部材と外側拡散部材との間に設けられ、内側照明光および外側照明光を遮光する。したがって、薄型でかつ小型の照明装置でありながらも、互いに異なる複数の照明態様で部品を良好に照明することができる。
【0012】
上記のように構成された照明装置では、第2仮想面内で内側拡散部材の外周面と外側拡散部材の内周面とが互いに対向している。そこで、遮光手段として、内側拡散部材の外周面と外側拡散部材の内周面との間に配置され、内側拡散部材の外周面からの拡散光および外側拡散部材の内周面からの拡散光を遮光する環状の遮光部材を用いてもよい。この場合、遮光部材が、内側拡散部材からの拡散光(内側照明光)が外側拡散部材に入射するのを防止し、また外側拡散部材からの拡散光(外側照明光)が内側拡散部材に入射するのを防止する。その結果、上記迷光の発生を確実に防止することができ、部品を良好に照明することができる。
【0013】
また、遮光手段としては、上記遮光部材の代わりに、例えば内側拡散部材の外周面および外側拡散部材の内周面の少なくとも一方に対して内側照明光および外側照明光を遮光する物質を塗装した塗膜を用いてもよい。この場合、塗膜が遮光部材と同様に作用し、上記迷光が発生するのを確実に防止して部品を良好に照明することができる。
【0014】
また、内側拡散部材が部品で反射された反射光を光軸に沿って内側発光部に案内する貫通孔を有し、内側発光部が内側照明光を発光する複数の発光素子を有し、光軸を囲むように発光素子を配置することで形成された光路によって貫通孔を通過してきた反射光を光軸に沿って撮像装置に案内するように構成してもよい。このように構成することによって部品で反射された光を確実に撮像装置に導光して部品の撮像を良好に行うことができる。
【0015】
また、光路および貫通孔を介して光軸と平行に進む同軸光で部品を照明する同軸発光部をさらに設けてもよく、これによって照明態様をさらに増やすことができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、照明装置の薄型化および小型化を図りながら、互いに異なる複数の照明態様で部品を良好に照明することができる。また、このような照明装置により部品を照明した状態で部品を撮像して部品の保持状態を認識することで、部品の認識を高精度に行う部品認識装置の小型化を図ることができる。さらに、当該部品認識装置を部品実装装置に装備することで、基板への部品実装を高精度に行う部品実装装置の小型化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本発明に係る照明装置の一実施形態を装備する部品実装装置の概略構成を示す平面図である。また、
図2は
図1に示す部品実装装置の部分正面図である。また、
図3は
図1に示す部品実装装置の主要な電気的構成を示すブロック図である。なお、
図1および
図2では、各図の方向関係を明確にするために、XYZ直角座標軸が示されている。
【0019】
この部品実装装置1では、基台11上に基板搬送機構2が配置されており、基板Sを所定の搬送方向Xに搬送可能となっている。より詳しくは、基板搬送機構2は、基台11上において基板Sを
図1の右側から左側へ搬送する一対のコンベア21、21を有しており、装置全体を制御する制御ユニット3からの制御指令にしたがって作動することで、基板Sを搬入し、所定の実装作業位置(同図に示す基板Sの位置)で停止させる。また、実装作業位置で停止する基板Sを図略の保持装置が固定し保持する。その後で、部品供給部4に装着されたテープフィーダー41から供給される電子部品がヘッドユニット6に具備された実装ヘッド61により基板Sに実装される。また、基板Sに搭載すべき部品の全部を基板Sに実装し終えると、保持装置が基板Sの保持を解除した後、基板搬送機構2が実装作業位置から基板Sを搬出する。
【0020】
このように構成された基板搬送機構2の前方側(+Y軸方向側)および後方側(−Y軸方向側)には、部品供給部4が配置されている。これらの部品供給部4に対し、多数のテープフィーダー41が着脱自在に装着されている。各テープフィーダー41では、部品を収納・保持したテープを巻回したリールが装着されている。テープには、集積回路(IC)、トランジスタ、コンデンサ等のチップ部品が所定間隔おきに収納、保持されている。そして、実装ヘッド61の先端に取り付けられた吸着ノズル611により部品がピックアップされるにつれてテープがリールから間欠的に送り出される。
【0021】
ヘッドユニット6は実装ヘッド61の吸着ノズル611により部品を吸着保持したまま基板Sの上方位置に搬送するとともに、ユーザより予め指定された基板Sの実装位置に実装するものである。本実施形態では、複数本(本実施形態では10本)の実装ヘッド61がX軸方向に一列に配列されており、複数の部品を一括して基板Sの上方位置に搬送可能となっている。各実装ヘッド61の先端部に装着された吸着ノズル611は圧力切替機構(図示省略)を介して真空供給源、正圧源、および大気のいずれかに連通可能とされており、圧力切替機構により吸着ノズル611に与える圧力が切り替えられる。
【0022】
各実装ヘッド61はヘッドユニット6に対して図略のノズル昇降駆動機構により昇降(Z軸方向の移動)可能に、かつ図略のノズル回転駆動機構によりノズル中心軸回りに回転(
図2のR方向の回転)可能となっている。これらの駆動機構のうちノズル昇降駆動機構は吸着もしくは装着を行う時の下降位置(下降端)と、搬送を行う時の上昇位置(上昇端)との間で実装ヘッド61を昇降させるものである。一方、ノズル回転駆動機構は吸着ノズル611を必要に応じて回転させるための機構であり、回転駆動により部品を搭載時における所定のR軸方向に位置させることが可能となっている。なお、これらの駆動機構については、それぞれZ軸モーター62Z、R軸モーター62Rおよび所定の動力伝達機構で構成されており、制御ユニット3のモーター制御部31によりZ軸モーター62ZおよびR軸モーター62Rを駆動制御することで各実装ヘッド61がZ方向およびR方向に移動させられる。
【0023】
また、ヘッドユニット6は、これらの実装ヘッド61で吸着された部品を部品供給部4と基板Sとの間で搬送して基板Sに実装するため、基台11の所定範囲にわたりX軸方向およびY軸方向(X軸およびZ軸方向と直交する方向)に移動可能となっている。すなわち、ヘッドユニット6は、X軸方向に延びる実装ヘッド支持部材63に対してX軸に沿って移動可能に支持されている。また、実装ヘッド支持部材63は、両端部がY軸方向の固定レール64に支持され、この固定レール64に沿ってY軸方向に移動可能になっている。そして、このヘッドユニット6は、X軸モーター62Xによりボールねじ66を介してX軸方向に駆動され、実装ヘッド支持部材63はY軸モーター62Yによりボールねじ68を介してY軸方向へ駆動される。このようにヘッドユニット6は実装ヘッド61に吸着された部品を部品供給部4から移動目的位置まで搬送可能となっている。
【0024】
さらに、ヘッドユニット6では実装の補正を行うために2種類のカメラ71、100が設けられている。カメラ71は基板認識用カメラであり、照明部およびCCDカメラなどから構成されており、基板Sに付されたフィデューシャルマークを撮像すること等によって基板認識を行う。一方、カメラ100はヘッドユニット6の下方側でヘッドユニット6に対してX軸方向(スキャン方向X)に移動自在に取り付けられたスキャンカメラであり、ヘッドユニット6による部品の移動目的位置への搬送中にスキャン用駆動モーター101の駆動制御によりX軸方向に移動し、吸着ノズル611による部品の保持状態を撮像する部品認識装置として機能する。なお、スキャンカメラ100の構成および動作については、後で詳述する。
【0025】
部品実装装置1には、オペレータとのインターフェースとして機能する表示ユニット5(
図3)が設けられている。表示ユニット5は、制御ユニット3と接続され、部品実装装置1の動作状態を表示する機能のほか、タッチパネルで構成されてオペレータからの入力を受け付ける入力端末としての機能も有する。
【0026】
次に、制御ユニット3の構成について
図3を参照しつつ説明する。制御ユニット3は、装置本体の内部の適所に設けられ、論理演算を実行する周知のCPU(Central Processing Unit)、初期設定等を記憶しているROM(Read Only Memory)、装置動作中の様々なデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等から構成されている。
【0027】
制御ユニット3は、機能的には、モーター制御部31、外部入出力部32、画像処理部33、照明制御部34、サーバ通信制御部35、メモリ36および演算処理部37を備えている。
【0028】
上記モーター制御部31は、上記X軸モーター62X、Y軸モーター62Y、Z軸モーター62Z、R軸モーター62Rおよびスキャン用駆動モーター101の駆動を制御する。外部入出力部32は、部品実装装置1に装備されている各種センサー類91からの信号を入力する一方、部品実装装置1に装備されている各種アクチュエータ等92に対して信号を出力する。画像処理部33は、基台カメラ73、基板認識カメラ71およびスキャンカメラ100から画像データを取り込み、2値化等の画像処理を行う。照明制御部34は後で詳述するようにスキャンカメラ100に設けられた3種類の発光部の点灯/消灯を制御する。サーバ通信制御部35はサーバ(図示省略)との間で情報等の交信を行う。
【0029】
メモリ36は部品実装処理のプログラム、部品の種類やサイズなどの部品情報、実装に必要な各種データなどを記憶する。上記演算処理部37は、CPU等のような演算機能を有するものであり、上記メモリ36に記憶されているプログラムに従ってモーター制御部31、画像処理部33、照明制御部34などを制御することでヘッドユニット6による実装ターン(あるいは実装サイクルとも称する)を繰り返す。この実装ターンは、ヘッドユニット6が例えば基板S上方位置から部品供給部4上方に移動し、ヘッドユニット6により部品供給部4から供給される1つまたは複数の部品を吸着し、実装作業位置で停止する基板Sの上方位置に移動した後で、並行して部品を基板Sに装着する一連の工程を意味しており、一回の実装ターンにおいて最大10個(実装ヘッド61の本数分)の部品を基板Sに実装することが可能となっている。また、本実施形態では、上記したように部品搬送中にスキャンカメラ100が部品を撮像するが、その際、スキャンカメラ100に設けられた3種類の発光部のうち吸着ノズル611に保持された部品の種類に対応する発光部が選択的に点灯する。これによって、部品認識がそれに適した照明態様により行われる。すなわち、演算処理部37は、次に説明するように、実装ターンを実行する前に部品の種類や認識方法などに応じて発光すべき発光部を選択する。また、演算処理部37は、実装ターン中に吸着ノズル611に吸着された部品(次に説明する
図5および
図6中の部品P)をスキャンカメラ100で撮像し、当該画像に基づいてヘッドユニット6の移動目標位置を補正した上で基板Sに部品を実装する。このように、本実施形態では、演算処理部37は照明態様選択部371、画像取得処理部372および実装補正処理部373としての機能を有している。
【0030】
次に、
図4、
図5および
図6を参照しつつ、スキャンカメラ100の構成および動作について説明する。
図4は本発明に係る照明装置の一実施形態に相当するスキャンカメラを示す斜視図である。
図5は
図4に示すスキャンカメラの光学構成を示す平面図である。
図6は
図4に示すスキャンカメラの光学構成を示す部分断面図である。なお、
図5および
図6中の符号Pは認識対象となる部品を示している。
【0031】
スキャンカメラ100は、3種類の発光部111〜113を有する照明光学系110を有しており、照明制御部34からの指令に応じて発光部を選択的に点灯させることで吸着ノズル611(
図2参照)に吸着された部品Pを下方側から種々の照明態様で照明する。また、スキャンカメラ100はさらにビームスプリッター120と、折り返しミラー130と、カメラ部140とを有しており、部品Pで反射された反射光をビームスプリッター120および折り返しミラー130でカメラ部140に導光して部品Pを含む画像を撮像する。なお、これらの構成要素110、120、130、140は直接的または間接的にカメラ本体部150に接続されており、上記したようにスキャン用駆動モーター101により一体的にスキャン方向Xに移動自在となっている。
【0032】
照明光学系110は第1照明基板114および第2照明基板115を有している。このうち第1照明基板114には、
図5に示すように、スキャン方向Xと直交する水平方向Yに伸びるスリット形状の貫通孔114aが形成されている。そして、当該貫通孔114aの中心部がカメラ部140の光軸OA(
図5および
図6中の1点鎖線)に位置するとともに、
図6に示すように第1照明基板114の上面が光軸OAと直交する仮想面VP1に位置するように、第1照明基板114は配置されている。また、第1照明基板114の上面には、貫通孔114aおよび光軸OAを取り囲むようにLED(Light Emitting Diode)などの発光素子111aが複数個取り付けられており、各発光素子111aから発光される光を鉛直上方に向けて照射可能となっている。このように本実施形態では、これら複数の発光素子111aにより環状のメイン発光部111が構成されている。また、メイン発光部111では、発光素子111aは光軸OAを囲むように配置されており、これによって、光軸OAに沿って進む光がメイン発光部111を通過可能となっている。
【0033】
また、上記仮想面VP1上では、メイン発光部111を取り囲むようにサイド発光部112が設けられている。このサイド発光部112は、第1照明基板114の上面においてメイン発光部111を取り囲むように配置された複数の発光素子112aで構成されており、メイン発光部111の反光軸側で各発光素子112aから発光される光を鉛直上方に向けて照射可能となっている。このように本実施形態では、これら複数の発光素子112aにより環状のサイド発光部112が構成されている。
【0034】
このように第1照明基板114には、光軸OAに近いメイン発光部111と光軸OAから離れたサイド発光部112とが設けられており、それぞれ本発明の「内側発光部」および「外側発光部」の一例に相当している。また、仮想面VP1が本発明の「第1仮想面」の一例に相当している。
【0035】
第1照明基板114の鉛直上方には、メイン拡散部材116、サイド拡散部材117および遮光部材118を有する拡散部119が配置されている。メイン拡散部材116およびサイド拡散部材117は上方からの平面視でそれぞれメイン発光部111およびサイド発光部112と同一な形状を有しており、
図6に示すように仮想面VP1の部品側(同図の上側)で光軸OAと直交する仮想面VP2上で配置されている。すなわち、メイン拡散部材116は、貫通孔114aと同様にスリット形状の貫通孔116aが中央部に設けられた環状形状を有する拡散プレートである。このメイン拡散部材116は上方からの平面視でメイン発光部111と重なるようにメイン発光部111の直上位置に配置され、メイン発光部111から発光された照明光を内部で拡散しながら上方に案内して部品Pを照明する。このようにメイン発光部111を発光させることで部品Pの下面のうち光軸領域およびその周辺領域を含む中央部領域に照明することができる(メイン照明)。
【0036】
もう一方のサイド拡散部材117は、メイン拡散部材116と同じ仮想面VP2上でメイン拡散部材116を外挿可能な環状形状を有する拡散プレートである。このサイド拡散部材117は上方からの平面視でサイド発光部112と重なるようにサイド発光部112の直上位置に配置され、サイド発光部112から発光された照明光を内部で拡散しながら上方に案内して部品Pを照明する。このようにサイド発光部112を発光させることで部品Pの下面のうち光軸OAを中心とするドーナツ状領域を照明することができる(サイド照明)。このように、拡散部119では、メイン拡散部材116およびサイド拡散部材117はそれぞれ本発明の「内側拡散部材」および「外側拡散部材」の一例に相当し、メイン拡散部材116に設けられた貫通孔116aが本発明の「貫通孔」の一例に相当している。また、仮想面VP2が本発明の「第2仮想面」の一例に相当している。
【0037】
このように本実施形態では、仮想面VP2上でメイン拡散部材116に対してサイド拡散部材117を外挿しており、仮想面VP2内でメイン拡散部材116の外周面とサイド拡散部材117の内周面とが互いに対向している。このため、このままの状態で2つの発光部111、112のうちの一方、例えばメイン発光部111をのみ点灯させると、メイン発光部111で発光した光がメイン拡散部材116で拡散され、その一部がメイン拡散部材116の外側面からサイド拡散部材117の内側面を介してサイド拡散部材117に迷光として入射される。その結果、この迷光がサイド拡散部材117を介して部品Pに向けて導光されてしまうことがある。このような問題はサイド発光部112をのみ点灯させた場合も同様である。
【0038】
そこで、本実施形態では、
図6に示すように、メイン拡散部材116とサイド拡散部材117との間に環状の遮光部材118を介挿させて上記迷光の発生を確実に防止している。
【0039】
第1照明基板114の鉛直下方に第2照明基板115がビームスプリッター120を挟んで配置されるとともに、図示を省略する連結部材により第1照明基板114と連結されている。この第2照明基板115の上面では、第1照明基板114の貫通孔114aの鉛直直下位置にLEDなどの発光素子113aがスキャン方向Xと直交する水平方向Yに列状に配置されている。このため、各発光素子113aから発光される光はビームスプリッター120、貫通孔114a、光路111bおよび貫通孔116aを介して光軸OAと平行に進み、部品Pの下面のうち光軸領域を含む微小な同軸領域を照明する(同軸照明)。このように本実施形態では、これら複数の発光素子113aにより同軸発光部113が構成されている。
【0040】
上記した3つの発光部111〜113の点灯および消灯は、認識対象となる部品Pの種類や認識方法などに応じて照明制御部34により制御される。照明態様の代表例は以下に通りである。
【0041】
・照明態様A(=メイン照明(または同軸照明)+サイド照明)
例えば部品Pがレンズなどの透明部品であってエッジ認識により部品認定を行う場合、部品PがBGA(Ball Grid Array)を含む部品であってマーク認識によって当該部品の方向を判別する場合には、メイン発光部111(または同軸発光部113)とサイド発光部112とを同時点灯させるのが好適である。
【0042】
・照明態様B(=メイン照明+同軸照明)
例えば部品Pがチップ部品、QFP(Quad Flat Package)やSOP(Small Outline Package)などであって部品の下面全体を撮像して部品認定を行う場合には、メイン発光部111と同軸発光部113とを同時点灯させるのが好適である。
【0043】
・照明態様C(=メイン照明)
例えば部品Pがリード以外の部分を鏡面仕上げしている部品であって鏡面以外の部位で部品認識する場合には、メイン発光部111のみを点灯させるのが好適である。
【0044】
・照明態様D(=同軸照明)
例えば部品Pがリードを鏡面仕上げしている部品であって鏡面の部位のみで部品認識する場合には、同軸発光部113のみを点灯させるのが好適である。
【0045】
・照明態様E(=サイド照明)
例えば部品PがBGAを含む部品であって球面部位のエッジのみで部品認識する場合には、サイド発光部112のみを点灯させるのが好適である。
【0046】
このように照明態様を適正化して部品Pを照明すると、部品Pにより反射された光が光軸OAに沿ってカメラ部140に導光される。つまり、反射光は貫通孔116a、光路111b、貫通孔114a、ビームスプリッター120および折り返しミラー130によってカメラ部140のレンズ141に入射される。そして、レンズ141により部品Pの像が変倍された後で、カメラ部140のラインセンサ142に結像される。これによって、部品認識に好適な部品画像が得られ、制御ユニット3により部品認識が高精度に行われる。
【0047】
以上のように、本実施形態によれば、3つの発光部111〜113の点灯/消灯を制御することにより複数の照明態様で部品Pを照明することができる。また、
図6に示すように、これらの発光部のうちメイン発光部111およびサイド発光部112を仮想面VP1に配置するとともに、メイン拡散部材116およびサイド拡散部材117を仮想面VP2に配置している。このため、照明光学系110をZ軸方向に小型化、つまり薄型化することができる。このことがスキャンカメラ100を小型軽量化し、部品実装装置1の小型化に大きく寄与する。さらに、メイン拡散部材116とサイド拡散部材117とを近接配置したことで迷光の発生が懸念されるが、本実施形態では仮想面VP2においてメイン拡散部材116とサイド拡散部材117との間に遮光部材118を介挿しているため、迷光の発生を確実に防止することができる。
【0048】
上述のように、上記した実施形態では、スキャンカメラ100、照明光学系110およびカメラ部140がそれぞれ本発明の「部品認識装置」、「照明装置」および「撮像装置」の一例に相当している。また、メイン発光部111から発光された光が本発明の「内側照明光」に相当するとともにサイド発光部112から発光された光が本発明の「外側照明光」に相当している。また、遮光部材118が本発明の「遮光手段」の一例に相当している。さらに、ヘッドユニット6が本発明の「部品保持装置」の一例に相当している。
【0049】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば遮光部材118の代わりに、例えばメイン拡散部材116の外周面およびサイド拡散部材117の内周面の少なくとも一方を内側照明光および外側照明光を遮光する物質を塗装した塗膜を「遮光手段」として用いてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、3つの発光部111〜113の点灯/消灯制御によって照明態様A〜Eで部品Pを照明しているが、それ以外に照明態様で部品Pを照明してもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、同軸発光部113により同軸照明を行う装置に対して本発明を適用しているが、メイン照明およびサイド照明のみを行う装置に対しても本発明を適用することができる。