(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
例えば、都道府県・市町村デジタル移動通信システム(ARIB STD−T79)は、一自治体(都道府県又は市町村)を基本単位として、統制局、基地局、固定局及び移動局といった設備で構成され、統制局−移動局(又は固定局)間、あるいは移動局(又は固定局)−移動局間(又は固定局)で、基地局経由で又は直接に通信を行う。
【0003】
このようなシステムの移動局としては、半固定局、車載局、携帯局(以下、「携帯機」と呼ぶ)がある。半固定局とは、市役所や病院等の建物内に平常時は固定設置しておくが、非常時には移動して使用できる移動局のことである。半固定局を含むデジタル移動通信システムに関しては、例えば特許文献1に開示されている。
【0004】
従来、半固定局と携帯機は、使用用途や期待される動作が異なるため、別装置で構成されていた。
図1には、従来例に係る半固定局100の概略的な構成例を示してある。半固定局100は、無線部101と、制御部102と、操作部105と、バッテリ106とを備える。
図2には、従来例に係る携帯機200の概略的な構成例を示してある。携帯機200は、無線部201と、制御部202と、操作部205と、バッテリ206とを備える。
【0005】
このように、半固定局100及び携帯機200ともに、装置構成としては、無線部、制御部、操作部が一体となっている。半固定局100の制御部102は、CPU103及びメモリ104を有し、メモリ104上に着信音量や電話帳等のデータを含む各種の設定値が記憶される。同様に、携帯機200の制御部202は、CPU203及びメモリ204を有し、メモリ204上に上記各種の設定値が記憶される。
【0006】
半固定局100は、安定した電波環境(基地局から送信される電波のエラーが少ない環境)である場所に平常時は固定設置され、FAX401や電話機402といった付加装置が接続される。また、固定設置されている場合は、AC電源に接続して使用されるため、消費電力を気にする必要はない。また、非常時には電源なしでも動作できるように半固定局用のバッテリ106を搭載しており、バッテリ動作の際にはバッテリを長持ちさせるために消費電力を抑える必要がある。
携帯機200は、作業者が手に持ち、移動しながら使用できる端末である。これも、半固定局100を移動して使用する場合と同様に、携帯機用のバッテリ206により動作するため、バッテリを長持ちさせるために消費電力を抑える必要がある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図3,4には、着脱自在な携帯機310を備えた脱着式半固定局300の概略的な構成例を示してある。
図3は、携帯機310を取り外した状態を示しており、
図4は、携帯機310を取り付けた状態を示している。脱着式半固定局300は、例えば、移動可能な車両に配備される車携帯として実現されるが、所定の拠点に配備されてもよく、種々の態様で実現することができる。
【0020】
脱着式半固定局300は、半固定局の無線部として機能する携帯機310と、半固定局の制御部として機能する半固定本体部320と、操作部323と、バッテリ324とを備える。携帯機310は、無線部311と、制御部312と、操作部315と、バッテリ316とを備える。半固定本体部320は、CPU321及びメモリ322を有し、メモリ322に着信音量や電話帳等のデータを含む各種の設定値が記憶される。同様に、携帯機310の制御部312は、CPU313及びメモリ314を有し、メモリ314にも上記各種の設定値が記憶される。携帯機310は、半固定局の無線部として機能するだけでなく、脱着式半固定局300から取り外して移動局として使用することができる。
【0021】
本例では、携帯機310と半固定本体部320の間において、携帯機310を半固定本体部320に取り付けた際に有効となるよう設定された近距離無線通信(例えば、Bluetooth(登録商標))を用いてデータの送受信を行っている。なお、携帯機310と半固定本体部320をコネクタ等で接続してデータの送受信を行うなど、他の手法によりデータの送受信を行っても構わない。
【0022】
脱着式半固定局300は、前述したように、以下の2つの動作モードを有する。
(1)携帯モード
携帯機310を半固定本体部320(装置本体)から取り外した場合の動作モードであり、携帯機310が、自身のメモリ322内の設定値に基づいて無線通信を行う(
図3)。ユーザは、携帯機310の操作部315を使用して通信できる。すなわち、携帯機310を、半固定本体部320から取り外して移動局として使用できる。但し、脱着式半固定局300は通信を行えず、付加装置(FAX401や電話機402)も通信できない状態となる。
【0023】
(2)半固定モード
携帯機310を装置本体に取り付けた場合の動作モードであり、脱着式半固定局300が、自身のメモリ322内の設定値に基づいて、携帯機310を無線部として動作させて無線通信を行う(
図4)。ユーザは、脱着式半固定局300の操作部323を使用して通信できる。すなわち、脱着式半固定局300は、携帯機310を含む装置全体で半固定局として動作する。また、付加装置(FAX401や電話機402)を使用した通信も行える。なお、携帯機310の操作部315や制御部312は無効となる。
【0024】
このような構成の脱着式半固定局を携帯モード時と半固定モード時に同じ装置設定で使用する際の問題点及びその対処について説明する。
【0025】
[A]半固定モードから携帯モードに切り替える場合について
半固定モードから携帯モードに切り替える場合(携帯機を取り外す場合)の問題点及びその対処について説明する。半固定モードから携帯モードに切り替える場合において、半固定モード時と同じ装置設定で携帯モードを動作させると、以下のような問題が生ずる。
【0026】
(a1)消費電力問題
脱着式半固定局は通常AC電源に接続された状態で使用されるため、消費電力を抑えることより使い勝手の良さを優先した表示や音量等の設定となっている。そのため、以下のような半固定モード時の設定をそのまま携帯モードで使用すると、バッテリを多く消費してしまう。
・バックライト設定:常時ON(常に画面が見やすいようにLCDバックライトを常にONにする設定であるため、消費電力が高い)
・送信出力設定:HIGH(送信出力値を高くして送信範囲を広くする設定であるため、消費電力が高い)
【0027】
(a2)無線問題
半固定モード時の設定をそのまま携帯機で使用すると、受信可能な基地局波を受信できない可能性がある。例えば、以下の設定時に問題が生じる。
・受信基地局設定:固定(特定の基地局を受信する固定設定のままだと、持ち運び時に他の基地局波を受信できない)
・待受設定:直接波(通常、起動時は基地局通信を使用することが多いため、直接波だけを待ち受ける設定のままだと基地局波を受信できない)
【0028】
(a3)ユーザ使用上問題
半固定モード時の設定をそのまま携帯機で使用すると、ユーザの使い勝手が悪い状況になってしまう。例えば、以下の設定時に問題が生じる。
・不在設定:ON(不在設定ONだと、通常着信しない)
・着信音量設定:最小(着信音が小さいため、着信に気付かない可能性がある)
【0029】
(a4)データ引き継ぎ問題
携帯機及び半固定本体部は、各々のメモリに以下のようなデータを持つ。
・電話帳
・発着信履歴
・送受信メール
・音声録音メモ(伝言録音・通話録音・待受録音)
携帯モードでは携帯機側のメモリが持つ各データを使用し、半固定モードでは装置本体側のメモリが持つ各データを使用する。そのため、半固定モードから携帯モードに切り替える場合には、半固定モードで使用していたデータをそのまま携帯モードでも使用できるようにするために、装置本体側のメモリから携帯機側のメモリへ各データを移行する必要がある。
【0030】
上記のような問題に対処すべく、本例では、脱着式半固定局300を以下のように動作させる構成とした。
図5には、半固定本体部320から携帯機310へ設定値を移行する際のシーケンス例を示してある。ここで、携帯機310は、操作部315の表示や操作に関する制御を行う操作部タスクと、半固定本体部320との間で通信する携帯管理部タスクとを有し、各タスクはメモリ314に格納されたプログラムをCPU313で実行することで実現される。また、半固定本体部320は、操作部323の表示や操作に関する制御を行う操作部タスクと、携帯機310との間で通信する携帯管理部タスクとを有し、各タスクはメモリ322に格納されたプログラムをCPU321で実行することで実現される。
【0031】
(手順1;T101)ユーザが、装置本体側の操作部323により設定値を変更する操作を行う。
(手順2;T102)半固定本体部320の操作部タスクが、変更後の設定値を半固定本体部320のメモリ322に書き込む。
(手順3;T103)半固定本体部320の操作部タスクが、半固定本体部320の携帯管理部タスクへ設定値書込完了通知を送信する。
(手順4;T104)半固定本体部320の携帯管理部タスクが、半固定本体部320のメモリ322から変更後の設定値を読み込む。
(手順5;T105)半固定本体部320の携帯管理部タスクが、読み込んだ設定値を携帯機310へ転送する。
(手順6;T106)携帯機310の携帯管理部タスクが、半固定本体部320から転送された設定値を携帯機310のメモリ314に書き込む。
【0032】
図6には、半固定モード中に設定値を変更した際の処理のフロー例を示してある。
脱着式半固定局300の制御部(半固定本体部)320は、半固定モードの待受状態において設定値を変更する操作を検出すると(ステップS101)、設定値が変わったかどうかをチェックし(ステップS102)、設定値が変わっていれば携帯機310の設定値へ同じ値を書き込む(ステップS103)。
【0033】
以上の処理により、半固定モード中に装置本体側で設定値が変更された際に、半固定本体部320のメモリ322内の設定値が更新されるだけでなく、無線機310のメモリ314内の設定値も更新される。このため、半固定モードと携帯モードで共有すべきデータ(例えば、電話帳、発着信履歴、送受信メール、音声録音メモ)が半固定モード中に変更された場合に、半固定本体部320から携帯機310を取り外して携帯モードに移行しても、そのデータを引き続き使用することができる。
【0034】
図7には、半固定本体部320から携帯機310を取り外した際(携帯モードに切り替える際)の処理のフロー例を示してある。
携帯機310の制御部310は、半固定本体部320からの取り外しを検出すると(ステップS201)、以下の処理を行う。
すなわち、消費電力関連設定が携帯モードに適した設定値かどうかチェックし(ステップS202)、適していればそのまま変更せず、適していなければ携帯モードに適した設定値に変更する(ステップS203)。消費電力関連設定としては、例えば、バックライト設定、送信出力設定が挙げられる。
また、無線関連設定が携帯モードに適した設定値かどうかチェックし(ステップS204)、適していればそのまま変更せず、適していなければ携帯モードに適した設定値に変更する(ステップS205)。無線関連設定としては、例えば、受信基地局設定、待受設定が挙げられる。
また、ユーザ設定が携帯モードに適した設定値かどうかチェックし(ステップS206)、適していればそのまま変更せず、適していなければ携帯モードに適した設定値に変更する(ステップS207)。ユーザ設定としては、例えば、不在設定、着信音量設定が挙げられる。
その後、携帯機310は、携帯モードの待受状態に移行する。
【0035】
以上の処理により、半固定モードから携帯モードに切り替える場合(半固定本体部320から携帯機310を取り外す場合)に、半固定モードと携帯モードで適切な設定値が異なる所定の設定項目(本例では、バックライト設定、送信出力設定、受信基地局設定、待受設定、不在設定、着信音量設定)を、携帯モードに適した設定値に自動的に変更することができる。
【0036】
半固定モードから携帯モードに切り替える場合について、上記の問題点毎に、各設定値の具体例を以下に示す。
(a1)消費電力問題
以下のように自動的に設定し、消費電力を低減する。
・バックライト設定:自動(自動で使用時はON、未使用時はOFFにするため、消費電力を低減できる)
・送信出力設定:LOW(送信出力値を低い設定にするため、消費電力を低減できる)
【0037】
(a2)無線問題
以下のように自動的に設定し、基地局波を受信できるようにする。
・受信基地局設定:自動(携帯モード時は持ち運んで移動するため、受信可能な基地局を自動で探知する設定にする)
・待受設定:基地局波(携帯モード時に受信できることが必要とされる基地局波を使用した通信だけを待ち受ける設定にする)
【0038】
(a3)ユーザ使用上問題
以下のように自動的に設定し、ユーザに着信が通知されにくくなることを防ぐため、即時使用しやすくする。
・不在設定:OFF(常に通常着信するため、即時使用しやすい)
・着信音量:中央値(中央値なら音が聞こえやすいため、即時使用しやすい)
【0039】
(a4)データ引き継ぎ問題
半固定モード中に追加した以下のデータが、半固定本体部から携帯機に移行される。
・電話帳
・発着信履歴
・送受信メール
・音声録音メモ(伝言録音・通話録音・待受録音)
【0040】
以上のように、本例の脱着式半固定局300では、半固定モード中に脱着式半固定局300で設定値が変更された場合は、半固定本体部320のメモリ322内の設定値を更新すると共に無線機310のメモリ314内の設定値を更新する処理を行い、更に、半固定モードと携帯モードで適切な設定値が異なる所定の設定項目については、半固定モードから携帯モードへ切り替える際に携帯モードに適した設定値に変更することで、上記の各問題点を解決している。
【0041】
[B]半固定モードから携帯モードに切り替える場合について
次に、携帯モードから半固定モードに切り替える場合(携帯機を取り付ける場合)の問題点及びその対処について説明する。携帯モードから半固定モードに切り替える場合において、携帯モード時と同じ装置設定で半固定モードを動作させると、以下のような問題が生ずる。
【0042】
(b1)無線問題
以下の設定を携帯モード時に変更したままの設定で脱着式半固定局で使用すると、受信したい/受信設定していた基地局波もしくは直接波を受信できない可能性がある。
・受信基地局設定:携帯モード時に変更した設定
・待受設定:携帯モード時に変更した設定
【0043】
(b2)ユーザ使用上問題
以下の設定を携帯モード時に変更したままの設定で脱着式半固定局で使用すると、ユーザの使い勝手が悪い状況になってしまう可能性がある。
・不在設定:携帯モード時に変更した設定
・着信音量設定:携帯モード時に変更した設定
【0044】
(b3)データ引き継ぎ問題
携帯機及び半固定本体部は、各々のメモリに以下のようなデータを持つ。
・電話帳
・発着信履歴
・送受信メール
・音声録音メモ(伝言録音・通話録音・待受録音)
携帯モードでは携帯機のメモリが持つ各データを使用し、半固定モードでは半固定本体部のメモリが持つ各データを使用する。そのため、携帯モードから半固定モードに切り替えた場合には、携帯モードで使用していたデータをそのまま半固定モードでも使用するために、携帯機のメモリから装置本体側のメモリへ各データを移行する必要がある。
【0045】
上記のような問題に対処すべく、本例では、脱着式半固定局300を以下のように動作させる構成とした。
図8には、携帯機310から半固定本体部320へ設定値を移行する際のシーケンス例を示してある。ここで、
図5を参照して説明したように、携帯機310及び半固定部320は、それぞれ、操作部タスクと携帯管理部タスクとを有する。なお、携帯モード中に携帯機310で設定値が変更された場合は、携帯機310のメモリ314内の設定値が更新される。
【0046】
(手順1;T201)ユーザが、携帯機310を半固定本体部320に接続する(装置本体に取り付ける)。
(手順2;T202)携帯機310の携帯管理部タスクが、携帯機310のメモリ314から設定値を読み込む。
(手順3;T203)携帯機310の携帯管理部タスクが、読み込んだ設定値を半固定本体部320へ転送する。
(手順4;T204)半固定本体部320の携帯管理部タスクが、携帯機310から転送された設定値を半固定本体部320のメモリ322に書き込む。
携帯機310の設定値が半固定本体部320に移行された後は、脱着式半固定局300に半固定モードの待受画面が表示される。なお、携帯機310から半固定本体部320へのデータ移行中は、データ移行の進行状況を示す内容を画面に表示することが好ましい。
【0047】
図9には、半固定本体部320に携帯機310を取り付けた際(半固定モードに切り替える際)の処理のフロー例を示してある。
脱着式半固定局300の制御部(半固定本体部)320は、携帯機310の接続を検出すると(ステップS301)、以下の処理を行う。
すなわち、消費電力関連設定が前回の半固定モード時の設定値と同じかどうかチェックし(ステップS302)、前回の半固定モード時と同じであればそのまま変更せず、異なっていれば前回の半固定モード時の設定値に戻す(ステップS303)。消費電力関連設定としては、例えば、バックライト設定、送信出力設定が挙げられる。
また、無線関連設定が前回の半固定モード時の設定値と同じかどうかチェックし(ステップS304)、前回の半固定モード時と同じであればそのまま変更せず、異なっていれば前回の半固定モード時の設定値に戻す(ステップS305)。無線関連設定としては、例えば、受信基地局設定、待受設定が挙げられる。
また、ユーザ設定が前回の半固定モード時の設定値と同じかどうかチェックし(ステップS306)、前回の半固定モード時と同じであればそのまま変更せず、異なっていれば前回の半固定モード時の設定値に戻す(ステップS307)。ユーザ設定としては、例えば、不在設定、着信音量設定が挙げられる。
また、携帯モード中に変更された電話帳・発着信履歴・送受信メール・音声録音メモがあるかどうかチェックし(ステップS308)、変更されたデータがあれば携帯機310から半固定本体部320に移行する(ステップS309)。
その後、脱着式半固定局300は半固定モードの待受状態に移行する。
【0048】
以上の処理により、携帯モードから半固定モードに切り替える場合(半固定本体部320に携帯機310を取り付ける場合)に、携帯機310のメモリ314内の設定値が半固定本体部320に転送され、半固定本体部320のメモリ322の設定値が更新される。このため、半固定モードと携帯モードで共有すべきデータ(例えば、電話帳、発着信履歴、送受信メール、音声録音メモ)が携帯モード中に変更された場合に、半固定本体部320に携帯機310を取り付けて半固定モードに移行しても、そのデータを引き続き使用することができる。また、半固定モードと携帯モードで適切な設定値が異なる所定の設定項目(本例では、バックライト設定、送信出力設定、受信基地局設定、待受設定、不在設定、着信音量設定)を、半固定モードに適した設定値に自動的に戻すことができる。
【0049】
半固定モードから携帯モードに切り替える場合について、上記の問題点毎に、各設定値の具体例を以下に示す。
(b1)無線問題
以下のように自動的に設定し、前回の半固定モード時に受信していた通信波を受信できるようにする。
・受信基地局設定:前回の半固定モード時の設定に戻す
・待受設定:前回の半固定モード時の設定に戻す
【0050】
(b2)ユーザ使用上問題
以下のように自動的に設定し、前回の半固定モード時に使用していた設定に戻すことで即時使用しやすくする。
・不在設定:前回の半固定モード時の設定に戻す
・着信音量:前回の半固定モード時の設定に戻す
【0051】
(b3)データ引き継ぎ問題
半固定モード中に追加した以下のデータを、携帯機から半固定本体部に移行する。
・電話帳
・発着信履歴
・送受信メール
・音声録音メモ(伝言録音・通話録音・待受録音)
【0052】
以上のように、本例の脱着式半固定局300では、携帯モード中に携帯機310で設定値が変更された場合は、携帯機310のメモリ314内の設定値を更新し、携帯機310を脱着式半固定局300に取り付けた際に携帯機310のメモリ内の設定値を半固定本体部320に転送して半固定本体部320のメモリ322内の設定値を更新する処理を行い、更に、半固定モードと携帯モードで適切な設定値が異なる所定の設定項目については、携帯モードから半固定モードへ切り替える際に前回の半固定モード時の設定値に戻すことで、上記の各問題点を解決している。
【0053】
上記の実施例で説明した構成をまとめると、本例の脱着式半固定局300は、携帯機310が脱着可能であり、半固定本体部320及び携帯機310の各々が、装置動作に関する設定値を記憶するメモリ(322,314)を備え、携帯機310を取り付けられた脱着式半固定局300が、半固定本体部320のメモリ322内の設定値に基づいて、携帯機310を無線部として動作させて無線通信を行う半固定モードと、脱着式半固定局300から取り外された携帯機310が、携帯機310のメモリ314内の設定値に基づいて、無線通信を行う携帯モードとを有する。半固定モード中に脱着式半固定局300で設定値が変更された場合は、半固定本体部320のメモリ322内の設定値を更新すると共に無線機310のメモリ314内の設定値を更新する処理を行い、携帯モード中に携帯機310で設定値が変更された場合は、携帯機310のメモリ314内の設定値を更新し、携帯機314を脱着式半固定局300に取り付けた際に携帯機310のメモリ314内の設定値を半固定本体部320に転送して半固定本体部320のメモリ322内の設定値を更新する処理を行うことで、着式半固定局300と携帯機310で各々のメモリ内の設定値を同期させる。そして、半固定モードと携帯モードで適切な設定値が異なる所定の設定項目については、半固定モードから携帯モードへ切り替える際に携帯モードに適した設定値に変更し、携帯モードから半固定モードへ切り替える際に前回の半固定モード時の設定値に戻す。
【0054】
より具体的には、所定の設定項目として、受信基地局設定又は待受設定を含み、半固定モードから携帯モードへ切り替える際に、受信基地局設定については、受信可能な基地局を自動で探知する旨の設定値に変更し、待受設定については、携帯モード時に受信できることが必要な基地局波を使用した通信だけを待ち受ける旨の設定値に変更する。
また、所定の設定項目として、不在設定又は着信音量設定を含み、半固定モードから携帯モードへ切り替える際に、不在設定については、不在でない旨の設定値に変更し、着信音量設定については、着信音量の中央値に変更する。
また、所定の設定項目として、バックライト設定又は送信出力設定を含み、半固定モードから携帯モードへ切り替える際に、バックライト設定については、使用時にオン、未使用時にオフに自動的に切り替える旨の設定値に変更し、送信出力設定については、所定の低レベルの送信出力値に変更する。
【0055】
以上のような構成により、一方の動作モード時に設定したデータを他方の動作モードでも使用することが可能となるだけでなく、半固定モードと携帯モードで適切な設定値が異なる所定の設定項目については、各々の動作モードに適した設定値に自動的に変更することができる。したがって、携帯機が着脱可能な無線通信装置において動作モードを切り替える際のユーザ負担を低減することが可能となる。
【0056】
ここで、本例では、半固定モードから携帯モードへの切り替え時に所定の設定項目について設定値を変更する処理を、携帯機310側(例えば、携帯機310の携帯管理部タスク)が行い、携帯モードから半固定モードへの切り替え時に所定の設定項目について前回の半固定モード時の設定値に戻す処理を、半固定本体部320側(例えば、半固定本体部320の携帯管理部タスク)が行うが、これは一例に過ぎない。すなわち、動作モードの切り替え時(携帯機310の着脱時)に所定の設定項目について設定値を変更又は復元する処理は、携帯機310又は半固定本体部320のどちらが制御しても構わない。
【0057】
また、本例では、携帯モードから半固定モードへの切り替え時に、携帯機310が、半固定本体部320に移行させる設定値(携帯モード中に変更された設定値)を判別して半固定本体部320に送信することで、携帯機310から半固定本体部320へ送信するデータ量を抑えるようにしてある。なお、携帯モードから半固定モードへの切り替え時に、全ての設定値を携帯機310から半固定本体部320へ送信し、半固定本体部320が変更の有無を判定してメモリ322内の設定値を更新するよう構成しても構わない。
【0058】
以下に、参考として、半固定モードから携帯モードへの切り替え時に変更する設定値を例示する。なお、半固定モード時の設定値を引き継ぐ設定項目については省略する。
[消費電力関連設定]
・バックライト設定(バックライトのON/OFFを設定する):設定ONとする。
・送信出力設定(LOW/HIGHの切り替えを設定する):LOWとする。
[無線関連設定]
・待受設定(直接波の待受のON/OFFを設定する):設定OFFとする。
・受信基地局設定(基地局通信のゾーンを固定/自動から設定する):自動とする。
[ユーザ設定]
・マイク感度設定(マイク感度を設定する):中央値とする。
・不在設定(不在設定のON/OFFを設定する):設定OFFとする。
・キー操作音設定(キー操作音のON/OFFを設定する):設定ONとする。
・通話可能音設定(単信通信時の通話可能音のON/OFFを設定する):設定ONとする。
・スピーカ設定(携帯機のスピーカのON/OFFを設定する):設定ONとする。
・マイク設定(携帯機のマイクのON/OFFを設定する):設定ONとする。
・マナー設定(マナーのON/OFFを設定する):設定OFFとする。
・バイブ設定(バイブのON/OFFを設定する):設定OFFとする。
【0059】
なお、本発明に係るシステムや装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。
また、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法や方式、そのような方法や方式を実現するためのプログラム、そのプログラムを記憶する記憶媒体などとして提供することも可能である。