(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ガス圧によって缶体を着脱可能に保持する缶体保持部が複数、円環状に配列され、回転軸を中心に回転可能なターンテーブルと、前記回転軸を中心にして前記ターンテーブルと共に回転する円環状の摺動リング部材と、前記摺動リング部材の摺動面に対して摺動可能に接する接触面が形成された円環状の固定リング部材と、を有する缶成形装置であって、
前記固定リング部材は、円弧状を成す複数の分割体を円環状に配列したものからなり、
それぞれの前記分割体の前記接触面には、円弧状に延びる給気溝が形成され、
前記給気溝は、互いに隣接する前記分割体どうしの接続部分のうちの少なくとも1か所以上において、相互に連通するように形成され、
前記接触面を平面視した時に、前記給気溝は、前記接触面上の仮想円に沿って延びるC字状の第一給気溝と、前記第一給気溝の一端側と他端側との間で、前記第一給気溝よりも短くなるように、前記第一給気溝に対して独立して形成された、前記仮想円に沿って延びる第二給気溝とからなり、
前記第一給気溝にはガス供給手段から圧縮ガスが供給され、
前記摺動リング部材は、複数の摺動側配管を備え、それぞれの前記摺動側配管は、一端が前記缶体保持部から延びる給気管に接続され、他端が前記摺動面のうち前記給気溝に重なる位置に開口していることを特徴とする缶成形装置。
前記固定リング部材を構成するそれぞれの前記分割体は、固定側配管を備え、それぞれの前記固定側配管は、一端がガス供給手段に接続され、他端が前記給気溝の底面に開口していることを特徴とする請求項1記載の缶成形装置。
前記固定リング部材の前記接触面のうち、前記缶体保持部に前記缶体を挿入して保持させる位置、および前記缶体保持部から前記缶体を押出す位置にそれぞれ対応する領域においては、前記給気溝を連通させないことを特徴とする請求項1または2記載の缶成形装置。
互いに隣接する前記分割体どうしの前記接続部分において、前記分割体の前記接触面から厚み方向に凹んだ受け部に挿入され、一方の前記分割体の前記給気溝と、他方の前記分割体の前記給気溝とを、前記接続部分を跨いで相互に連通させる連通溝が形成された溝アダプタを備えたことを特徴とする請求項1ないし7いずれか一項記載の缶成形装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に示された容器ホルダーでは、缶体保持部が缶体を保持するためには、常にガス圧を加えておく必要がある。こうした容器ホルダーを例えば特許文献1のスライド空気弁機構に適用した場合、固定部材に設けられた長溝が間欠的に形成されているために、ターンテーブルの回転によって、特定のガス供給管の一端が長溝が形成されていない部分を通過する際に、そのガス供給管が接続された缶体保持部にガス圧が加わらなくなる。このため、缶体保持部に対向して配された加工金型に缶体が押し付けられた状態から缶体を抜き取る際に、缶体が缶体保持部から抜け出て加工金型側に嵌った状態になるなどの不具合が生じる虞があった。
【0008】
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、回転するターンテーブルに複数形成された缶体保持部が、缶体を着脱する位置以外の全域に渡って、安定して缶体を保持することが可能な缶成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の缶成形装置は、ガス圧によって缶体を着脱可能に保持する缶体保持部が複数、円環状に配列され、回転軸を中心に回転可能なターンテーブルと、前記回転軸を中心にして前記ターンテーブルと共に回転する円環状の摺動リング部材と、前記摺動リング部材の摺動面に対して摺動可能に接する接触面が形成された円環状の固定リング部材と、を有する缶成形装置であって、前記固定リング部材は、円弧状を成す複数の分割体を円環状に配列したものからなり、それぞれの前記分割体の前記接触面には、円弧状に延びる給気溝が形成され、前記給気溝は、互いに隣接する前記分割体どうしの接続部分のうちの少なくとも1か所以上において、相互に連通するように形成され、
前記接触面を平面視した時に、前記給気溝は、前記接触面上の仮想円に沿って延びるC字状の第一給気溝と、前記第一給気溝の一端側と他端側との間で、前記第一給気溝よりも短くなるように、前記第一給気溝に対して独立して形成された、前記仮想円に沿って延びる第二給気溝とからなり、前記第一給気溝にはガス供給手段から圧縮ガスが供給され、前記摺動リング部材は、複数の摺動側配管を備え、それぞれの前記摺動側配管は、一端が前記缶体保持部から延びる給気管に接続され、他端が前記摺動面のうち前記給気溝に重なる位置に開口していることを特徴とする。
【0010】
缶体保持部は、ターンテーブルの間欠運動に起因する振動等による缶体のズレ、脱落、トリマーやネジ形成ツール等の回転成形に起因する缶体の回転方向に沿ったズレ、ダイス成形金型による軸線方向に沿った缶体のズレ等を防止するために、特に缶形成位置では常にガス圧を加え続ける必要がある。本実施形態の缶成形装置では、固定リング部材のメンテナンス性を高めるため、あるいは、成形上の理由から、この固定リング部材を複数の分割体から構成した場合であっても、互いに隣接する分割体の接続部分において、給気溝が途切れることなく相互に連通するように形成することによって、ターンテーブルが回動しても途切れることなくガス圧を缶体保持部に対して加え続けることが可能になる。
これによって、缶体保持部に保持された缶体は、振動によって軸線方向や回転方向に変位したり脱落することなく、安定して缶体保持部に保持され、高精度に金型成形を行うことが可能になる。
【0011】
また、本発明は、前記固定リング部材を構成するそれぞれの前記分割体は、固定側配管を備え、それぞれの前記固定側配管は、一端がガス供給手段に接続され、他端が前記給気溝の底面に開口していることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記固定リング部材の前記接触面のうち、前記缶体保持部に前記缶体を挿入して保持させる位置、および前記缶体保持部から前記缶体を押出す位置にそれぞれ対応する領域においては、前記給気溝を連通させないことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記缶体保持部は、ガスの出し入れによって伸縮する伸縮部材によって、前記缶体の底部側を保持することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記固定リング部材は、複数の前記分割体を円環状に固定する円環状の支持部材によって支持されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、互いに隣接する前記缶体保持部の前記給気管どうしが、結束部材によって束ねられていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、前記缶体を介して前記缶体保持部に対向するように、前記缶体の開口端側の成形を行う成形具が配置されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、互いに隣接する前記分割体どうしの前記接続部分において、前記分割体の前記接触面から厚み方向に凹んだ受け部に挿入され、一方の前記分割体の前記給気溝と、他方の前記分割体の前記給気溝とを、前記接続部分を跨いで相互に連通させる連通溝が形成された溝アダプタを備えたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、互いに隣接する前記分割体どうしの前記接続部分において、それぞれの前記分割体が幅方向や厚み方向沿って屈曲した形状にされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、回転するターンテーブルに複数形成された缶体保持部が、缶体を着脱する位置以外の全域に渡って、安定して缶体を保持することが可能な缶成形装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態の缶成形装置について説明する。なお、以下に示す各実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0023】
まず最初に、缶体の一例であるボトル缶の製造工程の一連の流れを説明する。
図1は、ボトル缶の製造工程の一例を段階的に示したフローチャートである。
図2は、各工程における缶体形状の変化を示す模式図である。
ボトル缶は、板材打ち抜き工程S1、カッピング工程(絞り工程)S2、DI工程(絞りしごき工程)S3、トリミング工程S4、印刷・塗装(缶外面)工程S5、塗装(缶内面)工程S6、ネッキング工程S7、ネジ成形工程S8をこの順に経て、製缶される。
【0024】
板材打ち抜き工程S1では、例えば、アルミニウム合金材料からなる圧延材を打ち抜いて、
図2(a)に示されるような、円板状の板材(ブランク)Wを成形する(打ち抜き加工する)。カッピング工程(絞り工程)S2では、
図2(b)に示されるように、板材Wをカッピングプレスによって絞り加工(カッピング加工)して、カップ状体(缶基材)W1に成形する。DI工程(絞りしごき工程)S3では、DI加工装置によって、
図2(c)に示されるように、カップ状体W1にDI加工(再絞りしごき加工)を施して、缶胴11と缶底14とが一体の有底筒状の缶体W2を成形する。
【0025】
トリミング工程S4では、缶体W2の開口端部11aの高さが不均一であるため、トリミング装置を用いて開口端部11aのトリミング加工を行ない、
図4(d)に示すような、缶胴11の開口端部11aの高さが全周にわたって均等に揃えられた、トリミング加工後の缶体W3を成形する。
【0026】
この後、缶体W3を洗浄して潤滑油等を除去した後に、表面処理を施して乾燥し、次いで、
図2(e)に示すように、缶体W3の外面側11bの印刷および塗装を行い(印刷・塗装(缶外面)工程S5)、その後、缶体W3の内面側11cの塗装を行う(塗装(缶内面)工程S6)。
【0027】
次に、ネッキング用金型(成形具)を用いて、缶胴11の開口端部11a側に、滑らかに傾斜するようにくびれた形状をなすネック部12を成形する(ネッキング工程S7)。更に、ネック部12の開口端部に、ネジツール(成形具)を用いて、キャップの形状に合わせたネジ溝13(
図2(g)を参照)がネック部12に形成される(ネジ成形工程S8)。本実施形態である缶成形装置は、こうしたネッキング工程S7やネジ成形工程S8で用いられるネッキング加工装置である。このようにして、缶胴11の開口端部11a側に、くびれたネック部12を有する缶体(ボトル缶)10が製造される(
図2(f)を参照)。
【0028】
以上のような各工程を経て得られた缶体(ボトル缶)10は、その後、内部に飲料等の内容物が充填され、更にネジ溝13と嵌合してネック部12の開口を覆うキャップが取り付けられ、缶体10の内部が密封される。
【0029】
図3は、本発明の一実施形態である缶成形装置(ネッキング加工装置)を示す外観斜視図である。また、
図4は、缶体保持部とその周縁部分を示す外観斜視図である。更に、
図5は、ターンテーブルの一部を示す要部拡大斜視図である。また、
図6は、ターンテーブルと本体部との取付部分を示す要部拡大斜視図である。また、
図7は、ターンテーブルの一部を示す要部拡大斜視図である。
缶成形装置(ネッキング加工装置)20は、前述したネッキング工程S7やネジ成形工程S8に用いる缶成形装置であり、回動機構(図示略)や往復動機構(図示略)を備えた本体部21と、この本体部21のメインシャフト(回転軸)28に軸着されたターンテーブル23と、このターンテーブル23に対向するように配されたダイテーブル24とを備えている。また、ターンテーブル23の中心方向の近傍には、摺動リング部材25および固定リング部材26(
図5参照)が形成されている。
【0030】
ターンテーブル23は、例えばリング状の平板を備えたテーブル本体23Aの一面側23a(
図5参照)に複数の缶体保持部31が円環状に配列されたものからなる。このターンテーブル23は、本体部21を構成するフレームに形成されたインデックス27に支持され(
図6を参照)、メインシャフト(回転軸)28を中心にして間欠的に回動する。なお、メインシャフト28は本体部21に形成されたモータなどから構成される回動機構(図示略)によって回動される。
【0031】
缶体保持部31は、缶体10の下部を受け止める凹部32と、この凹部32の内周面に形成された保持機構33と、シリンダ39内を直線状に移動可能に形成された押出しピストン34とを備えている。保持機構33は、例えば、給気管35から圧縮空気を送り込むなどによってガス圧が加えられると、凹部32の内周面からゴムなどの伸縮部材36が凹部32の内形を狭めるように膨出する。
【0032】
これにより、凹部32に挿入された缶体10の底部が伸縮部材36によって挟持され、缶体10が缶体保持部31に安定して保持される。缶体保持部31が缶体10を安定して保持し続けるためには、給気管35から伸縮部材36に対して常に一定のガス圧を加えておく必要がある。
【0033】
押出しピストン34は、缶体10の挿脱方向であるX軸に沿って移動可能に形成され、伸縮部材36に加わるガス圧を低下させた後に、シリンダ39の後端側の開口39aから圧縮空気を送り込んで押出しピストン34を凹部32内に突出させることによって、缶体10が缶体保持部31から排出される。なお、シリンダ39には、押出しピストン34の移動によりシリンダ39内で圧縮された空気を開放するために、調圧穴(ガス抜き穴)58が形成されている。調圧穴58は、例えば、シリンダ39の内部と外部とを連通させる貫通穴であればよい。
【0034】
再び
図3を参照して、ダイテーブル24には、例えばリング状の平板を備えたテーブル本体24Aのうち、ターンテーブル23に対向する一面側24aに、複数の成形具、例えば、成型金型(成形具)41,41…が円環状に配列されている。また、成形具として、缶体W3のネック部12にネジ溝13(
図2(g)を参照)を形成するためのネジツール61なども配置されている。
【0035】
このダイテーブル24は、例えば、メインシャフト28の中心を貫通し、クランク−ピストン機構などの往復動機構(図示略)によって、X軸に沿って往復動するクランク軸(図示略)の一端に取り付けられる。これにより、ダイテーブル24は、成形金型の成形方向であるX軸に沿って移動可能に配置されている。即ち、ダイテーブル24は、ターンテーブル23との間の間隔を狭めたり広げたりするように往復動する。なお、ダイテーブル24は、回転することなくX軸に沿って往復動だけ行う。
【0036】
成型金型(成形具)41は、ターンテーブル23において缶体保持部31にネック部が未成型の缶体W3(
図2(e)を参照)を押し込む缶体挿入位置に対向する位置から、ターンテーブル23の回転方向に沿って、徐々にネック部12が形成されるように、段階的に成形形状を変化させた複数の成型金型41,41…から構成されている。
【0037】
図6に示すように、ターンテーブル23のメインシャフト28寄りには、摺動リング部材25、固定リング部材26、エアチャンバーリング(テンションリング)53が形成されている。また、本体部21には、インデックス27、エアチャンバーリングブラケット54、インデックス取付用フランジ55が形成されている。ターンテーブル23は、インデックス27によって支持され、間欠的に回動される。
【0038】
エアチャンバーリングブラケット54およびインデックス取付用フランジ55の内部には圧力配管52が形成され、後述する固定側配管48に接続される。圧力配管52のインデックス取付用フランジ55側の端部は、圧縮空気の供給源、例えばコンプレッサ(図示略)に接続されている。こうした構成によって、圧縮空気は本体部21からエアチャンバーリングブラケット54を介してターンテーブル23の前面側に回り込み、エアチャンバーリング(テンションリング)53側から固定リング部材26に供給される。
【0039】
図7に示すように、エアチャンバーリング(テンションリング)53は、エアチャンバーリングブラケット54に取り付けられ、固定リング部材26に対して所定の間隔を保って形成されている。固定リング部材26は、エアチャンバーリング53に対して、バネ押え部材56によって支持された押しバネ57を介して支持され、この押しバネ57によって摺動リング部材25に押し付けられている。固定リング部材26の摺動リング部材25に対する押圧力(押し付け圧力)は、バネ押え部材56の位置調節によって任意に可変させることができる。
【0040】
図8は、
図5の一部を拡大した要部拡大斜視図である。また、
図9は、摺動リング部材および固定リング部材の接触部分を含む模式断面図である。
摺動リング部材25は、断面矩形の円環状部材からなり、ターンテーブル23と同軸でターンテーブル23とともに回転する。そして、摺動リング部材25は、その摺動面25aで固定リング部材26の接触面26aに摺動可能に密着する(
図9を参照)。
【0041】
ガス供給手段から供給される圧縮空気は、圧力配管52から固定リング部材26の固定側配管48を介して、給気溝45に供給される。そして、一端がこの給気溝45に臨む固定リング部材26の摺動側配管43から、給気管35を介して缶体保持部31の保持機構33を構成する伸縮部材36(
図4参照)に供給される。
【0042】
図10に示すように、摺動リング部材25の内部には、複数の摺動側配管43が形成されている。本実施形態では、缶体保持部31,31…の配置数に対応する個数の摺動側配管43が摺動リング部材25の周回方向に沿って等間隔で形成されている。それぞれの摺動側配管43は、摺動リング部材25の内部でL字型に屈折した形状を成している。そして、個々の摺動側配管43は、その一端側が缶体保持部31,31…からそれぞれ延びる給気管35に接続されている。また、摺動側配管43の一端側が、摺動面25aにおいて、固定リング部材26に形成される給気溝45に重なる位置に開口している。
【0043】
なお、缶体保持部31と摺動側配管43の一端側とを接続する給気管35は、互いに隣接する缶体保持部31の給気管35どうしが、2本1組となるように、結束部材49によって束ねられている。
【0044】
固定リング部材26は、回転することなく定位置で固定され、ターンテーブル23とともに回動する摺動リング部材25に対して、接触面26aで摺動リング部材25の摺動を許容するように、かつ、気密性が保たれるように接している。
【0045】
固定リング部材26は、全体が断面矩形の円環状部材を成し、それぞれが円弧状を成す複数の分割体46,46…から構成されている。本実施形態では、8つの分割体46A,46B,46C,46D,46E,46F,46G,46H(
図12を参照)を組み合わせることによって、円環状の固定リング部材26を形成している。固定リング部材26は、ターンテーブル23の回動時には常に摺動リング部材25と擦れあうように接しているので、摩耗による交換等のメンテナンス性を高めるために、固定リング部材26を複数の分割体46,46…から構成している。
【0046】
また、
図11に示すように、これら複数の分割体46,46…からなる固定リング部材26は、接触面26aの反対側の裏面で支持部材(エアチャンバー台金)47によって支持されている。即ち、分割体46A〜46Hは、それぞれ支持部材47にネジ止めされることによって、円環状になるように固定され、固定リング部材26を形成している。支持部材(エアチャンバー台金)47は、例えば、半円環状の部材を2つ組み合わせて円環状にしたものであり、エアチャンバーリング53(
図7を参照)に所定の間隔を開けて支持されている。固定リング部材26は、耐摩耗性や耐久性に優れたエンジニアリングプラスチック、例えばポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、フッ素樹脂などから構成される。
【0047】
固定リング部材26には、接触面26aから厚み方向に掘り下げられた断面凹状の長溝からなる給気溝45が形成されている(
図9を参照)。即ち、分割体46A〜46Hのそれぞれの接触面26aに、円弧状に延びる給気溝45が形成されている。
【0048】
図12に示すように、この給気溝45は、接触面26aの幅方向の中央付近に設定した仮想円Rに沿って延びるC字状の第一給気溝45Aと、第一給気溝45Aの一端側と他端側との間で第一給気溝45Aの長手方向(仮想円R方向)に沿った長さが短くなるように、第一給気溝Aに対して独立して形成された、仮想円Rに沿って延びる第二給気溝45Bとからなる。即ち、給気溝45は、接触面26aにおいて、互いに連通しない第一給気溝Aと第二給気溝45Bとからなる。
【0049】
図13は、本体部側から見た時の固定リング部材と缶体保持部との配置を示す平面図である。
図13に示すように、ターンテーブル23に複数、円環状に配列された缶体保持部31,31…のうち、その外周に配されたスターホイール51Aに隣接する位置に達した缶体保持部31には、前工程から送られた缶体W3が押し込まれる(缶体挿入位置P1)。また、スターホイール51Bに隣接する位置に達した缶体保持部31からは、保持している、ネック部12が形成された缶体10が押し出される(缶体排出位置P2)。
固定リング部材26の接触面26aの仮想円R上において、第二給気溝45Bは、少なくとも前述した缶体挿入位置P1、缶体排出位置P2にそれぞれ対応する位置に形成されている。
【0050】
一方、給気溝45は、互いに隣接する分割体46,46の接続部分のうち、分割体46Aと分割体46Hとの接続部分を除いた全ての接続部分において、給気溝45が途切れることなく相互に連通するように形成されている。これによって、第一給気溝45Aは、形成されている部材が分割体46A〜46Hに分かれていても、一続きの長溝として形成される。
【0051】
固定リング部材26を構成する複数の分割体46,46…のそれぞれには、固定側配管48が形成されている(
図9を参照)。この固定側配管48は、分割体46および支持部材47を貫通するように形成さている。固定側配管48は、一端48a側が、コンプレッサなどのガス供給手段から延びる圧力配管52(
図6を参照)に接続されている。
【0052】
また、固定側配管48の他端48b側は、断面凹状の給気溝45の底面45aで開口している。こうした固定側配管48は、それぞれの分割体46における円弧状の給気溝45の円周方向に沿った中央付近に配置されればよい。こうした固定側配管48を介して、第一給気溝45Aにコンプレッサなどのガス供給手段から圧縮空気(ガス)が供給される。一方、第二給気溝45Bは、外気と連通した大気解放状態にされている。なお、第二給気溝45Bに連通する固定側配管48を吸気手段に連通させる構成にすることもできる。
【0053】
以上のような構成の本実施形態の缶成形装置20の作用を説明する。缶成形装置20によって、例えば、前工程で成型した缶体W3(
図2(e)を参照)に対して絞り加工を行い、ネック部12を備えたボトル缶を製造する際には、
図13に示す缶体挿入位置P1にある缶体保持部31の凹部32(
図4を参照)に、缶体W3の底部を挿入する。
【0054】
この缶体挿入位置P1に位置する缶体保持部31は、給気管35に接続される摺動側配管43の他端側の開口が、固定リング部材26に形成された第二給気溝45Bに重なる位置にある。第二給気溝45Bは大気解放されているので、ガス圧が加わらず、保持機構33を構成する伸縮部材36は凹部32の内周面から膨出しない状態にされる。よって、缶体挿入位置P1では、缶体W3は缶体保持部31の凹部32に差し込まれただけの状態である。なお、第二給気溝45Bを固定側配管48を介して吸気手段に連通させる構成にすれば、より一層確実に保持機構33を構成する伸縮部材36が凹部32の内周面から膨出しない状態にすることができる。
【0055】
次に、ターンテーブル23が例えば
図13の時計回り方向に回動すると、直前に缶体W3が挿入された缶体保持部31に繋がる摺動側配管43の他端側の開口が、固定リング部材26の第一給気溝45Aと重なる位置に移動する。これによって、ガス供給手段から供給される圧縮空気は、圧力配管52−固定側配管48−給気溝45(第一給気溝45A)−摺動側配管43−給気管35といった経路で缶体保持部31の保持機構33に供給される。そして、伸縮部材36がガス圧によって凹部32の内周面から膨出し、缶体W3の底部を安定して保持(グリップ)する。
【0056】
こうして、缶体挿入位置P1で缶体保持部31に挿入された缶体W3は、固定リング部材26の給気溝45と摺動リング部材25の摺動側配管43との連通によって、缶体保持部31の保持機構33に保持される。缶体保持部31の保持機構33に保持された缶体W3は、ターンテーブル23の間欠的な回転と、ダイテーブル24のX軸に沿った移動によって、徐々にネック部12が形成されるように、段階的に成形形状を変化させた複数の成型金型(成形具)41,41…に開口端部11a側が押し付けられ、絞り加工される。また、ネジツール(成形具)61によって、ネック部12が形成された缶体W3の先端側にネジ溝13(
図2(g)を参照)が形成される。
これによって、ターンテーブル23が
図13の時計回り方向に沿って1回転する間に、缶体W3にネック部12が形成され、更にネジ溝13が形成された缶体10が得られる。
【0057】
そして、ターンテーブル23の回動によって缶体排出位置P2に達した缶体保持部31は、押出しピストン34の凹部32内への突出によって、缶体(ボトル缶)10が缶体保持部31から押し出されて排出される。こうした缶体排出位置P2においては、給気管35に接続される摺動側配管43の他端側の開口が、固定リング部材26に形成された第二給気溝45Bに重なる位置にある。第二給気溝45Bは大気解放されているので、ガス圧が加わらず、保持機構33を構成する伸縮部材36は凹部32の内周面から膨出しない状態にされる。よって、缶体10は、伸縮部材36によって保持されない状態となるので、押出しピストン34の突出によって容易に缶体保持部31から排出される。
【0058】
このような一連の成形過程において、缶体挿入位置P1と缶体排出位置P2との間に位置する缶体保持部31,31…は、成型金型(成形具)41,41…から缶体W3を抜き取る際の軸線方向に加わる応力や、ネジツール(成形具)61によって回転方向に加わる応力によっても、保持している缶体W3が缶体保持部31,31…から抜け出たり、缶体W3が回転してしまうことが無いように、常に保持機構33の伸縮部材36にガス圧を加え続ける必要がある。
【0059】
本実施形態の缶成形装置20では、固定リング部材26のメンテナンス性を高めるために複数の分割体46A〜46Hから構成しても、互いに隣接する分割体46,46の接続部分のうち、分割体46Aと分割体46Hとの接続部分を除いた全ての接続部分において、給気溝45が途切れることなく相互に連通するように形成することによって、缶体挿入位置P1と缶体排出位置P2との間に位置する全ての缶体保持部31,31…の伸縮部材36に対して、ターンテーブル23が回動しても途切れることなくガス圧を加え続けることが可能になる。
【0060】
これによって、缶体挿入位置P1と缶体排出位置P2との間に位置するネッキング工程を行っている缶体W3は、成型金型(成形具)41,41…から缶体W3を抜き取る際の軸線方向に加わる応力や、ネジツール(成形具)61によって回転方向に加わる応力によっても、保持している缶体W3が缶体保持部31,31…から抜け出たり、缶体W3が回転してしまうことがなく、安定して缶体保持部31に缶体W3が保持され、高精度にネック部12の形成やネジ溝13の形成を行うことができる。
【0061】
図14(a)は、缶成形装置を構成する固定リング部材の別な実施形態を示す斜視図であり、また、
図14(b)は
図14(a)の断面図である。
この実施形態では、固定リング部材71には、摺動リング部材に接する分割体46の接触面71aから厚み方向に掘り下げられた断面凹状の長溝からなる給気溝72が形成されている。そして、固定リング部材71を構成する、互いに隣接する分割体46,46の接続部分には、接触面71aから厚み方向に凹んだ受け部73が形成されている。そして、この受け部73に、連通溝75が形成されたアダプタ76が挿入される。これにより、アダプタ76に形成された連通溝75は、互いに隣接する一方の分割体46と他方の分割体46との接続境界を跨ぐように配され、連通溝75の一端は一方の分割体46の給気溝72に、また、連通溝75の他端は他方の分割体46の給気溝72に、それぞれ接続される。
【0062】
連通溝75の形状は、給気溝72と同様の形状にされればよい。また、アダプタ76は、接触面71aの反対面に形成される支持部材(エアチャンバー台金)77にネジなどで係止されればよい。
【0063】
このようなアダプタ76を形成することによって、固定リング部材71を構成する複数の分割体46,46どうしの接続部分の境界から圧縮空気が漏洩することをより確実に防止できる。即ち、分割体46,46どうしの接続部分を切れ目なく跨ぐ連通溝75によって、一方の分割体46の給気溝72と他方の分割体46の給気溝72とが接続されるので、分割体46,46どうしの接続部分の切れ目から圧縮空気が漏れることを防止できる。
【0064】
図15は、缶成形装置を構成する固定リング部材の別な実施形態における、分割体どうしの接続部分を示す要部拡大断面図、要部拡大平面図である。
図15(a)に示す固定リング部材81は、摺動リング部材に接する分割体82,82どうしの接続部分において、それぞれの分割体82,82の接続端部が厚み方向沿って屈曲した形状にされている。即ち、一方の分割体82は、厚み方向に沿った上部が所定の長さ分だけ切り欠かれ、他方の分割体82は、厚み方向に沿った下部が所定の長さ分だけ切り欠かれている。そして、これら一方と他方の分割体82,82どうしが鍵状に係合している。
【0065】
固定リング部材81の分割体82,82どうしの接続部分をこのような形状にすることによって、例えば、連通溝83に高い圧力の圧縮空気が供給されても、分割体82,82どうしの接続部分の境界から圧縮空気が漏洩することをより確実に防止することが可能になる。
【0066】
図15(b)に示す固定リング部材91は、摺動リング部材に接する分割体92,92どうしの接続部分において、それぞれの分割体92,92の接続端部が幅方向に沿って屈曲(屈折)した形状にされている。即ち、一方の分割体92は、幅方向に沿った中心部が突出する凸部94aが形成され、他方の分割体92は、一方の分割体92の凸部94aを受け入れる凹部94bが形成されている。
【0067】
固定リング部材91の分割体92,92どうしの接続部分に、互いに係合する凸部94a、および凹部94bを形成することによって、例えば、連通溝93に高い圧力の圧縮空気が供給されても、分割体92,92どうしの接続部分の境界から圧縮空気が漏洩することをより確実に防止することが可能になる。
【0068】
図15(c)に示す固定リング部材95は、摺動リング部材に接する分割体96,96どうしの接続部分において、それぞれの分割体96,96の接続端部が幅方向に沿って屈曲した形状にされている。即ち、一方の分割体96は、幅方向に沿った中央部が半円形に突出した凸部98aが形成され、他方の分割体96は、一方の分割体96の半円形の凸部98aを受け入れる半円形の凹部98bが形成されている。
【0069】
固定リング部材95の分割体96,96どうしの接続部分に、互いに係合する半円形の凸部98a、および凹部98bを形成することによって、例えば、連通溝97に高い圧力の圧縮空気が供給されても、分割体96,96どうしの接続部分の境界から圧縮空気が漏洩することをより確実に防止することが可能になる。
【0070】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0071】
例えば、上述した実施形態では、ダイテーブル24に配列された複数の成形具として成型金型41およびネジツール61を挙げたが、ダイテーブルに取り付けられる成形具はこれらに限定されるものでは無く、缶体に任意の形状を付与する成形具を用いることができ、成形具の種類を限定するものではない。