特許第6863834号(P6863834)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863834
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】X線管装置
(51)【国際特許分類】
   H05G 1/02 20060101AFI20210412BHJP
   H01J 35/12 20060101ALI20210412BHJP
   H01J 35/00 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   H05G1/02 P
   H01J35/12
   H01J35/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-124524(P2017-124524)
(22)【出願日】2017年6月26日
(65)【公開番号】特開2019-9023(P2019-9023A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2020年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】503382542
【氏名又は名称】キヤノン電子管デバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 利巳
【審査官】 右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−054678(JP,A)
【文献】 特開2006−179240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05G 1/02
H01J 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子を放出する陰極と、
前記陰極から放出される電子が衝突することでX線を発生する陽極ターゲットと、
冷却材が流通する第1流路と、それぞれ前記第1流路の中心軸と交差する方向に延在した第1当接面および第2当接面を有する段差部と、を具備するジョイント部材と、
前記ジョイント部材に接続された一端部と前記陽極ターゲットが接合された他端部とを有し、管軸方向に沿って延在する第1筒管と、
前記第1筒管内に設置され、前記第1流路に連通する第1端部と、前記第1端部から流入した冷却材を前記陽極ターゲットに向けて放出する第2端部とを有する第2筒管と、
弾性材で形成された弾性部材であって、大径部およびこの大径部よりも小径の小径部を有する段付きの円筒形状を成し、前記第1端部の外周に嵌合され、前記大径部は、前記ジョイント部材の段差部に係合し、前記第1当接面に当接した第1係合面と、前記第2当接面に当接した第2係合面とを有している弾性部材と、
を備えるX線管装置。
【請求項2】
前記第1流路は、第1小径流路と前記第1小径流路よりも大径の第1大径流路と前記第1小径流路と第1大径流路との間に位置した段差と、を有し、
前記第1筒管の前記一端部は前記ジョイント部材に接合され前記第1大径流路に連通し、前記第2筒管の前記第1端部は、前記第1大径流路を通り前記第1小径流路内に挿入されている請求項1に記載のX線管装置。
【請求項3】
前記段差部の第1当接面および第2当接面は、それぞれ前記第1流路の中心軸と直交する平面で構成され、前記第1流路の中心軸の方向に沿って間隔を置いて互いに対向している請求項1又は2に記載のX線管装置。
【請求項4】
前記弾性部材は、合成樹脂あるいはゴムで形成されている請求項1からのいずれか1項に記載のX線管装置。
【請求項5】
前記弾性部材は、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレン・プロピレンゴム、及びニトリルゴムの少なくとも1つで形成されている請求項1からのいずれか1項に記載のX線管装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、X線管装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光X線分析に使用されるX線管装置は、陰極および陽極ターゲットを有するX線管と、X線管を収容する管容器と、管容器内に配置された高電圧ケーブルを挿入接続するための高電圧リセプタクルと、を備えている。X線管装置は、更に、陽極ターゲットの近傍に冷却水を導いて冷却するための導水パイプと、導水パイプに冷却水を供給および排水する冷却パイプと、を備えている。導水パイプは、内側パイプおよび外側パイプを有する二重管構造を有し、ジョイント部を介して冷却パイプに接続されている。
【0003】
X線管装置において、サブクール沸騰やキャビテーション時に発生する気泡の発生、消滅に伴い振動や騒音が発生する時が有る。例えば、導水パイプの端部とジョイント部との嵌合隙間が大きい場合、導水パイプの振動が大きくなり、更に、騒音が大きくなる可能性がある。導水パイプ端部とジョイント部との嵌合箇所に振動吸収を目的にゴム部材を取付ける事により、振動や騒音を低減することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−84490号公報
【特許文献2】特開2010−44897号公報
【特許文献3】特開2013−254652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ゴム部材が水の流れの影響により導水パイプ端部に沿って移動し易く、安定して固定されない可能性がある。そのため、振動、騒音の低減効果が安定して維持されない可能性がある。
【0006】
本発明の実施形態の課題は、振動および騒音を安定して低減することが可能なX線管装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、X線管装置は、電子を放出する陰極と、前記陰極から放出される電子が衝突することでX線を発生する陽極ターゲットと、冷却材が流通する第1流路と、それぞれ前記第1流路の中心軸と交差する方向に延在した第1当接面および第2当接面を有する段差部と、を具備するジョイント部材と、前記ジョイント部材に接続された一端部と前記陽極ターゲットが接合された他端部とを有し、管軸方向に沿って延在する第1筒管と、前記第1筒管内に設置され、前記第1流路に連通する第1端部と、前記第1端部から流入した冷却材を前記陽極ターゲットに向けて放出する第2端部とを有する第2筒管と、弾性材で形成された弾性部材であって、大径部およびこの大径部よりも小径の小径部を有する段付きの円筒形状を成し、前記第1端部の外周に嵌合され、前記大径部は、前記ジョイント部材の段差部に係合し、前記第1当接面に当接した第1係合面と、前記第2当接面に当接した第2係合面とを有している弾性部材と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係るX線管装置の一例を示すX線管装置の縦断面図。
図2図2は、前記X線管装置の一部を拡大して示す部分断面図。
図3図3は、弾性部材の一例を示す上面図である。
図4図4は、第2の実施形態に係るX線管装置の一部を拡大して示す部分断面図。
図5図5は、第2の実施形態における弾性部材およびジョイント部材を示す斜視図。
図6図6は、変形例に係るジョイント部材の一部を示す断面図。
図7図7は、他の変形例に係るジョイント部材の一部を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、実施形態に係るX線管装置ついて説明する。
【0010】
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更であって容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の大きさ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線管装置の全体を示す縦断面図、図2は、導水パイプのジョイント接続部を拡大して示す部分断面図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係るX線管装置1は、X線管2と、このX線管2を含む管容器3とを備える。X線管装置1は、全体として、管軸TAを有するほぼ円筒状あるいは円柱形状を成している。以下の説明では、管軸TAに沿った方向を軸方向と称する。軸方向において、X線管2側を下方向(下側)と称し、下方向に対して反対方向を上方向(上側)と称する。また、管軸TAに対して垂直な方向を径方向と称する。なお、図示した例では、管軸TAを上下方向(鉛直方向)に示しているが、これに限らず、X線管装置1は、管軸TAが左右方向(水平方向)に延在するように、配置されてもよい。
【0013】
管容器3は、ほぼ円筒形状に形成され、管軸TAと同軸的に配置されている。管容器3は、例えば、金属材料で形成されている。管容器3の内壁に鉛板21が内貼りされている。X線管2は、略円筒状あるいは円柱状に形成され、管容器3内に、管軸TAと同軸的に配置されている。
【0014】
X線管装置1は、高電圧ケーブルを挿入接続するための高電圧リセプタクル4と、冷却パイプ5と、ジョイント部材(以下、単に、ジョイントと称する)6と、導水パイプ7と、高電圧リセプタクル4と導水パイプ7とを電気的に接続する導体スプリング8と、高電圧リセプタクル4の外側に設けられる円筒形状の絶縁筒体9と、後述する空盆10と内部空間22とを隔離するベローズ11と、を更に備えている。
【0015】
高電圧リセプタクル4は、高電圧ケーブルを接続するために、上端部が開口し、且つ有底の円筒形状に形成されている。高電圧リセプタクル4は、管容器3の上部内で、管軸TAと同軸的に配置され、管容器3の上側端部に連結されている。高電圧リセプタクル4は、そこ底部を内側から外側に貫通して設けられた複数の接続端子12を備えている。接続端子12は、高電圧リセプタクル4に挿入される外部電路のブッシングと、端子とを含んでいる。接続端子12は、導体スプリング8を介してジョイント6に電気的に接続されている。導体スプリング8は、高電圧リセプタクル4と導水パイプ7とを電気的に接続し、導水パイプ7を介して、高電圧を後述する陽極ターゲット(陽極)13に供給する。
【0016】
高電圧リセプタクル4と管容器3との間に、略円筒形状の絶縁筒体9が設けられている。絶縁筒体9は、管軸TAと同軸的に配置され、高電圧リセプタクル4の外周側を覆っている。絶縁筒体9は、例えば、上端部を管容器3の内側に固定されている。絶縁筒体9は、絶縁油が流通可能な構造とされている。
【0017】
管容器3(鉛板21)の内側の内部空間22には、絶縁油が充填されている。ここで、内部空間22は、例えば、管容器3の内側、X線管2及び高電圧リセプタクル4の外側、且つ後述する空盆10以外の空間である。
【0018】
冷却パイプ5は、冷却材、例えば、純水を流すための導管である。冷却パイプ5は、高電圧リセプタクル4と絶縁筒体9との間に螺旋状に設けられている。冷却パイプ5は、冷却材が供給される給水口5aを備える第1冷却パイプ5bと、冷却材が排出される排出口5dを備える第2冷却パイプ5cと、で構成されている。第1冷却パイプ5bは、給水口5aが冷却材の供給源である循環冷却装置等(図示せず)に接続され、給水口5aと反対側の端部がジョイント6に接続されている。一方、第2冷却パイプ5cは、排出口5dが循環冷却装置等(図示せず)に接続され、排出口5dと反対側の端部がジョイント6に接続されている。なお、冷却パイプ5は、螺旋状に設けられていなくともよい。冷却パイプ5は、高電圧リセプタクル4の外周壁に接触しないようにして保持された構造であればよい。
【0019】
ジョイント6は、X線管装置1の中心部、例えば、管軸TA上に設けられ、冷却パイプ5と導水パイプ7とを接続している。すなわち、ジョイント6に第1冷却パイプ5bの下端部および第2冷却パイプ5cの下端部が接続されている。導水パイプ7は、管軸TAに沿って延在し、ジョイント6から後述するX線管2の陽極ブロック14まで延びている。導水パイプ7の上端部は、ジョイント6に接続され、このジョイント6を介して冷却パイプ5に接続されている。ジョイント6の構成および配管の接続構造については後で詳細に説明する。
【0020】
導水パイプ(筒管)7は、円筒形状に形成された外側パイプ(第1筒管)7aと、外側パイプ7aの内側に同軸的に設けられた円筒形状の内側パイプ(第2筒管)7bと、を含む二重管構造を有している。導水パイプ7は、軸方向、例えば、管軸TAに沿って延長して設けられ、ジョイント6の下部に接続されている。
【0021】
外側パイプ7aの上端は、ジョイント6に液密に接続され、下端は陽極ブロック14の上部に液密に接合されている。内側パイプ7bは、外側パイプ7aの内径よりも小さい外径で形成されている。内側パイプ7bの上端部はジョイント6に接続あるいは嵌合され、下端部は、陽極ターゲット13の近傍まで延び、先端ノズル部24を構成している。
【0022】
X線管2は、陽極ターゲット(陽極)13と、陽極ブロック14と、電子を放出する陰極15と、ウェネルト電極16と、第1真空外囲器17と、第2真空外囲器18と、を備える。高電圧リセプタクル4に高電圧ケーブルが接続された場合、陽極ターゲット13と陰極15との間に、高電圧(管電圧)が印加される。
【0023】
陽極ブロック14は、管軸TAを中心軸とした有底の円筒形状に形成されている。陽極ブロック14の開口部側には、外側パイプ7aの下端部が固定されている。陽極ブロック14の内側には、内側パイプ7bの先端ノズル部24が配置されている。先端ノズル部24は陽極ブロック14の底板に隣接対向している。先端ノズル部24から陽極ブロック14の底部(又は、陽極ターゲット13の設置方向)に向かって、冷却水が放出される。
【0024】
X線管装置1において、前述したジョイント6、導水パイプ7、及び陽極ブロック14は、組み立てられることで、冷却材を流すための流路を構成する。なお、ジョイント6、導水パイプ7、及び陽極ブロック14は、夫々、別体として記載したが、冷却材を流す流路を構成すれば、全て一体で形成されていてもよいし、部分的に一体に形成されていてもよい。冷却材が、冷却パイプ5と、ジョイント6、導水パイプ7、及び陽極ブロック14で構成された流路を循環することで、内部空間22に充填された絶縁油や陽極ターゲット13等が冷却される。
【0025】
陽極ターゲット13は、陽極ブロック14の外側の底部に接合されている。陽極ターゲット13は、電子が衝撃することによってX線が発生する。このとき、陽極ターゲット13は、電子が衝撃することで温度が上昇するが、陽極ブロック14の内側の流路を流れる冷却材によって冷却される。陽極ターゲット13は、相対的に正の管電圧が印加される。
【0026】
陰極15は、リング状のフィラメントで形成され、陽極ターゲット13(または、陽極ブロック14)から径方向の外側に所定の間隔を空けて設けられている。陰極15は、電気的に接地されている。陰極15から放出される電子は、ウェネルト電極16の下端部を越えて陽極ターゲット13上に衝突する。
【0027】
ウェネルト電極16は、円形状に形成され、陽極ターゲット13と陰極15との間に設けられている。ウェネルト電極16は、陰極15から放出された電子を陽極ターゲット13上に集束させる。
【0028】
第1真空外囲器17は、内側円筒と、外側円筒とを有し、内側円筒と外側円筒との上端部が互いに接合されている。内側円筒及び外側円筒は、例えば、ガラス材、又はセラミックス材で形成されている。第1真空外囲器17は、内側円筒の下端部が陽極ブロック14に真空気密に接続され、外側円筒の下端部がX線管2の壁部に真空気密に接続され、X線管2の壁面の一部を構成している。
【0029】
第2真空外囲器18は、有底の略円筒形状に形成されている。第2真空外囲器18は、上端部がX線管の壁部に真空気密に接続され、X線管2の壁面の一部を構成している。第2真空外囲器18は、電気的に接地される。第2真空外囲器18は、底部の中心付近を貫通する開口部を有し、この開口部に、X線放射窓(窓部)19が真空気密に接合されている。X線放射窓19は、X線を透過する部材、例えば、ベリリウム薄板で形成されている。X線放射窓19は、陽極ターゲット13から発生するX線を透過し、X線をX線管装置1に外部へ放出する。また、X線管2は、外壁の一部に径方向の外側に突出する第1凸部20aと、第2凸部20bとを備えている。
【0030】
ベローズ11は、管容器3内で、X線管2の周囲に配設されている。ベローズ11は、第1凸部20aに一端部が固定され、他端部が第2凸部20bに固定されている。これにより、ベローズ11は、内部空間22と空盆10とを隔離している。ベローズ11は、樹脂性の弾性部材あるいはゴム部材で形成されている。ベローズ11は、内部空間22に充填されている絶縁油の膨張及び収縮等に応じて伸縮することにより、絶縁油の膨張および伸縮を空盆10で吸収する。
【0031】
次に、ジョイント6の構成および配管の接続構造について詳細に説明する。図2は、ジョイント部分を拡大して示す断面図、図3は、ジョイント本体および弾性部材を示す斜視図である。
【0032】
図1および図2に示すように、ジョイント6は、例えば、金属材料により有底の円筒形状に形成された本体6aを有している。本体6aは、高電圧リセプタクル4と導水パイプ7との間に、管軸TAと同軸的に配置されている。本体6aの上端壁(天井壁)は、導体スプリング8により高電圧リセプタクル4に電気的に接続されている。
【0033】
本体6aは、その内部に形成された、第1流路10a、第2流路10b、第3流路10cを有している。第1流路10aは、管軸TAと同軸的に形成され、本体6aの下端から上端近傍まで延在している。第1流路10aは、本体6aの下端に開口している。第1流路10aは、段付きの流路としている。すなわち、第1流路10aは、大径の第1大径流路10a1、および第1大径流路10a1よりも径の小さい第1小径流路10a2、こられ大径流路と小径流路との間に位置する段差10a3を有している。
【0034】
第1大径流路10a1は、本体6aの下端に開口しているとともに、本体6aの下端から本体6aの軸方向中途部まで延在している。第1小径流路10a2は、第1大径流路10a1の上端から本体6aの天井壁の近傍まで延在している。段差10a3は、環状を成し、管軸TAとほぼ直交する平面に位置している。
【0035】
第2流路10bは、管軸TAと直交する径方向に延在し、第1小径流路10a2に連通する一端と、本体6aの外周面に開口した他端とを有している。第3流路10cは、管軸TAと直交する径方向に延在し、第1大径流路10a1に連通する一端と、本体6aの外周面に開口した他端とを有している。
【0036】
本実施形態によれば、図2および図3に示すように、ジョイント6の本体6aは、環状の係合溝(段差部)20を有している。係合溝20は、段差10a3の近傍で、第1小径流路10a2の内周面に形成され、管軸TAとほぼ同軸的に設けられている。この係合溝20により、管軸TA(第1流路10aの中心軸)と直交する平面にそれぞれ位置する環状の第1当接面21aおよび第2当接面21bが規定されている。第1当接面21aおよび第2当接面21bは、管軸TA方向に所定の間隔を置いて、互いに対向している。
【0037】
図1および図2に示すように、ジョイント6の第2流路10bには、第1冷却パイプ5bの一端部が液密に接続されている。第3流路10cには、第2冷却パイプ5cの一端部が液密に接続されている。これにより、第1冷却パイプ5bおよび第2冷却パイプ5bは、それぞれ第2流路10bおよび第3流路10cを通して第1流路10aの第1小径流路10a2および第1大径流路10a1に連通している。
【0038】
導水パイプ7の外側パイプ7aは、ジョイント6の第1大径流路10a1の内径とほぼ同一の内径を有している。外側パイプ7aの上端は、溶接等により、本体6aの下端に液密に接合されている。これにより、外側パイプ7aはジョイント6の第1大径流路10a1に連通している。内側パイプ7bは、外側パイプ7a内に同軸的に配置されている。内側パイプ7bの上端部は、第1大径流路10a1内を通り、第1小径流路10a2に同軸的に嵌合されている。内側パイプ7bは、第1小径流路10a2の内径(穴径)と略同一の外径を有し、第1小径流路10a2との間に所定の公差の嵌合隙間を有している。これにより、内側パイプ7bは、第1小径流路10a2および第2流路10bを介して第1冷却パイプ5bに連通している。
【0039】
内側パイプ7bの上端部外周に弾性部材30が装着あるいは嵌合されている。同時に、弾性部材30は、本体6aの係合溝20に係合されている。弾性部材30は、内側パイプ7bの外周面と第1小径流路10a2との間の嵌合隙間を埋めるとともに、ジョイント6に対して内側パイプ7bを弾性的に支持し、振動および騒音の発生を抑制する機能を有している。
【0040】
図2および図3に示すように、本実施形態では、弾性部材30は、円筒状あるいはパイプ状に形成されている。弾性部材30は、例えば、内側パイプ7bの外径と略等しい内径を有する内孔(貫通孔)31を有する、段付きの円筒形状に形成されている。すなわち、弾性部材30は、大径の第1円筒部32aと、第1円筒部32aよりも外径の小さい第2円筒部32bと、これら円筒部間に形成された段差部と、を一体に有している。第1円筒部32aの外径および高さ(幅)は、前述したジョイント6の係合溝20の内径および幅とほぼ等しく形成されている。第2円筒部32bの外径は、第1小径流路10a2の内径よりも大きく、かつ、係合溝20の小径部の径とほぼ等しく形成されている。
【0041】
第1円筒部32aの上端面は、環状の第1係合面34aを構成し、第1円筒部32aの下面、すなわち、段差部は、環状の第2係合面34bを構成している。第1係合面34aおよび第2係合面34bは、管軸TA(内側パイプ7bの中心軸、第1小径流路10a2の中心軸)とほぼ直交する平面であり、管軸TA方向に所定の間隔を置いて、互いに対向している。
【0042】
このような弾性部材30は、合成樹脂性、ゴム等の弾性材料で形成されている。例えば、弾性部材30は、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレン・プロピレンゴム、及びニトリルゴムの内の少なくとも1つで構成されていればよい。
【0043】
弾性部材30は、内側パイプ7bの上端部外周に装着あるいは嵌合されている。同時に、弾性部材30は、本体6aの係合溝20に係合されている。弾性部材30の第1円筒部32aは、外周面が係合溝20の底面に弾性的に当接し、第1係合面34aおよび第2係合面34bがそれぞれ係合溝20の第1当接面21aおよび第2当接面21bに弾性的に当接している。また、第2円筒部32bの外周面は、係合溝20の小径部に弾性的に嵌合している。
【0044】
内側パイプ7bの外周面と第1小径流路10a2との間の嵌合隙間は弾性部材30により埋められている。また、内側パイプ7bの上端部は、弾性部材30によりジョイント6に対して弾性的に支持され、一定の嵌合隙間を維持している。これにより、内側パイプ7bに振動が伝わった場合でも、弾性部材30により内側パイプ7bの振動を吸収し、内側パイプ7bがジョイント6に当たって騒音を発生することが防止される。また、弾性部材30は、管軸TAと直交する平面である第1係合面34aおよび第2係合面34bが、同じく、管軸TAと直交する平面である第1当接面21aおよび第2当接面21bにそれぞれ当接、係合した状態で、係合溝20に装着されていることから、これら係合面および当接面により、管軸TA方向に沿った移動あるいは位置ずれが規制されている。そのため、弾性部材30は所定の嵌合位置に確実に保持され、上述した振動および騒音の低減効果を長期間に亘り安定して発揮することができる。
【0045】
上記のように構成されたX線管装置1において、冷却材は、第1冷却パイプ5bから送られ、ジョイント6の第2流路10bを介して上端部から内側パイプ7bに流入する。内側パイプ7bに流入した冷却材は、内側パイプ7bを通り先端ノズル部24から陽極ターゲット13が設置された陽極ブロック14の底部に向かって放出される。陽極ターゲット13を冷却した後、冷却材は、陽極ブロック14の内側表面、又は外側パイプ7aの内側表面と、内側パイプ7bの外周部とで構成された流路を通って、ジョイント6の第1流路10a1に流入する。更に、冷却材は、第3流路10cを介して第2冷却パイプ5cに送られ、第2冷却パイプ5cの排出口5dから排出される。
【0046】
X線管装置1は、高電圧リセプタクル4に高電圧ケーブルが接続された場合、陽極ターゲット13に管電圧が印加される。陰極15から放出された電子が陽極ターゲット13に衝撃し、X線が発生する。このとき、陽極ブロック14の内側に構成された流路を流れる冷却材によって、陽極ターゲット13が冷却される。この際、冷却材のサブクール沸騰やキャビテ―ションにより、気泡が発生する。そして、気泡が発生及び消滅することで、内側パイプ7bが振動をする。さらに、内側パイプ7bの上端部では、内側パイプ7bと第1流路10aとの間には嵌合隙間があるために、内側パイプ7bが、振動し、第1流路10aの壁面に接触し得る。そのため、内側パイプ7bで騒音が生じ得る。本実施形態では、内側パイプ7bの上端部と第1流路10aの壁面との間に、弾性部材30が設置されているため、内側パイプ7bの端部と第1流路10aとの嵌合隙間がばらついたとしても、内側パイプ7bの振動が抑制される。また、弾性部材30およびジョイント6に段差部を設け、接触面積が大きい構造とすることにより、第1流路10aの軸方向(管軸TA方向)に沿った弾性部材30の移動、位置ずれを規制し、長期間に亘り、弾性部材30を所定位置に保持することができる。これにより、弾性部材30による振動、騒音の低減効果を継続的に発揮することが可能となる。
【0047】
以上のことから、本実施形態によれば、振動および騒音を安定して低減することが可能なX線管装置が得られる。
【0048】
次に、他の実施形態に係るX線管装置について説明する。以下に述べる他の実施形態において、上述した第1の実施形態と同一の部分には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略あるいは簡略化し、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係るX線管装置のジョイント部分を拡大して示す断面図、図5は、前記ジョイント部の本体および弾性部材を示す斜視図である。
【0049】
図4および図5に示すように、ジョイント6の本体6aは、第1小径流路10a2の周囲に設けられた段差部を有している。本実施形態において、この段差部は、環状の係合溝20により構成されている。係合溝20は、段差10a3の近傍で、第1小径流路10a2の内周面に形成され、管軸TAとほぼ同軸的に設けられている。係合溝20により、管軸TA(第1小径流路の中心軸)と直交する平面にそれぞれ位置する環状の第1当接面21aおよび第2当接面21bが規定されている。第1当接面21aおよび第2当接面21bは、管軸TA方向に所定の間隔を置いて、互いに対向している。
【0050】
本実施形態よれば、弾性部材30は、段差部を有する構造ではなく、Oリング状あるいはパイプ状に形成されている。弾性部材30の断面形状は、円形、楕円形、多角形のいずれでもよい。弾性部材30は、樹脂性のゴム部材で形成されている。例えば、弾性部材30は、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレン・プロピレンゴム、及びニトリルゴムの内の少なくとも1つで構成されていればよい。弾性部材30の内径は、内側パイプ7bの外径とほぼ等しくあるいは外径よりも僅かに小さく形成されている。弾性部材30の外径は、第1小径流路10a2の内径よりも大きな径に形成されている。更に、弾性部材30の断面の幅(高さ、あるいは径)は、係合溝20の幅と同等以上に形成されている。
【0051】
弾性部材30は、内側パイプ7bの上端部外周に装着あるいは嵌合されている。同時に、弾性部材30は、本体6aの係合溝20に係合されている。弾性部材30の外面は、少なくとも第1当接面21aおよび第2当接面21bに弾性的に当接し、これら当接面の間に挟まれている。
【0052】
本実施形態においても、内側パイプ7bの外周面と第1小径流路10a2との間の嵌合隙間は弾性部材30により埋められている。内側パイプ7bの上端部は、弾性部材30によりジョイント6に対して弾性的に支持され、一定の嵌合隙間を維持している。これにより、内側パイプ7bに振動が伝わった場合でも、弾性部材30により内側パイプ7bの振動を吸収し、内側パイプ7bがジョイント6に当たって騒音を発生することが防止される。また、弾性部材30は、管軸TAと直交する平面である第1当接面21aおよび第2当接面21bにそれぞれ当接、係合した状態で、係合溝(段差部)20に装着されていることから、これら当接面により、管軸TA方向に沿った移動あるいは位置ずれが規制されている。そのため、弾性部材30は所定の嵌合位置に確実に保持され、上述した振動および騒音の低減効果を長期間に亘り安定して発揮することができる。
【0053】
以上のことから、本実施形態によれば、振動および騒音を安定して低減することが可能なX線管装置が得られる。
【0054】
本発明は上記実施形態あるいは変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0055】
X線管装置を構成する要素の材料、形状、大きさ等は、上述した実施形態に限定されることなく、必要に応じて種々変更可能である。ジョイント6の段差部は、弾性部材30の軸方向の移動を規制する第1および第2当接面を有していればよく、これらの当接面は、管軸と直交する平面に限らず、管軸と交差する方向に延びる平面あるいは曲面であればよい。例えば、図6に示すように、ジョイント6の係合溝(段差部)20は、三角形の断面形状を有し、それぞれ管軸に対して交差するように延在した第1当接面21aおよび第2当接面21bを有していてもよい。あるいは、図7に示すように、係合溝(段差部)20は、半円の断面形状を有し、管軸に対して交差する方向に湾曲した第1当接面21aおよび第2当接面21bを有していてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1…X線管装置、2…X線管、3…管容器、4…高電圧リセプタクル、
5…冷却パイプ、6…ジョイント接続部、6a…本体、7…導水パイプ、
7a…外側パイプ、7b…内側パイプ、8…導体スプリング、9…絶縁筒体、
10a…第1流路、10a1…第1大径流路、10a2…第1小径流路、
11…ベローズ、12…接続端子、13…陽極ターゲット、14…陽極ブロック、
15…陰極、16…ウェネルト電極、17…第1真空外囲器、18…第2真空外囲器、
20…係合溝(段差部)、21a…第1当接面、21b…第2当接面、
24…先端ノズル部、30…弾性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7