(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、説明の理解を助けるため、各図面における各構成要素の寸法比は、必ずしも実際の発光素子の寸法比と一致しない。
【0020】
図1は、実施の形態に係る半導体発光素子10の構成を概略的に示す断面図である。半導体発光素子10は、ベース構造体20と、発光構造体30とを備える。ベース構造体20は、基板22、第1ベース層24、第2ベース層26を含む。発光構造体30は、n型クラッド層32、活性層34、電子ブロック層36、p型クラッド層38、p側電極40、n側電極42を含む。
【0021】
半導体発光素子10は、中心波長が約365nm以下となる「深紫外光」を発するように構成される半導体発光素子である。このような波長の深紫外光を出力するため、活性層34は、バンドギャップが約3.4eV以上となる窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系半導体材料で構成される。本実施の形態では、特に中心波長が約310nm以下の深紫外光を発する場合について示す。
【0022】
本明細書において、「AlGaN系半導体材料」とは、主に窒化アルミニウム(AlN)と窒化ガリウム(GaN)を含む半導体材料のことをいい、窒化インジウム(InN)などの他の材料を含有する半導体材料を含むものとする。したがって、本明細書にいう「AlGaN系半導体材料」は、例えば、In
1−x−yAl
xGa
yN(0≦x+y≦1、0≦x≦1、0≦y≦1)の組成で表すことができ、AlN、GaN、AlGaN、窒化インジウムアルミニウム(InAlN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)、窒化インジウムアルミニウムガリウム(InAlGaN)を含むものとする。
【0023】
また「AlGaN系半導体材料」のうち、AlNを実質的に含まない材料を区別するために「GaN系半導体材料」ということがある。「GaN系半導体材料」には、主にGaNやInGaNが含まれ、これらに微量のAlNを含有する材料も含まれる。同様に、「AlGaN系半導体材料」のうち、GaNを実質的に含まない材料を区別するために「AlN系半導体材料」ということがある。「AlN系半導体材料」には、主にAlNやInAlNが含まれ、これらに微量のGaNが含有される材料も含まれる。
【0024】
基板22は、サファイア(Al
2O
3)基板である。基板22は、変形例において窒化アルミニウム(AlN)基板であってもよい。基板22は、第1主面22aと、第1主面22aの反対側の第2主面22bとを有する。第1主面22aは、結晶成長面となる一主面であり、例えば、サファイア基板の(0001)面である。第2主面22bは、光取出面となる一主面であり、サブミクロン程度の微小な凹凸構造(テクスチャ構造)50が形成される。凹凸構造50の詳細な構造については別途後述する。
【0025】
基板22の厚さtは、1μm以上であり、例えば、5μm、10μm、100μm、300μm、500μm程度の厚さを有する。基板22の厚さtは、凹凸構造50の高さh
Aの2倍以上であり、典型的には凹凸構造50の高さh
Aの10倍以上である。したがって、基板22の第1主面22aから凹凸構造50との境界面22cまでの高さh
Bは、凹凸構造50の高さh
Aより大きく、凹凸構造50の高さh
Aの2倍以上である。
【0026】
基板22の第1主面22a上には、第1ベース層24および第2ベース層26が積層される。第1ベース層24は、AlN系半導体材料で形成される層であり、例えば、高温成長させたAlN(HT−AlN)層である。第2ベース層26は、AlGaN系半導体材料で形成される層であり、例えば、アンドープのAlGaN(u−AlGaN)層である。
【0027】
基板22、第1ベース層24および第2ベース層26は、n型クラッド層32から上の層を形成するための下地層(テンプレート)として機能する。またこれらの層は、活性層34が発する深紫外光を外部に取り出すための光取出層として機能し、活性層34が発する深紫外光を透過する。第1ベース層24および第2ベース層26は、活性層34からの深紫外光の透過率が高まるように、活性層34よりもAlN比率の高いAlGaN系またはAlN系材料で構成されることが好ましく、活性層34より低屈折率の材料で構成されることが好ましい。また、第1ベース層24および第2ベース層26は、基板22より高屈折率の材料で構成されることが好ましい。例えば、基板22がサファイア基板(屈折率n
1=1.8程度)であり、活性層34がAlGaN系半導体材料(屈折率n
3=2.4〜2.6程度)である場合、第1ベース層24や第2ベース層26は、AlN層(屈折率n
2=2.1程度)や、AlN組成比が相対的に高いAlGaN系半導体材料(屈折率n
2=2.2〜2.3程度)で構成されることが好ましい。
【0028】
n型クラッド層32は、第2ベース層26の上に設けられるn型半導体層である。n型クラッド層32は、n型のAlGaN系半導体材料で形成され、例えば、n型の不純物としてシリコン(Si)がドープされるAlGaN層である。n型クラッド層32は、活性層34が発する深紫外光を透過するように組成比が選択され、例えば、AlNのモル分率が40%以上、好ましくは、50%以上となるように形成される。n型クラッド層32は、活性層34が発する深紫外光の波長よりも大きいバンドギャップを有し、例えば、バンドギャップが4.3eV以上となるように形成される。n型クラッド層32は、100nm〜300nm程度の厚さを有し、例えば、200nm程度の厚さを有する。
【0029】
活性層34は、n型クラッド層32の一部領域上に形成される。活性層34は、AlGaN系半導体材料で形成され、n型クラッド層32と電子ブロック層36に挟まれてダブルヘテロ接合構造を構成する。活性層34は、単層もしくは多層の量子井戸構造を構成してもよい。このような量子井戸構造は、例えば、アンドープのAlGaN系半導体材料で形成されるバリア層と、アンドープのAlGaN系半導体材料で形成される井戸層とを積層させることにより形成される。活性層34は、波長355nm以下の深紫外光を出力するためにバンドギャップが3.4eV以上となるように構成され、例えば、波長310nm以下の深紫外光を出力できるようにAlN組成比が選択される。
【0030】
電子ブロック層36は、活性層34の上に形成される。電子ブロック層36は、p型のAlGaN系半導体材料で形成される層であり、例えば、アンドープのAlGaN層である。電子ブロック層36は、例えば、AlNのモル分率が40%以上、好ましくは、50%以上となるように形成される。電子ブロック層36は、AlNのモル分率が80%以上となるように形成されてもよく、実質的にGaNを含まないAlN系半導体材料で形成されてもよい。電子ブロック層36は、p型の不純物としてマグネシウム(Mg)がドープされるAlGaN系半導体材料またはAlN系半導体材料で形成されてもよい。電子ブロック層36は、1nm〜10nm程度の厚さを有し、例えば、2nm〜5nm程度の厚さを有する。
【0031】
p型クラッド層38は、電子ブロック層36の上に形成される。p型クラッド層38は、p型のAlGaN系半導体材料で形成される層であり、例えば、MgドープのAlGaN層である。p型クラッド層38は、電子ブロック層36よりもAlNのモル分率が低くなるように組成比が選択される。p型クラッド層38は、300nm〜700nm程度の厚さを有し、例えば、400nm〜600nm程度の厚さを有する。
【0032】
p側電極40は、p型クラッド層38の上に設けられる。p側電極40は、p型クラッド層38との間でオーミック接触が実現できる材料で形成され、例えば、ニッケル(Ni)/金(Au)の積層構造により形成される。
【0033】
n側電極42は、n型クラッド層32の上に設けられる。n側電極42は、Ti/Al系電極であり、例えば、チタン(Ti)/Al/Ti/AuまたはTi/Al/Ni/Auの積層構造により形成される。
【0034】
凹凸構造50は、光取出層である基板22の第2主面(光取出面ともいう)22bに形成される。凹凸構造50は、第2主面22bにおける反射または全反射を抑制し、第2主面22bから出力される深紫外光の外部取出効率を高める。凹凸構造50は、光取出面にアレイ状に形成される複数の錐形状部52を有する。錐形状部52は、基板22と同じ材料で構成され、例えばサファイア(Al
2O
3)や窒化アルミニウム(AlN)で構成される。
【0035】
錐形状部52は、側面の傾斜角が相対的に大きい第1部分53と、側面の傾斜角が相対的に小さい第2部分54とを有する。第1部分53は、錐形状部52の底部側(
図1の紙面の上側)に位置し、第2部分54は、錐形状部52の頂部側(
図1の紙面の下側)に位置する。
【0036】
図1において、凹凸構造50は、第2主面22bのほぼ全面に形成される。凹凸構造50は、第2主面22bの一部領域にのみ形成されてもよく、例えば、第2主面22bの内側領域C1のみに形成され、外周領域C2には形成されなくてもよい。外周領域C2の大きさは特に限られないが、例えば、1μm〜50μm程度の範囲である。
【0037】
図2は、凹凸構造50の構成を概略的に示す断面図であり、
図1の部分拡大図に相当する。
図2では、
図1とは上下方向を逆にしている。複数の錐形状部52(52a,52b、52c)は、所定のピッチpで並ぶように形成される。ここで、錐形状部52のピッチpは、隣接する錐形状部52(例えば、52b,52c)の頂部56の間の距離である。錐形状部52のピッチpは、100nm以上1000nm以下となるよう形成され、例えば、250nm以上600nm以下となるように形成される。
【0038】
複数の錐形状部52は、ほぼ均一な高さh
Aを有するように形成される。錐形状部52の高さh
Aは、150nm以上900nm以下であり、好ましくは240nm以上600nm以下である。錐形状部52の高さh
Aは、錐形状部52のピッチpの0.3倍以上1.5倍以下であり、好ましくはピッチpの0.5倍以上1.0倍以下である。例えば、錐形状部52のピッチpが400nmであれば、錐形状部52の高さhは120nm以上600nm以下であり、好ましくは200nm以上400nm以下である。錐形状部52の高さh
Aは、ある程度(例えば、5%〜30%程度)のばらつきを有してもよい。
【0039】
錐形状部52は、側面の傾斜角が第1角度θ
1である第1部分53と、側面の傾斜角が第2角度θ
2である第2部分54とを有する。第1部分53は、錐形状部52の底部55を含む部分であり、第2部分54は、錐形状部52の頂部56を含む部分である。ここで、第1部分53の第1角度θ
1とは、錐形状部52の側面と、錐形状部52の底面とみなすことのできる境界面22cとのなす角度であり、錐形状部52の底部55における側面の傾斜角である。一方、第2部分54の第2角度θ
2とは、第1部分53と第2部分54の境界付近における側面の傾斜角である。
【0040】
第1角度θ
1と第2角度θ
2を比較すると、第1角度θ
1の方が第2角度θ
2より大きい(つまり、θ
1>θ
2)。したがって、錐形状部52は、底部55の近傍よりも頂部56の近傍において側面の傾斜がなだらかとなる形状を有する。第1角度θ
1は、45度以上であり、60度以上85度以下であることが好ましい。第2角度θ
2は、60度以下であり、40度以上60度以下であることが好ましい。第1角度θ
1と第2角度θ
2の角度差Δθ(θ
1−θ
2)は、10度以上であることが好ましく、15度以上または20度以上であることがより好ましい。
【0041】
錐形状部52において、第1部分53の高さh
1よりも第2部分54の高さh
2が大きい。第2部分54の高さh
2は、第1部分53の高さh
1の1.1倍以上であることが好ましく、1.5倍以上であることが好ましい。第2部分54の高さh
2は、例えば、第1部分53の高さh
1の2倍〜3倍程度である。したがって、第2部分54の高さh
2は、錐形状部52の全体の高さh
Aの50%以上を占めることが好ましく、60%〜75%程度を占めることが好ましい。また、第2部分54の高さh
2は、錐形状部52の全体の高さh
Aの80%以下であることが好ましく、第1部分53がある程度の割合(20%以上)を占めることが好ましい。
【0042】
図示される錐形状部52は、第1部分53および第2部分54のそれぞれの側面の傾斜角が一定であり、境界面22cに直交する
図2の断面視において側面が直線的に形成されている。しかしながら、第1部分53および第2部分54のそれぞれの側面の傾斜角は一定でなくてもよく、傾斜角が徐々に変化するような形状を有してもよい。例えば、第1部分53の傾斜角θ
1が実質的に一定であり、第2部分54の傾斜角θ
2が頂部56に向けて徐々に小さくなる形状を有してもよい。例えば、第2部分54の側面は、錐形状部52の外側に向かって凸となる曲面形状を有してもよい。
【0043】
図3は、凹凸構造50の構成を模式的に示す上面図であり、
図2の複数の錐形状部52の配置を模式的に示す。
図2は、
図3のA−A線断面に対応する。複数の錐形状部52は、図示されるように三角格子状に並んで配置される。錐形状部52は、光取出面22bの平面視において、外郭が六角形に近似した形状を有しており、六角形と円形の中間の形状を有する。ここで、「六角形と円形の中間の形状」とは、六角形とその内接円の間の領域内に輪郭線がおおむね位置するような形状であり、七角形以上の多角形(例えば、八角形、十二角形、二十四角形)や、六角形以上の多角形の角に丸みを持たせたような形状のことをいう。例えば、六角形とその内接円の間の領域の面積の10%以上、好ましくは20%以上が輪郭線の内側に含まれるような形状であってもよい。このような「六角形と円形の中間の形状」の場合、基準となる円形(例えば、内接円)の面積に比べて占める面積が大きくなる。このようにして、錐形状部52の外郭を六角形に近似させて「六角形と円形の中間の形状」にすることにより、第2主面22bの平面視の単位面積あたりに複数の錐形状部52が占める面積の割合を大きくすることができる。例えば、円形状の錐形状部を六方最密充填した場合には充填率が90%程度となるが、錐形状部52の外郭を六角形に近似させることにより、充填率を91%以上にできる。
【0044】
錐形状部52は、第2主面22bの平面視、つまり、錐形状部52の高さ方向に直交する断面が高さ方向に変化する形状を有してもよい。例えば、高さ方向に直交する第1部分53の断面形状と、高さ方向に直交する第2部分54の断面形状とが異なってもよい。第1部分53は、高さ方向に直交する断面形状が六角形または六角形と円形の中間の形状を有する一方、第2部分54は、高さ方向に直交する断面形状が第1部分53に比べて円形に近い形状を有してもよい。例えば、第2部分54の高さ方向に直交する断面形状は、第1部分53の高さ方向に直交する断面形状に比べて角部の丸みが大きく、角部の曲率が小さい(つまり、曲率半径が大きい)形状を有してもよい。なお、第1部分53と第2部分54の形状差を真円度により規定してもよく、例えばJIS規格(JIS B 0621−1984)に定める最大曲率半径と最小曲率半径の差の大小により円形に相対的に近い形状であるか否かが判別されてもよい。この場合、第2部分54は、第1部分53よりも真円度の小さい形状であってもよい。
【0045】
複数の錐形状部52は、隣接する錐形状部52(例えば、52a,52b)の隙間が小さいことが好ましく、錐形状部52の幅ないし直径φと、隣接する錐形状部52のピッチpが同程度であることが好ましい。錐形状部52の直径φは、ピッチpの0.85倍以上となるように形成され、ピッチpの0.9倍以上となるように形成されることが好ましい。錐形状部52の直径φをピッチpの0.85倍以上とすることにより、第2主面22bの平面視の単位面積あたりに占める複数の錐形状部52の充填率を65%以上にできる。
【0046】
つづいて、半導体発光素子10の製造方法について述べる。
図4は、半導体発光素子10の製造方法を示すフローチャートである。まず、光取出層を備える発光素子を準備し(S10)、光取出層上にアレイ状パターンの樹脂マスクを形成する(S12)。つづいて、マスクの上からマスクと光取出層をドライエッチングし、マスク全体が除去されるまでエッチングする第1ドライエッチング工程を実行する(S14)。つづいて、第1ドライエッチング工程にてマスクが除去されてから光取出層をさらにドライエッチングする第2ドライエッチング工程を実行する(S16)。本実施の形態では、マスクが除去されるまでの第1ドライエッチング工程と、マスクが除去されてからさらにオーバエッチングする第2ドライエッチング工程とを実行する。
【0047】
発光素子を準備する工程では、凹凸構造50が形成されていない基板22を用意し、基板22の第1主面22a上に第1ベース層24、第2ベース層26、n型クラッド層32、活性層34、電子ブロック層36、p型クラッド層38を順に積層させる。AlGaN系またはGaN系半導体材料で形成される第2ベース層26、n型クラッド層32、活性層34、電子ブロック層36およびp型クラッド層38は、有機金属化学気相成長(MOVPE)法や、分子線エピタキシ(MBE)法などの周知のエピタキシャル成長法を用いて形成できる。
【0048】
次に、n型クラッド層32の上に積層される活性層34、電子ブロック層36、p型クラッド層38の一部を除去し、n型クラッド層32の一部領域を露出させる。例えば、p型クラッド層38の一部領域を避けてマスクを形成し、反応性イオンエッチングやプラズマ等を用いたドライエッチングを行うことにより、活性層34、電子ブロック層36、p型クラッド層38の一部を除去し、n型クラッド層32の一部領域を露出させることができる。
【0049】
次に、露出したn型クラッド層32の一部領域上にn側電極42が形成され、p型クラッド層38の上にp側電極40が形成される。p側電極40およびn側電極42を構成する各金属層は、例えば、電子ビーム蒸着法やスパッタリング法などの周知の方法により形成することができる。
【0050】
次に、基板22の第2主面22bに凹凸構造50が形成される。
図5〜
図9は、凹凸構造50の製造工程を模式的に示す図であり、凹凸構造50が未形成の光取出層60の被処理面60cに対する処理工程を示す。光取出層60は、光取出面が形成されるべき層であり、
図1に示す半導体発光素子10の基板22に対応する層である。
【0051】
図5は、光取出層60の上にマスク62を形成する工程を示す。光取出層60の被処理面60cは、例えばサファイア基板の(0001)面(c面)である。マスク62は、凹凸構造50の錐形状部52に対応したアレイ状のパターンを有し、アレイ状に配置される複数の柱状部64を有する。複数の柱状部64は、三角格子状に配置され、それぞれが角柱または円柱形状を有する。柱状部64にはわずかなテーパ角が設けられてもよく、角錐台または円錐台形状であってもよい。マスク62は、例えば、ナノインプリント技術を用いてレジスト樹脂により形成される。なお、マスク62を形成する方法は特に限定されず、露光や電子ビーム描画などによるリソグラフィ技術を用いて形成されてもよい。
【0052】
マスク62は、隣接する柱状部64のピッチp
Cが錐形状部52のピッチpと同じとなるように形成される。柱状部64の高さh
Cは、第1ドライエッチング工程にて形成される錐形状部66の高さh
0(
図7参照、詳細は後述)と、光取出層60およびマスク62のエッチングレート比とに基づいて決められる。光取出層60のエッチングレートをe、マスク62のエッチングレートをe
Cとすると、柱状部64の高さはh
C≒h
0・e
C/eの式から求めることができる。なお、柱状部64の高さh
Cは、上記式で算出される値よりも少しだけ大きくてもよく、h
0・e
C/eの値より5%〜15%程度大きくてもよい。柱状部64の直径φ
Cは、柱状部64のピッチp
Cよりも小さく、例えば、ピッチp
Cの80%〜95%程度である。柱状部64の直径φ
Cは、最終的に形成される錐形状部52の直径φより小さくてもよい。
【0053】
つづいて、マスク62の上からドライエッチング処理が実行される。光取出層60およびマスク62のドライエッチング方法として、反応性イオンエッチング(RIE;Reactive Ion Etching)を用いることができ、より具体的には、誘導結合型プラズマ(ICP;Inductive Coupling Plasma)によるプラズマエッチングを用いることができる。プラズマエッチングに用いるガス種は特に限定されないが、エッチングガスとして塩素(Cl
2)や三塩化ホウ素(BCl
3)などの塩素系ガスを用いることが好ましい。これらのエッチングガスを用いることにより、光取出層60を構成するサファイアまたは窒化アルミニウム、および、マスク62を構成するレジスト樹脂を好適にエッチングできる。
【0054】
図6は、ドライエッチングされる光取出層60およびマスク62を模式的に示し、上述の第1ドライエッチング工程の中途の状態を示す。第1ドライエッチング工程では、柱状部64が上方および側方から等方的にエッチングされ、エッチング工程が進むにつれて柱状部64の高さh
Cおよび直径φ
Cが小さくなっていく。一方、マスク62の下に位置する光取出層60は、マスク62に覆われていない箇所がエッチングされていく。柱状部64の被覆領域は時間経過とともに柱状部64の中心に向かって縮小していくため、光取出層60がエッチングされる領域は時間経過とともに増大していく。その結果、柱状部64の中心からの距離に応じて光取出層60の深さ方向のエッチング量が異なり、マスク62の下方には傾斜面67を有する円錐台または角錐台に近似した錐形状部66が形成される。錐形状部66は、マスク62のアレイ状パターンに対応する位置に形成され、複数の柱状部64のそれぞれに対応する位置に形成される。
【0055】
図7は、ドライエッチングされる光取出層60およびマスク62を模式的に示し、第1ドライエッチング工程の終了直前の状態を示す。
図6に示す状態からさらにドライエッチング工程を進めると、柱状部64はさらに小さくなり、最終的には光取出層60の上からマスク62の全体が除去される。光取出層60は、錐形状部66の頂部68の幅(直径)がより小さくなるようエッチングされる。その結果、頂部68が尖った円錐または角錐に近似した形状の錐形状部66が形成される。
【0056】
第1ドライエッチング工程により形成される錐形状部66の高さh
0は、第1ドライエッチング工程により光取出層60がエッチングされる深さ方向のエッチング量(第1エッチング量ともいう)に相当し、h
0=h
C・e/e
Cの式で表すことができる。ここで、h
Cはマスク62の初期の高さであり、eは光取出層60のエッチングレートであり、e
Cはマスク62のエッチングレートである。
【0057】
第1ドライエッチング工程後の錐形状部66は、ピッチp
0に対する高さh
0の割合であるアスペクト比h
0/p
0が1以上となるように形成されることが好ましく、1.1以上となるように形成されることが好ましい。例えば、錐形状部66のピッチp
0が400nmであれば、錐形状部66の高さh
0は440nm以上であることが好ましい。第1ドライエッチング工程後の錐形状部66のアスペクト比を1以上とすることにより、第2ドライエッチング工程後に形成される錐形状部52のアスペクト比h/pを適切な値(例えば、0.3以上1.0以下)にできる。
【0058】
第1ドライエッチング工程後の錐形状部66は、上述の
図2に示す錐形状部52と異なり、傾斜面67が一定の傾斜角θ
0を有するように形成される。つまり、第1ドライエッチング工程後の錐形状部66は、傾斜角が段階的に変化するような第1部分および第2部分を有していない。第1ドライエッチング工程後の錐形状部66の傾斜面67の傾斜角θ
0は、上述のアスペクト比にもよるが、例えば、50度以上であり、60度以上である。傾斜面67の傾斜角θ
0は、典型的には、上述の第1角度θ
1よりも小さく、第2角度θ
2よりも大きい(つまり、θ
1>θ
0>θ
2)。
【0059】
図8は、
図7に示す複数の錐形状部66(例えば、66a,66b,66c)の構造を模式的に示す上面図であり、マスク62として円柱状の柱状部64を用いた場合の例を示す。
図7は、
図8のB−B線断面に対応する。図示されるように、被処理面60cの平面視において、第1ドライエッチング工程後の錐形状部66の外郭は柱状部64の形状に対応した円形状である。複数の錐形状部66の間には隙間d
0(=p
0−φ
0)が存在し、隙間d
0の大きさは、例えば、ピッチp
0の5%〜20%程度である。第1ドライエッチング工程において、隙間d
0が設けられるようにすることで、形成される錐形状部66のアスペクト比を大きく(典型的には1.1以上に)できる。
【0060】
本実施の形態では、第1ドライエッチング工程にてマスク62全体が除去された後、光取出層60をさらにドライエッチングする第2ドライエッチング工程が実行される。第2ドライエッチング工程は、第1ドライエッチング工程とエッチング条件が実質的に同じエッチング工程であり、第1ドライエッチング工程と連続して実行される。つまり、エッチング処理室に発光素子を入れたままの状態で第1ドライエッチング工程につづいて第2ドライエッチング工程が実行される。変形例においては、第2ドライエッチング工程が第1ドライエッチング工程と分離して実行されてもよく、第1ドライエッチング工程と第2ドライエッチング工程の間に何らかの追加処理が実行されてもよい。また、第1ドライエッチング工程と第2ドライエッチング工程の処理条件を異ならせてもよい。例えば、エッチングガス、エッチングレートなどの処理条件を異ならせてもよい。
【0061】
図9は、第2ドライエッチング工程後に形成される複数の錐形状部52の構造を模式的に示す断面図である。
図7に示す円錐状の錐形状部66に対してドライエッチング処理をさらに加えることにより、傾斜角の異なる第1部分53および第2部分54を有する錐形状部52が形成される。第2ドライエッチング工程は、マスク62が存在しない状態で実行される、いわゆるマスクレスでのフリーランニングのドライエッチング処理である。
【0062】
第2ドライエッチング工程の開始時は、錐形状部66の頂部68が尖っているため、プラズマエッチング中に印加される電界が頂部68に集中しやすく、頂部68の近傍におけるエッチングレートが相対的に高くなる。その結果、頂部68の付近がより多くエッチングされ、相対的に小さい傾斜角θ
2の第2部分54が頂部56側に形成されると考えられる。
【0063】
第2ドライエッチング工程では、ドライエッチングにより生じる反応生成物がランダムに光取出層60の表面に付着(再付着)しうる。
図7に示す錐形状部66の底部69付近は、頂部68付近と比べて相対的にエッチングレートが低いため、ドライエッチングにより生じる反応生成物が付着しやすいと考えられる。その結果、錐形状部66の底部69付近に反応生成物がより多く付着し、
図7に示す錐形状部66の直径φ
0に比べて、第2ドライエッチング後の錐形状部52の直径φが大きくなり、隣接する錐形状部66の隙間d
0も縮小すると考えられる。このようにして、第2部分54に比べて相対的に大きい傾斜角θ
1の第1部分53が形成される。また、被処理面60cの平面視において、外郭が円形よりも六角形に近い錐形状部52が形成され、単位面積あたりに占める複数の錐形状部52の面積割合が
図7に示す錐形状部66に比べて大きくなる。
【0064】
第2ドライエッチング工程後に形成される錐形状部52の形状は、第2ドライエッチング工程前の錐形状部66の形状と、第2ドライエッチング工程のエッチング量h
Dとを調整することにより好適に制御できる。具体的には、第2ドライエッチング工程前の錐形状部66のアスペクト比h
0/p
0をある一定値以上とすることで、第2ドライエッチング工程後の錐形状部52のアスペクト比h/pを好適な値にすることができる。また、第2ドライエッチング工程でのエッチング量h
Dを一定範囲とすることにより、第1部分53の高さh
1よりも第2部分54の高さh
2が大きい錐形状部52を形成できる。
【0065】
図10(a)−(e)は、実施例に係る凹凸構造50を示す電子顕微鏡画像である。
図10(a)は、第1ドライエッチング工程後の錐形状部66に対応する凹凸構造であり、錐形状部の側面の傾斜角が一定となっている。
図10(b)−(e)は、第2ドライエッチング工程後の錐形状部52に対応する凹凸構造であり、錐形状部の側面の傾斜角が高さ方向の位置に応じて変化している。分かりやすさのため、
図10(b)−(e)では、錐形状部52の第1部分53および第2部分54に相当する部分を破線で示している。
【0066】
図10(a)の第1実施例は、ピッチpが約460nm、直径φが約410nm、高さhが約600nm、斜面の傾斜角θが約75度である。アスペクト比h/pは、約1.3であり、単位面積あたりに複数の錐形状部が占める面積割合は、約72%である。第1実施例では、凹凸構造が設けられない発光素子に比べて、約10%の光出力向上が見られた。
【0067】
図10(b)の第2実施例は、ピッチpが約460nm、直径φが約380nm、高さhが約550nmであり、アスペクト比h/pが約1.2であり、単位面積あたりに複数の錐形状部が占める面積割合は、約61%である。第1部分の高さh
1は、約340nmであり、第1部分の傾斜角θ
1は、約80度である。第2部分の高さh
2は、約210nmであり、第2部分の傾斜角θ
2は、約62度である。第2部分の高さの割合h
2/h
Aは、約39%であり、第1角度θ
1と第2角度θ
2の角度差Δθは、約18度である。第2実施例では、凹凸構造が設けられない発光素子に比べて、約25%の光出力向上が見られた。
【0068】
図10(c)の第3実施例は、ピッチpが約460nm、直径φが約420nm、高さhが約420nmであり、アスペクト比h/pが約1.0であり、単位面積あたりに複数の錐形状部が占める面積割合は、約68%である。第1部分の高さh
1は、約160nmであり、第1部分の傾斜角θ
1は、約82度である。第2部分の高さh
2は、約260nmであり、第2部分の傾斜角θ
2は、約55度である。第2部分の高さの割合h
2/h
Aは、約62%であり、第1角度θ
1と第2角度θ
2の角度差Δθは、約27度である。第3実施例では、凹凸構造が設けられない発光素子に比べて、約34%の光出力向上が見られた。
【0069】
図10(d)の第4実施例は、ピッチpが約460nm、直径φが約460nm、高さhが約350nmであり、アスペクト比h/pが約0.76であり、単位面積あたりに複数の錐形状部が占める面積割合は、約91%である。第1部分の高さh
1は、約120nmであり、第1部分の傾斜角θ
1は、約85度である。第2部分の高さh
2は、約230nmであり、第2部分の傾斜角θ
2は、約47度である。第2部分の高さの割合h
2/h
Aは、約66%であり、第1角度θ
1と第2角度θ
2の角度差Δθは、約38度である。第4実施例では、凹凸構造が設けられない発光素子に比べて、約34%の光出力向上が見られた。
【0070】
図10(e)の第5実施例は、ピッチpが約310nm、直径φが約310nm、高さhが約180nmであり、アスペクト比h/pが約0.58である。単位面積あたりに複数の錐形状部が占める面積割合は、約92%である。第1部分の高さh
1は、約55nmであり、第1部分の傾斜角θ
1は、約65度である。第2部分の高さh
2は、約125nmであり、第2部分の傾斜角θ
2は、約43度である。したがって、第2部分の高さの割合h
2/h
Aは、約70%であり、第1角度θ
1と第2角度θ
2の角度差Δθは、約22度である。第5実施例では、凹凸構造が設けられない発光素子に比べて、約30%の光出力向上が見られた。
【0071】
図11は、実施例に係る凹凸構造50の第2部分54の高さh
2の割合と光出力の関係を示すグラフである。図示されるように、第2部分54の高さ割合を大きくすることにより光出力の向上が見られ、第2部分54の高さ割合を50%以上とする、つまり、第1部分53の高さh
1よりも第2部分54の高さh
2を大きくすることにより、光出力を好適に向上できることが分かる。また、第2部分54の高さ割合が66%を超える、つまり、第2部分54の高さh
2が第1部分53の高さh
1の2倍を大きく超えると、光出力の向上率が低下する傾向にあることが分かる。したがって、第2部分54の高さh
2は、第1部分53の高さh
1の2倍前後であることが好ましく、第1部分53の高さh
1の1.1倍以上3倍以下程度とすることが好ましいと言える。
【0072】
図12は、実施例に係る凹凸構造50の第1角度θ
1と第2角度θ
2の差Δθと光出力の関係を示すグラフである。図示されるように、第1角度θ
1と第2角度θ
2の差Δθを大きくすることにより光出力の向上が見られ、角度差Δθを20度以上にすることにより、光出力を好適に向上させることができることが分かる。
【0073】
図13は、実施例に係る凹凸構造50の面積割合と光出力の関係を示すグラフである。グラフ中には、凹凸構造50のアスペクト比h/pの値も示される。グラフより、凹凸構造50のアスペクト比h/pを高くすることを優先するのではなく、アスペクト比h/pを1.0以下にしつつ錐形状部52が占める面積割合を大きくした方が光出力を好適に向上できることが分かる。例えば、凹凸構造50のアスペクト比h/pを1.2にして面積割合を60%程度とする場合よりも、凹凸構造50のアスペクト比h/pを1.0にして面積割合を68%程度とする場合の方が高い光出力を得られる。したがって、アスペクト比をある程度(例えば、0.3以上1.0以下に)犠牲にする場合であっても、面積割合を65%以上とすることにより、光出力を好適に向上させることができる。また、錐形状部52の外郭形状を円形よりも六角形に近い形状とすることで、面積割合を91%以上とすることができ、アスペクト比h/pが0.8以下であっても、光出力を好適に向上させることができる。
【0074】
本実施の形態によれば、側面の傾斜角が大きい第1部分53の高さh
1よりも側面の傾斜角が小さい第2部分54の高さh
2を大きくすることにより、凹凸構造50の光出力を向上できる。このような作用効果は、本発明者らが予期していた内容とは正反対の結果であることに留意すべきである。本発明者らは、第1部分53および第2部分54の高さh
1,h
2と、凹凸構造50の光出力との相関を数値計算(シミュレーション)によっても求めたが、上述の実施の形態とは逆の結果が得られた。つまり、数値計算によれば、第2部分54の高さh
2より第1部分53の高さh
1を大きくすることで、光出力の増大が見られた。数値計算による凹凸構造50の光出力値と実際に製造した凹凸構造50の光出力値とが相違する理由は定かではないが、凹凸構造50の内部での多重反射や多重散乱の影響、製造した凹凸構造50の個々の錐形状部52の形状や大きさのばらつきの影響などが考えられる。
【0075】
凹凸構造50の個々の錐形状部52の形状や大きさのばらつきは、光取出層60に形成するマスク62(柱状部64)の形状ばらつきに起因すると考えられる。上述の錐形状部52の形状は、マスク62の柱状部64が除去された後の第2ドライエッチング工程におけるエッチング量の影響を大きく受ける。そのため、マスク62の形状にばらつきがあれば、第2ドライエッチング工程の開始タイミングのずれが面内で生じ、そのずれに起因して錐形状部52の形状に差が生じうる。例えば、一般的な成膜装置を用いてマスク62を形成する場合、面内で±5%程度の膜厚のばらつきが生じることから、最大で10%程度の膜厚のばらつきがマスク62に生じる。また、マスク62と光取出層60のドライエッチングの選択比は3〜5倍程度あるため、マスク62の膜厚の30%〜50%程度のばらつきが錐形状部52に生じる。さらに、ドライエッチング工程でのエッチング量のばらつきが面内で±5%程度生じる。その結果、一例として、マスク62の初期膜厚h
Cを150nmとし、第1ドライエッチング工程後に高さh
0が600nmの錐形状部66が形成されるとした場合、マスク62に起因するばらつき(最大で約75nm)と、ドライエッチング工程でのばらつき(最大で約60nm)とを合計した約135nmのばらつきが錐形状部52の高さh
Aに対して生じうる。
【0076】
上述の錐形状部52の高さのばらつき量は、最終的に形成される錐形状部52の高さh
Aの10〜50%程度に相当し、光取出面の面内においてランダムに発生しうる。本実施の形態では、錐形状部52の形状を均一化することによる得られる回折効果等を積極的に利用していないため、錐形状部52の形状ばらつきによる取出効率の低下は考えにくい。むしろ、複数の錐形状部52の形状にばらつきが生じることにより、個々の錐形状部52にて取出可能となる光の向きをばらつかせ、凹凸構造50の全体として様々な方向の光を取出可能とする効果が期待できる。このようにして本実施の形態によれば、数値計算に基づく結果からは容易に想起することのできない顕著な作用効果を実現できる。
【0077】
本実施の形態によれば、第1ドライエッチング工程により高アスペクト比の錐形状部66を形成し、その後に第2ドライエッチング工程を施すことで最終的な錐形状部52が占める面積割合が高まるようにしている。そのため、本実施の形態では、錐形状部52のアスペクト比と面積割合とがトレードオフの関係にあると言える。従来、凹凸構造による光出力の向上には高アスペクト比の凹凸形状が望ましいとされており、できる限り凹凸構造のアスペクト比を高めることが重要とされてきた。しかしながら、本発明者らの知見によれば、アスペクト比をある程度(例えば、0.3以上1.0以下に)犠牲にしたとしても、凹凸形状が占める面積割合を65%以上に高めることで、光出力の向上を実現できることが分かった。さらに、錐形状部52の第1部分53を六角形に近い外郭形状とすることにより、凹凸形状が占める面積割合を91%以上とし、光出力のさらなる向上を実現することができた。したがって、本実施の形態によれば、光取出面からの光出力を向上させ、より外部出力効率の高い半導体発光素子10を提供できる。
【0078】
本実施の形態によれば、第1部分53と第2部分54を有する錐形状部52を1種類のマスクのみを用いて形成できるため、製造工程を簡略化し、製造コストを下げることができる。従来では、傾斜が段階的に異なるような凹凸形状を形成しようとする場合、形成しようとする凹凸形状に合わせて複数種類のマスクを適用する必要があり、使用するマスクの種類数に対応する工程数が必要であった。一方、本実施の形態によれば、1種類のマスクのみを用いればよく、第1ドライエッチング工程と第2ドライエッチング工程を連続的に実行すればよいため、製造工程数が少なくて済む。したがって、本実施の形態によれば、製造コストの増加を抑えながら、半導体発光素子10の光取出効率を高めることができる。
【0079】
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
【0080】
上述の実施の形態では、基板22の第2主面22bに凹凸構造50を形成する場合を示した。変形例においては、基板22の第2主面22b上に形成される別の層上に凹凸構造50が形成されてもよい。例えば、第2主面22b上に第3ベース層が形成され、第3ベース層上に凹凸構造50が形成されてもよい。第3ベース層は、活性層34が発する深紫外光の波長に対して、活性層34より屈折率が低く、基板22より屈折率が高い材料で構成されることが好ましい。基板22がサファイア(屈折率n
1=1.8程度)であり、活性層34がAlGaN系半導体材料(屈折率n
3=2.4〜2.6程度)である場合、第3ベース層は、AlN(屈折率n
4=2.1程度)や、AlN組成比の相対的に高いAlGaN系半導体材料(屈折率n
4=2.2〜2.3程度)で構成されることが好ましい。第3ベース層は、窒化シリコン(SiN
x、屈折率n
4=1.9〜2.1程度)、酸窒化シリコン(SiON)、酸化シリコン(SiO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)であってもよい。第3ベース層は、活性層34が発する深紫外光の透過率が高いと好ましく、内部透過率が90%以上となるよう構成されることが好ましい。
【0081】
上述の実施の形態では、1種類のマスクを用いて第1部分53および第2部分54を有する錐形状部52を形成する方法を示したが、錐形状部52の製造方法は、上述の方法に限られず、異なる方法が用いられてもよい。例えば、2種類以上のマスクを組み合わせることにより、第1部分53および第2部分54を有する錐形状部52が形成されてもよい。また、複数のドライエッチング工程に対して異なる種類のマスクが適用されてもよく、例えば、第1種類のマスクを用いた第1エッチング工程後に、第2種類のマスクを適用して第2エッチング工程が実行されてもよい。
【0082】
上述の実施の形態および変形例では、発光構造体30を形成した後に光取出層に凹凸構造50を形成する場合を示した。さらなる変形例においては、光取出層に凹凸構造50を形成した後に発光構造体30を形成してもよい。例えば、凹凸構造50があらかじめ形成された基板22を用意し、その基板上に発光構造体30を形成してもよい。
【0083】
上述の実施の形態および変形例では、深紫外光を出力する半導体発光素子10に対して凹凸構造50を形成する場合を示した。さらなる変形例においては、深紫外光以外の光を出力する半導体発光素子に対して上述の凹凸構造50を適用してもよい。例えば、360nm〜400nmの紫外光を出力する発光素子、400nm〜450nmの青色光を出力する発光素子に凹凸構造50を適用してもよい。また、凹凸構造50は、緑色、黄色、赤色などの可視光を出力する発光素子に適用されてもよいし、赤外光を出力する発光素子に適用されてもよい。
【0084】
本実施の形態の一態様は以下の通りである。
【0085】
1.光取出面を有する光取出層を備える半導体発光素子であって、前記光取出面にアレイ状に形成される複数の錐形状部を備え、
前記光取出面の平面視において、前記光取出面の単位面積あたりに前記複数の錐形状部が占める面積の割合が65%以上95%以下であり、
隣接する錐形状部の頂点間の距離pに対する前記錐形状部の高さhの割合であるアスペクト比h/pが0.3以上1.0以下であることを特徴とする半導体発光素子。
【0086】
2.前記光取出面の平面視において、前記錐形状部の底部が六角形または六角形と円形の中間の形状であり、前記光取出面の単位面積あたりに前記複数の錐形状部が占める面積の割合が91%以上95%以下であってよい。
【0087】
3.前記錐形状部の高さ方向に直交する断面視において、前記錐形状部の底部付近が六角形または六角形と円形の中間の形状であり、前記錐形状部の頂部付近が前記底部付近より円形に近い形状であってよい。
【0088】
4.前記錐形状部は、側面の傾斜角が第1角度である第1部分と、側面の傾斜角が前記第1角度より小さい第2角度である第2部分とを有し、
前記第2部分は、前記第1部分より前記錐形状部の頂部に近く、前記第1部分より高さが大きくてよい。
【0089】
5.前記第2部分の高さは、前記第1部分の高さの1.1倍以上3倍以下であってよい。
【0090】
6.前記第1角度は、60度以上85度以下であり、前記第2角度は、40度以上60度以下であることを特徴とする請求項4または5に記載の半導体発光素子。
【0091】
7.前記半導体発光素子は、サファイア(Al
2O
3)層および窒化アルミニウム(AlN)層の少なくとも一方を含むベース構造体と、前記ベース構造体の上に形成され、波長200nm以上400nm以下の紫外光を発する窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系または窒化ガリウム(GaN)系半導体層を含む発光構造体と、を備え、
前記光取出層は、前記ベース構造体のサファイア層、AlN層または酸化シリコン(SiO
x)層、窒化ケイ素層(SiN
x)もしくは酸化アルミニウム層(Al
2O
3)であってよい。
【0092】
8.光取出面を有する光取出層を備える半導体発光素子の製造方法であって、
前記光取出層上にアレイ状のパターンを有するマスクを形成する工程と、
前記マスクの上から前記マスクおよび前記光取出層をエッチングする工程と、を備え、
前記エッチングする工程は、前記マスクの全体が除去されるまでドライエッチングする第1ドライエッチング工程と、前記マスクが除去されてから前記光取出層をさらにドライエッチングする第2ドライエッチング工程とを含み、
前記第1ドライエッチング工程にて、前記光取出面に複数の錐形状部がアレイ状に形成され、隣接する錐形状部の頂点間の距離pに対する前記錐形状部の高さhの割合であるアスペクト比h/pが1.1以上となり、
前記第2ドライエッチング工程にて、前記複数の錐形状部がさらにエッチングされ、前記錐形状部のアスペクト比h/pが0.3以上1.0以下となってよい。
【0093】
9.光取出面を有する光取出層を備える半導体発光素子であって、前記光取出面にアレイ状に形成される複数の錐形状部を備え、
前記錐形状部は、側面の傾斜角が第1角度である第1部分と、側面の傾斜角が前記第1角度より小さい第2角度である第2部分とを有し、
前記第2部分は、前記第1部分より前記錐形状部の頂部に近く、前記第1部分より高さが大きいことを特徴とする半導体発光素子。
【0094】
10.前記第2部分の高さは、前記錐形状部の高さの50%以上80%以下であってよい。
【0095】
11.前記第1角度は、60度以上85度以下であり、前記第2角度は、40度以上60度以下であってよい。
【0096】
12.前記第1角度と前記第2角度の差は、20度以上であってよい。
【0097】
13.前記光取出面の平面視において、前記光取出面の単位面積あたりに前記複数の錐形状部が占める面積の割合が65%以上95%以下であってよい。
【0098】
14.前記錐形状部の高さ方向に直交する断面視において、前記第1部分が六角形または六角形と円形の中間の形状であり、前記第2部分が前記第1部分より円形に近い形状であってよい。
【0099】
15.光取出面を有する光取出層を備える半導体発光素子の製造方法であって、
前記光取出層上にアレイ状のパターンを有するマスクを形成する工程と、
前記マスクの上から前記マスクおよび前記光取出層をエッチングする工程と、を備え、
前記エッチングする工程は、前記マスクの全体が除去されるまでドライエッチングする第1ドライエッチング工程と、前記マスクが除去されてから前記光取出層をさらにドライエッチングする第2ドライエッチング工程とを含み、
前記第1ドライエッチング工程にて、前記光取出面に複数の錐形状部がアレイ状に形成され、
前記第2ドライエッチング工程にて、前記複数の錐形状部がさらにエッチングされ、側面の傾斜角が第1角度である第1部分と、側面の傾斜角が前記第1角度より小さい第2角度である第2部分とを有する錐形状部が形成されることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。