【実施例】
【0102】
以下に、非限定的な例によって本発明をさらに詳細に説明する。
【0103】
実施例1
システイン突然変異体の操作及びカップリング条件
1.1 抗体産生
図2は、IgG1分子の概略図、並びにシステイン残基に突然変異された、トキシンカップリングのためのアミノ酸残基の位置を示す。全ての抗体は、重鎖及び軽鎖をコードする発現ベクターを用いて一過性トランスフェクションによって、真核Expi293細胞(Life Technologies)において産生される(
図3)。Cys置換のための突然変異を有する遺伝子配列はGeneArtによって合成され、エンドヌクレアーゼ及びリガーゼ酵素に基づく標準的な分子クローニング方法によって発現プラスミドに導入される。クローニング実験からの結果を、酵素制限分析及びシークエンシング(GATC Biotech、ドイツ)により確認した。トランスフェクションのために、Expi293細胞をErlenmeyer振とうフラスコ中で、125rpm及び8%のCO
2で、約3.0x10
6細胞/mlの密度まで培養した。DNA及びPEI試薬複合体を2:3の重鎖:軽鎖比を有するOpti−MEM培地中で生成した。培地へのDNA:PEI複合体の添加後、Expi293細胞を24時間インキュベートした。細胞を460g及び室温で15分間遠心分離し、長期生成を確実にするために培地を交換した。細胞生存率をモニターし、4〜6日後に細胞を沈殿させ、タンパク質Aカラム(Tosoh Biosience)を使用してBio−Rad FPLCシステムによって上清からモノクローナル抗体を精製した。凝集体及びエンドトキシンを、PBS、pH7.4を使用してSuperdex S−200ゲル濾過カラム(GE Healthcare)を使用する最終精製(polishing)クロマトグラフィーによって除去した。SDS−PAGE、UV分光法、分析的SEC−HPLC及びエンドトキシンELISAを使用して、抗体を特定した。精製された抗体の典型的な収量は凝集体<1%を有する1リットルの培地あたり約80〜120mgであった。
【0104】
1.2 マレイミド−アマトキシンカップリング
マレイミド−アマトキシン誘導体のコンジュゲーションのために、例えばHDP30.0880及びHDP30.1699、システイン置換を有する抗体を、pH7.4のPBS中の1mMのEDTAで5.0mg/mlに調整し、40eqs.のTCEPによって3時間37℃で還元した。還元された抗体を、pH7.4のPBS中の1mMのEDTAでの2つの連続透析ステップによって精製し、その後、鎖間ジスルフィドを20eqs.のデヒドロアスコルビン酸(dhAA)によって4時間室温で酸化した。置換されたシステインに対するトキシンカップリングを、8〜15eqs.のマレイミド−アマトキシン誘導体を1時間室温で加え、次いで25eqs.のN−アセチル−L−システインで反応をクエンチすることによって行った。アマトキシン−ADCsを、PD−10カラムを使用するゲル濾過クロマトグラフィー又はG−25 Sephadex(登録商標)クロマトグラフィー(GE Healthcare)によって精製した。ADCsの薬物抗体比(DAR)を、抗体及びα−アマニチンの吸光係数を使用して280nm及び310nmでのUV分光法によって決定した。さらに、DARを、ネイティブなLC−MS(
図4(A))及び重鎖/軽鎖LC−MS分析(
図4(B)、4(C))によって決定した。LC−MSによれば、DARはIgGあたり1.8〜2.2個のアマニチンの範囲であり、薬物は重鎖のみに位置している。SDS−PAGE、抗アマニチン抗血清を使用するウェスタンブロッティング、分析的SEC−HPLC、HIC−HPLC及びRP−HPLCによって、ADCsの品質を確認した。ADCsを3.0〜5.0mg/mlに調整し、細胞培養及びイン・ビボモデルでのさらなる使用までpH7.4のPBS中で4℃で保存した。
【0105】
実施例2
6’(6−N−マレイミド−ヘキシル)−α−アマニチン(HDP 30.0880)
ステップ1:1,7−ジメチル−10−オキサ−4−アザトリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカ−8−エン−3,5−ジオン、エキソ異性体(HDP 30.0891)
【0106】
【化3】
【0107】
4.00g(41.2mmol)の2,5−ジメチルフラン及び5.93g(61.7mmol、1.5当量)のマレイミドを30mlのジエチルエーテルに溶解し、Parr反応器中で12時間90℃に加熱した。得られた沈殿物を濾別し、メタノールから再結晶化した:6.62g(83%)結晶融点137℃。
1H NMR(CDCl
3, 500 MHz)δ(ppm):8.68(broad singlet, 1H), 6.31(singlet, J, 2H), 2.88(singlet, 2H), 1.73(singlet, 6H).
13C NMR(CDCl
3, 100 MHz)δ(ppm):175.04, 140.82, 87.68, 53.77, 15.76.
【0108】
ステップ2:4−(6−ブロモヘキシル)−1,7−ジメチル−10−オキサ−4−アザトリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカ−8−エン−3,5−ジオン、エキソ異性体(HDP 30.0916)
【0109】
【化4】
【0110】
386mg(2mmol)のHDP 30.0891及び1.952g(8mmol)の1,6−ジブロモヘキサンを20mlのDMFに溶解し、276mg(2mmol)の炭酸カリウムを添加し、懸濁液を50℃に3時間加熱した。その後DMFを蒸発させ、残渣を100mlのジクロロメタンに取った。無機塩を濾過により除去し、珪藻土(3g)を濾液に加え、溶媒を真空下で除去した。n−ヘキサン−酢酸エチルの勾配で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーによって残渣を精製して、HDP 30.0916(483 mg)を蝋状結晶として68%の収率で得た。
1H NMR(500 MHz, CDCl
3)δ(ppm)6.31(s, 2H), 3.48(t, J=7.2 Hz, 2H), 3.39(t, J=6.8 Hz, 2H), 2.81(s, 1H), 1.90-1.77(m, 2H), 1.70(s, 5H), 1.64-1.52(m, 2H), 1.44(dddd, J=9.2, 7.4, 6.5, 5.4 Hz, 2H), 1.35-1.23(m, 2H).
13C NMR(126 MHz, CDCl
3)δ 174.81, 140.81, 87.52, 52.33, 38.42, 33.65, 32.50, 27.54, 27.33, 25.64, 15.87.
【0111】
ステップ3:6´−(6−(1,7−ジメチル−10−オキサ−4−アザトリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカ−8−エン−3,5−ジオン−4−イル−ヘキシル)−α−アマニチン(HDP 30.0903)
【0112】
【化5】
【0113】
アルゴン下及び室温で34.5mg(37.5μmol)の真空乾燥したα−アマニチンを1000μlの乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。HDP 30.0916(106.8mg、8当量)及び1Mの水酸化ナトリウム(41.2μl、1.1当量)を添加した。室温で3時間後、反応混合物を、41.2μlのDMSO中の1M酢酸溶液でpH=5に酸性化した。溶媒を真空中で除去し、残渣を5〜100%メタノールからの勾配を用いてC18カラムでの分取HPLCに供した。生成物を含有する画分を蒸発させて、27.2mg(59%)のHDP 30.0903を白色固体として得た。
MS(ESI
+)1194.17 [M+H]
+, 1216.10 [M+Na]
+
【0114】
ステップ4:6´−(6−N−マレイミド−ヘキシル)−α−アマニチン(HDP 30.0880)
【0115】
【化6】
【0116】
HDP 30.0903(27.2mg、22.7μmol)を3000μlの乾燥ジメチルスルホキシドに溶解した。反応混合物を撹拌しながら1.5時間100℃に加熱した。40℃に冷却後、DMSOを真空中で除去し、残渣を上述の方法で分取HPLCによって精製した。
【0117】
17.3〜18.1分の保持時間を有する画分を集め、溶媒を蒸発させた。残渣を3mlのtert−ブタノールから凍結乾燥して、23.6mg(94%)のHDP 30.0880をオフホワイトの粉末として得た。
MS(ESI
+)1098.29 [M+H]
+, 1120.36 [M+Na]
+
【0118】
実施例2の方法を当業者に明らかな変更と共に使用することによって、以下の例を調製した。
【0119】
【表1】
【0120】
実施例15
6´−O−(6−(6−(N−マレイミド)−ヘキサンアミド)ヘキシル)−α−アマニチン(HDP 30.1948)
【0121】
【化7】
【0122】
10.0mg(8.83μmol)の6´−O−(−6−アミノヘキシル)−α−アマニチン(HDP 30.0134、欧州特許出願公開第2621536号明細書に開示されたように合成した)を、400μlの乾燥DMFに溶解し、その後DMF中の20mMの6−(マレイミド)ヘキサン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(EMCS)の663μl、及びDMF中の1MのDIPEAの17.7μlを添加した。室温で5時間後、100μlの水を反応混合物に添加し、揮発物を蒸発させた。
粗生成物を水−メタノール勾配でのRP18 HPLCによって精製し、純粋画分をt−ブタノール/水から凍結乾燥した:9.02mg(84%)HDP 30.1948、無色粉末として。
MS(ESI
+) found:1210.99; calc.:1211.54 [MH]
+(C
55H
79N
12O
17S)
found:1233.32; calc.:1233.52 [M+Na]
+(C
55H
78N
12NaO
17S)
【0123】
実施例16
6´−O−(6−(N−α−マレイミド)−L−2,3−ジアミノプロパンアミド)ヘキシル)−α−アマニチン(HDP 30.1958)
【0124】
【化8】
【0125】
ステップ1:700μlのDMF中の8.22mg(17.66μmol=2当量)のMal−L−Dap(Boc)−OH x DCHAに、DMF中の1MのDIPEAの17.7μlを添加し、その後9.19mg(17.66μmol=2当量)のPyBop及び6.01μl(35.33μmol=4当量)のDIPEAを添加した。1分後、混合物を、200μlの乾燥DMFで溶解した10.0mg(8.83μmol)の6´−O−(−6−アミノヘキシル)−α−アマニチン(HDP 30.0134)に加えた。室温で2時間後、100μlの水を反応混合物に添加し、揮発物を蒸発させた。粗生成物をRP18 HPLCにより精製し、純粋画分を蒸発させた:5.45mg(48%)HDP 30.1954、非晶質固体として。
MS(ESI
+) found:1306.58; calc.:1306.54 [M+Na]
+(C
57H
81N
13NaO
19S)
【0126】
ステップ2:Boc−保護されたステップ1生成物を1mlのトリフルオロ酢酸に溶解した。2分後、混合物を室温で蒸発乾固した。メタノールに対する0.05%TFAの勾配でRP18 HPLCによって残渣を精製し、純粋画分を蒸発させた:1.72mg(31%)HDP 30.1958、非晶質固体として。
MS(ESI
+) found:1306.58; calc.:1184.50 [M+Na]
+(C
52H
74N
13O
17S)
【0127】
実施例17
6´−O−(2−ブロモアセトアミド)ヘキシル)−α−アマニチン(HDP 30.1619)
【0128】
【化9】
【0129】
400μlの乾燥DMFに溶解した、5.03mg(4.44μmol)の6´−O−(−6−アミノヘキシル)−α−アマニチン(HDP 30.0134)に、その後DMF中の100mMのブロモ酢酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステルの66.6μl、及びDMF中の100mMのDIPEAの88.8μlを添加した。室温で3時間後、50μlの水を添加し、反応混合物を10mlのメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)に滴下した。沈殿物を遠心分離により単離し、10mlのMTBEで洗浄した。粗生成物を水−メタノール勾配でRP18 HPLCによって精製し、純粋画分をt−ブタノール/水から凍結乾燥した:3.70(73%)HDP 30.1619、無色粉末として。
MS(ESI
+) found:1139.58; calc.:1138.39 [M+H]
+(C
47H
69BrN
11O
15S)
found:1160.42; calc.:1160.37 [M+Na]
+(C
47H
68BrN
11NaO
15S))
【0130】
実施例18
6´−O−(2−ブロモアセトアミド)プロピル)−α−アマニチン(HDP 30.1618)
【0131】
【化10】
【0132】
欧州特許出願公開第2621536号明細書に開示された、6´−O−(−3−アミノプロピル)−α−アマニチンへの実施例16からの方法の適用により、ブロモアセトアミドHDP 30.1618を合成した:
MS(ESI
+) found:1096.22; calc.:1096.34 [MH]
+(C
44H
63BrN
11O
15S)
found:1118.45; calc.:1118.32 [M+Na]
+(C
44H
62BrN
11NaO
15S)
【0133】
実施例19
6’−[6−(6−(4−(5−(メチルスルホニル)−1,2,4−オキサジアゾール−2−イル)−フェニルオキシ)ヘキシルアミノカルボニル)−アミノヘキシル)]−α−アマニチン(HDP 30.1926)
【0134】
【化11】
【0135】
メチルスルホニル−1,2,4−オキサジアゾールリンカーを、Todaらによって、Angew.Chem.Int.Ed.2013,52,12592 -12596に開示された方法の変化法によって合成した。
【0136】
ステップ1:1−アジド−6−ブロモヘキサン
【0137】
【化12】
【0138】
1,6−ジブロモヘキサン(7.32g、30mmol)を、60mlのDMF中のアジ化ナトリウム(1.95mg、30mmol)と一晩撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を100mlの酢酸エチルと5分間撹拌した。無機塩を濾別し、ヘキサン中の0〜20%ジクロロメタン勾配でのシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、モノアジドをジブロミド及びジアジドから分離して、2.26g(37%)の生成物を、油状物として得た。
1H NMR(500 MHz, CDCl
3)δ 3.42(t, J=6.7 Hz, 2H), 3.28(t, J=6.9 Hz, 2H), 1.88(dt, J=14.6, 6.8 Hz, 2H), 1.62(dt, J=14.3, 7.0 Hz, 2H), 1.53-1.36(m, 4H).
13C NMR(126 MHz, CDCl
3)δ 51.43, 33.80, 32.67, 28.82, 27.81, 26.03.
【0139】
ステップ2:エチル 4−[(6−アジドヘキシル)オキシ]ベンゾエート(HDP 30.1897)
【0140】
【化13】
【0141】
DMF(40mL)中のステップ1生成物(4.122g、20mmol)の溶液に、室温で4時間、エチル 4−ヒドロキシベンゾエート(3.324g、20mmol)及びK
2CO
3(5.528g、40mmol)を添加した。次に、反応混合物を、200mlのMTBE及び200μlの水で希釈した。有機層を分離し、3x100mlの水で洗浄し、乾燥(MgSO4)及び蒸発乾固させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/MTBE)によって精製して、表題化合物(5.199g、89%)を、無色の油状物として得た。
MS(ESI
+) found:314.33; calc.:314.15 [M+Na]
+(C
15H
21N
3NaO
3)
【0142】
ステップ3:4−[(6−アジドヘキシル)オキシ]ベンゾイルヒドラジド(HDP 30.1899)
【0143】
【化14】
【0144】
エタノール(9.0mL)中のステップ2生成物(5.19g、17.8mmol)の溶液に、ヒドラジン一水和物(1459μL、30mmol)を室温で添加し、次に混合物を22時間還流下で撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンからジクロロメタン/酢酸エチル/メタノール6:3:1勾配)によって精製して、ベンゾイルヒドラジド誘導体HDP 30.1899(1.08g、22%)を、無色の固体として得た。
MS(ESI
+) found:278.27; calc.:278.16 [M+H]
+(C
13H
20N
5O
2)
【0145】
ステップ4:5−[4−((6−アジドヘキシル)オキシ)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−チオール(HDP 30.1903)
【0146】
【化15】
【0147】
エタノール(10.0mL)中のベンゾイルヒドラジド誘導体(1.08g、3.89mmol)の溶液に、二硫化炭素(1552μL、25.68mmol)及び粉末KOH(218mg、3.89mmol)を室温で添加し、次に溶液を85℃で3時間撹拌した。酢酸エチル及び1MのHClを溶液に添加した。有機層を飽和重炭酸ナトリウム及びブライン(brine)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)によって精製して、表題化合物HDP 30.1903(1.18g、95%収率)を、無色の固体として得た。
【0148】
ステップ5:5−[4−((6−アジドヘキシル)オキシ)フェニル]−5−(メチルスルファニル)−1,3,4−オキサジアゾール(HDP 30.1905)
【0149】
【化16】
【0150】
THF(15ml)中のステップ4のチオール(1.18g、3.69mmol)の溶液に、ヨウ化メチル(257μL、4.13mmol)及びトリエチルアミン(625μl、4.51mmol)を0℃で添加した。次に、混合物を1時間室温で撹拌した。次に水(50ml)及び酢酸エチル(100ml)を添加し、混合物を10%のチオ硫酸ナトリウム溶液(10ml)で脱色した。有機層を分離し、ブライン(50ml)で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させた。濾過後、有機溶媒を真空中で除去し、残渣をヘキサン/MTBEを用いてシリカゲルで精製して、表題化合物HDP 30.1905(1.03mg、84%収率)を、白色固体として得た。
MS(ESI
+) found:334.27; calc.:334.13 [M+H]
+(C
15H
20N
5O
2S)
found:356.29; calc.:356.12 [M+Na]
+(C
15H
19N
5NaO
2S)
【0151】
ステップ6:5−[4−((6−アジドヘキシル)オキシ)フェニル]−5−(メチルスルホニル)−1,3,4−オキサジアゾール(HDP 30.1910)
【0152】
【化17】
【0153】
ジクロロメタン(100mL)中のステップ5生成物(1.00g、3.00mmol)の溶液に、mCPBA(68wt%、2.79mg、3.66mmol)を0℃で添加し、次に混合物を24時間室温で撹拌した。硫酸マグネシウムを添加し、不溶性物質を濾過により除去し、溶媒を真空中で除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/MTBE)によって精製して、表題化合物HDP 30.1910(858mg、78%)を得た。
MS(ESI
+) found:366.00; calc.:366.12 [M+H]
+(C
15H
20N
5O
4S)
found:388.19; calc.:388.11 [M+Na]
+(C
15H
19N
5NaO
4S)
【0154】
ステップ7:5−[4−(((6−スクシンイミジルオキシカルボニルアミノ)ヘキシル)オキシ)フェニル]−5−(メチルスルホニル)−1,3,4−オキサジアゾール(HDP 30.1916)
【0155】
【化18】
【0156】
酢酸エチル(100ml)中のステップ6生成物(370mg、1.01mmol)の溶液に、N,N’−ジスクシンイミジルカーボネート(519mg、2.02mmol)を添加した。この装置をアルゴンでパージし、パラジウム(活性炭上10%)を添加し、その後、一晩水素雰囲気下で撹拌した。濾過及び蒸発後、粗生成物を、酢酸エチルに対するヘキサンの勾配を用いてシリカゲルで精製した。純粋画分を合わせ、1,4−ジオキサンから凍結乾燥して、スクシンイミジルカルバメートHDP 30.1916(280mg、58%)を、無色の粉末として得た。
MS(ESI
+) found:481.10; calc.:481.14 [M+H]
+(C
20H
25N
4O
8S)
1H NMR(500 MHz, CDCl
3)d 8.08-8.01(m, 2H), 7.06-6.99(m, 2H), 5.57(t, J=5.9 Hz, 1H), 4.05(t, J=6.4 Hz, 2H), 3.51(s, 3H), 3.28(q, J=6.8 Hz, 2H), 2.83(s, 4H), 1.88-1.77(m, 2H), 1.67-1.39(m, 6H).
13C NMR(126 MHz, CDCl
3)d 170.05, 166.73, 163.11, 161.53, 151.44, 129.68, 115.28, 114.03, 68.14, 42.98, 41.90, 29.39, 28.85, 26.23, 25.55, 25.47.
【0157】
ステップ8:6’−[6−((6−((4−(5−(メチルスルホニル)−1,2,4−オキサジアゾール−2イル)フェニル)オキシ)ヘキシル)−アミノカルボニルアミノ)ヘキシル]−α−アマニチン(HDP 30.1926)
【0158】
【化19】
【0159】
500μlの乾燥DMF中に溶解した、10.0mg(8.83μmol)の6´−O−(−6−アミノヘキシル)−α−アマニチン(HDP 30.0134、欧州特許出願公開第2621536号明細書に開示されたように合成した)に、その後500μlのDMFに溶解した8.49mg(17.66μmol)、及び6.01μl(35.33μmol)のDIPEAを添加した。室温で18時間後、揮発物を蒸発させた。粗生成物を水−メタノール勾配を用いてRP18 HPLCにより精製し、純粋画分をt−ブタノール/水から凍結乾燥した:7.04mg(58%)HDP 30.1926、無色の粉末として。
MS(ESI
+) found:1383.62; calc.:1383.57 [MH]
+(C
61H
87N
14O
19S
2)
found:1405.54; calc.:1405.55 [M+Na]
+(C
61H
86N
14NaO
19S
2)
【0160】
実施例20
6’−[(3−マレイミドプロパンアミド)−Ahx−Val−Cit−PAB]−α−アマニチン(HDP 30.1426)
ジペプチドp−アミノベンジルブロミドを、Jeffreyらにより、J.Med.Chem.2005、48、1344−1358に開示された方法の適合によって、対応するベンジルアルコールから合成した。一般的な手順は以下のスキームによって例示される。
【0161】
【化20】
【0162】
ステップ1:Boc−Ahx−Val−Cit−PAB−OH(HDP 30.1267)
バリン−シトルリン−p−アミノベンジルアルコール(H−Val−Cit−PAB−OH)及びN−Boc−アミノカプロン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(Boc−Ahx−NHS)の調製は、Firestoneらによって米国特許第6,214,345号明細書に開示されている。この方法によって、粗H−Val−Cit−PAB−OHを、4.79g(7.96mmol)Fmoc−Val−Cit−PAB−OHから調製し、50mlのDMFに溶解した。Boc−Ahx−NHS(2.88g、8.76mmol)及び1489μl(8.76mmol)のN−エチルジイソプロピルアミンを添加し、室温で一晩撹拌した。DMFの蒸発後、残渣を100mlのMTBEと共に一晩撹拌し、固体を遠心分離により単離した。ペレットをMTBEに再懸濁し、再び遠心分離した。生成物を真空乾燥して、4.44g(94%収率)のわずかに茶色がかった粉末を得た。
MS(ESI
+) found:615.19; calc.:615.35 [M+Na]
+(C
29H
48N
6NaO
7)
【0163】
ステップ2:Boc−Ahx−Val−Cit−PAB−OTBDMS(HDP 30.1362)
ステップ1生成物(4.44g、7.49mmol)を20mlのDMFに溶解し、6.37μl(37.45mmol)のN−エチルジイソプロピルアミン及び3.39g(22.47mmol)のtert−ブチルジメチル−クロロシラン(TBDMSCl)を添加した。3時間後、DMFを蒸発させ、残渣を120mlの酢酸エチル/メタノール5:1と100mlの0.2Mクエン酸との間に分配した。有機層を水及び飽和重炭酸ナトリウムで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮した。粗生成物をジクロロメタン中の0〜10%メタノールの勾配を用いて120gシリカゲルから溶離した。純粋画分を合わせ、蒸発させて、2.50g(47%)の生成物を固体として得た。
MS(ESI
+) found:729.29; calc.:729.43 [M+Na]
+(C
35H
62N
6NaO
7Si)
【0164】
ステップ3:Boc−Ahx−Val−Cit(SEM)−PAB−OTBDMS(HDP 30.1368)
THF(40mL)中のステップ2生成物(2.50mg、3.546mmol)の溶液に、NaH(鉱油中の60%分散液の142mg、3.546mmol)を添加した。15分後、純粋な(neat)2−(トリメチルシリル)−エトキシメチルクロリド(SEMCl)(703μl、3.546mmol)を添加し、反応混合物を8時間撹拌した。珪藻土(10g)を反応混合物に加え、揮発物を減圧下で除去した。残りの固体をシリカゲルカラムのトップに適用し、ジクロロメタン中の0〜10%メタノールの勾配を用いて溶離した。純粋画分を合わせ、蒸発させて、非晶質表題化合物の637mg(21%)を得た。
MS(ESI
+) found:859.34; calc.:859.52 [M+Na]
+(C
41H
76N
6NaO
8Si
2)
【0165】
ステップ4:Boc−Ahx−Val− Cit(SEM)−PAB−OH(HDP 30.1370)
THF(20mL)中のステップ3生成物(567mg、0.677mmol)の溶液に、TBAF(833μLの1.0M溶液、0.833mmol;1.2当量)を添加した。1時間後、珪藻土(1.5g)を反応混合物に加え、揮発物を減圧下で除去した。残りの固体をシリカゲルカラムのトップに適用し、クロロホルム中の0〜10%メタノールの勾配を用いて溶離した。純粋画分を合わせ、蒸発させて、279mg(57%)の生成物を白色固体として得た。
MS(ESI
+) found:745.28; calc.:745.43 [M+Na]
+(C
35H
62N
6NaO
8Si)
【0166】
ステップ5:Boc−Ahx− Cit(SEM)−PAB−Br(HDP 30.1381)
ジクロロメタン(5mL)中のステップ4生成物(100mg、139μmol)の溶液に、トリフェニルホスフィン(73mg、2当量)を添加し、次いで四臭化炭素(92mg、2当量)を添加した。1時間後、珪藻土(1g)を反応混合物に加え、揮発物を減圧下で除去した。ジクロロメタン中の0〜10%メタノールの勾配を用いて12gシリカゲルから溶離して、表題生成物の61mg(56%)を油状物として得る。
MS(ESI
+) found:807.15/809.17; calc.:807.35/809.34 [M+Na]
+(C
35H
61BrN
6NaO
7Si)
【0167】
ステップ6:6’−[Boc−Ahx− Cit(SEM)−PAB]−α−アマニチン(HDP 30.1383)
【0168】
【化21】
【0169】
アルゴン下及び室温で、44mg(47.9μmol)の真空乾燥したα−アマニチンを1000μlの乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。ステップ5生成物(61mg、78.1μmol)及び1M水酸化ナトリウム(52.7μl、1.1当量)を添加した。室温で4時間後、反応混合物をDMSO中の1M酢酸溶液の52.7μlでpH=5に酸性化した。溶媒を真空中で除去し、残渣を、5〜100%メタノールからの勾配を用いてC18カラム上で分取HPLCによって精製した。生成物含有画分を蒸発させて、25.1mg(32%)のHDP 30.1383を無色の固体として得た。
MS(ESI
+) found:1646.40; calc.:1645.77 [M+Na]
+(C
74H
114N
16NaO
21SSi)
【0170】
ステップ7:6’−[H−Ahx− Cit−PAB]−α−アマニチン(HDP 30.1388)
【0171】
【化22】
【0172】
Boc−及びSEM−保護されたステップ6生成物(18.4mg、11.3μmol)を2mlのトリフルオロ酢酸に溶解した。2分後、混合物を室温で蒸発乾固し、2mlの水に再溶解し、3.2%アンモニアを用いてpH10に滴下調整した。得られた懸濁液を凍結乾燥し、0.05%TFA中の5〜100%メタノールの勾配を用いてRP18 HPLCに適用し、純粋画分を蒸発させ、2mlの水から凍結乾燥した:12.1mg(71%)HDP 30.1388、無色粉末。
MS(ESI
+) found:1393.42; calc.:1393.66 [M+H]
+(C
63H
93N
16O
18S)
【0173】
ステップ8:
【0174】
【化23】
【0175】
500μlの乾燥DMFに溶解した、9.98mg(6.62μmol)のステップ7生成物に、その後500μlのDMF中の5.29mg(19.86μmol)3−(マレイミド)プロパン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(BMPS)、及び3.38μl(19.86μl)のDIPEAを加えた。室温で2時間後、100μlの水を反応混合物に添加し、揮発物を蒸発させた。粗生成物を水−メタノール勾配を用いてRP18 HPLCによって精製し、純粋画分をt−ブタノール/水から凍結乾燥した:5.43mg(53%)の表題生成物6’−[(3−マレイミドプロパンアミド)−Ahx−Cit−PAB]−α−アマニチン、無色の粉末として。
MS(ESI
+) found:1544.25; calc.:1544.68 [M+H]
+(C
70H
98N
17O
21S)
found:1566.44; calc.:1566.67 [M+Na]+(C
70H
97N
17NaO
21S)
【0176】
実施例21
6’−[H−Val−Ala−PAB]−α−アマニチン(HDP 30.1702)
【0177】
【化24】
【0178】
出発物質としてH−Val−Ala−PAB−OHを用いて実施例20のステップ1〜7の方法を繰り返すことによって、表題物質を無色の粉末として得た:
MS(ESI
+) found:1194.58; calc.:1194.53 [M+H]
+(C
54H
76N
13O
16S)
found:1216.75; calc.:1216.51 [M+Na]
+(C
54H
75N
13NaO
16S)
【0179】
出発物質H−Val−Ala−PAB−OHは、ペプチド化学における一般的な方法で調製することができ、Howardらにより米国特許出願公開第2011/0256157号明細書に例示されている。
【0180】
実施例22
6’−((3−マレイミドプロパンアミド)−Val−Ala−PAB)−α−アマニチン(HDP 30.1699)
【0181】
【化25】
【0182】
実施例21からの6’−[H−Val−Ala−PAB]−α−アマニチンを用いて実施例20のステップ8の方法を使用することによって、表題物質を81%収率で、無色の粉末として得た:
MS(ESI
+) found:1345.48; calc.:1345.55 [MH]
+(C
61H
81N
14O
19S)
found:1368.17; calc.:1367.53 [M+Na]
+(C
61H
80N
14NaO
19S)
【0183】
実施例23
6´−O−[((N−α−マレイミド)−L−2,3−ジアミノプロパンアミド)−Val−Ala−PAB] −α−アマニチン(HDP 30.1957)
【0184】
【化26】
【0185】
実施例21からの6’−[H−Val−Ala−PAB]−α−アマニチンを用いて実施例16の方法を使用することによって、表題物質を39%収率で、無色の粉末として得た:
MS(ESI
+) found:1345.48; calc.:1360,56(C
61H
82N
15O
19S)
【0186】
実施例24
6’−((2−ブロモアセトアミド)−Val−Ala−PAB)−α−アマニチン(HDP 30.1704)
【0187】
【化27】
【0188】
実施例21からの6’−[H−Val−Ala−PAB]−α−アマニチンを用いて実施例17の方法を使用することによって、表題物質を26%収率で、無色の粉末として得た:
MS(ESI
+) found:1314.28; calc.:1314.45 [M+H]
+(C
56H
77N
13O
17S)
found:1336.39; calc.:1336.43 [M+Na]
+(C
56H
76N
13NaO
17S)
【0189】
実施例25
6’−((6−(4−(5−(メチルスルホニル)−1,2,4−オキサジアゾール−2−イル)−フェニルオキシ)ヘキシルアミノカルボニル)−Val−Ala−PAB)−α−アマニチン(HDP 30.1917)
【0190】
【化28】
【0191】
実施例21からの6’−[H−Val−Ala−PAB]−α−アマニチンを用いて実施例19の方法を使用することによって、表題物質を44%収率で、無色の粉末として得た:
MS(ESI
+) found:802.63 calc.:802.30 [M+2Na]
2+(C
70H
94N
16Na
2O
21S
2)
【0192】
実施例26
6’−((6−(4−(5−(メチルスルホニル)−1,2,4−オキサジアゾール−2−イル)−フェニルオキシ)ヘキシルアミノカルボニル)−Ahx−Val−Ala−PAB)−α−アマニチン(HDP 30.1930)
【0193】
【化29】
【0194】
シトルリンのアラニンへの置換を伴う実施例19のステップ1〜7の方法によって調製された6’−[H−Ahx−Val−Ala−PAB]−α−アマニチンを用いて実施例19の方法を使用することによって、表題物質を37%収率で、無色の粉末として得た:
MS(ESI
+) found:859.02; calc.:858.85 [M+2Na]
2+(C
76H
105N
17Na
2O
22S
2)
【0195】
実施例27
6´−O−[3−(5−ニトロ−ピリジン−2−イルジスルファニル)プロピル)]−α−アマニチン HDP 30.0951
ステップ1:6´−O−(3−S−トリチルスルファニル−プロピル)−α−アマニチン HDP 30.0517
【0196】
【化30】
【0197】
アルゴン下で46mg(50μmol)の真空乾燥したα−アマニチンを2500μlの乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。3−(S−トリチル)−メルカプトプロピル−1−ブロミド(159mg、8当量)を添加し、次いで1M水酸化ナトリウム溶液の60μlを添加した。室温で1.5時間後、反応混合物をDMSO中の1M酢酸の50μlでpH=5に酸性化し、溶媒を蒸発させる。残渣を200μlのメタノールに溶解し、10mlのtert−ブチルメチルエーテル(MTBE)を満たした遠心管に滴下した。得られた沈殿物を0℃に10分間冷却し、遠心分離(4000xg)によって単離し、その後10mlのMTBEで洗浄した。上清を捨て、ペレットを750μlのメタノールに溶解し、C18カラム(250x21.2mm、Luna RP−18、10μm、100Å)上で分取HPLCで3部分に精製した。溶媒A:水、溶媒B:メタノール;勾配:0分5%B;5分5%B;20分100%B;25分100%B;27分5%B、35分5%B;流量30ml/分。21.1〜21.8分の保持時間を有する画分を集め、溶媒を蒸発させて、36.5mg(59%)HDP 30.0517を、無色の固体として得た。
MS(ESI+)1234.8 [M+H]
+, 1257.3 [M+Na]
+
【0198】
ステップ2:6´−O−[3−(5−ニトロ−ピリジン−2−イルジスルファニル)プロピル)]−α−アマニチン HDP 30.0951
【0199】
【化31】
【0200】
ステップ1生成物(5.00mg、4.05μmol)に、200μlのトリフルオロ酢酸に溶解した2,2’−ジチオビス(5−ニトロピリジン),DTNP(6.28mg、5当量)を添加した。4分後、揮発物を留去し、残渣を1000μlのメタノールと共蒸発させた。粗生成物をステップ1と同様にHPLC精製した。18.46〜19.28分の保持時間を有する画分を集め、溶媒を蒸発させ、残渣を2mlのtert−ブタノールから凍結乾燥して、2.99mg(64%)のHDP 30.0951をわずかに黄色がかった固体として得た。
MS(ESI
+)1146.97 [M+H]
+, 1169.17 [M+Na]
+
【0201】
実施例28
図5〜14に至る実験設定
BrdU取り込みに基づく細胞生存率アッセイ(
図11、12、13)
抗原発現腫瘍細胞株に対する化合物の影響を評価するために、2500細胞/ウェルを90μlの培地に播種した。翌日、異なる濃度の抗体−薬物コンジュゲートを含む10μlの培地を加えた。BrdU取り込みアッセイ(Cell Proliferation ELISA、BrdU、Roche)を、薬物曝露の72時間又は96時間後に実施した。化学発光を、FLUOstar Optima化学発光計(BMG LABtech)を使用して測定した。各化合物についてのEC
50値を、Graphpad Prism 4.0ソフトウェアを用いたシグモイド用量反応曲線分析によって決定した。
【0202】
WST−Iに基づく細胞増殖アッセイ(
図8)
Fcg−受容体発現THP−1細胞に対する化合物の影響を評価するために、2500細胞/ウェルを90μlの培地に播種した。翌日、異なる濃度の抗体−薬物コンジュゲートを含む10μlの培地を加えた。薬物適用の96時間後、10μlの細胞増殖剤WST−1(Roche)を各ウェルに加えた。さらに4時間〜24時間のインキュベーション後、440nm/660nmでの吸光度を、FLUOstar Optima化学発光計(BMG LABtech)を使用して決定した。各化合物のEC
50値を、Graphpad Prism 4.0ソフトウェアを使用してシグモイド用量反応曲線分析によって決定した。
【0203】
細胞表面結合アッセイ(
図6)
1x10
6抗原発現腫瘍細胞を含むPBS中の100μlの細胞懸濁液を、0.1〜50μg/mlの抗体又は抗体−薬物コンジュゲートと共に、又はそれらを含まずに、30分間4℃でインキュベートした。検出のために、ヤギ抗ヒトIgG(H+L)−Alexa Fluor 488 F(ab’)
2−フラグメント(Dianova)を使用した。固定した染色細胞を、BD FACScan装置でFACSによって分析した。試料の平均蛍光強度をBD CellQuest Proソフトウェアを使用して計算し、対照試料値を差し引いた際のIgG濃度に対してプロットして、結合曲線を得た。
【0204】
クマシーブルー染色でのSDS−PAGE及びウェスタンブロッティング(
図7)
抗体及び抗体−薬物コンジュゲートを、標準的な方法に従ってアマニチンペイロード(payload)の還元及び非還元SDS−PAGE、次いでクマシーブルー染色、又はウェスタンブロット検出によって分析した。検出のために、タンパク質にコンジュゲートしたアマニチン及びアマニチン−リンカー化合物の検出を可能にする、ポリクローナルウサギ血清を使用した。
【0205】
マウス忍容性及び有効性実験(
図9、14)
10%を超えない個々の体重減少を引き起こす用量として定義される、最大耐用量(MTD)を、抗体−薬物コンジュゲートの単一静脈内用量について評価した。異種移植モデルについて、240μlの培地に懸濁した5x10
6個の腫瘍細胞(早期継代数)を、7〜8週齢の雌NMRIヌードマウス(Janvier)の右脇腹に皮下注射した。腫瘍が100〜200mm
3の平均体積に達したら、動物を、1つの群当たり8匹の動物の処置群に無作為に割り当てた。単回静脈内投与処置を全ての動物に適用した。エンドトキシン濃度<1EU(エンドトキシン単位)/mgタンパク質を、Endosafe−PTSシステム(Charles River)を使用することによってイン・ビボの実験に使用した全てのバッチについて実証した。適用量は10ml/kg体重であり、PBSをビヒクル対照として使用した。腫瘍増殖をキャリパー(caliper)で測定し、腫瘍体積を以下の式を用いて計算した。
Tvol=(大径(larger diameter)×(小径(smaller diameter))
2×0.5)
マウスを、瀕死状態の時又は示された時点で、CO
2吸入によって屠殺した。全ての動物実験は、ドイツの動物福祉基準(German animal welfare standards)(GV−SOLAS)に従って行われ、責任ある委員会(Regierungsprasidium Karlsruhe、Referat 35)によって承認されている。統計分析をPrismソフトウェア(GraphPad Software、Inc.)及び1−Way ANOVAを使用して行った。
【0206】
以下の表1は、異なるHer2−アマニチン−ADCsの治療指数を示す。
【0207】
【表2】
【0208】
カニクイザル(Cynomolgus monkey)忍容性試験(
図10)
非ヒト霊長類(NHP)の毒性試験を、雌のカニクイザル(cynomolgus monkeys)で行った。全ての試験プロトコルは、試験施設動物実験委員会(Animal Care and Use Committee)によって承認された。非GLP単回投与毒性試験を3週間間隔で漸増用量の静脈内(IV)注射を用いて行った。身体検査、体重、摂食量、行動、臨床化学、尿検査および血液学を含む各試験で、総合的な毒性パラメータを評価した。血液試料を様々な時点で採取した。忍容性の例として、血液中のパラメータLDHの経時変化を以下について示す(A)Her2−30.0643;(B)Her2−30.1465;(C)Her2−A118C−30.0880;(D)Her2−D265C−30.0880。用量は以下のとおりである(i)0.3mg/kg;(ii)1mg/kg;(iii)3mg/kg;(iv)10mg/kg。
【0209】
質量分析(LC−MS)(
図4、5)
MS分析の前に、抗体及び抗体薬物コンジュゲートを標準的なプロトコルを用いて脱グリコシル化及び還元した。したがって、PNGase Fによる脱グリコシル化及び透析後、抗体及び抗体薬物コンジュゲート溶液をアセトニトリルの添加によって沈殿させ、遠心分離して、沈殿物を6M塩酸グアニジニウム溶液中に再構成した。軽鎖及び重鎖分析のために、再構成した溶液を20mMのジチオトレイトールを用いて30分間56℃で還元した。次に、脱グリコシル化並びに還元された抗体及び抗体薬物コンジュゲートを、LTQ Orbitrap Elite.イオントラップ質量分析計(Thermo Fisher Scientific)を用いてナノLC−MSによって分析した。方法を分析前にインタクトかつ還元された抗体のために最適化した。最後に得られた質量スペクトルを、データ解析に適切なソフトウェア(ProMass、Thermo Fisher Scientific)によってデコンボリューションした。