(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の構造および第2の構造を有する多自由度電磁機械を制御する方法であって、前記第1の構造が、スピン軸を中心に、かつ前記スピン軸に対して垂直である傾斜軸を中心に回転するように構成され、第1のスピン導体、第2のスピン導体および傾斜導体を有し、前記第1のスピン導体が第1の概略的な軌道に従い、前記第2のスピン導体が前記第1の概略的な軌道とは異なる第2の概略的な軌道に従い、前記傾斜導体が前記第1および第2の概略的な軌道とは異なる第3の概略的な軌道に従い、前記第1のスピン導体、前記第2のスピン導体および前記傾斜導体が共に、表面の概略的な形状を形成し、前記第2の構造が前記第1の構造に隣接して配置され、複数の磁石を有し、各磁石は、その磁極のうちの少なくとも一方の磁極が前記表面の方を向き、
前記第1および第2のスピン導体に交流電流(AC)を制御可能に供給するステップであって、それにより前記第1の構造が前記スピン軸を中心に継続的に回転する、ステップと、
前記傾斜導体に直流電流(DC)を制御可能に供給するステップであって、それにより前記第1の構造が前記傾斜軸を中心に傾斜位置まで回転する、ステップと
を含む、
方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]したがって、例えば、過度なサイズ、重量および複雑さなしで、CMGの機能を実行することができる多自由度の電気機械式の機械(multi−degree of freedom electromechanical machine)が求められる。本発明は、少なくともこれらの要求に対処するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]本概要は、「発明を実施するための形態」においてさらに説明される選択的な概念を単純な形で説明するために提供されるものである。本概要は、特許請求される主題の重要なまたは本質的な特徴を特定することは意図されず、また、特許請求される主題の範囲を決定するのを補助するものとして使用されることも意図されない。
【0006】
[0006]一実施形態では、多自由度電磁機械が、第1の構造と、第2の構造と、制御部とを有する。第1の構造が、スピン軸を中心に、かつスピン軸に対して垂直である傾斜軸を中心に回転するように構成される。第1の構造が、第1のスピン導体(spin conductor)と、第2のスピン導体と、傾斜導体とを備える。第1のスピン導体が第1の概略的な軌道に従い、第2のスピン導体が第1の概略的な軌道とは異なる第2の概略的な軌道に従い、傾斜導体が第1および第2の概略的な軌道とは異なる第3の概略的な軌道に従う。第1のスピン導体、第2のスピン導体および傾斜導体が共に、表面の概略的な形状を形成する。第2の構造が第1の構造に隣接して配置され、複数の磁石を有する。各磁石は、その磁極のうちの少なくとも一方の磁極が表面の方を向く。制御部が、第1のスピン導体、第2のスピン導体および傾斜導体に結合される。制御部が、第1および第2のスピン導体に交流電流(AC)を、かつ傾斜導体に直流電流(DC)を制御可能に供給するように構成され、ここでは、第1の構造が、第1および第2のスピン導体に供給されるACに応答してスピン軸を中心に継続的に回転し、傾斜導体に供給されるDCに応答して傾斜軸を中心に傾斜位置まで回転する。
【0007】
[0007]別の実施形態では、制御モーメントジャイロシステムが、球形構造と、第1のスピン導体と、第2のスピン導体と、傾斜導体と、第2の構造と、制御部とを有する。球形構造が、スピン軸を中心に、かつスピン軸に対して垂直である傾斜軸を中心に回転するように構成される。球形構造が、第1の対称軸と、第2の対称軸と、第3の対称軸とを有し、第1、第2および第3の対称軸が互いに直交して配置される。第1のスピン導体が第1の対称軸を中心に球形構造上に配置され、第2のスピン導体が、第2の対称軸を中心に球形構造上に配置され、傾斜導体が第3の対称軸を中心に球形構造上に配置される。第2の構造が球形構造に隣接して配置され、複数の磁石を有する。各磁石は、その磁極のうちの少なくとも一方の磁極が球形構造の方を向く。制御部が、第1のスピン導体、第2のスピン導体および傾斜導体に結合される。制御部が、第1および第2のスピン導体に交流電流(AC)を、かつ傾斜導体に直流電流(DC)を制御可能に供給するように構成され、ここでは、球形構造が、第1および第2のスピン導体に供給されるACに応答してスピン軸を中心に継続的に回転し、傾斜導体に供給されるDCに応答して傾斜軸を中心に傾斜位置まで回転する。
【0008】
[0008]別の実施形態では、第1の構造および第2の構造を有する多自由度電磁機械を制御する方法において、第1の構造が、スピン軸を中心に、かつスピン軸に対して垂直である傾斜軸を中心に回転するように構成され、第1の構造が、第1のスピン導体、第2のスピン導体および傾斜導体を有し、第1のスピン導体が第1の概略的な軌道に従い、第2のスピン導体が第1の概略的な軌道とは異なる第2の概略的な軌道に従い、傾斜導体が第1および第2の概略的な軌道とは異なる第3の概略的な軌道に従い、第1のスピン導体、第2のスピン導体および傾斜導体が共に、表面の概略的な形状を形成し、第2の構造が第1の構造に隣接して配置され、複数の磁石を有し、各磁石は、その磁極のうちの少なくとも一方の磁極が表面の方を向き、この方法が、第1および第2のスピン導体に交流電流(AC)を制御可能に供給するステップであって、それにより第1の構造がスピン軸を中心に継続的に回転する、ステップと、傾斜導体に直流電流(DC)を制御可能に供給するステップであって、それにより第1の構造が傾斜軸を中心に傾斜位置まで回転する、ステップとを含む。
【0009】
[0009]さらに、添付図面および前述の背景技術と併せて、後述の詳細な説明および添付の特許請求の範囲から、多自由度の電気機械式の機械の他の所望の特徴および特性が明らかとなる。
【0010】
[0010]同様の参照符号が同様の要素を示している以下の添付図と併せて以下で本発明を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0017]以下の詳細な説明は、本質的に単に例示的なものであり、本発明または本発明の適用および使用を限定することは意図されない。本明細書において使用されるとき、「例示的」という語は、「実例、事例、例示として働く」ということを意味する。したがって、「例示的」として本明細書に説明される任意の実施形態は、必ずしも、他の実施形態よりも好ましいまたは有利であると解釈されない。本明細書において説明されるすべての実施形態は、当業者が本発明を実行または使用することを可能にするために提供される例示的な実施形態であり、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものではない。さらに、前記の技術分野、背景技術、発明の概要、または下記の詳細な説明において提示される、明示的なまたは暗示的な理論のいずれによっても拘束されることを意図していない。
【0013】
[0018]これに関し、本明細書において開示される多自由度機械は、説明および例示を容易にするために、概してモータとして動作するものとして説明されることに留意されたい。しかし、開示される機械が、外力により第2の構造を移動させて導体内に電流を誘導することにより発電機としても動作し得るか、あるいは、センサ(例えば、生じる逆起電力からの速度センサ)または多くの他のデバイスとしても動作し得ることを当業者であれば理解するであろう。また、導体のうちのいくつかの導体が湾曲するものとして示しているが、これが単に三次元(3D)球形状を伝えるために行われていることに留意されたい。
【0014】
[0019]ここで
図1を参照すると、多自由度電磁機械100の一実施形態の単純化された断面図が示されており、第1の構造102および第2の構造104を含む。第1の構造102が、第1のスピン導体106と、第2のスピン導体108と、傾斜導体110とを有する。導体106、108、110の各々が、多数の種類および形状の電気伝導性材料のうちの任意の電気伝導性材料で形成され、これらの電気伝導性材料のうちの1つまたは複数の電気伝導性材料を使用して実装され得ることを理解されたい。加えて、導体106、108、110各々が、個別の連続的な単一導体を使用するかまたは複数の導体を使用して実装され得、例えば、付加的技術(additive technique)(例えば、印刷導体)または減法的技術(subtractive technique)(例えば、PWBエッチング)を使用して形成され得、いくつかの非限定的な例を挙げると、導電性ワイヤ、導電性リボンまたは導電性シートであってよいことを理解されたい。
【0015】
[0020]使用される材料の数、構成、実装形態または種類に関係なく、導体106、108、110は、各々が異なる概略的な軌道に従うことになるように、配置される。具体的には、第1のスピン導体106が第1の概略的な軌道に従い、第2のスピン導体108が第1の概略的な軌道とは異なる第2の概略的な軌道に従い、傾斜導体110が第1および第2の概略的な軌道とは異なる第3の概略的な軌道に従うことが分かる。
図1に示される実施形態では、これらの軌道が互いに直交する。しかし、
図2に示されるような実施形態などの、いくつかの実施形態では、これらの軌道のうちの2つの軌道または3つのすべての軌道が互いの角度を基準として等しいまたは等しくない任意の非直角の角度に配置されてもよいことを理解されたい。
【0016】
[0021]先に進む前に、本明細書で使用される「軌道」という用語が、ローレンツ力を生じさせることに寄与するように設計される、所定の長さにわたって導体がなぞることになる幾何学的経路を意味する、ことに留意されたい(後でさらに説明する)。例えば、いくつかの実施形態では、例えば電源まで軌道に従うことができるいくつかの導電性の長さ部分(conductive length)が存在してよい。しかし、これらの長さ部分はローレンツ力に寄与せず、高い可能性として、表面の概略的な形状にも寄与しない。加えて、導体106、108、110がワイヤを手動で巻回するものであっても、既知のプリント法を用いて可撓性の表面または球状の表面にプリントされてもよいことを留意されたい。さらに、各導体106、108、110は異なる特性を有してもよい。例えば、いくつかの特性の例を挙げると、導体106、108、110は、互いに、サイズ、巻き数および抵抗が異なってよく、また、固体部片として機械加工または形成され得る。このようにすることで、必要とされる場合または望まれる場合、各軸が異なる性能特性を有することになるようにするために、比較的容易に個別に各軸を調整することができる。
【0017】
[0022]説明に戻ると、第1、第2および第3の軌道は、導体106、108、110が共に表面の概略的な形状を形成するような、ものである。表面は単純に導体を重ね合わせる(および、例えば接着剤を介して、導体を固定する)ことによって形成され得るか、または、2つ以上の導体を編むことによって形成され得る。編む場合、全体の効率に対する起伏の影響に対する注意を考察する必要がある可能性がある。その理由は、導体上で生じるローレンツ力が磁界と電流経路との間の角度の関数であるからである。したがって、磁界および電流が互いに直交しない場合、力が低減される。
【0018】
[0023]表面の種類および形状は多様であってよく、閉曲面、開曲面、閉曲面および開曲面の組み合わせ、平坦表面、非平坦表面、または、平坦表面および非平坦表面の組み合わせであってよい。例えば、いくつかの例を挙げると、表面は、球形、半球形、トロイド、円筒形、立方体、平面、ハーフパイプ、または、それらの種々の組み合わせであってよい。
図1に示される実施形態では、また
図3でより明瞭に示されるように、表面が球形であり、したがって、直交して配置される3つの対称軸302を有し、これらは、第1の対称軸302−1、第2の対称軸302−2および第3の対称軸302−3である。この実施形態では、第1のスピン導体106が第1の対称軸302−1を中心に配置され、第2のスピン導体108が第2の対称軸302−2を中心に配置され、傾斜導体110が第3の対称軸302−3を中心に配置される。球体が無限の数の対称軸を有することに留意されたい。したがって、3つのすべての対称軸が互いに垂直である限りにおいて、第1の対称軸302−1、第2の対称軸302−2および第3の対称軸302−3はこれらの対称軸の任意の1つの対称軸であってよい。
【0019】
[0024]再び
図1を参照すると、いくつかの実施形態では、第1の構造102が導体106、108、110のみを備えることに留意されたい。しかし、別の実施形態では、第1の構造102が第1のボディ112をさらに備える。含まれる場合、第1のボディ112は、好適には、透磁性材料で形成され、外側表面114を有する。よく知られるように、このような材料は、磁気回路を通して磁束を効率的に伝導するために、および、磁束を所望のポイント/ロケーションまで誘導するために、使用される。多数の適切な材料が知られており、これには、例えば、磁性鋼、鉄、および、鉄合金(例えば、シリコン鉄、鉄−コバルト、バナジウム)が含まれる。第1のボディ112の外側表面114の少なくとも一部分が、好適には、表面の概略的な形状を有し、導体106、108、110が、少なくとも、第1のボディ112の外側の表面114の少なくともその部分に隣接するように配置される。
【0020】
[0025]第1の構造102が導体106、108、110のみを有する場合でもまたは
図1にさらに示されるように第1のボディ112および導体106、108、110を有する場合でも、第1の構造102が、スピン軸116を中心に回転するように、かつスピン軸118に対して垂直である傾斜軸118を中心に回転するように構成される。スピン軸116および傾斜軸118が互いに対して垂直である限りにおいて、傾斜軸118も同様であってよいが、スピン軸116が、第1の対称軸302−1、第2の対称軸302−2および第3の対称軸302−3のいずれか1つに一致してよい。これらの垂直軸116、118を中心とした回転を達成する手法を後でさらに説明する。しかし、先ず、第2の構造を説明する。
【0021】
[0026]第2の構造104が第1の構造102に隣接して配置され、少なくとも、複数の磁石122(例えば、第1の磁石122−1および第2の磁石122−2)を有する。第2の構造104が回転に逆らうように設置され、少なくとも、示される実施形態では、1つまたは複数の取り付け構造124(2つ示される)をさらに有する。含まれる場合、取り付け構造124が、好適には、例えば鉄または鉄合金などの、透磁性材料を含む。示される実施形態では、各磁石122が取り付け構造124の内側表面から内側に向かって延在し、その磁極のうちの少なくとも一方の磁極を第1の構造102の方に向けるように、配置される。
【0022】
[0027]磁石122が様々な形状および寸法を有し得、多様に配置され得ることを理解されたい。例えば、示される実施形態では、磁石122が全体として弧形状を有するが、他の実施形態では、磁石122は、半球形状、あるいは、必要とされるかまたは望まれる場合、他の多くの形状のうちの任意の1つ形状であり得る。加えて、磁石122の弧の長さが変更され得ることも理解されたい。また、第1の構造102の方を向く磁石122の部分は好適には効率のために第1の構造102と同様に外形を形成されるが、これらの部分はそのように外形を形成される必要はない。
図4に示される実施形態では、例えば、磁石122が、好適には(必ずというわけではない)少なくとも部分的に第1の構造102と同様に外形を形成されて第1の構造102に隣接して配置される透磁性の取り付け構造124上に配置または設置され得る。また、
図5および6に示されるように、磁石122が取り付け構造124の一部として一体形成され得るか(
図5)、または、別個に形成されるが取り付け構造の少なくとも一部分によって包囲され得る(
図6)。
図6に示される実施形態が、磁束を示される磁束通路となるように方向づけるための孔またはスロット(想像線で示される)を任意選択で有することができることに留意されたい。これらの孔またはスロットは任意選択でエポキシなどの適切な材料で充填され得る。
【0023】
[0028]
図1に示される実施形態などのいくつかの実施形態では、磁石122が、第1の構造102の方を向く磁極が所定の隙間だけそこから分離されるように、配置される。含まれる場合の隙間は、好適には、損失を最小にするのに十分な程度に小さく、それにより、磁気抵抗を低減することで磁気的効率が向上する。比較的大きい隙間の場合、機械公差を緩和することにより費用効率の高いデザインにすることが可能となる。他の実施形態では、磁石122が、磁極が第1の構造102に接触することになるように、配置され得る。このような実施形態では、接触表面の材料選択が、当技術分野で知られるように摩耗および摩擦損失を考慮して行われる。
【0024】
[0029]加えて、磁石122が多様に実装され得ることを理解されたい。例えば、磁石は永久磁石または電磁石として実装されてよい。永久磁石として実装される場合、各磁石122はハルバッハアレイとして実装され得る。適切な永久磁石の供給元のいくつかの非限定的な例には、Electron Energy Corporation(ペンシルベニア州、ランディズビル)、Arnold Magnetic Technologies(ニューヨーク州、ロチェスター)、Dexter Magnetic Technologies(イリノイ州、エルクグローヴヴィレッジ)、および、Dura Magnetics(オハイオ州、シルバニア)が含まれる。
【0025】
[0030]その形状、寸法、構成および実装形態に関係なく、各磁石122が磁界を発し、各々が、好適には、第1の構造102を基準とした第1の磁石122−1の極性を第2の磁石122−2の極性の反対にするように、配置される。例えば、
図1に示される実施形態では、第1の磁石122−1のN極(N)が第1の構造102のより近くに配置され、対して、第2の磁石122−2のS極(S)が第1の構造102のより近くに配置される。
【0026】
[0031]導体106、108、110および磁石122は、磁束が一方の側において一方の磁石(例えば、第1の磁石122−1)から第1の構造102内に進み、他方の側においてもう一方の磁石(例えば、第2の磁石122−2)へと戻ることになるように、構成される。磁束は導体106、108、110を通るように移動し、透磁性の取り付け構造124が磁束のための帰還路を提供する。理解され得るであろうが、導体106、108、110のうちの1つまたは複数に電流が供給されると、励磁された導体106、108、110と磁石122との間に上で言及したローレンツ力が生じ、このローレンツ力が対称軸302のうちの1つまたは複数の対称軸の周りにトルクを生じさせる。やはり理解され得るであろうが、生じるトルクの方向は、導体106、108、110内を流れる電流の方向に基づく。
【0027】
[0032]上で言及したように、第2の構造104が固定的に設置されることから、生じるトルクが第2の構造104を基準として第1の構造102を移動させることになる。第1の構造102の移動は、導体106、108、110内の電流の大きさおよび方向を制御することにより、制御され得る。例えば、第1の構造102は、スピン軸116を中心として継続的に回転するように、また同時に傾斜軸118を中心にある位置まで傾斜するように、作られ得る。この機能が
図7〜9に示されている。具体的には、
図7〜9の各々で、第1のスピン導体106および第2のスピン導体108は、スピン軸116を中心に第1の構造102を継続的に回転させるように励磁される。このために、第1のスピン導体106が第1の交流電流702を用いて励磁され、第2のスピン導体108が第2の交流電流704を用いて励磁され、ここでは、第1の交流電流702および第2の交流電流704は振幅が等しく、位相が90°ずらされる。スピン軸116を中心とした回転の速度および方向が、第1の交流電流702および第2の交流電流704の周波数を制御することにより制御され得ることを理解されたい。
【0028】
[0033]ここでは、
図7では、傾斜導体110は励磁されないかまたは非常に小さい直流電流によって励磁され、したがって、回転を引き起こすのに十分な大きさの力が生じない。その結果、第1の構造102が傾斜軸118を中心に回転しない。しかし、
図8では、傾斜導体110が、回転力を生じさせるのに十分な大きさの第1の方向の直流電流によって励磁される。その結果、第1の構造102がスピン軸116を中心に継続的に回転する間、第1の構造102がさらに傾斜軸118を中心に傾斜位置まで第1の方向に回転する。
図9では、傾斜導体110が、回転力を生じさせるのに十分な大きさの第2の方向の直流電流によって励磁される。その結果、第1の構造102がスピン軸116を中心に継続的に回転する間、第1の構造102がさらに傾斜軸118を中心に別の傾斜位置まで第2の方向に回転する。理解され得るように、第1の構造102の傾斜角度は、傾斜導体110内の直流電流の大きさおよび方向によって制御される。
【0029】
[0034]次に
図10を参照すると、
図1の多自由度の電気機械式の機械100を含む多自由度作動制御システム1000の機能ブロック図が示されている。
図10に示されるように、システム1000が、導体106、108、110の各々に結合される制御部1002を含む。制御部1002は、導体108の各々の電流の大きさおよび方向を制御し、それにより第1の構造102のスピンの速度および方向ならびに傾斜角度を制御するように、構成される。制御部1002は、この機能を、オープンループ制御またはクローズドループ制御のいずれかを使用して実行するように構成され得る。オープンループ制御は、比較的低い価格、より低い複雑性、比較的単純なDC操作、および比較的小さい大きさと重量とをもたらす。クローズドループ制御は、より高い正確性と精度、より高い帯域および自律的な制御をもたらす。様々な制御技術が制御部1002において実行され得る。適切な制御技術のいくつかの非限定的な例としては、PWM制御および逆EMF制御がある。
【0030】
[0035]制御部1002がクローズドループ制御を実行する場合、制御システム1000が、1つまたは複数の位置センサ1004をさらに有する。位置センサ1004の数および種類は多様であってよい。例えば、システム1000は、第1の構造102の位置を独立に感知するための1つまたは複数のセンサ1004を有することができる。このようなセンサは、光学センサ、トラックボールまたは回転センサなどを使用して実装され得る。他の実施形態では、センサ1004は、第1の構造102の表面に適用される光学マスクを使用して実装され得、光学マスクがさらに、第2の構造104の内側表面上に設置される光学センサによって読み取られ得る。
【0031】
[0036]データおよび電力が、多数の技術のうちの任意の技術を使用して、導体106、108、110および(含まれる場合の)位置センサ1004へ伝送され得、またそれらから伝送され得ることを理解されたい。例えば、データは、無線で、可撓性導体を介して、または小型集電環を介して伝送され得、電力は、可撓性導体を介してまたは小型集電環を介して伝送され得るか、あるいは、バッテリを介して供給され得る。特定の一実施形態では、導体106、108、110が集電環機構を介して制御部に接続される。
【0032】
[0037]本明細書で開示される多自由度機械100は、既知のデバイスよりも比較的小型化され、より扱いやすく、より効率的である。多自由度機械100は、巻回するのが困難な経度コイルを有さず、オープンループ位置制御を実行するために個別の中央寄せトルクに依存しない。多自由度機械100は、複数のアクチュエータコンポーネントの機能を実行するために様々なデバイスおよびシステム内で使用され得る。例えば、本明細書で説明されるように、人工衛星の姿勢制御のための制御モーメントジャイロ(CMG)として使用される場合、機械100は、2つのスピンモータおよび4つのトルクモータの機能を実現することができる。
【0033】
[0038]本明細書で開示される実施形態に関連して説明される様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路およびアルゴリズムステップが、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェアまたはその両方の組み合わせとして実装され得ることを当業者であれば理解するであろう。実施形態および実装形態のいくつかは、上記において、機能および/または論理ブロックコンポーネント(またはモジュール)ならびに様々な処理ステップという観点で説明されている。しかし、このようなブロックコンポーネント(またはモジュール)が、特定の機能を実行するように構成された任意の数のハードウェア、ソフトウェアおよび/またはファームウェアコンポーネントによって実現され得ることが理解されるべきである。このハードウェアとソフトウェアの交換可能性を明瞭に示すために、様々な例示的なコンポーネント、ブロック、モジュール、回路、およびステップを、上記において、概してそれらの機能に関して説明した。そのような機能がハードウェアまたはソフトウェアのどちらとして実施されるかは、全体的なシステムに課せられる特定の用途および設計制約に依存する。当業者であれば各特定の用途について様々な形で説明された機能を実施し得るが、そのような実施判断が、本発明の範囲からの逸脱を引き起こすと解釈されるべきではない。例えば、システムまたはコンポーネントの実施形態は、様々な集積回路コンポーネント、例えば、メモリ要素、デジタル信号処理要素、論理要素またはルックアップテーブルなどを採用することができ、これらは、1つまたは複数のマイクロプロセッサあるいは他の制御装置の制御下で様々な機能を実行し得る。さらに、本明細書で説明される実施形態が単に例示的な実装形態であることを当業者でれば理解するであろう。
【0034】
[0039]本明細書で示される実施形態に関連して説明される様々な例示的な論理ブロック、モジュールおよび回路は、汎用処理装置、デジタル信号処理装置(DSP:digital signal processor)、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)もしくは他のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲートもしくはトランジスタ論理、ディスクリートハードウェアコンポーネント、または本明細書において説明される機能を実行するように設計されるこれらの任意の組み合わせを用いて、実装または実行され得る。汎用処理装置はマイクロプロセッサであってよいが、別法として、当該処理装置は任意の従来の処理装置、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械であってもよい。処理装置はまた、コンピューティングデバイスの組み合わせとして、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携した1つまたは複数のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成として、実装されてもよい。
【0035】
[0040]本文献では、第1および第2などの関係語は、単に1つの実体または動作を別の実体または動作から区別するためだけに使用され得、必ずしも何らかの実際上のそうした関係性や順序をそのような実体または動作の間に必要とするものではなく、また暗示するものではない。「第1」、「第2」、「第3」などの数値的序数は、単に複数の中の異なる1つを意味するだけであり、請求項の文言によって特に定義されない限り、いかなる順序または順番も含意しない。請求項のいずれの請求項における文章の順番も、請求項の文言によって特に定義されない限り、そのような順番に従う時間的または論理的な順序で処理のステップが実施されなければならない、ということを含意しない。処理のステップは、請求項の文言と矛盾しない限り、また論理的に無意味でない限り、本発明の範囲から逸脱することなく任意の順序で交換され得る。
【0036】
[0041]さらに、文脈によっては、異なる要素の間の関係を説明する際に使用される「接続する」または「結合される」などの語は、これらの要素の間に直接的な物理的接続がなされなければならないことを含意しない。例えば、2つの要素は、1つまたは複数の追加的な要素を介して、互いに対して物理的に、電気的に、論理的に、または他の任意の形で接続されてよい。
【0037】
[0042]本発明の前述の詳細な説明で少なくとも1つの例示的な実施形態を提示したが、非常に多くの変形形態が存在することを理解すべきである。また、1つまたは複数の例示的な実施形態は単なる例であり、本発明の範囲、適用性または構成を限定することを意図されないことを理解すべきである。むしろ、前述の詳細な説明は、本発明の例示的な実施形態を実現するための便利な手引きを当業者に提供するものである。添付の特許請求に記載される本発明の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態において説明された要素の機能および構成において様々な変更がなされ得るということが理解されよう。