(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863879
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】車両のバックドアストッパ受け
(51)【国際特許分類】
B60J 5/10 20060101AFI20210412BHJP
【FI】
B60J5/10 D
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2017-215736(P2017-215736)
(22)【出願日】2017年11月8日
(65)【公開番号】特開2019-85003(P2019-85003A)
(43)【公開日】2019年6月6日
【審査請求日】2020年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596002767
【氏名又は名称】トヨタ自動車九州株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390038069
【氏名又は名称】株式会社青山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千葉 健二
(72)【発明者】
【氏名】西野 類
(72)【発明者】
【氏名】秀平 茂久
(72)【発明者】
【氏名】藤本 孝典
(72)【発明者】
【氏名】松並 重樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 勝久
(72)【発明者】
【氏名】神辺 正人
【審査官】
瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−036673(JP,A)
【文献】
特開2002−029261(JP,A)
【文献】
実開昭60−030814(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0093342(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の背面開口部の縁部に配置され、前記背面開口部を開閉するバックドアのストッパを車体外装材を介して受けるバックドアストッパ受けであって、
前記ストッパに対向する座面を有するストッパ受け本体と、
表面の粘着剤により前記座面に貼着され、前記座面の外縁よりも外縁が内側に位置するスポンジと、
を有する、バックドアストッパ受け。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のバックドアに設けられたストッパを受ける車体側に設けられたバックドアストッパ受けに関する。
【背景技術】
【0002】
ハッチバック車やステーションワゴンなど車両の背面に開口部を有し、この開口部を開閉するバックドアを備えた車両が知られている。バックドアには、バックドアを閉じたときに、背面開口部の縁に当接するストッパが設けられている。バックドアに設けられたストッパが当接する部分には、車体外装材を介してストッパを受けるバックドアストッパ受けを配置する場合がある。
【0003】
下記特許文献1には、ハッチバック車のバックドア(3)に設けられたストッパとして、円筒状ストッパゴム(12)およびキャップ付きストッパゴム(13)が示されている。なお、上記の( )内の符号は、下記特許文献1で用いられている符号であり、本願の実施形態の説明で用いられる符号とは関連しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−300972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バックドアストッパ受けの、ストッパに対向する座面には粘着剤でスポンジが貼着されている。スポンジが座面と同じ形状であると、座面の外縁から粘着剤がはみ出す場合がある。多数のバックドアストッパ受けを袋詰めなどにより一緒に梱包すると、はみ出た粘着剤のために製品同士が付着する場合がある。
【0006】
本発明は、多数のバックドアストッパ受けを梱包した際、製品同士が付着することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両のバックドアストッパ受けは、バックドアのストッパに対向する座面を有するストッパ受け本体と、表面の粘着剤によりストッパ受け本体の座面に貼着され、この座面の外縁よりも外縁が内側に位置するスポンジとを有する。
【発明の効果】
【0008】
座面がスポンジよりも外に張り出しているため、粘着剤が露出することが抑制され、多数を一緒に梱包した際、バックドアストッパ受け同士の付着が抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】バックドアストッパ受けの詳細を示す図である。
【
図3】バックドアストッパ受けの頂面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
図1は、車両、特にハッチバック車10の後部を示す。ハッチバック車10の背面には、背面開口部12が設けられ、さらにこの背面開口部12を開閉するバックドア14が設けられている。バックドア14は、ルーフの後端でヒンジにより支持される。バックドア14のヒンジ支持された端縁とは反対側の端縁部にはストッパ16(
図2参照)が設けられている。ストッパ16は、ゴム等の弾性材料で作製され、バックドア14が閉じるとき、車体、特に背面開口部12の縁部の車体外装材18に当接し、衝撃を吸収する。また、バックドア14が閉じた状態においてバックドア14が車体に当接した状態を安定化させる。このハッチバック車10において、ストッパ16は、背面開口部12の下端縁左右の角近傍の車体外装材18に当接する。
【0011】
近年、車体の外装材にも軽量化が求められ、薄い鋼板が用いられ、また樹脂が採用されることもある。外装材の強度や剛性が低い場合、バックドア14のストッパ16が当接したとき変形したり、また閉じたバックドア14を確実に支持できない場合がある。このハッチバック車10においては、車体外装材18の内側に、車体外装材18を介してストッパ16を受けるストッパ受け20を設けている。ストッパ受け20は、車体の骨格部材22に固定されている。
図2においては、車体外装材18の一部を破断して、ストッパ受け20とその周囲の骨格部材22を示している。
【0012】
図2は、ストッパ受け20およびその周囲を拡大して示した図である。ストッパ受け20は、樹脂成形品であるストッパ受け本体24と、車体外装材18との隙間を埋めるコーキングスポンジ26と、骨格部材22との隙間を封止するシールゴム28を含む。ストッパ受け本体24は、骨格部材22に形成された係合穴30に差し込まれる軸部32と、ストッパ16を受ける台座34を含む。
【0013】
軸部32は、方形または円形断面の中空柱形状を有し、側面には係合爪36が設けられている。係合爪36は、軸部32の先端に向けて薄くなるくさび形であり、係合爪36の両側方にはスリットが設けられ、
図2において下端のみで軸部32に結合している。軸部32が係合穴30に挿入されるとき、係合爪36は、係合穴30の縁に押されて撓み、軸部32の表面から引っ込み、軸部32の挿入が許容される。係合爪36は、係合穴30を通過すると、元の状態に戻り、係合穴30の縁に掛かってストッパ受け20の抜けを防止する。
【0014】
ストッパ受け本体24には、軸線方向において係合爪36に隣接して支持フランジ38が設けられている。ストッパ受け20が骨格部材22に結合されたとき、支持フランジ38と骨格部材22の間にシールゴム28が挟まれる。シールゴム28は、軸部32を囲む環形状であり、骨格部材22の係合穴30の縁と支持フランジ38の隙間を封止して、係合穴30から骨格部材22の内部、つまり
図2おいて骨格部材22より下側の空間への水の浸入を防止する。
【0015】
台座34は、バックドア14のストッパ16に対向する座面40を有し、この座面40にコーキングスポンジ26がこのコーキングスポンジ26の表面の粘着剤を用いて貼着されている。具体的には、コーキングスポンジ26の一方の面の全体に両面テープが貼着され、この両面テープによりコーキングスポンジ26が座面40に貼着される。両面テープは、コーキングスポンジ26と同じ形状である。コーキングスポンジ26は、車体外装材18と台座34の隙間を埋めている。
【0016】
コーキングスポンジ26の外縁は、座面40の外縁よりも内側に位置している。このストッパ受け20においては、コーキングスポンジ26と座面40は円形であり、コーキングスポンジ26の直径は、座面40の直径よりも小さい。このため、コーキングスポンジ26に貼着されている両面テープの粘着剤は、台座34の外周面からはみ出すことがない。また、コーキングスポンジ26の外縁部分の粘着剤は、座面40とコーキングスポンジ26の側面とで形成される段差の隅の部分にあるため、他の物品との接触が抑制される。さらに、コーキングスポンジ26を座面40に貼着する際、貼着位置が中心から若干ずれても、両面テープが露出しない。これらのことから、ストッパ受け20においては粘着剤の露出が抑制される。
【0017】
ストッパ受け20は、多数が一緒に袋詰めされて梱包され、納品される。ストッパ受け20は、コーキングスポンジ26は貼着された状態で、また、シールゴム28は接着などはされず、単に軸部32に嵌められた状態で梱包される。もし、粘着剤が露出していると、ストッパ受け同士がくっつき、これを離そうとしたときに、コーキングスポンジ26が剥がれたり、シールゴム28が外れてしまう場合がある。上述のように、この実施形態のストッパ受け20は、粘着剤の露出が抑制されているため、多数が一緒に梱包されても、ストッパ受け20同士が付着することを抑制することができ、コーキングスポンジ26の剥がれ、シールゴム28の外れを抑制することができる。
【符号の説明】
【0018】
10 ハッチバック車、12 背面開口部、14 バックドア、16 ストッパ、18 車体外装材、20 ストッパ受け(バックドアストッパ受け)、22 骨格部材、24 ストッパ受け本体、26 コーキングスポンジ(スポンジ)、28 シールゴム、30 係合穴、32 軸部、34 台座、36 係合爪、38 支持フランジ、40 座面。