(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
固定側ねじ部を有する支持部材と、前記固定側ねじ部に螺合する可動側ねじ部を有する作動部材と、前記作動部材に設けられ弁ポートの開度を調整する弁部材とを備え、モータ部のロータの回転運動を前記支持部材と前記作動部材とのねじ送り機構により前記弁部材の直線運動に変換し、該弁部材を前記弁ポートに対して進退させる電動弁において、
前記弁ポートの軸線上の所定の停止位置で前記ロータの回転を規制するストッパ機構を備え、
前記ストッパ機構は、前記支持部材に前記軸線回りに回転可能に設けられた可動ストッパと、前記支持部材と固定関係にあり前記可動ストッパの回転を所定の位置で規制する下端固定ストッパと、前記ロータに設けられた下端側回転ストッパと、を備え、
前記下端側回転ストッパは、前記ロータが前記停止位置に到るまでの間に所定回転すると、前記可動ストッパに係合して、該可動ストッパを前記所定の位置まで連れ回す係合部を備え、前記下端側回転ストッパの下側には、該下端側回転ストッパとは別体に、前記可動ストッパが前記係合部により連れ回される間に該可動ストッパを前記軸線方向に変位させるカム構造部を備え、更に、回転方向に拘わらず、前記下端側回転ストッパの前記係合部には、前記可動ストッパと接触後、該可動ストッパを軸線方向に押し下げるテーパ面を備えることを特徴とする電動弁。
前記カム構造部は、前記ロータが弁閉方向に回転して下端位置で停止する際に、前記下端側回転ストッパの係合部と前記可動ストッパとの当接面の軸線方向接触長さが大きくなるように変位させることを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
前記ロータが弁閉方向に回転して下端位置で停止した時の前記当接面の軸線方向接触長さは、前記固定側ねじ部又は前記可動側ねじ部のねじピッチ以上であることを特徴とする請求項2に記載の電動弁。
前記下端側回転ストッパの前記係合部に形成された主係合面と、前記可動ストッパに形成された被係合面とが当接することにより、前記係合部が前記可動ストッパに係合することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電動弁。
前記カム構造部は、前記下端固定ストッパに設けられた螺旋状のガイド面と、前記可動ストッパに設けられ前記ガイド面に摺接する螺旋状の摺動面とで構成され、前記可動ストッパが、前記ガイド面に沿って前記係合部により連れ回されるよう構成されていることを特徴とする請求項4に記載の電動弁。
前記下端側回転ストッパの前記係合部が主係合面を有するとともに、前記可動ストッパが前記主係合面に当接する被係合面を有し、前記主係合面と前記被係合面は斜面を成し、該斜面は、前記下端側回転ストッパが弁閉方向に回転する際に、前記下端固定ストッパの螺旋状のガイド面と前記可動ストッパの螺旋状の摺動面とが相互に押し付ける方向に当接するよう構成されていることを特徴とする請求項5に記載の電動弁。
前記下端側回転ストッパが、下端停止位置に向けて弁閉方向に回転する際は、所定回転時に、前記可動ストッパに接触し、前記可動ストッパを軸線方向に押し下げ後、該可動ストッパの上を回転通過し、さらに弁閉方向に所定回転して、前記下端側回転ストッパの主係合面が前記可動ストッパの被係合面と当接し、可動ストッパを連れ回すとともに、該可動ストッパの前記螺旋状の摺動面が、前記下端固定ストッパの前記螺旋状のガイド面と摺接して、前記可動ストッパが軸線方向に上昇しながら、下端固定ストッパの回転規制位置まで回転するようにした前記カム構造部で構成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の電動弁。
前記下端側回転ストッパが、下端停止位置から弁開方向に回転する際には、前記可動ストッパの前記被係合面が前記下端側回転ストッパの主係合面と当接しながら連れ回りするとともに、該可動ストッパの前記螺旋状の摺動面が、前記下端固定ストッパの前記螺旋状のガイド面と摺接して、前記可動ストッパが軸線方向に下降しながら、下端固定ストッパの所定の回転規制位置まで回転し、前記下端側回転ストッパが弁開方向にさらに所定回転すると、前記下端側回転ストッパが前記可動ストッパを軸線方向に押し下げ後、該可動ストッパの上を通過するようにした前記カム構造部で構成されていることを特徴とする請求項7に記載の電動弁。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した電動弁では、マグネットロータの回転を停止させるストッパ機構として、ねじ送り機構により上下動するマグネットロータに対して、このマグネットロータ側の可動ストッパを、弁本体(支持部材)側の固定ストッパに当接させることで、マグネットロータの下端位置を規制するのが一般的である。しかしながら、ねじ送り機構により、マグネットロータが1回転するときのストッパの軸線方向の変位量は、ねじ送り機構のねじピッチ以下となり、可動ストッパと固定ストッパとの当接面の軸線方向の接触長さは、ねじピッチより大きくできない。
【0005】
一方で、ねじ送り機構によるロータ軸の作動力は、ねじピッチが小さいほどマグネットロータのトルクを有効に作用させることができ、推力を大きくできる。したがって、推力を得るためには、ねじピッチを小さくしたいが、可動ストッパと固定ストッパとの当接面の軸線方向の高さも制限されてしまう。このため、堅牢なストッパ機構を得るのが困難である。
【0006】
本発明は、モータ部のロータの回転運動を支持部材と作動軸とのねじ送り機構により弁部材を弁ポートに対して進退させる電動弁において、ロータを所定の位置で確実に停止させるとともに堅牢なストッパ機構を有する電動弁を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の電動弁は、固定側ねじ部を有する支持部材と、前記固定側ねじ部に螺合する可動側ねじ部を有する作動部材と、前記作動部材に設けられ弁ポートの開度を調整する弁部材とを備え、モータ部のロータの回転運動を前記支持部材と前記作動部材とのねじ送り機構により前記弁部材の直線運動に変換し、該弁部材を前記弁ポートに対して進退させる電動弁において、前記弁ポートの軸線上の所定の停止位置で前記ロータの回転を規制するストッパ機構を備え、前記ストッパ機構は、前記支持部材に前記軸線回りに回転可能に設けられた可動ストッパと、前記支持部材と固定関係にあり前記可動ストッパの回転を所定の位置で規制する下端固定ストッパと、前記ロータに設けられた下端側回転ストッパと、を備え、前記下端側回転ストッパは、前記ロータが前記停止位置に到るまでの間に所定回転すると、前記可動ストッパに係合して、該可動ストッパを前記所定の位置まで連れ回す係合部
を備え、
前記下端側回転ストッパの下側には、該下端側回転ストッパとは別体に、前記可動ストッパが前記係合部により連れ回される間に該可動ストッパを前記軸線方向に変位させるカム構造
部を備え、更に、回転方向に拘わらず、前記下端側回転ストッパの前記係合部には、前記可動ストッパと接触後、該可動ストッパを軸線方向に押し下げるテーパ面を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2の電動弁は、請求項1に記載の電動弁であって、前記カム構造部は、前記ロータが弁閉方向に回転して下端位置で停止する際に、前記下端側回転ストッパの係合部と前記可動ストッパとの当接面の軸線方向接触長さが大きくなるように変位させることを特徴とする。
【0009】
請求項3の電動弁は、請求項2に記載の電動弁であって、前記ロータが弁閉方向に回転して下端位置で停止した時の前記当接面の軸線方向接触長さは、前記固定側ねじ部又は前記可動側ねじ部のねじピッチ以上であることを特徴とする。
【0010】
請求項4の電動弁は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電動弁であって、前記下端側回転ストッパの係合部に形成された主係合面と、前記可動ストッパに形成された被係合面とが当接することにより、前記係合部が前記可動ストッパに係合することを特徴とする。
【0011】
請求項5の電動弁は、請求項4に記載の電動弁であって、前記カム構造部は、前記下端固定ストッパに設けられた螺旋状のガイド面と、前記可動ストッパに設けられ前記ガイド面に摺接する螺旋状の摺動面とで構成され、前記可動ストッパが、前記ガイド面に沿って前記係合部により連れ回されるよう構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6の電動弁は、請求項5に記載の電動弁であって、前記下端側回転ストッパの係合部が主係合面を有するとともに、前記可動ストッパが前記主係合面に当接する被係合面を有し、前記主係合面と前記被係合面は斜面を成し、該斜面は、前記下端側回転ストッパが弁閉方向に回転する際に、前記下端固定ストッパの螺旋状のガイド面と前記可動ストッパの螺旋状の摺動面とが相互に押し付ける方向に当接するよう構成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項7の電動弁は、請求項5又は6に記載の電動弁であって、前記下端側回転ストッパが、下端停止位置に向けて弁閉方向に回転する際は、所定回転時に前記可動ストッパに接触し、前記可動ストッパを軸線方向に押し下げ後、該可動ストッパの上を回転通過し、さらに弁閉方向に所定回転して、前記下端側回転ストッパの主係合面が前記可動ストッパの被係合面と当接し、可動ストッパを連れ回すとともに、該可動ストッパの前記螺旋状の摺動面が、前記下端固定ストッパの前記螺旋状のガイド面と摺接して、前記可動ストッパが軸線方向に上昇しながら、下端固定ストッパの回転規制位置まで回転することを特徴とする。
【0014】
請求項8の電動弁は、請求項7に記載の電動弁であって、前記下端側回転ストッパが、下端停止位置から弁開方向に回転する際には、前記可動ストッパの前記被係合面が前記下端側回転ストッパの主係合面と当接しながら連れ回すとともに、該可動ストッパの前記螺旋状の摺動面が、前記下端固定ストッパの前記螺旋状のガイド面と摺接して、前記可動ストッパが軸線方向に下降しながら、所定の位置まで回転し、前記下端側回転ストッパが弁開方向にさらに弁開方向に所定回転すると、前記下端側回転ストッパが前記可動ストッパを軸線方向に押し下げ後、該可動ストッパの上を回転通過することを特徴とする。
【0015】
請求項9の電動弁は、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電動弁であって、前記ストッパ機構が、前記ロータの内側に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1乃至9の電動弁によれば、ストッパ機構において、ロータが停止位置に到るまでの間に、下端側回転ストッパの係合部が可動ストッパに係合して、可動ストッパを停止位置まで連れ回し、その間に可動ストッパはカム構造部により、軸線方向に上昇変位されるので、停止位置での係合部と可動ストッパとの当接面の軸線方向接触長さをねじピッチ以上に確保でき、当接面積を大きくできるため、ロータを所定の位置で確実に停止できるとともにモータの回転力に耐え得る堅牢なストッパ機構となる。
【0017】
請求項6の電動弁によれば、下端側回転ストッパの係合部の主係合面と可動ストッパの被係合面とが斜面をなし、該斜面が、前記下端側回転ストッパが弁閉方向に回転する際に、前記下端固定ストッパの螺旋状のガイド面と前記可動ストッパの螺旋状の摺動面とが相互に押し付ける方向に当接するので、ロータの回転に伴って可動ストッパの摺動面が下端固定ストッパのガイド面に圧接するように作用し、この摺動面とガイド面との接触抵抗によりロータの回転を減速させるため、停止時の衝撃や作動音の低減を図ることができる。
【0018】
請求項9の電動弁によれば、ストッパ機構がロータの内側に設けられているので、電動弁自体の軸線方向の長さを小型化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の電動弁及び冷凍サイクルシステムの実施形態を図面を参照して説明する。
図1は第1実施形態の電動弁の下端停止状態の縦断面図、
図2乃至
図3は
図1におけるA矢視一部破砕側面図である。
図2は第1実施形態の電動弁の自由状態を示す図、
図3は第1実施形態の電動弁のストッパ接触状態を示す図、
図4は第1実施形態の電動弁の下端停止状態を示す図である。また、
図5は第1実施形態の電動弁における可動ストッパの4面図、
図6は第1実施形態の電動弁における下端固定ストッパの4面図、
図7は第1実施形態の電動弁における下端側回転ストッパの4面図、
図8は第1実施形態の電動弁における可動ストッパ、下端固定ストッパ及び下端側回転ストッパの部分の分解斜視図である。なお、以下の説明における「上下」の概念は
図1の図面における上下に対応する。
【0021】
この電動弁100は、弁ハウジング10と、「モータ部」としてのステッピングモータ20と、「弁部材」としてのニードル弁30と、密閉ケース40と、ストッパ機構1と、支持部材5と、を備えている。
【0022】
弁ハウジング10はステンレス等で略円筒形状に形成されており、その内側に弁室10Rを有している。弁ハウジング10の外周片側には弁室10Rに導通される第1継手管101が接続されるとともに、下端から下方に延びる筒状部に第2継手管102が接続されている。また、第2継手管102の弁室10R側には弁座リング103が嵌合されている。弁座リング103の内側は弁ポート103aとなっており、第2継手管102は弁ポート103aを介して弁室10Rに導通される。なお、第1継手管101、第2継手管102及び弁座リング103は、弁ハウジング10に対してろう付け等により固着されている。
【0023】
ステッピングモータ20は、「作動部材」としてのロータ軸201と、密閉ケース40の内部に回転可能に配設された「ロータ」としてのマグネットロータ202と、密閉ケース40の外周においてマグネットロータ202に対して対向配置されたステータコイル203と、その他、図示しないヨークや外装部材等により構成されている。ロータ軸201はブッシュ202aを介してマグネットロータ202の中心に取り付けられ、このロータ軸201は弁ハウジング10側に延設されている。
【0024】
ニードル弁30は円筒状の弁ホルダ301の下端部に固着されており、この弁ホルダ301は、後述の支持部材5のガイド孔5b内に嵌合されて軸線L方向に摺動可能に配設されている。なお、弁ホルダ301内には、バネ受け302が軸線L方向に移動可能に設けられ、バネ受け302とニードル弁30との間に圧縮コイルバネ303が所定の荷重を与えられた状態で取り付けられている。
【0025】
支持部材5は合成樹脂等で形成されており、弁ハウジング10側の基部51と、基部51より僅かに径の小さな大径部52と、大径部52より径の小さな小径部53とを有している。そして、支持部材5は、基部51にインサート成形等により一体に設けられた固定金具54を介して弁ハウジング10の上端部に溶接により固定されている。支持部材5の小径部53から大径部52にかけてその中心には、軸線Lと同軸の「固定側ネジ部」としての雌ねじ部5aとそのねじ孔が形成されるとともに、基部51の中心には雌ねじ部5aのねじ孔よりも径の大きな円筒形状のガイド孔5bが形成されている。なお、密閉ケース40は、上端部が塞がれた略円筒形状に形成されており、支持部材5の固定金具54と共に弁ハウジング10の上部に溶接によって気密に固定されている。
【0026】
ロータ軸201の支持部材5側の外周には「可動側ねじ部」としての雄ねじ部201aが形成されており、この雄ねじ部201aが支持部材5の雌ねじ部5aに螺合されている。そして、支持部材5のガイド孔5b内で、弁ホルダ301の上端部がロータ軸201の下端部に係合され、弁ホルダ301及びニードル弁30はロータ軸201によって回転可能に吊り下げた状態で支持されている。
【0027】
以上の構成により、ステッピングモータ20の駆動により、マグネットロータ202及びロータ軸201が回転し、ロータ軸201の雄ねじ部201aと支持部材5の雌ねじ部5aとのねじ送り機構により、ロータ軸201が軸線L方向に移動する。そして、ニードル弁30が軸線L方向に移動して弁座リング103に対して近接又は離間する。これにより、弁ポート103aが開閉され、第1継手管101から第2継手管102へ、あるいは第2継手管102から第1継手管101へ流れる冷媒の流量が制御される。そして、マグネットロータ202の上下の回転位置は、後述のようにストッパ機構1により規制される。
【0028】
このように電動弁100は、雌ねじ部5aを有する支持部材5と、雌ねじ部5aに螺合する雄ねじ部201aを有するロータ軸201と、ロータ軸201に設けられ弁ポート103aの開度を調整するニードル弁30(弁部材)とを備え、ステッピングモータ20(モータ部)のマグネットロータ202(ロータ)の回転運動を支持部材5とロータ軸201とのねじ送り機構によりニードル弁30の直線運動に変換し、ニードル弁30を弁ポート103aに対して進退させる電動弁である。
【0029】
ストッパ機構1は、支持部材5の大径部52に軸線L回りに回転可能に設けられた可動ストッパ11と、支持部材5の小径部53に固定された下端固定ストッパ12と、マグネットロータ202の裏面で該マグネットロータ202とロータ軸201に固着された下端側回転ストッパ13と、支持部材5の大径部52の周囲に配設された圧縮ねじりコイルばね14と、支持部材5のガイド孔5b内で、ロータ軸201に固着された上端側回転ストッパ15と、ガイド孔5bの天井部に設けられた上端固定ストッパ16とを備えている。
【0030】
図5は可動ストッパ11の4面図、
図8は可動ストッパ11、下端固定ストッパ12及び下端側回転ストッパ13の部分の分解斜視図である。
図5及び
図8に示すように、可動ストッパ11は、支持部材5の大径部52を嵌め込む挿通孔11aと、この挿通孔11aの周囲の一部に軸線L方向に立設する縦壁部11bと、を有している。この縦壁部11bの端部には三角突起11cを有し、この三角突起11cの軸線Lと平行な端面は被係合面11dとなっている。また、縦壁部11bの被係合面11dの内側端部から屈曲した面は、軸線Lを中心とする螺旋状の摺動面11eとなっている。さらに、縦壁部11bの軸線L回りの両側の側面は、軸線Lと平行な第1ストッパ面11f及び第2ストッパ面11gとなっている。また、可動ストッパ11の側部一箇所には圧縮ねじりコイルばね14の端部を係止する係止溝11hが形成されている。なお、支持部材5の基部51の一部にも圧縮ねじりコイルばね14の端部を係止する係止溝51hが形成されている。以上の可動ストッパ11は、挿通孔11a内に支持部材5の大径部52を嵌め込むことにより、支持部材5に対して回転可能となっている。
【0031】
図6は下端固定ストッパ12の4面図である。
図6及び
図8に示すように、下端固定ストッパ12は、支持部材5の小径部53を嵌合する嵌合孔12aと、この嵌合孔12aの外側の一部に切り欠き部12bと、を有している。切り欠き部12bの両側の軸線Lと平行な対向面は第1ストッパ面12dと第2ストッパ面12gとなっている。また、第1ストッパ面12dの内側端部から屈曲した面は、軸線Lを中心とする螺旋状のガイド面12eとなっている。以上の下端固定ストッパ12は、嵌合孔12a内に支持部材5の小径部53を嵌合することにより、支持部材5に固着されている。
【0032】
図7は下端側回転ストッパ13の4面図である。
図7及び
図8に示すように、下端側回転ストッパ13は、ロータ軸201を嵌合する嵌合孔13aと、この嵌合孔13aより径が大きく支持部材5の小径部53を配置する凹部13bと、凹部13bの周囲の一部に軸線L方向に立設する係合部13cと、を有している。係合部13cの軸線Lと平行で軸線L回りの端部となる端面は主係合面13dとなっている。また、係合部13cの下部の先端面は、軸線L回りの周方向に雄ねじ又は雌ねじのリード角以上の角度で傾斜したテーパ面13e、および軸線Lに平行な面に対してテーパ面13eと略対称な角度のテーパ面13fとなっている。なお、テーパ面13eと13fの交差部はR形状とするのが良い。以上の下端側回転ストッパ13は、嵌合孔13a内にロータ軸201を嵌合することにより、マグネットロータ202の裏面に固着されている。
【0033】
圧縮ねじりコイルばね14は、その端部が可動ストッパ11の係止溝11hと支持部材5の係止溝51hとに係止されており、この圧縮ねじりコイルばね14は例えば
図2に示す太矢印のような付勢力を働かす。すなわち、圧縮ねじりコイルばね14は、支持部材5を基準にして、可動ストッパ11を上から見て左回り(弁開方向)に常時付勢している。また、圧縮ねじりコイルばね14は、支持部材5を基準にして、可動ストッパ11軸線L方向で下端固定ストッパ12側に常時付勢している。これにより、
図2の自由状態では、可動ストッパ11の被係合面11dが下端固定ストッパ12の第1ストッパ面12dに当接されるとともに、可動ストッパ11の摺動面11eが下端固定ストッパ12のガイド面12eに当接されている。
【0034】
ストッパ機構1は以下のように作用する。
図2の自由状態では、前記のように被係合面11dが第1ストッパ面12dに当接するとともに、摺動面11eがガイド面12eに当接した状態で、可動ストッパ11と下端固定ストッパ12が係合している。下端側回転ストッパ13及び係合部13cは軸線L回りに回動自在となる。
図2の状態から弁閉方向にマグネットロータ202が所定回数回転すると、
図3のストッパ接触状態となる。この
図3のストッパ接触状態では、下端側回転ストッパ13の係合部13c(テーパ面13e)が可動ストッパ11の三角突起11cを押下し、可動ストッパ11は軸線L方向に僅かに下降する。これにより係合部13cは三角突起11cを乗り越えてさらに回転する。そして、マグネットロータ202がこのストッパ接触状態からさらに弁閉方向に1回転すると、
図4の下端停止状態となる。
【0035】
この第1実施形態の電動弁は、
図1及び
図4に示す下端停止状態で、マグネットロータ202の下端位置が規制される。また、
図2に示す自由状態で、マグネットロータ202は自由回転できる。また、
図3に示すストッパ接触状態で、マグネットロータ202に設けた下端側回転ストッパ13が可動ストッパ11の三角突起11cと接触するが、マグネットロータ202は回転できる。
【0036】
図9−1及び
図9−2は可動ストッパ11と下端側回転ストッパ13の動作の詳細を示す図であり、
図9−1(A)は弁閉方向に回転するときのストッパ接触状態を示す図、
図9−1(B)は弁閉方向に回転するときの停止位置で停止するまでの状態を示す図、
図9−2は弁開方向に回転するときの状態を示す図である。なお、
図9−1及び
図9−2では要部の面だけに符号を付記してある。
【0037】
図9−1(A)では、マグネットロータの回転により、(a)から(b)、(c)の位置になり、係合部13cのテーパ面13eが可動ストッパ11の三角突起11cに当接し、可動ストッパ11を僅かに押し下げる。(d)、(e)のようにテーパ面13eが三角突起11cから離脱すると、可動ストッパ11は元の位置に復帰し、摺動面11eがガイド面12eに当接する。そして、可動ストッパ11は停止したまま、係合部13c(マグネットロータ202)は回転する。
【0038】
図9−1(B)の(f)は、
図9−1(A)の(a)の状態から1回転した状態であり、係合部13cはねじ送り機構の1ピッチ分だけ下がった位置にある。これにより(g)の状態では、係合部13cの主係合面13dが可動ストッパ11の被係合面11dに当接し、係合部13cと可動ストッパ11とが係合する。このまま係合部13c(マグネットロータ202)がさらに回転すると、(h)の状態のように、可動ストッパ11の摺動面11eが下端固定ストッパ12のガイド面12eに沿って摺動しながら、可動ストッパ11が係合部13cによって連れ回される。このとき摺動面11eとガイド面12eの螺旋形状により、可動ストッパ11は下端側回転ストッパ13に近づくように変位し、(i)のように可動ストッパ11の第2ストッパ面11gが下端固定ストッパ12の第2ストッパ面12gに当接し、可動ストッパ11の回転が規制される。
【0039】
図9−2の弁開方向の回転では、
図9−1(B)の(i)の下端停止位置から下端側回転ストッパ13の弁開方向の回転に伴い可動ストッパ11の被係合面11dが圧縮ねじりコイルばね14の回転方向の付勢力により下端固定ストッパ12の第1ストッパ面12dに当接するまで連れ回りするとともに、可動ストッパ11の摺動面11eが下端固定ストッパ12のガイド面12eに沿って摺動すことで、可動ストッパ11は下端停止位置(i)より下降した位置になる。さらに下端側回転ストッパが1回転すると(j)の状態のように、下端側回転ストッパはねじ送り機構の1ピッチ分だけ上昇し、係合部13cのテーパ面13fが可動ストッパ11の三角突起11cに当接し、(k)の状態のように可動ストッパ11を僅かに押し下げる。そして、係合部13cが三角突起11cから離脱すると、可動ストッパ11は元の位置に復帰する。
【0040】
以上のように、ストッパ機構1は、支持部材5に軸線L回りに回転可能に設けられた可動ストッパ11と、支持部材5と固定関係にあり可動ストッパ11の回転を所定の位置で規制する下端固定ストッパ12と、マグネットロータ202に設けられ、マグネットロータ202が停止位置に到るまでの間に可動ストッパ11に係合して、可動ストッパ11を所定の位置まで連れ回す下端側回転ストッパ13の係合部13cと、可動ストッパ11が係合部13cにより連れ回される間に可動ストッパ11を軸線L方向で下端側回転ストッパ13に近づくように変位させる摺動面11e及びガイド面12e(カム構造部)とで構成されている。
【0041】
そして、ストッパ機構1において、マグネットロータ202が停止位置に到るまでの間に、係合部13cが可動ストッパ11に係合して、可動ストッパ11を停止位置まで連れ回し、その間に可動ストッパ11は摺動面11e及びガイド面12eにより、軸線L方向で下端側回転ストッパ13に近づくように変位されるので、停止位置での可動ストッパ11の被係合面11dと係合部13cの主係合面13dとの接触面の軸方向接触長さ(高さ)がねじ送り機構の1ピッチ分以上に大きくなる。すなわち、当接面の軸線方向の接触長さをねじ送り機構の1ピッチ分以上に大きなものとでき、大きなストッパ接触面積を確保できるため、マグネットロータを所定の回転方向の位置で確実に停止できるとともにモータの回転力に耐え得る堅牢なストッパ機構1となる。また、この第1実施形態では、ストッパ機構1は、マグネットロータ202の内側に設けられているので、電動弁100自体の軸線L方向の長さを小型化することができる。
【0042】
図10は本発明の第2実施形態の電動弁の下端停止状態を示す一部破砕側面図である。以下の各実施形態において、ストッパ機構の部分の符号については、その数字の最上位桁が実施形態の番号であり、第1実施形態と同様な要素及び対応する要素には下位桁の数字を第1実施形態と同数字としている。また、第1実施形態と同じ要素には第1実施形態と同符号を付記し、第1実施形態と重複する説明は省略する。
【0043】
この第2実施形態におけるストッパ機構2は、可動ストッパ21、下端固定ストッパ22、下端側回転ストッパ23、圧縮ねじりコイルばね24を備えている。また、可動ストッパ21は、縦壁部21b、三角突起21c、被係合面21d、摺動面(カム構造部)21e、第1ストッパ面21f、第2ストッパ面21g、係止溝21h、を備えている。また、下端固定ストッパ22は、第1ストッパ面22d、第2ストッパ面22g、ガイド面22e(カム構造部)を備えている。さらに、下端側回転ストッパ23は、係合部23c、主係合面23d、テーパ面23e、及び軸線Lに平行な面に対してテーパ面23eと略対称な角度のテーパ面23fを備えている。これらの各部の作用効果は第1実施形態と同様である。
【0044】
この第2実施形態では、下端側回転ストッパ23の係合部23cが傾斜した主係合面23dを有するとともに、可動ストッパ21が主係合面23dに当接する傾斜した被係合面21dを有している。そして、主係合面23dと被係合面21dとが、下端側回転ストッパが弁閉方向に回転する際、前記下端固定ストッパ22の螺旋状のガイド面22eと前記可動ストッパ21の螺旋状の摺動面21eとが相互に押し付ける方向に当接するよう構成されている。これにより、マグネットロータ202の回転に伴って可動ストッパ21の摺動面21eが下端固定ストッパ22のガイド面22eに圧接するように作用し、この摺動面21eとガイド面22eとの接触抵抗によりマグネットロータ202の回転を減速させることができ、停止時の衝撃や作動音の低減を図ることができる。また、この第2実施形態では、ストッパ機構2は、マグネットロータ202の内側に設けられているので、電動弁100自体の軸線L方向の長さを小型化することができる。
【0045】
図11は本発明の第3実施形態の電動弁の下端停止状態を示す一部破砕側面図である。この第3実施形態におけるストッパ機構3は、可動ストッパ31、下端固定ストッパ32、下端側回転ストッパ33、圧縮ねじりコイルばね34を備えている。また、可動ストッパ31は、縦壁部31b、三角突起31c、被係合面31d、摺動面(カム構造部)31e、第1ストッパ面31f、第2ストッパ面31g、係止溝31h、を備えている。また、下端固定ストッパ32は、第1ストッパ面32d、第2ストッパ面32g、ガイド面32e(カム構造部)を備えている。さらに、下端側回転ストッパ33は、係合部33c、主係合面33d、テーパ面33e、及び軸線Lに平行な面に対してテーパ面33eと略対称な角度のテーパ面33fを備えている。これらの各部の作用効果は第1実施形態と同様である。なお、この第3実施形態は、ストッパ機構3をマグネットロータ202の下端部に設けたものである。
【0046】
図12は本発明の第4実施形態の電動弁の下端停止状態の縦断面図、
図13は第4実施形態の電動弁の下端停止状態を示す
図12のB矢視一部破砕側面図、
図14は第4実施形態の電動弁の上端停止状態を示す
図12のB矢視一部破砕側面図である。この第4実施形態におけるストッパ機構は、マグネットロータ202の下端位置を規制するストッパ機構4D(上側)と、第1実施形態の
図1の上端側回転ストッパ15と上端固定ストッパ16に代えて、ママグネットロータ202の上端位置を規制するストッパ機構4U(下側)とを備えている。なお、ストッパ機構4Uの詳細な符号は
図14に記載してある。このストッパ機構4D,4Uは、可動ストッパ41、下端固定ストッパ42、下端側回転ストッパ43、圧縮ねじりコイルばね44を備えている。また、可動ストッパ41は、縦壁部41b、三角突起41c、被係合面41d、摺動面(カム構造部)41e、第1ストッパ面41f、第2ストッパ面41g、係止溝41h、を備えている。また、下端固定ストッパ42は、第1ストッパ面42d、第2ストッパ面42g、ガイド面42e(カム構造部)を備えている。さらに、下端側回転ストッパ43は、係合部43c、主係合面43d、テーパ面43e、及び軸線Lに平行な面に対してテーパ面43eと略対称な角度のテーパ面43fを備えている。これらの各部の作用効果は第1実施形態と同様である。さらにストッパ機構4Uは、可動ストッパ41′、上端固定ストッパ42′、上端側回転ストッパ43′、圧縮ねじりコイルばね44を備えている。また、可動ストッパ41′は、縦壁部41′b、三角突起41′c、被係合面41′d、摺動面(カム構造部)41′e、第1ストッパ面41′f、第2ストッパ面41′g、係止溝41′h、を備えている。また、上端固定ストッパ42′は、第1ストッパ面42′d、第2ストッパ面42′g、ガイド面42′e(カム構造部)を備えている。さらに、上端側回転ストッパ43′は、係合部43′c、主係合面43′d、テーパ面43′e、及び軸線Lに平行な面に対してテーパ面43′eと略対称な角度のテーパ面43′fを備えている。このストッパ機構Uは、マグネットロータ202の上端位置を規制する際に、ストッパ機構4Dとは逆に、上端側回転ストッパ43′と可動ストッパ41′が係合して連れ回される間に可動ストッパ41′を軸線方向に変位させ、更に、回転方向に拘わらず、可動ストッパ41′を軸線方向に押し上げるような機構となっており、ロータ202の上端位置で停止する際に、上端側回転ストッパ43′の係合部43′cと可動ストッパ41′cとの当接面の軸線方向接触長さが固定側ねじ部又は可動側ねじ部のねじピッチ以上となる。この第4実施形態でも、ストッパ機構4D,4Uは、マグネットロータ202の内側に設けられているので、電動弁100自体の軸線L方向の長さを小型化することができる。
【0047】
以上、本発明の実施の形態について、雌ねじを有する支持部材とこの雌ねじに螺合する雄ねじを有する作動部材を備えた電動弁について図面を参照して詳述してきたが、支持部材に雄ねじが設けられ、作動部材に雌ねじが設けられた電動弁でもよく、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。