特許第6863872号(P6863872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863872
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】コンテナ荷役車両
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/48 20060101AFI20210412BHJP
【FI】
   B60P1/48 A
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-202554(P2017-202554)
(22)【出願日】2017年10月19日
(65)【公開番号】特開2019-73238(P2019-73238A)
(43)【公開日】2019年5月16日
【審査請求日】2020年4月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 直志
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−082835(JP,U)
【文献】 特開平11−263577(JP,A)
【文献】 実開昭61−132380(JP,U)
【文献】 西独国実用新案公開第08612228(DE,U)
【文献】 米国特許第04854807(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナを積載する車台、及び先端にフックを有して前記車台の上部に前後に回動自在に設けられ前記コンテナを対象とする荷役作業をするための荷役アームを備えたコンテナ荷役車両において、
前記フックが、
前記荷役アームの先端部に設けられ左右の側壁を有する基部、及び前記左右の側壁に固定された鉤爪部から構成され、開口を前方に向けた姿勢で前記荷役アームに設けられたC字型のフック本体と、
前記フック本体に前後に回動自在に設けられ、倒伏時に前記開口の間口を拡げ、起立時に前記開口の間口を狭めるゲートと、
前記ゲートを倒伏させるシリンダを備えており、
前記ゲートが、前記フックを物体に掛けたときに前記フック本体の内側空間の内部に位置する前記物体が当接して起立する方向に力を受けるように形成された当接面を備え
前記シリンダが、前記左右の側壁及び前記荷役アームの先端面によって囲まれた空間内に配置されており、
前記シリンダに位置が対応するように前記左右の側壁に切り欠きが設けてあるコンテナ荷役車両。
【請求項2】
前記ゲートが、軸を介して前記フック本体に回動自在に設けられ、
前記当接面は、前記ゲートの外周面であって前記ゲートの起立時に前記フック本体の内側空間に対面する傾斜面であり、前記当接面の起立方向側の端部から前記軸までの距離が、倒伏方向側の端部から前記軸までの距離よりも長くなるように形成してある請求項1のコンテナ荷役車両。
【請求項3】
前記シリンダが、空圧シリンダであり、記空圧シリンダへの空気供給を遮断した状態で前記ゲートが起立するように構成されている請求項1又は2のコンテナ荷役車両。
【請求項4】
前記ゲートに対して前記ゲートの軸を挟んで前記当接面と反対側に設けられたバランスウェイトを備えている請求項3のコンテナ荷役車両。
【請求項5】
前記車台に積載する前記コンテナに装着するものであって前記フックを掛けるためのバーを有するアダプタを備えており、
前記バーに前記フックが掛かった状態で、前記ゲートの当接面が前記バーに対向するように構成されている請求項1−4のいずれか1つのコンテナ荷役車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナを車台に対して積み込んだり下したりする荷役装置を備えたコンテナ荷役車両に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテナ荷役車両(以下、コンテナ荷役車両を単に荷役車両と記載する)にはL字型の荷役アームを備えたものがある。この種の荷役車両は、荷役アームを車体後方に回動させて先端のフックをコンテナに掛け、荷役アームを前方に回動させることでコンテナを車台上に引き上げる。荷役車両が独力で積載作業をすることを前提に設計された専用コンテナには、上記のフックを掛けるバーが備わっている。それに対し、一般にクレーンやフォークリフト等の他の荷役機械を用いて輸送手段に積み込まれる海上コンテナ等、ISO規格等の標準規格に適合したコンテナ(以下「標準コンテナ」と記載)には、荷役車両のフックを掛ける部位が存在しない。そこで、フックを掛けるバーを備えたアダプタを標準コンテナに装着することで、荷役機械がない場所で標準コンテナを車台に積み込むことができる荷役車両がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4854807号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のアダプタは標準コンテナを積載していないときも車載され、使用時に荷役アームにより車両後方に持ち出される。具体的には、標準コンテナの前方に荷役車両を移動させ、アダプタにフックを掛けた状態で荷役アームを後方に回動させる。この際の荷役アームの動作が回動運動であるので、荷役アームの回動開始後、アダプタは後進しながら上昇後下降する軌道を描く。このアダプタが下降する過程でアダプタの上部の左右両側の部分を標準コンテナの上面の前縁における左右の両肩に掛ける。こうしてアダプタの上部を標準コンテナに掛けた後、更に下側でアダプタと標準コンテナとを固定部材で固定することでアダプタが標準コンテナに装着される。
【0005】
しかし、標準コンテナに装着するに当たってアダプタを車台上から車両後方に荷役アームで運搬する際、アダプタは重心の近くの一点で支持され、傾斜した姿勢となる上にぐらついて安定性を欠く。荷役アームが後方に回動する間、C字型のフックは開口を上に向けた姿勢となる。従って下降段階で十分な重量も持たないアダプタを標準コンテナに当ててしまうと、当たり方によってはアダプタが押し上げられてフックから外れる可能性も否定できない。このような例も想定され得るため、荷役アームのフックを掛けたものがフックから外れないように対策しておきたい。また、専用コンテナの積み下ろしに関しても、専用コンテナからフックが意図せず外れることがないように対策が求められる。
【0006】
本発明は、荷役アームのフックを掛けたものがフックから外れることを抑制できるコンテナ荷役車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、コンテナを積載する車台、及び先端にフックを有して前記車台上に前後に回動自在に設けられ前記コンテナを対象とする荷役作業をするための荷役アームを備えたコンテナ荷役車両において、前記フックが、前記荷役アームの先端部に設けられ左右の側壁を有する基部、及び前記左右の側壁に固定された鉤爪部から構成され、開口を前方に向けた姿勢で前記荷役アームに設けられたC字型のフック本体と、前記フック本体に前後に回動自在に設けられ、倒伏時に前記開口の間口を拡げ、起立時に前記開口の間口を狭めるゲートと、前記ゲートを倒伏させるシリンダを備えており、前記ゲート、前記フックを物体に掛けたときに前記フック本体の内側空間の内部に位置する前記物体が当接して起立する方向に力を受けるように形成された当接面を備え、前記シリンダが、前記左右の側壁及び前記荷役アームの先端面によって囲まれた空間内に配置されており、前記シリンダに位置が対応するように前記左右の側壁に切り欠きが設けてあるコンテナ荷役車両を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、荷役アームのフックを掛けたものがフックから外れることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るコンテナ荷役車両の側面図
図2】本発明の一実施形態に係るコンテナ荷役車両の平面図
図3】本発明の一実施形態に係るコンテナ荷役車両の背面図
図4図1のコンテナ荷役車両に備えられた特装ユニットの斜視図
図5図1のコンテナ荷役車両に備えられたフックのゲートが開いた状態を示す斜視図
図6図1のコンテナ荷役車両に備えられたフックのゲートが開いた状態を示す側面図
図7図1のコンテナ荷役車両に備えられたフックのゲートが閉じた状態を示す斜視図
図8図1のコンテナ荷役車両に備えられたフックのゲートが閉じた状態を示す側面図
図9図1のコンテナ荷役車両に備えられた空圧シリンダの駆動系の空圧回路図である。
図10図1のコンテナ荷役車両に備えられたアダプタ(不使用時)の背面図
図11図1のコンテナ荷役車両に備えられたアダプタ(使用時)の背面図
図12図1のコンテナ荷役車両に備えられたアダプタを標準コンテナに装着した様子を表す斜視図
図13図12のXIII部の拡大図
図14図1のコンテナ荷役車両による標準コンテナの積み込み作業の様子を表す図
図15図1のコンテナ荷役車両による標準コンテナの積み込み作業の様子を表す図
図16図1のコンテナ荷役車両による標準コンテナの積み込み作業の様子を表す図
図17図1のコンテナ荷役車両による標準コンテナの積み込み作業の様子を表す図
図18図1のコンテナ荷役車両による標準コンテナの積み込み作業の様子を表す図
図19図8のゲートの変形例を表す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0011】
−コンテナ荷役車両−
図1は本発明の一実施形態に係るコンテナ荷役車両の側面図、図2は平面図、図3は背面図である。これらの図に示したコンテナ荷役車両(以下、コンテナ荷役車両を単に荷役車両と記載する)は、車両1と、特装ユニット10を備えている。本願明細書では、図2の図示状態における左側、右側、下側、上側をコンテナ荷役車両の前、後、左、右とする。また、車両の車台3に対してコンテナを積み込んだり下したりする作業を「荷役作業」と記載する。車両1は自走車両であり、前部に運転室2を備え、この運転室2の後側に車台3を備えている。
【0012】
図4は特装ユニット10の斜視図である。同図では構成の視認性のため、他の図面と異なりダンプフレームA2(後述)が立ち上がったダンプ姿勢の特装ユニット10を図示している。特装ユニット10は荷役作業をするために車台3の上部に取り付けた特装ユニットであり、図1図4に示したように荷役装置A、コンテナ案内装置B、ロック装置C、ジャッキD、アダプタE等を備えている。コンテナ案内装置BはアダプタEを用いた荷役作業の対象となる標準コンテナX(図12等)を支持しガイドする装置であり、特装ユニット10の後部に設けられている。ロック装置Cは積載した専用コンテナ(後述)を積載した際、積載した専用コンテナを固定する装置である。ジャッキDは荷役作業時に車台3の後部の沈み込みを抑制するための装置である。荷役装置A、アダプタEの構成について次に説明する。
【0013】
−荷役装置−
荷役装置Aはコンテナを車台3上に引き上げたり車台3から下したりする装置であり、ベースフレームA1、ダンプフレームA2(図2等)、荷役アーム、駆動部A4、ガイドローラA5を備えている。
【0014】
ベースフレームA1は水平な矩形状に構成されて前後に延びる荷役装置Aの基礎構造体であり、車台3の上部に重ねて固定してある。ダンプフレームA2は積載したコンテナの内容物をダンプ排出するために車台3上でコンテナをチルトアップさせるためのフレームであり、左右方向(車幅方向)に延びる軸A6を介してベースフレームA1の後端部に回動自在に連結されている。ダンプフレームA2はベースフレームA1よりも前後方向の長さが短く、ベースフレームA1の後部に配置されている。
【0015】
荷役アームA3は文字通り荷役作業用のアームであり、基部アームA7及びフックアームA8を備えている。基部アームA7は直線的に前後に延びる筒状のアームであり、左右に延びる軸A9を介してダンプフレームA2の前部(先端部)に回動自在に連結され、車台3上で前後に回動する。フックアームA8は後部が前後に延び前部が立ち上がったL字型のアームであり、後部が基部アームA7にスライド自在に挿入されている。フックアームA8の先端(上端)には、標準コンテナX(図12等)に掛けるフックFが設けられている。特に図示していないがフックアームA8の起立部分の上部は下部に対して油圧シリンダ(不図示)により前後に回動自在に形成され、この回動軌跡上でフックFの高さや前後位置等が変えられるように構成される場合がある。本実施形態では基部アームA7に対してフックアームA8がスライドする構成を例示しているが、基部アームA7に対してフックアームA8がスライドする代わりに回動する構成とする場合もある。また、荷役アームA3は基部アームA7とフックアームA8に分割せずに一体のL字型のアームとして構成される場合もある。
【0016】
なお、標準コンテナXはISO規格等の標準規格に沿って製作されたコンテナであり、例えば海上コンテナである。標準コンテナXは荷役車両による荷役作業を想定して製作されておらず、通常はクレーンやフォークリフト等の別体の荷役機械で船やトレーラ、鉄道等の輸送手段に積載される。直方体状に形成された標準コンテナXには、各面に凹部を備えた隅金具が8つの角部にそれぞれ設けられている。後の説明の便宜上、これら隅金具の各凹部のうち、標準コンテナXの上面の四隅の上向きの凹部を凹部X1(図12)、左右の側面の四隅の左右方向の外側を向いた凹部を凹部X2(図12)とする。
【0017】
駆動部A4は荷役アームA3を駆動するものであり、基部アームA7を回動させる左右一対の油圧シリンダA10の他、図示していないがフックアームA8を基部アームA7に対してスライドさせる油圧シリンダやこれらシリンダを駆動する油圧装置を備えている。左右の油圧シリンダA10の基端はベースフレームA1に、先端は基部アームA7の後部にそれぞれ回動自在に連結されている。フックアームA8をスライドさせる油圧シリンダは基部アームA7の内部に収容されており、基端が基部アームA7に、先端がフックアームA8に連結されている。
【0018】
上記のガイドローラA5は専用コンテナ(不図示)をガイドするためのローラであり、ダンプフレームA2を支持する軸A6の左右両端に設けられている。「専用コンテナ」とは、荷役車両による荷役作業を想定して製作されたコンテナであり、アダプタEを用いずに荷役作業ができるように構成されている。ガイドローラA5はコンテナ案内装置Bによる標準コンテナXの案内面(積載された標準コンテナXの下面)よりも低位置に配置されており、荷役作業時を含めて標準コンテナXに干渉しないようになっている。なお、専用コンテナについては、特許第3853051号公報等で参照できる。
【0019】
なお、本実施形態に係る荷役車両においては、荷役作業時にはダンプフレームA2は水平姿勢のまま荷役アームA3のみが前後に回動し、ダンプ作業時には荷役アームA3と一体となってダンプフレームA2が回動する。この動作を可能とするために、ダンプフレームA2に対して荷役アームA3をロックしたりロックを解除したりするダンプロック装置(不図示)が設けられている。ダンプロック装置は、ロックピンやこれに係脱可能なロック用フック等からなる。ロックピンはダンプフレームA2の先端部に設けられており、ロック用フックは荷役アームA3の基部アームA7の両側面に回動自在に設けられている。ロックピンに対するロック用フックの係脱は基部アームA7に対するフックアームA8のスライド動作が利用される。例えばロック用フックはロックピンに係止される方向にバネ等の力を受けており、フックアームA8が後端付近までスライドするとフックアームA8に作動ロッドが押されてロック用フックがロックピンから外れる構成が例示できる。この場合、フックアームA8が後端付近まで後退すると荷役アームA3とダンプフレームA2とのロックが解除され、油圧シリンダA10の伸縮によってダンプフレームA2に対して荷役アームA3が前後に回動する。反対にフックアームA8が前進すると荷役アームA3とダンプフレームA2とがロックされ、この状態で油圧シリンダA10が伸縮すると、荷役アームA3と共にダンプフレームA2がチルトアップ及びチルトダウンする。このようなダンプロック装置の構成については特許第5284541号公報等に記載されている。
【0020】
−フック−
図5はゲートが開いた状態のフックFを左後から見た斜視図、図6はそれを左から見た側面図、図7はゲートが閉じた状態のフックFを左後から見た斜視図、図8はそれを左から見た側面図である。これらの図においては、フックアームA8が車台3の上で前部を上向きに起立させたとき(図1等)のフックFを表している。図5図8を用いた説明において、フックFについて前側と記載した場合には例えば図6の左側を指すこととする。まず図5図8に示した通り、フックFはフックアームA8の先端(上端)に固定して取り付けられており、フック本体F10、軸F20、ストッパF30及び空圧シリンダF40を備えている。
【0021】
フック本体F10は、基部F11と鉤爪部F12から構成されている。基部F11は左右の側壁F13を備えている。左右の側壁F13は間隙を介して連結板F14で連結されており、フックアームA8の先端部に溶接等で設けられている(固定されている)。左右の側壁F13の間の空間は少なくとも上方が開口している。鉤爪部F12は基部F11の左右の側壁F13の間に挿し込まれ、左右の側壁F13の間から立ち上がって前方に湾曲した姿勢で側壁F13に対して溶接等で設けられている(固定されている)。フックFの内周面F16は鉤爪部F12の内周面と基部F11の内周面とで、開口F15を前に向けたC字型をしている。開口F15はアダプタEのバーE2や専用コンテナの同様のバーの受け入れ間口であり、アダプタEや専用コンテナのバーの直径よりも広い。フック本体F10の内周面F16は、例えば側面視で縦に長い楕円に沿ったような形状をしており、内周面F16はこの楕円の半周以上の長さを持つ。開口F15の上端は内周面F16の上縁よりも低く、開口F15の下端は内周面F16の下縁よりも高い(図6等)。
【0022】
ストッパF30はフック本体F10の内周面F16の内側に入った、フック本体F10の基部F11の左右の側壁F13に支持されており、ゲートF31とバランスウェイトF32が備わっている。ゲートF31は軸F20を介してフック本体F10に前後に回動自在に取り付けられ、軸F20から鉤爪部F12に向かって延びている。軸F20はフック本体F10の内周面F16の前縁よりも前側に位置し、本実施形態では側壁F13の上前の角部に配置してある。またゲートF31は単純なバー型ではなく扇形であり、その外周面が、起立時にフック本体F10の内周面F16の内側の空間に対面する当接面F33としてある。この当接面F33は、フックFを物体(後述するバーE2等)に掛けたときにフック本体F10の内側空間の内部に位置するその物体が当接してフックFを起立させる方向に力を受けるように形成されている。当接面F33は軸F20と反対側に凸の湾曲面であるが、軸F20を中心とする弧ではなく、軸F20からオフセットした弧又はこれに沿った弧状の傾斜面である。本実施形態では当接面F33の起立方向側(鉤爪部F12の先端に近い側)の端部から軸F20の中心までの距離L1(図6)が、倒伏方向側(鉤爪部F12の先端に遠い側)の端部から軸F20の中心までの距離L2(図6)よりも長くなっている。ゲートF31は倒伏した状態では基部F11の左右の側壁F13の間に収容されてフック本体F10の開口F15を拡げ(図5及び図6)、起立した状態では左右の側壁F13の間から突き出してフック本体F10の開口F15を狭める(図7及び図8)。ゲートF31は起立した状態で必ずしもフック本体F10の開口を全閉させるものではないが、起立して開口を狭めることを“ゲートが閉じること”、倒伏して開口を拡げることを“ゲートが開くこと”と扱う。ゲートF31が閉じたときのフック本体F10の開口F15はアダプタEや専用コンテナのバーの直径よりも狭まるが、本実施形態では開口F15は完全には閉まらない。
【0023】
バランスウェイトF32はストッパF30の重心位置を調整するための錘であり、ゲートF31に対して軸F20を挟んで当接面F33と反対側に設けられている。形状は限定されないが、本実施形態では左右に延びる円柱状である。バランスウェイトF32を設けることにより、ストッパF30の重心位置が前後方向について軸F20に近付けてある。またバランスウェイトF32は軸F20に対して基部F11の前部に設けた連結板F14と同程度の距離にあり、ゲートF31が起立した際に連結板F14に当たるようになっている。これによりゲートF31の起立方向側の回動範囲を制限するストッパの役割も果たす。バランスウェイトF32でゲートF31の回動範囲が制限されることにより、当接面F33がフック本体F10の内周面F16の外側の領域に逸脱することがない。
【0024】
空圧シリンダF40はゲートF31を倒伏させる(ゲートF31を開く)アクチュエータであり、基部F11の左右の側壁F13の間に配置されている。空圧シリンダF40の一端(本例ではロッドF41の先端)はゲートF31のブラケット部F34に、他端(本例ではチューブF42の先端)は基部F11又はフックアームA8の内壁面に設けたブラケットF17に、それぞれ回動可能に連結されている。なお、左右の側壁F13の間に配置された空圧シリンダF40のチューブF42や空気配管へのアクセスに配慮して、基部F11の左右の側壁F13の後部下側には切り欠きF18が設けられている。
【0025】
図9は空圧シリンダの駆動系の空圧回路図である。同図に示した駆動系は、空気源F43、空気配管F44及び制御弁F45を備えている。空気源F43は例えばアキュムレータのような蓄圧装置であり、例えば車両に搭載されたコンプレッサ(不図示)から吐出された空気を蓄圧して吐出する。コンプレッサやその他のエアタンクを空気源F43に用いることもできる。空気源F43は車両に搭載される場合もあるし特装ユニット10に搭載される場合もある。空気配管F44は荷役アームA3の内部を経由し、フックアームA8の先端面に設けた開口A12を通って空圧シリンダF40のチューブF42のボトム室に接続している。空気配管F44の途中には制御弁F45が設けられている。制御弁F45は空圧駆動式の電磁開閉弁であり、消磁状態で空気配管F44を大気開放し、ソレノイドF48に電気信号が入力されて励磁されると空気配管F44を空気源F43に接続する。ソレノイドF48への電気信号は車両の運転室2の内部に設けた操作装置により任意に出力を指示することができ、また荷役作業のシーケンスの過程で出力されるようにすることもできる。
【0026】
空圧シリンダF40はチューブF42のロッド室にバネF49を収容した単動式シリンダであり、バネF49の力を収縮方向に受けている。例えば油圧シリンダのように戻り油をタンクに戻す戻り油配管は存在しない。制御弁F45が開いてボトム室に空気が供給されると空圧シリンダF40が伸長し、図5及び図6に示したようにゲートF31が開いてフック本体F10の開口F15の間口が拡がる。制御弁F45が閉じてボトム室への空気の供給が遮断されると空圧シリンダF40が収縮し、図7及び図8に示したようにゲートF31が閉じてフック本体F10の開口F15の間口が狭まる。つまり、空圧シリンダF40への空気供給を遮断した状態でゲートF31が閉じるように構成されている。なお、空気配管F44における制御弁F45と空圧シリンダの間の部分には、可変絞りF46と逆止弁F47の並列回路が設けられている。
【0027】
−アダプタ−
図10は不使用時のアダプタEの背面図、図11は使用時のアダプタEの背面図、図12は標準コンテナXにアダプタEを装着した様子を表す斜視図、図13図12のXIII部の拡大図である。図11図12に示した状態のアダプタEを抜き出し、標準コンテナXの表示を省略した図に等しい。これらの図に示したアダプタEは、標準コンテナXを車台3に積載するために標準コンテナXに装着する一種のアタッチメントである。このアダプタEは、本体フレームE1、バーE2、左右の伸縮機構E3、第1上部連結部材E4、第2上部連結部材E5、左右の下部連結部材E6等を備えている。このアダプタEは、不使用時にはベースフレームA1の前部に設けた支持ポストA11(図1等)に固定されている。
【0028】
本体フレームE1は、フレームE11−E13でπ字型に構成されている。フレームE12は左右一対設けられており、上部が互いに一定距離を空けてフレームE11の下面に溶接等で連結されている。フレームE13も左右一対設けられており、それぞれ対応するフレームE12と伸縮機構E3とを連結している。バーE2は荷役装置AのフックFを掛けるために本体フレームE1に取り付けたもので、両端が本体フレームE1の左右のフレームE12の上部に溶接等で連結されている。
【0029】
左右の伸縮機構E3は、中空部材E31、ロッドE32、ストッパE33をそれぞれ備えている。中空部材E31は上下に延びる姿勢で本体フレームE1に支持されている。ロッドE32は中空部材E31に昇降自在に挿入されている。ストッパE33は第1上部連結部材E4及び第2上部連結部材E5の昇降範囲の下限を規制するためのものであり、ロッドE32の外周面(本実施形態では前面及び背面)に突出して設けられている。ロッドE32に対するストッパE33の位置は、左右の伸縮機構E3で高さ方向に異なっている。
【0030】
第1上部連結部材E4及び第2上部連結部材E5は標準コンテナXの上部に連結するものであり、下向きの凸部E41,E51を後部に備えている。本実施形態ではロッドE32の先端(上端)に第1上部連結部材E4及び第2上部連結部材E5が設けられており、標準コンテナXの前側の凹部X1に凸部E41,E51が嵌まる構成である。
【0031】
下部連結部材E6は標準コンテナXの下部に連結するものであり、左右の中空部材E31の下部にそれぞれ設けられている。左右の下部連結部材E6はそれぞれ、図13に示したようにプレートE61及びピンE62を備えている。プレートE61は軸E63を介して中空部材E31に回転自在に取り付けられている。軸E63は中空部材E31に取り付けられた軸受E66(図10等)に支持されており、この軸受E66に対して回転自在であると共に軸方向にスライド可能である。プレートE61にはピン穴E64,E65が設けられている。中空部材E31の側面にはピンE34が設けられている。ピン穴E64にピンE34を通した状態からプレートE61を車幅方向の外側に引き出し、軸E63を中心に回転させてピン穴E65にピンE34を挿し込む(図13)。これにより、ピンE62が凹部X2に挿し込まれて下部連結部材E6が標準コンテナXに連結される。
【0032】
−荷役作業−
標準コンテナXを車台3に積み込む場合、荷役車両を標準コンテナXの前方の所定位置に停車させ、まず図1図3の状態において手作業によりアダプタEと支持ポストA11との連結を解く。次にリモコン等の操作装置で所定の操作をしてジャッキDを下すと共にフックアームA8を前進させ、フックFのゲートF31を開いて図14に示したようにアダプタEのバーE2にフックFを掛け、ゲートF31を閉じる。フックFがバーE2に掛かったら、アダプタEと共にフックアームA8を後退させ、図15に示したように油圧シリンダA10を延ばして荷役アームA3を後方に回動させる。このようにして車両後方に持ち出したアダプタEを図16に示したように標準コンテナXの前面に固定する。具体的には、荷役アームA3の回動に伴って車両後方でアダプタEが下降する過程で、まずアダプタEに備わった配置の低い第1上部連結部材E4を標準コンテナXの右肩の凹部X1に掛ける。第1上部連結部材E4が掛かったことを確認したら、更にアダプタEを下降させ、右側の伸縮機構E3を左側の伸縮機構E3と同程度の長さまで伸長させて、今度は高い方の第2上部連結部材E5を標準コンテナXの左肩の凹部X1に掛ける。そして更にアダプタEを下降させて接地させたら、左右の下部連結部材E6を手作業で標準コンテナXに連結する。
【0033】
以上のアダプタEの移動及び装着の作業が完了したら、リモコン等の操作装置で所定の操作をして荷役アームA3を前方に回動させ、図17に示したように標準コンテナXを車台3上に引き上げる。荷役アームA3の動作に伴って標準コンテナXは後端下部を支点に前側が持ち上がり、更に荷役アームA3が前方に回動することで車両と標準コンテナXが相対的に近付く。その際、標準コンテナXは重量があり下部にローラも付いていないため、車両の方が後退して標準コンテナXの下側に入り込み、標準コンテナXの下面の左右がコンテナ案内装置Bで受けられる。その後更に荷役アームA3が前方に回動することで、標準コンテナXはコンテナ案内装置Bにガイドされながら車台3の上部に引き上げられる。荷役アームA3が水平に倒伏したらフックアームA8を前進させ、図18に示したように標準コンテナXを車台3上の所定位置まで前進させる。最後にコンテナ案内装置Bに備わったロック装置で標準コンテナXをコンテナ案内装置Bに対して固定して、標準コンテナXの積載作業を完了する。
【0034】
標準コンテナXを荷台から下す荷下し作業は、以上のコンテナ積載作業と逆の手順で行うことができる。
【0035】
−効果−
(1)本実施形態によれば、アダプタEのバーE2や専用コンテナの同様のバーにフックFを掛けた場合、ゲートF31があることによりバーがフックFから抜けることを抑制できる。つまり荷役アームA3のフックFを掛けたものがフックFから外れることを抑制できる。
【0036】
このとき、フックFの内周面F16の内側の空間は狭い。図6及び図8に示したように内周面F16で包囲されたフックFの内側領域にバーが入った状態でゲートF31が開閉できるようにするには、ゲートF31の長さ(軸F20を中心とする最大回転半径)を内部のバーに干渉しない程度に短くせざるを得ない。従って、フックFの開口F15の間口を全閉するだけの寸法をゲートF31に持たせることは難しい。
【0037】
この場合、仮にゲートを単なる棒状の部材とすると、バーから受ける力がそのまま曲げ荷重としてゲートに作用し、ゲートの強度確保の点で課題がある。ゲートを扇形にすれば外周面で力を受けるため曲げ荷重を抑制できるが、バーが当たる外周面が軸F20を中心とする単純な扇形であると、バーが当たる位置によってはゲートを開く方向に力が作用する可能性がある。
【0038】
それに対し、本実施形態におけるゲートF31は、閉じたときにバーに対面する外周面が当接面F33としてある。この当接面F33は軸F20までの距離が閉じ方向に向かって長くなるように形成されており、フックFを掛けたバーが当たった場合に、その力をゲートF31が閉じる方向の力として受け止めることができる。バーから受ける力のゲートF31の曲げ荷重への変換も抑制できる。
【0039】
特に本実施形態ではアダプタEを備え、標準コンテナXを積載する際には、上記のようにアダプタEをフックFで支持し車両後方に運搬する工程が存在する(図15)。この間の標準コンテナXに装着されていない状態のアダプタEは、重心から近い位置でフックFにより一点で支持されるため、傾斜する上にぐらついて安定性を欠く。それに対し、本実施形態では上記の通りゲートF31でバーがフックFから外れることを抑制できるので、荷役アームA3によりアダプタEを単体で運搬する際にも確りとアダプタEをフックFで保持することができる。
【0040】
但し、フックFに掛けたものがゲートF31によりフックFから外れ難くなる効果はアダプタEを対象とした場面に限定されるものではなく、ゲートF31等は例えば専用コンテナの荷役専用でアダプタEを持たない荷役車両のフックにも適用可能である。アダプタEが不要な場合、コンテナ案内装置B等も不要であれば省略可能である。反対に専用コンテナを積載する必要がない場合は、ガイドローラA5等の専用コンテナ積載用の装置は不要である。
【0041】
なお、本実施形態ではゲートF31を扇形とし当接面F33を腕曲面とした場合を例示したが、例えば図19(a)に示したようにゲートF31を三角形状とし、当接面F33を湾曲のない平面としても良い。図19(b)に示したように、当接面F33を軸F20に向かう方向に凹んだ腕曲面に当接面F33を形成しても良い。またフックFの内側空間に位置するバーに対向する面の全てが当接面F33である必要はなく、例えば図19(c)のように起立時にバーに対向する面のうちの一部(例えば起立方向側の部分)が当接面F33であるような構成も考えられる。これらの場合も、起立時に当接面F33がフック内のバーに対面し前述した距離L1が距離L2よりも長ければ同様の効果が得られる。
【0042】
(2)本実施形態ではゲートF31を開閉するアクチュエータとして空圧シリンダF40を用いている。例えば油圧シリンダを用いた場合、単動式にせよ複動式にせよ、アクチュエータに作動油を供給する配管の他に戻り油をタンクに戻す戻り油配管が必要となる。油圧配管の場合、高圧であるため鋼管や耐圧ホースを用いる必要があり、これらを荷役アームA3の中の狭隘な空間に通す作業には多大な労力を要する。それに対し、本実施形態では空圧シリンダF40を採用したことにより戻り油配管に相当する配管は不要になり、主な配管は1本の空気配管F44で足りる。また作動流体が空気であるため空気配管に供給される強度も低下し、空気配管は細く簡便なものとすることができる。従って、荷役アームA3の中に配管する作業も容易である。
【0043】
但し、上記の基本的な効果(1)を得る限りにおいては、ゲートF31を開閉するアクチュエータが空圧シリンダF40である必要は必ずしもなく、油圧シリンダや電動モータ等の他のアクチュエータを用いることもできる。
【0044】
(3)空圧シリンダF40を作動させていない状態でゲートF31が閉じる構成であるため、フックFに対してバーを出し入れするときにのみ空圧シリンダF40を作動させれば良い。つまりフックFにバーを保持している間は動力が不要であり、コンテナを積載して走行している間等はエネルギーを消費することなくゲートF31を閉じておくことができる。よってエネルギー効率の低下を抑制することができる。
【0045】
但し、上記効果(1)を得る限りにおいては、空圧シリンダF40を作動させてゲートF31を閉じる構成であっても構わない。
【0046】
(4)また空圧シリンダF40は油圧シリンダに比べて出力が小さいが、ゲートF31にバランスウェイトF32を設け、ストッパF30全体としては重心が軸F20に近付けてある。従ってゲートF31は小さな力で開閉でき、また上記のようにバーによりゲートF31をこじ開ける力も受け難いので、出力の小さな空圧シリンダF40でも十分に役割を果たすことができる。また空圧シリンダF40も小型化できるので、本実施形態のようにフックFの内部に収容することができ、アクチュエータの保護及び美観性の観点で優れる。
【0047】
但し、空圧シリンダF40で開閉できる限りにおいては、一見してそれと分かるウェイトをゲートに設ける必要は必ずしもない。ゲート自体が軽量で空圧シリンダF40による開閉に支障がなければウェイトは必ずしも必要ない。ゲートF31の重心が軸F20に近い場合もウェイトは不要である。この場合はゲートの一部がウェイトであるとも言える。
【符号の説明】
【0048】
1…車両、3…車台、A3…荷役アーム、E…アダプタ、E2…バー、F…フック、F10…フック本体、F15…開口、F31…ゲート、F32…バランスウェイト、F33…当接面、F40…空圧シリンダ、L1,L2…距離、X…標準コンテナ(コンテナ)
図1
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