特許第6863784号(P6863784)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社SCREENホールディングスの特許一覧

<>
  • 特許6863784-基板処理装置 図000002
  • 特許6863784-基板処理装置 図000003
  • 特許6863784-基板処理装置 図000004
  • 特許6863784-基板処理装置 図000005
  • 特許6863784-基板処理装置 図000006
  • 特許6863784-基板処理装置 図000007
  • 特許6863784-基板処理装置 図000008
  • 特許6863784-基板処理装置 図000009
  • 特許6863784-基板処理装置 図000010
  • 特許6863784-基板処理装置 図000011
  • 特許6863784-基板処理装置 図000012
  • 特許6863784-基板処理装置 図000013
  • 特許6863784-基板処理装置 図000014
  • 特許6863784-基板処理装置 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863784
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20210412BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   H01L21/30 566
   H01L21/30 571
   H01L21/30 568
   H01L21/68 N
【請求項の数】20
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2017-51516(P2017-51516)
(22)【出願日】2017年3月16日
(65)【公開番号】特開2018-157026(P2018-157026A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2019年12月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】福本 靖博
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕二
(72)【発明者】
【氏名】松尾 友宏
(72)【発明者】
【氏名】石井 丈晴
【審査官】 長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−235524(JP,A)
【文献】 特開昭58−149191(JP,A)
【文献】 特開昭55−139559(JP,A)
【文献】 特開2007−318010(JP,A)
【文献】 特開平05−152224(JP,A)
【文献】 特開平11−040492(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/117424(WO,A1)
【文献】 特開2004−266031(JP,A)
【文献】 特開2001−141068(JP,A)
【文献】 特開平07−231028(JP,A)
【文献】 特開2007−158077(JP,A)
【文献】 特開2015−023041(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0086711(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2009−0108410(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置であって、
第1開口を有し、基板を処理する処理容器と、
前記第1開口を通じて前記処理容器の内部と前記処理容器の外部とにわたって配置される第1軸部材であって、前記第1軸部材の軸心方向に往復移動する前記第1軸部材と、
前記処理容器の外部に配置され、前記第1開口の周囲において前記処理容器と密着し、且つ、前記第1軸部材の一部を収容する第1シールハウジングと、
前記第1シールハウジングの内周面と密着し、且つ、前記第1軸部材と摺動可能に前記第1軸部材の外周面と密着する第1シール部材と、
前記第1シールハウジングに連通接続され、前記第1シールハウジング内の気体を排出するための第1排気ポートと、
を備え、
前記第1シール部材は金属製であり、
前記第1シール部材は固体である基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記処理容器と前記第1シールハウジングとは、前記第1開口を介して連通している基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置において、
前記基板処理装置は、前記処理容器の内部に配置され、基板を加熱する加熱部を備え、
前記加熱部は、前記加熱部の内部に形成される貫通孔を有し、
前記第1軸部材は前記貫通孔に配置される基板処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の基板処理装置において、
前記第1シールハウジングは前記貫通孔と連通している基板処理装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記処理容器は第2開口を有し、
前記基板処理装置は、前記第2開口を通じて前記処理容器の内部と前記処理容器の外部とにわたって配置される第2軸部材であって、前記第2軸部材の軸心方向に往復移動する前記第2軸部材を備え、
前記第1シールハウジングは、前記第2開口の周囲において前記処理容器と密着し、且つ、前記第2軸部材の一部を収容し、
前記基板処理装置は、前記第1シールハウジングの内周面と密着し、且つ、前記第2軸部材と摺動可能に前記第2軸部材の外周面と密着する第2シール部材を備える基板処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の基板処理装置において、
前記第1シールハウジングは、
前記第1開口の周囲および前記第2開口の周囲において前記処理容器と密着する集合部と、
前記集合部に連通接続される第1筒部と、
前記集合部に連通接続される第2筒部と、
を備え、
前記第1軸部材の一部は、前記集合部および前記第1筒部に収容され、
前記第2軸部材の一部は、前記集合部および前記第2筒部に収容され、
前記第1シール部材は前記第1筒部の内周面と密着し、
前記第2シール部材は前記第2筒部の内周面と密着し、
前記第1排気ポートは前記集合部に連通接続される基板処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の基板処理装置において、
前記第1筒部は前記集合部から分離可能であり、
前記第2筒部は前記集合部から分離可能である基板処理装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の基板処理装置において、
前記集合部は、前記第1軸部材と前記第2軸部材との間にわたって前記第1軸部材の前記軸方向と略直交する方向に延びる第1管部を有する基板処理装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記第1シールハウジングの近傍に配置される冷却部を備える基板処理装置。
【請求項10】
基板処理装置であって、
第1開口を有し、基板を処理する処理容器と、
前記第1開口を通じて前記処理容器の内部と前記処理容器の外部とにわたって配置される第1軸部材であって、前記第1軸部材の軸心方向に往復移動する前記第1軸部材と、
前記第1軸部材の往復移動を許容しつつ、前記第1開口を密閉する封止機構と、
前記封止機構の近傍に配置される冷却部と、
を備え、
前記封止機構は、
前記処理容器の外部に配置され、前記第1開口の周囲において前記処理容器と密着し、且つ、前記第1軸部材の一部を収容する第1シールハウジングと、
前記第1シールハウジングの内周面と密着し、且つ、前記第1軸部材と摺動可能に前記第1軸部材の外周面と密着する第1シール部材と、
を備え、
前記第1シール部材は金属製であり、
前記第1シール部材は固体である基板処理装置。
【請求項11】
請求項10に記載の基板処理装置において、
前記冷却部は前記第1シールハウジングを囲むように配置される基板処理装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載の基板処理装置において、
前記冷却部は冷却水が流れる冷却流路を含む基板処理装置。
【請求項13】
請求項10から12のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記第1シールハウジングは金属製である基板処理装置。
【請求項14】
請求項10から13のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記基板処理装置は、前記処理容器の内部に配置され、基板を加熱する加熱部を備え、
前記加熱部は、前記加熱部の内部に形成される貫通孔を有し、
前記第1軸部材は前記貫通孔に配置される基板処理装置。
【請求項15】
請求項10から14のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記処理容器は第2開口を有し、
前記基板処理装置は、前記第2開口を通じて前記処理容器の内部と前記処理容器の外部とにわたって配置される第2軸部材であって、前記第2軸部材の軸心方向に往復移動する前記第2軸部材を備え、
前記第1シールハウジングは、前記第2開口の周囲において前記処理容器と密着し、且つ、前記第2軸部材の一部を収容し、
前記基板処理装置は、前記第1シールハウジングの内周面と密着し、且つ、前記第2軸部材と摺動可能に前記第2軸部材の外周面と密着する第2シール部材を備える基板処理装置。
【請求項16】
請求項15に記載の基板処理装置において、
前記第1シールハウジングは、
前記第1開口の周囲および前記第2開口の周囲において前記処理容器と密着する集合部と、
前記集合部に連通接続される第1筒部と、
前記集合部に連通接続される第2筒部と、
を備え、
前記第1軸部材の一部は、前記集合部および前記第1筒部に収容され、
前記第2軸部材の一部は、前記集合部および前記第2筒部に収容され、
前記第1シール部材は前記第1筒部の内周面と密着し、
前記第2シール部材は前記第2筒部の内周面と密着し、
前記冷却部は前記集合部の近傍に配置される基板処理装置。
【請求項17】
請求項16に記載の基板処理装置において、
前記第1筒部は前記集合部から分離可能であり、
前記第2筒部は前記集合部から分離可能である基板処理装置。
【請求項18】
請求項16または17に記載の基板処理装置において、
前記集合部は、前記第1軸部材と前記第2軸部材との間にわたって前記第1軸部材の前記軸心方向と略直交する方向に延びる第1管部を有する基板処理装置。
【請求項19】
請求項1から18のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記第1シール部材は、円環形状を有する基板処理装置。
【請求項20】
請求項1から19のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記第1シール部材の全体は固体である基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する基板処理装置に関する。基板は、半導体ウエハ、フォトマスク用基板、液晶表示用基板、プラズマディスプレイ用基板、有機EL用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスプレイ用基板、磁気ディスク用基板、光ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、太陽電池用基板などである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、基板を熱処理する基板処理装置を開示する。基板処理装置はプレートと蓋を備える。基板はプレートに載置される。プレートは、プレート上の基板を加熱する。プレートの上方の空間は、基板を処理する処理空間である。蓋は上方位置と下方位置とに移動可能である。蓋が上方位置にあるとき、処理空間は開放される。蓋が下方位置にあるとき、処理空間は密閉される。
【0003】
プレートは貫通孔と凹部とシール部材を有する。貫通孔はプレート内に形成される。凹部は貫通孔の上端に形成される。シール部材は凹部に取り付けられる。シール部材は例えばOリングである。
【0004】
基板処理装置は支持ピンと支持ピン昇降機構を備える。支持ピンは貫通孔に配置される。支持ピンは、円板形状を有する先端部を有する。支持ピンは、プレートの下方に位置する基端部を有する。支持ピン昇降機構は支持ピンの基端部と接続する。支持ピン昇降機構は支持ピンを上方位置と下方位置に移動させる。支持ピンが上方位置にあるとき、支持ピンの先端部がプレートよりも上方に位置する。支持ピンが上方位置にあるとき、基板を支持する。支持ピンが下方位置にあるとき、支持ピンの先端部が凹部に収容される。支持ピンが下方位置にあるとき、支持ピンの先端部はシール部材を介して凹部と密着する。支持ピンの先端部とシール部材の密着により、処理空間が貫通孔から遮断される。
【0005】
基板処理装置は導入口と排気孔を備える。導入孔は処理空間に溶剤および不活性ガスを導入する。排気孔は処理空間の気体を排出する。
【0006】
基板処理装置が行う熱処理の手順は、以下の通りである。まず、処理空間に基板を搬入する。具体的には、蓋が上方位置に移動する。これにより、処理空間が開放される。支持ピンが上方位置に移動し、外部搬送機構から基板を受け取る。その後、支持ピンが下方位置に移動する。これにより、基板はプレート上に載置される。支持ピンはシール部材を介して凹部と密着する。処理空間は貫通孔から遮断される。その後、蓋が下方位置に移動する。これにより、処理空間が密閉される。
【0007】
続いて、基板を熱処理する。具体的には、導入孔が処理空間に溶剤を供給し、且つ、プレートが基板を加熱する。プレートが基板を加熱する温度は、常温以上で250度以下の範囲で調整される。さらに、排気孔が処理空間から気体を排出する。これにより、処理空間の気体の圧力は負圧になる。
【0008】
熱処理を開始してから所定時間が経過した後、処理空間の溶剤を不活性ガスに置換する。具体的には、導入孔は、溶剤の供給を停止し、且つ、処理空間に不活性ガスを供給する。
【0009】
続いて、処理空間から基板を搬出する。具体的には、排気孔は気体の排出を停止する。これにより、処理空間の気体の圧力が常圧に戻る。その後、蓋が上方位置に移動する。これにより、処理空間が開放される。支持ピンが基板を支持しながら上方位置に移動する。外部搬送機構が支持ピンから基板を受け取る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2014−22570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来例の基板処理装置では、処理条件が厳しい場合、処理空間の気密性が低下するおそれがある。
【0012】
例えば、基板を一層高い温度で加熱する場合、処理空間の気密性が低下するおそれがある。具体的には、プレートが基板を一層高い温度で加熱すると、シール部材が過度に高温になる。シール部材が過度に高温になると、シール部材が劣化する。シール部材が劣化すると、支持ピンの先端は凹部と適切に密着できない。すなわち、シール部材が劣化すると、処理空間の気密性が低下する。
【0013】
例えば、処理空間の気体の圧力を低くする場合、処理空間の気密性が低下するおそれがある。具体的には、処理空間の気体の圧力が低下すると、貫通孔の気体の圧力が処理空間の気体の圧力に比べて相対的に高くなる。処理空間と貫通孔の間における圧力差によって、支持ピンの先端に上向きの力が働く。処理空間と貫通孔の間における圧力差が大きいほど、支持ピンの先端に働く上向きの力が大きくなる。支持ピンの先端に働く上向きの力が大きくなると、支持ピンの先端はシール部材から浮き上がるおそれがある。支持ピンの先端がシール部材から浮き上がると、処理空間の気密性が低下する。
【0014】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、処理容器の気密性を高めることができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、本発明は、基板処理装置であって、第1開口を有し、基板を処理する処理容器と、前記第1開口を通じて前記処理容器の内部と前記処理容器の外部とにわたって配置される第1軸部材であって、前記第1軸部材の軸心方向に往復移動する前記第1軸部材と、前記処理容器の外部に配置され、前記第1開口の周囲において前記処理容器と密着し、且つ、前記第1軸部材の一部を収容する第1シールハウジングと、前記第1シールハウジングの内周面と密着し、且つ、前記第1軸部材と摺動可能に前記第1軸部材の外周面と密着する第1シール部材と、前記第1シールハウジングに連通接続され、前記第1シールハウジング内の気体を排出するための第1排気ポートと、を備える基板処理装置である。
【0016】
第1シールハウジングは第1軸部材の一部を収容する。第1シールハウジングは第1開口の周囲において処理容器と密着する。さらに、第1シールハウジングは第1シール部材と密着する。第1シール部材は第1軸部材と密着する。このため、処理容器の第1開口は、第1シールハウジングおよび第1シール部材によって密閉される。よって、処理容器の気密性を好適に高めることができる。さらに、第1軸部材が第1シール部材に対して摺動しても、第1軸部材と第1シール部材との密着は維持される。よって、第1軸部材が往復移動しても、処理容器の気密性を好適に維持できる。
【0017】
第1シールハウジングは処理容器の外部に配置されるので、第1シール部材も処理容器の外部に配置される。第1シール部材が処理容器の外部に配置されるので、第1シール部材は処理容器内の熱を直接的に受けない。すなわち、第1シール部材を処理容器内の熱から好適に保護できる。このため、第1シール部材の劣化を好適に防止できる。すなわち、第1シール部材のシール機能を好適に維持できる。よって、処理容器の気密性を好適に維持できる。
【0018】
以上のとおり、本基板処理装置によれば、処理容器の気密性を高めることができる。
【0019】
さらに、第1シールハウジングは第1排気ポートと連通接続する。第1シールハウジング内の気体は、第1排気ポートを通じて、第1シールハウジングの外部に排出される。このため、塵埃や外気などの異物が第1開口を通じて処理容器内に流入することを防止できる。よって、処理容器内の雰囲気を好適に管理できる。
【0020】
上述の基板処理装置において、前記第1シール部材は金属製であることが好ましい。第1シール部材が金属製であるので、第1シール部材は高い耐熱性を有する。このため、第1シール部材は、シール機能を一層好適に維持できる。よって、処理容器の気密性を一層好適に維持できる。
【0021】
上述した基板処理装置において、前記処理容器と前記第1シールハウジングとは、前記第1開口を介して連通していることが好ましい。処理容器の内部は、第1シールハウジングの内部と連通している。よって、排気ポートを通じて処理容器内の気体を排出できる。このため、処理容器内を一層容易に減圧できる。さらに、処理容器内の雰囲気を一層好適に管理できる。
【0022】
上述の基板処理装置において、前記基板処理装置は、前記処理容器の内部に配置され、基板を加熱する加熱部を備え、前記加熱部は、前記加熱部の内部に形成される貫通孔を有し、前記第1軸部材は前記貫通孔に配置されることが好ましい。第1軸部材は加熱部の貫通孔に配置されるので、第1軸部材は加熱部の熱を直接的に受ける。しかしながら、第1シール部材は処理容器の外部に配置されるので、第1シール部材は加熱部の熱を直接的に受けない。すなわち、第1シール部材を加熱部の熱から好適に保護できる。このため、第1軸部材が比較的に高温であっても、第1シール部材は、劣化すること無く、第1軸部材に適切に密着できる。よって、処理容器の気密性を好適に維持できる。このように、第1軸部材が加熱部の貫通孔に配置される場合には、本基板処理装置の有用性が特に高い。
【0023】
上述した基板処理装置において、前記第1シールハウジングは前記貫通孔と連通していることが好ましい。貫通孔は、第1シールハウジングの内部と連通している。よって、排気ポートを通じて貫通孔の気体を排出できる。このため、貫通孔の気体を好適に管理できる。
【0024】
上述の基板処理装置において、前記処理容器は第2開口を有し、前記基板処理装置は、前記第2開口を通じて前記処理容器の内部と前記処理容器の外部とにわたって配置される第2軸部材であって、前記第2軸部材の軸心方向に往復移動する前記第2軸部材を備え、前記第1シールハウジングは、前記第2開口の周囲において前記処理容器と密着し、且つ、前記第2軸部材の一部を収容し、前記基板処理装置は、前記第1シールハウジングの内周面と密着し、且つ、前記第2軸部材と摺動可能に前記第2軸部材の外周面と密着する第2シール部材を備えることが好ましい。
【0025】
第1シールハウジングは第2軸部材の一部を収容する。第1シールハウジングは第2開口の周囲において処理容器と密着する。さらに、第1シールハウジングは第2シール部材と密着する。第2シール部材は第2軸部材と密着する。このため、処理容器の第1開口および第2開口は、第1シールハウジング、第1シール部材および第2シール部材によって密閉される。よって、処理容器の気密性を好適に高めることができる。さらに、第2軸部材が第2シール部材に対して摺動しても、第2軸部材と第2シール部材との密着は維持される。よって、第2軸部材が往復移動しても、処理容器の気密性を好適に維持できる。
【0026】
1つの第1シールハウジングが2つの軸部材(すなわち、第1軸部材と第2軸部材)を収容する。1つの第1シールハウジングが2つのシール部材(すなわち、第1シール部材および第2シール部材)と密着する。このため、1つの第1シールハウジング内において、2つの軸封(すなわち、第1軸部材の封止と第2軸部材の封止)を行うことができる。よって、基板処理装置の構造を簡素化できる。
【0027】
第1シールハウジングは処理容器の外部に配置されるので、第2シール部材も処理容器の外部に配置される。第2シール部材が処理容器の外部に配置されるので、第2シール部材を処理容器内の熱から好適に保護できる。このため、第2シール部材の劣化を好適に防止できる。よって、処理容器の気密性を好適に維持できる。
【0028】
第1シールハウジング内の気体は、第1排気ポートを通じて、第1シールハウジングの外部に排出される。このため、塵埃や外気などの異物が第1開口または第2開口を通じて処理容器内に流入することを防止できる。よって、処理容器内の雰囲気を好適に管理できる。
【0029】
上述した基板処理装置において、前記第1シールハウジングは、前記第1開口の周囲および前記第2開口の周囲において前記処理容器と密着する集合部と、記集合部に連通接続される第1筒部と、前記集合部に連通接続される第2筒部と、を備え、前記第1軸部材の一部は、前記集合部および前記第1筒部に収容され、前記第2軸部材の一部は、前記集合部および前記第2筒部に収容され、前記第1シール部材は前記第1筒部の内周面と密着し、前記第2シール部材は前記第2筒部の内周面と密着し、前記第1排気ポートは前記集合部に連通接続されることが好ましい。
【0030】
第1シールハウジングは第1筒部を備えているので、第1シール部材を第1筒部内に適切に設置できる。第1シールハウジングは第2筒部を備えているので、第2シール部材を第2筒部内に適切に設置できる。第1シールハウジングは集合部を備えているので、集合部の内部と第1筒部の内部と第2筒部の内部を好適に連通させることができる。排気ポートは集合部に連通接続されているので、集合部内の気体と第1筒部内の気体と第2筒部内の気体を、1つの第1排気ポートを通じて排出できる。
【0031】
上述の基板処理装置において、前記第1筒部は前記集合部から分離可能であり、前記第2筒部は前記集合部から分離可能であることが好ましい。第1筒部が集合部から分離可能であるので、第1筒部と第1シール部材と第1軸部材を一体に集合部から分離できる。このため、第1シール部材を第1筒部および第1軸部材から分離せずに、メンテナンスを行うことができる。よって、第1シール部材の交換頻度を低減できる。同様に、第2筒部が集合部から分離可能であるので、第2筒部と第2シール部材と第2軸部材を一体に集合部から分離できる。このため、第2シール部材を第2筒部および第2軸部材から分離せずに、メンテナンスを行うことができる。よって、第2シール部材の交換頻度を低減できる。
【0032】
上述の基板処理装置において、前記集合部は、前記第1軸部材と前記第2軸部材との間にわたって前記第1軸部材の前記軸心方向と略直交する方向に延びる第1管部を有することが好ましい。第1管部は第1軸部材の軸心方向と略直交する方向に延びるので、第1管部の長さを比較的に短くすることができる。よって、集合部の構造を簡素化できる。
【0033】
上述の基板処理装置において、前記第1シールハウジングの近傍に配置される冷却部を備えることが好ましい。冷却部は第1シールハウジングを冷却する。第1シールハウジングは第1シール部材と密着しているので、冷却部は第1シール部材も冷却できる。すなわち、第1シール部材の温度が過度に高温になることを抑制できる。このため、第1シール部材の劣化を好適に防止できる。よって、処理容器の気密性を一層好適に維持できる。
【0034】
本発明は、基板処理装置であって、第1開口を有し、基板を処理する処理容器と、前記第1開口を通じて前記処理容器の内部と前記処理容器の外部とにわたって配置される第1軸部材であって、前記第1軸部材の軸心方向に往復移動する前記第1軸部材と、前記第1軸部材の往復移動を許容しつつ、前記第1開口を密閉する封止機構と、前記封止機構の近傍に配置される冷却部と、を備え、前記封止機構は、前記処理容器の外部に配置され、前記第1開口の周囲において前記処理容器と密着し、且つ、前記第1軸部材の一部を収容する第1シールハウジングと、前記第1シールハウジングの内周面と密着し、且つ、前記第1軸部材と摺動可能に前記第1軸部材の外周面と密着する第1シール部材と、を備える基板処理装置である。
【0035】
第1シールハウジングは第1軸部材の一部を収容する。第1シールハウジングは第1開口の周囲において処理容器と密着する。さらに、第1シールハウジングは第1シール部材と密着する。第1シール部材は第1軸部材と密着する。このため、処理容器の第1開口は、第1シールハウジングおよび第1シール部材によって密閉される。よって、処理容器の気密性を好適に高めることができる。さらに、第1軸部材が第1シール部材に対して摺動しても、第1軸部材と第1シール部材との密着は維持される。よって、第1軸部材が往復移動しても、処理容器の気密性を好適に維持できる。
【0036】
第1シールハウジングは処理容器の外部に配置されるので、第1シール部材も処理容器の外部に配置される。第1シール部材が処理容器の外部に配置されるので、第1シール部材は処理容器内の熱を直接的に受けない。すなわち、第1シール部材を処理容器内の熱から好適に保護できる。このため、第1シール部材の劣化を好適に防止できる。すなわち、第1シール部材のシール機能を好適に維持できる。よって、処理容器の気密性を好適に維持できる。
【0037】
冷却部は封止機構の近傍に配置されるので、冷却部は第1シールハウジングおよび第1シール部材を冷却できる。すなわち、第1シール部材の温度が過度に高温になることを抑制できる。このため、第1シール部材の劣化を好適に防止できる。よって、処理容器の気密性を一層好適に維持できる。
【0038】
以上のとおり、本基板処理装置によれば、処理容器の気密性を高めることができる。
【0039】
上述の基板処理装置において、前記冷却部は前記第1シールハウジングを囲むように配置されることが好ましい。冷却部は前記第1シールハウジングを囲むので、冷却部は第1シールハウジングを広いエリアで冷却できる。よって、冷却部は第1シールハウジングを効果的に冷却できる。
【0040】
上述した基板処理装置において、前記冷却部は冷却水が流れる冷却流路を含むことが好ましい。冷却部は冷却流路を含むので、第1シールハウジングの熱は冷却水に効率良く伝達される。よって、冷却部は第1シールハウジングを効果的に冷却できる。
【0041】
上述の基板処理装置において、前記第1シールハウジングは金属製であることが好ましい。第1シールハウジングが金属製であるので、冷却部は第1シールハウジングを効果的に冷却できる。
【0042】
上述した基板処理装置において、前記第1シール部材は金属製であることが好ましい。第1シール部材が金属製であるので、冷却部は第1シール部材を効果的に冷却できる。さらに、第1シール部材が金属製であるので、第1シール部材は高い耐熱性を有する。このため、第1シール部材は、シール機能を一層好適に維持できる。よって、処理容器の気密性を一層好適に維持できる。
【0043】
上述の基板処理装置において、前記基板処理装置は、前記処理容器の内部に配置され、基板を加熱する加熱部を備え、前記加熱部は、前記加熱部の内部に形成される貫通孔を有し、前記第1軸部材は前記貫通孔に配置されることが好ましい。第1軸部材は加熱部の貫通孔に配置されるので、第1軸部材は加熱部の熱を直接的に受ける。しかしながら、第1シール部材は処理容器の外部に配置されるので、第1シール部材は加熱部の熱を直接的に受けない。すなわち、第1シール部材を加熱部の熱から好適に保護できる。このため、第1軸部材が比較的に高温であっても、第1シール部材は、劣化すること無く、第1軸部材に適切に密着できる。さらに、冷却部は、第1シール部材と第1軸部材の密着部が過度に高温になることを抑制する。これらのため、第1シール部材の劣化を好適に防止できる。
よって、処理容器の気密性を好適に維持できる。このように、第1軸部材が加熱部の貫通孔に配置される場合には、本基板処理装置の有用性が特に高い。
【0044】
上述した基板処理装置において、前記処理容器は第2開口を有し、前記基板処理装置は、前記第2開口を通じて前記処理容器の内部と前記処理容器の外部とにわたって配置される第2軸部材であって、前記第2軸部材の軸心方向に往復移動する前記第2軸部材を備え、前記第1シールハウジングは、前記第2開口の周囲において前記処理容器と密着し、且つ、前記第2軸部材の一部を収容し、前記基板処理装置は、前記第1シールハウジングの内周面と密着し、且つ、前記第2軸部材と摺動可能に前記第2軸部材の外周面と密着する第2シール部材を備えることが好ましい。
【0045】
第1シールハウジングは第2軸部材の一部を収容する。第1シールハウジングは第2開口の周囲において処理容器と密着する。さらに、第1シールハウジングは第2シール部材と密着する。第2シール部材は第2軸部材と密着する。このため、処理容器の第1開口および第2開口は、第1シールハウジング、第1シール部材および第2シール部材によって密閉される。よって、処理容器の気密性を好適に高めることができる。さらに、第2軸部材が第2シール部材に対して摺動しても、第2軸部材と第2シール部材との密着は維持される。よって、第2軸部材が往復移動しても、処理容器の気密性を好適に維持できる。
【0046】
1つの第1シールハウジングが2つの軸部材(すなわち、第1軸部材と第2軸部材)を収容する。1つの第1シールハウジングが2つのシール部材(すなわち、第1シール部材および第2シール部材)と密着する。このため、1つの第1シールハウジング内において、2つの軸封(すなわち、第1軸部材の封止と第2軸部材の封止)を行うことができる。よって、封止機構の構造を簡素化できる。
【0047】
第1シールハウジングは処理容器の外部に配置されるので、第2シール部材も処理容器の外部に配置される。第2シール部材が処理容器の外部に配置されるので、第2シール部材を処理容器内の熱から好適に保護できる。このため、第2シール部材の劣化を好適に防止できる。よって、処理容器の気密性を好適に維持できる。
【0048】
冷却部は封止機構の近傍に配置されるので、冷却部は第2シール部材を冷却できる。すなわち、第2シール部材の温度が過度に高温になることを抑制できる。このため、第2シール部材の劣化を好適に防止できる。よって、処理容器の気密性を一層好適に維持できる。
【0049】
上述の基板処理装置において、前記第1シールハウジングは、前記第1開口の周囲および前記第2開口の周囲において前記処理容器と密着する集合部と、前記集合部に連通接続される第1筒部と、前記集合部に連通接続される第2筒部と、を備え、前記第1軸部材の一部は、前記集合部および前記第1筒部に収容され、前記第2軸部材の一部は、前記集合部および前記第2筒部に収容され、前記第1シール部材は前記第1筒部の内周面と密着し、前記第2シール部材は前記第2筒部の内周面と密着し、前記冷却部は前記集合部の近傍に配置されることが好ましい。
【0050】
第1シールハウジングは第1筒部を備えているので、第1シール部材を第1筒部内に適切に設置できる。第1シールハウジングは第2筒部を備えているので、第2シール部材を第2筒部内に適切に設置できる。第1シールハウジングは集合部を備えているので、集合部の内部と第1筒部の内部と第2筒部の内部を好適に連通させることができる。冷却部は集合部の近傍に配置されるので、集合部と第1筒部と第2筒部を好適に冷却できる。
【0051】
上述した基板処理装置において、前記第1筒部は前記集合部から分離可能であり、前記第2筒部は前記集合部から分離可能であることが好ましい。第1筒部が集合部から分離可能であるので、第1筒部と第1シール部材と第1軸部材を一体に集合部から分離できる。このため、第1シール部材と第1軸部材を分離せずに、メンテナンスを行うことができる。よって、第1シール部材の交換頻度を低減できる。同様に、第2筒部が集合部から分離可能であるので、第2筒部と第2シール部材と第2軸部材を一体に集合部から分離できる。このため、第2シール部材と第2軸部材を分離せずに、メンテナンスを行うことができる。よって、第2シール部材の交換頻度を低減できる。
【0052】
上述した基板処理装置において、前記集合部は、前記第1軸部材と前記第2軸部材との間にわたって前記第1軸部材の前記軸心方向と略直交する方向に延びる第1管部を有することが好ましい。第1管部は第1軸部材の軸心方向と略直交する方向に延びるので、第1管部の長さを比較的に短くすることができる。よって、集合部の構造を簡素化できる。
【0053】
なお、本明細書は、次のような基板処理装置に係る発明も開示する。
【0054】
(1)上述の基板処理装置において、
前記処理容器は第2開口を有し、
前記基板処理装置は、
前記第2開口を通じて前記処理容器の内部と前記処理容器の外部とにわたって配置される第2軸部材であって、前記第2軸部材の軸心方向に往復移動する前記第2軸部材と、
前記処理容器の外部に配置され、前記第2開口の周囲において前記処理容器と密着し、且つ、前記第2軸部材の一部を収容する第2シールハウジングと、
前記第2シールハウジングの内周面と密着し、且つ、前記第2軸部材と摺動可能に前記第2軸部材の外周面と密着する第2シール部材と、
前記第2シールハウジングに連通接続され、前記第2シールハウジング内の気体を排出するための第2排気ポートと、
備える基板処理装置。
【0055】
前記(1)に記載の基板処理装置によれば、第2シールハウジングは第2軸部材の一部を収容する。第2シールハウジングは第2開口の周囲において処理容器と密着する。さらに、第2シールハウジングは第2シール部材と密着する。第2シール部材は第2軸部材と密着する。このため、処理容器の第2開口は、第2シールハウジングおよび第2シール部材によって密閉される。よって、処理容器の気密性を好適に高めることができる。さらに、第2軸部材が第2シール部材に対して摺動しても、第2軸部材と第2シール部材との密着は維持される。よって、第2軸部材が往復移動しても、処理容器の気密性を好適に維持できる。
【0056】
さらに、第1シールハウジングは1つのシール部材(すなわち、第1シール部材)と密着する。このため、第1シールハウジングの構造を簡素化できる。第2シールハウジングは1つのシール部材(すなわち、第2シール部材)と密着する。このため、第2シールハウジングの構造を簡素化できる。
【0057】
第2シールハウジングは処理容器の外部に配置されるので、第2シール部材も処理容器の外部に配置される。第2シール部材が処理容器の外部に配置されるので、第2シール部材を処理容器内の熱から好適に保護できる。このため、第2シール部材の劣化を好適に防止できる。よって、処理容器の気密性を好適に維持できる。
【0058】
第2シールハウジング内の気体は、第2排気ポートを通じて、第2シールハウジングの外部に排出される。このため、塵埃や外気などの異物が第2開口を通じて処理容器内に流入することを防止できる。よって、処理容器内の雰囲気を好適に管理できる。
【0059】
(2)上述の基板処理装置において、
前記処理容器は第2開口を有し、
前記基板処理装置は、前記第2開口を通じて前記処理容器の内部と前記処理容器の外部とにわたって配置される第2軸部材であって、前記第2軸部材の軸心方向に往復移動する前記第2軸部材を備え、
前記封止機構は、
前記処理容器の外部に配置され、前記第2開口の周囲において前記処理容器と密着し、且つ、前記第2軸部材の一部を収容する第2シールハウジングと、
前記第2シールハウジングの内周面と密着し、且つ、前記第2軸部材と摺動可能に前記第2軸部材の外周面と密着する第2シール部材と、
備える基板処理装置。
【0060】
前記(2)に記載の基板処理装置によれば、第2シールハウジングは第2軸部材の一部を収容する。第2シールハウジングは処理容器と密着する。さらに、第2シールハウジングは第2シール部材と密着する。第2シール部材は第2軸部材と密着する。このため、処理容器の第2開口は、第2シールハウジングおよび第2シール部材によって密閉される。よって、処理容器の気密性を好適に高めることができる。さらに、第2軸部材が第2シール部材に対して摺動しても、第2軸部材と第2シール部材との密着は維持される。よって、第2軸部材が往復移動しても、処理容器の気密性を好適に維持できる。
【0061】
さらに、第1シールハウジングは1つのシール部材(すなわち、第1シール部材)と密着する。このため、第1シールハウジングの構造を簡素化できる。第2シールハウジングは1つのシール部材(すなわち、第2シール部材)と密着する。このため、第2シールハウジングの構造を簡素化できる。
【0062】
第2シールハウジングは処理容器の外部に配置されるので、第2シール部材も処理容器の外部に配置される。第2シール部材が処理容器の外部に配置されるので、第2シール部材を処理容器内の熱から好適に保護できる。このため、第2シール部材の劣化を好適に防止できる。よって、処理容器の気密性を好適に維持できる。
【0063】
冷却部は封止機構の近傍に配置されるので、冷却部は第2シールハウジングおよび第2シール部材を冷却できる。すなわち、第2シール部材の温度が過度に高温になることを抑制できる。このため、第2シール部材の劣化を好適に防止できる。よって、処理容器の気密性を一層好適に維持できる。
【発明の効果】
【0064】
本発明に係る基板処理装置によれば、処理容器の気密性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1】基板処理装置の概略構成を示す図である。
図2】処理容器の一部の分解斜視図である。
図3】処理容器の一部の分解斜視図である。
図4】処理容器内の平面図である。
図5図4におけるV−V線に沿う断面図である。
図6】加熱部と底板と封止機構とピンの分解斜視図である。
図7】マニホールドの斜視図である。
図8】マニホールドと冷却部の斜視図である。
図9】基板処理装置の動作例の手順を示すフローチャートである。
図10】基板処理装置の要部を模式的に示す図である。
図11】置換工程と加熱工程と冷却工程の手順を例示するタイミングチャートである。
図12】基板の温度および処理容器内の酸素濃度の時間的変化を示すグラフである。
図13】変形実施例に係る基板処理装置の要部の概略構成を示す図である。
図14】変形実施例に係る基板処理装置の要部の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
図面を参照して実施例に係る基板処理装置を説明する。
【0067】
1.基板処理装置の構成
図1は、基板処理装置の概略構成を示す図である。本実施例に係る基板処理装置1は、基板(例えば、半導体ウエハ)Wを処理する。基板処理装置1が行う処理は熱処理である。熱処理は、基板Wを加熱する処理と、基板Wを冷却する処理を含む。以下、基板処理装置の各部の構成を説明する。
【0068】
1−1.処理容器と加熱部
基板処理装置1は、基板を処理する処理容器3を備える。処理容器3は1枚の基板Wを収容する。処理容器3は、その内部で基板Wを熱処理する。
【0069】
図1図3を参照する。図2は、処理容器3の一部の分解斜視図である。図2は上方から見た斜視図である。図3は、処理容器3の一部の分解斜視図である。図3は下方から見た斜視図である。
【0070】
処理容器3は筐体4を備える。筐体4は偏平な略箱形状を有する。筐体4はその前面に搬送口Aを有する(図2参照)。搬送口Aは、処理容器3内に基板Wを搬入するため、および、処理容器3内から基板Wを搬出するための開口である。搬送口Aは横方向に長い形状を有する。
【0071】
処理容器3はシャッター5を備える。シャッター5は搬送口Aを開閉する。シャッター5は筐体4の前部に着脱可能である。シャッター5が筐体4に装着されることによって、搬送口Aは閉塞される。シャッター5が筐体4から離脱することによって、搬送口Aは開放される。
【0072】
筐体4は、その上面に上部開口Bを有する(図2参照)。上部開口Bは例えば略円形状を有する。
【0073】
処理容器3は蓋部6を備える。蓋部6は上部開口Bを開閉する。蓋部6は筐体4の上部に着脱可能である。蓋部6が筐体4に装着されることによって、上部開口Bは閉塞される。蓋部6が筐体4から離脱することによって、上部開口Bは開放される。
【0074】
処理容器3は収容部7を備える。収容部7は筐体4に接続される。具体的には、収容部7は筐体4の下面に接続される。収容部7は例えば略円筒形状を有する。収容部7の内部は筐体4の内部に開放される。すなわち、収容部7の内部は筐体4の内部と連通する。収容部7は筐体4の下面から下方に延びる。収容部7の下端は開放される。収容部7はその下面に下部開口Cを有する(図3参照)。下部開口Cは例えば略円形状を有する。
【0075】
処理容器3は底板8を備える。底板8は下部開口Cを開閉する。底板8は略水平な板形状を有する。底板8は収容部7の下端に着脱可能である。底板8が収容部7に取り付けられることによって、下部開口Cは閉塞される。底板8が収容部7に取り外されることによって、下部開口Cは開放される。
【0076】
基板処理装置1は加熱部11を備える。加熱部11は基板Wを加熱する。加熱部11は基板Wを比較的に高い温度で加熱可能である。加熱部11は、例えば、300度以上で基板Wを加熱可能である。さらに、加熱部11は基板Wを加熱する温度を調整する。
【0077】
加熱部11は処理容器3内に配置される。加熱部11は底板8上に載置される。加熱部11は収容部7の内部に配置される。加熱部11は略円盤形状を有する。加熱部11の外径は収容部7の内径よりも僅かに小さい。よって、収容部7と加熱部11の隙間は十分に小さい。
【0078】
加熱部11は略平坦な上面11aを有する。加熱部11の上面11aは、筐体4の内部の底面4bと略同じ高さ位置に位置する(図1参照)。
【0079】
加熱部11は、例えば、温調部とプレート(いずれも不図示)を備えている。温調部は熱を発生する。さらに、温調部は基板Wを加熱する温度を調整する。温調部は例えばヒータである。温調部はプレートに取り付けられる。温調部は、例えば、プレートの上部またはプレートの内部に配置される。プレートは基板Wを載置する。プレートは、温調部が発した熱をプレート上の基板Wに伝達する。プレートは例えば金属製である。
【0080】
筐体4はその背面に側部排出口Dを有する(図3参照)。側部排出口Dは処理容器3内の気体を排出するための開口である。側部排出口Dは横方向に長い形状を有する。
【0081】
基板処理装置1は排気ダクト72を備える。排気ダクト72は側部排出口Dと連通接続される。排気ダクト72は筐体4の後部に着脱可能である。排気ダクト72が筐体4に装着されることによって、筐体4は側部排出口Dを通じて排気ダクト72と連通接続する。排気ダクト72が筐体4から離脱することによって、側部排出口Dは開放される。
【0082】
1−2.シール部材
図1を参照する。基板処理装置1は、シール部材15A、15B、15C、15Dを備える。シール部材15Aは搬送口Aを密閉するために用いられる。シール部材15Bは上部開口Bを密閉するために用いられる。シール部材15Cは下部開口Cを密閉するために用いられる。シール部材15Dは側部排出口Dに排気ダクト72を気密に接続するために用いられる。以下、具体的に説明する。
【0083】
シール部材15Aは筐体4とシャッター5の間に配置される。シール部材15Aは搬送口Aの周囲に配置される。シャッター5はシール部材15Aを介して筐体4と密着する。シャッター5が筐体4に密着することによって、搬送口Aは密閉される。
【0084】
シール部材15Bは筐体4と蓋部6の間に配置される。シール部材15Bは上部開口Bの周囲に配置される。蓋部6はシール部材15Bを介して筐体4と密着する。蓋部6が筐体4に密着することによって、上部開口Bは密閉される。
【0085】
シール部材15Cは収容部7と底板8の間に配置される。シール部材15Cは下部開口Cの周囲に配置される。底板8はシール部材15Cを介して収容部7と密着する。底板8が収容部7に密着することによって、下部開口Cは密閉される。
【0086】
シール部材15Dは筐体4と排気ダクト72の間に配置される。シール部材15Dは側部排出口Dの周囲に配置される。排気ダクト72はシール部材15Dを介して筐体4と密着する。排気ダクト72が筐体4に密着することによって、排気ダクト72は側部排出口Dと気密に連通接続する。
【0087】
以下では、シール部材15A−15Dを特に区別しない場合には、「シール部材15」と適宜にと呼ぶ。シール部材15は環形状を有する。シール部材15は例えば合成樹脂製である。シール部材15は例えばOリングである。
【0088】
シール部材15Aは筐体4またはシャッター5に形成された溝(例えば、アリ溝)に配置されることが好ましい。これによれば、シール部材15Aの脱落を好適に防止できる。シール部材15Bは筐体4または蓋部6に形成された溝(例えば、アリ溝)に配置されることが好ましい。これによれば、シール部材15Bの脱落を好適に防止できる。シール部材15Cは収容部7または底板8に形成された溝(例えば、アリ溝)に配置されることが好ましい。これによれば、シール部材15Cの脱落を好適に防止できる。シール部材15Dは筐体4または排気ダクト72に形成された溝(例えば、アリ溝)に配置されることが好ましい。これによれば、シール部材15Aの脱落を好適に防止できる。
【0089】
1−3.冷却部
基板処理装置1は、冷却部16A、16B、16C、16Dを備える。冷却部16A、16B、16C、16Dはそれぞれ、シール部材15A、15B、15C、15Dを冷却する。
【0090】
冷却部16Aは冷却水を流すための通路である。以下、冷却部16Aを適宜に「冷却流路16A」と呼ぶ。冷却流路16Aはシール部材15Aの近傍に配置される。冷却流路16Aは搬送口Aの周囲に配置される。例えば、冷却流路16Aは筐体4の内部に形成される。冷却流路16Aは筐体4の前部に配置される。冷却流路16Aは、筐体4を介してシール部材15Aと熱的に接続される。シール部材15Aの熱は冷却流路16Aを流れる冷却水に伝達される。これにより、シール部材15Aが冷却される。すなわち、シール部材15Aが過度に高温になることが抑制される。
【0091】
冷却部16Bは冷却水を流すための配管である。以下、冷却部16Bを適宜に「冷却管16B」と呼ぶ。冷却管16Bはシール部材15Bの近傍に配置される。冷却管16Bは上部開口Bの周囲に配置される。例えば、冷却管16Bは筐体4の上部の近傍に配置される。例えば、冷却管16Bは、筐体4を介してシール部材15Bと熱的に接続される。シール部材15Bの熱は冷却管16B内を流れる冷却水に伝達される。これにより、シール部材15Bが冷却される。
【0092】
冷却部16Cは冷却水を流すための配管である。以下、冷却部16Cを適宜に「冷却管16C」と呼ぶ。冷却管16Cはシール部材15Cの近傍に配置される。冷却管16Cは下部開口Cの周囲に配置される。例えば、冷却管16Cは収容部7の下端の近傍に配置される。例えば、冷却管16Cは、収容部7を介してシール部材15Cと熱的に接続される。シール部材15Cの熱は冷却管16C内を流れる冷却水に伝達される。これにより、シール部材15Cが冷却される。
【0093】
冷却部16Dは冷却水を流すための通路である。以下、冷却部16Dを適宜に「冷却流路16D」と呼ぶ。冷却流路16Dはシール部材15Dの近傍に配置される。冷却流路16Dは側部排出口Dの周囲に配置される。例えば、冷却流路16Dは筐体4の内部に形成される。冷却流路16Dは筐体4の後部に配置される。冷却流路16Dは、筐体4を介してシール部材15Dと熱的に接続される。シール部材15Dの熱は冷却流路16Dを流れる冷却水に伝達される。これにより、シール部材15Dが冷却される。
【0094】
図2を参照する。冷却流路16Aは第1端16A1と第2端16A2を有する。第1端16A1と第2端16A2はそれぞれ、筐体4に形成される。第1端16A1は、不図示の冷却水供給部(不図示)と接続される。冷却水供給部は冷却流路16Aに冷却水を供給する。第2端16A2は、不図示の冷却水排出部と接続される。冷却水排出部は冷却流路16Aから排出された冷却水を受ける。
【0095】
冷却流路16Dは第1端16D1と第2端16D2を有する。第1端16D1と第2端16D2はそれぞれ、筐体4に形成される。第1端16D1は、不図示の冷却水供給部(不図示)と接続される。冷却水供給部は冷却流路16Dに冷却水を供給する。第2端16D2は、不図示の冷却水排出部と接続される。冷却水排出部は冷却流路16Dから排出された冷却水を受ける。
【0096】
1−4.シャッター駆動機構
図1を参照する。基板処理装置1はシャッター駆動機構21を備える。シャッター駆動機構21は、シャッター5を移動させることによって、シャッター5を筐体4に着脱させる。シャッター駆動機構21は処理容器3の外部に配置される。シャッター駆動機構21は例えばエアシリンダを含む。
【0097】
1−5.基板移動機構
基板処理装置1は基板移動機構23を備える。基板移動機構23は、加熱位置PHと冷却位置PCとにわたって基板Wを移動させる。
【0098】
図1は、加熱位置PHにある基板Wを実線で示す。図1は、冷却位置PCにある基板Wを点線で示す。加熱位置PHは加熱部11に接触する基板Wの位置である。具体的には、加熱位置PHは加熱部11上に載置される基板Wの位置である。基板Wが加熱位置PHにあるとき、基板Wの下面は加熱部11の上面11aと接触する。冷却位置PCは加熱位置PHに比べて加熱部11から遠い基板Wの位置である。具体的には、冷却位置PCは加熱位置PHの上方の位置である。基板Wが冷却位置PCにあるとき、基板Wは加熱部11と接触しない。なお、加熱位置PHおよび冷却位置PCはいずれも、処理容器3内における基板Wの位置である。基板Wが加熱位置PHおよび冷却位置PCのいずれにあるときも、基板Wは略水平姿勢である。
【0099】
図1図4を参照する。図4は、処理容器3内の平面図である。基板移動機構23は、ピン24a、24b、24cを備える。図1は、ピン24cの図示を省略する。ピン24a、24b、24cが1枚の基板Wの下面と接触する。これにより、ピン24a、24b、24cが1枚の基板Wを支持する。
【0100】
ピン24a、24b、24cを区別しない場合には、「ピン24」と呼ぶ。ピン24は細長い棒形状を有する。具体的には、ピンは円柱形状を有する。ピン24は直線的に延びた形状を有する。
【0101】
図5を参照する。図5は、図4におけるV−V線に沿う断面図である。ピン24は処理容器3を貫通する。処理容器3は開口9a、9b、9cを有する。開口9a、9b、9cを区別しない場合には、「開口9」と呼ぶ。各開口9は底板8に形成される。ピン24aは開口9aに配置される。ピン24bは開口9bに配置される。ピン24cは開口9cに配置される。各ピン24はそれぞれ、各開口9を通じて、処理容器3の内部と処理容器3の外部にわたって配置される。各ピン24は、処理容器3の内部に位置する先端部を有する。各ピン24は、処理容器3の外部に位置する基端部を有する。各ピン24の基端部は、処理容器の下方に位置する(図1参照)。
【0102】
ピン24はそれぞれ、略鉛直方向に延びるように配置される。ピン24a、24b、24cの軸心Ca、Cb、Ccは互いに平行である。軸心Ca、Cb、Ccを区別しない場合には、「軸心C」と呼ぶ。ピン24の軸心Cは略鉛直方向と平行である。
【0103】
開口9と、その開口9に配置されるピン24との間には、隙間が形成される。具体的には、開口9aとピン24aの間、開口9bとピン24bの間、および、開口9cとピン24cの間にはそれぞれ、隙間が形成される。隙間は、開口9の内周面とピン24の外周面とによって区画される。隙間は環形状を有する。
【0104】
ピン24は加熱部11を貫通する。加熱部11は、ピン孔12a、12b、12cを有する。ピン孔12a、12b、12cを区別しない場合には、「ピン孔12」と呼ぶ。ピン孔12は加熱部11の内部に形成される。ピン孔12は加熱部11の下面から加熱部11の上面11aにわたって形成される。ピン孔12a、12b、12cはそれぞれ、開口9a、9b、9cと連通する。ピン孔12は、加熱部11の上方に開放される。ピン24aはピン孔12aに配置される。ピン24bはピン孔12bに配置される。ピン24cはピン孔12cに配置される。
【0105】
ピン孔12と、そのピン孔12に配置されるピン24との間には、隙間が形成される。隙間は、ピン孔12の内周面とピン24の外周面とによって区画される。隙間は環形状を有する。ピン孔12とピン24の隙間は、開口9とピン24の隙間と連通する。
【0106】
開口9a、9b、9cの1つが、本発明における第1開口の例である。開口9a、9b、9cの他の1つが、本発明における第2開口の例である。ピン孔12は、本発明における貫通孔の例である。ピン24a、24b、24cの1つが、本発明における第1軸部材の例である。ピン24a、24b、24cの他の1つが、本発明における第2軸部材の例である。
【0107】
図1を参照する。基板移動機構23はピン駆動機構25を備える。ピン駆動機構25は処理容器3の外部に配置される。ピン駆動機構25は各ピン24の基端部と接続する。ピン駆動機構25はピン24を昇降させる。ピン駆動機構25は例えばエアシリンダを含む。
【0108】
ピン駆動機構25によって、ピン24は、ピン24の軸心Cの方向に往復移動する。ピン24は上方位置と下方位置との間で移動する。
【0109】
ピン24が上方位置にあるとき、ピン24の先端部は加熱部11の上面11aより高い。ピン24が上方位置にあるとき、ピン24の先端部が基板Wの下面と接触する。ピン24が上方位置にあるとき、ピン24は基板Wを冷却位置PCで支持する。
【0110】
ピン24が下方位置にあるとき、ピン24の先端部は加熱部11の上面11aと同じ高さであるか、または、加熱部11の上面11aより低い。ピン24が下方位置にあるとき、ピン24の先端部は基板Wと接触してもよいし、接触しなくてもよい。ピン24が下方位置にあるとき、基板Wは加熱位置PHに位置する。
【0111】
ピン24が上方位置と下方位置との間で移動することによって、基板Wは冷却位置PCと加熱位置PHとの間で移動する。
【0112】
1−6.封止機構
基板処理装置1は封止機構31を備える。封止機構31は、各ピン24の往復移動を許容しつつ、各開口9を密閉する。厳密に言えば、封止機構31は、開口9aとピン24aとの隙間、開口9bとピン24bとの隙間、および、開口9cとピン24cとの隙間をそれぞれ密閉する。
【0113】
封止機構31は処理容器3の外部に配置される。封止機構31は処理容器3の下方に配置される。封止機構31は、ピン24の基端部よりも高い位置に配置される。
【0114】
図6を参照する。図6は、加熱部11と底板8と封止機構31とピン24の分解斜視図である。加熱部11は底板8の上面に載置される。封止機構31は底板8の下面に接続される。ピン24は、封止機構31と底板8と加熱部11を貫通する。
【0115】
封止機構31は、マニホールド32と軸封部37a、37b、37cを備える。軸封部37a、37b、37cを区別しない場合には、「軸封部37」と呼ぶ。マニホールド32は底板8に装着される。軸封部37はマニホールド32に接続される。
【0116】
マニホールド32は底板8から分離可能である。軸封部37はマニホールド32から分離可能である。マニホールド32と軸封部37はそれぞれ、金属製である。
【0117】
図7は、マニホールド32の斜視図である。マニホールド32は集合部33を有する。集合部33は平面視において略環形状を有する。より具体的には、集合部33は平面視において略三角環形状を有する。
【0118】
集合部33は、開口34a、34b、34cを有する。開口34a、34b、34cを区別しない場合には、「開口34」と呼ぶ。開口34は、集合部33の上面33aに形成される。集合部33の上面33aは略平坦である。開口34a、34b、34cは平面視において開口9a、9b、9cと同じ位置に配置される。ピン24aは開口34aに配置される。ピン24bは開口34bに配置される。ピン24cは開口34cに配置される。
【0119】
図5を参照する。集合部33は、その内部に1つの空間Eを有する。空間Eは開口34と連通する。
【0120】
図7を参照する。集合部33は、管部35a、35b、35cを有する。管部35a、35b、35cは互いにリング状に連通接続する。管部35a、35b、35cを区別しない場合には、「管部35」と呼ぶ。管部35は直線的に延びる。幹部35は例えば角管である。
【0121】
管部35aは、開口34aと開口34bとの間にわたって延びる。すなわち、管部35aは、ピン24aとピン24bとの間にわたって延びる。同様に、管部35bは、開口34bと開口34cとの間にわたって延びる。すなわち、管部35bは、ピン24bとピン24cとの間にわたって延びる。管部35cは、開口34cと開口34aとの間にわたって延びる。すなわち、管部35cは、ピン24cとピン24aとの間にわたって延びる。管部35はそれぞれ略水平方向に延びる。すなわち、管部35はピン24の軸心Cと略直交する方向に延びる。
【0122】
マニホールド32は、継ぎ手36a、36b、36cを有する。継ぎ手36a、36b、36cはそれぞれ、軸封部37a、37b、37cと接合する。継ぎ手36a、36b、36cを区別しない場合には、「継ぎ手36」と呼ぶ。継ぎ手36は例えばフランジ形状を有する。継ぎ手36は集合部33に連通接続される。継ぎ手36は集合部33の下面に接続される。継ぎ手36は集合部33から下方に延びる。
【0123】
図5を参照する。軸封部37aは、1つの筒部38aと1つの継ぎ手39aとシール部材43aを備える。軸封部37bは、1つの筒部38bと1つの継ぎ手39bとシール部材43bを備える。軸封部37cは、1つの筒部38cと1つの継ぎ手39cとシール部材43cを備える。
【0124】
筒部38a、38b、38cを区別しない場合には、「筒部38」と呼ぶ。筒部38は略円筒形状を有する。筒部38の両端はそれぞれ開放される。
【0125】
継ぎ手39a、39b、39cを区別しない場合には、「継ぎ手39」と呼ぶ。継ぎ手39は筒部38の上端に接続される。継ぎ手39は例えばフランジ形状を有する。
【0126】
シール部材43a、43b、43cを区別しない場合には、「シール部材43」と呼ぶ。
シール部材43は金属製である。シール部材43は円環形状を有する。シール部材43は筒部38の内周面と密着する。具体的には、シール部材43の外周縁は、筒部38の内周面と密着する。シール部材43は中央に開口を有する。シール部材43aの開口にはピン24aが配置される。シール部材43bの開口にはピン24bが配置される。シール部材43cの開口にはピン24cが配置される。
【0127】
シール部材43は、ピン24と摺動可能にピン24の外周面と密着する。具体的には、シール部材43の内周縁がピン24の外周面と密着する。ピン24の外周面はシール部材43に対して摺動可能である。ピン24が軸心Cの方向に往復移動するとき、ピン24はシール部材43に対して摺動する。ピン24がシール部材43に対して摺動しても、シール部材43とピン24の密着は維持される。
【0128】
上述のように、シール部材43a、43b、43cはそれぞれ、ピン24a、24b、24cを封止する。その結果、シール部材43aは、軸封部37aの内部を空間Fa、Gaに遮断する。空間Faはシール部材43aの上方の空間である。空間Gaはシール部材43aの下方の空間である。空間Faと空間Gaとは相互に連通していない。同様に、シール部材43bは、軸封部37bの内部を空間Fb、Gbに遮断する。空間Fbと空間Gbとは相互に連通していない。シール部材43cは、軸封部37cの内部を空間Fc、Gcに遮断する。空間Fcと空間Gcとは相互に連通していない。
【0129】
空間Ga、Gb、Gcはそれぞれ、処理容器3および封止機構31の外部に開放される。したがって、空間Fa、Fb、Fcはいずれも、外気から遮断される。
【0130】
封止機構31は、シール部材45a、45b、45cを備える。シール部材45a、45b、45cは、処理容器3とマニホールド32を密着させる。具体的には、シール部材45a、45b、45cは、底板8の下面と集合部33の上面33aを密着させる。
【0131】
シール部材45a、45b、45cを区別しない場合には、「シール部材45」と呼ぶ。シール部材45は環形状を有する。シール部材45は例えば合成樹脂製である。シール部材45は例えばOリングである。
【0132】
シール部材45は、底板8の下面と集合部33の上面33aの間に配置される。シール部材45aは開口9aの周囲に配置される。シール部材45bは開口9bの周囲に配置される。シール部材45cは開口9cの周囲に配置される。集合部33は、開口9aの周囲、開口9bの周囲、および、開口9cの周囲において底板8と密着する。より詳しくは、集合部33は、開口9aの周囲における底板8の部位、開口9bの周囲における底板8の部位、および、開口9cの周囲における底板8の部位と密着する。
【0133】
シール部材45は、底板8または集合部33に形成された溝(例えば、アリ溝)に配置されることが好ましい。これによれば、シール部材45の脱落を好適に防止できる。
【0134】
集合部33と底板8との密着により、開口9a、9b、9cはそれぞれ、開口34a、34b、34cと連通する。よって、開口9は集合部33の内部(すなわち、空間E)と連通する。ピン孔12は開口9を通じて空間Eと連通する。すなわち、処理容器3の内部は空間Eと連通する。
【0135】
封止機構31は、シール部材46a、46b、46cを備える。シール部材46aは、マニホールド32と軸封部37aを密着させる。シール部材46bは、マニホールド32と軸封部37bを密着させる。シール部材46cは、マニホールド32と軸封部37cを密着させる。
【0136】
シール部材46a、46b、46cを区別しない場合には、「シール部材46」と呼ぶ。シール部材46は環形状を有する。シール部材46は例えば合成樹脂製である。シール部材46は例えばOリングである。
【0137】
シール部材46aは継ぎ手36aと継ぎ手39aの間に配置される。継ぎ手36aは、シール部材46aを介して継ぎ手39aと密着する。これにより、筒部38aは集合部33に連通接続される。シール部材46bは継ぎ手36bと継ぎ手39bの間に配置される。継ぎ手36bは、シール部材46bを介して継ぎ手39bが密着する。これにより、筒部38bは集合部33に連通接続される。シール部材46cは継ぎ手36cと継ぎ手39cの間に配置される。継ぎ手36cは、シール部材46cを介して継ぎ手39cが密着する。これにより、筒部38cは集合部33に連通接続される。これらの結果、空間Eは、空間Fa、Fb、Fcと連通する。
【0138】
シール部材46は、継ぎ手36または継ぎ手39に形成された溝(例えば、アリ溝)に配置されることが好ましい。これによれば、シール部材46の脱落を好適に防止できる。
【0139】
ここで、マニホールド32の全部と軸封部37の一部(すなわち、筒部38と継ぎ手39)を、「シールハウジング40」と呼ぶ。空間E、Fa、Fb、Fcの全体がシールハウジング40の内部に相当する。シールハウジング40は、開口9の周囲において処理容器3と密着し、且つ、ピン24の一部を収容する。
【0140】
厳密には、集合部33と継ぎ手36aと筒部38aと継ぎ手39aは、ピン24aの一部を収容する。集合部33と継ぎ手36bと筒部38bと継ぎ手39bは、ピン24bの一部を収容する。集合部33と継ぎ手36cと筒部38cと継ぎ手39cは、ピン24cの一部を収容する。
【0141】
上述したとおり、開口9は空間Eと連通する。空間Eは空間Fa、Fb、Fcと連通する。空間Fa、Fb、Fcはいずれも、外気から遮断される。よって、空間Eおよび開口9も外気から遮断される。すなわち、開口9は密閉される。
【0142】
管部35a、35b、35cの1つが、本発明における第1管部の例である。筒部38a、38b、38cの1つが、本発明における第1筒部の例である。筒部38a、38b、38の他の1つが、本発明における第2筒部の例である。シールハウジング40は、本発明における第1シールハウジングの例である。シール部材43a、43b、43cの1つが、本発明における第1シール部材の例である。シール部材43a、43b、43cの他の1つが、本発明における第2シール部材の例である。
【0143】
1−7.封止機構31の冷却
図1を参照する。基板処理装置1は冷却部47を備える。冷却部47は、冷却水を流すための配管である。以下、冷却部47を適宜に「冷却管47」と呼ぶ。冷却管47は、冷却水が流れる冷却流路を有する。冷却流路は、冷却管47の内部に形成される。
【0144】
冷却管47は封止機構31の近傍に配置される。冷却管47は封止機構31の側方に配置される。冷却管47は封止機構31を囲むように配置される。
【0145】
冷却管47はシールハウジング40の近傍に配置される。冷却管47はシールハウジング40の側方に配置される。冷却管47はシールハウジング40を囲むように配置される。
【0146】
図8はマニホールド32と冷却部47の斜視図である。冷却管47は、集合部33の近傍に配置される。冷却管47は、集合部33の側方に配置される。冷却管47は、集合部33を囲むように配置される。冷却管47は、管部35の近傍に配置される。冷却管47は、管部35に沿って配置される。
【0147】
封止機構31の熱は、冷却管47内の冷却水に伝達される。すなわち、冷却管47は封止機構31を冷却する。封止機構31はピン24と密着する。よって、ピン24の熱は、封止機構31を通じて冷却管47内の冷却水に伝達される。すなわち、冷却管47はピン24も冷却する。
【0148】
冷却部47は、本発明における冷却部の例である。
【0149】
1−8.上部供給部51
基板処理装置1は上部供給部51を備える。上部供給部51は処理容器3内に非酸化性ガスを供給する。上部供給部51は冷却位置PCよりも高い位置から非酸化性ガスを吹き出す。非酸化性ガスは例えば不活性ガスである。不活性ガスは例えば窒素ガスやアルゴンガスである。
【0150】
上部供給部51は、配管52と供給ポート53と開閉弁54と流量調整部55を備える。配管52の一端は非酸化性ガス供給源69に接続される。非酸化性ガス供給源69は非酸化性ガスを供給する。配管52の他端は供給ポート53に接続される。供給ポート53は蓋部6に取り付けられている。供給ポート53は処理容器3の内部と連通する。開閉弁54と流量調整部55はそれぞれ配管52上に設けられる。開閉弁54は配管52内の流路を開閉する。流量調整部55は配管52を流れる非酸化性ガスの流量を調整する。流量調整部55は、例えば、ニードル弁またはマスフローメータの少なくともいずれかを含む。
【0151】
上部供給部51は整流板56を備える。整流板56は処理容器3内に配置される。整流板56は上部開口Bに配置される。整流板56は蓋部6の下方に配置される。整流板56は冷却位置PCの上方に配置される。整流板56は略水平な板形状を有する。整流板56は複数の小孔56aを有する。小孔56aは整流板56を鉛直方向に貫通する。小孔56aは本発明における上部供給口の例である。
【0152】
ここで、蓋部6と整流板56によって区画される空間を「導入室S1」と呼ぶ。筐体4とシャッター5と整流板56と加熱部11とによって区画される空間を「処理室S2」と呼ぶ。導入室S1は、整流板56の上方に位置する。処理室S2は、整流板56の下方に位置する。導入室S1と処理室S2は小孔56aを通じて互いに連通している。なお、導入室S1および処理室S2はいずれも、処理容器3内の空間である。導入室S1および処理室S2は、処理容器3の内部の一部である。
【0153】
開閉弁54が開くことによって、非酸化性ガスは非酸化性ガス供給源69から配管52および供給ポート53を通じて導入室S1に流入する。さらに、非酸化性ガスは、導入室S1から整流板56の小孔56aを通じて処理室S2に流れる。小孔56aは、非酸化性ガスを下方に吹き出す。流量調整部55は、供給ポート53を通じて処理容器3に供給する非酸化性ガスの供給量を調整する。開閉弁54が閉じることによって、上部供給部51は非酸化性ガスの供給を停止する。開閉弁54が閉じることによって、供給ポート53は密閉される。
【0154】
1−9.下部供給部61
基板処理装置1は下部供給部61を備える。下部供給部61は処理容器3内に非酸化性ガスを供給する。下部供給部61は冷却位置PCよりも低い位置から非酸化性ガスを吹き出す。
【0155】
下部供給部61は配管62とポート63と開閉弁64と流量調整部65を備える。配管62の一端は非酸化性ガス供給源69に接続される。配管62の他端はポート63に接続される。ポート63は底板8に取り付けられている。ポート63は処理容器3の内部と連通する。開閉弁64と流量調整部65はそれぞれ配管62上に設けられる。開閉弁64は配管62内の流路を開閉する。流量調整部65は配管62を流れる非酸化性ガスの流量を調整する。流量調整部65は、例えば、ニードル弁またはマスフローメータの少なくともいずれかを含む。
【0156】
ポート63はガス流通孔14に連通接続される。ガス流通孔14は加熱部11の内部に形成された貫通孔である。ガス流通孔14は加熱部11の上面11aに達する。ガス流通孔14は加熱部11の上方に開放される。
【0157】
開閉弁64が開くことによって、非酸化性ガスは非酸化性ガス供給源69から配管62およびポート63を通じて処理容器3内に流入する。さらに、非酸化性ガスはガス流通孔14を通じて処理室S2に流れる。ガス流通孔14は、非酸化性ガスを上方に吹き出す。流量調整部65は、ポート63を通じて処理容器3に供給する非酸化性ガスの供給量を調整する。開閉弁64が閉じることによって、下部供給部61は非酸化性ガスの供給を停止する。開閉弁64が閉じることによって、ポート63は密閉される。
【0158】
1−10.側部排出部71
基板処理装置1は側部排出部71を備える。側部排出部71は処理容器3内の気体を処理容器3の外部に排出する。側部排出部71は冷却位置PCの側方の位置を通じて気体を排出する。
【0159】
側部排出部71は上述した排気ダクト72を備える。排気ダクト72は側部排出口Dに気密に連通接続する。側部排出部71は、さらに、排気管73と開閉弁74と排気機構75を備える。排気管73は、排気ダクト72に連通接続される第1端を有する。開閉弁74は排気管73上に設けられる。排気管73は、排気機構75に連通接続される第2端を有する。排気機構75は、気体を吸引し、排出する。排気機構75は、気体の排出量を調整可能である。より具体的には、排気機構75は、気体の流量または気体の吸引圧を調整することによって、気体の排出量を調整可能である。排気機構75は、例えば真空ポンプ、排気ブロアまたはエジェクタである。
【0160】
開閉弁74が開放し、且つ、排気機構75が駆動することによって、処理容器3内の気体は側部排出口Dを通じて処理容器3の外部に排出される。これにより、処理室S2の気体が円滑に排出される。さらに、排気機構75は、側部排出口Dを通じて処理容器3から排出する気体の排出量を調整する。排気機構75の駆動が停止することによって、側部排出部71は気体の排出を停止する。開閉弁74が閉じることによって、側部排出口Dは密閉される。
【0161】
1−11.下部排出部81
基板処理装置1は下部排出部81を備える。下部排出部81はシールハウジング40内の気体を排出する。下部排出部81はさらに、処理容器3内の気体を排出する。下部排出部81は冷却位置PCよりも低い位置を通じて処理容器3から気体を排出する。
【0162】
下部排出部81は、配管82と排気ポート83と開閉弁84と排気機構85を備える。配管82の一端は排気ポート83に接続される。
【0163】
図1、7を参照する。排気ポート83はシールハウジング40に連通接続される。具体的には、排気ポート83は集合部33に連通接続される。より具体的には、排気ポート83は管部35aに連通接続される。
【0164】
図5を参照する。排気ポート83はシールハウジング40の内部(すなわち、空間E、Fa、Fb、Fc)と連通する。排気ポート83はさらに、開口9およびピン孔12と連通する。すなわち、排気ポート83は、処理容器3の内部と連通する。なお、図5における排気ポート83の位置は、図示の便宜上、他の図における排気ポート83の位置と異なる。
【0165】
図1を参照する。開閉弁84は配管82上に設けられる。開閉弁84は配管82内の流路を開閉する。排気機構85は配管82の他端と連通接続される。排気機構85は気体を吸引し、排出する。排気機構85は気体の排出量を調整可能である。より具体的には、排気機構85は、気体の流量または気体の吸引圧を調整することによって、気体の排出量を調整可能である。排気機構85は、例えば真空ポンプ、排気ブロアまたはエジェクタである。
【0166】
開閉弁84が開放し、且つ、排気機構85が駆動することによって、シールハウジング40内の気体と処理容器3内の気体は、排出される。具体的は、空間Fa、Fb、Fcの気体は、空間Eに流れる。処理容器3内の気体は、ピン孔12と開口9を通じて空間Eに流れる。空間Eの気体は、排気ポート83を通じて配管82に流れる。これにより、シールハウジング40内の気体と処理容器3内の気体は、シールハウジング40および処理容器3の外部に排出される。排気機構85は、排気ポート83を通じて処理容器3から排出する気体の排出量を調整する。排気機構85の駆動が停止すると、下部排出部61は気体の排出を停止する。開閉弁64が閉じると、排気ポート63は密閉される。
【0167】
排気ポート83は、本発明における第1排気ポートの例である。
【0168】
1−12.センサ91、93
基板処理装置1は圧力センサ91と酸素濃度センサ93を備える。圧力センサ91は処理容器3内の気体の圧力を検出する。酸素濃度センサ93は処理容器3内の酸素濃度を検出する。酸素濃度センサ93は、例えば、ガルバニ電池式酸素センサまたはジルコニア式酸素センサである。
【0169】
1−13.制御部95
基板処理装置1は制御部95を備える。制御部95は、加熱部11とシャッター駆動機構21とピン駆動機構25と開閉弁54、64、74、84と流量調整部55、65と排気機構75、85と圧力センサ91と酸素濃度センサ93と通信可能に接続されている。制御部95は、圧力センサ91の検出結果と酸素濃度センサ93の検出結果を受信する。制御部95は、加熱部11とシャッター駆動機構21とピン駆動機構25と開閉弁54、64、74、84と流量調整部55、65と排気機構75、85を制御する。制御部95は、各種処理を実行する中央演算処理装置(CPU)、演算処理の作業領域となるRAM(Random-Access Memory)、固定ディスク等の記憶媒体等によって実現されている。記憶媒体には、基板Wを処理するための処理レシピ(処理プログラム)や、酸素濃度の基準値など各種情報を記憶されている。
【0170】
2.動作
次に、実施例に係る基板処理装置1の動作例を説明する。
本動作例では、基板処理装置1は、自己組織化材料が塗布された基板(例えば、半導体ウエハ)Wに熱処理を行う。基板処理装置1は、基板Wを加熱することによって、自己組織化材料を相分離させる。相分離した自己組織化材料は規則性の高い構造を有する。さらに、基板処理装置1は、基板Wを冷却することによって、相分離した自己組織化材料の構造を劣化や崩壊から保護する。
【0171】
図9は、基板処理装置1の動作例の手順を示すフローチャートである。基板処理装置1の動作例は、搬入工程(ステップS1)と密閉工程(ステップS2)と置換工程(ステップS3)と加熱工程(ステップS4)と冷却工程(ステップS5)と開放工程(ステップS6)と搬出工程(ステップS7)を含む。
【0172】
搬入工程から搬出工程までの全期間にわたって、下部排出部81は気体を排出する動作を実行する。さらに、搬入工程から搬出工程までの全期間にわたって、冷却水は冷却部16A−16D、47を流れる。
【0173】
以下、各工程を説明する。以下の動作例において、各部材は、制御部95による制御に従って動作する。
【0174】
<ステップS1> 搬入工程
シャッター駆動機構21がシャッター5を筐体4から離脱させる。これにより、搬送口Aが開放される。不図示の基板搬送機構が基板Wを処理容器3内に搬入する。具体的は、基板搬送機構が基板Wを水平姿勢で保持し、搬送口Aを通じて処理容器3の内部に進入する。これにより、基板Wが搬送口Aを通じて処理容器3内に搬入される。基板W上には自己組織化材料が既に塗布されている。ピン駆動機構25がピン24を上方位置に移動させる。ピン24が基板搬送機構から基板Wを受け取る。ピン24が基板Wを受け取った後、基板移動機構が処理容器3の外部に退出する。ピン24は基板Wを冷却位置PCで支持する。
【0175】
ピン24が上方位置に移動するとき、ピン24はピン24の軸心Cの方向に上昇する。ピン24が上昇するとき、ピン24はシール部材43に対して摺動する。ピン24がシール部材43に対して摺動するときであっても、シール部材43とピン24の密着は維持される。
【0176】
上述したとおり、下部排出部81は、シールハウジング40および処理容器3から気体を排出する。
【0177】
図10は、基板処理装置の要部を模式的に示す図である。図10では、シールハウジング40内および処理容器3内の気体の流れを一点鎖線で模式的に示す。空間Fa、Fb、Fcの気体はそれぞれ、空間Eに流れる。処理室S2の気体は、ピン孔12および開口9を通じて空間Eに流れる。厳密に言えば、処理室S2の気体は、ピン孔12とピン24の隙間および開口9とピン24の隙間を通じて空間Eに流れる。空間Eにおいて、気体は排気ポート83に向かって流れる。さらに、気体は、空間Eから排気ポート83を通じて配管82に流れる。このように、シールハウジング40内の気体および処理容器3内の気体は、排気ポート83を通じて排出される。
【0178】
仮にピン24aとシール部材43aの摺動によって塵埃が空間Faで発生した場合、塵埃は、空間Faから空間Eを通って排気ポート83に流入する。すなわち、空間Faの塵埃も排気ポート83を通じて排出される。このため、塵埃が処理容器3に進入することを的確に防止できる。さらに、開口9において、気体は、処理容器3(ピン孔12)からシールハウジング40(空間E)に向かって流れる。このような気体の流れは、塵埃がシールハウジング40から処理容器3に流入することを好適に阻止する。よって、塵埃が処理容器3に進入することを一層的確に防止できる。同様に、仮に塵埃が空間Fb、Fcに発生した場合も、塵埃は、処理容器3に流入することなく、排気ポート83を通じて排出される。
【0179】
仮に外気がピン24とシール部材43aの密着部を通じて空間Faに流入した場合、外気は、空間Faから空間Eを通って排気ポート83に流入する。すなわち、空間Faの外気も排気ポート83を通じて排出される。このため、外気が処理容器3に進入することを的確に防止できる。さらに、開口9において、気体は、処理容器3(ピン孔12)からシールハウジング40(空間E)に向かって流れる。このような気体の流れは、外気がシールハウジング40から処理容器3に流入することを好適に阻止する。よって、外気が処理容器3に進入することを一層的確に防止できる。同様に、仮に外気が空間Fb、Fcに存在する場合も、外気は、処理容器3に流入することなく、排気ポート83を通じて排出される。
【0180】
以上のとおり、排気ポート83を通じてシールハウジング40内の気体および処理容器3内の気体を排出することにより、塵埃や外気などの異物が処理容器3に入ることを好適に防止できる。
【0181】
<ステップS2> 密閉工程
シャッター駆動機構21はシャッター5を筐体4に取り付ける。シャッター5はシール部材15Aを介して筐体4と密着する。これにより、搬送口Aは密閉される。すなわち、処理容器3は略密閉される。なお、密閉工程では、ピン24は上方位置にあり、基板Wは冷却位置PCで静止する。また、密閉工程においても、下部排出部81はシールハウジング40および処理容器3から気体を排出する。
【0182】
<ステップS3> 置換工程
置換工程は処理容器3内の気体を非酸化性ガスに置換する。具体的には、非酸化性ガスを処理容器3内に供給し、且つ、処理容器3内の気体を排出する。置換工程では、時間の経過に伴って処理容器3内の酸素濃度が低下する。なお、置換工程では、ピン24は上方位置にあり、基板Wは冷却位置PCで静止する。
【0183】
図11は、置換工程と加熱工程と冷却工程の手順を例示するタイミングチャートである。図11に示すように、置換工程は、時刻t0から時刻t3までの期間に実行される。置換工程は第1工程と第2工程と第3工程を含む。第1工程は、時刻t0から時刻t1までの期間に実行される。第2工程は、時刻t1から時刻t2までの期間に実行される。第3工程は、時刻t2から時刻t3までの期間に実行される。
【0184】
第1工程は、処理容器3内を真空引きする。具体的には、第1工程では、上部供給部51および下部供給部61が処理容器3内に非酸化性ガスを供給せず、側部排出部71が処理容器3内の気体を排出し、下部排出部81がシールハウジング40内の気体および処理容器3内の気体を排出する。側部排出部71は、側部排出口Dを通じて、処理容器3内の気体を排出する。側部排出部51は比較的に大きな排出量QEHで気体を排出する。第1工程では、処理容器3内の圧力は急速に低下する。時刻t1における処理容器3内の気体の圧力p1は、例えば−30[kPa]である。なお、本明細書では、圧力を、大気圧を基準としたゲージ圧で表記する。
【0185】
ここで、開口9は封止機構31によって密閉されるので、処理容器3内の真空度を容易に高めることができる。さらに、側部排出口Dのみならず、排気ポート83を通じて処理容器3内の気体を排出するので、処理容器3内の気体の圧力を容易に低減できる。
【0186】
第2工程では、上部供給部51が処理容器3内に非酸化性ガスを供給し、下部供給部61が処理容器3内に非酸化性ガスを供給せず、側部排出部71が処理容器3から気体を排出し、下部排出部81がシールハウジング40および処理容器3から気体を排出する。上部供給部51は、整流板56の小孔56aを通じて、非酸化性ガスを吹き出す。上部供給部51は比較的に大きな供給量QSHで非酸化性ガスを供給する。側部排出部51は排出量QEHで気体を排出する。第2工程では、処理容器3内の圧力は圧力p1より高い。ただし、第2工程では、処理容器3内の圧力は依然として負圧である(すなわち、大気圧よりも低い)。時刻t2における処理容器3内の圧力p2は、例えば−10[kPa]である。
【0187】
第3工程では、上部供給部51が処理容器3内に非酸化性ガスを供給し、下部供給部61が処理容器3内に非酸化性ガスを供給せず、側部排出部71が処理容器3内の気体を排出せず、下部排出部81がシールハウジング40内の気体および処理容器3内の気体を排出する。上部供給部51は供給量QSHで非酸化性ガスを供給する。第3工程では、処理容器3内の圧力は圧力p2より高い。第3工程では、処理容器3内の圧力は正圧である(すなわち、大気圧よりも高い)。
【0188】
図12は、基板Wの温度および処理容器3内の酸素濃度の時間的変化を示すグラフである。図示するように、置換工程の終了時(すなわち時刻t3)では、処理容器3内の酸素濃度が基準値R以下に低下する。本明細書では、処理容器3内の酸素濃度が基準値R以下であることは、処理容器3内が非酸化性ガス雰囲気であることと同義である。
【0189】
ここで、酸素濃度の基準値Rは、例えば10ppmから10000ppmの範囲内の値である。なお、酸素濃度とは、処理容器3内の気体の体積と、処理容器3内の酸素ガスの体積の比である。
【0190】
<ステップS4> 加熱工程
図11を参照する。加熱工程は時刻t3から時刻t4までの期間に実行される。加熱工程は処理容器3内を非酸化性ガス雰囲気に保つ。さらに、加熱工程では、上部供給部51が非酸化性ガスを処理容器3内に供給し、側部排出部71が処理容器3から気体を排出し、下部排出部81がシールハウジング40および処理容器3から気体を排出する。上部供給部51は供給量QSHよりも低い供給量QSLで非酸化性ガスを供給する。側部排出部71は排出量QEHよりも低い排出量QELで気体を排出する。加熱工程では処理容器3内の圧力は正圧である。
【0191】
加熱工程は基板Wを加熱位置PHに位置させる。具体的には、加熱工程が始まる時(時刻t3)、ピン駆動機構25はピン24を下方位置に移動させる。これにより、基板Wは冷却位置PCから加熱位置PHに下降する。基板Wは加熱部11の上面11aに載置される。
【0192】
ピン24が下方位置に移動するとき、ピン24はピン24の軸心Cの方向に下降する。ピン24が下降するとき、ピン24はシール部材43に対して摺動する。ピン24がシール部材43に対して摺動するときであっても、シール部材43とピン24の密着は維持される。
【0193】
さらに、基板Wが冷却位置PCから加熱位置PHに移動する期間のみ、下部供給部61が処理容器3内に非酸化性ガスを供給する。下部供給部61は、加熱部11のガス流通孔14を通じて、非酸化性ガスを吹き出す。これにより、基板Wと加熱部11との隙間に酸素が滞留することを確実に防止する。
【0194】
基板Wが加熱位置PHに到達した後、加熱工程が終了するまで、基板Wは加熱位置PHで静止する。加熱部11は加熱位置PHにある基板Wを加熱する。基板Wの加熱により、基板W上の自己組織化材料を相分離させる。
【0195】
図12を参照する。加熱工程では、処理容器3内の酸素濃度が基準値R以下に保たれている。すなわち、加熱工程は非酸化性ガス雰囲気で基板Wを加熱する。加熱工程は基板Wを温度T1で加熱する。温度T1は比較的に高い。温度T1は例えば300度以上である。温度T1は例えば自己組織化材料のガラス転移点以上である。本実施例では、温度T1は例えば340度から360度の範囲内の値である。
【0196】
<ステップS5> 冷却工程
図11を参照する。冷却工程は時刻t4から時刻t5までの期間に実行される。冷却工程も処理容器3内を非酸化性ガス雰囲気に保つ。さらに、冷却工程では、上部供給部51および下部供給部61が非酸化性ガスを処理容器3内に供給し、側部排出部71が処理容器3内の気体を排出し、下部排出部81がシールハウジング40内の気体および処理容器3内の気体を排出する。上部供給部51は供給量QSHで非酸化性ガスを供給する。側部排出部71は排出量QEHで気体を排出する。冷却工程では、処理容器3内の圧力は負圧である。
【0197】
冷却工程は基板Wを冷却位置PCに位置させる。具体的には、冷却工程が始まる時(すなわち、時刻t4)、ピン駆動機構25がピン24を上方位置に移動させる。これにより、基板Wは加熱位置PHから冷却位置PCに上昇する。基板Wが冷却位置PCに到達した後、冷却工程が終了するまで、基板Wは冷却位置PCに静止する。
【0198】
図12を参照する。冷却工程においても、処理容器3内の酸素濃度が基準値R以下に保たれている。すなわち、冷却工程は、非酸化性ガス雰囲気で基板Wを冷却する。
【0199】
冷却工程は、基板Wの温度を温度T2以下に低下させる。温度T2は温度T1よりも低い。温度T2は、例えば、基板Wが大気と同程度の酸素濃度を有する気体と接触しても、相分離した自己組織化材料の構造が実質的に劣化または崩壊しない基板Wの温度であることが好ましい。温度T2は、例えば、自己組織化材料のガラス転移点と同じ温度以下であることが好ましい。温度T2は、例えば、自己組織化材料に含まれる重合体のガラス転移点と同じ温度以下であることが好ましい。なお、ガラス転移点を文献値によって特定してもよい。あるいは、ガラス転移点を示差操作熱量計(DSC)によって特定してもよい。本実施例では、温度T2は、例えば240度から260度の範囲内の値である。
【0200】
<ステップS6> 開放工程
図1を参照する。シャッター駆動機構21はシャッター5を筐体4から離脱させる。これにより、搬送口Aが開放される。すなわち、処理容器3が開放される。
【0201】
<ステップS7> 搬出工程
不図示の基板搬送機構が基板Wを処理容器3から搬出する。具体的には、基板搬送機構が搬送口Aを通じて処理容器3の内部に進入する。ピン駆動機構25がピン24を下降させる。基板搬送機構はピン24から基板Wを受け取る。その後、基板移動機構が処理容器3の外部に退出する。
【0202】
3.実施例の効果
実施例に係る基板処理装置1によれば、以下の効果を奏する。
【0203】
基板処理装置1はシールハウジング40とシール部材43を備える。シールハウジング40は、開口9の周囲において処理容器3と密着し、且つ、ピン24の一部を収容する。シール部材43は、シールハウジング40の内周面と密着し、且つ、ピン24の外周面と密着する。このため、開口9を好適に密閉できる。よって、処理容器3の気密性を好適に高めることができる。
【0204】
シール部材43は、ピン24と摺動可能にピン24と密着する。すなわち、ピン24がシール部材43に対して摺動しても、シール部材43とピン24の密着が維持される。このため、ピン24が往復移動しても、処理容器3の気密性を好適に維持できる。
【0205】
シールハウジング40は処理容器3の外部に配置されるので、シール部材43も処理容器3の外部に配置される。シール部材43が処理容器3の外部に配置されるので、シール部材43は処理容器3内の熱を直接的に受けない。すなわち、シール部材43を処理容器3内の熱から好適に保護できる。このため、シール部材43の劣化を好適に防止できる。すなわち、シール部材43のシール機能を好適に維持できる。よって、処理容器3の気密性を好適に維持できる。
【0206】
上述のとおり、処理容器3の気密性を好適に高めることができるので、処理容器3内の雰囲気を好適に管理できる。例えば、置換工程のように、処理容器3内における非酸化性ガスの濃度を十分に高めることができる。換言すれば、非酸化性ガスにとっての不純物(例えば、酸素やパーティクル)の濃度を十分に低減できる。例えば、加熱工程および冷却工程のように、処理容器3内を非酸化性ガス雰囲気に容易に維持できる。
【0207】
さらに、処理容器3の気密性を好適に高めることができるので、処理容器3内の気体の圧力を好適に管理できる。例えば、置換工程の第3工程や加熱工程のように、処理容器3内の気体の圧力を容易に正圧にできる。例えば、置換工程の第1工程、第2工程や冷却工程のように、処理容器3内の気体の圧力を容易に負圧にできる。例えば、置換工程の第1工程のように、処理容器3内の真空度を容易に高めることができる。例えば、処理容器3内の気体の圧力を予め決められた値に精度良く調整できる。
【0208】
以上の通り、処理容器3内の雰囲気を好適に管理でき、且つ、処理容器3内の気体の圧力を好適に管理できるので、基板処理装置1が基板Wに行う処理の品質を好適に高めることができる。
【0209】
ピン24は加熱部11のピン孔12に配置されるので、ピン24は加熱部11の熱を直接的に受ける。しかしながら、シール部材43は処理容器3の外部に配置されるので、シール部材43は加熱部11の熱を直接的に受けない。このため、ピン24が比較的に高温であっても、シール部材43は、劣化すること無く、ピン24に適切に密着できる。よって、処理容器3の気密性を好適に維持できる。このように、ピン24が加熱部11を貫通する場合には、封止機構31の有用性が特に高い。
【0210】
シール部材43は金属製であるので、シール部材43は高い耐熱性を有する。このため、シール部材43は、シール機能を一層好適に維持できる。よって、処理容器3の気密性を一層好適に維持できる。
【0211】
シールハウジング40は、開口9aの周囲において処理容器3と密着し、開口9bの周囲において密着し、且つ、開口9cの周囲において処理容器3と密着する。シールハウジング40は、ピン24aの一部と、ピン24bの一部と、ピン24cの一部を収容する。さらに、シールハウジング40は、シール部材43a、43b、43cと密着する。このような構成によれば、開口9a、9b、9cをそれぞれ好適に密閉できる。特に、1つのシールハウジング40内において、3つの軸封(すなわち、ピン24a、24b、24cの封止)を行うことができる。よって、封止機構31の構造を簡素化できる。
【0212】
シールハウジング40は筒部38を備えるので、シール部材43を適切に設置できる。
【0213】
シールハウジング40は集合部33を備えるので、筒部38aの内部と筒部38bの内部と筒部38bの内部とを好適に連通させることができる。すわなち、集合部33は、空間Fa、Fb、Fcを好適に連通させることができる。
【0214】
集合部33は管部35aを有し、管部35aは、ピン24aとピン24bとの間にわたってピン24の軸心Cの方向と略直交する方向に延びる。このため、管部35aの長さを比較的に短くすることができる。よって、集合部33の構造を簡素化できる。同様に、集合部33は管部35bを有し、管部35bは、ピン24bとピン24cとの間にわたってピン24の軸心Cの方向と略直交する方向に延びる。集合部33は管部35cを有し、管部35cは、ピン24cとピン24aとの間にわたってピン24の軸心Cの方向と略直交する方向に延びる。よって、集合部33の構造を一層簡素化できる。
【0215】
集合部33は平坦な上面33aを有する。よって、集合部33は処理容器3と好適に密着できる。
【0216】
封止機構31はシール部材45を備える。よって、集合部33は、シール部材45を介して処理容器3と好適に密着できる。
【0217】
筒部38は集合部33から分離可能である。具体的には、軸封部37はマニホールド32から分離可能である。このため、筒部38とシール部材43とピン24とを一体に集合部33から分離できる。換言すれば、筒部38とシール部材43とピン24が相互に密着した状態で、筒部38とシール部材43とピン24を集合部33から分離できる。このため、シール部材43をピン24および筒部43から分離せずに、メンテナンスできる。よって、シール部材43の交換頻度を低減できる。なお、シール部材43は金属製であるので、シール部材43をピン24または筒部43から一旦、分離すると、シール部材43を交換する必要がある。
【0218】
マニホールド32は継ぎ手36を備え、軸封部37は継ぎ手39を備える。このため、軸封部37をマニホールド32に容易に着脱できる。すなわち、筒部38を集合部33に容易に着脱できる。
【0219】
基板処理装置1は、シールハウジング40に連通接続され、シールハウジング40内の気体を排出するための排気ポート83を備える。このため、シールハウジング40内の気体を、排気ポート83を通じて、シールハウジング40の外部に排出できる。よって、塵埃や外気などの異物が処理容器3内に流入することを好適に防止できる。このため、処理容器3内の雰囲気を一層好適に管理できる。
【0220】
排気ポート83は集合部33と連通接続する。よって、空間E、Fa、Fb、Fcの気体を、1つの第1排気ポート83を通じて効率良く排出できる。
【0221】
処理容器3とシールハウジング40とは、開口9を介して連通する。このため、排気ポート83を通じて、処理容器3内の気体を排出できる。このため、処理容器3内を一層容易に減圧できる。
【0222】
開口9において、気体は処理容器3からシールハウジング40に向かって流れる。このため、塵埃や外気等の異物がシールハウジング40から処理容器3に流入することを好適に阻止できる。よって、処理容器3内の雰囲気を一層好適に管理できる。
【0223】
シールハウジング40はさらにピン孔12と連通する。よって、排気ポート83を通じてピン孔12の気体を排出できる。このため、ピン孔12の気体を一層好適に管理できる。
【0224】
ピン孔12は加熱部11の上方に開放される。よって、ピン孔12を通じて、加熱部11の上方の気体を容易に排出できる。よって、加熱部11の上方の気体を一層好適に管理できる。
【0225】
冷却部47は封止機構31の近傍に配置される。このため、冷却部47はシールハウジング40およびシール部材43を冷却できる。すなわち、シール部材43が過度に高温になることを抑制できる。このため、シール部材43の劣化を好適に防止できる。よって、処理容器の気密性を一層好適に維持できる。
【0226】
冷却部47は封止機構31の近傍に配置され、且つ、封止機構31はピン24と密着する。このため、冷却部47はさらにピン24を冷却できる。これにより、ピン24が過度に高温になることを抑制できる。このため、ピン24が損傷することを好適に防止でき、ピン24の形状が変形することを好適に防止できる。その結果、ピン24は基板Wを適切に支持できる。
【0227】
冷却部47はシールハウジング40の近傍に配置される。このため、冷却部47はシールハウジング40およびシール部材43を好適に冷却できる。
【0228】
冷却部47はシールハウジング40を囲むように配置される。このため、冷却部47はシールハウジング40を広いエリアで冷却できる。よって、冷却部47はシールハウジング40を効果的に冷却できる。
【0229】
冷却部47は集合部33の近傍に配置される。よって、冷却部47は集合部33を好適に冷却できる。さらに、集合部33は筒部38と接続される。このため、冷却部47は、各筒部38をそれぞれ好適に冷却できる。
【0230】
冷却部47は冷却水が流れる冷却流路を含む。このため、シールハウジング40の熱は冷却水に効率良く伝達される。よって、冷却部47はシールハウジング40を効果的に冷却できる。
【0231】
シールハウジング40は金属製である。このため、シールハウジング40の熱伝導率は比較的に高い。よって、冷却部47はシールハウジング40を効果的に冷却できる。
【0232】
シール部材43は金属製である。このため、シール部材43の熱伝導率は比較的に高い。よって、冷却部47はシール部材43を効果的に冷却できる。
【0233】
冷却部16Aはシール部材15Aの近傍に配置される。このため、冷却部16Aはシール部材15Aを冷却できる。すなわち、シール部材15Aが過度に高温になることを抑制できる。このため、シール部材15Aの劣化を好適に防止できる。よって、搬送口Aを好適に密閉できる。
【0234】
冷却部16Bはシール部材15Bの近傍に配置される。このため、冷却部16Bはシール部材15Bを冷却できる。このため、シール部材15Bの劣化を好適に防止できる。
よって、上部開口Bを好適に密閉できる。
【0235】
冷却部16Cはシール部材15Cの近傍に配置される。このため、冷却部16Cはシール部材15Cを冷却できる。このため、シール部材15Cの劣化を好適に防止できる。
よって、下部開口Cを好適に密閉できる。
【0236】
冷却部16Dはシール部材15Dの近傍に配置される。このため、冷却部16Dはシール部材15Dを冷却できる。このため、シール部材15Dの劣化を好適に防止できる。
よって、側部排出口Dを好適に密閉できる。
【0237】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0238】
(1)上述した実施例では、マニホールド32は継ぎ手36を備えたが、これに限られない。例えば、継ぎ手36を省略してもよい。例えば、集合部33は軸封部37と直接的に接続されてもよい。本変形実施例の場合、集合部33と筒部38と継ぎ手39が、シールハウジング40を構成する。
【0239】
(2)上述した実施例では、軸封部37は継ぎ手39を備えたが、これに限られない。例えば、継ぎ手39を省略してもよい。例えば、筒部38はマニホールド32と直接的に接続されてもよい。本変形実施例の場合、集合部33と継ぎ手36と筒部38とが、シールハウジング40を構成する。
【0240】
(3)上述した実施例において、集合部33は筒部38と間接的に連通接続したが、これに限られない。すなわち、集合部33は筒部38と直接的に接続してもよい。例えば、継ぎ手36、39を省略してもよい。本変形実施例の場合、集合部33と筒部38とが、シールハウジング40を構成する。
【0241】
(4)上述した実施例では、封止機構31はマニホールド32を備えたが、これに限られない。例えば、マニホールド32を省略してもよい。例えば、軸封部37が処理容器3に直接的に接続されてもよい。
【0242】
図13は、変形実施例に係る基板処理装置1の要部の概略構成を示す図である。なお、実施例と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0243】
軸封部37aは、開口9aの周囲において処理容器3と密着する。具体的には、継ぎ手39aが、シール部材45aを介して底板8と密着する。軸封部37bは、開口9bの周囲において処理容器3と密着する。具体的には、継ぎ手39bが、シール部材45bを介して底板8と密着する。軸封部37cは、開口9cの周囲において処理容器3と密着する。具体的には、継ぎ手39cが、シール部材45cを介して底板8と密着する。
【0244】
本閉経実施例では、筒部38aと継ぎ手39aが、シールハウジング40aを構成する。空間Faはシールハウジング40aの内部に相当する。シールハウジング40aはピン24aを収容する。シールハウジング40aとシール部材43aが、開口9aを密閉する。
【0245】
筒部38bと継ぎ手39bが、シールハウジング40bを構成する。空間Fbがシールハウジング40bの内部に相当する。シールハウジング40bはピン24bを収容する。シールハウジング40bとシール部材43bが、開口9bを密閉する。
【0246】
筒部38cと継ぎ手39cが、シールハウジング40cを構成する。空間Fcがシールハウジング40cの内部に相当する。シールハウジング40cはピン24cを収容する。シールハウジング40cとシール部材43cが、開口9bを密閉する。
【0247】
基板処理装置1は冷却部47a、47b、47cを備える。冷却部47aは筒部38aの近傍に配置される。冷却部47aは筒部38aとシール部材43aとピン24aを冷却する。冷却部47bは筒部38bの近傍に配置される。冷却部47bは筒部38bとシール部材43bとピン24bを冷却する。冷却部47cは筒部38cの近傍に配置される。冷却部47cは筒部38cとシール部材43cとピン24cを冷却する。
【0248】
基板処理装置1は排気ポート83a、83b、83cを備える。排気ポート83aは筒部38aに連通接続される。シールハウジング40a内の気体は、排気ポート83aを通じて排出される。排気ポート83bは筒部38bに連通接続される。シールハウジング40b内の気体は、排気ポート83bを通じて排出される。排気ポート83cは筒部38cに連通接続される。シールハウジング40c内の気体は、排気ポート83cを通じて排出される。
【0249】
本変形実施例によっても、実施例と同じ様に、処理容器3の気密性を高めることができる。
【0250】
さらに、シールハウジング40aは1つのシール部材43aと密着する。このため、シールハウジング40aの構造を簡素化できる。具体的には、シールハウジング40aの内部の形状を簡素化できる。同様に、シールハウジング40bは1つのシール部材43bと密着する。このため、シールハウジング40bの構造を簡素化できる。シールハウジング40cは1つのシール部材43cと密着する。このため、シールハウジング40cの構造を簡素化できる。
【0251】
上述したように、シールハウジング40aの内部の形状が簡素である。このため、排気ポート83aを通じて、シールハウジング40a内の気体を均一に排気できる。同様に、排気ポート83bを通じて、シールハウジング40b内の気体を均一に排気できる。同様に、排気ポート83cを通じて、シールハウジング40c内の気体を均一に排気できる。
【0252】
冷却部47aは筒部38aの近傍に配置される。このため、冷却部47aは、シール部材43aおよびピン24aを効果的に冷却できる。同様に、冷却部47bは、シール部材43bおよびピン24bを効果的に冷却できる。冷却部47cは、シール部材43cおよびピン24cを効果的に冷却できる。
【0253】
シールハウジング40a、40b、40cの1つが、本発明における第1シールハウジングの例である。シールハウジング40a、40b、40cの他の1つが、本発明における第2シールハウジングの例である。排気ポート83a、83b、83cの1つが、本発明における第1排気ポートの例である。排気ポート83a、83b、83cの他の1つが、本発明における第2排気ポートの例である。冷却部47a、47b、47cは、本発明における冷却部の例である。
【0254】
(5)上述した実施例では、封止機構31は軸封部37を備えたが、これに限られない。例えば、軸封部37を省略してもよい。例えば、シール部材43が集合部33に直接的に密着してもよい。
【0255】
図14は、変形実施例に係る基板処理装置1の要部の概略構成を示す図である。なお、実施例と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0256】
シール部材43a、43b、43cはそれぞれ、集合部33に密着している。具体的には、集合部33は、その下面に3つの取付口101a、101b、101cを有する。シール部材43a、43b、43cはそれぞれ、取付口101a、101b、101cの内周面に密着している。
【0257】
本閉経実施例では、集合部33がシールハウジング40を構成する。空間Eはシールハウジング40の内部に相当する。シールハウジング40とシール部材43a、43b、43cが、開口9a、9b、9cを密閉する。
【0258】
本変形実施例によっても、実施例と同じ様に、処理容器3の気密性を高めることができる。
【0259】
(6)上述した実施例では、集合部33は処理容器3と直接的に接続したが、これに限られない。すなわち、集合部33は処理容器3と間接的に接続してもよい。例えば、マニホールド32は、集合部33に連通接続され、且つ、処理容器3と密着する継ぎ手を備えてもよい。
【0260】
(7)上述した実施例では、軸封部37はマニホールド32から離脱可能であったが、これに限られない。すなわち、軸封部37はマニホールド32から離脱不能であってもよい。本変形実施例によっても、ピン24と軸封部37とマニホールド32とを一体に、処理容器3から離脱することができる。このため、シール部材43をピン24および筒部43から分離せずに、メンテナンスできる。よって、シール部材43の交換頻度を低減できる。
【0261】
(8)上述した実施例では、排気ポート83は集合部33に連通接続されたが、これに限られない。例えば、排気ポート83を軸封部37に連通接続してもよい。
【0262】
(9)上述した実施例では、排気ポート83の数は1つであったが、これに限られない。排気ポート83の数は複数であってもよい。
【0263】
(10)上述した実施例では、基板処理装置1は、排気ポート83を備えたが、これに限られない。例えば、排気ポート83を省略してもよい。
【0264】
(11)上述した実施例では、冷却部47は、集合部33の近傍に配置されたが、これに限られない。冷却部47の配置を適宜に変更してもよい。例えば、冷却部47を筒部38の近傍に配置してもよい。あるいは、冷却部47をシールハウジング40の内部に配置してもよい。
【0265】
(12)上述した実施例では、冷却部47は冷却管であったが、これに限られない。例えば、冷却部47は冷却プレートであってもよい。例えば、冷却部47は、集合部33の壁内に形成される冷却流路であってもよい。例えば、冷却部47は、筒部38の壁内に形成される冷却流路であってもよい。例えば、冷却部47は、集合部33の外壁に取り付けられる冷却ジャケットでもよい。例えば、冷却部47は、筒部38の外周面に取り付けられる冷却ジャケットでもよい。
【0266】
(13)上述した実施例では、冷却部47は冷却水を使用したが、これに限られない。すなわち、冷却部47は水以外の熱媒体を使用してもよい。
【0267】
(14)上述した実施例では、基板処理装置1は、冷却部47を備えたが、これに限られない。例えば、冷却部47を省略してもよい。
【0268】
(15)上述した実施例では、ピン24は基板Wを支持するための部材であったが、これに限られない。例えば、ピン24を、加熱部11や整流板56を支持するための軸部材に変更してもよい。例えば、ピン24を、気体および液体の少なくともいずれかを供給するための軸部材に変更してもよい。例えば、ピン24を、基板Wを吸着保持するための軸部材に変更してもよい。
【0269】
(16)上述した実施例では、ピン24はその内部に中空部を有しなかったが、これに限られない。ピン24は、その内部に中空部を有してもよい。例えば、ピン24は、2重管や3重管であってもよい。
【0270】
(17)上述した実施例では、ピン24の数は3つであったが、これに限られない。例えば、ピン24の数は、1本、2本、あるいは、4本以上でもよい。さらに、ピン24の数に応じて、開口9の数、ピン孔12の数、開口34の数、軸封部37の数などを変更してもよい。
【0271】
(18)上述した実施例では、ピン24は2つの位置(上方位置と下方位置)に移動可能であったが、これに限られない。例えば、ピン24は、3つ以上の位置に移動可能であってもよい。
【0272】
(19)上述した実施例では、基板処理装置1が行う熱処理は、基板Wを加熱する処理と、基板Wを冷却する処理を含んだが、これに限られない。例えば、基板処理装置1が行う熱処理は、基板Wを加熱する処理および基板Wを冷却する処理のいずれか一方のみを含んでもよい。
【0273】
(20)上述した実施例では、基板処理装置1が行う処理は熱処理であったが、これに限られない。例えば、基板処理装置1は、熱処理以外の処理を行ってもよい。上述した実施例では、基板処理装置1が行う処理において、処理液を使用しなかったが、これに限られない。例えば、基板処理装置1が行う処理において、処理液(例えば、溶剤や疏水化処理剤など)を使用してもよい。
【0274】
(21)上述した実施例では、冷却部16を例示したが、冷却部16の構造および配置を適宜に変更してもよい。例えば、冷却部16Aはシャッター5の内部に形成される冷却流路であってもよい。冷却部16Aは冷却水を流すための配管であってもよい。冷却部16Aは、シャッター5を介してシール部材15Aと熱的に接続してもよい。同様に、冷却部16B−16Dを適宜に変更してもよい。
【0275】
(22)上述した実施例では、基板処理装置1は、自己組織化材料が塗布された基板Wを熱処理したが、これに限られない。基板処理装置1は、レジスト膜や反射防止膜が形成された基板Wを処理してもよい。例えば、基板処理装置1は、下層膜が形成された基板Wを処理してもよい。下層膜は、例えば、SOC(Spin?on?Carbon)膜やSOG(Spin On Glass)膜である。
【0276】
(23)上述した各実施例および上記(1)から(22)で説明した各変形実施例については、さらに各構成を他の変形実施例の構成に置換または組み合わせるなどして適宜に変更してもよい。
【符号の説明】
【0277】
1 … 基板処理装置
3 … 処理容器
4 … 筐体
5 … シャッター
6 … 蓋部
7 … 収容部
8 … 底板
9、9a、9b、9c … 開口(第1開口、第2開口)
11 … 加熱部
11a … 加熱部の上面
12、12a、12b、12c … ピン孔(貫通孔)
14 … ガス流通孔
15、15A、15B、15C、15D … シール部材
16、16A、16B、16C、16D … 冷却部
24、24a、24b、24c … ピン(第1軸部材、第2軸部材)
31 … 封止機構
32 … マニホールド
33 … 集合部
33a … 集合部の上面
35、35a、35b、35c … 管部(第1管部)
38、38a、38b、38c … 筒部(第1筒部、第2筒部)
40 … シールハウジング(第1シールハウジング40)
40a、40b、40c … シールハウジング(第1シールハウジング、第2シールハウジング)
43、43a、43b、43c … シール部材(第1シール部材、第2シール部材)
47、47a、47b、47c … 冷却部
83 … 排気ポート(第1排気ポート)
83a、83b、83c … 排気ポート(第1排気ポート、第2排気ポート)
A … 搬送口
B … 上部開口
C … 下部開口
D … 側部排出口
W … 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14