特許第6863861号(P6863861)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6863861エーテルを含む水性電解液及び当該電解液を使用した電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863861
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】エーテルを含む水性電解液及び当該電解液を使用した電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/36 20100101AFI20210412BHJP
【FI】
   H01M10/36 A
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-165193(P2017-165193)
(22)【出願日】2017年8月30日
(65)【公開番号】特開2018-49819(P2018-49819A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2019年6月13日
(31)【優先権主張番号】15/252,513
(32)【優先日】2016年8月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(72)【発明者】
【氏名】武市 憲典
(72)【発明者】
【氏名】ルイドーン ヤーン
【審査官】 井原 純
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/114141(WO,A1)
【文献】 米国特許第06344293(US,B1)
【文献】 特開2017−174597(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/045389(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/133899(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオン二次電池用の水性電解液であって、
水;
ジメトキシエタン(DME,グライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)、ポリエチレングリコールジメチルエーテル(PEG)及びテトラヒドロフラン(THF)からなる群から選ばれる直鎖エーテル及び環状エーテルのうちの少なくとも1種;及び
式(I):
R−SO− (I)
(式中、Rは炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基である)
のフルオロアルキルスルホニル基を含むアニオンのリチウム塩;
を含み、前記式(I)のフルオロアルキルスルホニル基を含むアニオンのリチウム塩の濃度が2M〜20Mであ
エーテル(Y)及び水(Z)とLi塩(X)の相対モル比が下記式:
Y/Xが1/10〜50/1であり;及び
Z/Xが1/10〜5/1である;
を満たす、リチウムイオン二次電池用の水性電解液。
【請求項2】
式(I)のフルオロアルキルスルホニル基を含むアニオンの前記リチウム塩が、リチウムビス(トリフルオロメチル−スルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(ペンタフルオロエチル−スルホニル)イミド(LiBETI)、リチウムビス(フルオロメチルスルホニル)イミド(LiFSI)及びリチウムトリフルオロメチルスルホネート(LiTFS)からなる群から選ばれた少なくとも1種の塩である、請求項1に記載のリチウム二次電池用の水性電解液。
【請求項3】
リチウムイオン電池であって、
リチウムイオンのインターカレーション及びデインターカレーションが可能なアノード;
LiMn、LiCoO、LiFe(PO)、LiMn1/3Ni1/3Co1/3、LiNi0.5Mn1.5及びLiCoPOからなる群から選ばれた活物質を含むカソード;及び
前記アノード及びカソードに接触している水性電解液;
を含み、前記水性電解液が、
水;
ジメトキシエタン(DME,グライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)、ポリエチレングリコールジメチルエーテル(PEG)及びテトラヒドロフラン(THF)からなる群から選ばれる直鎖エーテル及び環状エーテルのうちの少なくとも1種;及び
式(I):
R−SO− (I)
(式中、Rは炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基である)
のフルオロアルキルスルホニル基を含むアニオンのリチウム塩;
を含み、
エーテル(Y)及び水(Z)とLi塩(X)の相対モル比が下記式:
Y/Xが1/10〜50/1であり;及び
Z/Xが1/10〜5/1である;
を満たす、リチウムイオン電池。
【請求項4】
式(I)のフルオロアルキルスルホニル基を含むアニオンの前記リチウム塩が、リチウムビス(トリフルオロメチル−スルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(ペンタフルオロエチル−スルホニル)イミド(LiBETI)、リチウムビス(フルオロメチルスルホニル)イミド(LiFSI)及びリチウムトリフルオロメチルスルホネート(LiTFS)からなる群から選ばれた少なくとも1種の塩である、請求項に記載のリチウムイオン電池。
【請求項5】
前記エーテルが、式:
CH(−O−CH−CH−)OCH
の長鎖ポリエチレングリコールジメチルエーテル(PEGDME)である場合には、Yはn/4として計算される、請求項又はに記載のリチウムイオン電池。
【請求項6】
式(I)のフルオロアルキルスルホニル基を含むアニオンの前記リチウム塩の濃度が2M〜20Mである、請求項のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池。
【請求項7】
請求項のいずれか一項に記載の電池を備えた車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、性能について広い電気化学窓と、向上した安全性と車両構造体における利便性をもたらす、リチウムイオン二次電池を含む高エネルギー電池における使用に好適な水性電解液組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
部分ハイブリッド化車両(PHV)及びハイブリッド化車両(HV)を含む電動化車両(electrified vehicles)(EV)の商品化及びさらなる開発の著しい及び拡大する増加によって、本質的に安全な高エネルギー電池が必要とされている。リチウムイオン電池は、主にEVユニットの製造に使用されてきたが、現在の市販のLiイオン二次電池は可燃性の非水性電解液を使用し、その結果、制御回路及び内部安全コンポーネントを電池システムの部品として取り付けなくてはならない。これらの追加ユニットは、車両の重量及び費用を増加させ、車両に複雑な構造的特徴を加えることが必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、例えばニッケル金属水素化物(Ni−MH)電池などの、水性(水系)電解液を使用する電池は、水性電解液が不燃性であるためにかなり安全である。あいにく、水性電解液の電気化学安定性は低電圧プロファイル(<2V)を有するため、水性電解液電池は、現在までに、現在のLiイオン電池と競合するか又は現在のLiイオン電池に置き換わるのに必要なエネルギー密度を提供しないことが知られている。従来の水性電解液の場合、電気化学的安定性(電気化学窓)は、通常2V未満である水の分解電圧によって制限されていた。
【0004】
分解の抑制により電気化学窓を拡大する1つの試みは、高度に濃縮された水性電解液組成物を調製することであり、かかる系は、約3Vにもなる広い電気化学窓で動作することができる。リチウムイオン電池電解液用の1つの系において、組成物は、高濃度のLi塩(21m)を含み、このLi塩は、塩と水分子の間での錯体の形成によって水を安定化すると考えられている。水分子のクラスターを有する自由水(free-water)(バルク水、普通の水)の窓は個々の水分子の窓と異なるため、高度に濃縮された塩のイオンが配位した水分子は、「個々の水分子」のようにふるまってより広い電気化学窓を有することができる。
【0005】
しかし、かかる系の窓の還元(負)電圧の限界は約1.8V(対Li/Li+)であり、還元電圧のこの値は、アノード材料としての利用に好適な候補を限定する。例えば、現在高い関心を集めている1つのアノード材料であるリチウムチタン酸化物(LiTi12)(LTO)は、LTOの酸化還元電位が約1.5Vであるため、かかる電池システムには適さないであろう。
【0006】
したがって、本発明の1つの目的は、高いエネルギー密度を提供するアノード及びカソード材料を有する二次電池に適合し、かつ、かかる二次電池で機能しうるように十分に広い電気化学窓を有する水性電解液組成物を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、高いエネルギー密度を提供するアノード及びカソード材料を有する二次電池に適合し、かつ、かかる二次電池で機能しうるように十分に広い電気化学窓を有する、リチウムイオン二次電池用の水性電解液系を提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、従来のリチウムイオン電池のエネルギー密度に等しいか又は従来のリチウムイオン電池のエネルギー密度よりも高いエネルギー密度を有する水性電解液を有するリチウムイオン二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これら及び他の目的は本開示によって達成され、本発明の第1の実施形態は、リチウムイオン二次電池用の水性電解液であって、
水;
直鎖エーテル及び環状エーテルのうちの少なくとも1種;及び
式(I):
R−SO− (I)
(式中、Rは炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基である)
のフルオロアルキルスルホニル基を含むアニオンのリチウム塩;
を含むリチウムイオン二次電池用の水性電解液を含む。
【0010】
別の実施形態において、本発明は、リチウムイオン電池であって、
リチウムイオンのインターカレーション(intercalation)及びデインターカレーション(de-intercalation)が可能なアノード;
リチウムイオンのインターカレーション及びデインターカレーションが可能なカソード;及び
アノード及びカソードに接触している水性電解液;
を含み、水性電解液が、
水;
直鎖エーテル及び環状エーテルのうちの少なくとも1種;及び
式(I):
R−SO− (I)
(式中、Rは炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基である)
のフルオロアルキルスルホニル基を含むアニオンのリチウム塩;
を含む、リチウムイオン電池を含む。
【0011】
上の記載は、本開示の概略紹介及び要約を提示することを意図しており、特に明示しない限り、本開示を限定することを意図するものではない。現在のところ好ましい実施形態は、さらなる利点とともに、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することにより最良に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施例の電解液の評価に用いた電池セル構成を示す。
図2図2は、実施例1で得られた充電/放電曲線(第1サイクル及び第10サイクル)を示す。
図3図3は、実施例2で得られた充電/放電曲線(第1サイクル及び第10サイクル)を示す。
図4図2は、実施例3で得られた充電/放電曲線(第1サイクル及び第10サイクル)を示す。
図5図2は、実施例4で得られた充電/放電曲線(第1サイクル及び第10サイクル)を示す。
図6図2は、実施例5で得られた充電/放電曲線(第1サイクル及び第10サイクル)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の記載の範囲内で、著者、共著者または譲受人組織のメンバーに帰属する全ての引用した参考文献、特許、出願、刊行物、及び論文は、参照により本明細書に援用する。数量的限界または範囲が記載されている場合は、その終点が含まれる。また、数量的限界または範囲内の全ての値および部分範囲があたかも明示されているかのごとく具体的に含まれる。本明細書中で使用される場合、単数形(「a」および「an」など)の単語は、「1または2以上」の意味を有する。「からなる群から選ばれる」、「から選ばれる」などの語句は、明示された材料の混合物を包含する。「含む(contain(s))」などの用語は、特記しない限り、「少なくとも含む」を意味するオープンな用語である。%の組成の記載がある場合、%の値は、特に明示しない限り、質量%である。本明細書で使用される「車両(vehicle)」という用語は、自動車、トラックバン、バス、ゴルフカートおよび他の輸送の利用形態を含む輸送用に設計されたいかなる動力駆動装置も指す。
【0014】
電気化学窓をさらに拡大するために、本発明者らは、濃縮塩に加えてある化学成分を含む組成物において、電解液系の成分を強く安定化できることを驚くべきことに発見した。明示的には、水性組成物中にフルオロアルキル基を有するアニオンのリチウム塩と直鎖又は環状エーテルを含めることによって、広い電気化学窓を有するリチウムイオン電池用の高度に安定化された電解液系が得られることを発見した。したがって、第1の実施形態において、水、少なくとも1つのフルオロアルキルスルホニル基を有するアニオンのリチウム塩、及び直鎖及び環状エーテルのうちの少なくとも1種を含む水性電解液組成物が提供される。
【0015】
理論に縛られることを望まないが、本発明者らは、フルオロアルキルスルホニル(R−SO−)基(Rは炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基である)が、上記アニオンの分子構造に柔軟性を与え、水分子と相互作用して水分子を安定化する役割を果たすと考える。好適なリチウム塩の非限定的な例としては、リチウムビス(トリフルオロメチル−スルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(ペンタフルオロエチル−スルホニル)イミド(LiBETI)、リチウムビス(フルオロメチルスルホニル)イミド(LiFSI)及びリチウムトリフルオロメチルスルホネート(LiTFS)が挙げられる。
【0016】
直鎖エーテル又は環状エーテルは、水及び上記リチウムフルオロアルキルスルホニル基含有塩と十分に混和性であり、均質な電解液組成をもたらすいかなるエーテルであってもよい。非限定的な例としては、ジメトキシエタン(DME,グライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)、ポリエチレングリコールジメチルエーテル(PEG)及びテトラヒドロフラン(THF)が挙げられる。
【0017】
本発明者らは、水性リチウムイオン電池を製造するために水が十分に安定化された電解液組成物を得るには、電解液組成物が、下記式:
Y/Xが1/10〜50/1であり;及び
Z/Xが1/10〜5/1である;
を満たすエーテル(Y)及び水(Z)とLi塩(X)の相対モル比を有するのがよいと決定した。
好ましくは、Y/Xが1/2〜20/1であり、Z/Xが1/2〜5/1である。
【0018】
式:
CH(−O−CH−CH−)OCH
の長鎖ポリエチレングリコールジメチルエーテル(PEGDME)の場合には、Yはn/4として計算される。例えば、「n」の平均値が12である場合、このポリエーテルについての「Y」は3である。「n」が4以下であるエーテルの場合、「Y」は「1」である。
【0019】
式(I)のフルオロアルキルスルホニル基を含むアニオンのリチウム塩は、電解液中に、2M〜20M、好ましくは2M〜15M、最も好ましくは2M〜10Mの濃度で存在することができる。
【0020】
別の実施形態において、水系リチウムイオン電池が提供される。この電池は、リチウムイオンのインターカレーション及びデインターカレーションが可能なアノード;リチウムイオンのインターカレーション及びデインターカレーションが可能なカソード;及び前記アノード及びカソードに接触している水性電解液を含み、水性電解液が、水;直鎖エーテル及び環状エーテルのうちの少なくとも1種;及びリチウムフルオロアルキルスルホニル塩を含む。
【0021】
水系の再充電可能なリチウムイオン電池(ARLB)は、水に対して安定であり、水に適合する電極を含む。一般的には、電気化学的条件下で水への暴露に対して安定である、Liイオンのインターカレーション及びデインターカレーションが可能ないかなる材料も使用できる。
【0022】
水性電解液に適合し、Li/Li+に対して5.5V未満の適切な酸化還元電位を有する好適なカソード材料としては、LiMn、LiCoO、LiFe(PO)、LiMn1/3Ni1/3Co1/3、LiNi0.5Mn1.5及びLiCoPOが挙げられるが、これらに限定されない。これらのいずれも多孔質形態で調製でき、活性カソード材料としてナノ粒子構造が特に有用である。
【0023】
カソードは、少なくとも1種の上記材料による粒子と1又は2種以上のバインダー及び水性電解液系用のカソード構造体を製造するのに従来使用されている他の材料を混合することにより作製することができる。これらの材料を、スラリーとして混合し、金属箔上に塗布し、乾燥させることができる。活性材料を使用するカソードの製造方法は従来知られており、本開示の粒子に適合するいかなるかかる方法も使用できる。
【0024】
セル使用の電位窓で化学的に安定である当業者に知られている好適なバインダーとしては、熱可塑性及び熱硬化性樹脂が挙げられる。例えば、ポリエチレン、ポリピロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレンペルフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE樹脂)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(PCTFE)、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)及びエチレン−アクリル酸共重合体。これらのバインダーは、独立に使用されてもよく、又は、混合物が使用されてもよい。
【0025】
上記成分は、乳鉢又は他の従来知られている混合装置を使用して、好適な溶媒の存在下で湿式配合されても、あるいは、乾式配合されてもよい。混合物を、次に、従来知られている方法によって集電体に適用することができる。いかなる好適な集電体も使用できる。好ましい集電体は、カーボン、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム及び銅のいずれであってもよい。
【0026】
このように作製されたカソードは、従来知られている方法で水系リチウムイオン電池を製造することに使用できる。
【0027】
式(I)のフルオロアルキルスルホニル基を含むアニオンのリチウム塩は、電解液中に、2M〜20M、好ましくは2M〜15M、最も好ましくは2M〜10Mの濃度で存在することができる。
【0028】
アノードに関し、水性電解液に適合し、適切な酸化還元電位(Li/Li+に対して0.5V超)を有する、Liイオン電池での利用に好適ないかなる種類の材料も使用できる。好適例としては、LiTi12、元素状硫黄、Mo、Cu、TiS、NbS及びLiテレフタレートが挙げられるが、これらに限定されない。これらのいずれも多孔質形態で調製でき、活性カソード材料としてナノ粒子構造が特に有用である。
【0029】
アノードは、少なくとも1種の上記アノード材料による粒子と1又は2種以上のバインダー及び水性電解液系用のアノード構造体を製造するのに従来使用されている他の材料を混合することにより作製することができる。これらの材料を、スラリーとして混合し、金属箔上に塗布し、乾燥させることができる。活性材料を使用するアノードの製造方法は従来知られており、本開示の粒子に適合するいかなるかかる方法も使用できる。
【0030】
セル使用の電位窓で化学的に安定である当業者に知られている好適なバインダーとしては、熱可塑性及び熱硬化性樹脂が挙げられる。例えば、ポリエチレン、ポリピロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレンペルフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE樹脂)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(PCTFE)、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)及びエチレン−アクリル酸共重合体。これらのバインダーは、独立に使用されてもよく、又は、混合物が使用されてもよい。
【0031】
上記成分は、乳鉢又は他の従来知られている混合装置を使用して、好適な溶媒の存在下で湿式配合されても、あるいは、乾式配合されてもよい。混合物を、次に、従来知られている方法によって集電体に適用することができる。いかなる好適な集電体も使用できる。好ましい集電体は、カーボン、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム及び銅のいずれであってもよい。
【0032】
電池は、さらに、アノードとカソードの間にセパレーターを備え、水性電解液に適合するいかなるタイプの従来知られているセパレーターも使用できる。
【0033】
電池は、容器内に封入され、そして、従来知られているように電池を形成するために複数のユニットが組み合わされてもよい。
【0034】
図1に示すような一実施形態に従う電池の作製及び充電/放電性能評価を以下の実施例1〜5に記載する。各電池についての充放電曲線は図2〜6に示されており、示されているように、電池は検証したサイクルにわたって安定であり、良好な容量を有する。
【0035】
さらなる実施形態において、本開示は、本開示に従う電池を含む車両を含み、当該車両は、自動車、トラックバン、バス、ゴルフカート、及び他の輸送の利用形態を含む。
【0036】
本開示を概説してきたが、例示のみを目的としており特に断らない限り限定を意図していない本明細書に提示したいくつかの具体的な実施例を参照することによって、より一層の理解を得ることができる。
【実施例】
【0037】
活性層中にLiMn及び導電性カーボンとPVdFバインダーを有するカソードを用いて、図1に概略的に示されている2032型のコインセル電池(coin cell batteries)を作製した。LiTi12及び導電性カーボンとPVdFバインダーを用いてアノードを作製した。ガラスファイバーセパレーターから構成されるセパレーターをアノードとカソードの間に配置した。各実施例の電解液組成物を以下の表に示す。電池の充電/放電性能を評価するために、電池を最初に1.0mA/cmで3.2Vのカットオフまで充電した。次に、電池を、25℃で、1.0mA/cmで1.5Vのカットオフまで放電した。
【0038】
【表1】
【0039】
図2〜6は、記載した実施形態に従うリチウムイオン電池が、安定したサイクリングで2Vを超える高い放電電圧を発揮することができることを示している。
本発明に関連する発明の実施態様の一部を以下に示す。
[態様1]
リチウムイオン二次電池用の水性電解液であって、
水;
直鎖エーテル及び環状エーテルのうちの少なくとも1種;及び
式(I):
R−SO− (I)
(式中、Rは炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基である)
のフルオロアルキルスルホニル基を含むアニオンのリチウム塩;
を含むリチウムイオン二次電池用の水性電解液。
[態様2]
式(I)のフルオロアルキルスルホニル基を含むアニオンの前記リチウム塩が、リチウムビス(トリフルオロメチル−スルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(ペンタフルオロエチル−スルホニル)イミド(LiBETI)、リチウムビス(フルオロメチルスルホニル)イミド(LiFSI)及びリチウムトリフルオロメチルスルホネート(LiTFS)からなる群から選ばれた少なくとも1種の塩である、上記態様1に記載のリチウム二次電池用の水性電解液。
[態様3]
直鎖エーテル及び環状エーテルのうちの前記少なくとも1種が、ジメトキシエタン(DME,グライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)、ポリエチレングリコールジメチルエーテル(PEG)及びテトラヒドロフラン(THF)からなる群から選ばれる、上記態様1に記載のリチウム二次電池用の水性電解液。
[態様4]
エーテル(Y)及び水(Z)とLi塩(X)の相対モル比が下記式:
Y/Xが1/10〜50/1であり;及び
Z/Xが1/10〜5/1である;
を満たす、上記態様1に記載のリチウム二次電池用の水性電解液。
[態様5]
式(I)のフルオロアルキルスルホニル基を含むアニオンの前記リチウム塩の濃度が2M〜20Mである、上記態様1に記載のリチウム二次電池用の水性電解液。
[態様6]
リチウムイオン電池であって、
リチウムイオンのインターカレーション及びデインターカレーションが可能なアノード;
リチウムイオンのインターカレーション及びデインターカレーションが可能なカソード;及び
前記アノード及びカソードに接触している水性電解液;
を含み、前記水性電解液が、
水;
直鎖エーテル及び環状エーテルのうちの少なくとも1種;及び
式(I):
R−SO− (I)
(式中、Rは炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基である)
のフルオロアルキルスルホニル基を含むアニオンのリチウム塩;
を含む、リチウムイオン電池。
[態様7]
式(I)のフルオロアルキルスルホニル基を含むアニオンの前記リチウム塩が、リチウムビス(トリフルオロメチル−スルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(ペンタフルオロエチル−スルホニル)イミド(LiBETI)、リチウムビス(フルオロメチルスルホニル)イミド(LiFSI)及びリチウムトリフルオロメチルスルホネート(LiTFS)からなる群から選ばれた少なくとも1種の塩である、上記態様6に記載のリチウムイオン電池。
[態様8]
直鎖エーテル及び環状エーテルのうちの前記少なくとも1種が、ジメトキシエタン(DME,グライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)、ポリエチレングリコールジメチルエーテル(PEG)及びテトラヒドロフラン(THF)からなる群から選ばれる、上記態様6に記載のリチウムイオン電池。
[態様9]
エーテル(Y)及び水(Z)とLi塩(X)の相対モル比が下記式:
Y/Xが1/10〜50/1であり;及び
Z/Xが1/10〜5/1である;
を満たし、ただし、前記エーテルが、式:
CH(−O−CH−CH−)OCH
の長鎖ポリエチレングリコールジメチルエーテル(PEGDME)である場合には、Yはn/4として計算される、上記態様6に記載のリチウムイオン電池。
[態様10]
式(I)のフルオロアルキルスルホニル基を含むアニオンの前記リチウム塩の濃度が2M〜20Mである、上記態様6に記載のリチウムイオン電池。
[態様11]
上記態様6に記載の電池を備えた車両。
図1
図2
図3
図4
図5
図6