(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ドアの内側に設けられる少なくとも1つのセンサを有し、前記ドアを出入りするユーザーの活動情報を取得する活動情報取得部であって、活動情報取得を意識したユーザーの操作を必要とすることなく該ユーザーの活動情報を取得する活動情報取得部と、
前記ドアに設けられる少なくとも1つのセンサを有し、前記ドアを出入りするユーザーの生体情報を取得する生体情報取得部であって、生体情報取得を意識したユーザーの操作を必要とすることなく該ユーザーの生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記ドアあるいはドア付近に設けられ、前記ドアを出入りするユーザーと所定態様で対話するための対話部と、
前記活動情報取得部により取得された活動情報と前記対話部による対話音声とからユーザーの外出、在宅、外出先のユーザーの活動状況を確認し、確認されたユーザーの活動状況と前記生体情報取得部により取得された生体情報から当該ユーザーの個人データを生成する機能と、該個人データから当該ユーザーの異常を検出する機能を有する制御部と、
前記制御部により異常が検出されたときその旨を監視者にネットワークを介して通知する通信部と、
前記制御部により生成された個人データを保存する記憶部を備え、
前記制御部は、さらに、前記対話部による対話音声からユーザーの外出時と帰宅時の感情を取得する機能と、該感情と外出先の関係を解析する機能を有し、前記記憶部は、解析された感情と外出先との関係を個人データとして保存することを特徴とするドアシステム。
前記制御部は、さらに、前記個人データからユーザー個人を特定できない形式の共有データを生成する機能を有し、前記通信部は、前記制御部により生成された共有データを前記ネットワーク上のサーバに送信することを特徴とする請求項1に記載のドアシステム。
前記制御部は、さらに、前記個人データから当該ユーザーの外出パターンデータを生成する機能を有し、該外出パターンデータを含めて当該ユーザーの異常を検出することを特徴とする請求項1または2に記載のドアシステム。
前記異常検出ステップで当該ユーザーの異常が検出されたときその旨を前記ドアの外側に設けられた異常報知手段により報知する異常報知ステップを有することを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1つに記載の監視方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されている在宅者監視装置は、在宅者の生死にかかわる異常を判定するものでしかなく、在宅者の生死以外の活動状況や健康状態などの異常までを検出するものでない。また、在宅者の異常を知ることができるのは家族などの監視者だけであり、家族などの監視者が遠方で暮らす場合には、監視者が在宅者のもとに行くまで時間を要するので、その異常に速やかに対処することができないという課題がある。
【0007】
特許文献2に記載されているコミュニケーション管理システムは、バイタルデータを取得するために、ユーザーがウエアラブル機器を装着する必要があり、ユーザーの生活の快適性を損なわせるという課題がある。また、ウエアラブル機器の装着し忘れや電池切れがあると、バイタルデータを取得できないという課題がある。さらに、コミュニケーションネットワークを形成するために、バイタルデータ全てをクラウドサーバに送信するので、ユーザー個人の健康状態などに関する個人情報が漏れるリスクがあり、また、クラウドサーバの負担を増大させるという課題もある。
【0008】
本発明は、上記課題を解決し、ウエアラブル機器を使用することなく、ユーザーがドアを出入りする際に自然にその活動状況や健康状態の情報を取得することができ、その異常を通知することができるドアシステム、ドアシステム用制御装置およびドアシステムを用いた監視方法を提供することを目的とする。また、本発明は、ユーザーの健康状態などの個人情報が漏れる恐れがないドアシステムおよび該ドアシステムを用いた監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明のドアシステムは、ドアの内側に設けられる少なくとも1つのセンサを有し、前記ドアを出入りするユーザーの活動情報を取得する活動情報取得部であって、活動情報取得を意識したユーザーの操作を必要とすることなく該ユーザーの活動情報を取得する活動情報取得部と、前記ドアに設けられる少なくとも1つのセンサを有し、前記ドアを出入りするユーザーの生体情報を取得する生体情報取得部であって、生体情報取得を意識したユーザーの操作を必要とすることなく該ユーザーの生体情報を取得する生体情報取得部と、前記ドアあるいはドア付近に設けられ、前記ドアを出入りするユーザーと所定態様で対話するための対話部と、前記活動情報取得部により取得された活動情報と前記対話部による対話音声とからユーザーの外出、在宅、外出先のユーザーの活動状況を確認し、確認されたユーザーの活動状況と前記生体情報取得部により取得された生体情報から当該ユーザーの個人データを生成する機能と、該個人データから当該ユーザーの異常を検出する機能を有する制御部と、前記制御部により異常が検出されたときその旨を監視者にネットワークを介して通知する通信部と、前記制御部により生成された個人データを保存する記憶部を備え
、前記制御部は、さらに、前記対話部による対話音声からユーザーの外出時と帰宅時の感情を取得する機能と、該感情と外出先の関係を解析する機能を有し、前記記憶部は、解析された感情と外出先との関係を個人データとして保存する。
【0010】
ここで、前記制御部が、さらに、前記個人データからユーザー個人を特定できない形式の共有データを生成する機能を有し、
前記通信部は、前記制御部により生成された共有データを前記ネットワーク上のサーバに送信することも好ましい。
【0011】
また、前記制御部が、さらに、前記個人データから当該ユーザーの外出パターンデータを生成する機能を有し、該外出パターンデータを含めて当該ユーザーの異常を検出することも好ましい。
【0012】
また、前記制御部が、さらに、前記対話部による対話音声からユーザー個人を特定する機能を有することも好ましい。
【0014】
また、さらに、前記ドアの外側に設けられる異常報知手段を備え、前記制御部は、ユーザーの異常が検出されたときその旨を前記異常報知手段により報知することも好ましい。
【0015】
また、さらに、前記ドアまたはドア付近に設けられる表示部を備え、前記記憶部に保存されている個人データを適宜表示させることができることも好ましい。
【0016】
なお、本発明は、上記ドアシステムを用いる監視方法として実現することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、外出時や帰宅時に必ず通るドアやドア付近に活動情報取得機能や生体情報取得機能や音声認識機能を持たせるので、ウエアラブル機器を使用する必要がなく、また、特別な操作を必要とすることなく、自然にユーザーの外出履歴や健康状態を取得することができる。また、取得された活動情報や生体情報や活動パターンデータが通常時のものから設定される閾値を超えて異なった場合にユーザーの異常と判断することで、ユーザーの異常行動や健康状態の変化の検知や死活検知ができるので、ユーザーの異常を速やかに監視者に通知することができる。
【0018】
また、取得された活動情報や生体情報から個人データと共有データと外出パターンデータを生成し、共有データのみをインターネットなどのネットワークに接続されたサーバにあげることにより、個人情報の漏えいの恐れを軽減することができる。また、ユーザー個人を特定することができないようにしてユーザーの外出先などの共有データを地域社会などで共有し、活用することにより、地域の人たちの行先がわかり、外出意欲の促進やコミュニケーションの支援につなげることができる。
【0019】
また、対話部での対話音声からユーザーの感情を認識し、ユーザーの外出先と感情の関係を解析することにより、ユーザーがどの外出先を好むかを認識することができ、それによりユーザーにお薦めのイベントなどを知らせることができる。
【0020】
さらに、ドア外側に設けられたLEDなどの異常報知手段によりユーザーの異常を報知させることにより、家族などの監視者が遠方で暮らしていて直ぐにそれを確認することが困難な場合であっても、付近の人がそれを直ぐに認識し、対処することができるようになる。
【0021】
以上のように、本発明によれば、ユーザー、特に高齢者の不断の健康状態の管理を行うことができるので、健康寿命を延長することができ、また、家族などの監視者の介護負担を軽減することができて医療費の削減につなげることができる。また、個人情報の漏えいリスクを軽減することができるので、ユーザーの詐欺被害の恐れを減らすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を用いて本発明を説明する。
【0024】
図1は、本発明のドアシステムを用いた監視システムを概略的に示す構成図である。
【0025】
この監視システムは、ユーザーa,bがドア20を出入りするときにその活動情報や生体情報を取得し、それらの情報から当該ユーザーの異常を検知して通知するドアシステムをインターネットなどのネットワークNを介してサーバSおよび家族Fや公的機関Pなどの監視者端末、例えばPCなどに接続することにより構成される。
【0026】
以下、本発明のドアシステムの構成について詳細に説明する。
【0027】
図2は、本発明のドアシステムの一実施形態を示す機能ブロック図である。また、
図3は、本発明のドアシステムにおけるドア構成の一例を示す図であり、同図(a)はドア内側、(b)はドア外側を示す。
【0028】
本実施形態のドアシステムは、生体情報取得部21、活動情報取得部22、対話部23、表示部24、異常報知手段25、制御部26、記憶部27および通信部28を備える。
【0029】
なお、以下では、ドアシステムの構成要素全てがドア20に設けられているものとして説明するが、このドアシステムでは、生体情報取得部21と活動情報取得部22が有する一部センサがドア20に搭載されればよく、その他の構成要素は、ドア付近あるいはドア20から離れた家屋内に設けられてもよい。したがって、本発明のドアシステムとは、それが備える構成要素全てがドア20に搭載されることを要求するものでなく、その一部がドア付近やドア20から離れた家屋内に設けられてもよいものである。
【0030】
生体情報取得部21は、ユーザーの生体情報を取得するものであり、例えば、ドア内側のドアノブに設けられた心拍センサおよび赤外線体温計を備える。心拍センサによりユーザーの心拍数を取得することができ、赤外線体温計によりユーザーの体温を非接触で取得することができる。なお、赤外線体温計は、ドア20の近傍に設けられてもよい。
【0031】
なお、心拍(脈拍)センサは、例えば、NTT DOCOMOテクニカル・ジャーナル Vol.18 No.4 p61-64に記載されているように、既に知られている。また、http://www.yuden.co.jp/jp/solutions/piezoelectric/scene/
に圧電素子を利用した心拍センサが開示されている。生体情報の取得には、このような技術を利用することができる。
【0032】
活動情報取得部22は、ユーザーが外出中となるか在宅であるかの活動情報を取得するためのものであり、例えば、ドアの開閉を検知するドアセンサおよびドア内側の上部に設けられた人感センサを備える。なお、人感センサは、ドア20を出入りするユーザーを感知すればよいので、ドア20の近傍に設けられてもよい。
【0033】
対話部23は、予め定められた対話態様でユーザーと対話するために用いられる音声入出力部であり、例えば、マイクとスピーカーを備える。なお、マイクとスピーカーは、ドア20の近傍に設けられてもよい。
【0034】
表示部24は、例えば、タッチパネルであり、生体情報取得部21で取得された生体情報や活動情報取得部22で取得された活動情報を適宜表示し、ユーザー自身や監視者が当該ユーザーの健康状態を把握できるようにする。また、表示部24は、後述するように、サーバSから送信される地域情報を適宜表示する。なお、表示部24は、ドア20の近傍に設けられてもよく、ユーザーが所持するPCなどを利用してもよい。
【0035】
異常報知手段25は、制御部26により生体情報取得部21で取得された生体情報や活動情報取得部22で取得された活動情報からユーザーの異常が検出されたとき、その異常を外部に報知するものであり、例えば、ドア外側の上部やその近傍に設けられたLEDを備える。このLEDの点灯などでユーザーの異常が外部に報知されるので、監視者でなくても、付近の人がその異常を速やか認識することができる。
【0036】
制御部26は、生体情報取得部21により取得された生体情報および活動情報取得部22により取得された活動情報を処理する情報処理部261、対話部23による対話音声を処理する音声処理部262およびユーザーの異常を検出する異常検出部263を備える。制御部26は、ドア20に設けられる必要がなく、ドア20の近傍や家屋内に設けられてもよい。また、制御部26の各部の機能は、ソフトウエアで実現されてもよい。
【0037】
情報処理部261は、共有データ生成部、個人データ生成部および外出パターンデータ生成部を備え、個人データ生成部は、生体情報取得部21や活動情報取得部22により取得された生体情報や活動情報を個人データに変換し、共有データ生成部は、生体情報や活動情報を共有データに変換し、外出パターンデータ生成部は、個人データの活動情報から外出パターンデータを生成する。
【0038】
音声処理部262は、声紋認証部、音声認識部および対話音声生成部を備える。声紋認証部は、対話音声からユーザー個人を特定し、特定されたユーザー個人と個人データ、共有データおよび外出パターンデータとを結びつけるために備えられる。また、音声認識部は、対話音声の対話内容を認識し、対話音声生成部は、ユーザーとの対話音声を予め定められた形態で生成する。
【0039】
また、音声認識部は、ユーザーの外出時/帰宅時の感情を対話音声の大小、強弱、高低、抑揚などを認識する。なお、ユーザーの感情を分類する判定指標は、統計的な手法や多くの人を対象にした学習などにより求めればよい。例えば、http://www.agi-web.co.jp/index.html
http://medical-pst.com/products-2/emotion
に感情認識の技術が紹介されている。ユーザー感情の取得には、このような技術を利用することができる。
【0040】
異常検出部263は、個人データの生体情報や活動情報あるいは生体情報と活動情報の組み合わせからユーザーの異常を検出し、その異常を、家族Fや公的機関Pの監視者に通知するとともに、ドア20の外側に設けられた異常報知手段25により外部に報知する。
【0041】
記憶部27は、制御部26の情報処理部261により変換された個人データおよび共有データを保存し、さらに、情報処理部261の外出パターンデータ生成部により生成された外出パターンデータを保存する。なお、個人データや共有データや外出パターンデータは、過去の一定期間あるいは一定数のデータが保存され、新たなデータが取得されたときには古いものから削除される。
【0042】
通信部28は、ドアシステムとサーバSや監視者(家族Fや公的機関P)との間のインターネットなどのネットワークNを介した通信を制御する。記憶部27や通信部28もドア20に設けられる必要がなく、ドア20の近傍や家屋内に設けられてもよい。
【0043】
図4は、記憶部27に保存される個人データの具体例である。
【0044】
まず、個人データとして、ユーザーごとにID(個人ID)を与え、個人IDに結び付けて身体情報(年齢、性別、身長、体重)、住所(図示せず)などのユーザー情報を予め登録しておく。また、過去の一定期間中に計測されたユーザーの体温や心拍の平均値も個人データとして保存され、生体情報取得部21により新たな体温や心拍が取得されたときには更新される。
【0045】
なお、個人IDは、サーバSが共有データを管理するために使用されるが、後述するように、ドアシステム側からサーバSに送信される共有データに個人IDとユーザー個人を結びつける情報は含まれていないので、個人IDだけでユーザー個人が特定されることはなく、これにより、プライバシーが保護される。
【0046】
また、記憶部27は、個人データとして、活動の日時、外出か帰宅か、外出先、気温、天気、体温や心拍の生体情報、外出時/帰宅時の感情(平常・喜・怒・哀)などの情報を保存する。
【0047】
活動の日時、外出か帰宅か、外出先の情報は、ドア20の活動情報取得部22や対話部23による対話音声から取得することができ、気温や天気は、インターネット上に公開されている天気情況から取得すればよい。また、体温や心拍の生体情報は、ドア20の生体情報取得部21から取得することができ、ユーザーの外出時/帰宅時の感情は、対話部23による対話音声の大小、強弱、高低、抑揚などを認識することにより取得することができる。なお、ユーザーの感情を分類する判定指標は、統計的な手法や多くの人を対象にした学習などにより求めればよい。
【0048】
図5は、記憶部27に保存される共有データの具体例である。
【0049】
共有データは、情報処理部261の共有データ生成部により個人情報が変換されて生成されるものであり、例えば、個人IDと年代と性別を含むユーザー情報、外出/在宅ステータスと外出先を含む活動情報、生体情報取得部21により取得された体温と心拍の生体情報が変換された体温と心拍の生体情報を含む。
【0050】
個人情報から共有データへの変換は、予め定められた閾値を用いて行うことができる。 例えば、ユーザー情報については、年齢から年代(60代か70代か80代かなど)を求め、その年代を共有データとして記憶部27に保存する。活動情報については、人感センサとドアセンサによる検知を基に、ユーザーのステータス(外出中となるか在宅か)を判別し、その判別結果を共有データとして記憶部27に保存する。
【0051】
また、生体情報の体温については、予め設定された閾値を用いて、個人情報の体温が平熱か微熱か高熱かに分類する。例えば、37.0℃未満の場合 平熱に分類し、37.0℃以上38.0℃未満の場合、微熱に分類し、38.0℃以上の場合、高熱に分類する。また、心拍については、今までの平均値と比較し、平常、高い、低いかに分類する。例えば、平均値±20%の範囲から外れたか否かで、高いか低いかに分類する。
【0052】
図6は、記憶部27に保存される外出パターンデータの具体例である。
【0053】
外出パターンデータは、情報処理部261の外出パターンデータ生成部により1日ごとに生成されるものであり、例えば、時間帯ごとの外出回数と外出頻度、直近7日分の外出回数、直近2日分の外出回数、当日の外出回数を含む。なお、
図5では直近7日分と直近2日分の外出回数を求めて保存しているが、何日分の外出回数を保存するかは異常検出条件に応じて設定される。
【0054】
時間帯ごとの外出回数に対しては計測日数、該計測日数での外出回数の総数、1日当たりの平均外出回数も保存する。外出回数は、例えば1年を通して計測する。直近7日分や直近2日分の外出回数に対しても計測日数(7日,2日)、外出回数の総数、1日当たりの平均外出回数を保存する。ここには図示されていないが、気温、天気、曜日などの条件を設定し、条件ごとに外出パターンデータを取得すれば、それらの各条件を異常検出条件に含ませてユーザーの異常を細かく検出することができる。また、ユーザーの外出回数や外出先は、季節により変わることも想定されるので、季節を異常検出条件に含めてもよい。例えば、昨年の当該季節での1日当たりの平均外出回数と比較するようにして異常検出条件を定めることができる。なお、外出パターンデータの取得の条件を細かく設定すると、そのデータの取得や処理に負担がかかるが、細かい異常検出条件のもとでのユーザー異常を検出することができる。
【0055】
図6の外出パターンデータの各データは、以下の(1)〜(4)の手順で求めることができる。
(1)個人情報の活動情報より当日の外出回数を時間帯ごとにカウントし、保存する。
(2)計測日数は1日ごとにインクリメントする。
(3)外出回数の総数に当日の外出回数を加え、計測日数と外出回数の総数から1日の平均外出回数を求める。
(4)個人データの活動情報より、外出した時間帯に当日の時間帯ごとの外出回数を加える。さらに、外出回数の総数と時間帯ごとの外出回数から時間帯ごとの外出頻度(割合)を求める。
(5)直近7日分、直近2日分についても同様に求める。
【0056】
記憶部27には、外出先と感情の関係を解析し、その解析結果を保存するようにしてもよい。この解析結果を用いてユーザーの嗜好を求めることができ、ユーザーの嗜好にあったイベント情報などの地域情報をユーザーに提供することができる。例えば、ユーザー側からその解析結果をサーバS側に送信すれば、サーバS側で嗜好にあった地域情報を選択してユーザー側に送信することができ、あるいはサーバSから送信された全ての地域情報から解析結果の嗜好にあった地域情報をユーザー側で選択し、優先順位を付けて表示させることができる。
【0057】
図7は、記憶部27に保存される解析結果の具体例である。
【0058】
個人データの感情から外出先と外出後の感情の関係を統計的に求め、外出先に対する外出後の感情(平常・喜・怒・哀)の関係を割合(%)で求める。例えば、
図6の解析結果のユーザーに対しては、外出後の感情の「喜」の割合が大きい値の「○△センター」に関する地域情報がお薦めとなる。
【0059】
図8は、異常検出部263における異常検出処理の例を示す説明図である。
【0060】
生体情報からユーザーの異常を判定するために、個人データの生体情報の体温と心拍に対してそれぞれ閾値を設定する。なお、
図8(a)に示すように、閾値を複数設定するのが好ましい。この例の閾値1は、他の情報との組み合わせにより異常を判定するための値で、それ単独で閾値を超えても異常と判定しない。閾値2は、それ単独で異常を判定するための値で、その閾値を超えたら他の条件に関わらず異常と判定する。
図8(b)は、異常と判定するために設定された異常検出条件の例を示す。このように、異常と判定するための異常検出条件を設定し、その異常検出条件を満たした場合は、ユーザーに異常がある可能性があるとして監視者へ通知する。
【0061】
図6に示されるように、直近7日分や直近2日分の外出回数を求めて保存すれば、1週間内や2日間での外出回数が極端に少ない場合や極端に多い場合に、ユーザーに異常がある可能性があるとして監視者へ通知することができる。
【0062】
図8の例では、体温が38℃以上の高熱の場合や心拍が平均値+30%以上の場合、条件(1)により異常と判定し、体温が37℃〜38℃かつ心拍が平均値+20〜30%の場合、条件(2)により異常と判定する。しかし、体温が37℃〜38℃で微熱であり、心拍が平均値付近の場合や、心拍が平均値+20〜30%であるが、体温が平均値付近の場合には、異常と判定しない。
【0063】
外出パターンデータをもとにユーザーの異常を判定することもできる。この判定は、例えば、外出パターンデータの時間帯ごとの外出頻度を参照することにより可能である。具体例では、今まででは外出頻度が低い時間帯にもかかわらず、最近の一定期間で一定回数以上の外出があった場合、ユーザーに異常があったと判定する。
図8(b)の条件(3)は、この判定条件であり、ここでは、今までは外出頻度が5%未満の時間帯であるが、最近の1週間では5回以上の外出があった場合、異常と判定する。また、1日の外出回数が設定値を下回った場合を条件として異常を判定してもよい。例えば、1回も外出しない日が2日続いた場合、異常と判定する。
【0064】
また、生体情報と外出パターンデータの組合せからユーザーの異常を判定することもできる。例えば、生体情報の体温と心拍のいずれかが異常で、かつ1日の外出回数が一定以下の場合、異常と判定する。これによれば、生体情報を単独で用いる場合や外出パターンデータを単独で用いる場合に比べて異常検出の精度を上げることができ、また、外出パターンデータを単独で用いる場合に比べて異常と判断するまでの時間が短縮することができる。
【0065】
次に、本発明のドアシステムでの処理について説明する。
【0066】
図9は、ドアシステムでの活動情報と生体情報の取得処理を示すフローチャートであり、同図(a)は、ユーザーが外出するときの処理を示し、同図(b)は、ユーザーが帰宅したときの処理を示す。
【0067】
図9(a)に示すように、ユーザーが外出する際に玄関のドア20に近づくと、活動情報取得部22の人感センサが反応し(S1)、対話部23のスピーカーから音声アナウンス、例えば、外出か外出先は何処かを問う音声アナウンスが流れる。この音声アナウンスに従ってユーザーが外出する旨と外出先を告げると、その対話音声は対話部23のマイクを通して音声処理部262に入力される。音声処理部262の音声認識部は、対話音声を認識して外出を確認し(S2)、外出確認の結果を取得し(S3)、ユーザーが外出するかどうかを判定する(S4)。ここで外出でないと判定された場合、処理を終了するが、外出であると判定された場合は、対話音声から認識された外出先を確認する(S5)。
【0068】
次に、音声処理部262の声紋認証部が対話音声の声紋からユーザー個人を特定し(S6)、続いて、対話音声からユーザーの感情を取得し(S7)、さらに、確認された外出先を取得する(S8)。
【0069】
以上により取得された外出先と感情は、記憶部27に個人データとして保存される(S9)。同時に、外出の外/帰ステータスが記憶部27に個人データとして保存される。
【0070】
次に、ユーザーが外出の際にドアノブを握ると、ドアノブに設けられた心拍センサがユーザーの心拍を取得する(S10)。また、ドア20あるはドア20の近傍に設けられた赤外線体温計がユーザーの体温を非接触で計測し、その情報を取得する(S11)。
【0071】
以上により取得された心拍と体温は、記憶部27に個人データとして保存される。また、個人データの体温平均値と心拍平均が、今回取得された体温と心拍を含めて新たに求められた値に更新され、記憶部27に保存される(S13)。
【0072】
次に、ユーザーがドア20から外に出ると、ドアセンサが反応し(S14)、その時刻が個人データの外出日時として記憶部27に保存される(S15)。
【0073】
以上により取得された個人データは、共有データ生成部で、ユーザー個人を特定できないように変換され、共有データとして記憶部27に保存される(S16)。この共有データは、通信部28からネットワークNを介してサーバSに送信され、地域社会で共有される(S17)。
【0074】
図9(b)に示すように、ユーザーの帰宅時にドア20が開くとドアセンサが反応する(S21)。その後、ユーザーが家屋内に入ると人感センサが反応し(S22)、音声アナウンスが流れる。この音声アナウンスに従ってユーザーが対話音声を発すると、音声認識部はそれを認識してユーザーが帰宅したかを確認し(S23)、帰宅かどうかを判定する(S24)。ここで帰宅でないと判定された場合、処理を終了するが、帰宅であると判定された場合には、帰宅の日時が記憶部27に個人データとして保存される(S25)。同時に、帰宅の外/帰ステータスが記憶部27に個人データとして保存される。
【0075】
次に、声紋認証部がユーザーの対話音声の声紋からユーザー個人を特定し(S26)、続いて音声からユーザーの感情を取得する(S27)。取得された感情は、記憶部27に個人データとして保存される(S28)。
【0076】
次に、共有データ生成部が共有データの活動情報のステータスを在宅に更新し(S29)、また、共有データの外出先と生体情報をクリアする(S30)。この共有データは、通信部28からネットワークNを介してサーバSに送信され、地域社会で共有される(S31)。
【0077】
図10は、異常検出部263での異常検出処理を示すフローチャートである。この異常検出処理は、ユーザーの生体情報が取得されたとき、予め定められた時刻、あるいは一定時間間隔で実行される。
【0078】
まず、記憶部27に保存されている個人データから最新の生体情報を取得し(S41)、それが閾値(1or2)を超えたかどうかを判定する(S42)。ここで生体情報が閾値を超えないと判定された場合には、S44に進むが、閾値を超えたと判定された場合、さらに異常検出条件を満たすかどうかを判定する(S43)。
【0079】
ここで異常検出条件を満たさないと判定された場合には、S44に進むが、満たすと判定された場合には、通信部28からネットワークNを介して異常を監視者に通知し(S46)、さらに、ドア外部の異常通知手段25を点灯制御する(S47)。
【0080】
S44では、外出パターンデータを取得し(S44)、外出パターンデータ単独または生体情報と外出パターンデータの組み合わせが異常検出条件を満たすかどうかを判定する(S45)。
【0081】
ここで異常検出条件を満たさないと判定された場合には、処理を終了するが、満たすと判定された場合には、通信部28からネットワークNを介して異常をメールなどで監視者に通知し(S46)、さらにドア外部の異常通知手段25を点灯制御する(S47)。
【0082】
図11は、サーバSの実施形態を示す機能ブロック図である。
【0083】
図11に示すように、本実施形態のサーバSは、制御部30、記憶部31および通信部32を備え、ユーザーa,bや公的機関Pからの情報を集約し、共有データとして管理する。
【0084】
制御部30は、情報処理部301と統計情報生成部302を備え、情報処理部301は、ユーザーのドアシステムから送信された共有データおよび公的機関Pから送信された地域情報を処理する。統計情報生成部302は、ユーザー側から送信されて保存した共有データから統計情報を生成し、ユーザー側から新たに共有データを受信して保存すれば、それを含めて新たな統計情報を求めて、それに更新する。
【0085】
記憶部31は、情報処理部301により処理された共有情報をユーザー生体情報およびユーザー活動情報として保存し、また、公的機関Pから受信した地域情報を保存する。記憶部31は、さらに、統計情報生成部302により生成された統計情報を保存する。統計情報は、各ユーザーに共有され、ユーザーの健康管理支援、コミュニケーション支援として利用される。
【0086】
通信部32は、サーバSとユーザーa,bのドアシステムおよび家族Fあるいは公的機関Pの監視者端末との間の通信を制御する。
【0087】
図12は、サーバSの記憶部31に保存されるユーザー生体情報の具体例を示す図である。
【0088】
ユーザー生体情報には、ID(個人ID)と共有データの生体情報とが対応した形態でリスト化されて保存され、ユーザー側から共有データが受信されると更新され、その更新時刻が保存される。
【0089】
図13は、サーバSの記憶部31に保存されるユーザー活動情報の具体例を示す図である。
【0090】
ユーザー活動情報には、ユーザー側から受信された共有データのステータスが外出中の場合、個人IDと外出先が保存され、さらに、外出先ごとに現在外出中の人数が合計されて保存される。例えば、○○公園には5人、○×スーパーには3人、××病院には2人というような形態で保存される。また、ユーザー側から受信された共有データのステータスが帰宅の場合は、該当する個人IDの情報は削除され、合計人数が更新される。
【0091】
図14は、サーバSの記憶部31に保存される統計情報の具体例を示す図である。
【0092】
統計情報には、ユーザー側から受信された共有データのユーザー生体情報を統計的に表したデータが保存される。統計情報は、地域の人の健康状態を表すものであり、統計情報生成部302で、例えば、体温が平熱、微熱、高熱の人の人数あるいは割合、心拍が平常、高い、低い人の人数あるいは割合などが求められ、その値が統計情報として保存される。ユーザー活動情報から場所ごとに人の密集具合(人数)を集計したデータを統計情報として保存してもよい。
【0093】
地域情報は、公的機関から受信された地域のイベント情報やお知らせ情報である。例えば、市役所など行政機関からの地域のイベント情報、健康統計情報を基にした住民への注意喚起などであり、この情報は、ユーザーや地域社会で共有される。上述したように、ユーザーは、統計的に求められた嗜好に応じた地域情報を閲覧することができ、また、地域の人は、PCなどから地域情報を適宜要求して閲覧することができる。
【0094】
図15は、サーバSでの処理を示すフローチャートである。
【0095】
サーバSでは、ユーザーa,bのドアシステムから送信される共有データあるいは公的機関Pの監視者端末から送信される地域情報の待ち受を開始し(S51)、データを受信すると(S52)、受信したデータがユーザーa,bのドアシステムからの共有データであるか公的機関Pの監視者端末からの地域情報であるかを判別する(S53)。
【0096】
ここで、受信したデータが公的機関Pからの地域情報と判定された場合には、受信したデータを記憶部31に地域情報として保存する(S59)。
【0097】
S53で、受信したデータがユーザーa,bからの共有データと判定された場合には、その活動情報のステータスが外出中であるか在宅であるかを判別する(S54)。ここで、活動情報のステータスが外出中と判定された場合、受信した共有データの個人IDと外出先を記憶部31にユーザー活動情報として追加して保存する(S55)とともに、記憶部31のユーザー生体情報の該当個人IDの生体情報を更新する(S56)。さらに、新たに追加されたユーザー生体情報を含めて新たな統計情報を統計情報生成部302で生成し、記憶部31に保存する(S57)。
【0098】
S54で、活動情報のステータスが在宅と判定された場合には、受信した共有データの個人IDと同じ個人IDのユーザー活動情報を記憶部31から削除する。
【0099】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものでなく、種々に変形されたものも含むものである。
【0100】
例えば、人感センサやドアセンサの情報からはユーザーの外出や帰宅が推定されるが、その確認や外出先の対話音声を認識することができないという事態、例えば、音声認証部で外出や外出先を認識できないという事態が、一定回数あるいは一定期間以上続いた場合、それを異常検出条件としてユーザーの異常(認知症の疑い)を検出し、その旨を監視者に通知するようにすることができる。
【0101】
また、上記実施形態では、対話音声の声紋認証によりユーザー個人を特定するが、ドアノブに指紋取得手段を設けたりドア付近にカメラを設けたりすれば、取得された指紋や画像からユーザー個人を特定することができる。
【0102】
また、本発明のドアシステムは、ドアやドア付近に既設された形態である必要でなく、その構成要素の一部をドアに搭載でき、他の構成要素をドア付近あるいはドアから離れた家屋内に設置できるように構成されていればよいものである。
【0103】
さらに、本発明は、上記ドアシステムを用いた監視方法としても有効なものである。