(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
平行に並んだ複数枚の平板により構成された集塵極と、前記集塵極の内部を略垂直方向に貫通するように配設されて電極ロッドと放電線とにより構成される放電極と、を備える平板式の電気集塵機の該集塵極の内部を検査する集塵極内検査装置であって、
矩形状のフレームと、
前記フレームに固定され、前記放電極の内部の前記電極ロッドに沿って該フレームを移動可能にする3つ以上のローラーと、
前記フレームの一辺に保持され、前記放電極内を撮像する撮像装置と、を有し、
前記フレームは、前記電極ロッドに対して0度、120度、240度の方向に前記ローラーが配置されるように屈曲して、該電極ロッドを取り囲むように平面視略三角形状の構造を形成する
集塵極内検査装置。
【背景技術】
【0002】
電気集塵機は、滑らかな集塵極と放電極とを備えている(例えば特許文献1参照)。電気集塵機において、集塵極が接地され、放電極に負の高電圧が印加されると、放電極から旺盛なコロナ放電が発生し、電気集塵機内の空間は負イオンと電子によって満たされる。この状態で、電気集塵機内の空間をミストやダスト等の微粒子を含んだガスが通過すると、ガス中の微粒子は負に帯電し、静電凝集作用を伴いながら、クーロン力によって集塵極に向かって移動し、集塵極上に付着され、集塵される。
【0003】
また、電気集塵機の集塵効率を向上させるため、複数の筒を集塵極として繰り返し配置したものが広く用いられている。このような集塵極として、従来、筒の開口部が円状の円筒型集塵極や、筒の開口部が四角形状の角筒型電気集塵機が存在する。
【0004】
一方、電気集塵機の放電極は、金属線材を使用したものが多く用いられており、その他、パイプ形状のもの、またこの2種類が混在する電気集塵機も多数存在する。
【0005】
このような電気集塵機では、集塵極と放電極の状態を維持しなければ、集塵効率が悪化するので、定期的に保守のための維持管理が必要である。
【0006】
定期的な保守のための維持管理にあたっては、電極ロッド、放電線、及び集塵極面は、使用状況により定期的な点検が必要となるが、集塵極面の間隔は非常に狭く、高さも4m以上あり、内部へ入って点検することが難しい。したがって、ガス入口及びガス出口等の目視できる範囲の劣化状況から、全体の劣化状況を推測して劣化の判断している。
【0007】
さて、電極ロッドは、集塵ガスの成分により適切なものを選定することになるが、表面処理としてFRPライニングや鉛ホモゲン加工を行う場合も多く、それらは製法上他の金属材料と比べ均一でなく、製作者の技量に影響する。上述のように、劣化状況の判断は、ガス入口及びガス出口の状況の目視できる範囲の点検による推察で行われることから、正確な判断が不可能となり、正確な判定を行うには、電極ロッドを取り外した上で全面の点検を行うしか方法がなく、点検工事としては長期の停止と大規模な点検となる。
【0008】
そのため、多くのユーザの実態としては、腐食等による破損の可能性が生じてから、その部分の補修、点検を行っているのが実態であり、適切な予防的保全を行って長期間の連続運転を可能とするには、定期点検時に正確な判断を行い、必要最低限の補修を行うことが重要である。
【0009】
ところで、湿式電気集塵機としては、筒式(多角形)と平板式とに大別することができる。筒式の湿式電気集塵機の場合では、例えば特許文献2に開示された技術を用いることにより容易に検査が行うことができる。具体的には、筒をガイドとして、特許文献2に開示された検査装置のカメラと被検査物との距離を一定にして検査を行う。
【0010】
しかしながら、平板式の湿式電気集塵機に対しては、ガイドとなる筒がないため、特許文献2に開示された検査装置を用いて有効な検査を行うことができない。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の具体的な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
【0020】
≪1.平板式の湿式電気集塵機≫
先ず、本実施の形態に係る集塵極内検査装置の説明に先立ち、その集塵極内検査装置を用いた内部検査の検査対象である湿式電気集塵機について説明する。
【0021】
図1は、湿式電気集塵機1の概略構成を示す断面図であり、
図1(A)及び(B)は、湿式電気集塵機1を相互に略垂直の別々の方向からみたときの図である。
図1に示すように、湿式電気集塵機1は、上部ケーシング11と、集塵極22と、下部ケーシング13と、架構14と、を備えている。
【0022】
湿式電気集塵機1は、上部ケーシング11と、集塵極22と、下部ケーシング13とが上方からその順番で組み合わされることによって筺体が構成される。また、湿式電気集塵機1の筺体は、架構14により、地上から所定距離だけ上方に離間して固定されている。なお、湿式電気集塵機1の筺体の材質としては、特に限定されないが、導電性のFRP(繊維強化プラスチック:Fiber Reinforced Plastics)を用いることができる。
【0023】
なお、湿式電気集塵機1においては、その下部からダストを含む排ガスを取り込まれ(
図1中のG1)、集塵極22を通って排ガス中のダスト成分等が集塵されたのち、集塵後の排ガスが上方から排出される(
図1中のG2)。
【0024】
図2は、湿式電気集塵機1の筐体の内部の一部構成を示す斜視図であり、集塵極22と、放電極23との構成の概略を示す図である。
図2に示すように、湿式電気集塵機1は、滑らかな表面を有する複数枚の平板21により集塵極22が構成されている。すなわち、湿式電気集塵機1は、平板式の集塵機である。
【0025】
より具体的に、湿式電気集塵機1の筺体においては、平板21により集塵極22が構成されており、その集塵極22の内部を略垂直方向に貫通するように放電極23が配設されている。また、湿式電気集塵機1の筺体には、上部グリッド24と、下部グリッド25とが、湿式電気集塵機1の上方から、上部グリッド24、集塵極22、下部グリッド25の順番で相互に所定距離だけ離間して、水平方向に相互に略平行となるように、設けられている。また、湿式電気集塵機1の筺体には、上向きスプレーノズル26と、洗浄用配管27とが設けられている。
【0026】
集塵極22は、滑らかな表面を有する複数枚の平板21が、一定の間隔で平行に並んで構成されており、平行に並んだ2枚の平板21により形成される空間として「極室」を構成する。集塵極22を構成する平板21の材質として、導電性のFRPを用いることができる。
【0027】
なお、本実施の形態に係る平板式の湿式電気集塵機1は、例えば四方が囲まれて角筒を単位とした極室が連続して配置されている筒式(筒型式)の集塵機とは種類を異にする。
【0028】
放電極23は、上述した集塵極22に対してその集塵極22の極室内部を構成するものであり、集塵極22の内部を略垂直方向に貫通するように設けられる。この放電極23は、電極ロッド28と、放電線29とにより構成されている。
【0029】
放電極23を構成する電極ロッド28は、所定の径の円柱状の部材であり、
図2に示すように、集塵極22の所定の極室の中央内部を略垂直方向に貫通するように配設され、上端部が上部グリッド24に固定され、下端部が下部グリッド25に固定されている。電極ロッド28は、集塵極22を構成する平板21の面に平行にして所定の間隔をあけて複数配設されている。
【0030】
放電極23を構成する放電線29は、
図2に示すように、上部グリッド24から吊下げられ、集塵極22の所定の極室の中央内部を略垂直方向に貫通するように配設される。また、放電線29は、下部グリッド25の上部に設けられたウエイト30に接続されており、弛まないだけの張力が保持されている。
【0031】
放電極23において、電極ロッド28には、直流高圧発生装置31から負極の直流高電圧Vが直接印加される。一方で、放電線29には、直流高圧発生装置31からの負極の直流高電圧Vが、電極ロッド28及び上部グリッド24を介して印加される。
【0032】
上向きスプレーノズル26は、集塵極22を構成する平板21の所定の端部上方に配設されており、洗浄用配管27を流通している洗浄水を、略垂直上向き方向に微細の霧として噴出する。ここで、「霧」とは、ミクロンオーダーの直径を有する水滴が、1cm
3の空間中に数個乃至数100個程度含まれている状態をいう。湿式電気集塵機1では、洗浄水が、直径が約200〜800ミクロンの水滴として、上向きスプレーノズル26から略垂直上向き方向に噴出される。このようにして上向きスプレーノズル26の各々から噴出された霧は、集塵極22の極室の全体を覆う水膜となり、その霧として噴出された洗浄水によって集塵極22の各極室の側面には濡れ壁が形成される。これにより、集塵極22に付着したミストやダスト等の微粒子の成長を防止するとともに、これらの微粒子を確実に洗浄除去することが可能になる。
【0033】
なお、
図1に示すように、湿式電気集塵機1には、集塵極22の上端部から所定距離だけ離間した上方の所定位置に、下向きスプレーノズル32を設けるようにしてもよい。
【0034】
≪2.集塵極内検査装置≫
次に、湿式電気集塵機1の内部検査を行うための集塵極内検査装置について説明する。上述したように、湿式電気集塵機1は、平行に並んだ複数枚の平板21により構成された集塵極22と、集塵極22の内部を略垂直方向に貫通するように配設されて電極ロッド28と放電線29とにより構成される放電極23と、を備える、いわゆる平板式の電気集塵機である。本実施の形態に係る集塵極内検査装置は、その平板式の電気集塵機の集塵極内の腐食等の状況等を点検、検査するための装置である。
【0035】
図3は、本実施の形態に係る集塵極内検査装置5の構成及び装置使用時における電極ロッド28との関係を示す平面視図である。
図4は、集塵極内検査装置5を構成するフレーム51を展開したときの図である。
【0036】
集塵極内検査装置5は、
図3、4に示すように、矩形状のフレーム51と、フレーム51に固定されて放電極23の内部の電極ロッド28に沿ってフレーム51を移動可能にする3つ以上のローラー52と、フレーム51の一辺に保持されて放電極23内を撮像する撮像装置53と、を備えている。そして、集塵極内検査装置5においては、
図3に示すように、フレーム51が、電極ロッド28に対して0度、120度、240度の方向にローラー52が配置されるように屈曲して、その電極ロッド28を取り囲むように平面視略三角形状の構造を形成することを特徴としている。
【0037】
集塵極内検査装置5は、その上端部の所定の箇所に、当該集塵極内検査装置5を、集塵極22の内部を略垂直方向に昇降させる昇降手段60が接続される。なお、
図3においては、昇降手段60の一例としてワイヤーロープを用いた例を示している。
【0038】
[フレーム]
フレーム51は、集塵極内検査装置5の母体を構成するものであり、矩形の平板状に形成されている部材である。フレーム51は、例えば1枚の平板により構成することができ、あるいは、例えば
図4に示すように3枚の矩形状のフレーム板51a〜51cを連結させて構成するようにしてもよい。フレーム51の材質としては、特に限定されず、例えばSUS等を用いることができる。また、フレーム51の表面は鏡面加工されていてもよく、これによりその表面に放電極23内の様子を反射させて肉眼で観察することができる。
【0039】
より具体的に、
図4に示すフレーム51について説明すると、フレーム51は、3枚の矩形状のフレーム板51a〜51cからなり、蝶番54を介してその3枚のフレーム板51a〜51cを直列に連結して構成されている。なお、
図4に示すフレーム51において、そのフレーム51を構成する3枚の矩形の板体については、フレーム“板”51a〜51cと称してフレーム51と区別している。
【0040】
例えば、長方形で同一形状である3枚のフレーム板51a〜51cにおいて、フレーム板51aの長辺の一辺と、フレーム板51bの長辺の一辺とを蝶番54aを用いて連結させる。また、フレーム板51aの長辺の残りの一辺と、フレーム板51cの長辺の一辺とを蝶番54bを用いて連結させる。これにより、3枚のフレーム板51a〜51cが直列に連結された1枚のフレーム51を構成することができる。
【0041】
フレーム51においては、フレーム板51a〜51cを連結させた蝶番54(54a,54b)を介してフレーム板51a〜51cが相互に向かい合うような方向に屈曲させることによって、
図3に示すように、平面視略三角形状の構造を形成する。集塵極内検査装置5では、湿式電気集塵機1の放電極23における電極ロッド28を、フレーム51を屈曲させ平面視略三角形状の構造を形成することで取り囲むようにしている。このような使用形態からすると、3枚のフレーム板51a〜51cを用いて蝶番54を介して連結させることで、その蝶番54に基づいてフレーム51を容易に屈曲させることができ、電極ロッド28に簡易に設置することができる。
【0042】
また、蝶番54を介してフレーム51を屈曲させることで、その屈曲度合いも細かく調整できることから、種々の径を有する電極ロッド28のサイズに合わせて適切に調整して設置することができる。
【0043】
なお、フレーム51としては、
図4に示すように3枚のフレーム板51a〜51cを蝶番54を介して連結させて構成されるものに限られず、例えば1枚の板体により構成することもできる。1枚の板体によりフレーム51を構成する場合、その長辺を3等分する線に沿ってフレーム51を折り曲げる(屈曲させる)ことによって、電極ロッド28を取り囲むように平面視略三角形状の構造を形成することができる。
【0044】
フレーム51においては、
図4に示すように、その板体の上端部に、昇降手段60との接続部55が設けられている。上述したように昇降手段60は、集塵極内検査装置5の母体を構成するフレーム51を、集塵極22の内部を略垂直方向に昇降させる手段であり、ワーヤーロープや昇降棒等が挙げられる。例えばワイヤーロープを、フレーム51の上端部に設けられた接続部55に接続させ、そのワイヤーロープを縮めることで上昇操作を行うことができ、緩めることで下降操作を行うことができる。
【0045】
[ローラー]
ローラー52は、ローラー面を有する回転体であり、キャスターとも称され、放電極23の内部の電極ロッド28に沿ってフレーム51を移動可能にする。ローラー52は、板状のフレーム51の面の所定の箇所に3つ以上固定されて設けられている。
【0046】
例えば
図4に示すように、ローラー52(52a〜52c)は、フレーム51を構成する3枚のフレーム板51a〜51cのそれぞれに設けられている。また、ローラー52a〜52cは、フレーム51を屈曲させることで平面視略三角形状を形成したとき、フレーム51により取り囲まれる電極ロッド28に対して0度、120度、240度の方向に配置するように固定されている(
図3を参照)。
【0047】
より具体的に、フレーム板51aには、その長方形状の板体の短辺を等分する線状にローラー52aが固定設置されている。同様にして、フレーム板51bには、ローラー52bが固定設置され、フレーム板51cには、ローラー52cが固定設置されている。これにより、フレーム51を屈曲させて平面視略三角形状を形成したときに、フレーム51により取り囲まれる電極ロッド28に対して0度、120度、240度の方向にローラー52が配置するようになる(
図3を参照)。なお、
図4では、フレーム板51a〜51cのそれぞれにおいて、長方形状の板体の短辺を等分する線状に沿って2つずつローラー52が固定設置されている例を示しているが、ローラー52の数としてはこれに限られない。
【0048】
図3の平面視図に示すように、フレーム51を屈曲させて電極ロッド28を取り囲むようにしたとき、電極ロッド28に対して0度、120度、240度の方向に配置されたローラー52が、その円柱状の電極ロッド28にローラー面を介して当接する。そして、電極ロッド28に当接したローラー52のローラー面が回転することによって、電極ロッド28に沿って集塵極内検査装置5を上方向又は下方向に自由に移動させる。
【0049】
[撮像装置]
撮像装置53は、放電極23内を撮像する装置であり、例えばCCDカメラ等を用いることができる。撮像装置53は、フレーム51の一辺に保持して設けられる。例えば
図4に示すように、撮像装置53は、フレーム51(フレーム板51aの上端部)を挟持するように保持して設けられる。
【0050】
撮像装置53は、その光学レンズ部の光軸方向が、フレーム51により取り囲まれる電極ロッド28に向かう方向となるように設けてもよく、あるいは、電極ロッド28に対して反対の方向となるように設けてもよい。例えば、撮像装置53を、その光軸方向が電極ロッド28に向かう方向となるように設けることで、当該集塵極内検査装置5を昇降させることに伴い、その電極ロッド28の表面を撮像して腐食状況等を確認することができる。また、撮像装置53を、その光軸方向が電極ロッド28に対して反対の方向となるように設けることで、放電極23において電極ロッド28の周囲に配置されている集塵極22の平板21や放電線29を撮像することができ、腐食状況等を確認することができる。
【0051】
撮像装置53は、1つ(1台)のみ設けることに限られず、複数台設けるようにしてもよい。例えば、
図4に示すように3つのフレーム板51a〜51cを連結させてフレーム51を構成した場合、それぞれのフレーム板51a〜51cの上端部、すなわちフレーム51が屈曲して形成される平面視略三角形状の各辺にそれぞれ撮像装置53を設けるようにしてもよい。この場合、集塵極内検査装置5全体として3つの撮像装置53が設置されていることになる。
【0052】
このような複数台の撮像装置53を設けた集塵極内検査装置5では、フレーム51を屈曲させて電極ロッド28を取り囲むようにし、昇降手段60により電極ロッド28に沿って昇降させることで、例えば、撮像装置53の光軸方向が向かった先の円柱状の電極ロッド28の全円周表面を一度にリアルタイムに撮像することができ、腐食状況等を漏れなく適切に確認することができる。
【0053】
なお、集塵極内検査装置5においては、撮像装置53に隣接する位置に照明装置を付設してもよい(図示しない)。照明装置は、撮像装置53の光学レンズ部の光軸方向と略同一の方向を照らすように設けることが好ましい。これにより、撮像装置53により撮像される放電極23内を明るくし、表面状態等を適切に観察することができる。
【0054】
≪3.集塵極内検査装置の動作≫
次に、上述した構成を有する集塵極内検査装置の動作(点検者による使用方法)について説明する。なお、
図5は、湿式電気集塵機1の集塵極22内を、集塵極内検査装置5を用いて点検、検査するときの使用状態を示す斜視図であり、使用時における電極ロッド28との関係を示す図である。
【0055】
先ず、点検者は、3つ以上のローラー52が固定設置されたフレーム51を用意し、そのフレーム51の上端部に放電極23内を撮像するための撮像装置(CCDカメラ等)53を取り付ける。このとき、撮像対象が放電極23内の電極ロッド28である場合には、撮像装置53の光軸方向が内側、すなわちフレーム51を屈曲させて平面視略三角形状に形成させる三角形の内側に向くように取り付ける。
【0056】
次に、点検者は、フレーム51の上端部に設けられた2箇所の接続部55に、当該集塵極内検査装置5を、集塵極22の内部を略垂直方向に昇降させる昇降手段60を接続させる。ここでは、昇降手段60としてはワイヤーロープを用いることができ、2箇所の接続部55にワイヤーロープを固結させる(以下、「ワイヤーロープ60」と表記する)。
【0057】
次に、点検者は、ワイヤーロープ60の他端を所定の場所に固定させておきながら、フレーム51を蝶番54を介して屈曲させることによって、放電極23の電極ロッド28を取り囲むようにする。フレーム51で電極ロッド28を取り囲むようにすることで、
図3に示すように、そのフレーム51が平面視略三角形状となる。また、フレーム51の面に固定されたローラー52は、電極ロッド28に対して0度、120度、240度の方向に配置され、それぞれが電極ロッド28に当接している状態となる。
【0058】
なお、このフレーム51を屈曲させて平面視略三角形状とした状態で、フレーム51の両端同士を締結させる等して固定する。これにより、完全に平面視略三角形状となる。
【0059】
次に、点検者は、フレーム51の上端部に接続させたワイヤーロープ60を把持し、調整することによって、電極ロッド28の上方から下方の方向(垂直方向)に、徐々に集塵極内検査装置5を下降させていく。なお、フレーム51の面に固定設置され、電極ロッド28に当接しているローラー52が回転することにより、ワイヤーロープ60の調整操作に伴って集塵極内検査装置5がスムーズに移動する。
【0060】
このとき、撮像装置53の撮像スイッチをON状態とすることで、集塵極内検査装置5を下降させている間、撮像装置53の光軸方向に位置する電極ロッド28の表面状態を撮像することができる。集塵極内検査装置5を徐々に下降させているとき、現在地点よりも上方の位置の撮像を繰り返したい場合には、把持したワイヤーロープ60を引き上げることにより、集塵極内検査装置5を容易に上昇させることができ、所望とする箇所の撮像を行うことができる。
【0061】
なお、ワイヤーロープ60の操作は、点検者の手動操作により行うことに限られず、例えば、昇降用ウインチに接続して、その昇降用ウインチを駆動することによって自動操作により行うようにしてもよい。
【0062】
電極ロッド28の表面状態の撮像が完了すると、ワイヤーロープ60の操作により集塵極内検査装置5を上昇させ、電極ロッド28を取り囲んでいたフレーム51の固定を解除し、集塵極内検査装置5を回収する。
【0063】
以上のように、本実施の形態に係る集塵極内検査装置5によれば、平板式の電気集塵機1であっても、矩形状のフレーム51を屈曲させて電極ロッド28を取り囲むような構成となっていることから、容易に放電極23内の点検、検査を行うことができる。また、集塵極内検査装置5によれば、電極ロッド28の種々のサイズに適用することができ、そのサイズに合わせて適切に使用することができる。