特許第6863863号(P6863863)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863863
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】注入液加温器
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/44 20060101AFI20210412BHJP
【FI】
   A61M5/44 522
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-170063(P2017-170063)
(22)【出願日】2017年9月5日
(62)【分割の表示】特願2014-535019(P2014-535019)の分割
【原出願日】2012年10月8日
(65)【公開番号】特開2017-225855(P2017-225855A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2017年10月3日
【審判番号】不服2019-14809(P2019-14809/J1)
【審判請求日】2019年11月5日
(31)【優先権主張番号】61/546,779
(32)【優先日】2011年10月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514091242
【氏名又は名称】メク アンパーツゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】ウルリク クログ アンデルセン
【合議体】
【審判長】 千壽 哲郎
【審判官】 倉橋 紀夫
【審判官】 宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表平9−500481号公報(JP,A)
【文献】 特表2007−527495号公報(JP,A)
【文献】 米国特許第4478076号明細書(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/44
A61M 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
−上側壁構造体と、これに対向する下側壁構造体と、を有するケーシングシェルを備える注入液加温器であって、
前記ケーシングシェルが、
−前記ケーシングシェルを貫通する流体流路と、
−前記ケーシングシェルを通過して注入液が流動できるように前記流体流路の両端に連結された流体入口及び出口と、
−熱伝導性でかつ電気絶縁性の材料で形成され、板形の上側壁構造体と、これに対向する板形の下側壁構造体と、を備えたハウジングシェルと、
−前記ハウジングシェルに直接接着され、前記ハウジングシェルに熱結合された第1の加熱要素と、
前記板形の上側壁構造体と、これに対向する前記板形の下側壁構造体と、の間に挟まれ、前記板形の上側壁構造体と前記板形の下側壁構造体とに熱結合された、アルミニウム熱交換器と、
を取り囲み、
前記流体流路が、アルミニウム熱交換器材料との直接の物理的接触によって熱エネルギーが前記注入液に伝達されるように、前記アルミニウム熱交換器を通過して延在し、
前記注入液加温器が、更に、
−前記流体流路における前記注入液の温度を推定する、温度センサと、
−前記温度センサ及び前記第1の加熱要素に作用上結合され、前記第1の加熱要素の瞬間的な電力消費を制御する、制御器回路と、
を備え、
−前記制御器回路が、前記温度センサからの温度データに基づき、前記注入液の、望ましい又は目標の温度に従って、前記第1の加熱要素における電力消費を調節するようにされており、
前記温度センサが、前記第1の加熱要素の抵抗器の抵抗を測定することにより、前記流体流路における前記注入液の温度を推定している
ことを特徴とする、注入液加温器。
【請求項2】
前記第1の加熱要素が、前記板形の上側壁構造体の、前記流体流路の直線部分とは反対側の表面に接着され、及び、第2の加熱要素が、前記板形の下側壁構造体の、前記流体流路とは反対側の表面に接着されていることを特徴とする、請求項1に記載の注入液加温器。
【請求項3】
前記板形の上側壁構造体又は前記板形の下側壁構造体の、前記流体流路とは反対側の表面の、少なくとも1つが、前記第1の加熱要素又は前記第2の加熱要素への電力を受け取るための1対の電気結合端子を備えていることを特徴とする、請求項2に記載の注入液加温器。
【請求項4】
前記ハウジングシェルの、前記板形の上側壁構造体が、1.0cm未満の高さを有しているか、又は、前記板形の下側壁構造体が、1.0cm未満の高さを有していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の注入液加温器。
【請求項5】
前記流体流路の高さが、0.1mmと5cmの間である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の注入液加温器。
【請求項6】
前記流体流路が、長方形の断面形状を有する直線部分を備えている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の注入液加温器。
【請求項7】
前記ハウジングシェルが、セラミック材料を含んでいることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の注入液加温器。
【請求項8】
前記セラミック材料が、酸化アルミニウム、硝酸アルミニウム、又は酸化ベリリウムである、請求項7に記載の注入液加温器。
【請求項9】
前記第1の加熱要素の前記抵抗器が、厚膜抵抗器又は薄膜抵抗器を備えていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の注入液加温器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの形態において、上側壁構造体と、対向する下側壁構造体と、を有するケーシングシェルを備える、注入液加温器に関する。ケーシングシェルは、上側壁構造体と下側壁構造体との間でケーシングシェルを貫通する流体流路又は通路、及びケーシングシェルを通過して注入液が流れるように流体流路又は通路の両端に連結された流体入口及び出口を取り囲む。ハウジングシェルは、熱伝導性でかつ電気絶縁性の材料で形成され、加熱要素は、ハウジングシェルに接着され、ハウジングシェルに熱結合される。流体流路又は通路は、熱エネルギーがハウジングシェル材料との直接の物理的接触によって注入液に伝達されるように、ハウジングシェルを通過して又はハウジングシェルの周りに延在する。
【背景技術】
【0002】
血液など静脈内輸液又は注入液は、通常、病院において、また、例えば非常時又は戦場などの現場において、使用される。注入液は、ほぼどのような医療処置及び用途にとっても重要である。注入液は、典型的には、IV液バッグ又は容器から患者血液へ送達される。血液又はIV液は、患者の体温低下を避けるために(体温低下は、低体温症を引き起こす可能性がある)所定範囲の温度(例えば、36〜37℃)に加温することが好ましい。
【0003】
患者に投与する前に注入液を加熱又は加温するために、従来、様々な装置及び技法が存在する。しかし、これらの従来の装置及び技法には、多数の欠陥がある。従来の注入液加温器は、体積及び重量が大きいので、例えば兵士、救助員又は救急隊員が接近しにくい非常時現場へ到達するために徒歩で運ばなければならない場合、携帯用に適さない。また、既存の注入液加温器の体積及び重量が大きいということは、便利にかつ安全に患者の体に加温器を固定又は装着することを困難に、又は不可能にする。既存の注入液加温器の別の不利点は、別個の多数の部品から成ることであり、このことは、製造コストを高くし、係合する分離部品が多数あるために、信頼性を低める傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存の注入液加温器の更に別の不利点は、注入液の加熱時にエネルギー源において放散される熱エネルギーを捕捉して注入液に結合する機構が欠如することである。これは、充電式又は非充電式電池などエネルギー源に蓄積されたエネルギーの使用を非効率的にするので、所与の体積又は量の注入液を加温するために厳密に必要とされるより大きく、より重く、よりコスト高なエネルギー源が必要となる。本発明の1つの形態によれば、この問題は、携帯用エネルギー源によって発生した過剰な熱エネルギーを注入液に伝導して注入液を加熱することによって、解決される。このようにして、携帯用エネルギー源において保持されたエネルギーが効率良く使用されるようにする。
【0005】
国際公開第2003/049790(A1)号は、入口流路と出口流路とを有する輸液加温器を備える、輸液を加熱するための装置について説明する。蛇行する形の流体通路は、1対の熱接触板の間に配置された別個のカートリッジの中に形成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の形態は、上側壁構造体と、これに対向する下側壁構造体とを有するケーシングシェルを備える注入液加温器に関する。ケーシングシェルは、
−上側壁構造体と下側壁構造体との間でケーシングシェルを貫通する流体流路又は通路と、
−ケーシングシェルを通過して注入液が流れるように流体流路又は通路の両端に連結された流体入口及び出口と、を取り囲む。ハウジングシェルは、熱伝導性でかつ電気絶縁性の材料で形成され、加熱要素は、ハウジングシェルに接着され、ハウジングシェルに熱結合される。流体流路又は通路は、ハウジングシェル材料との直接の物理的接触によって熱エネルギーが注入液に伝達されるように、ハウジングシェルを通過して又はハウジングシェルの周りに延在する。注入液加温器のケーシングシェルは、射出成形などの適切な製造工程によって製造された熱可塑材又はエラストマー配合材を含むことができる。ケーシングシェルは、ハウジングシェルを機械的衝撃、衝突及び外部環境の汚染物質から保護する機能を果たせる。ケーシングシェルは、流体入口及び出口における注入液の流れの方向を横切る断面に沿って長方形、楕円形又は円形の断面形状を持つことができる。
【0007】
ケーシングシェルの流体入口及び出口は、低温又は未加熱の注入液が入口へ進入し、注入液が注入液加温器を通過して流れて、加熱又は加温された注入液が出口を通過して患者へ流れるようにする。
【0008】
ハウジングシェルは、この注入液加温器において、ハウジングシェルに接着された加熱要素即ち厚膜及び/又は薄膜抵抗器の物理的キャリアとして、及びハウジングシェル材料と注入液との間の物理的接触によって熱エネルギーを注入液へ直接伝達する熱交換器又はヒートプレートとして作用することによって、有利な多目的の役割を有する。この特性により、最小限の分離部品しか製造組立する必要のないコンパクトな注入液加温器を提供できる。ハウジング材料は、広範囲の加熱要素材料特に厚膜及び薄膜抵抗器の基材として非常に適する酸化アルミニウム(Al23)、硝酸アルミニウム又は酸化ベリリウムなどのセラミック材料を含むことが好ましい。セラミック材料は、更に、優れた熱伝導性及び優れた電気絶縁性を有する。ハウジングシェルの材料は、患者へ分配される注入液と直接接触するので、例えば酸化アルミニウム(Al23)などの生体適合性セラミック材料などの生体適合性であることが好ましいことが、当業者には分かるだろう。又は、硝酸アルミニウム又は酸化ベリリウムセラミック材料などの非生体適合性材料を使用できる。
【0009】
適切な電気絶縁性を持つために、ハウジングシェルは、公的要件を満たすために1×109オーム*mより大きい電気抵抗率を持つ材料を含むことが好ましい。適切な熱伝導性を持つために、ハウジングシェルは、0.5W/(m・K)より大きい、より好ましくは1.0W/(m・K)より大きい、更に好ましくは10.0W/(m・K)より大きい熱伝導率を持つ材料で製造されることが好ましい。
【0010】
ハウジングシェルは、例えばソリッド物体を成形又は機械加工することによって、単体要素として製作できる。流体流路は、要素の中央部を貫通するほぼ直線的長方形状を持つことができる。別の実施形態において、ハウジングシェルは、例えば糊付け、はんだ付け、圧入、溶接などによって個別に製造された後に接着される複数の別個の構造体を備える。この種の1つの実施形態において、ハウジングシェルは、別個の上側ハウジングシェル及び下側ハウジングシェルに形成された上側壁構造体と下側壁構造体とを備え、上側ハウジングシェルと下側ハウジングシェルは、相互に接着される。この実施形態において、流体流路は、例えば、ハウジングシェルを貫通する流体通路を形成するようにハウジングシェルの上側壁構造体と下側壁構造体の対面する表面に形成された溝又はトレンチを合わせることによって、上側ハウジングシェルと下側ハウジングシェルとの間に延在できる。流体流路は、多様な形状を持つことができるが、好ましくは、注入液とハウジングシェル(熱交換器として機能する)との間の接触面積を最大化して、注入液加温器の流体加熱キャパシティ(例えばリットル/分の単位で表される)を増大する形状を持つ。1つの実施形態において、流体流路は、入口及び出口における注入液の流れに対して垂直に延びる断面平面において蛇行する形を有する。この平面は、ハウジングシェルが平板形の構造を持つ場合には、ハウジングシェルの長手軸に対して直交できる。別の実施形態において、流体流路は、板形のハウジングシェルの長手軸に沿って延びる実質的に直線形の流路を備える。後者の実施形態において、流体流路は、注入液とハウジングシェルとの間の接触面積を最大化するために、ハウジングシェルの幅の十分な部分を貫通することが好ましい。流体流路は、0.1mm〜5cm例えば0.5mm〜2cmの高さを持つ実質的に長方形の直線的トンネルとして形成できる。ハウジングシェルが平板形構造を持つ場合、その高さは4.0cm未満、好ましくは1.0cm未満とすることができる。
【0011】
更に別の実施形態の注入液加温器において、流体流路は、流体流路がハウジングシェルの上側壁構造体とケーシングの上側壁構造体との間に配置された第1の流路セグメントを備えるように、ハウジングシェルの周りに延在する。流路は、更に、ハウジングシェルの下側壁構造体とケーシングの下側壁構造体との間に配置された第2の流路セグメントを備える。この実施形態において、ハウジングシェルの上側及び下側壁構造体は、両方共、注入液と物理的に接触して、ハウジングシェルと注入液との間に大きな接触面積を与えて、効率的な熱エネルギーの伝達を保証する。別の実施形態において、流体流路は、ハウジングシェルの周りに延在する単一の流路セグメントのみを備えることができることが、当業者には分かるだろう。
【0012】
加熱要素は、加熱要素に提供される駆動電圧又は電流を注入液から隔離して加熱要素の電気端子又は構成要素への腐食攻撃を防止するために、上側及び/又は下側壁構造体の、流体流路とは反対側の表面に接着されることが好ましい。この種の1つの実施形態において、加熱要素は、例えばスクリーン印刷又はその他の適切な接着機構によって、上側及び/又は下側壁構造体の、流体流路とは反対側の表面に直接接着された薄膜抵抗器又は厚膜抵抗器を備える。従って、これらの実施形態において、上側及び下側壁構造体の電気絶縁特性は、加熱要素(1つ又は複数)を加熱するために加熱要素に与えられるDC又はAC電圧/電流から注入液を電気絶縁するために使用される。厚膜抵抗器又は薄膜抵抗器は、当然、用途の要件に応じて所望の抵抗値を与えるように直列又は並列に結合された複数の抵抗器要素又は個別の抵抗器を備えることができる。厚膜又は薄膜抵抗器は、上側壁構造体の、流体流路とは反対側の表面の全体面積のかなりの部分、及び/又は、下側壁構造体の、流体流路とは反対側の表面の全体面積のかなりの部分を被覆できる。厚膜又は薄膜抵抗器の合計抵抗は、例えば0.001オーム〜10Kオームの範囲で広範囲に変動する。上側壁構造体及び下側壁構造体の熱伝導性は、厚膜抵抗器において放散された熱エネルギーが流体流路へ効率よく伝導されるようにする。上側及び/又は下側壁構造体の、流体流路とは反対側の表面は、厚膜又は薄膜抵抗器への電力を受け取るための1対の電気結合端子を備えることができる。
【0013】
本発明の好ましい実施形態によれば、加熱要素は、ハウジングシェルの上側壁構造体と下側壁構造体との間に取り囲まれた充電式電池、非充電式電池、スーパーキャパシタなどの携帯用エネルギー源を備える。この実施形態は、非常時又は戦場などの現場において使用できる完全携帯用注入液加温器を提供し、患者を冷やすことなく血液などを注入ができるようにする。この注入液加温器の単純さは、小型であり軽量であることと結合して、加温器を運ぶ医療従事者にとって顕著な利点となる。
【0014】
この実施形態によれば、携帯用エネルギー源は、好ましくはハウジングシェルとの直接の物理的接触によって、流体流路に熱結合されて、携帯用エネルギー源において放散される熱エネルギー(エネルギー源の消耗に関連する)を流体流路及びこれを通過して流れる注入液へ熱伝導する。この文脈において、「直接の物理的接触」は、大気又はその他の気体物質の通路又は層が介在しない接触を意味する。ハウジングシェル、流体流路及び携帯用エネルギー源の材料、形状及び寸法は、携帯用エネルギー源のハウジングと流体流路との間の熱抵抗が、100℃/W未満、好ましくは25℃/W未満、更に好ましくは10℃/W未満であるように構成されることが好ましい。
【0015】
例えば内部インピーダンスにより携帯用エネルギー源において放散された熱エネルギーが独占的に注入液を加熱するために利用されるか、又は上述の厚膜又は薄膜抵抗器などの加熱要素において放散された熱エネルギーを補足できることが、当業者には分かるだろう。後者の場合、両方の熱源が、注入液の加熱に寄与する。このようにして、携帯用エネルギー源によって発生した過剰な熱は、周囲空気に浪費される代わりに、注入液を加温又は加熱する。従って、携帯用エネルギー源において蓄積されたエネルギーが効率よく使用される。
【0016】
ハウジングシェルは、高さ2.0cm未満好ましくは1.0cm未満の高さを持つ平板形構造体を持つことができる。
【0017】
本発明の別の形態は、上側壁構造体と、これに対向する下側壁構造体とを有するケーシングシェルを備える注入液加温器に関する。流体流路又は通路は、上側壁構造体と下側壁構造体との間でケーシングシェルを貫通する。流体入口及び出口は、ケーシングシェルを通過して注入液が流れるように流体流路又は通路の両端に連結される。加熱要素は、注入液に熱エネルギーを伝達するために流体流路に熱結合され、充電式電池、非充電式電池、スーパーキャパシタなどの携帯用エネルギー源を備える。本発明のこの形態は、例えば、非常時又は戦場など様々な有利な現場使用のために完全携帯用注入液加温器を提供し、患者を冷やすことなく流体又は血液を注入できるようにする。携帯用注入液加温器の単純さは、小型である及び軽量であることと結合して、加温器を運ぶ医療従事者にとって顕著な利点となる。ケーシングシェルは、射出成形によって製作された熱可塑材又はエラストマー配合材を含むことができる。ケーシングシェルは、加熱要素及び携帯用エネルギー源を完全に取り囲み又は封入して、加熱要素及びエネルギー源を衝撃及び衝突及び外部環境の汚染物質から保護できる。携帯用エネルギー源は流体流路に熱結合されるので、例えば携帯用エネルギー源の内部インピーダンスによりエネルギー源において放散された熱エネルギーは、周囲空気に浪費される代わりに、注入液へ伝達されて注入液を加熱する。従って、携帯用エネルギー源に蓄積されたエネルギーは、効率良く使用されるので、携帯用エネルギー源のサイズ、重量及びエネルギー蓄積キャパシティを小さくするか、又は所定のサイズ、重量又はキャパシティに対してより高いエネルギー蓄積キャパシティの携帯用エネルギー源を提供できるようにする。携帯用エネルギー源と流体流路との間の熱結合は、エネルギー源と流路との間の、直接又は間接の物理的接触によって与えられることが好ましい。この文脈において、「直接又は間接の物理的接触」とは、大気空気又は他の気体物質の通路又は層が介在しない接触、例えば、以下に説明する電気絶縁性かつ熱伝導性のエネルギー源ハウジング等が介在しない接触、を意味する。携帯用エネルギー源と注入液との間の熱抵抗は、100℃/W未満、好ましくは25℃/W未満、更に好ましくは10℃/W未満である。
【0018】
携帯用エネルギー源は、周りを取り囲む電気絶縁性でかつ熱伝導性のエネルギー源ハウジングの中に取り囲まれる。エネルギー源ハウジングは、ケーシングシェル内部に配置されることが好ましい。後者の実施形態において、エネルギー源ハウジングとケーシングシェルは、例えば全ての側面においてエネルギー源ハウジングを取り囲む流体流路を形成するように、同軸に芯合わせすることができる。後者の場合、流体流路は、携帯用エネルギー源から注入液への熱エネルギーの伝達を最大化するように、エネルギー源ハウジングの全周囲の周りに延在する又はこれを取り巻く。同時に、携帯用エネルギー源の効率的な液体冷却が得られる。
【0019】
エネルギー源ハウジング及びケーシングシェルの各々は、実質的に円形、楕円形又は長方形の断面形状を持つことができる。流体流路は、エネルギー源ハウジングの外面とケーシングシェルの上側及び下側壁構造体との間に形成できる。エネルギー源ハウジングは、ハウジングシェルの材料に関連して上に説明したセラミック材料のいずれでも含むことができることが、当業者には分かるだろう。加熱要素は、更に、例えばスクリーン印刷によって、流体流路とは反対側の、エネルギー源ハウジングの表面に、直接接着された薄膜又は厚膜抵抗器を備えることができる。
【0020】
エネルギー源ハウジングは、充電式又は非充電式電池のシェル又はケーシングによって形成されるか、又は既存の別個のバッテリシェル(1つ又は複数)を取り囲む別個のハウジングとして形成されて、別個のバッテリコンパートメントを形成できる。
【0021】
第1の及び第2の形態に関連して上に説明した注入液加温器の各々は、出口又は出口付近など流体流路内の適切な位置で注入液の温度を測定するための温度センサを備えることができる。制御器回路は、作動上温度センサ及び加熱要素に結合されて、加熱要素の瞬間的な電力消費を制御できる。制御器回路は、温度センサからの温度データに基づいて注入液の所望の又は目標の温度に応じて加熱要素の電力消費を調節するように作られる。制御器回路は、デジタル信号プロセッサなどのプログラマブルマイクロプロセッサ及び制御アルゴリズムを実行する適切なプログラムコード又は命令を備えることが好ましい。プログラマブルマイクロプロセッサは、好ましくは適切なインプット及びアウトプットポート及びEEPROM又はフラッシュメモリなどの周辺デバイスを備える、既成の業界基準のマイクロプロセッサとすることができる。但し、制御器回路は、FPGAデバイス又は専用集積回路(ASIC)に組み込まれた組合せロジック及びメモリを備える配線接続の回路などの適切に構成されたプログラマブルロジックによっても実施できることが、当業者には分かるだろう。制御器回路は、上側壁構造体の、流体流路とは反対側の表面に、又は下側壁構造体の、流体流路とは反対側の表面に、接着されることが好ましい。制御器回路は、十分な表面積が利用可能である場合、上側又は下側壁構造体の厚膜抵抗器と同じ表面に配置できる。本発明の上述の実施形態に従って制御器回路のキャリアとしてハウジングシェルを使用すると、注入液加温器のサイズを更に縮小でき、注入液加温器の製造時に組み立てなければならない分離部品の数を減少できる。本発明のいくつかの実施形態において、制御器回路は、加熱要素において電力を消費するために加熱要素へ変調駆動信号を与えるように構成された1つ又はそれ以上の半導体トランジスタ及び/又は半導体ダイオードを備える。半導体トランジスタは、1つ又はそれ以上のパワーMOSトランジスタ又はIGBTを備えることができる。制御器回路は、既知量の電力が加熱要素において放散されるように、加熱要素例えば厚膜抵抗器を横切ってPWM(パルス幅変調)駆動信号を与えるように半導体トランジスタを制御する。制御器回路は、PWM駆動信号のデューティサイクルを調節することによって加熱要素において消費される電力量を調節するように作ることができる。また、加熱要素の作動時に制御器回路の1つ又はそれ以上の半導体トランジスタ及び/又は半導体ダイオードにおいて放散される過剰な熱エネルギーも、半導体を、上側及び/又は下側壁構造体の、流体流路とは反対側の表面に接着することによって、流体流路に伝達できる。過剰な熱エネルギーは、1つ又はそれ以上の半導体トランジスタ及び/又は半導体ダイオードにおける抵抗性及び容量性寄生損によって生じる。
【0022】
温度センサは、加熱又は加温された注入液の温度を正確に測定できるように、流体流路において例えば出口に又は出口付近に配置された半導体型センサを備えることができる。注入液温度データは、デジタルコード化されたフォーマットで又は制御器回路においてアナログ−デジタル変換器(A/Dコンバータ)によってサンプル化されるアナログ電圧、チャージ又は電流信号として、制御器回路に送信できる。
【0023】
温度センサの有利な実施形態は、厚膜抵抗器又は薄膜抵抗器、好ましくは加熱要素の厚膜又は薄膜抵抗器を備える。厚膜抵抗器の抵抗は高い温度依存度を持つので、抵抗器は温度感知に特に有用であり、制御器回路は、厚膜抵抗器の瞬間的抵抗を測定するように作れる。制御器は、適切な計算アルゴリズムによって又はルックアップテーブルによって、瞬間的抵抗測定値から抵抗器の温度を測定できる。更に、厚膜抵抗器及びハウジングシェルの上側又は下側壁構造体が流体流路と良好な熱接触を持つ場合、厚膜抵抗器の温度は注入液の温度とほぼ同じなので、抵抗器の温度は注入液温度の優れた推定値である(設定された補正率で調整できる)。
【0024】
本発明の別の第3の形態は、患者への投与時に注入液を加温する方法に関する。方法は、
−上述の形態又はその実施形態のいずれかに従った注入液加温器を用意するステップと、
−例えば腕輪又はテープを用いて患者に注入液加温器を固定するステップと、
−出口を患者の静脈に挿入されたVenflon(登録商標)又はIVカテーテルに接続するステップと、
−入口を所定容量の注入液を含む注入液バッグ又は容器に接続するステップと、を含む。必要な場合、短い延長チューブを出口とVenflon又はIVカテーテルとの間に挿入できる。同様に、入口と注入液バッグ又は容器との間に延長チューブを連結できる。
【0025】
本発明の注入液加温器を非常にコンパクトな寸法で製造できることは、テープ、絆創膏、包帯、ゴムバンドなどの適切な接着装置又は物質を用いて注入液加温器を患者の体に例えば脚又は腕に直接都合よく固定できるようにする。これによって、注入液送達工程が単純化され、偶発的な外れのリスクが最小化される。
【0026】
本発明の好ましい実施形態について、添付図面に関連して更に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1a】本発明の第1の実施形態に従った注入液加温器の垂直断面図である。
図1b】本発明の第1の実施形態に従った注入液加温器の上面図である。
図2a】本発明の第2の実施形態に従った注入液加温器の垂直断面図である。
図2b】本発明の第2の実施形態に従った注入液加温器の上面図である。
図2c】本発明の第3の実施形態に従った注入液加温器の垂直断面図である。
図2d】本発明の第3の実施形態に従った注入液加温器の上面図である。
図3a】本発明の第4の実施形態に従った注入液加温器の垂直断面図である。
図3b】本発明の第4の実施形態に従った注入液加温器の上面図である。
図4a】本発明の第5の実施形態に従った注入液加温器の垂直断面図である。
図4b】本発明の第5の実施形態に従った注入液加温器の上面図である。
図5】本発明の第6の実施形態に従った電池式注入液加温器の垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1a)は、本発明の第1の実施形態に従った注入液加温器100の垂直断面図である。注入液加温器100は、熱伝導性でかつ電気絶縁性の材料好ましくは酸化アルミニウム(Al23)などのセラミック材料を含む材料で形成されたハウジングシェル104を備える。ハウジングシェル104の寸法は、注入液加温器100の具体的要件特にその流体加温キャパシティに応じて変動する。
【0029】
ハウジングシェル104は、外側ケーシング102内部に封入又は取り囲まれる。外側ケーシングは、射出成形によって適切な高分子材料例えば熱可塑性材料又はエラストマー配合材で形成できる。外側ケーシング102は、機械的衝撃及び衝突からハウジングシェル104を保護する形状及びサイズを持つことができる。1対のキャップナット又はキャップ112、114が、それぞれ、外側ケーシング102の入口開口部を被覆し、外側ケーシング102の内部容積を外部環境の液体、ダスト及びその他の汚染物質からシール又は隔離するために使用されることが好ましい。図示する注入液加温器100のプロトタイプは、長さ5.1cm、幅3.3cm及び厚み2.1cmの外側ケーシング102として製造された。ハウジングシェル104は、垂直平面即ちハウジングシェル104の外側表面に平行の水平面に直角を成す平面において突出する蛇行する形の流体流路又は通路103によって分割された上側壁構造体107とこれに対向する下側壁構造体105とを備える板形状を有する。流体流路103は、上側壁構造体107と下側壁構造体105との間でハウジングシェル104を貫通する。本実施形態において、上側壁構造体107と下側壁構造体105は、糊付け、はんだ付け、圧入、溶接などの適切な手段によって相互に結合された別個の上側ハウジングシェルと下側ハウジングシェルに形成される。流体流路103は、ハウジングシェル104を通過して注入液が流れるように、流体入口110と注入液出口108との間に延在する。流体入口110は、流体流路103の第1の端部に連結され、流体出口は流体流路103の反対端部に連結される。流体流路は、入口110及び出口108における注入液の流れ(矢印111で示す)に実質的に直角を成す図示する垂直断面において蛇行する形を有する。血液又はIV液など低温又は未加熱の注入液は、注入液バッグなど流体源からIVライン又はチューブ118を通過し、流体入口110を通過し、流体流路103を通過して、注入液出口108から流れ出る。注入液出口108から、加熱又は加温された注入液は、IVライン又はチューブ116を通過して、静脈内注射治療のために患者の血管に挿入されたIVカテーテル(例えば、Venflon)へ向かって流れる。
【0030】
流体流路103の蛇行する形は、ハウジングシェル104のそれぞれ上側壁構造体107及び下側壁構造体105に形成された1対の対応する溝又はトレンチによって構成される。従って、熱エネルギーは、ハウジングシェル104の加熱された壁構造体と直接接触することによって流体流路103において注入液へ伝達される。酸化アルミニウムなど生体適合性セラミック材料を使用することによって、注入液は、流体流路103においてハウジングシェル材と物理的に直接接触することができ、ごく少数の分離部品を持つ注入液加温器の単純化された構造と共に効率的な熱伝達を保証する。厚膜抵抗器106a〜106fの配列体は、注入液加温器100の加熱要素のように作用し、上側及び下側壁構造体105、107の、流体流路103とは反対側の表面に、それぞれスクリーン印刷される。厚膜抵抗器配列体を横切るPWM(パルス幅変調)駆動信号を与えることによって、抵抗器の中で電力が消費されて、下で更に詳細に説明するように厚膜抵抗器を加熱する。厚膜抵抗器106a、106b及び106cは、流体流路103の反対側を向く上側壁構造体107の外面にスクリーン印刷され、厚膜抵抗器106d、106e及び106fは、流体流路103の反対側を向く下側壁構造体の外面にスクリーン印刷される。厚膜抵抗器106a〜106fの配列体は、それぞれ上側及び下側壁構造体107、105と物理的に良好に接触するので、介在する空隙なしに、流体流路103の中を流れる注入液に効果的な熱結合が与えられて、熱エネルギーが注入液に伝達されて、注入液を加温する。厚膜抵抗器は、それぞれの壁構造体の外面領域の大部分を被覆して、抵抗器とそれぞれハウジングシェル104の上側及び下側壁構造体105、107との間の良好な熱結合を保証する。PWM(パルス幅変調)駆動信号による厚膜抵抗器106a〜106f配列体の合計抵抗は、0.001オーム〜6250オーム例えば0.1オーム〜1キロオーム(103オーム)であることが好ましい。
【0031】
本実施形態において、ハウジングシェル104に使用されるセラミック材料の特性は、いくつかの顕著な利点をもたらす。1つの利点は、セラミック材料は、優れた熱伝導率を持つので、加熱要素(すなわち厚膜抵抗器配列体)において生成された熱エネルギーが低いエネルギー損失で注入液へ伝達されることである。更に、セラミック材料は、加熱要素自体のキャリアとしても役立ち、最後に、加熱要素へ加えられるPWM電圧を注入液から従って患者から絶縁する電気絶縁体としても役立つ。
【0032】
注入液加温器100は、注入液温度が所定の許容範囲例えば36〜37℃の範囲内に在ることを確認するために流体流路103内例えば出口108において注入液の温度を測定するための温度センサ(図示せず)を備えることが好ましい。制御器回路(図示せず)は、作動上、温度センサ及び厚膜抵抗器106a〜106f配列体に結合されて、配列体における瞬間的な電力消費を制御する。厚膜抵抗器106a〜106fの配列体における瞬間的な電力消費は、注入液の所望の又は目標の温度に従って抵抗器配列体に与えられる上述のPWM駆動信号のデューティサイクルを調節することによって制御されることが好ましい。調節は、例えば、適切なフィードバックループ及び温度センサからの温度データに基づき制御器回路が実行する制御アルゴリズムを介して実施できる。制御器回路は、デジタル信号プロセッサなどのプログラマブルマイクロプロセッサ及び制御アルゴリズムを実行する適切なプログラムコード又は命令を備えることが好ましい。プログラマブルマイクロプロセッサは、好ましくは適切なインプット及びアウトプットポート及びEEPROM又はフラッシュメモリなどの周辺デバイスを備える既成の業界基準のマイクロプロセッサとすることができる。但し、制御器回路は、FPGAデバイス又は専用集積回路(ASIC)に組み込まれた組合せロジック及びメモリの組合せを備える配線接続の回路などの適切に構成されたプログラマブルロジックによっても実施できることが、当業者には分かるだろう。制御器回路は、厚膜抵抗器106a、106b及び106c(図1b)又は厚膜抵抗器106d、106e及び106fに隣接して配置されるように、上側壁構造体107の外面又は下側壁構造体105の外面に接着されることが好ましい。このようにして、上側壁構造体107又は下側壁構造体105は、制御器回路のキャリアとしても機能し、制御器において放散された熱エネルギーがハウジングシェル104を通過して注入液へ向けられるように制御器に熱結合できる。制御器回路は、注入液加温器100全体を持ち運びできるように、充電式又は非充電式電池の動力提供を受けることが好ましい。又は制御器回路は、スイッチング電源などの商用電源からエネルギー提供を受けることができる。
【0033】
図1b)は、本発明の第1の実施形態に従った注入液加温器100の上面図である。熱可塑材ケーシング102の蓋又は上側壁は、ハウジングシェル104の上側壁構造体107の、流体流路とは反対側の表面が見えるように、取り除かれている。厚膜抵抗器106a、106及び106cは、上述のように、上側壁107の外面に配置され、利用可能な表面積の大部分を被覆する。厚膜抵抗器106a、106b及び106cの各々は、相互に以下のように配置された複数の抵抗器セグメントを備える。これらの抵抗器セグメントは、厚膜抵抗器に所望の抵抗値を与えるように直列に又は並列に結合できる。複数の抵抗器セグメントは、同等の抵抗を持つ単一の抵抗器と置き換えできることが当業者には分かるだろう。同様に、厚膜抵抗器106a、106b及び106cは、同等の抵抗を持つ単一の抵抗器と置き換えできる。図解するように、周縁部は、厚膜抵抗器106a、106b及び106cによって被覆されないままであり、制御器回路の取付けに使用できるので、個々の要素が良好な熱接触を持つ、非常にコンパクトで機械的に丈夫な全体構造を与える。
【0034】
図2a)は、本発明の第2の実施形態に従った注入液加温器200の垂直断面図である。本実施形態と上述の第1の実施形態の注入液加温器の同様の特性には、比較を容易にするために対応する参照番号を与えた。注入液加温器200は、好ましくは酸化アルミニウム(Al23)などのセラミック材料を含む熱伝導性でかつ電気絶縁性の材料で形成されたハウジングシェル204を備える。ハウジングシェル204の寸法は、注入液加温器200の具体的要件特に注入液加温キャパシティに応じて変動する。ハウジングシェル204は、関連する1対のキャップナット又はキャップ212、214によって一緒に保持された外側又は外部ケーシングシェル202内に封入又は取り囲まれる。キャップナットは、上述の材料の1つで同じ目的のために形成できる。外部ケーシングシェル202は、注入液加温器200の作動時に注入液が進入する(矢印211で示す)流体入口210と、これに対向して配置された注入液が出ていく(矢印213で示す)流体出口208と、を備える。
【0035】
ハウジングシェル204は、上側壁構造体207と、これに対向する下側壁構造体205とを備える板形状を有する。上側壁構造体と下側壁構造体は、上側壁構造体207と下側壁構造体205の対面する表面の間に延在する流体流路又は通路203によって分離される。本実施形態において、上側壁構造体207と下側壁構造体205は、糊付け、はんだ付け、圧入、溶接などの適切な手段によって製造後に相互に接着された別個の上側と下側ハウジングシェルに形成される。流体流路203は、本発明の第1の実施形態の注入液加温器の蛇行する形に対して、本実施形態においては、実質的に直線的な水平形状を有する。流体流路203は、上側及び下側壁構造体207、205の対面する表面の主要部分の下に延在し、流体流路203を通過する注入液の流量を最大化することが好ましい。同様に、対面する表面を介する注入液と上側壁構造体207及び下側壁構造体205との間の直接の物理的接触面積が最大化され、上側及び下側壁構造体207、205を介する注入液への直接的熱エネルギーの伝達を改良する。流体流路203の高さは、0.1mm〜5cmの範囲であることが好ましい。本実施形態のために選択された直線的流体流路又は通路設計の顕著な利点は、圧力低下がより小さいことである。流体流路203は、ハウジングシェル204の機械的強さ特に垂直向きの衝撃に対する強さを改良するために上側壁構造体207と下側壁構造体205を機械的に接続する複数の垂直柱を備えることができる。
【0036】
厚膜抵抗器206a〜206dの配列体は、注入液加温器200の加熱要素として作用する。厚膜抵抗器206a〜206fの配列体は、上側及び下側壁構造体207、205の、流体流路203とは反対側の表面に、それぞれスクリーン印刷されるか、しっかりと接着されるか又は別の固定機構によって取り付けられる。厚膜抵抗器の配列体は、壁構造体に対して従って流体流路203を流れる注入液に対して効率の良い熱結合即ち低い熱抵抗が得られるように、上側及び下側壁構造体207、205の外面に接着されることが好ましい。厚膜抵抗器の配列体の個々の抵抗器は、介在する空隙なしに壁構造体に当接して配置されることが好ましい。このようにして、厚膜抵抗器206a〜206fの配列体において放散された熱エネルギーは、注入液に効率よく伝達されて、注入液を加温する。厚膜抵抗器はそれぞれの表面積の大部分を被覆することが好ましく、それによって、厚膜抵抗器とハウジングシェル204のそれぞれ上側及び下側壁構造体207、205との間の良好な熱結合を保証する。PWM(パルス幅変調)駆動信号などの駆動信号による厚膜抵抗器206a〜206dの配列体の合計抵抗は、0.001オーム〜6250オーム、例えば0.1オーム〜1キロオーム(103オーム)であることが好ましい。
【0037】
注入液加温器200は、流体流路203内例えば出口208において注入液の温度を測定するための温度センサ(図示せず)を備えることが好ましい。温度センサは、注入液温度が所定の許容範囲例えば36〜37℃の範囲内に在ることを確認するために利用できる。制御器回路(図示せず)は、作動上、温度センサ及び厚膜抵抗器206a〜206dの配列体に結合されて、第1の実施形態の注入液加温器100に関連して上に説明したのと同様に、配列体における瞬間的な電力消費を制御する。
【0038】
厚膜抵抗器206a〜206dの配列体とハウジングシェル204との間の強固な接着が、この注入液加温器200において部品数の少ない加熱要素及び熱交換器のコンパクトな一体的組立体を与えることが、当業者には分かるだろう。
【0039】
図2b)は、本発明の第2の実施形態に従った注入液加温器200の上面図である。熱可塑性ケーシング202の蓋又は上側壁は、ハウジングシェル204の上側壁207の外面が露出されるように取り除かれている。厚膜抵抗器206a、206bは、上側壁207の外面に配置され、利用可能な表面積の大部分を被覆する。厚膜抵抗器206a〜206dの各々は、幅方向に配置された複数の個別の抵抗器セグメントを備える。これらの抵抗器セグメントは、所定の厚膜抵抗器に所望の抵抗値を与えるように、直列又は並列に結合できる。
【0040】
図2c)は、本発明の第3の実施形態に従った注入液加温器250の垂直断面図である。本実施形態と上述の第2の実施形態の注入液加温器の同様の特徴及び要素には、比較を容易にするために同様の参照番号を与えた。外部ケーシングシェル252は、注入液加温器250の作動時に、注入液が進入する(矢印261で示す)流体入口260と、反対方向に配置され、注入液が出ていく(矢印263で示す)流体出口258と、を備える。ハウジングシェル254は、関連する1対のキャップナット又はキャップ262、264によって一緒に保持された外側又は外部ケーシングシェル252内に封入又は取り囲まれる。
【0041】
本注入液加温器250において、流体流路は、ハウジングシェル254の上側壁構造体257と外部ケーシング252の上側壁構造体との間に配置された第1の又は上側流路セグメント253aを備える。第2の流路セグメント253bは、ハウジングシェル254の下側壁構造体255と外部ケーシング252の下側壁構造体255の内向き面との間に配置される。このように、流体流路は、上述の第2の実施形態におけるようにハウジングシェル204を通過する代わりにハウジングシェル254の周りに延在する。上側及び下側壁構造体257、255は、製造後に接着される分離部品とすることができる。ハウジングシェル204は、好ましくは酸化アルミニウム(AL23)などのセラミック材料を含む熱伝導性でかつ電気絶縁性の材料で形成されることが好ましい。上側及び下側流体流路253a、253bは、流体流路を通過する注入液の流量を最大化するために上側及び下側外部ケーシングの対面する表面の十分な部分の下に延在することが好ましい。同様に、対面する表面を介した注入液と上側及び下側壁構造体257、255との間の直接の物理的接触は、最大化され、上側及び下側壁構造体257、255を介する注入液への直接熱エネルギー伝達を改良する。上側及び下側流体流路253a、253bの直線的流体流路又は通路設計は、圧力低下を小さくする。
【0042】
厚膜抵抗器256a〜256dの配列体は、注入液加温器250の加熱要素として作用する。厚膜抵抗器206a〜206dの配列体は、流体流路253a、253bから離れる方向にそれぞれ向き合っている上側及び下側壁構造体257、255の表面に、スクリーン印刷されるか、しっかりと接着されるか又は別の固定機構によって取り付けられる。厚膜抵抗器206a〜206bの上側配列体は、上側壁構造体257に接着され、間に小さい中間体積が形成されるように、下側壁構造体255に接着された厚膜抵抗器206c〜206dの下側配列体に対面する。上側及び下側壁構造体257、255は、注入液が小さい中間体積へ進入して厚膜抵抗器を短絡させるのを防止するように、相互に密閉接着されることが好ましい。厚膜抵抗器256a〜256dの配列体は、それぞれの壁構造体に対して従って上側及び下側流体流路253a、253bの中を流れる注入液に対して効率の良い熱結合即ち低い熱抵抗が得られるように、上側及び下側壁構造体207、205に接着されることが好ましい。上述のように、厚膜抵抗器の配列体の個別の抵抗器は、厚膜抵抗器206a〜206dの配列体から上側及び下側壁構造体257、255を通過して注入液への効率の良い熱伝達を保証するように、介在する空隙なしに壁構造体と当接するように配置されることが好ましい。
【0043】
厚膜抵抗器256a〜256bの配列体とハウジングシェル254との間の強固な接着が、本注入液加温器250において部品数の少ない加熱要素及び熱交換機のコンパクトな一体的組立体を与えることが、当業者には分かるだろう。
【0044】
図2d)は、本発明の第3の実施形態に従った注入液加温器250の上面図である。熱可塑性ケーシング252の蓋又は上側壁は、ハウジングシェル254の上側壁207の外面が露出されるように取り除かれている。厚膜抵抗器206a、206bは、上側流体流路とは反対側の、上側壁207の内面に配置される。厚膜抵抗器206a、206bは、上側壁257の利用可能な表面積の大きな部分を被覆する。厚膜抵抗器206a〜206dの各々は、幅方向に配置された複数の個別の抵抗器セグメントを備える。これらの抵抗器セグメントは、所定の厚膜抵抗器に所望の抵抗値を与えるように、直列又は並列に結合できる。
【0045】
図3a)は、本発明の第3の実施形態に従った注入液加温器300の垂直断面図である。本実施形態と上述の第1の実施形態の注入液加温器の同様の特徴には、比較を容易にするために対応する参照番号を与えた。注入液加温器300は、好ましくは酸化アルミニウム(Al23)などのセラミック材料を含む熱伝導性でかつ電気絶縁性の材料で形成されたハウジングシェル304を備える。ハウジングシェル304の寸法は、注入液加温器300の具体的要件特に注入液加温キャパシティに応じて変動する。ハウジングシェル304は、外側ケーシング302及びその関連する1対のキャップナット又はキャップ312、314内に封入又は取り囲まれ、キャップは、上述の材料の1つで同じ目的のために形成できる。ハウジングシェル304は、板形上側壁構造体307と、これに対向する別個の下側板形壁構造体305とを備える。アルミニウム熱交換器309は、板形の上側壁構造体307と下側壁構造体305との間に配置され、例えば直接の物理的接触によって又は適切なサーマルコンパウンドの層を介して壁構造体に熱結合される。流体流路303は、注入液が金属製熱交換器と物理的に接触して、熱交換器から熱エネルギーを受け取るように、金属製熱交換器309の中に形成される。上側壁構造体307及び下側壁構造体305は、糊付け、はんだ付け、圧入、溶接などの適切な手段及び製造工程によって、金属製熱交換器309の両面に接着又は固定できる。厚膜抵抗器306a、306b及び306cは、流体流路303が中に形成される金属製熱交換器の反対側を向く上側壁構造体307の外面にスクリーン印刷され、厚膜抵抗器306d、306e及び306fは、金属製熱交換器309の反対側を向く下側壁構造体305の外面にスクリーン印刷される。流体流路303は、金属製熱交換器309に配置された流体入口310と注入液出口308との間に延在する。流体流路303は、上述の第1の実施形態の注入液加温器の形状と同様の蛇行する形を有する。流体流路303は、流体流路303を通過する注入液の流量を改良するために上側及び下側壁構造体307、305の幅の十分な部分の下方に延在することが好ましい。同様に、流路303内部における注入液と上側及び下側壁構造体307、305との間の直接の物理的接触面積は、熱エネルギー伝達を改良するために最大化される。流体流路303の高さは、0.1mm〜5cmの範囲であることが好ましい。金属製熱交換器309の顕著な利点は、例えばセラミック材料に比べて熱抵抗が低いことであり、それによって、注入液加温キャパシティが増大し、より高い流量を許容する。また、金属製熱交換器309は、注入液加温器のサイズ及び複雑性という難点はあるが、ハウジングシェル304の表面積及び機械的強さを増大する。
【0046】
図3b)は、本発明の第3の実施形態に従った注入液加温器300の上面図である。熱可塑性蓋又は上側壁は、ハウジングシェル304の上側壁307を露出するように取り除かれている。金属製熱交換器309の縁セグメントは、セラミック材ハウジングシェル304の上面の外部へ長さ方向に突起又は突出する。流体入口310は、左側縁セグメント309aの下に形成され、流体出口は、右側縁セグメント309bの下に形成される。厚膜抵抗器306a、306b、306cは、上側壁307の外面に配置され、利用可能な表面積の大部分を被覆する。厚膜抵抗器306a、306b306cの各々は、幅方向に配置された複数の個別の抵抗器セグメントを備える。これらの抵抗器セグメントは、所定の厚膜抵抗器に所望の抵抗値を与えるように直列に又は並列に結合できる。厚膜抵抗器306a、306b、306cは、上側壁構造体307と良好に熱接触し、上側壁構造体は金属製熱交換器309と良好に熱接触するので、厚膜抵抗器306a、306b、306cにおいて放散された熱エネルギーは、流体流路303の中の注入液に効率よく伝達又は結合される。
【0047】
図4a)は、本発明の第4の実施形態に従った注入液加温器400の垂直断面図である。本実施形態と上述の第1の実施形態の注入液加温器の同様の特徴には、比較を容易にするために対応する参照番号を与えた。注入液加温器400は、好ましくは酸化アルミニウム(Al23)などのセラミック材料を含む熱伝導性でかつ電気絶縁性の材料で形成されたハウジングシェル404を備える。ハウジングシェル404の寸法は、注入液加温器400の具体的要件特に注入液加温キャパシティに応じて変動する。ハウジングシェル404は、外側ケーシング402及びその関連する1対のキャップナット又はキャップ412、414内に封入又は取り囲まれる。キャップは、前述の材料の1つで、同じ目的で形成できる。ハウジングシェル404は、長方形板形上側壁構造体407と、これに対向する別個の長方形下側板形壁構造体405とを備える。アルミニウム熱交換器409は、板形の上側壁構造体407と下側壁構造体405との間に配置され、例えば、直接の物理的接触によって又は適切なサーマルコンパウンドの層を介して壁構造体に熱結合される。アルミニウム熱交換器409は、板形上側及び下側壁構造体407、405に対応する平らな上側及び下側表面を持つ長方形構造を有し、これらの部品の間の良好な熱結合(即ち低い熱抵抗)を可能にする。長方形断面形状を持つ直線的流体流路403は、注入液が金属製熱交換器409と物理的に接触して熱交換器から熱エネルギーを受け取るように、金属製熱交換器409の中央を貫通する。上側壁構造体407及び下側壁構造体405は、糊付け、はんだ付け、圧入、溶接などの適切な固定工程によって金属製熱交換器409の両面に接着又は固定できる。厚膜抵抗器406a、406bは、中に流体流路403が形成される金属製熱交換器409の反対側を向く上側壁構造体407の外面にスクリーン印刷され、厚膜抵抗器406c、406dは、金属製熱交換器409の反対側を向く下側壁構造体405の外面にスクリーン印刷される。流体流路403は、金属製熱交換器409に配置された流体入口又はスリット410と流体出口又はスリット408との間に延在する。流体流路403は、流体流路403を通過する注入液の流量を改良するために、上側壁構造体407及び下側壁構造体405の幅の十分な部分の下に延在することが好ましい。同様に、注入液と流体流路403の上側及び下側壁構造体との間の直接の物理的接触面積は、熱エネルギー伝達を改良するために最大化される。流体流路403の高さは、0.1mm〜5cmの範囲であることが好ましい。金属製熱交換器409における上述の蛇行する形流体流路形状と比較した本金属製熱交換器409の直線形流体流路の顕著な利点は、圧力低下が小さいことである。また、金属製熱交換器409は、ハウジングシェル404の表面積及び機械的強度を増大する。
【0048】
図4b)は、本発明の第4の実施形態に従った注入液加温器400の上面図である。熱可塑性ケーシング402の蓋又は上側壁構造体は、セラミック材ハウジングシェル404の上側壁407の外面が露出するように取り除かれている。上側壁407は、下に存在する金属製熱交換器409を被覆する。流体入口410は、金属製熱交換器409の中央部において長方形スリットとして形成され、注入液出口408は、同様に反対端において金属製熱交換器409の中央部の長方形スリットとして形成される。厚膜抵抗器406a、406bは、上側壁407の外面に配置され、好ましくはスクリーン印刷されて、利用可能な表面積の大部分を被覆する。厚膜抵抗器406a、406bの各々は、幅方向に配置された複数の個別の抵抗器セグメントを備える。これらの抵抗器セグメントは、所定の厚膜抵抗器に所望の抵抗値を与えるように直列又は並列に結合できる。厚膜抵抗器406a、406bは、上側壁構造体407と良好に熱接触し、上側壁構造体は金属製熱交換器409と良好に熱接触するので、厚膜抵抗器406a、406bにおいて放散された熱エネルギーは、流体流路403の中の注入液へ効率よく伝達される。当然、同様の効率の良い熱エネルギー伝達が、厚膜抵抗器406c、406dから注入液へ行われる。
【0049】
図5は、本発明の上述の第2の形態及び別個の形態に従った電池式注入液加温器500の垂直断面図であり、この加温器において、加熱要素は、1つ又はそれ以上の充電式電池、非充電式電池、スーパーキャパシタなどの携帯用エネルギー源を備える。注入液加温器500は、射出成形によって適切な高分子材例えば熱可塑性材料又はエラストマー配合材で形成できる外側ケーシング502を備える。外側ケーシング502は、バッテリハウジング又はシェル504を機械的衝撃又は衝突から保護する形状及びサイズを持つことができる。1対のキャップナット又はキャップ512、514は、外側ケーシング502のそれぞれの入口開口部を被覆し、外側ケーシング502の内部体積を外部環境の液体、ダスト及びその他の汚染物質からシール又は隔離するために使用されることが好ましい。外側ケーシング502の寸法は、注入液加温器の具体的要件特にその注入液加温キャパシティに応じて変動する。
【0050】
外側ケーシング502は、半円筒形上側壁構造体507と、対向する下側半円筒形壁構造体505と、を持つ円筒形である。バッテリシェル504は、3つの充電式電池519a、519b、519cを流体流路503から電気的に絶縁するために、セラミック材料例えば酸化アルミニウム(AL23)などの熱伝導性でかつ電気絶縁性の材料で形成されることが好ましい。バッテリシェル504は、外側ケーシング502の内側輪郭に合致する円筒形状を持つことが好ましいが、断面直径は、外側ケーシング502の内面とバッテリシェル504との間に環状円筒形通路503が得られるように十分に小さい。環状円筒形通路503は、外側ケーシング502を通過して注入液が流動できるように、流体入口510と流体出口508との間に水平に延びる流体流路又は通路を形成する。3つの充電式電池519a、519b、519cは、円筒形以外の他の形状を持つことができ、バッテリシェル504及び外側ケーシング502の形状もこれに合わせることができることが、当業者には分かるだろう。この種の1つの実施形態において、充電式電池は、各々長方形断面を有し、流体流路503は、対応する断面形状を有する。携帯用注入液加温器の他の実施形態においては、3つの充電式電池を取り囲む別個のバッテリシェル504が必要ない場合があることが、当業者には分かるだろう。このような実施形態において、充電式電池の各外側ケーシングは、熱伝達特性及び電気絶縁特性を有し、注入液と直接接触できる。血液又はIV液など低温又は未加熱の注入液は、注入液バッグなどの供給源からIVライン又はチューブ518を通過し、流体入口510を通過し、流体流路503を通過して流れて、流体出口508から出ていく。流体出口508から、加熱又は加温された注入液は、IVライン又はチューブ516を通過して、静脈内治療のために患者の血管に挿入されたIVカテーテル(例えばVenflon)へ向かって流れる。充電式電池519a、519b、519cは、本発明の本実施形態において加熱要素のように作用する。バッテリシェル504の外面は、バッテリシェル504の外面と流動する注入液との間の直接の物理的接触により、電池によって発生した熱エネルギーを流体流路503の中の注入液へ伝達する。充電式電池519a、519b、519cは、例えば直接の物理的接触によって又は介在するサーマルコンパウンドの層又は熱伝導率の高いソリッド材料の介在する層を介して、バッテリシェル504と良好に熱接触することが好ましい。
【0051】
注入液加温器500は、注入液の温度が所定の許容範囲例えば36〜37℃の範囲に在ることを確認するために、流体流路503において例えば出口508において注入液の温度を測定ための温度センサ(図示せず)を備えることが好ましい。制御器回路(図示せず)が、作用上結合されて、それぞれの内部インピーダンスにより充電式電池519a、519b、519c内部で瞬間的に消費される電力を制御するように、3つの充電式電池519a、519b、519cからの放電電流を測定又は設定する。充電式電池519a、519b、519cにおける内部電力消費は、熱エネルギーの発生を生じ、熱エネルギーは、上述のように、熱伝導性のバッテリシェル504を介して注入液へ熱結合される。このようにして、注入液は、充電式電池519a、519b、519cによって発生した過剰な熱を浪費する代わりに、この過剰な熱によって加温又は加熱されるので、充電式電池519a、519b、519cに蓄積されたエネルギーは効率良く利用される。制御器回路は、温度センサからの温度データを用いて、患者への注入液送達時に出口における所望の注入液温度が維持されるように、充電式電池内部の瞬間的な電力消費を制御できる。
【0052】
注入液を加熱するための充電式電池519a、519b、519cの内部電力の消費の上述の使用は、上述の厚膜抵抗器の配列体など別個の加熱要素で補足できることが、当業者には分かるだろう。厚膜抵抗器の配列体は、特にバッテリシェル材料が適切なセラミック材料を含む場合、注入液から電気絶縁されるように、バッテリシェル504の適切な内表面に(即ち流体流路の反対面に)スクリーン印刷できる。このようにして、厚膜抵抗器において消費された電力と充電式電池の中の内部電力消費の両方が効率よく使用される。制御器回路は、上述のように、デジタル信号プロセッサなどのプログラマブルマイクロプロセッサ及び制御アルゴリズムを実行する適切なプログラムコード又は命令を備えることが好ましい。
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図4a
図4b
図5