特許第6863899号(P6863899)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863899
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】医療器具の保管のためのカセット
(51)【国際特許分類】
   A61C 19/00 20060101AFI20210412BHJP
   A61C 19/02 20060101ALI20210412BHJP
   A61L 2/26 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   A61C19/00 J
   A61C19/02
   A61L2/26
【請求項の数】18
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2017-547130(P2017-547130)
(86)(22)【出願日】2016年3月7日
(65)【公表番号】特表2018-512200(P2018-512200A)
(43)【公表日】2018年5月17日
(86)【国際出願番号】EP2016054767
(87)【国際公開番号】WO2016142331
(87)【国際公開日】20160915
【審査請求日】2018年11月19日
(31)【優先権主張番号】15158228.5
(32)【優先日】2015年3月9日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506415207
【氏名又は名称】ストラウマン ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】マリアンネ ベルク
(72)【発明者】
【氏名】フリートへルム クラフト
(72)【発明者】
【氏名】ジルフィオ ブルーメンタール
【審査官】 胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0094249(US,A1)
【文献】 国際公開第2007/056399(WO,A1)
【文献】 特開2004−243127(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0196922(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0334083(US,A1)
【文献】 仏国特許出願公開第2898278(FR,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0205494(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 19/00
A61C 19/02
A61L 2/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの医療器具(100)の保管のためのカセット(10)であって、
前記カセットは、少なくとも1つのスプリング板材(18)を備え、
前記スプリング板材は、前記医療器具を内部に保持する少なくとも1つの保持手段(19)を備え、
前記保持手段は、前記医療器具を受容するために前記スプリング板材を貫通する通路(40)を形成する開孔(20)と、前記通路に隣接して配置されて付勢スプリング力を及ぼすことで前記医療器具を前記通路内に保持する少なくとも1つのスプリング要素(21)とを備え、
前記保持手段を含めて前記スプリング板材は、金属もしくは金属合金で作成され、
前記少なくとも1つの保持手段(19)の前記開孔(20)は、前記医療器具(100)が前記通路(40)に対して同軸の軸心に沿って前記開孔内に挿入されるように、閉鎖断面を有し、かつ、
前記通路(40)の断面は、前記医療器具(100)に接触する2つ以上の接触表面の領域を備えてなり、前記接触表面は前記通路(40)の周縁部の回りで相互から離間され、かつ、前記接触表面のうちの1つは、前記少なくとも1つのスプリング要素(21)の表面により形成される、
カセット(10)。
【請求項2】
前記スプリング板材は平坦である、請求項1に記載のカセット。
【請求項3】
前記少なくとも1つのスプリング要素(21)は、前記スプリング板材(18)と一体片にて一体的に形成される、請求項1または2に記載のカセット。
【請求項4】
前記少なくとも1つのスプリング要素は、前記通路の長さに亙り延在する、請求項3に記載のカセット。
【請求項5】
前記少なくとも1つのスプリング要素(21)は、前記スプリング板材(18)に接続された取付端部(128)と、反対側の端部に配置された自由端部(130)とを有する舌部(126)を備え、前記舌部は、前記医療器具に当接して該医療器具を前記通路(40)の内部に保持するように設計された接触表面(132)を有する、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項6】
前記少なくとも1つの保持手段(19)は、単一のスプリング要素(21)を備える、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項7】
前記カセットは、外側ハウジングを形成する基部トレイ(14)およびカバー部材(12)をさらに備えてなり、前記少なくとも1つのスプリング板材(18)は、前記外側ハウジング内に配置される、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項8】
前記カセット(10)は、前記スプリング板材(18)に対して本質的に平行かつ所定距離に配置された金属もしくは金属合金製の停止板材(44)をさらに備える、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項9】
前記停止板材(44)は、少なくとも1本のピン(88)を備える平坦な板材であり、
前記スプリング板材(18)に臨む前記停止板材の前記表面および前記ピンの前記表面は、停止表面を形成する、請求項8記載のカセット。
【請求項10】
前記カセットは、前記保持手段(19)と同軸に整列された少なくとも1つの案内孔(92)を備える中間板材(42)であって、前記スプリング板材(18)と前記停止板材(44)との間において前記スプリング板材に対して本質的に平行かつ所定距離に位置させた中間板材(42)をさらに備える、請求項8または9に記載のカセット。
【請求項11】
前記スプリング板材(18)および前記停止板材(44)は相互に接続されることで、単一ユニットとして位置決めおよび前記カセットからの取り外しができる挟持ユニット(16)を形成する、請求項8ないし10のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項12】
前記スプリング板材(18)は、各々が前記医療器具(100)を保持するに適した複数の保持手段(19)を備える、請求項1ないし11のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項13】
前記カセットは、前記医療器具(100)の表面上に配置された相補的突出部に対するスナップフィット接合の形成を可能にするアンダカット(105)を備えた貫通孔(94)を備える1つ以上の補助的保持手段をさらに備える、請求項1ないし12のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項14】
前記1つ以上の補助的保持手段は、前記少なくとも1つの保持手段(19)に加えかつ別体に、前記スプリング板材(18)上に形成され、前記補助的保持手段は、該補助的保持手段が前記スプリング板材の延長部を形成するように、該スプリング板材に対して接続された前記アンダカットを備える貫通ボア(98)を有する円筒状の延長片(96)を備える、請求項13に記載のカセット。
【請求項15】
前記カセットは、医療器具(100)を収容するための形状とされかつ当該支持板材の横側部に向けて開放された1つ以上の開孔(70)を備える1つ以上の支持板材(140)をさらに備え、
前記支持板材は、前記カセット内で垂直に配向され、
前記カセットは、前記少なくとも1つの支持板材に対して移動可能な係止要素(71)であって、前記少なくとも1つの開孔から前記医療器具を取り外すことを阻止する第1位置から、前記少なくとも1つの開孔から前記医療器具を取り外すことが可能な第2位置まで移動させることができる前記係止要素(71)をさらに備え、
前記カセットは、捕捉手段(69)であって、前記係止要素の1部を保持するための通路(75)を貫通させた開孔(73)と、前記係止要素が前記第1位置に在るときに該係止要素の前記1部を前記通路内に保持することで前記第2位置への前記係止要素の移動を阻止する付勢スプリング力を及ぼすために前記開孔に隣接して位置されたスプリング要素(150)とを備える前記捕捉手段(69)をさらに備える、請求項1ないし14のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項16】
前記カセットの全ての構成要素は、流体循環孔(22)が穿孔されている、請求項1ないし15のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項17】
前記カセットは、全て金属もしくは金属合金で構成される、請求項1ないし16のいずれか1項に記載のカセット。
【請求項18】
記スプリング板材(18)は、さらに、少なくとも1つの補助的保持手段を含み、前記少なくとも1つの補助的保持手段は、貫通孔(94)と、円筒状の延長片(96)とを備え、前記延長片(96)は、前記医療器具(100)の表面上に配置された相補的突出部に対するスナップフィット接合の形成を可能にするアンダカット(105)を備える貫通ボア(98)を有し、かつ、前記延長片(96)は、該延長片(96)が前記スプリング板材(18)の延長部を形成するように、前記スプリング板材(18)に対して溶接または接続されており、
前記スプリング板材(18)が、前記少なくとも1つの保持手段(19)及び前記少なくとも1つの補助的保持手段を含めて、金属もしくは金属合金で作成される、請求項1に記載のカセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの医療器具、特に、歯科用手術処置具の保管、洗浄および殺菌のためのカセットに関する。
【背景技術】
【0002】
医療器具の保管、整理および提示のためのカセットとは、当業界における公知のシステムを表す。これらのカセットのほとんどは、複数の医療器具が内部に収容された保持手段を備えた少なくとも1つのトレイと、該トレイを閉じるカバーとを備える。
【0003】
このようなカセットは、たとえば、特許文献1に開示されている。そこに記述された手術処置具容器は、分離可能な蓋体と基礎部分とを有する外側ケースと、前記基礎部分内に着脱自在に挿入された処置具保持トレイとを備える。前記処置具保持トレイ上には、手術処置具が、当該エラストマ・グロメット(elastomeric grommets)および弾性的フィンガ・ブラケットとの摩擦係合に依りこれらの弾性要素によって着脱自在に保持されるように手術処置具の柄部を収容するために、エラストマ・グロメットおよび弾性的フィンガ・ブラケットが固着される。
【0004】
医療器具の保管、搬送および殺菌のために器具トレイおよびカバーを含むさらなるカセットは、特許文献2に開示されている。上記トレイおよびカバーの表面に沿い、複数の支持部材が交換可能に配設され、その場合に各支持部材は、夫々の医療器具を受容するために多様に寸法決定されたノッチ付き受容器を含む。各支持部材は、医療器具を交換可能に収容し得る弾性材料で作成される。
【0005】
医療器具の保管のためのカセットのさらなる例は、たとえば、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6および特許文献7に記述される。
【0006】
先行技術のカセットにおいて、保持手段は、通常はエラストマ材料を備えるとともに、通常は、たとえば、形状的嵌合(form fit)、型成形、溶接、または、接着により、上記トレイ上に固定される。このエラストマ材料は、医療器具に関する良好な保持を提供するが、これらの材料は、深刻な欠点も有している。
【0007】
1つの問題は、これらの材料が、環境汚染に対して敏感に影響され易いことである。たとえば、外科医が汚染された手術用手袋で器具を把持したときに、これらの材料は血液もしくは軟組織により容易に汚染される。
【0008】
高まりつつある衛生規格によれば、器具は、カセット内で洗浄および殺菌する必要がある。したがって、各器具およびカセットは、別体ではもう洗浄してはならず、組み立て状態において、自動清浄殺菌(ACD)機械により洗浄しなければならない。しかし、カセット内にエラストマ構成要素が含まれるなら、問題が生ずる。まず、エラストマ保持手段とカセットとの間を接続する手法は多くの場合、塵埃が収集され得るとともに洗浄が困難であるアンダカットおよび他の小寸スペースに帰着する。さらに、ACD機械において使用される洗浄剤は、たとえば、軟化剤を除去することにより、エラストマ材料の特性に影響し得る。これにより、器具を確実に把持する保持手段の機能が影響されるとともに、保持手段に対する塵埃粒子の付着性が増大する。さらに、カセットが2つ以上の異なる種類の材料を備えるとき、これらは、異なる加熱速度および冷却速度、ならびに、異なる熱膨張の割合を有する。これは、カセット内の応力および結露の問題につながる。カセットは、殺菌に先立ち、完全に水分なしとされるべきであるため、保持手段上における結露の形成は、問題となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,525,314号
【特許文献2】米国特許第5,384,103号
【特許文献3】欧州特許第2163219号
【特許文献4】米国特許第5,979,643号
【特許文献5】国際公開第2005/053597号
【特許文献6】国際公開第2006/071180号
【特許文献7】米国特許出願公開第2007/0119737号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明により解決されるべき課題は、1つまたは複数の医療器具に対するカセットであって、内部における単一もしくは複数の医療器具の安全な保持、保管、洗浄および殺菌を可能にするとともに、当該カセットに対する破損なしでACD機械において洗浄することができるカセットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、1つの態様によれば、本発明は、少なくとも1つの医療器具の保管のためのカセットであって、該カセットは、少なくとも1枚のスプリング板材であって、該スプリング板材は、医療器具を内部に保持する少なくとも1つの保持手段であって、該保持手段は、上記医療器具を受容するために当該スプリング板材を貫通する通路を形成する開孔と、上記通路に隣接して配置されて付勢スプリング力を及ぼすことで上記医療器具を上記通路内に保持する少なくとも1つのスプリング要素とを備える少なくとも1つの保持手段を備えるスプリング板材を備えてなり、かつ、上記保持手段を含めて上記スプリング板材は、金属もしくは金属合金で作成される、カセットを提供する。
【0012】
本発明に関連して使用される“板材(sheet)”という語句は、その長さおよび幅よりも厚みが小さい好適には平坦である構造に関連し、かつ、それを貫通する“通路”という語句によれば、該通路はスプリング板材の厚みを貫通延在することが意味される。
【0013】
したがって、本発明は、全体的に金属もしくは金属合金で形成することができる保持手段を提供することから、エラストマ・グロメットの使用に伴う問題を回避する。このことは、上記通路に隣接して位置させるとともに内部に医療器具を解除可能に保持すべく構成された少なくとも1つのスプリング要素により、上記スプリング板材における通路内に、ドリル、挿入処置具、レンチ、パンチ、タップなどの如き少なくとも1つの医療器具を着脱自在に保持することにより達成される。したがって、捕捉力は、金属もしくは金属合金により提供され、エラストマ材料によってではない。
【0014】
上記医療器具を上記保持手段内に保持するために、上記通路の断面は、上記少なくとも1つの隣接するスプリング要素により、単一もしくは複数のスプリング要素の変形下でのみ、医療器具が上記保持手段内に挿入され得るという程度まで制限される。したがって、概略的に、隣接する単一もしくは複数のスプリング要素により部分的に画成される上記通路の断面もしくは直径は、上記少なくとも1つのスプリングがその非作動位置に在るときに、上記医療器具の直径よりも少なくとも僅かだけ小寸である。“器具直径”および“器具断面”により、上記保持手段内に収容されるべき器具の部分の断面および直径が参照されることは言うまでもない。
【0015】
上記保持手段内に医療器具を挿入するとき、医療器具の外側面は上記少なくとも1つのスプリング要素と接触することになり、その結果として、上記スプリング要素は、上記スプリング板材の平面における方向に圧縮および/または偏向される。上記スプリング要素のこの圧縮および/または偏向(および、上記スプリング要素がその非作動位置に復帰することを企図するという事実)は、付勢的なスプリング力に帰着し、これにより、医療器具は上記通路内に保持される。したがって、上記少なくとも1つのスプリング要素の配置によれば、摩擦嵌合接続関係を生成することにより、上記スプリング板材の保持手段内への医療器具の解除可能な捕捉が可能とされる。上記摩擦接続関係の捕捉力は好適には、たとえば、医療器具をその長手軸心に沿い上記保持手段から単に引張ることにより上記保持手段から該医療器具の比較的に容易な回収を可能にする程度まで制限される。但し、上記捕捉力は、医療器具の偶発的な転位が阻止されるように、洗浄、殺菌、梱包、搬送および保管の如き種々の事象の過程の間において上記保持手段が上記医療器具を上記スプリング板材内に安全に保持することを可能にする。
【0016】
したがって、本発明のカセットは、該カセット内に保管された少なくとも1つの医療器具の整理、保護、および、十分な洗浄および殺菌を可能とする。上記スプリング板材は、確実な様式での医療器具の保持を許容しつつ、使用のために器具を上記カセットから容易に取り外すことも可能にする。
【0017】
上記スプリング板材の平面における上記通路の断面は、特定の医療器具を収容するに適した、たとえば、円形、楕円形、多角形などの任意の形状であってもよい。
【0018】
好適には、上記通路の断面は、上記医療器具に接触する2つ以上の接触表面の領域を備えてなり、上記接触表面のうちの1つは、上記少なくとも1つのスプリング要素の表面により形成され、かつ、上記接触表面は上記通路の周縁部の回りで相互から離間される。これは、上記通路の断面の回りに形成された非接触の領域に帰着する。これらの領域は、医療器具が上記通路内に保持されたときでも、それを通る洗浄流体の流れを可能にする流路を生成する。上記保持手段と医療器具との間の接触の領域は、最小限度に維持されると同時に、器具の適切な支持を確実とすべきである。好適には、上記通路の上記断面は、複数の凹所が介設された3つの接触表面の領域を備える。一実施例において、上記接触表面の領域は、医療器具の円筒状シャフトに接触するために凹状円弧であり、かつ、各凹所は、これらの円弧同士の間に配置された陥没部により形成される。代替実施例において、上記接触の領域は、上記通路内へと突出する凸状の突起により提供され得る。
【0019】
上記スプリング板材を貫通する上記通路の直径は、その長さに沿う種々の段階において、一定のままであり、減少し、または、増大する。このことは、上記通路の直径は、段状変化部に委ねられることを意味する。但し、好適には、上記通路の直径および断面は、その長さに沿い一定のままである。
【0020】
上記保持手段の上記少なくとも1つのスプリング要素は、上記スプリング板材に対して挿入、締着、溶接、または、別の手段で取付けられた別体的な構成要素であり得る。たとえば、上記スプリング要素は、上記開孔内のもしくはその傍らの溝もしくは空洞内へと挿入されるとともに、積極的(形状)嵌合または非積極的(摩擦)嵌合により所定位置に保持され得る。
【0021】
但し、好適には、上記少なくとも1つのスプリング要素は、上記スプリング板材と一体片にて一体的に形成される。このように、上記スプリング要素と上記スプリング板材との間には、細菌、流体、塵埃などが進入し得る接合箇所はなく、さらに良好な洗浄が許容される。これに加え、上記スプリング板材において一体的に形成されたスプリング要素の配置によれば、該スプリング要素の製造が促進されるとともに、上記スプリング要素自体の安定性が相当に高められる。結果として、上記スプリング板材の製造コストは低下させることができるとともに、全体的な寿命が延ばされる。
【0022】
この実施例において、上記少なくとも1つのスプリング要素および上記スプリング板材は、一体構造(monolithic structure)を形成する。たとえば、好適には、水流またはレーザによる切断処置により、または、射出成形もしくは機械加工により、上記スプリング板材を切断することにより、該スプリング板材と一体片にて一体的に形成されたスプリング要素が調製され得る。上記少なくとも1つのスプリング要素が上記スプリング板材と一体的に形成されたとき、多くの場合、上記スプリング要素は、上記通路の長さ、すなわち上記スプリング板材の厚みに亙り延在することから、上記通路の長さに沿って器具に対する付勢力を供給する。
【0023】
上記少なくとも1つのスプリング要素は、該スプリング要素が隣接する通路内への付勢力を及ぼすように、上記スプリング板材の平面内で偏向および/または圧縮され得る任意の形状を有し得る。いくつかの実施例において、上記スプリング要素は、付加的に、上記スプリング板材の平面に対して直交する方向においても圧縮および/または偏向され得る。
【0024】
好適実施例において、上記少なくとも1つのスプリング要素は、上記スプリング板材に対して接続され好適には該スプリング要素と一体的に形成された取付端部と、反対側の端部に配置された自由端部とを有する舌部を備えてなり、上記舌部は、好適には上記自由端部の領域において、上記医療器具に当接して医療器具を上記通路内に保持するように設計された接触表面を有する。
【0025】
上記舌部の上記接触表面は、該舌部の中央長手軸心に関して中心合わせされ得る。この実施例において、上記舌部は通常、上記軸心に沿い非線形に延在し、たとえば、上記舌部は“ジグザグ”または“屈曲した”形状を有し得る。但し、上記舌部の接触表面の箇所は、好適には、その直交軸心、すなわち、上記接触表面の平面に対して直交して延在する軸心が、所定角度、好適には、45°〜135°の角度、さらに好適には約90°の角度にて、上記舌部の長手軸心に対して配向されるように設定される。上記医療器具が上記通路内に挿入されて上記接触表面と接触されたとき、この角度によれば、上記スプリング要素は、上記スプリング板材の平面内で上記取付端部に対して偏向されることで、上記付勢力を生成する。
【0026】
医療器具が上記通路内へと挿入されたとき、上記舌部の上記接触表面は上記器具の外側面に係合するとともに、これにより、上記通路の直径が広幅化されて上記器具の挿入を可能にするように、上記舌部は、その非作動位置から、上記スプリング板材の平面内で横方向に偏向される。上記スプリング要素がその非作動位置に復帰することを試みるときに、上記接触表面により上記器具に対して付与される付勢力は、上記器具を上記保持手段内に保持する。
【0027】
上記舌部のスプリング特性、特に屈曲特性は、該舌部の長さ、幅および/または厚みを変更することにより調節され得る。これに加え、上記舌部は、該舌部の大きな屈曲機能を可能にする1つ以上のスロットを備え得る。
【0028】
代替的な好適実施例によれば、上記少なくとも1つのスプリング要素は、当該スプリング・ブリッジが上記通路内へと突出するように、いずれかの端部にて、上記スプリング板材に対して取付けられた取付端部であって、好適には一体片にてそれと一体的に形成された取付端部を有するスプリング・ブリッジにより形成される。このように、上記スプリング・ブリッジは、“⊂”または“⊃”形状を形成する。この実施例において、上記接触表面は、上記スプリング・ブリッジの外側面上に配置される。したがって、上記通路内への医療器具の挿入時に、上記接触表面は上記医療器具の外側面に対して当接するとともに、上記スプリング・ブリッジはそれにより、上記スプリング板材の平面内における上記方向にて、上記医療器具の長手軸心から離間して径方向に圧縮および/または偏向される。
【0029】
本発明の上記保持手段は、複数のスプリング要素を備えることが可能である。たとえば、上記保持手段は、上記通路の各側における2つのスプリング要素を備えることができる。上記通路内への医療処置具の挿入時に、各スプリング要素は逆方向に偏向および/または圧縮されるとともに、次に各々が上記器具に対して付勢力を供給し、該付勢力はそれを、対向するスプリング要素の接触表面に向けて押圧する。このように、上記医療器具は、各スプリング要素間に保持される。
【0030】
但し、好適には、本発明の上記少なくとも1つの保持手段は、単一のスプリング要素を備える。これにより、上記スプリング板材の設計および製造が簡素化される。この実施例において、上記保持手段の単一のスプリング要素は、付勢スプリング力を及ぼして上記医療器具を上記通路の内壁部に対して押圧する。したがって、器具が上記通路内に保持されたときに、それを流体が通過することを可能にするために、上記通路の内壁部上には、少なくとも1つの接触表面の領域、好適には、相互から円周方向に離間された少なくとも2つの領域が形成される。したがって、上記通路の実効直径は、上記通路の内壁部上と、弾性的に押し戻されることで上記医療器具が上記通路内に嵌合するための十分なスペースを提供する上記スプリング要素上と、における夫々の接触表面により制限される。
【0031】
一実施例において、上記少なくとも1つの保持手段の上記開孔は、上記スプリング板材の側縁部に向けて開放されることで、医療器具の挿入を可能にするために横方向に開放された通路を形成する。この好適実施例において、上記スプリング板材は、上記カセット内で垂直に位置決めされることが好適である。すなわち、上記スプリング板材は、上記カセットの水平面に対して実質的に直交して延在する。
【0032】
代替的な好適実施例によれば、上記少なくとも1つの保持手段の上記開孔は、医療器具が上記通路と同軸的な軸心に沿って該開孔内に挿入されるように、閉鎖断面を有する。この好適実施例においては、上記通路が上記スプリング板材を上側表面から下側表面まで貫通延在するように、上記板材は本質的に、上記カセットの水平面に対して平行に配向されることが好適である。
【0033】
水平および垂直な配向に対する全ての参照は、上記カセットが、その正しい配向において平坦表面上に、すなわち、その下側表面を平坦表面に向けて、位置決めされたときにおける、各構成要素の配向を指している。
【0034】
好適には、上記カセットは、外側ハウジングを形成する基部トレイおよびカバー部材を備えてなり、上記少なくとも1枚のスプリング板材は、上記外側ハウジング内に配置される。好適には、上記基部トレイおよび上記カバー部材は、金属もしくは金属合金で作成される。これにより、上記カセットが異なる加熱速度および冷却速度を有する複数の材料を備えるときに生じ得る上述の問題が回避される。
【0035】
この好適実施例において、上記保持手段の上記開孔が上記スプリング板材の側縁部に向けて開放されたとき、上記スプリング板材が上記基部トレイから、該基部トレイに対して実質的に直交する方向に突出することから上記カセット内で垂直に位置させるように、上記スプリング板材の1つの縁部は上記基部トレイに対して固定されることが好適である。この実施例においては、医療器具が上記開孔内へと横方向に挿入され得ることで、上記器具の長手軸心が、実質的に、上記スプリング板材の平面に対して直交し、かつ、上記基部トレイの平面に対して平行に配向されるように、特に、上記開孔は上記スプリング板材の頂縁部に対し、すなわち、上記基部トレイから離間した方を向く縁部に対して開放されることが好適である。
【0036】
この実施例においては、上記スプリング板材における少なくとも1つの保持手段が、該保持手段内に医療器具が一旦確実に締着されたならユーザに対して物理的フィードバックを提供し得る形状であることがさらに好適である。この物理的フィードバックは、たとえば、上記通路の内壁部上の突出するデテントもしくは突起であって、上記器具を上記通路内に正しく着座させるためには上記器具の最大直径が該突起を越えて押し込まれなければならないデテントもしくは突起を配置することにより達成され得る。このように、上記医療器具は、上記開孔内に横方向に押し込まれ得るとともに、上記医療器具の最大直径が上記突起を乗り越えるにつれ、ユーザには、たとえば、揺動、弾性係止、または、抵抗減少などの物理的な感覚が提供され、上記スプリング要素の変形下で上記医療器具が上記開孔内に正しく着座されかつ係止されたことがユーザに対して伝えられる。
【0037】
さらなる実施例において、上記保持手段の上記開孔が上記スプリング板材の側縁部に向けて開放されたとき、上記カセットは、少なくとも1枚の補助板材をさらに備えることから、上記スプリング板材および上記補助板材は、上記基部トレイに対して実質的に直交する方向に突出しかつ一定距離だけ離間されるように、上記基部トレイに対して固定される。好適には、上記スプリング板材および補助板材は、上記基部トレイから垂直に突出するとともに、相互に対し、本質的に平行に、または、所定角度にて配置される。上記補助板材は、該板材の側縁部に向けて開放された少なくとも1つの開孔であって、医療器具がその中に受容され得る開孔を備える。上記開孔のサイズおよび形状は、その中に受容されるべき医療器具のサイズおよび形状に従って調節され得る。1枚以上の補助板材を使用すると、医療器具がその長さに沿って支持されることが確実とされるとともに、器具がその長手軸心に沿って傾斜し、それが保持手段から離脱し、もしくは、上記カセット内に収容された他の器具と干渉することが阻止される。上記医療器具は、上記保持手段により、本発明の上記スプリング板材内に保持される。上記少なくとも1枚の補助板材は、当該開孔が器具に対する支持のみを提供するように、スプリング要素または他の捕捉手段なしの開孔を備えることができる。この場合、上記少なくとも1枚の補助板材は、支持板材と称される。代替的に、上記少なくとも1枚の補助板材は、医療器具を保持するための付加的な保持手段を備えることができる。この場合、上記少なくとも1枚の補助板材は、好適には、医療器具が2枚以上のスプリング板材の保持手段内に保持されるように、本発明に係るスプリング板材である。
【0038】
さらなる実施例において、上記保持手段の開孔が上記スプリング板材の側縁部に向けて開放されるとき、当該複数枚のスプリング板材が、上記基部トレイから実質的にそれに対して直交する方向に突出し、かつ、一定距離だけ離間されるように、上記基部トレイに対しては複数枚のスプリング板材が固定される。各スプリング板材は、本発明に係る少なくとも1つの保持手段と、該スプリング板材の側縁部に向けて開放されて捕捉機能を有さない少なくとも1つの付加的開孔とを備える。各スプリング板材は、一方のスプリング板材の保持手段が、第2のスプリング板材の非捕捉開孔と整列されるように配置される。このように、複数枚のスプリング板材が使用されて複数の医療器具を支持することができ、それらの長手軸心は、各スプリング板材に対して実質的に直交して配向される。各器具は、複数枚のスプリング板材内に収容されるが、該器具は、これらのスプリング板材のうちの1枚、もしくは、限られた枚数のスプリング板材の保持手段によってのみ保持される。
【0039】
前述した垂直に配向された単一もしくは複数の板材を基部トレイに対して固定することに加えて、この板材は、上記カセットの他の構成要素に対して固定されることも可能である。たとえば、上記1枚以上のスプリング板材、および、選択的に1枚以上の支持板材は、上記カバー部材の下側部に対して固定され得る。代替的または付加的に、上記カセットは、上記基部トレイに対して平行に該カセット内に保持された付加的な板材を備えることができる。上述された単1枚または複数枚の垂直なスプリング板材、および、単1枚または複数枚の支持板材は、この付加的な板材に対しても取付けられ得る。
【0040】
他の実施例において、上記スプリング板材は好適には、上記基部トレイに対して本質的に平行に配置され、すなわち、上記カセット内で水平に配向される。この実施例において、上記少なくとも1つの保持手段の開孔は、好適には、閉鎖断面を有する。上記水平スプリング板材は好適には、該スプリング板材が取り外されて上記基部トレイに対するアクセスを許容し得るように、上記カセットに対して着脱自在に取付けられる。
【0041】
たとえば、スプリング板材は好適には、該スプリング板材の底部表面から本質的に直角に突出する少なくとも1つの支持脚部であって、上記基部トレイ上に位置させることが意図された支持脚部を備える。上記少なくとも1つの支持脚部により支持されることで、上記スプリング板材は、上記基部トレイに対し、本質的に平行に、但し所定距離にて配置される。このことは、付加的な器具の保管に上記基部トレイを使用することができるという利点を有している。
【0042】
安定的な支持を提供するために、好適には、少なくとも3つの支持脚部が配置される。特に好適な実施例においては、上記スプリング板材の夫々の角隅部に各々が取付けられた4つの支持脚部が配置される。
【0043】
付加的もしくは代替的に、上記スプリング板材は、上記基部トレイの上縁部上に直接的に載置され得る。この実施例において、上記基部トレイは、平坦な基部表面と、それから実質的に垂直に延在する4つの壁部とを備える。これらの上側表面は、当該棚部上に、上記基部トレイの上記基部表面に対して本質的に平行に上記スプリング板材が支持され得る棚部を提供することができる。
【0044】
上述された好適実施例の各々においては、上記保持手段を貫通して挿入された医療器具に対する物理的停止部を提供するために、上記スプリング板材に対して本質的に平行にかつ所定距離に、停止表面が配置されることがさらに好適である。これにより、上記保持手段内における医療器具の正しい位置決めが確実とされるとともに、搬送および保管の間における長寸の器具の安定化および一切の傾斜の阻止が支援される。
【0045】
一実施例によれば、上記停止表面は、上記基部トレイの1部により形成される。但し、好適には、それは、上記スプリング板材に関して固定距離に配置された別体的な金属もしくは金属合金の停止板材により形成される。したがって、上記カセットは好適には、上記スプリング板材に対して本質的に平行にかつ所定距離に配置された金属もしくは金属合金製の停止板材をさらに備える。
【0046】
上記停止板材が、上記スプリング板材上の任意の箇所に位置された保持手段に対する停止表面を提供し得るように、上記停止板材は上記スプリング板材と同一の占有面積を有することが好適である。
【0047】
上記停止板材は、連続的表面であり得るか、または、該停止板材は、上記通路と同軸に整列された少なくとも1つの貫通孔であって、医療器具の1部が該貫通孔内に収容されることを可能にするという貫通孔も有し得る。したがって、もし、医療器具が、異なる断面である2つの結合部分、特に、小寸の断面を有する第2部分が結合した大寸断面を有する第1部分を備えるなら、該医療器具上には、中間ショルダが形成される。そのとき、この中間ショルダは、上記停止板材における上記貫通孔が、上記第2部分の直径より大きい直径であるが、上記第1部分の直径よりも小さい直径を有するなら、上記停止表面に当接して担持する担持表面として使用され得る。
【0048】
付加的もしくは代替的に、ピンまたはポストの形態の停止表面も配置され得る。そのとき、停止表面は、上記通路の断面と整列されかつそれに対して本質的に平行に配向された個々のピンもしくはポストの表面により提供される。停止表面のこの設計態様は、上記保持手段に対する上記停止表面の距離が、上記ピンもしくはポストの高さに依存して変更され得るという利点を有している。たとえば、もし、上記スプリング板材が、少なくとも2つの異なる医療器具を保持する少なくとも2つの保持手段を備えるなら、第1のピンまたはポストの表面は、第1の保持手段に対して整列されかつそれに対して本質的に平行にかつ第1距離に位置された第1停止表面を提供し得るとともに、第2のピンもしくはポストの表面は、第2の保持手段に対して整列されかつそれに対して本質的に平行にかつ第2距離に位置された第2停止表面を提供し得、その場合に上記第1および第2の距離は、相互に異なる。
【0049】
この停止ピンもしくはポストは、たとえば、基部トレイもしくはカバー部材などの、上記カセットの任意の適切な表面に対して取付けられ得る。但し、上記停止ピンは、停止板材上に配置されることが好適である。このように、上記停止板材の表面および上記停止ピンの両方が、異なる医療器具に対する停止表面を形成する。
【0050】
したがって、本発明に係る上記停止板材は、好適には、少なくとも1本のピンを備える平坦な金属もしくは金属合金製の板材であり、その場合、上記停止板材の表面、および、上記スプリング板材に臨む上記ピンの表面が、停止表面を形成する。
【0051】
上記停止板材は、上記基部トレイまたはカバーに対して取付けかつ本質的に直交して延在する金属もしくは金属合金製の板材であってもよい。この停止板材は、上記カセット内で垂直に配向されたスプリング板材と組み合わせて使用することができる。
【0052】
但し、停止表面の使用は、カセット内に水平に配向されたスプリング板材と組み合わされることが最も有用であり、それは、器具が保持手段を貫通して過剰に遠位に挿入されることが確実になくなるからである。その様に挿入されると、器具は、スプリング板材の下方にて、たとえば基部トレイ上に保管された任意の別の器具に接触するか、または、別の器具を破損する結果となり得る。
【0053】
好適実施例において、上記カセットは、上記保持手段と同軸に整列された少なくとも1つの案内孔を備える中間板材であって、上記スプリング板材と上記停止板材との間において上記スプリング板材に対して本質的に平行かつ所定距離に位置された中間板材をさらに備える。この中間板材は、上記スプリング板材の少なくとも1つの保持手段の開孔が閉鎖断面を有するときに最も有用である。上記案内孔の断面は、正しく配向されたときに医療器具は上記中間板材に接触せずに該案内孔を貫通通過し得るように、上記保持手段内に保持されるべき上記器具の断面よりも僅かに大寸であるべく適合化される。これにより、上記中間板材における上記案内孔は、上記カセット内への上記医療器具の挿入の間に、該医療器具に対する軸心方向案内を提供する。上記医療器具は、上記中間板材における上記案内孔を貫通通過するとともに、該医療器具は、たとえば、上記停止板材の上側表面、または、この板材に対して固定されたピンもしくはポストなどの、上記停止板材の停止表面上に着座することとなる。上記スプリング板材における上記通路内、および、上記中間板材における上記案内孔内に保持されつつあることにより、上記医療器具は、上記カセット内に所定配向にて確実に保持される。したがって、上記カセットが震動または傾斜されたとしても、上記医療器具は、上記保持手段から容易には離脱されず、該医療器具の取り外しを阻害する可能性がある傾斜姿勢を取ることはできない。
【0054】
好適実施例において、上記少なくとも1つの案内孔は、多角形状の断面、最も好適には、三角形状の断面を有している。この孔を通して医療器具の円筒状シャフトが挿入されたとき、点状の表面接触のみが生じ得る。このように、たとえば、搬送の間における震動により引き起こされた誤整列などの何らかの理由で、器具が上記案内孔に接触したとしても、この接触は、最小限度であり、器具を通過する洗浄流体の循環に干渉しない。
【0055】
特に好適な実施例において、スプリング板材および停止板材は相互に接続されて、単一ユニットとして位置決めされかつカセットから取り外され得る挟持ユニットを形成する。本発明によれば、単一のカセットは、1つ以上のこの挟持ユニットを収容することができ、各挟持ユニットは、同一のもしくは代替的なスプリング板材および停止板材の構成を備えるとともに、選択的に、1枚以上の中間板材を含む。好適には、上記挟持ユニットの各構成要素は、たとえば溶接により、相互に対して永続的に固定される。
【0056】
特に好適な実施例において、上記挟持ユニットは、スプリング板材、中間板材、および、停止板材を備える。
【0057】
この挟持ユニットは、内部に収容された単一もしくは複数の器具の順序および無菌性を維持し乍ら、カセットから取り外されかつ表面上に独立的に位置され得る。
【0058】
好適には、上記挟持ユニットの上記各板材、すなわち、スプリング板材、停止板材、および、選択的な中間板材は、上記カセット内で水平に配向される。この実施例において、上記スプリング板材は好適には、閉鎖開孔を備える1つ以上の保持手段を備える。
【0059】
好適には、上記挟持ユニットは、1つ以上の支持脚部を備えてなり、各支持脚部は好適には、2つ以上の直径の段状変化部を備えることから、当該中間ショルダ上にて、上記スプリング板材、停止板材、および、選択的な単1枚または複数枚の中間板材が相互に対して固定距離にて位置決めされ得るという2つ以上の中間ショルダを形成する。好適には、各板材は、上記1つ以上の支持脚部の中間ショルダに対して溶接される。付加的な支持を提供するために、上記挟持ユニットの各板材間には支持支柱が選択的に配置され得る。好適には、上記挟持ユニットの各角隅部に1つずつ、4つの支持脚部が配置される。
【0060】
上記支持脚部は、上記挟持ユニットが上記カセット内に収容されたときに、上記基部トレイに接触すべく配置され得る。好適には、上記支持脚部は、上記基部トレイから突出する相補的な支持ポストが挿入されることを可能とするために、少なくとも部分的に中空である。これにより、上記トレイ内における上記挟持ユニットの正確な載置が確実とされ、かつ、上記カセット内での上記挟持ユニットの一切の摺動が阻止される。
【0061】
本発明のスプリング板材は好適には、各々が医療器具を保持するに適した本発明に係る複数の保持手段を含む。上記保持手段は、形状が同一的であり得るか、または、設計者の選択肢および要望に依存して種々の形状で提供され得る。上記複数の保持手段の各々の少なくとも1つのスプリング要素は、異なる形態を有し得る。たとえば、所定数の保持手段は舌部スプリングを備えることができるとともに、さらなる所定数の保持手段は、ブリッジ・スプリングを備えることができる。種々の保持手段の各舌部スプリングおよび各ブリッジ・スプリングもまた、相互に異なる形状を有し得る。異なる器具を保持すべく設計された保持手段は、異なる形状を有することが好適である。このことは、ユーザが、各器具に対して正しい保持手段を特定することを支援する。代替的または付加的に、上記スプリング板材は、異なる色、または、文字、絵文字、または、数字の如き個別的な標識を備えることで、各保持手段を特定し得る。異なる保持手段を明確に区別すると、上記カセット内における各器具の迅速かつ正確な組み付けが許容される。
【0062】
これに加え、上記基部トレイおよび/または上記スプリング板材上には、好適には、ユーザ情報が配置されることで、各医療器具の特定、および/または、医療処置における各医療器具の正しい順序の特定が支援される。これにより、医療処置の前、その間、または、その後における、各医療器具の特定、洗浄、選別、計数、および、グループ化に必要とされる時間が短縮される。
【0063】
種々の長さの複数の器具を保持するためにスプリング板材に複数の保持手段が配置されるとき、上述の中間板材は、補助停止板材としても機能し得る。上記スプリング板材に臨む上記中間板材の表面は、停止表面を形成し得るとともに、代替的または付加的に、上述された形式の停止ピンを備えることができる。さらに、上記中間板材は、医療器具の当接表面が該中間板材に当接して着座するように、隣接部分よりも小さい直径を有する上記器具の部分を収容する貫通孔を備えることができる。
【0064】
本発明の上記保持手段に加え、上記カセットは、医療器具を保持するための付加的な保持手段を備えることも可能である。
【0065】
たとえば、好適実施例において、上記カセットは、上記医療器具の表面上に配置された相補的突出部に対するスナップフィット接合(snap-fit connection)の形成を可能にするアンダカットを備えた貫通孔を備える1つ以上の補助的保持手段をさらに備える。上記アンダカットは、上記貫通孔における環状溝、または、環状突出部により形成され得、アンダカットは、上記突出部の遠位側により生成される。この実施例において、上記医療器具は、相補的突出部を備える。少なくとも、上記器具の上記突出部(または、存在する場合には、上記貫通孔の上記突出部)は、これが偏向および/または圧縮されることで、上記貫通孔の上記アンダカットと上記器具の突出部とが整列されるまで上記器具が上記貫通孔内へと挿入されることを許容し、その時点で上記突出部がその元の形状へと、もしくは、それに向けて、弾発復帰するように、弾性的である。これにより、上記器具が正しく挿入されたとの物理的フィードバックがユーザに対して提供されるとともに、上記スナップフィット接合は、上記保持手段と上記器具との間の軸心方向の捕捉を提供する。
【0066】
上記貫通孔は、該貫通孔のスペース内へと径方向内側に突出してアンダカットを形成するリブを備えてなり得、該アンダカットは、たとえば、医療器具の表面上に配置された突起、縁部もしくは締着リングなどの突出部に係合することで、上記医療器具と上記貫通孔との間に弾性嵌合を生成することが意図される。
【0067】
代替的に、上記貫通孔の内壁部上には溝が配置されることで、たとえば、当該医療器具の外側面上でありかつそれから突出する突起、縁部または締着リングなどの突出部を有する医療器具に対するスナップフィット接合を提供し得る。上記貫通孔および上記医療器具の直径、ならびに、上記アンダカットおよび上記突出部の寸法は、上記器具の上記突出部が上記貫通孔の上記アンダカット内へと弾性係止したときに上記器具が上記保持手段内で所定位置に保持されるような寸法とされる。
【0068】
記述されたスナップフィット接合は、上記貫通孔内における上記医療器具の安全な捕捉を可能にするが、上記接触表面と接触することが必要とされるのは、上記医療器具の小さな表面領域のみである。
【0069】
好適実施例において、上記1つ以上の補助的保持手段は、上記少なくとも1つの保持手段に加え、または、それと別体的に、上記スプリング板材上に形成される。好適には、上記1つ以上の補助的保持手段は、上記アンダカットを備える貫通ボアを有する円筒状延長片を備えてなり、これは、それが上記スプリング板材の延長部を形成するように、上記スプリング板材に対して溶接もしくは別の手段で接続される。これにより、上記スプリング板材全体を不必要に厚寸化することなく、上記スナップフィット接合を形成する適切な厚みが確実とされる。代替的または付加的に、上記停止プレートもしくは中間プレート上には、1つ以上の補助的保持手段が位置され得る。
【0070】
上記スプリング要素と同様の様式で、この弾性嵌合貫通孔によれば、上記カセットは、エラストマ構成要素に頼らずに、1つ以上の医療器具を保持し得る。代わりに、上記保持手段は、全体的に金属もしくは金属合金で形成することができる。
【0071】
このことは、それ自体の権利において発明的であると考えられることから、さらなる見地から見て、本発明は、少なくとも1つの医療器具の保管のためのカセットであって、該カセットは、少なくとも1つの保持手段を備え、上記保持手段は、アンダカットを備えた貫通孔を備えて、上記アンダカットは、医療器具の表面上に配置された相補的突出部に対するスナップフィット接合の形成を可能とし、かつ、上記保持手段は、金属もしくは金属合金で作成される、カセットを提供する。
【0072】
好適には、上記カセットはさらに、上述された如きスプリング板材をさらに備える。この態様のさらなる好適実施例は、第1の態様に関して上記および以下に記述されたものと同一である。
【0073】
さらなる代替策において、本発明の上記保持手段は、医療器具ではなく、上記カセットの係止要素を保持すべく適合化され得る。このように、上記スプリング板材は、1つ以上の医療器具に対する間接的な捕捉を提供する。
【0074】
この代替的な保持手段は、各医療器具がカセットの水平面と平行に位置させるように、各医療器具が、上述の形式の垂直なスプリング板材および/または垂直な支持板材内に保持されるというカセットにおいて特に有用である。この実施例において、上記カセットは、医療器具を収容するための形状とされかつ当該支持板材の横側部に向けて開放された1つ以上の開孔を備える1枚以上の支持板材をさらに備えてなり、上記板材は、上記カセット内で垂直に配向され、上記カセットは、上記少なくとも1枚の支持板材に対して移動可能な係止要素であって、それが、上記医療器具が上記少なくとも1つの開孔から取り外すことを阻止する第1位置から、上記医療器具が上記少なくとも1つの開孔から取り外すことが可能な第2位置まで移動させることができる係止要素をさらに備えてなり、上記カセットは、捕捉手段であって、上記係止要素の1部を保持するための通路を自身を貫通させて画成する開孔と、上記係止要素が上記第1位置に在るときに該係止要素の上記1部を上記通路内に保持することで上記第2位置への上記係止要素の移動を阻止する付勢スプリング力を及ぼすために上記開孔に隣接して位置されたスプリング要素とを備える捕捉手段をさらに備える。
【0075】
この実施例において、上記医療器具は、上記捕捉手段のスプリング要素により保持された上記係止要素により捕捉力が提供されるように、スプリング要素を備えない開孔内に支持される。上記捕捉手段は好適には、上記少なくとも1枚の支持板材上に形成されるが、上記カセットの別の構成要素上に配置してもよい。
【0076】
上記係止要素は、たとえば、該要素を上記カセットに対して摺動させることにより、上記第1位置から第2位置まで移動され得る。但し好適には、上記係止要素は上記カセットに対してヒンジにより接続されることから、該係止要素は、上記ヒンジの軸心の回りにおける回動により、上記第1位置から上記第2位置まで移動し得る。
【0077】
いくつかの実施例においては、少なくとも1枚の垂直スプリング板材が、器具の1つ以上に対して直接的に付加的な捕捉を提供する。但し、好適には、唯一の捕捉は、上記係止要素により提供される。
【0078】
洗浄プロセスを支援するために、上記スプリング板材の上側表面、存在する場合は停止板材、上記中間板材、上記基部トレイ、および/または、上記カバー部材は、平坦であることが好適である。溝および突出部を備えることで塵埃および流体が集まり、効率的に洗浄することが困難であるという表面よりも、平坦な表面は洗浄が容易である。
【0079】
好適実施例において、上記スプリング板材は複数の付加的な孔を備えることで、洗浄媒体の循環を可能にする。好適には、上記スプリング板材、存在する場合は上記基部トレイ、上記カバー部材、上記停止板材および上記中間板材、および、係止要素は、たとえば、液体状もしくは気体状である洗浄流体が、閉じ状態においてさえも上記カセットを貫通して流れ得るように、穿孔される。本質的に、上記カセットの全ての構成要素が、流体循環孔により穿孔されることが好適である。これらの流体循環孔によって、少なくとも1つの医療器具が内部に保管された上記カセットを、たとえば、ACD機械で洗浄した後に、たとえば、加圧滅菌器で殺菌することが可能となる。
【0080】
好適には、隣接する板材同士における夫々の流体循環孔は、相互からオフセットされるが、上記カセットを通る“視線”を提供する。
【0081】
特に好適な実施例において、上記基部トレイに対して本質的に平行にスプリング板材を位置させるとともに、本明細書で以下においては捕捉板材と称される捕捉手段を備える支持板材は、それが上記基部トレイから、上記カバー部材に向かう方向に突出するように、上記基部トレイに対して固定される。上記少なくとも1枚の捕捉板材は、好適には、上記基部トレイから本質的に直角にて突出するように、たとえば溶接により該基部トレイに対して締着され得るとともに、上記スプリング板材は、上記少なくとも1枚の捕捉板材の上方に位置させる。特に、上記基部トレイまでの上記スプリング板材の距離は、概略的に、上記基部トレイから突出する上記捕捉板材の高さよりも大きい。好適には、上記基部トレイは、該基部トレイに取付けられた複数枚の支持板材を備えてなり、上記捕捉板材および支持板材は、上記基部トレイから延在する垂直リブを形成し、かつ、上記カセットはさらに、少なくとも1つの係止要素を備える。上記スプリング板材は好適には、該スプリング板材、中間板材、および、停止板材、または、代替的に、該スプリング板材および停止板材のみであって、これらが単一ユニットとして上記カセットに挿入されかつ該カセットから取り外し得るように相互に溶接もしくは別の手段で固定された各板材を備える取り外し可能な挟持ユニットの1部である。好適には、上記少なくとも1つの保持手段の開孔は、閉鎖断面を有している。上記挟持ユニットは、上記基部トレイの1つ以上の突出支持ポスト上に載置された少なくとも1つの支持脚部、好適には少なくとも3つの支持脚部上に位置させることで、上記基部トレイの上方の所定距離に上記挟持ユニットを保持する。
【0082】
上記単一もしくは複数の支持脚部は、中間ショルダを備える上述の形式であり得る。代替的に、上記各支持脚部は、上記スプリング板材、基部トレイまたは停止板材からの一体片にて形成することができる。さらなる別の実施例において、上記挟持ユニットは、上記基部トレイの垂直壁部の頂部上に着座すべく設計される。
【0083】
特に好適な実施例によれば、上記カセットは、金属のみによるカセットであり、このことは、上記カセットの全ての構成要素が、金属もしくは金属合金で作成されることを意味する。最も好適には、上記金属は、ステンレス鋼、アルミニウムまたはチタンである。これは、これらの金属は、耐久性、剛性、耐汚染性、抗菌性、化学的不活性、および、耐酸化性の如き、特に適切な特性を有するからである。好適には、上記カセットの1枚以上のスプリング板材は、バネ鋼、特に、たとえば1.4310sなどのバネステンレス鋼である。
【0084】
上記カセットは好適には、上記スプリング板材の保持手段内に保持された少なくとも1つの医療器具、好適には、歯科インプラントの載置において使用される少なくとも1つの歯科用手術処置具を備える。上記歯科用手術処置具は、たとえば、ドリル、タップ、挿入処置具、粘膜用パンチなどであってもよい。好適には、複数のこの器具は、上記スプリング板材内の複数の保持手段内に保持される。
【0085】
本発明の特に好適な実施例は、例示的にのみ以下に記述されるとともに、まさに概略的な図面中に示される。
【図面の簡単な説明】
【0086】
図1】発明的なカセットの第1実施例の分解斜視図であり、カバー部材と基部トレイとの間には、それらに対して所定距離にてかつ平行に、水平スプリング板材を備えた挟持ユニットが配置される。
図2】閉じ状態における図1のカセットの斜視図である。
図3】相互に対して平行にかつ所定距離にて配置された上記水平スプリング板材、中間板材、および、停止板材を備えた図1の挟持ユニットの分解斜視図である。
図4図1のスプリング板材の単独での平面図である。
図5A図4の円Aにより囲繞された保持手段を拡大平面視で示す図である。
図5B図4の円Bにより囲繞された保持手段を拡大平面視で示す図である。
図5C図4の円Cにより囲繞された保持手段を拡大平面視で示す図である。
図6図1の中間板材の単独での平面図である。
図7図1の停止板材の単独での平面図である。
図8A】補助的保持手段の断面図である。
図8B】補助的保持手段の斜視図である。
図9図1の挟持ユニットの支持脚部の断面図である。
図10A図3の挟持ユニットの組み立て状態における平面図である。
図10B図10AのA−A線に沿う挟持ユニットの垂直断面図である。
図10C図10Bの垂直断面図であるが、挟持ユニット内には所定個数の医療器具が配置されている。
図11図1の非積載の基部トレイの斜視図である。
図12】複数の医療器具が内部に保持された図11の基部トレイを示す図である。
図13図11の捕捉板材を単独で示す図であり、捕捉手段の拡大図を含んでいる。
図14】基部トレイの代替実施例において位置された本発明の垂直スプリング板材を示す図である。
図15図14の詳細部Xを示す図である。
図16図1の手術用カセットにおいて使用される代替的な挟持ユニットの分解図である。
図17図16の停止板材を単独で示す図である。
図18図16の挟持ユニットの頂部平面図である。
図19図18のA−A線に沿う断面図である。
図20図19からの詳細部Tを示す図である。
図21図16の挟持ユニットの支持脚部の長手軸心を通る断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0087】
図1は、本発明に係るカセット10の実施例を示し、該カセット10は、金属カバー部材12と、金属基部トレイ14と、先の2つの部材間に囲繞された金属製挟持ユニット16とを備える。カバー部材12および基部トレイ14は、挟持ユニット16が内部に収容されるボックス状の本質的に矩形状の外側ハウジングを形成する。
【0088】
本明細書における記述に対し、“上側”、“下側”、“右側”、“左側”、“後側”、“前側”、“垂直”、“水平”という語句、および、それらの派生語は、図1において配向されたカセット10に関連する。
【0089】
挟持ユニット16は、カセット10内に着脱自在に挿入可能であるとともに、該挟持ユニットは、該挟持ユニット16の水平頂部表面を形成するスプリング板材18であって、以下にさらに詳述するとおり、内部に医療器具を保持することが各々意図された多数の保持手段19を備えるスプリング板材18を含む。
【0090】
示された実施例において、カバー部材12および基部トレイ14は、いずれもがボート形状であるとともに、各々、水平に配向されて本質的に矩形状である平坦な表面、ならびに、夫々、垂直に下方および上方に突出する4つの側壁24、26を含んでいる。
【0091】
カバー部材12および基部トレイ14は、基部トレイ14に対してカバー部材12が解除可能に接続され、洗浄、殺菌、搬送および保管のために(不図示の)医療器具を備えた挟持ユニット16を囲繞し得るように、設計される。カバー部材12を基部トレイ14上に固着するために、カバー部材12は基部トレイ14と結合すべく構成された閉塞要素142を備える。さらに詳細には、カバー部材12は、各広幅側に、各々が大寸のC形状フラップ28と小寸のS形状スプリング・ラッチ30とを備える2つの閉塞要素142を備える。各フラップ28は、スプリング板材18の広幅側における切欠き34を通して案内される。各スプリング・ラッチ30は、基部トレイ14の両方の広幅側の壁部26上に形成されたブラケット構造38の下側の所定位置に弾性嵌合すべく構成された屈曲自由端部分36を有する。これにより、カバー部材12は、基部トレイ14に関して所定位置に締着されることにより、それらの間に挟持ユニット16を確実に保持し得る(図2を参照)。閉塞要素142は、カバー部材12を、カセット10の基部トレイ14および/または挟持ユニット16に対して固着するに適した任意の閉塞デバイスまたは特定構造であり得ることに留意すべきである。
【0092】
図1に示されたカセット10の実施例において、挟持ユニット16の頂部表面、および、基部トレイ14の上側表面64は、本質的に矩形の形状を有するとともに、本質的に同一サイズである。但し、代替実施例において、挟持ユニット16は、さらに小寸の占有面積を有するとともに、上記カセットが閉じ状態に在るときに基部トレイ14およびカバー・ユニット12により完全に囲繞され得る。
【0093】
カバー部材12および基部トレイ14は両者ともに穿孔されており、これは、それらが複数の流体循環孔22を含むことを意味する。挟持ユニット16の種々の構成要素もまた、流体循環孔22を備える。これらは、閉じ状態におけるカセット10内およびそれを通る気体状もしくは液体状の洗浄媒体の循環を可能にする。特に、流体循環孔22は、内部に少なくとも1つの医療器具が保管されたカセット10が、たとえばACD機械において洗浄されてから、たとえば、加圧滅菌器において殺菌され得ることを可能にする。カバー部材12、挟持ユニット16および基部トレイ14における各流体循環孔22は種々の形状およびサイズを有するが、孔22の大部分は円形である。
【0094】
挟持ユニット16は、当該各板材が単一ユニットとしてカセット10に挿入されかつカセット10から取出され得るように、相互に溶接または別の手段で固定的に接続された水平スプリング板材18、中間板材42および停止板材44(図3参照)を備える着脱可能トレイを形成する。スプリング板材18は、対向する側壁46同士が相互に平行に配置されるように、水平な該スプリング板材18の各縁部から裾部的な様式で下方に延出する4つの側壁46を備える。(図2に示された)カセット10の組み立て状態において、カバー部材12の下方延出側壁24は、スプリング板材18の下方延出側壁46、および、基部トレイ14の上方延出側壁26に対して整列される。特に、カバー部材12の前側および後側の側壁24の下縁部は、スプリング板材18に配置された対応切欠き52内に嵌合的に延出することが意図されたタブ状の垂直突出部50を備えている。このように、カバー部材12の側壁24および挟持ユニット16の側壁46は、簡素な様式で相互に関して固着かつ整列される。上記で論じたように、スプリング板材18の左側および右側の側壁46もまた、カバー部材12のC形状フラップ28が挟持ユニット16を貫通延在して基部トレイ14に接触することを可能とする切欠き34を備える。
【0095】
挟持ユニット16を基部トレイ14上に載置するために、該挟持ユニット16は4本の支持脚部56を備えてなり、その各々は、スプリング板材18の夫々の角隅部に対して取付けられるとともに、そこから本質的に直角にて基部トレイ14に向けて突出する。各支持脚部56は、基部トレイ14の4つの角隅部の各々に配置された支持ポスト60の頂部上に位置すべく構成される。各支持脚部56を支持ポスト60の頂部上に載置することにより、側壁22、46が相互に重ねて面一に整列されるように、挟持ユニット16は、基部トレイ14上に着脱自在に位置決めかつ整列され得る。結果として、挟持ユニット16は、本質的に基部トレイ14に対して平行に配置されるとともに、基部トレイ14に対して所定の垂直距離に位置させる。したがって、基部トレイ14は、付加的な器具を保管すべく使用され得る。この目的のために、上記基部トレイは、図11乃至図13に関して詳細に論じられる多数の支持板材140および捕捉板材68を備える。
【0096】
図2は、閉じ状態における図1のカセット10を示しており、その場合に基部トレイ14およびカバー部材12は、内部に各医療器具が保管される概略的に矩形状の内部空間を画成する堅固で概略的にボックス状の外側ハウジングを形成する。
【0097】
示された実施例において、カバー部材12の下方延出側壁24、および、基部トレイ14の上方延出側壁26は、夫々、上記挟持ユニットの側壁46の頂縁部および底縁部に整列する。
【0098】
カバー部材12は、該カバー部材12に対して取付けられる一対のC形状フラップ28、および、一対のS形状スプリング・ラッチ30を備える。各スプリング・ラッチ30は、それらが公知様式で係止位置および非係止位置の間で枢動し得るように、カバー部材12上に枢動的に取付けられる。係止位置において、各スプリング・ラッチ30は、基部トレイ14の両者の広幅側の側壁26上に形成されたブラケット構造38の下側に係合する。
【0099】
カバー部材12は、その平坦な頂部表面において、4個のD形状切欠き74を備える。これらの切欠き74によれば、それらの中にユーザの指が挿入されて、たとえば、殺菌容器または搬送パッケージからカセット10を取出すことが可能とされる。各D形状切欠き74によれば、何らの取手は必要とされず、重なり合う材料の領域が回避されることから、カセット10の洗浄および殺菌が促進される。
【0100】
図3は、挟持ユニット16を分解図にて示している。挟持ユニット16は、3枚の板材、すなわち、スプリング板材18、中間板材42および停止板材44で構成される。これらの3枚の板材18、42、44は全て、金属もしくは金属合金で作成されるとともに、組み付けられた挟持ユニット16が単一ユニットとしてカセット10に挿入されかつカセット10から取出され得るように、相互に溶接もしくは別の手段で固定的に接続される。スプリング板材18、中間板材42および停止板材44は、挟持ユニット16の4つの角隅部の各々において配置された支持脚部56により、相互に対して所定の垂直距離に保持される。付加的に、中間板材42と停止板材44との間には支持支柱76が位置させることで、挟持ユニット16をさらに強化し、かつ、中間板材42と停止板材44との間の距離を維持する。各支持支柱76は、たとえば溶接により中間板材42に対して固定された上端部78を有するとともに、たとえば溶接により停止板材44に対して固定された下端部80をさらに有する。
【0101】
図4は、スプリング板材18の単独での平面図を示している。この図からは、スプリング板材18が、医療器具を保持するための複数の保持手段19を備えることが明確に看て取れる。これに加え、スプリング板材18は多数の流体循環孔22ならびに貫通孔94を備えてなり、その目的は図8Aおよび図8Bに関して以下に論じられる。スプリング板材18の頂部表面は、挟持ユニット16の上側表面を形成するとともに、該頂部表面は、外科医が、各器具と、スプリング板材18内に収容された各医療器具を使用する順番もしくは順序とを認識することを支援すべくマーク付けされる。医療器具と保持手段19との正しいペアリング(pairing,対合)を確実とすべく絵文字25が配置されるとともに、ライン27は、各器具の使用の順番を表す。各絵文字25および各ライン27は、たとえば、シルク印刷などによりスプリング板材18上に配置され得る。
【0102】
図4および図5A乃至図5Cに最適に示されるように、夫々の医療器具を内部に収容して保持することが意図された保持手段19は、各々、通路40、40'、40"とスプリング要素21、21'、21"とを形成する閉鎖断面を備える開孔20、20'、20"を備える。スプリング板材18における通路40、40'、40"は、本質的に円形であるが、他の実施例において、他の種々の断面、すなわち、楕円形状、矩形状、多角形状などであってもよい。
【0103】
示された実施例において、スプリング要素21、21'、21"は、弾性的な金属舌部126、126'、126"を備える。さらに詳細には、スプリング要素21、21'、21"の舌部126、126'、126"は、取付端部128、128'、128"と、舌部126、126'、126"の反対側の端部に配置された自由端部130、130'、130"とを有している。
【0104】
保持手段19内に器具を保持するために、通路40、40'、40"の断面は、スプリング板材18の平面において、隣接する夫々のスプリング要素21、21'、21"により、付随する該スプリング要素21、21'、21"の変形下でのみ、医療器具が通路40、40'、40"内に挿入される程度まで、制限される。したがって、通路40、40'、40"の断面もしくは直径は、スプリング要素21、21'、21"がその非作動位置に在るときに、医療器具の直径よりも少なくとも僅かだけ小寸である。
【0105】
本実施例において、スプリング要素21、21'、21"は、スプリング板材18と一体片にて一体的に形成される。このように、スプリング要素21、21'、21"とスプリング板材18との間には、細菌、流体、塵埃などが進入し得る接合箇所がなく、さらに良好な洗浄が可能となる。スプリング要素21、21'、21"は、たとえば、水流もしくはレーザによる切断処置によりスプリング板材18を切断することにより調製してもよい。
【0106】
示された実施例において、通路40、40'、40"の断面は、医療器具に接触するための少なくとも3つの接触表面の領域を備える。上記接触表面の領域は、通路40、40'、40"の周縁部に関して相互から離間される。第1の接触表面の領域132、132'、132"は、舌部126、126'、126"の自由端部130、130'、130"の表面により形成されるとともに、通路40、40'、40"の内壁部上には、少なくとも2つのさらなる接触表面の領域134、134'、134"が配置される。上記通路の内壁部により提供される接触表面の領域134、134'、134"は、該接触表面の領域134、134'、134"よりも大きな半径を有する(不図示の)医療器具の円筒状シャフトに接触する凹状円弧である。凹所133、133'、133"は、通路40、40'、40"の回りに、使用に際して医療器具に接触しない領域であって、したがって、医療器具が通路40、40'、40"内に保持されたときでさえも、それを通る洗浄流体の流れを可能にする領域を提供する。図5Aの舌部126により提供される接触表面の領域132もまた凹状であるが、図5B図5Cの舌部126'、126"の接触表面132'、132"は凸状である。
【0107】
スプリング要素21、21'、21"の舌部126、126'、126"の自由端部130、130'、130"に配置された接触表面の領域132、132'、132'は、舌部126、126'、126"の中央長手軸心T、T'、T"から角度的にオフセットされる。さらに詳細には、第1の接触表面の領域132、132'、132"の箇所は、その直交軸心、すなわち該接触表面の平面に対して直交して延在する軸心が、舌部126、126'、126"の長手軸心T、T'、T"に関して約90°の角度に配向されるように設定される。医療器具が、通路40、40'、40"内に挿入されるとともに、特に第1接触表面132、132'、132"と接触されたとき、上記角度は、スプリング要素21、21'、21"が取付端部128、128'、128"に対し、スプリング板材18の平面内で偏向されることを可能とする。スプリング要素21、21'、21"の偏向(および、該スプリング要素がその非作動位置に復帰することを企図するという事実)は、付勢的なスプリング力に帰着し、これにより、医療器具は摩擦嵌合により通路40、40'、40"内に解除可能に保持される。このように、上記付勢的なスプリング力は、医療器具を開孔20、20'、20"内に確実に、但し、解除可能に保持することを可能にする。
【0108】
図5A乃至図5Cに示された種々の実施例は、接触表面の領域132、132'、132'および134、134'、134"、ならびに、非接触表面の領域133、133'、133"の形状および寸法が、夫々の通路40、40'、40"内に保持されるべき医療器具の形状および寸法に対して調節され得ることを例証している。同じことが、舌部126、126'、126"の形状およびサイズに当てはまる。特に、舌部126、126'、126"のスプリング特性、特に屈曲特性は、舌部126、126'、126"の長さ、幅、および/または、厚みを変更することにより調節され得る。
【0109】
図6は、中間板材42を単独で示している。中間板材42は、スプリング板材18と停止板材44との間において、本質的にスプリング板材18に対して平行かつ所定距離に位置させる。中間板材42の主要目的は、スプリング板材18の保持手段19内に保持された医療器具に対する軸心方向案内を提供することである。中間板材42は、スプリング板材18の保持手段19に対して同軸に整列された複数の案内孔92を備える。案内孔92の断面は、スプリング板材18に形成された付随通路40内に保持されるべき医療器具の断面よりも僅かに大寸であるべく調節される。これにより、中間板材42における案内孔92は、挟持ユニット16内への医療器具の挿入の間において、該医療器具に軸心方向案内を提供する。本実施例において、案内孔92は、三角形状の断面を有している。中間板材42はさらに、流体循環孔22を備える。これらの孔は、上記プレートの適切な強度を依然として維持しつつ、特に案内孔92内における器具の近傍において流体の最大の流量を可能とするために、たとえば、円形、正方形、不規則的などの種々の断面を有する。
【0110】
図7は、停止板材44を単独で示している。停止板材44の主要目的は、スプリング板材18における1つの保持手段19を通して挿入された医療器具の端面に当接して担持することが意図された停止表面45、すなわち物理的停止部を提供することである。これにより停止表面45は、当該器具が保持手段19を貫通して過剰に深く挿入されて、たとえば、基部トレイ14上にてスプリング板材18の下方に保管された任意の別の器具に対し、当該器具が接触しもしくはそれを破損することがないことを確実にする。示された実施例において、停止板材44は、スプリング板材18と同一の占有面積を有している。
【0111】
スプリング板材18における保持手段19の下側に配置された停止表面45は、主として、停止板材44の頂部表面84により形成される。
【0112】
但し、いくつかの停止表面45は、停止板材44上に配置されたピン88によっても提供される(図3参照)。さらに詳細には、これらの停止表面45は、付随する通路40の断面に対して整列かつ本質的に平行に配向された個々のピン88の頂部表面90により提供される。したがって、停止板材44の頂部表面84、および、停止ピン88の頂部表面90は、個々の医療器具に対する停止表面45を形成する。このことは、スプリング板材18における各保持手段19に対する停止表面45の距離が、ピン88の高さによって変更することができるという利点を有している。停止ピン88は、停止板材44に対し、溶接箇所31にて溶接される。支持支柱76の取付けのために、停止板材44および中間板材42の両者上には、さらなる溶接箇所33が配置される(図10参照)。
【0113】
停止板材44は、多数の流体循環孔22も備える。中間板材42と同様に、上記孔のいくつかは、不規則的な形状を有している。これらの不規則的な孔29は、停止表面45の回りおよび停止表面45に保持された医療器具の回りの最大の流量を可能にするために配置される。
【0114】
使用に際し、医療器具は、スプリング板材18における保持手段19を通り、中間板材42における関連する案内孔92を通り、そして、停止板材44の頂部表面84、または頂部表面84に固定されたピン88の頂部表面90などの、停止板材44の関連する停止表面45の上に着座する。このように、医療器具は、所定の配向にてカセット10内に確実に保持される(図10Cを参照)。したがって、カセット10が震動もしくは傾斜されたとしても、医療器具は、保持手段19から容易には離脱せず、かつ、該医療器具の取出しを阻害し得る傾斜姿勢を取り得ない。
【0115】
本発明のこの特定の実施例において、中間板材42は、補助停止板材としても機能する。このことは、図10Bおよび図10Cに関してさらに詳細に記述される。
【0116】
示された実施例において、挟持ユニット16は、上述されたように保持手段19を備えるだけでなく、医療器具を保持する付加的な保持手段もさらに備える。さらに詳細には、スプリング板材18は、関連するスプリング要素21を備える開孔20に加え、または、それとは別体的に、多数の貫通孔94を備える。各貫通孔94は、貫通ボア98を有する円筒状延長片96であって、スプリング板材18の下側部に対して溶接もしくは別の手段で接続される円筒状延長片96と整列される。
【0117】
図8Aおよび図8Bにさらに詳細に示されるように、延長片96は、上端部領域に環状突出部104を備える貫通ボア98を有する。上記突出部104は、たとえば、医療器具の外側面上に配置された締着リングなどの対応突出部に対するスナップフィット接合の形成を可能とするアンダカット105を生成する。
【0118】
スプリング板材18、中間板材42および停止板材44は、支持脚部56により相互に接続される。図9は、1つの支持脚部56の断面図を示している。図1に関して上述されたように、各支持脚部56は、基部トレイ14の4つの角隅部の各々に配置された支持ポスト60の頂部上に位置させるべく構成される。図9に示されるように、支持脚部56は、底端部110における中空スペース109を有する。これにより、基部トレイ14の支持ポスト60の先端は上記支持脚部内に挿入されることで、挟持ユニット16を基部トレイ14に対して固定し得る。支持脚部56は、望遠鏡形状、すなわち、基本的な円筒形状を有し、その直径は、底端部110から頂端部112に向けて階段状様式で減少される。支持脚部56の直径の各減少部により、夫々の中間ショルダが形成される。示された実施例において、支持脚部56は3つの段状変化部を有することにより、底端部110の近傍に配置された第1ショルダ114と、支持脚部56の頂端部112の近傍に配置された第2中間ショルダ116および第3ショルダ118とを形成する。
【0119】
図4図6および図7に示されるように、停止板材44、中間板材42およびスプリング板材18の各々は、それらの角隅部の各々における円形の開口120、122、124を備える。支持脚部56の形状と同様に、停止板材44における開口120のサイズは、中間板材42における開口122のサイズより大きく、かつ、該開口122のサイズは、スプリング板材18における開口124より大きい。特に、停止板材44の角隅部における開口120は、底端部110の領域における支持脚部56の直径よりも小寸であるが、第2ショルダ116の領域における支持脚部56の直径よりも大寸である。このように、停止板材44における開口120は、該板材が第1ショルダ114上に着座するまで、支持脚部56上を部分的に通過せしめられ得る。同様に、中間板材42における開口122およびスプリング板材18における開口124のサイズは、挟持ユニット16の組み立て状態において、中間板材42は上記支持脚部の第2中間ショルダ116上に着座し、かつ、スプリング板材18は上記支持脚部の第3ショルダ118上に着座するように設定される。各支持脚部56は、所定位置に溶接されることで、挟持ユニット16を構成する。
【0120】
図10Aは、組立てられた挟持ユニット16の平面図を示し、かつ、図10Bは、図10AのA−A線に沿い挟持ユニット16を通る垂直断面を示している。ここで、水平なスプリング板材18と停止板材44との間に挟持される中間板材42の位置決めが明確に看て取れる。したがって、中間板材42は本質的に、スプリング板材18および停止板材44の両者に対し、平行に、かつ、所定距離に配置される。各支持脚部56の1つも示され、停止板材44は該支持脚部の第1ショルダ114上に着座し、中間板材42は該支持脚部の第2中間ショルダ116上に着座し、かつ、スプリング板材18は該支持脚部56の第3ショルダ118上に着座することが示されている。
【0121】
中間板材42と停止板材44との間には、支持支柱76も視認できる。これに加え、停止ピン88および延長片96が視認可能である。組み立て状態において、スプリング板材18の各側壁46は、中間板材42を囲繞するとともに、停止板材44との概略的な整列に帰着する。
【0122】
断面においては、以下にさらに示されるように、保持手段19の通路40は、中間板材42における案内孔92と、停止板材44の停止表面45とに対して整列することが明確に理解され得る。
【0123】
図10C図10Bの断面を示しており、挟持ユニット16内には医療器具100が収容される。左側から開始すると、第1器具100aは、保持手段19a内に保持されるとともに、中間板材42における案内孔92を貫通する。その前面により、医療器具100aは、停止ピン88の頂部表面90上に着座する。第2医療器具100bは、保持手段19b内に保持されるとともに、その前面を以て、中間板材42の頂部表面上に着座する。したがって、この実施例において、中間板材42は、補助停止板材として作用する。延長片96に対しては、弾性嵌合係合により、第3医療器具100cが保持される。図10Cにおいて示されたさらなる4個の医療器具100d〜100gは、スプリング板材18における保持手段19内に保持されるとともに、中間板材42における案内孔92を貫通し、それらの器具の前面を以て、停止板材44の頂部表面84上に着座する。
【0124】
図11は、カセット10の基部トレイ14を単独で示している。基部トレイ14は、それから当該各支持板材が、実質的に該基部トレイ14に対して直交する方向に突出しかつ一定距離だけ離間されるように、たとえば溶接により該基部トレイ14に対して結着された複数枚の支持板材140を備える。したがって、各支持板材140は、基部トレイ14から延出する垂直リブを形成する。各支持板材140は、当該開孔70内へと医療器具100が横方向に挿入されることで該器具の長手軸心が該支持板材の平面に対して実質的に直交して配向されるように、該支持板材140の頂縁部72、すなわち、基部トレイ14とは離間した方を向く縁部に向けて開放された複数の開孔70を備えている。
【0125】
これに加え、当該各捕捉板材が、基部トレイ14から、基部トレイ14に対して実質的に直交する方向に突出するとともに一定距離だけ離間されるように、たとえば溶接により、基部トレイ14に対して結着された2枚の捕捉板材68が配置される。各捕捉板材68は、医療器具を保持するためのさらなる開孔70と、さらに捕捉手段69とを備える(図13を参照)。支持および捕捉板材140、68は、1枚の板材140、68の開孔70の少なくともいくつかが、近傍の板材140、68の開孔70と整列されるように、基部トレイ14上に配置される。このように、その長手軸心が板材140、68の平面に対して実質的に直交して配向された1つの器具を支持すべく、1枚以上の板材140、68が使用され得る。これにより、上記器具が、その長手軸心に沿って傾斜することが阻止される。各開孔70に関し、これらの開孔70は、サイズおよび形状が必ずしも同一である必要はなく、該開孔内に受容されるべき医療器具のサイズおよび形状に従い、相互から独立して調節され得ることに留意すべきである。
【0126】
各開孔70内に器具を確実に保持するために、係止要素71が配置される。各係止要素71は、ヒンジ144により、基部トレイ14および板材140、68に対して移動可能であるとともに、カセット10に対して接続されることから、係止要素142は、ヒンジ144の軸心の回りでの回動により第1位置から第2位置へと移動することが可能とされる。図11および図12に示された第1位置において、係止要素71は、各開孔70内に保持された医療器具と接触し、または、それの直上に位置させることで、単一もしくは複数の医療器具が板材140、68における各開孔70から離脱することを阻止する。第2位置において、係止要素71は、医療器具100から離間されてから該器具が開孔70から離脱され得るように、ヒンジ144の回りで回動される。
【0127】
上記第1位置において、捕捉板材68の捕捉手段69内には、図13においてさらに詳細に示される係止要素71のラッチ146が保持される。
【0128】
図13において、捕捉板材68は、側面視にて単独で示される。上記捕捉板材68は、複数の器具を支持する開孔70、および、付加的に捕捉手段69を備える。上記捕捉手段は、係止要素71のラッチ146を受容するための通路75を形成する開孔73と、スプリング要素150とを備える。スプリング要素150は、通路75に隣接して位置させるとともに、該スプリング要素は、上記通路の直径を、捕捉板材68の平面内における該スプリング要素150の偏向および/または圧縮時においてのみ、ラッチ146が通路75内に挿入され得る、という程度まで制限する。これにより、スプリング要素150は、ラッチ146に付勢力を付与することで、ラッチ146を通路75内に保持する。捕捉手段69は、係止要素142が、医療器具の取り外しが阻止される第1位置に在るときに、係止要素142のラッチ146を開孔73内に保持すべく設計される。
【0129】
スプリング要素150は、捕捉板材68と一体的に形成された取付端部151と、反対側の自由端部152とを有する舌部の形態である。該舌部の横側部上には、ラッチ146と接触するための接触表面153が形成される。スプリング要素150はさらに、該要素の屈曲機能を高める長手スロット154を備える。
【0130】
これに加え、ラッチ146に対する接触表面を提供するために、通路壁部上には、突起148が形成される。これにより、ラッチ146が通路75内に保持されたときでさえも、該通路を流体が流れることを可能とする非接触の領域149が生成される。
【0131】
前述のように、基部トレイ14は、洗浄流体の良好な循環を可能にするために、流体循環孔22により穿孔される。これらの孔22の大部分は円形である一方、基部トレイ14は、該基部トレイ14内に保持されるべき器具の形状である大寸の切欠き51も備える。これらは、流体循環孔、および、各器具に対する正しい位置をユーザに対して示す視覚的案内部の両方として機能する。
【0132】
代替実施例において、基部トレイ14は、本発明に係る保持手段162を有する垂直スプリング板材160を備えることができる。この垂直スプリング板材および保持手段の例は、図14および図15に示される。
【0133】
図14のスプリング板材は、該板材160の上側部上へと開放された複数の開孔70、164を備える。これらの開孔70のいくつかは、軸心方向の捕捉を提供しないことから、その中に位置された器具に対する支持を提供するのみである。但し、多数の開孔164は、保持手段162の1部を形成する。これらの開孔164は、上記板材を貫通する多数の通路165を形成する。通路165に隣接するのは、スプリング要素167である。これらは、各端に取付端部169を有するブリッジ・スプリングであって、通路165内へと突出することでその断面を制限するブリッジ・スプリングの形態を取る。器具100が通路165内へと挿入されたとき、スプリング要素167は上記板材の横方向へと偏向および/または圧縮されることで、上記器具を保持手段162内に保持する付勢力を提供する。
【0134】
図14のスプリング板材160は、主要実施例の支持板材140および捕捉板材68と同様の様式で基部トレイ14に対して溶接されるとともに、その中に保持された器具に対する直接的な捕捉を提供し得る。代替実施例において、図15のブリッジ・スプリングは、係止要素71のラッチ146と協働すべく調節され得る。
【0135】
代替実施例において、カセット10は、中間板材なしで、スプリング板材および停止板材のみを備える挟持ユニットを備えることができる。この代替的な挟持ユニット16'は、図16乃至図21に示される。
【0136】
挟持ユニット16'は、中間板材なしで、スプリング板材18'および停止板材44'を備える。スプリング板材18'は、上記に記述されたものと同一であることから、該スプリング板材18'の各特定構造を表すべく、スプリング板材18に関して先に記述したのと同一の参照番号が使用されている。特に、スプリング板材18'は、特に図4乃至図5Cに関して先に記述した保持手段19と、特に図8Aおよび図8Bに関して記述したように円筒状延長片96が溶接または別の手段で接続される貫通孔94とを備える。
【0137】
停止板材44'は、図7に示されたものと同様である。各停止表面45'は、スプリング板材18'における保持手段19の下側に配置される。これらは主として、停止板材44'の頂部表面84'により形成される。但し、いくつかの停止表面45'は、停止板材44'上に配置されたピン88'、188、189によっても提供される。さらに詳細には、これらの停止表面45'は、関連する通路の断面に対して整列かつ本質的に平行である個々のピン88'、188、189の頂部表面90'により提供される。したがって、停止板材44'の頂部表面84'、および、停止ピン88'、188、189の頂部表面90'は、種々の医療器具に対する停止表面45'を形成する。このことは、スプリング板材18'における保持手段19までの停止表面45'の距離を、ピン88'、188、189の高さによって変更することができるという利点を有する。
【0138】
図7の停止板材44と比較して、図17の停止板材44'はさらに多数の多様な停止ピンを備える。これらの付加的な停止ピン180、189は、停止ピン88'よりも大きい長さを有するとともに、他の実施例においては中間板材により支持され得る処置具に対する停止表面を提供する。図19および図20は、停止ピン88'、188、189の種々の高さと、これらが種々の長さの器具を支持可能とする様式とを明確に示している。各停止ピン88'、188、189は、保持手段19の下方に配置される。延長片96は上記で論じられた弾性嵌合接続の形態の内蔵式の軸心方向停止部を提供するため、延長片96は各停止ピンに対して整列されない。
【0139】
停止ピン88'、188、189は、溶接箇所31'において停止板材44'に対して溶接される。停止板材44'上には、以下において論じられる支持支柱76'を取付けるためのさらなる溶接箇所33'が配置される。
【0140】
停止板材44'はまた、いくつかが不規則的な形状を有する多数の流体循環孔22'も備える。これらの不規則的な孔29'は、停止表面45'の回りおよび停止表面45'に保持された医療器具の回りの最大の流量を可能にするために配置される。さらに、停止板材44'は、該板材の頂部表面84'上に形成された各停止表面45'の中央に、付加的な流体循環孔222を備える。これらによれば、殺菌流体は、周囲の停止表面45'に当接している医療器具の端部に接触し得る。いくつかの実施例において、器具は、さらに良好な中心合わせおよび安定性のために流体循環孔222に進入させてもよい。停止板材44'の流体循環孔22'、および、スプリング板材18'の流体循環孔22は、相互からオフセットされるが、図18から明らかなように、挟持ユニット16'を貫通する複数の視線を提供する。
【0141】
挟持ユニット16と同様の様式にて、代替的な挟持ユニット16'もまた支持支柱76'を備えるが、この実施例においては、スプリング板材18'と停止板材44'との間に延在する単一の支柱のみが配置される。この支柱76'の下端部80'の取付けのために、停止板材44'上には溶接箇所33が配置される一方、支持支柱76'は、その上端部78'にて、1つの流体循環孔22Aを用いて、スプリング板材18'に溶接される(図18参照)。支持支柱76'は、上記停止板材とスプリング板材との間の正しい距離の維持に役立つ。
【0142】
上記中間板材の省略により、支持脚部56'の設計態様が簡素化される。代替実施例の支持脚部56'は、図21に詳細に示されるとともに、スプリング板材18'および停止板材44'の溶接取付けのために2つのみのショルダを備える。
【0143】
第1実施例の同様の様式で、支持脚部56'は、基部トレイ14の4つの角隅部の各々に配置された支持ポスト60の頂部上に位置決めされるべく構成される。図21から理解されるように、支持脚部56'は、底端部110'において中空スペース109'を有する。これにより、基部トレイ14の支持ポスト60は、上記支持脚部内に挿入されることで、挟持ユニット16'を基部トレイ14に固定することができる。直前の実施例の支持脚部56と対照的に、中空スペース109'は、カセット10内における挟持ユニット16'の正しい位置決めを容易とするために支持ポスト60上への脚部56'の中心合わせを支援すべく、テーパ付けされる。支持脚部56'は望遠鏡形状、すなわち、基本的な円筒形状を有し、その直径は、底端部110'から頂端部112'に向けて階段状様式で減少される。支持脚部56'の直径の各減少部により、夫々の中間ショルダが形成される。示された実施例において、支持脚部56'は2つの段状変化部を有することにより、底端部110'の近傍に配置された第1ショルダ114'と、支持脚部56'の頂端部112'の近傍に配置された第2ショルダ116'とを形成する。
【0144】
図17および図18に夫々示されるように、停止板材44'およびスプリング板材18'は、それらの角隅部の各々において、円形の開口120'、124を備える。支持脚部56'の形状と同様に、停止板材44'における各開口120'のサイズは、スプリング板材18'における各開口124のサイズよりも大きい。特に、停止板材44'の角隅部における開口120'は、底端部110'の領域における支持脚部56'の直径よりも小さいが、第2ショルダ116'の領域における支持脚部56'の直径よりも大きい。このように、停止板材44'における各開口120'は、該板材が第1ショルダ114'上に着座するまで、支持脚部56'上を部分的に通過させることができる。同様に、図19から明らかなように、スプリング板材18'における開口124のサイズは、挟持ユニット16'の組み立て状態において、スプリング板材18'が第2ショルダ116'上に着座するように設定される。支持脚部56'は、所定位置に溶接されて、挟持ユニット16'を構成する。
【0145】
上述された実施例は例示目的のみであり、当業者であれば、各請求項の有効範囲内に収まる代替的な配置構成が可能であることを理解できるであろう。たとえば、カバー板材または水平スプリング板材のようなカセットの他の構成要素上には、垂直なスプリング板材を位置させることができる。カセット内には、たとえば、既存の挟持ユニットの上方に1つ以上のさらなる挟持ユニットを位置させるか、または、挟持ユニットの形状は、基部トレイ内、もしくはその上方に、2つ以上の挟持ユニットを並置して位置させるように変更してもよい。単一もしくは複数の挟持ユニットの構成は多様とすることができ、当然ながら、カセット内においては、水平なスプリング板材を独立的に使用することができる。これに加え、水平なスプリング板材または捕捉手段においては、図15に示される形式のブリッジ・スプリングを使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13
図14-15】
図16
図17
図18
図19
図20
図21