(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1面材における縦方向の端部と前記横芯の端部との間、および前記第1面材における縦方向の端部と前記中芯における前記縦芯側の部位との間には、隙間が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のドア。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された建材の縦框は、縦方向に延びる2つの芯材の間に空間が形成された構造となっており、芯材自体の寸法誤差、あるいは2つの芯材の配置のずれ等に起因して縦框に寸法誤差が生じ易い。それゆえ、透光パネルの枠体、具体的には縦枠材に縦框を取付けて建材を完成させた場合に、当該建材の水平方向の寸法精度が低下し易い。また、上記建材の水平方向の寸法を設計する際、縦框を構成する2つの芯材自体の寸法、および当該2つの芯材の離間距離を考慮しなければならないことから設計が複雑になる。また、縦框自体が複数の部材で構成されることから、建材の製造工程も複雑になりコスト高となる。
【0006】
さらには、上記透光パネルは、透光板の縦方向の両端部が横枠材まで延伸しておらず、横枠材には別途飾りパネルが取付けられている。それゆえ、飾りパネルが必要な分だけ部材点数が多くなるとともに、飾りパネル自体の寸法誤差や飾りパネルの配置のずれ等に起因して透光パネルの寸法精度も低下し易い。
【0007】
本発明の一態様は、フラッシュ構造のドアについて、構造をシンプルにしてコスト削減を図るとともに製造工程を簡易にし、寸法精度を向上させることを目的とする。また、ドア表面に形成される段差を小さくして、意匠性を高めたドアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るドアは、フラッシュ構造のドアであって、前記ドアの枠体を形成する縦芯および横芯と、前記枠体により囲まれる空間に配置される中芯と、を備えており、前記縦芯は、単一の部材からなっており、前記横芯は、少なくとも一部の部位が単一の部材からなり、前記一部の部位における水平方向の両端が前記縦芯と当接する位置まで延びており、水平方向の断面において、中央部が端部よりも前記ドアの厚み方向に窪む凹形状となっており、前記中芯は、水平方向の断面において、前記中芯における前記縦芯側の第2面よりも、前記中芯における前記ドアの中央部側の第1面が前記ドアの厚み方向に窪むよう、前記第1面と前記第2面との間に第1段差が形成されている。
【0009】
上記構成によれば、縦芯、および横芯の少なくとも一部の部位が単一の部材からなっているとともに、横芯における当該一部の部位の水平方向の両端が縦芯と当接する位置まで延びている。それゆえ、縦芯および横芯の少なくとも一方を複数の部材を用いて形成する場合と比較して部材点数を削減することができ、コスト削減を図ることができる。また、縦芯・横芯ともに、複数の部材を用いて形成することに起因する寸法誤差が発生し難くなる。さらに、縦芯の両端のそれぞれを横芯と当接させることでドアの水平方向の寸法が決まることから、シンプルな構造でかつ寸法精度が向上したドアを簡易な製造工程で実現することができる。
【0010】
また上記構成によれば、横芯は、中央部が端部よりもドアの厚み方向に窪む凹形状となっており、中芯は、当該中芯における縦芯側の第2面よりもドアの中央部側の第1面がドアの厚み方向に窪むような第1段差が形成されている。
【0011】
したがって、例えば、横芯における中央部の面および中芯におけるドアの中央部側の面に1枚の鏡板を貼り付けることができることから、横芯の上記面に貼り付ける部材と、中芯の上記面に貼り付ける部材とを異ならせる必要がない。それゆえ、部材点数・コストの削減を図ることができ、製造工程も簡易になる。また、1枚の鏡板の寸法が決まればドアの中央部における縦方向の寸法が決まることから、ドアの中央部の寸法精度を向上させることができる。さらには、1枚の鏡板を貼り付けるだけでドアの中央部表面に形成される段差を小さくできることから、簡易な構成でドアの意匠性を高めることができる。
【0012】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るドアは、前記横芯における前記中央部の第3面および前記第1面には、第1面材が取付けられており、前記第1面材の表面と前記第2面との間、および前記第1面材の表面と前記横芯における前記端部の第4面との間には、水平方向の断面において、前記第1面材の表面が前記第2面および前記第4面よりも前記ドアの厚み方向に窪むような第2段差が形成されている。
【0013】
上記構成によれば、横芯における中央部の第3面、および中芯におけるドアの中央部側の第1面に第1面材が取付けられていることから、本発明の一態様に係るドアの中央部の剛性を高くすることができる。
【0014】
また上記構成によれば、第1面材の表面と中芯における縦芯側の第2面との間、および第1面材の表面と横芯における端部の第4面との間には、当該表面が第2面・第4面よりもドアの厚み方向に窪むような第2段差が形成されている。それゆえ、第1面材の表面が水平方向の断面において上記第2面・第4面よりもドアの厚み方向に凸となっている場合と比較して、ドアの中央部の外観を向上させることができる。また、枠体への糊の塗布が容易でロールコーター等の汎用機器を用いて塗布できることから、専用の塗布機器を別途製造等する必要がない。それゆえ、コストの削減および寸法精度の向上を図りつつ、製造工程のさらなる簡易化を実現することができる。
【0015】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るドアは、前記第2面および前記第4面には第2面材が取付けられており、前記第2面材における前記ドアの中央部側の端部は、前記第1面材の表面と当接している。
【0016】
上記構成によれば、中芯における縦芯側の第2面、および横芯における端部の第4面に取付けられた第2面材について、当該第2面材におけるドアの中央部側の端部は第1面材の表面と当接している。
【0017】
例えば、第2面材におけるドアの中央部側の端部が第1面材の縦方向の側面に当接する場合、当該側面の表面粗さ・第1面材における縦方向の端部の表面粗さ等によっては、上記端部と上記側面との接触箇所付近の見栄えが悪くなる。その点上記構成によれば、第1面材の縦方向の端部が第2面材の上記端部で隠れることから、第1面材における縦方向の側面の表面粗さ等に拘らず、第2面材におけるドアの中央部側の端部と第1面材との接触箇所付近の見栄えを良好に保つことができる。
【0018】
また、第2面材におけるドアの中央部側の端部が第1面材の表面と当接しているので、例えば第1面材の表面に貼られた化粧シート端部の剥がれを隠し、または剥がれの拡大を抑えることができる。
【0019】
さらには、第2面材におけるドアの中央部側の端部によって第1面材の横芯・中芯に対する取付位置が保持されることから、コストの削減、製造工程の簡易化および寸法精度の向上を図りつつ、第1面材のドアに対する固定をより強固にすることができる。
【0020】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るドアは、前記第1面材における縦方向の端部と前記横芯の端部との間、および前記第1面材における縦方向の端部と前記中芯における前記縦芯側の部位との間には、隙間が形成されている。
【0021】
上記構成によれば、第1面材における縦方向の端部が第2面材におけるドアの中央部側の端部で隠れるとともに、第1面材の上記端部と横芯の端部との間、および第1面材の上記端部と中芯における縦芯側の部位との間には、隙間が形成される。したがって、第1面材の水平方向の長さの寸法精度がある程度低くても、あるいは横芯・中芯に対する第1面材の配置がある程度ずれても、ドアの外観からはそれらのことが分からない。それゆえ、ある程度ラフに第1面材を製作することができるとともに第1面材の横芯・中芯に対する取付けもある程度ラフでよいことから、鏡板の簡易な製作・迅速な取付作業を実現することができ、ドア製造の作業時間を短縮することができる。
【0022】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るドアは、前記中芯は、前記ドアの縦方向に延びる縦中芯である。上記構成によれば、枠体により取り囲まれる空間に縦中芯が配置された構造のドアについて、シンプルな構造でかつ寸法精度が向上したドアを、簡易な製造工程・低コストで実現することができる。
【0023】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るドアの製造方法は、ドアの枠体を形成する縦芯および横芯と、前記枠体により囲まれる空間に配置される中芯とを備えるフラッシュ構造のドアの製造方法であって、前記縦芯は、単一の部材からなっており、前記横芯は、少なくとも一部の部位が単一の部材からなっているとともに、水平方向の断面において、中央部が端部よりも前記ドアの厚み方向に窪む凹形状となっており、前記中芯は、水平方向の断面において、前記中芯における前記縦芯側の第2面よりも、前記中芯における前記ドアの中央部側の第1面が前記ドアの厚み方向に窪むよう、前記第1面と前記第2面との間に第1段差が形成されており、前記横芯における前記一部の部位における水平方向の両端を、前記縦芯と当接させて前記枠体を形成する。
【0024】
上記構成によれば、シンプルな構造、かつ寸法精度が向上したフラッシュ構造のドアを、コスト削減を図りつつ簡易な製造工程で製造することができる。また、簡易な構成でドアの中央部表面に形成される段差を小さくでき、ドアの意匠性を高めることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一態様によれば、フラッシュ構造のドアについて、シンプルな構造でかつ寸法精度が向上したドアを、簡易な製造工程・低コストで実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<ドアの概要>
まず、
図1〜3を参照して、本発明の一実施形態に係るドア100の概要について説明する。
図1は、ドア100の外観図である。
図2は、ドア100の枠体10の外観図である。
図3の(a)は、ドア100のA−A線矢視断面図である。
図3の(b)は、ドア100のB−B線矢視断面図である。
図3の(c)は、枠体10に取付ける前の状態における化粧パネル30の平面図である。なお、以下の説明においては、便宜上、紙面向かって上側を上方、紙面向かって下側を下方とする。
【0028】
ドア100はフラッシュ構造のドアであり、
図1に示すように、ドア100における縦方向の端部の上下に設けられた2つのヒンジ101によって住宅(不図示)内部の部屋の出入口800に取付けられている。ドア100の表面には、ドアノブ102が回動可能に取付けられている。同様に、ドア100の裏面にもドアノブ(不図示)が回動可能に取付けられている。ここで、ドア100の表面は部屋の外部側に面しており、ドア100の裏面は部屋の内部側に面している。
【0029】
例えば、住宅の住人が部屋に入る場合であれば、ドアノブ102を回しつつ当該ドアノブ102を部屋の外部方向に引っ張ることでドア100がヒンジ101を支点に回動し、
図1に示すようにドア100が開く。
【0030】
ドア100は水平方向の断面がI字形状となっており、その表面・裏面ともに、水平方向の断面において縦方向の中央部がその他の部位よりもドア100の厚み方向に窪んでいる。ドア100の表面・裏面における上記厚み方向の窪みは、ともに同程度窪んでいる(
図3の(a)等参照)。
【0031】
ドア100の表面・裏面における縦方向の中央部は、鏡板20(第1面材:詳細は後述)で形成されている。また、上記表面・裏面におけるその他の部位は、化粧パネル30(第2面材:詳細は後述)で形成されている。また、ドア100は、水平方向の大きさ・形状およびドア100の厚み方向の大きさ・形状が、縦方向の中心軸Yに対して対称となっている。
【0032】
なお、本実施形態では、本発明の一態様に係るドアとして住宅内部の部屋の出入口800に取付けられるヒンジ式のドア100を例に挙げて説明しているものの、上記ドアはこの例に限定されない。本発明の一態様に係るドアは、例えば住宅の引き戸や折れ戸、家具の扉など、様々なドアに適用することができる。
【0033】
また、ドア100の内部は、
図2に示すような枠体10で構成されている。枠体10はドア100の大きさと略同一の大きさ、かつ正面から見て外形が長方形状の木製部材であり、2つの縦芯1、上芯2(横芯)および下芯3(横芯)で構成されている。上芯2の水平方向の両端は、縦芯1における上側の端部と当接する位置まで延びており、下芯3の水平方向の両端は、縦芯1における下側の端部と当接する位置まで延びている。
【0034】
具体的には、上芯2における水平方向の両端の側面が縦芯1における上側の端部の側面と当接しており、上芯2の上面と縦芯1の上面とが略面一となっている(いわゆる、「縦勝ち」の状態)。同様に、下芯3における水平方向の両端の側面が縦芯1における下側の端部の側面と当接しており、下芯3の下面と縦芯1の下面とが略面一となっている(「縦勝ち」の状態)。
【0035】
縦芯1、上芯2および下芯3は、ともに単一の木材(部材)を加工して得られる部材であり、縦芯1は角材である。一方、上芯2および下芯3はともに同一の大きさ・形状であり、水平方向の断面がI字形状となっている。なお、本実施形態においては、上芯2の垂直方向の幅と下芯3の垂直方向の幅とが同一となっているが、必ずしも同一である必要はない。
【0036】
具体的には、上芯2・下芯3ともに、水平方向の断面において、縦方向の中央部2a・3aの表面2a−1・3a−1(第3面)が、端部2b・3bの表面2b−1・3b−1(第4面)よりもドア100の厚み方向(図中の矢印参照)に窪む凹形状となっている。また、上芯2・下芯3ともに、水平方向の断面において、縦方向の中央部2a・3aの裏面2a−2・3a−2(第3面)が、端部2b・3bの裏面2b−2・3b−2(第4面)よりもドア100の厚み方向に窪む凹形状となっている。
【0037】
ここで、上芯2および下芯3の縦方向の中央部2a・3aの表面2a−1・3a−1は、ドア100における縦方向の中央部の表面と対応しており、部屋の外部側に面している。また、上記中央部2a・3aの裏面2a−2・3a−2は、ドア100における縦方向の中央部の裏面と対応しており、部屋の内部側に面している。上記縦方向の中央部2a・3aの表面2a−1・3a−1および裏面2a−2・3a−2における上記厚み方向の窪みは、ともに同程度窪んでいる(
図3の(a)等参照)。
【0038】
枠体10においては、縦芯1の表面1a−1と、上芯2・下芯3の端部2b・3bの表面2b−1・3b−1とが略面一となり、縦芯1の裏面1a−2と、上芯2・下芯3の端部2b・3bの裏面2b−2・3b−2とが略面一となる。
【0039】
なお、上芯2および下芯3は、上述のように両方とも単一の木材で構成されている必要は必ずしもなく、いずれか一方が複数の木材で構成されていてもよい。換言すれば、上芯2および下芯3の少なくとも一方が単一の木材で構成されていればよい。さらに付言すれば、上芯2および下芯3のいずれとも、それらのすべての部位が単一の木材で構成されている必要はない。すなわち、少なくとも上芯2および下芯3の中央部2a・3aが単一の木材からなっているとともに(
図7参照)、中央部2a・3aの水平方向の両端が縦芯1と当接する位置まで延びていればよい。
【0040】
また、縦芯1は、框を組む(枠体10を形成する)段階で、ドア100の外側に幾分凸となるように湾曲させ、框を組んだ後に化粧パネル30の内側によって強制されながら、真直ぐに密着するように、予め組み立てられることが好ましい。
【0041】
さらに、本明細書中における「単一の木材」とは、複数に分かれた木材を組み合わせたものではないことを意味し、無垢材のみを意味するものではなく、木質材料およびそれを加工したもの、例えば積層材や集成材などを加工して得られた木材や、それらを接着して一体不可分に形成した木材も、「単一の木材」に含まれる。
【0042】
枠体10により取り囲まれる空間10aには、2本の縦中芯4(中芯)が配置されている。縦中芯4は、単一の木材を加工して得られるドア100の縦方向に延びる部材であり、水平方向の断面が凸形状となっている。
【0043】
具体的には
図2に示すように、縦中芯4は、水平方向の断面において、ドア100における縦方向の中央部側の表面4a−1(第1面)が縦芯1側の表面4b−1(第2面)よりもドア100の厚み方向に窪むよう、表面4a−1と表面4b−1との間に第1段差4c−1が形成されている。
【0044】
また、縦中芯4は、水平方向の断面において、ドア100における縦方向の中央部側の裏面4a−2(第1面)が縦芯1側の裏面4b−2(第2面)よりもドア100の厚み方向に窪むよう、裏面4a−2と裏面4b−2との間に第1段差4c−2が形成されている。第1段差4c−1の大きさ・形状は、第1段差4c−2の大きさ・形状と同一になる。
【0045】
ここで、縦中芯4の表面4a−1はドア100における縦方向の中央部の表面と対応しており、部屋の外部側に面している。また、縦中芯4の裏面4a−2はドア100における縦方向の中央部の裏面と対応しており、部屋の内部側に面している。上記縦方向の中央部の表面4a−1および裏面4a−2における上記厚み方向の窪みは、ともに同程度窪んでいる(
図3の(a)等参照)。
【0046】
2つの縦中芯4を枠体10の空間10aに配置した状態において、縦中芯4の上面と上芯2の下面とが当接し、縦中芯4の下面と下芯3の上面とが当接する。また、縦中芯4の第1段差4c−1が、上芯2の表面側に形成された段差、および下芯3の表面側に形成された段差のそれぞれと略面一となる。同様に、縦中芯4の第1段差4c−2が、上芯2の裏面側に形成された段差、および下芯3の裏面側に形成された段差のそれぞれと略面一となる。
【0047】
また、縦中芯4の表面4b−1と、上芯2・下芯3の端部2b・3bの表面2b−1・3b−1とが略面一となり、縦中芯4の裏面4b−2と、上芯2・下芯3の端部2b・3bの裏面2b−2・3b−2とが略面一となる。
【0048】
なお、縦中芯4は、上述のように単一の木材で構成されている必要は必ずしもなく、複数種類の木材で構成されていてもよい。例えば、縦中芯4は、ドア100における縦方向の中央部側の部位を構成する木材が、縦芯1側の部位4bを構成する木材と異なる種類であってもよい。
【0049】
枠体10は、水平方向の大きさ・形状およびドア100の厚み方向の大きさ・形状が、縦方向の中心軸Yに対して対称となっている。また、2つの縦中芯4は、中心軸Yに対して対称な配置となるように枠体10に取付けられている。さらに、2つの縦中芯4の一方には、ドアノブ102のドア100における配置位置と対応する位置にドアノブ取付用の部材40が取付けられている。
【0050】
ドア100の水平方向の上端部における、A−A線矢視断面は、
図3の(a)に示すように、上芯2における縦方向の中央部2aの表面2a−1・裏面2a−2のそれぞれに、鏡板20が取付けられている。また、縦芯1および上芯2の端部2bを覆うように、縦芯1の表面1a−1、裏面1a−2および側面、ならびに上芯2の端部2bの表面2b−1および裏面2b−2に沿って化粧パネル30が取付けられている。
【0051】
鏡板20および化粧パネル30はそれぞれ、一枚の木板を加工して得られる部材である。ドア100の外観を形成するために、2枚の鏡板20と2枚の化粧パネル30とが用いられる。鏡板20における縦方向の端部20aの端面と、上芯2の端部2bにおける中央部2a側の端面との間には、隙間50が形成されている。以下、
図3、
図4および
図7の説明において、「縦方向」とは紙面向かって前後方向を指す。
【0052】
なお、鏡板20の木板と化粧パネル30の木板とは、同じものでも異なるものであってもよい。また、ドア100の水平方向の幅から決まる枠体10の水平方向の長さに基づいて、鏡板20における水平方向の位置および水平方向の長さをうまく設定すれば、化粧パネル30の木板の幅(水平方向の長さ)が標準幅のものを材料取りに用いた場合に、端材のほとんど出ない、適切な長さとすることができる。それゆえ、コスト削減の観点からは、一枚の木板から化粧パネル30の材料取りを行うことができるデザインとするのが好ましい。ここで、「標準幅」とは、木板の幅が3尺(909mm)および4尺(1212mm)の場合を指す。
【0053】
また、鏡板20の表面20bと上芯2の端部2bの表面2b−1との間には、水平方向の断面において、表面20bが表面2b−1よりもドア100の厚み方向に窪むような第2段差5c−1が形成されている。同様に、鏡板20の表面20bと上芯2の端部2bの裏面2b−2との間には、水平方向の断面において、表面20bが裏面2b−2よりもドア100の厚み方向に窪むような第2段差5c−2が形成されている。第2段差5c−1の大きさ・形状は、第2段差5c−2の大きさ・形状と同一になる。
【0054】
化粧パネル30は、
図3の(c)に示すように、枠体10に取付ける前の平板状態において、縦芯1・上芯2・下芯3のそれぞれと対向する側の面に、縦方向に延伸するV字形状の溝30aが4つ形成されている(溝30aの一つについては省略)。
【0055】
4つの溝30aの形成位置は、化粧パネル30を枠体10に取付けた状態において、縦方向の端部30b、ドア100の表面100b−1、ドアの側面100c、ドア100の裏面100b−2および他の縦方向の端部30bが形成されるような配置となっている。すなわち、化粧パネル30を枠体10に取付けた状態においては、
図3の(a)および(b)に示すように4つの溝30aが起点となって化粧パネル30が折れ曲がり、水平方向の断面が略C字形状となる。
【0056】
ドア100の水平方向の中央部における、B−B線矢視断面は、
図3の(b)に示すように、2つの縦中芯4の表面4a−1に対して1枚の鏡板20が取付けられている。同様に、2つの縦中芯4の裏面4a−2に対しても1枚の鏡板20が取付けられている。また、縦芯1の表面1a−1、裏面1a−2および側面、ならびに縦中芯4の表面4b−1および裏面4b−2に沿って化粧パネル30が取付けられている。
【0057】
鏡板20における縦方向の端部20aの端面と、縦中芯4における縦芯1側の部位4bの端面との間には、ドア100の水平方向の上端部と同様の隙間50が形成されている。ここで、「縦中芯4における縦芯1側の部位4bの端面」とは、当該部位4bにおけるドア100の縦方向の中央部側の端面を指す。
【0058】
また、鏡板20の表面20bと縦中芯4の表面4b−1との間には、ドア100の水平方向の上端部と同様の第2段差5c−1が形成されている。また、鏡板20の表面20bと縦中芯4の裏面4b−2との間には、ドア100の水平方向の上端部と同様の第2段差5c−2が形成されている。
【0059】
図3の(a)および(b)に示すように、ドア100の表面側・裏面側のいずれにおいても、化粧パネル30における縦方向の端部30bの先端が鏡板20の表面20bと当接する。
【0060】
上記の第2段差5c−2は、大きな段差でも、あるいは化粧パネル30の厚みよりも小さな段差でも、端部30bを製作できる長さの範囲で自由に形成することができるので、ドア100の意匠の自由度が広がる。
【0061】
<従来のフラッシュ構造のドアとの対比>
次に、本発明の一態様に係るドアの作用効果を明確にするために、従来のフラッシュ構造のドアを参考例として示しつつ、本発明の一態様に係るドアのメリット・長所を説明する。
図8の(a)〜(d)は、従来のフラッシュ構造のドア600(以下、「ドア600」と略記する)の製造方法を示す概略図である。ドア600は、以下の各工程を踏むことにより製造される。
(A) まず、
図8の(a)に示すように、縦芯601の表面、裏面および側面、ならびに縦中芯602の表面、裏面および側面を覆うように、これらの各面に沿って化粧パネル603が取付けられる。ここで、縦芯601の側面とは、ドア100の縦方向の端部側の側面を指し、縦中芯602の側面とは、ドア100の縦方向の中央部側の側面を指す。
【0062】
縦中芯602における、ドア100の縦方向の中央部側の端部には、縦方向に延伸する凹形状の溝602aが形成されている。また、縦中芯602の側面には縦方向に段差が形成されている。化粧パネル603は、化粧パネル30と同様の形状・構造となっている。
(B) 次に、
図8の(b)に示すように、縦中芯602の側面に形成された段差に、化粧パネル603の縦方向の端部603bを嵌め込む。これにより、後述の板材604を取付けるための凹部が、上記溝602aおよび上記端部603bによって形成される。
(C) 次に、
図8の(c)に示すように、板材604の縦方向の端部を上記凹部に圧入する。これにより、
図8の(d)に示すようなドア600が完成する。板材604は、単一の木材を加工して得られる板状の部材である。
【0063】
このように、ドア600には、単一の木材を加工して得られる上芯2および下芯3が存在しない。したがって、ドア600の水平方向の寸法は、凹部への板材604の圧入によって最終的に決まる。それゆえ、特にドア600の水平方向の寸法精度が凹部・板材604の寸法精度、および板材604の圧入の程度によって大きく左右され、上記水平方向の寸法精度が低下し易くなる。
【0064】
また、板材604の固定方法が凹部への圧入のみであることから、板材604の厚みが所定の寸法よりも小さくなった場合には凹部で板材604の縦方向の端部を十分に挟み込むことができず、板材604が凹部から外れ易くなる。ドア600の意匠上、段差を小さくするという要求に応えるために、例えば板材604の厚みを厚くする方法が考えられるが、この方法では凹部における板材604を挟み込む部位の厚みが薄くなり、ドア600における凹部付近の強度が低下してしまう。
【0065】
その点、本発明の一実施形態に係るドア100によれば、縦芯1の上端を上芯2の水平方向の端部2bと当接させ、縦芯1の下端を下芯3の水平方向の端部3bを当接させるだけでドア100の水平方向の寸法が決まる。それゆえ、ドア100の方がドア600よりも寸法精度が向上する。
【0066】
また、上芯2および下芯3はともに単一の木材で構成されていることから、ドア100における縦方向の中央部とその他の部位との境界付近(段差部分)の強度がドア600よりも高くなり、破損も少なくなる。さらに、ドア100における縦方向の中央部は、上芯2、下芯3および縦中芯4に加えて鏡板20で構成されることから、ドア600に比べて上記中央部の剛性を十分に確保することができる。
【0067】
以上より、ドア100をはじめとする本発明の一態様に係るドアは、ドア600に比べて多くのメリット・長所がある。
【0068】
<ドアの製造方法>
次に、
図4を参照して、ドア100の製造方法について説明する。
図4の(a)〜(f)は、ドア100の製造方法を示す概略図である。ドア100は、以下の各工程を踏むことにより製造される。
(1) まず、
図4の(a)に示すように、2本の縦芯1、上芯2および下芯3で枠体10を形成し、枠体10により取り囲まれた空間10a(
図2参照)に2本の縦中芯4を配置する(下芯3および縦中芯4は不図示)。枠体10を形成する際、上芯2・下芯3に対して縦勝ちとなるように縦芯1を組付ける。また、上記空間10aに縦中芯4を配置する際、縦中芯4の第1段差4c−1・4c−2と、上芯2・下芯3の段差とが略面一となるようにする。
(2) 次に、
図4の(b)に示すように、上芯2の中央部2aの表面2a−1・裏面2a−2、下芯3の中央部3aの表面3a−1・裏面3a−2(
図3参照)、および縦中芯4の表面4a−1・裏面4a−2(
図3参照)のそれぞれに接着剤7を塗布する。この工程における接着剤7の塗布には、専用のモジュール8が用いられる。また、接着剤7としては、例えば酢酸ビニル系の接着剤、および該接着剤が固着するまでの仮止めを担うホットメルトを併用している。なお、表面3a−1・裏面3a−2、および表面4a−1・裏面4a−2への接着剤7の塗布は、図示しないものとする。
(3) 次に、
図4の(c)および(d)に示すように、上芯2の表面2a−1、下芯3の表面3a−1(
図3参照)および縦中芯4の表面4a−1(
図3参照)に鏡板20を圧着し、上芯2の裏面2a−2、下芯3の裏面3a−2(
図3参照)および縦中芯4の裏面4a−2(
図3参照)に鏡板20を圧着する。鏡板20の圧着は、専用の機器(不図示)で鏡板20の表面をプレスすることにより行う。
(4) 次に、
図4の(e)に示すように、縦芯1の表面1a−1・裏面1a−2、上芯2の端部2bの表面2b−1・裏面2b−2、下芯3の端部3bの表面3b−1・裏面3b−2、および縦中芯4の表面4b−1・裏面4b−2のそれぞれに接着剤7を塗布する。この工程における接着剤7の塗布には、ロールコーターまたはスプレーター等の汎用の平面塗布機器(不図示)が用いられる。ここで、第2段差5c−1・5c−2が形成されていることから、汎用の平面塗布機器を用いても鏡板20の表面20bに接着剤7が付着しないという効果が生じる。なお、表面3b−1・裏面3b−2、および表面4b−1・裏面4b−2への接着剤7の塗布は、図示しないものとする。
(5) 次に、
図4の(f)に示すように、縦芯1の表面1a−1・裏面1a−2・側面、上芯2の表面2b−1・裏面2b−2、下芯3の表面3b−1・裏面3b−2(
図3参照)、および縦中芯4の表面4b−1・裏面4b−2(
図3参照)の各面に沿って化粧パネル30を接着する。化粧パネル30を接着する際、化粧パネル30の各溝30aを起点に折り曲げることで、上記各面に化粧パネル30の対応部位が当接し、接着される。これにより、ドア100が完成する。
【0069】
<変形例>
本発明の一態様に係るドアとしては、上述のドア100のみならず様々な変形例が想定されるものであり、この点について、
図5〜
図7を用いて説明する。
図5の(a)〜(d)は、ドア100の変形例を示す正面図である。
図6の(a)は、ドア100の内部構造の変形例を示す正面図である。
図6の(b)は、枠体10に取付けられた横中芯6の外観図である。
図7は、上芯2・下芯3の変形例を示す平面図である。
【0070】
本発明の一態様に係るドアの形状、特に当該ドアの外観に大きく関わる部位の形状については、消費者等のニーズや流行に応じて任意に設計変更することができる。例えば、
図5の(a)に示すドア200のように、鏡板220が露出している部位の水平方向の長さが短くなるように設計してもよいし、
図5の(b)に示すドア300のように、鏡板320が露出している部位の水平方向の長さが長くなるように設計してもよい。
【0071】
また、本実施形態においては、ドア100は、水平方向の大きさ・形状およびドア100の厚み方向の大きさ・形状が縦方向の中心軸Yに対して対称となっている(
図1参照)。しかしながら、このようなドア100の大きさ・形状はあくまで一例であり、中心軸Yに対して対称となっている必要はない。
【0072】
例えば、
図5の(c)に示すドア400、および
図5の(d)に示すドア500のように、鏡板420・520が露出している部位の配置が一方に偏っていてもよい。これらの場合、ドア400を構成する上芯・下芯(ともに不図示)について、ドア400の厚み方向に窪んだ凹形状の部位(鏡板420が取付けられる部位)の形成位置を一方に偏らせる。同様に、ドア500を構成する上芯・下芯(ともに不図示)について、ドア500の厚み方向に窪んだ凹形状の部位(鏡板520が取付けられる部位)の形成位置を一方に偏らせる。
【0073】
また、消費者等のニーズや流行に応じて、ドア400のように鏡板420が露出している部位の水平方向の長さを短くしてもよいし、ドア500のように鏡板520が露出している部位の水平方向の長さを長くしてもよい。
【0074】
また、本実施形態においては枠体10により取り囲まれる空間10aに2つの縦中芯4が配置されているが、あくまで一例であり、この場合に限定されない。例えば、
図6の(a)に示すように、2つの縦中芯4に代えて複数の横中芯6(中芯)が上記空間10aに配置されていてもよい。
【0075】
横中芯6は、単一の木材を加工して得られるドア100の水平方向に延びる部材であり、横中芯6における水平方向の断面の大きさ・形状は、上芯2・下芯3における水平方向の断面の大きさ・形状と同一となる。なお、横中芯6の本数・縦方向の長さは、ドア100に要求される強度とコストとの兼ね合い等を考慮して、適宜設計変更してもよい。
【0076】
また、本実施形態においては、上芯2および下芯3のいずれについても全ての部位が単一の木材で構成されているが、あくまで一例であり、この場合に限定されない。例えば、
図7に示すように、一部の部位9a−1・9b−1のみが単一の木材で構成され、かつ一部の部位9a−1・9b−1の両端が縦芯1(
図7においては不図示)と当接する位置まで延伸している上芯9a・下芯9bを用いてもよい。
【0077】
この場合、一部の部位9a−1・9b−1の両端の表面に板材9cを接着する。同様に、一部の部位9a−1・9b−1の両端の裏面にも板材9cを接着する。これにより、上芯9a・下芯9bともに、水平方向の断面において、縦方向の中央部9a−2・9b−2の表面が、端部の表面よりも本発明の一態様に係るドアの厚み方向に窪む凹形状となる。
【0078】
さらに、図示しないものの、本発明の一態様に係るドアの表面または裏面にいずれかにのみ、該ドアの厚み方向に窪んだ凹形状の部位を設けてもよい。または、本発明の一態様に係るドアにおいて、その表面が
図5の(a)に示す形状で、裏面が
図5の(c)示す形状となっていてもよい。これらの場合、横芯(上芯および下芯)の形状ならびに中芯(縦中芯および横中芯)の形状を水平方向の断面において凸形状ではなくL字形状とするなど、適宜の設計変更が必要となる。
【0079】
<付記事項>
本発明は上述した実施形態等に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。