特許第6863828号(P6863828)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863828
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】懸架構造
(51)【国際特許分類】
   F16F 1/06 20060101AFI20210412BHJP
   F16F 15/02 20060101ALI20210412BHJP
   E04B 9/18 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   F16F1/06 N
   F16F15/02 D
   F16F15/02 N
   E04B9/18 F
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-111527(P2017-111527)
(22)【出願日】2017年6月6日
(65)【公開番号】特開2018-204719(P2018-204719A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】392018078
【氏名又は名称】日栄インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148518
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100134038
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 薫央
(72)【発明者】
【氏名】大野 杏介
【審査官】 鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−072888(JP,U)
【文献】 特開2015−215012(JP,A)
【文献】 特開2008−240790(JP,A)
【文献】 特開2005−127364(JP,A)
【文献】 特開平06−115424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/00− 15/36,
1/0− 6/00
E04B 9/00− 9/36
E02D 17/00− 17/20
F16G 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井から懸架される懸架物を懸架する複数の吊りボルトと、
前記複数の吊りボルトのうち互いに隣接するりボルトの間に所定の張力で張設されて前記架物の揺動を抑制するワイヤと、
前記ワイヤに取り付けられて前記ワイヤの張力を検知する張力検知ばねとを備え
前記張力検知ばねは、
ばね素線巻回されてなる環状のコイル部と、
前記ばね素線の端に前記ワイヤが挿入されるワイヤ第1挿入部が形成された第1引張部と、
記ばね素線の端に前記ワイヤが挿入されるワイヤ第2挿入部が形成された第2引張部と備え、
前記ワイヤが前記ワイヤ第1挿入部及び前記ワイヤ第2挿入部に挿入されていない状態で略L字状を呈し、前記ワイヤが前記ワイヤ第1挿入部、前記コイル部及び前記ワイヤ第2挿入部に入されて前記所定の張力で張設された状態で、前記ワイヤ第1挿入部、前記コイル部及び前記ワイヤ第2挿入部が基準線上に位置することを特徴とする懸架構造
【請求項2】
前記ワイヤ第1挿入部及び前記ワイヤ第2挿入部は、環状に形成され、記コイル部対して小径であことを特徴とする請求項1に記載の懸架構造
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、井から懸架される懸架物を懸架する複数の吊りボルトと、複数の吊りボルトのうちいに隣接するりボルトの間に張設されて架物の揺動を抑制するワイヤとを備え懸架構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、空調装置のような物を天井から懸架する場合は、懸架される物(以下「懸架物」という。)が吊りボルトによって懸架される(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
このように、例えば懸架物である空調装置が吊りボルトによって天井から懸架される場合は、図6で示すように、金属棒状の4本の吊りボルト100が基端100a側において図示しない天井に取り付けられるとともに、先端100b側に空調装置130が取り付けられて、吊りボルト100によって天井から空調装置130が懸架される。
【0004】
この状態で、一の吊りボルト100の先端100b側と、一の吊りボルト100と隣接する他の吊りボルト100の基端100a側との間で、振れ止め金具105を介して金属製の棒材120が架設される。
【0005】
一方、他の吊りボルト100の先端100b側と、他の吊りボルト100と隣接する一の吊りボルト100の基端100a側との間で、振れ止め金具105を介して金属製の棒材120が架設される。
【0006】
このように、各棒材120が交差して吊りボルト100に固定されて筋違が構成されることによって、吊りボルト100によって懸架された空調装置130が地震等の振動により揺動することが抑制される。
【0007】
ここで、空調装置130が吊りボルト100によって天井から懸架される場合において、金属製の棒材120に代えて、一の吊りボルト100と他の吊りボルト100との間に金属製のワイヤが張設されて、筋違が構成される場合がある。
【0008】
このような金属製のワイヤによって筋違が構成された場合であっても、棒材120によって筋違が構成された場合と同様に、空調装置130が振動によって揺動することが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2015−215012
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、一の吊りボルト100と他の吊りボルト100との間に金属製のワイヤを張設して筋違として作用させる場合は、ワイヤに張力を付与して、ワイヤを適切に緊張させる必要がある。
【0011】
このとき、ワイヤの張力が強すぎたり弱すぎたりすると、振動による空調装置130の揺動を適切に抑制できなくなることが懸念されることから、ワイヤを張設する際に、ワイヤに要求される張力を検知できることが好適である。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ワイヤを張設する際にワイヤに要求される張力を検知することができる懸架構造を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための第1の懸架構造は、天井から懸架される懸架物を懸架する複数の吊りボルトと、前記複数の吊りボルトのうち互いに隣接するりボルトの間に所定の張力で張設されて前記架物の揺動を抑制するワイヤと、前記ワイヤに取り付けられて前記ワイヤの張力を検知する張力検知ばねとを備え前記張力検知ばねは、ばね素線巻回されてなる環状のコイル部と、前記ばね素線の端に前記ワイヤが挿入されるワイヤ第1挿入部が形成された第1引張部と、記ばね素線の端に前記ワイヤが挿入されるワイヤ第2挿入部が形成された第2引張部と備え、前記ワイヤが前記ワイヤ第1挿入部及び前記ワイヤ第2挿入部に挿入されていない状態で略L字状を呈し、前記ワイヤが前記ワイヤ第1挿入部、前記コイル部及び前記ワイヤ第2挿入部に入されて前記所定の張力で張設された状態で、前記ワイヤ第1挿入部、前記コイル部及び前記ワイヤ第2挿入部が基準線上に位置するものである。
【0014】
この構成によれば、互いに隣接するりボルトの間に張設されるワイヤに張力検知ばねを取り付けておくことによって、ワイヤを引っ張って緊張させると、ワイヤに付与された張力に応じて、ワイヤ第1挿入部とワイヤ第2挿入部とが離間する。
【0015】
したがって、ワイヤ第1挿入部とワイヤ第2挿入部との離間の度合いから、ワイヤに付与される張力を一見して把握することができることから、その張力の強弱を適切に調節することができ、ワイヤを張設する際にワイヤに要求される張力を検知することができる。
【0016】
また、ワイヤ第1挿入部、コイル部及びイヤ第2挿入部が基準線上に位置するときは、ワイヤの張力がワイヤを張設する際に要求される所定の張力であると検知される。
【0017】
したがって、ワイヤを張設する際の張力が強すぎたり弱すぎたりすることがなく、適切な張力で互いに隣接する吊りボルトの間にワイヤを張設することができる。
【0018】
懸架構造は、第1の懸架構造において、前記ワイヤ第1挿入部及び前記ワイヤ第2挿入部は、環状に形成され、前記コイル部に対して小径なものである。
【0019】
この構成によれば、ワイヤ第1挿入部及びワイヤ第2挿入部の径は、コイル部の径に対して小に形成されることから、ワイヤを張設する際にワイヤがぶれることがない。したがって、張力検知ばねがワイヤ上で変位したり、振動あるいは揺動したりすることが抑制される。
【発明の効果】
【0021】
この発明によると、天井から懸架される懸架物を懸架する複数の吊りボルトのうち、互いに隣接する各吊りボルトの間に筋違としてのワイヤを張設する際に、ワイヤに要求される張力を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】懸架物が天井から懸架される構造の概略を説明する図である。
図2】本発明の実施の形態に係る張力検知ばねの概略を説明する図である。
図3】同じく、本実施の形態に係る張力検知ばねにワイヤが挿入された状態の概略を説明する図であり、(a)は側面図、(b)は斜視図である。
図4】同じく、本実施の形態に係る張力検知ばねが、ワイヤが張設される際に要求される張力を検知した状態の概略を説明する図である。
図5】同じく、本実施の形態に係る張力検知ばねが取り付けられたワイヤが、複数の吊りボルトの間に張設された状態の概略を説明する図である。
図6】懸架物を懸架する複数の吊りボルトの間に金属製の棒材によって筋違が構成された場合の概略を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の実施の形態について、図1図5に基づいて説明する。
【0024】
なお、本実施の形態において、懸架物が空調装置である場合を例として説明する。
【0025】
図1は、空調装置130が天井から懸架される構造の概略を説明する図である。図示のように、金属棒状の4本の吊りボルト100−1〜100−4がその基端100a側において図示しない天井に取り付けられるとともに、先端100b側に空調装置130が取り付けられて、各吊りボルト100−1〜100−4によって、天井から空調装置130が懸架される。
【0026】
この状態で、取付金具110が各吊りボルト100−1〜100−4の基端100a側及び先端100b側にそれぞれ取り付けられて、これらの取付金具110を介して、互いに隣接する各吊りボルト100−1〜100−4の間に金属製のワイヤ101A、101Bが張設される。
【0027】
具体的には、ワイヤ101Aは、吊りボルト100−1の先端100b側に取り付けられた取付金具110から吊りボルト100−2の基端100a側に取り付けられた取付金具110を介して、吊りボルト100−3の先端100b側に取り付けられた取付金具110に挿通される。
【0028】
更にワイヤ101Aは、吊りボルト100−3の先端100b側に取り付けられた取付金具110から吊りボルト100−4の基端100a側に取り付けられた取付金具110を介して、吊りボルト100−1の先端100b側に取り付けられた取付金具110に固定される。
【0029】
これにより、ワイヤ101Aは、互いに隣接する各吊りボルト100−1〜100−4の間において、ジグザグ状に張設される。
【0030】
一方、ワイヤ101Bは、吊りボルト100−2の先端100b側に取り付けられた取付金具110から吊りボルト100−1の基端100a側に取り付けられた取付金具110を介して、吊りボルト100−4の先端100b側に取り付けられた取付金具110に挿通される。
【0031】
更にワイヤ101Bは、吊りボルト100−4の先端100b側に取り付けられた取付金具110から吊りボルト100−3の基端100a側に取り付けられた取付金具110を介して、吊りボルト100−2の先端100b側に取り付けられた取付金具110に固定される。
【0032】
これにより、ワイヤ101Bは、互いに隣接する各吊りボルト100−1〜100−4の間において、ジグザグ状に張設される。
【0033】
このように、ワイヤ101Aとワイヤ101Bとが互いに交差して、互いに隣接する各吊りボルト100−1〜100−4の間においてジグザグ状に張設されることによって筋違が構成されることから、吊りボルト110によって懸架された空調装置130が地震等により揺動することが抑制される。
【0034】
張力検知ばね10は、各吊りボルト100−1〜100−4の間に張設されるワイヤ101A、101Bに取り付けられて、ワイヤ101A、101Bの張力を検知するものであり、張力検知ばね10の概略を説明する図2で示すように、金属製のばね素線1によって形成される。
【0035】
このばね素線1は、一端2及び他端3を有する棒状あるいは線状であって、本実施の形態では、断面円状のものが用いられる。
【0036】
この張力検知ばね10は、本実施の形態では、ばね素線1の一端2と他端3との間でばね素線1が巻回されて形成された平面視で環状のコイル部11を備える。コイル部11は、本実施の形態では、ワイヤ101A、101Bを各吊りボルト100−1〜100−4の間に張設する際の張力に対応する荷重が設定されている。
【0037】
具体的には、矢線F1及びF2で示すコイル部11を捩る捩り方向に作用する荷重が、ワイヤ101A、101Bを張設する際の張力と等しくなるように設定されている。
【0038】
本実施の形態では、ワイヤ101A、101Bを張設する際の張力が70Nに設定されており、ばね素線1の巻き数を3とすることによって、コイル部11に70Nの荷重が設定される。
【0039】
このコイル部11とばね素線1の一端2との間におけるばね素線1には、本実施の形態では、第1引張部12が設定される。この第1引張部12は、ばね素線1の一端2に形成された、ワイヤ101Aあるいはワイヤ101Bが挿入されるワイヤ第1挿入部12aを備える。
【0040】
このワイヤ第1挿入部12aは、ばね素線1の一端2側でばね素線1が巻回されて形成された平面視環状であって、本実施の形態では、コイル部11に対して小径に形成される。
【0041】
一方、コイル部11とばね素線1の他端3との間におけるばね素線1には、第1引張部12と対称をなす第2引張部13が設定される。この第2引張部13は、ばね素線1の他端3に形成された、ワイヤ101Aあるいはワイヤ101Bが挿入されるワイヤ第2挿入部13aを備える。
【0042】
このワイヤ第2挿入部13aは、ばね素線1の他端3側でばね素線1が巻回されて形成された平面視環状であって、本実施の形態では、コイル部11に対して小径であってワイヤ第1挿入部12aとほぼ同径に形成される。
【0043】
このように、張力検知ばね10は、本実施の形態では、コイル部11、及びコイル部11を起点として対称となる第1引張部12と第2引張部13とを有して平面視で略L字状に形成される。
【0044】
次に、この張力検知ばね10をワイヤ101A、101Bに取り付けて、これら各ワイヤ101A、101Bを複数の吊りボルト100−1〜100−4の間に張設する手順の概略について説明する。
【0045】
本実施の形態では、各吊りボルト100−1〜100−4の間にワイヤ101A、101Bを張設する際に、これらの各ワイヤ101A、101Bのそれぞれに、張力検知ばね10が取り付けられる。
【0046】
図3は、張力検知ばね10にワイヤ101A(101B)が挿入された状態の概略を説明する図であり、(a)は側面図、(b)は斜視図である。図3(a)で示すように、互いに隣接する各吊りボルト100−1〜100−4の間にワイヤ101Aを張設する際に、ワイヤ101Aをその端部から張力検知ばね10のワイヤ第1挿入部12aに、矢線P1で示す第1方向から挿入する。
【0047】
続いて、ワイヤ第1挿入部12aに第1方向P1から挿入したワイヤ101Aを、その端部から張力検知ばね10のコイル部11に、矢線P2で示す第2方向から挿入し、さらに、コイル部11に第2方向P2から挿入したワイヤ101Aを、その端部から張力検知ばね10のワイヤ第2挿入部13aに、第1方向P1から挿入する。
【0048】
このように、ワイヤ101Aをワイヤ第1挿入部12a、コイル部11及びワイヤ第2挿入部13aに第1方向P1及び第2方向P2から互い違いに挿入することによって、図3(b)で示すように、張力検知ばね10がワイヤ101Aに取り付けられる。
【0049】
張力検知ばね10が取り付けられたワイヤ101Aを、上記のように各吊りボルト100−1〜100−4の間にジグザグ状に架け渡してワイヤ101Aを引っ張ると、ワイヤ101Aの張力に応じてコイル部11に捩り方向F1、F2への荷重が付与され、コイル部11が捩られて変位した量に応じて、ワイヤ第1挿入部12aとワイヤ第2挿入部13aとが離間する。
【0050】
ここで、本実施の形態では、上記のように、ワイヤ101Aを張設する際の張力が70Nに設定され、コイル部11を捩る方向の荷重も70Nに設定されていることから、ワイヤ101Aを引っ張って緊張させて70Nの張力を付与すると、図4で示すように、ワイヤ第1挿入部12a、コイル部11及びワイヤ第2挿入部13aがいずれも基準線C上に位置する。
【0051】
このように、ワイヤ第1挿入部12aとワイヤ第2挿入部13aとが基準線C上にあって互いに最大に離間するときは、コイル部11に捩り方向F1、F2の70Nの荷重が付与された場合であって、この場合に、ワイヤ101Aの張力が70Nであると検知される。
【0052】
すなわち、ワイヤ101Aを張設する場合は、各吊りボルト100−1〜100−4の間に架け渡されたワイヤ101Aを引っ張って緊張させる。ワイヤ101Aを引っ張って、張力検知ばね10が図4の矢線Sで示す伸長方向に沿って伸びることによって、ワイヤ101Aに、ワイヤ101Aを張設する際に要求される張力である70Nが付与されたことが検知される。
【0053】
一方、ワイヤ101Aと同様の手順で、ワイヤ101Bにも張力検知ばね10が取り付けられる。ワイヤ101Bを張設する場合は、各吊りボルト100−1〜100−4の間に架け渡されたワイヤ101Bを引っ張って緊張させる。ワイヤ101Bを引っ張って、張力検知ばね10が図4の伸長方向Sに沿って伸びることによって、ワイヤ101Bに、ワイヤ101Bを張設する際に要求される張力である70Nが付与されたことが検知される。
【0054】
図5は、張力検知ばね10が取り付けられたワイヤ101A及びワイヤ101Bが複数の吊りボルト100−1〜100−4の間に張設された状態の概略を説明する図である。
【0055】
図示のように、ワイヤ101Aとワイヤ101Bとが互いに交差せしめられて、ワイヤ固定金具102によってワイヤ101A、101Bが固定されることによって、互いに隣接する各吊りボルト100−1〜100−4の間において、ワイヤ101A及びワイヤ101Bがジグザグ状に張設される。
【0056】
このように、互いに隣接する各吊りボルト100−1〜100−4の間に架け渡されて張設されるワイヤ101A、101Bに、張力検知ばね10を取り付けておくことによって、ワイヤ101A、101Bを張設する際に、ワイヤ101A、101Bを引っ張って緊張させると、ワイヤ101A、101Bに付与された張力に応じて、ワイヤ第1挿入部12aとワイヤ第2挿入部13aとが離間する。
【0057】
したがって、ワイヤ第1挿入部12aとワイヤ第2挿入部13aとの離間の度合いから、ワイヤ101A、101Bに付与される張力を一見して把握することができることから、その張力の強弱を適切に調節することができる。
【0058】
特に、ワイヤ第1挿入部12aとワイヤ第2挿入部13aとが基準線C上にあって互いに最大に離間するときは、コイル部11に捩り方向F1、F2の70Nの荷重が付与された場合であって、この場合に、ワイヤ101A、101Bの張力が、ワイヤ101A、101Bを張設する際に要求される70Nであると検知される。
【0059】
したがって、ワイヤ101A、101Bを張設する際の張力が強すぎたり弱すぎたりすることがなく、適切な張力で互いに隣接する各吊りボルト100−1〜100−4の間にワイヤ101A、101Bを張設することができる。
【0060】
しかも、本実施の形態では、ワイヤ第1挿入部12a及びワイヤ第2挿入部13aは、コイル部11に対して小径に形成されることから、ワイヤ101A、101Bを張設する際に、ワイヤ101A、101Bがぶれることがない。その結果、張力検知ばね10がワイヤ101A、101B上で変位したり、振動あるいは揺動したりすることが抑制される。
【0061】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。上記実施の形態では、コイル部11が、ばね素線1の巻き数を3として荷重が70Nに設定されている場合を説明したが、例えば、ワイヤを張設する際に要求される張力に応じて巻き数を変えて、荷重を設定することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 ばね素線
2 一端
3 他端
10 張力検知ばね
11 コイル部
12 第1引張部
12a ワイヤ第1挿入部
13 第2引張部
13a ワイヤ第2挿入部
100−1〜100−4 吊りボルト
101A、101B ワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6