(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記閉鎖冷却システム1の冷却能力は、乗り物11への燃料補給におけるピーク時T1、T4必要量を満たすために必要な冷却能力より小さい、請求項1から5のいずれか一項に記載の閉鎖冷却システム1。
前記第2の熱交換器12又は貯留器13からの流体を、前記第1の熱交換器2からの流体と混合して、開放流体システムの取出口16においてあらかじめ定められた流体温度を得ることを容易にする温度調節弁14を更に備える、請求項8に記載の閉鎖冷却システム1。
前記圧縮機6は前記第1の熱交換器2内の圧力の圧力閾値により決定される不連続モードで運転される、請求項11から13のいずれか一項に記載の気体流体の冷却方法。
水素燃料供給ステーションにおける水素冷却のための、請求項1から10のいずれか一項に記載の閉鎖冷却システム1の第1の熱交換器2内に確立された、固体状態の冷却バンク3b’を備える冷却バンクの使用。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、開放流体システムの流体を冷却するための閉鎖冷却システムであって、第1の熱交換器と閉鎖冷却システム内の冷媒の循環を容易にする圧縮機とを備え、冷媒は、開放流体システムに熱的に接続される固体状態の冷却バンクの提供を容易にして、開放流体システムを伝わる流体を冷却することを特徴とする閉鎖冷却システムに関する。
【0005】
本発明の有利な実施形態によれば、冷却バンクは第1の熱交換器内の冷媒の相変化により提供され、好ましくは液体状態から固体状態への相変化により提供される。
【0006】
本発明の有利な実施形態によれば、冷却システムは、冷却バンク封入容器を更に備え、冷却バンク封入容器は開放流体システムに熱的に接続された冷却材を備え、冷媒が冷却バンク封入容器内の冷却材の相変化、好ましくは液体状態の冷却材から固体状態の冷却材への相変化を容易にして、固体状態の冷却バンクを提供する。
【0007】
本発明の好ましい実施形態によれば、第1の熱交換器は開放流体システムに熱的に接続され、第1の熱交換器内に配置され冷却バンクを構成する少なくとも部分的に凝固した冷媒で、開放流体システム内を伝わる流体を冷却する。
【0008】
これには、冷却バンク(cooling bank)(これをエネルギー貯蔵(energy storage)とも称する)が冷媒の固体状態という形で構築されるという利点がある。更に、液体状態から固体状態への相変化では体積変化が小さいため、第1の熱交換器に固体状態の冷媒の形でエネルギー貯蔵を備えることができる。
【0009】
液体から固体への相変化は、液体から気体への相変化の場合と異なり、第1の熱交換器以外に追加的な冷媒貯蔵器を必要としないという利点がある。
【0010】
なお、液体状態から気体状態への相変化もエネルギー貯蔵の構築に利用できる場合がある。しかし、この場合は大きさを変えられる風船状の貯蔵器のような、気体状態の冷媒の貯蔵器が必要となる。
【0011】
更に、エネルギー貯蔵、即ち固体状態の冷却バンクを備える固体状態の冷媒は、熱せられると相変化により液体状態又は気体状態に戻る。熱は、冷却システムの周囲から、又は、第1の熱交換器に備えられた開放流体システムの一部の中の流体の流れから、固体状態の冷媒に与えられ、又は放射される。これにより固体状態の冷媒が融解して液体冷媒に変化し、固体状態の冷媒がすべて融解したところで熱が更に冷媒に加わると、冷媒は気体状態に変化する。気体状態の冷媒は圧縮機で除去され、減圧により冷媒が相変化して固体状態に戻り、これにより冷媒の再利用が可能になる。
【0012】
固体状態の冷媒は、ピーク時の冷却能力が必要な状況(例えば、乗り物に水素を燃料供給する場合など)で特に利点があり、これは、冷媒が固体状態にある限りその温度は一定であること、即ち、CO
2が冷媒として用いられ固体状態にある場合、固体状態のCO
2が存在する限り温度が三重点温度の約−56℃で一定であることによる。水素の冷却過程で水素がもたらすエネルギーは、一定温度の下で固体状態の冷媒を液体状態の冷媒に変化させる。
【0013】
本発明の有利な実施形態によれば、冷却システムは、冷却バンク封入容器を更に備え、冷却バンク封入容器は開放流体システムに熱的に接続された冷却材を備え、冷媒が冷却バンク封入容器内の冷却材の相変化、好ましくは液体状態の冷却材から固体状態の冷却材への相変化を容易にする。
【0014】
本発明の有利な実施形態によれば、冷却バンク封入容器内の固体状態の冷却材はそうして冷却バンクとして機能する。閉鎖冷却システムを循環する冷媒とは別の、好ましくは冷却バンク封入容器内で動かない冷却材により提供される冷却バンクは、第1の熱交換器内に提供される冷却バンクの補助として、又は閉鎖冷却システムの主要な冷却バンクとみなすことができる。いずれにせよ、冷却システムに冷却バンク封入容器が提供されている場合には、開放流体システムの流体導体が冷却バンク封入容器を通るようにすると利点がある。
【0015】
閉鎖冷却システムは、冷媒がそこから外に出ることなく循環するシステムとして理解されるべきであり、これにより、開放流体システムの流体は決して閉鎖冷却システムの冷媒とは混ざらない2つの別々のシステムであることが理解される。言うまでもなく、この文脈における閉鎖システムは、冷媒の循環に基づくシステムを指しており、そのため、例えば安全弁、圧力調節弁等の作動のために必要な一定量の冷媒の補充、換気、油分離を許容する。したがって、閉鎖冷却システムから少量の冷媒の漏れがあることは想定されている。
【0016】
このようなシステムの重要な利点は、使用する冷媒が熱交換器内で所望の温度を得るために用いられると同時に、エネルギー貯蔵としても用いられることである。
【0017】
本発明の有利な実施形態によれば、冷却バンクは、開放流体システムを流体が流れていない時間に第1の熱交換器及び/又は冷却バンク封入容器に提供される。これは、冷却対象となる開放流体システムの流体が、乗り物に供給される水素であるときには特に利点がある。この状況においては、乗り物への燃料補給実施時に大きなピーク時冷却能力が必要とされる。
【0018】
乗り物への2回の燃料補給の間に、液体状態から固体状態に変化する冷媒という形でエネルギー貯蔵を構築することにより、閉鎖冷却システムの冷却能力の必要を抑制することができる。これは、流体の冷却が、少なくとも固体状態の冷媒の形のエネルギー貯蔵(即ち冷却能力貯蔵)によって行われるからである。
【0019】
流体冷却のためのエネルギー貯蔵の使用に加え、好ましくは、圧縮機により第1の熱交換器から気体状態の冷媒の除去を開始し、これにより固体状態の冷媒からなるエネルギー貯蔵を維持するか、少なくとも液体状態の冷媒の温度をできる限り低く、即ち、できる限り冷媒の三重点近傍に維持するように努める。
【0020】
かかる冷却システムは、開放流体システムの流体を冷却する必要がないときに、再び冷却が必要となるときの使用に備えてエネルギー貯蔵(冷却バンク又は単に貯蔵と称する)を構築できるという点で非常に利点がある。これは、流体冷却に大きなピーク時冷却能力が必要な場合には特に利点がある。これは、冷却バンクによる冷却能力を利用することで、大型で高価な圧縮機を含む高性能の冷却システムの必要性を小さくできるからである。
【0021】
所望の(ピーク時)冷却能力を得ることを容易にするには、冷媒の体積、冷却システムの圧縮機の性能、冷媒の慣性(及び冷媒収容容器の質量といった物理的冷却システム)をバランスさせなければならない。本発明は、冷媒を固体状態で用いることで、(固体状態の冷媒を用いない)従来技術に比べ冷媒の体積と圧縮機の性能をかなり減らすことがで、冷却システムの接地面積を減らすことができるという利点がある。
【0022】
水素を−40℃の温度に冷却する場合には、二酸化炭素を冷媒として用いると、固体状態の二酸化炭素の温度は−56℃に近く、熱交換器の水素排出においても良い熱交換ができるという利点がある。
【0023】
エネルギー貯蔵の構築は、冷媒の固体状態への変化を容易にするように閉鎖冷却システムを制御することにより行う。したがって、エネルギー貯蔵は、物理的には固体状態の冷媒である。エネルギー貯蔵は、冷媒がすべて液体状態から固体状態に変化し、したがって第1の熱交換器が備える冷媒が気体状態と固体状態だけになったときに最大貯留能力に達したことになる。
【0024】
開放流体システムは、流体がシステムの取入口、好ましくは流体貯留器の取入口からシステム内に入り、取出口、好ましくはノズル又は同種のものからシステム外に出るようにしたシステムであると理解されるべきである。
【0025】
本発明の有利な実施形態によれば、冷媒の三重点における圧力で冷媒の温度は−20℃より低く、好ましくは−40℃より低い。ここで、「より低い」とは、「より冷たい」の意味で理解されるべきである。
【0026】
開放流体システムの流体の所望の目標温度よりも低いながらもその近傍(例えば5〜10℃又は更には20℃の範囲)にある三重点温度を持つことは利点がある。これはエネルギー貯蔵の温度が開放流体システムの流体の所望の目標温度よりわずかばかり低く、そのためこの温度より10〜20℃低い温度から更に冷媒を冷却するためにエネルギーを使う必要がないからである。
【0027】
更に、開放流体システムの流体は、好ましくは、−70℃より上の(より暖かい)三重点を有する冷媒によって、−30℃より低い(より冷たい)温度に冷却される。ここでも、最小限のエネルギーを使って第1の熱交換器内にエネルギー貯蔵を構築するという利点がある。
【0028】
更に、冷媒の三重点は好ましくは−40℃から−100℃の間である。冷媒の三重点がこの範囲にあれば、乗り物に水素を燃料補給するときの好ましい水素温度に近いという利点がある。これには、より低い三重点を持つ冷媒と比べ、冷却バンクの構築にかかるエネルギーが少ないという効果がある。
【0029】
本発明の有利な実施形態によれば、冷媒は二酸化炭素である。二酸化炭素(CO
2)は、三重点が−56.6℃、気圧5.18バールであり、水素を乗り物の燃料補給に用いるときの好ましい水素温度に近いという利点がある。更に、二酸化炭素は他の冷媒よりも地球温暖化効果がはるかに小さく、そのためこれら他の冷媒より環境にやさしいという利点がある。
【0030】
本発明の有利な実施形態によれば、流体は水素である。水素は、多くの自動車メーカーによって気候にやさしい燃料であると認識され、そのため、例えば自動車、バス、及びこれに類するものの燃料として使われているという利点がある。本明細書で説明する水素用冷却システムを実現することで水素燃料供給ステーションが最適化され、必要な物理的空間の削減、燃料補給時間の短縮、及び水素燃料供給ステーションの費用削減につながる。
【0031】
本発明の有利な実施形態によれば、閉鎖冷却システムは、
少なくとも部分的に固体状態及び気体状態で存在する冷媒を内部に備えた第1の熱交換器と、
冷媒が少なくとも部分的に液体状態、固体状態、又は気体状態のいずれか1つで存在することを確かにするのを容易にする圧力調整手段とを備え、
圧力調整手段は、
液面計により制御され液体状態の冷媒を第1の熱交換器に入れることにより第1の熱交換器内の圧力制御を容易にする注入弁と、
圧力計により制御され、気体状態の冷媒を第1の熱交換器から除去することにより第1の熱交換器内の圧力制御を容易にする圧縮機とを備え、
閉鎖冷却システムは、さらに、
圧縮機により第1の熱交換器から除去された冷媒の、気体状態から、注入弁を介して第1の熱交換器に注入できる液体状態への相変化を容易にする第3の熱交換器を備え、
冷却対象の流体は、開放流体システムの一部を成すとともに閉鎖冷却システムからは分離されている少なくとも1つの流体導体に備えられて、第1の熱交換器に導入される。
【0032】
好ましくは、流体貯留器を開放流体システムの取出口に接続する流体導体は閉鎖冷却システムの第1の熱交換器の中を通される。本発明に関しては、開放流体システムの取出口は乗り物に接続可能であってもよい。乗り物とは、流体により、動き、上昇し、及びこれに類することが可能なあらゆる種類の装置であって、あらゆる種類の原動機付き乗り物を含むものとして理解されるべきである。これは流体が水素で、流体貯留器に貯留され流体導体を介して伝えられる場合に特に利点がある。
【0033】
流体システムから閉鎖冷却システムが分離されているのは、流体を備えるシステムと冷媒を備えるシステムを分離することと理解されるべきである。これは、流体と冷媒が混ざらないことを確保する2つの独立したシステムの使用により実現される。
【0034】
本発明の有利な実施形態によれば、閉鎖冷却システムは燃料供給ステーションの一部である。これは、乗り物に水素、好ましくは気体状態の水素などの燃料を補給することが可能な燃料供給ステーション(燃料補給ステーションとも称される)又はその一部に関連して特に利点がある。例えば水素を燃料供給ステーションから乗り物に移すときは、その温度は−33℃と−40℃の間が好ましい。したがって、乗り物に水素で燃料補給するには、燃料供給ステーションの水素貯留器を−33℃より低くしなければならず、冷却システムへの要求が非常に大きい。これに替わる方法においては、燃料供給にかかる合計時間の増加を避けるため、ある時点から次の時点の間に水素を貯留温度、これは典型的には水素貯留器の周囲温度と同じであるが、そこから−33℃より低い温度である供給温度にもっていかなければならない。本発明の冷却システムにおいては、上記のように第1の熱交換器内に構築した冷却バンクによって後者の方法を取ることが可能であるので、高価で物理的に大型の冷却システム/圧縮機を避けることができる。
【0035】
本発明の有利な実施形態によれば、冷却システムの冷却能力は、乗り物への燃料補給におけるピーク時T1、T4必要量を満たすために必要な冷却能力より小さい。これには、燃料供給ステーションの冷却システムのコストを削減しながらも、上記のようにエネルギー貯蔵を提供する冷却システムを用いることで、この冷却システムは乗り物の燃料補給の間のピーク時必要量を満たすことができるという利点がある。
【0036】
本発明の有利な実施形態によれば、開放流体システムを通る流体の流れは、第1の熱交換器と開放流体システムの取出口との間の流体導体を通して伝わる流体の温度があらかじめ定められた閾値を下回った場合には停止される。これは、開放流体システムからの流体の温度が少なくともあらかじめ定められた閾値にあることが確保されるという利点がある。流体が水素で開放流体システムから乗り物に供給される状況において、この閾値は−32℃以下であることが好ましい。
【0037】
本発明の有利な実施形態によれば、流体導体は、第1の熱交換器内、又は冷却バンク封入容器内の管又はプレートとして、好ましくは第1の熱交換器内の複数の平行管として実現される。管とは、あらゆる種類の管状の流体導体で、冷却流体との接触面を増やすために螺旋形に形成した管状の流体導体が含まれると理解されるべきである。プレートとは流体を伝えるプレートと理解されるべきであり、内部に流体のためのダクトがあってもよい。
【0038】
好ましい実施形態において、複数の流体導体を平行にして用い、平行に据え付けたこれら流体導体を、マニホールド内で、又はマニホールドを介して第1の熱交換器の外部に置いた共通の流体導体に接続してもよい。これに替わる方法において、複数の流体導体は直列に接続される。
【0039】
本発明の有利な実施形態によれば、閉鎖冷却システムは流体を予冷する第2の熱交換器を更に備える。これは、流体が、例えば貯留温度である例えば20℃から、−5℃から−10℃の温度に第2の熱交換器内で冷却されるという利点がある。これにより、第2の熱交換器を用いない場合に比べ、第1の熱交換器でそれほど流体を冷却しないで済む。これは、冷媒が二酸化炭素の場合には第1の熱交換器は約−56℃まで温度を下げるため、第1の熱交換器はしばしばエネルギー消費の点で第2の熱交換器より費用がかさむことから、利点がある。
【0040】
本発明の有利な実施形態によれば、第3の熱交換器は冷却システム内の第1の熱交換器及び第2の熱交換器より高い位置に配置される。これは、第3の熱交換器からの液化した冷媒が重力により少なくとも第1の熱交換器又は第2の熱交換器に供給されるという利点がある。第3の熱交換器は、開放流体システムからの流体を直接冷却しない従来型の熱交換器でよく、気体状態から液体状態に凝縮させて冷媒の温度を下げる。
【0041】
本発明の有利な実施形態によれば、冷却システムは、第2の熱交換器又は貯留器からの流体を第1の熱交換器又は冷却バンク封入容器からの流体と混合して開放流体システムの取出口においてあらかじめ定められた流体温度を得ることを容易にする温度依存弁を更に備える。第1の熱交換器の冷媒が主に固体状態(及び気体状態)のとき、流体は所望の温度より低く冷却されている場合があり、そのため第1の熱交換器で冷却した流体を、例えば第2の熱交換器からの気体の流体と混ぜて所望の温度の流体を得ることには利点がある。
【0042】
この温度は−40℃より高いことが好ましく、開放流体システムの取出口からの流体が、好ましくは乗り物の、受け手側貯留器の流体と混ぜられるとき、少なくともそのときには、この乗り物の流体貯留器の温度は常時85℃と−45℃の間、好ましくは−20℃と−40℃の間である。
【0043】
これは、流体が水素で乗り物の燃料として使われる場合、この温度で水素が液体状態で存在するという点で特に利点がある。また、温度が−40℃より上(より暖かい)のときは鉄鋼や炭素のような汎用材料の振る舞いが正常である。したがって、温度をこれより上に保てば、開放流体システムにもそれに接続するシステムにも特別な材料特性のない汎用材料を使うことができるという利点がある。材料について追加的な必要条件がないので、商業的に入手可能な弁、容器等が利用できる。
【0044】
本発明の有利な実施形態によれば、第1の熱交換器の圧力は、閉鎖冷却システム内での圧力測定、好ましくは第1の熱交換器内での圧力測定に基づき圧縮機により調整される。
【0045】
これは、第1の熱交換器の圧力が冷媒の三重点かそれより低いときにエネルギー貯蔵が構築されるという利点がある。これに替えて、圧縮機と第1の熱交換器の間での冷媒の圧力測定に基づき圧縮機を制御してもよい。
【0046】
更に、本発明は、乗り物に接続可能な開放流体システムに備えられる気体流体の冷却方法であって、
気体流体は流体導体内を通って閉鎖冷却システム内を伝わり、閉鎖冷却システムは気体流体を備える流体導体の少なくとも一部を冷却するに適した冷媒を備え、閉鎖冷却システムは少なくとも第1の熱交換器及び圧縮機を備え、
前記方法は、
開放流体システムから乗り物への気体流体の流れが記録された場合、又は、第1の熱交換器内の圧力が冷媒の三重点の圧力を超えた後にあらかじめ定められた時間が経過した場合、又は、前回の圧縮サイクル後あらかじめ定められた時間が経過した場合に、圧縮機を動作開始させることにより閉鎖冷却システム内に固体状態の冷媒を生成するステップを含む方法に関する。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、圧縮機は、第1の熱交換器内の圧力が冷媒の三重点の圧力より低い場合、又は、前回の圧縮サイクル後あらかじめ定められた時間が経過した場合、又は、あらかじめ定められた量の氷が第1の熱交換器内に検知された場合に停止される。
【0048】
前述の圧縮サイクルは、単純に、圧縮機が作動して第1の熱交換器内の圧力を変化させているときとして理解される。圧縮サイクルは圧力変換器、流量変換器、又は温度変換器から入力を受け取るコントローラによって制御してもよい。また、第1の熱交換器内の氷断片又は氷のレベルを検知するセンサから、圧縮機の制御のための入力を供給してもよい。また、コントローラの時間を圧縮機の運転、即ち圧縮機サイクルの開始と終了の一部としてもよい。
【0049】
第1の熱交換器内での冷媒の固体状態を目指すことには、これにより冷却バンクが生成され、ピーク負荷時に気体流体を冷却することが容易になるという利点がある。ピーク時負荷は例えば乗り物に気体流体で燃料補給するときにかかり得る。
【0050】
乗り物への燃料補給時には、流体導体内の冷却されていない気体流体の熱が第1の熱交換器を通して伝わり、固体状態の冷媒を融解させる。したがって、圧縮機の動作開始に適しているのは、気体流体が流体導体を流れるときである。
【0051】
第1の熱交換器周囲の熱は時間とともに第1の熱交換器内の熱を増加させ、固体冷媒を融かす。したがって、一定時間経過後に圧縮機の動作を開始させ第1の熱交換器(冷却バンク)の冷却能力を増加させることに利点がある。この時間の長さは、閉鎖冷却システムに入り凝固冷媒を融かす熱に依存し、したがって熱交換器の断熱性に依存する。したがって、この時間の長さは、冷却システム周囲の環境にしたがって調節され、環境要因、前回の圧縮機停止からの経過時間等を計算に入れた数学的公式の結果であってもよい。そのため、この時間は数時間から3日又はそれ以上の範囲で変わり得る。
【0052】
第1の熱交換器内の圧力が冷媒の三重点の圧力より低くなると、これは液体状態の冷媒がすべて凝固することを示している。固体状態の冷媒が多いほど第1の熱交換器(冷却バンク)に蓄えられる冷却能力が大きいが、三重点圧力より低い圧力では凝固すべき液体の冷媒がもはや存在しないので圧縮機は停止される。凝固した冷媒の温度を更に低くしたい場合には圧縮機の停止を遅らせることが意味を持つ場合もあるが、これは、所望の又は必要な第1の熱交換器(冷却バンク)の冷却能力如何による。
【0053】
本発明の有利な実施形態によれば、冷媒の三重点における圧力で冷媒の温度は−20℃より低く、好ましくは−40℃より低い。ここで、「より低い」とは、「より冷たい」の意味で理解されるべきである。
【0054】
本発明の有利な実施形態によれば、冷媒は二酸化炭素である。二酸化炭素は、三重点の温度が−56.6℃、圧力が5.18バールであり、乗り物への燃料補給の気体流体として水素を用いる場合の好ましい温度に適合するという利点がある。この好ましい温度は−33℃から−40℃の間である。
【0055】
本発明の有利な実施形態によれば、圧縮機は第1の熱交換器内の圧力の圧力閾値により決定される不連続モードで運転される。これは、圧縮機のエネルギー消費が、(1)開放流体システム内に流体の流れがあるとき、(2)第1の熱交換器の圧力が閾値圧力を上回るとき、という2つの状況下に限られるという利点がある。
【0056】
好ましくは、この圧力閾値は、閉鎖冷却システム内で用いられる冷媒の三重点であって、第1の熱交換器内の圧力がこの三重点圧力より低い場合に圧縮機が停止される。
【0057】
これは、第1の熱交換器内の圧力が三重点より低いときは第1の熱交換器の冷媒が固体状態にあることから利点がある。少なくとも冷媒が二酸化炭素であるときには、これが成り立つ。
【0058】
更に、本発明は、水素燃料供給ステーションにおける水素冷却のための、固体状態の化合物を備える冷却バンクの使用に関する。
【0059】
本発明の有利な実施形態によれば、化合物は固体状態の冷媒である。
【0060】
本発明の有利な実施形態によれば、化合物は固体状態の冷却材である。
【0061】
本発明の有利な実施形態によれば、水素燃料供給ステーションは請求項1から16のいずれか一項に記載の閉鎖冷却システムを備え、請求項17から21のいずれか一項に記載の方法により制御される。これは、個別の場合における気体流体が、乗り物への燃料補給のために所望される温度になっているという利点がある。
【0062】
更に、本発明は、
水素貯留器と、
水素貯留器を水素取出口に接続する水素導体であって、固体状態の冷媒により少なくとも部分的に温度制御される水素導体と
を備える水素燃料供給ステーションに関する。
これは、水素取出口で所望される水素温度と同じかそれより低い温度で固体状態になるように冷媒を選んでおいて、水素導体内の水素が固体状態の冷媒の温度に冷却されるという利点がある。好ましくは、水素取出口は水素導体を乗り物と接続するに適したノズル形状で、水素が水素貯留器から取出口に流れるにしたがって冷却される。
【0063】
この実施形態によれば、言及される流体は水素であり、したがって本明細書において「流体」が用いられる場合、「水素」で置き換えてもよい、即ち、本明細書が「流体」について記述する場合、この実施形態及び以下の実施形態との関連では水素であると理解されるのが好ましい。
【0064】
水素導体の温度制御のみにより、好ましくは冷却のみにより所望の水素温度を得ること、好ましくは第1の熱交換器内のみにおいてこれを行うことには利点がある。これに替わる方法として水素を水素貯留器で冷却することができるが、この場合、上記の温度制御に比べ、エネルギー消費や貯留器に対する断熱要求等がはるかに大きくなる。
【0065】
本発明の有利な実施形態によれば、水素燃料供給ステーションは、固体冷媒を生成する固体冷媒自動産出機を更に備え、
固体冷媒自動産出機は、
水素を冷却するための冷媒を備える第1の熱交換器と、
第1の熱交換器の圧力を調整することで冷媒の少なくとも一部を固体状態で供給するための圧縮機と、
固体冷媒産出機の圧力を表示するための圧力計と、
水素燃料供給ステーションから出ていく水素の流れの特性を測定するための水素供給器とを備える。
なお、固体冷媒産出機は本明細書中に記述した閉鎖冷却システムと称されてもよく、同じ特徴を有していてもよい。
【0066】
水素供給器が計測する特性は、水素燃料供給ステーションから燃料補給を受ける乗り物に供給される水素の量、水素の費用、水素の温度、乗り物の水素貯留器の圧力等であってもよい。
【0067】
「自動化された」は、測定値が第1の熱交換器内に液体状態の冷媒が存在することを示すときに固体冷媒自動産出機が自動的に固体状態の冷媒の生成を開始することとして理解されるべきである。
【0068】
固体状態の冷媒をステーションで生成することには、乗物への燃料補給に必要になったときにはいつでも固体状態の冷媒が存在しているという利点がある。これは外部の固体冷媒産出機からステーションに固体状態の冷媒を持ち込むことは逆の方法である。
【0069】
本発明の有利な実施形態によれば、固体冷媒は、水素導体内に水素の流れがないときに少なくとも部分的に生成される。
【0070】
好ましくは、水素燃料供給ステーションは、燃料供給ステーション内での水素生成のための電解槽を備える。
【0071】
好ましくは、燃料供給ステーションは、水素燃料供給ステーションを制御するために追加的な計測機器及びデータ処理ユニットを備える。「計測機器」は、温度、圧力、漏出等を計測する機器として理解される。
【0072】
「データ処理ユニット」は、例えば燃料供給ステーションからの入力によって燃料供給ステーションを制御するための出力をすることができるマイクロプロセッサ又は論理回路として理解される。これは、固体状態の冷媒の生成、圧縮機、取出口、供給器、流量、貯留器、熱交換器等の操作の制御を含む。
【0073】
好ましくは、水素燃料供給ステーションの取出口は乗り物に接続可能である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1Aは本発明による閉鎖冷却システム1を示す。閉鎖冷却システム1は、第1の熱交換器2と、冷媒3を閉鎖冷却システム1内で循環させる圧縮機6とを備える。第1の熱交換器2内の圧力は冷媒3の三重点近傍が好ましく、冷媒3を閉鎖冷却システム1内で循環させる圧縮機6が第1の熱交換器2から気体冷媒3cを吸引することにより制御される。
【0076】
三重点において、冷媒3は液体状態3a、固体状態3b、及び気体状態3cの三相で存在する。本発明による好ましい冷媒3は二酸化炭素であり、その三重点は−56.6℃(摂氏)、5.18バールである。これは、二酸化炭素を備えた容器(本発明によれば第1の熱交換器2)の圧力を調整することで二酸化炭素の状態を変化させられることを意味する。これは冷媒3が何であれ周知の特性であり、当業者には知られているので本明細書においてこれ以上の説明は省略する。二酸化炭素に替えて適当な三重点を持つ他の冷媒を用いても良い。かかる冷媒から作られる冷却バンクによって冷却される水素等の流体は、例えば、流体貯留器13から直接来る流体と混合することにより温度を調節してもよい。
【0077】
上記のとおり、圧縮機6は、第1の熱交換器2から気体状態3cの二酸化炭素を吸引することにより第1の熱交換器2の圧力を調整する。これにより第1の熱交換器2内の圧力が減少し液体状態3aの冷媒が固体状態3bの冷媒に変化する。固体状態の二酸化炭素の温度が液体状態の二酸化炭素の温度より低い(三重点圧力より低い)ことを利用して第1の熱交換器2内に固体状態の二酸化炭素3bの形でエネルギー貯蔵が生成される。エネルギー貯蔵が完成したときには、物理的には、このエネルギー貯蔵は第1の熱交換器2下部でドライアイス又はCO
2アイスとも呼ばれる二酸化炭素の氷の塊となる。
図1Aに、完成していないエネルギー貯蔵3b’を冷媒氷塊として示しているが、三重点温度に近い冷媒3は、すべて固体状態になる前であってもエネルギー貯蔵と呼ぶことがある。
【0078】
図1Aに示すように、開放流体システム10の流体導体9は、第1の熱交換器2の内部につながっており、エネルギー貯蔵、即ち、温度が(理想的には)−56.6℃である凍結部分3bを通って延びている。したがって、温度が−56.6℃より高い流体が流体導体9を循環しているときには、流体がエネルギー貯蔵で熱交換されて冷却される。二酸化炭素の一部が固体状態にあることは、未だ固体になっていない液体も−56.6℃に近いことを示しているので、二酸化炭素の液体部分にも流体に対する冷却効果がある。
【0079】
流体導体9は、熱交換器の内部でも外部でも筒状のステンレス鋼で形成されることが好ましいが、当該技術分野で周知の代替物を用いてもよい。熱交換器2内で必要とされる流体導体9の総表面積は、冷媒(例えば、約−56℃の温度の二酸化炭素)と流体(例えば約−10℃の温度の水素)の温度差により決まる。流体導体9を長くした場合の圧力低下の問題を避けるため、第1の熱交換器2内で流体導体9をいくつかの平行なループに分けることにより必要な表面積を得ることとしてもよい(なお、図ではループを1つだけ示している)。第1の熱交換器2内にある流体導体は、全体が液体状態3a又は固体状態3bの冷媒の液面以下にあることが好ましい。こうすれば、流体導体内の流体と冷媒との最適な熱/冷交換が得られるという利点がある。しかし、冷媒3を固体状態にすると、時間計測によって冷却システム内の冷媒の流れが止まってしまうリスクが高まる。このリスクは上記利点と比較衡量すべきであり、状況によっては利点がこのリスクを上回ることもある。
【0080】
上記のとおり、圧力が低下して二酸化炭素の三重点の圧力に近づくと、第1の熱交換器2内の二酸化炭素は、徐々に、半解け氷の段階を経て液体状態3aから固体状態3cに変化する。したがって本発明によるエネルギー貯蔵は、開放流体システム10の流体よりも冷たい冷媒3として理解されるべきであり、冷媒3の状態が液体状態3a、固体状態3b、気体状態3c、又はこれらのいずれかから他の状態に変わる途中の状態のいずれであるかを問わない。
【0081】
したがって、二酸化炭素の状態にかかわらず、三重点近傍の圧力に保たれた二酸化炭素は、開放流体システム10に備えられ流体導体9を介して第1の熱交換器2に入る流体との熱交換が可能である(言うまでもなく、これは流体温度が二酸化炭素温度より高い場合である)。
【0082】
本発明の好ましい実施形態によれば、冷媒3の圧力(及びこれにより温度も)は三重点近傍に保たれ、したがって冷媒3は第1の熱交換器2内で少なくとも部分的に液体状態3a、固体状態3b及び気体状態3cで存在する。これは、流体導体9内にあって第1の熱交換器2を通って流れる開放流体システム10の流体と比べて、冷媒3が暖かい場合には特にそうである。しかし、エネルギー貯蔵が完全に形成されたとき、即ち液体状態の冷媒3aがすべて固体状態の冷媒3bに変化したときには、第1の熱交換器2内に存在する冷媒3は、固体状態3b及び気体状態3cという2つの状態だけになる。
【0083】
図1Aは圧力調整手段を更に示し、圧縮機6については先に言及した。これに加え、圧力調整手段は注入弁4を制御する液面計5を備える。そのため液体状態3a又は固体状態3bにある冷媒3が、(単独で又は合わせて)あらかじめ定められた閾値より低いことが液面計5により計測されると注入弁4が開く。こうして、冷媒3が、好ましくは液体状態3aで、第1の熱交換器2に加えられる。液面計5と注入弁4は好ましくは冷却システムに用いられる従来型であり、液面計は連続的な液面計測値の分かるものでもよい。
【0084】
液面計5による計測値は、図示しないが、例えばPLC(プログラマブルロジックコントローラ、PLC)、又は接触器を含む単純な論理回路といったデータ処理装置に供給してもよい。圧力計7、流量計等の他のセンサの出力も図示しないデータ処理装置の入力として用いることができる。そのようなデータ処理装置はデータを処理して、圧縮機、弁、取出口16等に出力信号を供給してもよい。これに替えて、データの送り先である弁、圧縮機、熱交換器等にセンサを直接接続してもよく、この場合これらはコントローラによってではなく自律的に制御される。
【0085】
コントローラは、変換器又はセンサから時間、圧力、温度、流量等に関する入力を受け取り、これらのデータを処理して圧縮機、弁、圧力、温度、流量等を制御する。これにより、開放流体システム内の、例えば水素の流れを所望の目標温度、例えば、−33℃〜−40℃(これら数値を含む)に冷却する能力のある固体状態の冷媒のエネルギー貯蔵を確実に得ることができる。
【0086】
コントローラによる圧縮機の制御は、所定の時間後に圧縮機サイクルを開始及び停止することを含んでいてもよい。この所定の時間は、固体状態のエネルギー貯蔵を生成するのに要する時間の(実験又は計算により得られる)知識に基づいて決定することができる。圧縮機の動作時間は圧縮機が動作していない時間と同じでないかもしれない。
【0087】
同様に、第1交換器2の氷の所定のレベルは、例えば燃料補給頻度とそれに応じた必要冷却能力の知識に基づいて決定してもよく、又は単に所望されるエネルギー貯蔵の大きさに基づいて決定してもよい。当該エネルギー貯蔵の大きさによる構築・維持コストを検討し、燃料補給頻度などの開放流体システムの流体冷却の必要性とバランスさせなければならない。
【0088】
コントローラは、データネットワークを介して外部のデータ処理装置と接続してもよく、これにより遠隔での冷却システムの変更、運転及び制御を容易にすることができる。冷却システムが水素補給ステーショの一部である場合、冷却システムと水素燃料供給ステーションのコントローラを同じにして遠隔制御するようにしてもよい。
【0089】
そして、液体状態3aの冷媒3は第3の熱交換器8から第1の熱交換器2に供給することができる。好ましい実施形態において、冷媒3は、熱交換器2、8の物理的配置によって単純に重力により第3の熱交換器8から第1の熱交換器2に流れる。
【0090】
更に、圧力調整手段は、第1の熱交換器2内部の圧力、又は第1の熱交換器2と圧縮機6を接続する導体における圧力を計測する圧力計7を含む。この圧力が冷媒3の三重点より高い場合には、液体状態の冷媒3aが存在するので、圧縮機6を作動させて圧力を下げ、固体状態の冷媒3bに戻す相変化を促すべきである。圧力計は、使用する冷媒3の三重点近傍の圧力での動作に適したものであれば、どのような従来形のマノメータ/プレッシャーゲージでもよい。
【0091】
図1Aは、開放流体システム10の流体が第1の熱交換器2に入る前に予冷するための第2の熱交換器12を更に示す。第2の熱交換器12は、液体状態3aの冷媒3を備え、流体導体9内にある開放流体システム10の流体が第2の熱交換器12に入ると、冷媒3が沸騰又は蒸発する。気体状態3cとなった冷媒3は第3の熱交換器8に伝わる。
【0092】
第2の熱交換器12は第1の熱交換器2に比して安価に運用できるので、開放流体システム10の流体を第2の熱交換器12で予冷することには利点がある。第3の熱交換器8で第2の冷却システム12の予冷係数を決定することができるが、流体を−10℃から−15℃の温度に予冷すると冷却システム内の費用バランスがうまく図れる。そして第1の熱交換器2でこの温度から流体の所望の目的温度まで流体を冷却する。例えば、二酸化炭素を冷媒に用いた場合に想定されるように、第1の熱交換器2から出る流体の温度が約−40℃よりも低い場合には、流体貯留器13の流体を第2の熱交換器12を経由させずに、第1の熱交換器2で冷却した流体と直接混ぜてもよい。
【0093】
エネルギー貯蔵が完成している状況、即ち、第1の熱交換器2内のすべての液体冷媒3aが固体状態3bに相変化した状況においては、流体導体9内の流体は約−56.6℃にまで冷却され、これは流体の所望の目的温度よりも低い。したがって、流体の所望の目的温度を得るために、第1の熱交換器2と第2の熱交換器12の流体出力の間に温度調節弁14(又はパルス制御開閉弁)を挿入する。この温度調節弁を調節し、−10℃から−15℃の流体を−40℃より低い温度の流体と混ぜることにより、流体の所望の目的温度を得ることができる。流体の所望の目的温度は、例えば乗り物に供給される水素の場合、−33℃と−40℃の間である。
【0094】
第3の熱交換器8は、第1の熱交換器2から圧縮機6によって除去した気体状態冷媒3c及び/又は第2の熱交換器12からの気体状態冷媒3cを凝縮するために使われる。上記のとおり、液体状態となった冷媒3aは注入弁4を介して第1の熱交換器2に供給することができる。また、液体状態冷媒3aは第2の熱交換器12に戻される。第3の熱交換器8は、従来型の冷却システムの一部としてありふれたものであり、これ以上の詳細は説明を省略する。
【0095】
本発明の一実施形態によれば、第3の熱交換器8は(物理的に)第1の熱交換器2と第2の熱交換器12より上に配置され、これには、重力のみにより液体状態の冷媒3aが第3の熱交換器8から第1の熱交換器2(注入弁5が開いている場合)と第2の熱交換器12に伝わるという利点がある。
【0096】
図1Aは、安全弁又は圧力調節弁として実現することのできる付加弁15a及び冷媒取入口15b等の付加部品15を更に示す。必要な場合には、冷媒3は、好ましくは、3cで示した線に沿う辺りで気体状態3cで閉鎖冷却システム1に適用される。3cはこれらの線が気体状態3cの冷媒を備えることを示す。これに替えて、冷媒3は液体形態3aで閉鎖冷却システムに適用することもできる。
【0097】
本発明による閉鎖冷却システム1は、少なくとも第1の熱交換器2、圧縮機6及び第3の熱交換器8を備える。更に、閉鎖冷却システム1は、圧力計7、液面計5、付加弁15a、取入口15b、注入弁4、第2の熱交換器12、及び温度調節弁14、及び冷却システムの通常動作に必要な他の部品を備えていてもよい。更に、閉鎖冷却システム1は、第1の熱交換器2と第2の熱交換器12の間の圧力を制御する弁22を含んでいてもよい。この圧力調節弁22は、閉鎖冷却システム1の安定化を容易にする、例えば、第2の熱交換器12の負荷が高いときには第1の熱交換器2の固体状態の冷却バンク3b’が第2の熱交換器12の過負荷防止の役割を果たすことができ、これにより閉鎖冷却システムそのものの保護機構として働く。これには、閉鎖冷却システム1に動力供給がない状況においても、冷却システムはこのように開放流体システム10の流体の冷却を実際に継続できるという利点がある。
【0098】
閉鎖冷却システム1の各部品に加え、
図1Aは、全体として開放流体システム10と称することのできる各部品を示す。開放流体システム10は、流体貯留器13、流体導体9及び開放流体システムの取出口16を備える。
【0099】
流体貯留器13は、好ましくは気体状態の水素である一定量の流体を備えるが、理論的には、気体又は液体状態にあるいかなる流体でもよい。かかる流体は、その流体の用途によって決定される。
【0100】
上記のとおり、流体貯留器13から出た流体は第2の熱交換器12で予冷された後に第1の熱交換器で更に冷却され、必要な場合には第1の熱交換器2と第2の熱交換器12の出力と混合されて開放流体システム10の取出口16で所望される温度となる。取出口16での好ましい温度は、従来の部品/材料を用いるためには−33℃と−40℃の間(これら数値を含む)である。−40℃より低いと、従来の部品/材料の振る舞いや特性に変化が生じるリスクがある。
【0101】
より具体的な出力温度帯としては−30℃と−40℃の間があり得、流体が水素であって乗り物11に供給される場合、好ましい温度は−37℃であり得る。本発明の一実施形態によれば、流体貯留器13内の水素などの流体の温度は流体貯留器13の周囲温度と同じである。流体貯留器13が隔離されている場合には、内部の流体を外周温度より低い温度で貯留できることもある。しかし、いくら断熱性を高めても流体からの放射は不可避であるため、乗り物11への燃料補給と次の燃料補給の間、貯留する流体を低温に保つためのエネルギーが必要となるので、これは好ましくない。したがって、取出口16で所望される温度で流体を貯留するよりも、冷媒3のエネルギー貯蔵を提供する方が好ましい。
【0102】
図1Bは、冷却バンク封入容器21を示し、冷却バンク封入容器21は、閉鎖冷却システム1の冷媒3が冷却バンク封入容器21の中を伝わるように
図1Aの冷却システム1に接続されている。そのためには、冷却バンク封入容器21を熱交換器2、8、12のうちの1つと接続すればよい。これにより、冷却バンク封入容器21に備えられた冷却材20が冷媒3によって冷却され、好ましくは固体状態になる。こうして、冷媒3により固体状態の冷却バンク3b’が冷却バンク封入容器21内に提供され、流体導体9を介して開放流体システム10の流体の冷却を容易にする。
【0103】
冷却材は、開放流体システム10の流体の冷却に適した化合物であればどのようなものでもよく、冷媒3と同じ化合物でもよい、即ち、冷媒をこの化合物と称することもできる。したがって水と食塩、又は水と単糖類の溶媒を冷却材20として用いてもよい。しかし、凝固して固体状態の冷却バンク3b’になり、冷却材として所望される温度を得るのに適当な化学結合であれば何を利用してもよい。
【0104】
水を含む溶媒を用いる場合、冷却材を液体状態から固体状態に変化させると体積が変化する。そのため、冷却バンク封入容器21を冷却材で完全に満たさずに、この体積変化のための空間を残しておく方がよい。状況によっては、この欠点は、厳密に決定された液体から固体への相変化温度と、それによる固体状態の冷却バンク3b’の温度に基づいて冷却材を設計することにより克服される場合がある。
【0105】
なお、冷却バンク封入容器21の固体状態の冷却バンク3b’は単純な熱交換器、即ち、
図1Aの冷却システムとは異なる冷却システムによって提供されてもよい。
【0106】
しかしながら、冷媒3自体が固体状態に変化することで固体状態の冷却システム3b’が提供される場合には、多くの場合、
図1Aに示す冷却システム1が好ましい。その理由の1つは、液体状態から固体状態に変化するときの冷媒3の体積変化が最小限であること、また他の理由は、必要とされるシステムが比較的複雑でないことである。上記のいずれの実施形態においても固体状態の冷却バンクの温度を決定するのは冷媒又は冷却材の三重点である。
【0107】
図2は、本発明による水素燃料供給ステーション17から水素を乗り物に燃料補給するときに水素の冷却に必要な冷却能力(P)と時間(T)の関係を示す燃料補給曲線である。図に示すように、曲線は2回の燃料補給を示しており、曲線から、必要な冷却能力が時間T1とT4でピークに達することが分かる。これらのピークは乗り物への燃料補給に必要な温度、即ち−34℃かそれよりさらに低い温度まで水素を冷却するのに必要なエネルギー量を示す。これらのピークにおいて必要な冷却能力は、水素の初期温度によるが、往々にして60kWから70kWの間にまでなり得る。このような冷却能力は、第1の熱交換器2の前に例えば第2の熱交換器12で水素を約−10℃に予冷した状況に当てはまる。ピーク後には必要な冷却能力は減少し、燃料補給プロセスが時間T2、T5で終了する。したがって、燃料補給プロセスに関して冷却能力の必要はここで終了する。
【0108】
したがって、
図2は、時間T0−T2及びT3−T5において、乗り物の燃料補給時に必要な温度条件を充足するための、いわば水素の観点から必要な冷却能力を示す。図示のとおり、ピーク時必要量はT1とT4でピークに達する。燃料補給と次の燃料補給の間の時間T6の少なくとも一部が、冷媒の液体状態3aから固体状態3bへの相変化によってエネルギー貯蔵3bを提供するために必要である。状況によっては、エネルギー貯蔵は、圧縮機6を含め冷却システムの他の部分に頼らずに、水素を所望の目的温度まで冷却する能力がある。いかなる状況においても、エネルギー貯蔵が提供されている場合には、水素を冷却しているのは、いわば冷却システム自体と言うより冷却システム1のエネルギー貯蔵である。したがって、状況によっては、冷却システム1に動力供給がない場合や、例えば圧縮機6が不調のとき、例えばフル稼働していないときでも、流体(水素)の冷却は容易になる。これは、エネルギー貯蔵が提供される場合、又は、燃料補給と次の燃料補給の間隔がエネルギー貯蔵の再構築、即ち、冷媒3の液体から固体への相変化に充分となるようなレベルで圧縮機(又は冷却システム自体)が動作しているときに当てはまる。この冷却システム又は燃料供給ステーションの特徴は、第1の熱交換器2に断熱を施すことで強化することができ、断熱が多いほど効率は向上する。
【0109】
したがって、
図2は時間T6を挟んで2台の乗り物に燃料補給するために必要な冷却必要量を示す。図示しないが、追加の乗り物への燃料補給は実質的に同様の冷却必要量が必要となるが、ピーク値と長さは例えば乗り物に供給される水素の量、周囲温度、第1の熱交換器2に入る水素の温度によって異なる。開始時点T0からピーク能力が必要なT1までの時間は典型的には20秒と60秒の間である。T0からT2までの燃料補給の合計時間は周囲温度に依存し、これが20℃と30℃の間の場合はT0からT2までの時間は典型的には3分と5分の間である。なお、乗り物の燃料補給に要する時間は水素の温度に依存することもある。
【0110】
燃料補給と次の燃料補給の間の時間T6は、次の燃料供給のために第1の熱交換器2内のエネルギー貯蔵を準備することに使われるのが好ましい。これは、好ましくは、第1の熱交換器2内の圧力を調節して液体冷媒3aから固体冷媒3cへの相変化を促し、第1の熱交換器2内に冷却能力のエネルギー貯蔵を提供又は構築することにより行われる。これは、好ましくは、第1の燃料補給が終了したとき(流体導体9内の流れが停止したことが計測されたとき)又は第1の熱交換器2内の圧力上昇、又は温度低下が計測されたときに圧縮機6を動作開始させることにより行われる。後者の圧力変化と温度変化は第1の熱交換器2の冷媒3がすべて液体状態3aに戻っており(エネルギー貯蔵3b’がもはや存在しない、即ち、エネルギー貯蔵に保存されていた冷却能力がすべて第1の熱交換器2内の流体導体9内の水素の流れに放射された)、したがって、固体冷媒3bのエネルギー貯蔵を再構築する時期であることを示している。なお、例えば、第2の熱交換器が大量の気体状態冷媒を供給する場合は、第3の熱交換器8の負荷も圧縮機の動作開始時期に影響を与えることがある。
【0111】
図2に示す曲線から、従来型冷却システムでピーク時冷却能力を充足できるものは、サイズとエネルギー消費が大きく、したがって非常に高価であることが明白である。これらの条件は、燃料供給ステーションに必要な条件、即ち、サイズがより小さく、エネルギー消費と価格が最小で、向上した能力と高い信頼性を有するという要請にうまく合致しない。これらの要請は本明細書記載の発明の冷却システムを開発する上での推進力となったものであり、この冷却システムの冷却能力は、T1とT4の燃料補給ピーク時に必要な冷却能力より小さい。
【0112】
一実施形態において、本発明の冷却用圧縮機の能力は、エネルギー貯蔵がない状態では、例えば乗り物への燃料補給のための水素の流れの冷却に関するSAEj2601の基準を満たさない場合がある。そのため、エネルギー貯蔵が充分に構築されていない状態で水素が第1の熱交換器内を流れる場合、冷却システムの能力は、ピーク時T1及びT4において−33℃より低い温度まで水素を冷却するには不充分となり得る。
【0113】
本発明の冷却システムは、実際の燃料補給(開放流体システム内の水素の流れ)の直前直後の時間を利用して、次の燃料供給に備えて固体状態のエネルギー貯蔵を構築する。
【0114】
図3は、本発明の一実施形態にかかる燃料供給ステーション17を示す。燃料供給ステーション17は、例えばディーゼルやガソリンといった化石燃料に加えて水素も補給できる既存の燃料供給ステーションであってもよく、また、好ましくは独立の水素燃料供給ステーション17でもよい、
【0115】
燃料供給ステーションは、上記のとおり水素導体9を介して開放流体システム10の取出口16と流体接続された水素貯留器13を備える開放流体システム10を備える。開放流体システム10は、冷媒を外部に出すことが許されない閉鎖冷却システム1と異なり、流体を開放流体システム10の外部に出すことが許されるという意味において開放されている。水素導体9は、水素貯留器13から取出口16までの間で、第1の熱交換器2及び/又は第2の熱交換器12並びに流体/水素供給器18を通るようにしてもよい。
【0116】
水素供給器18の目的は、水素使用量と、例えば使用した水素の費用とを計測すること、又は少なくとも乗り物11に燃料補給する人にこれらを表示することを含んでいてもよい。
【0117】
取出口16は、好ましくは、乗り物11の水素貯留器の開口に適合するノズル形状で、これにより燃料供給ステーション17から乗り物11への水素の流れを容易にする。このノズルや水素燃料供給ステーション17の他の部品は、SAE−J2600基準に適合することが好ましい。
【0118】
図3から、燃料供給ステーション17が上記の閉鎖冷却システム1を更に含んでいることが明らかになることが更に開示される。したがって、閉鎖冷却システム1は少なくとも熱交換器2、8、12、圧縮機6及び目的の異なる弁4、14を含む。更に、燃料供給ステーション17は、ステーション内での水素生成を可能にする電解槽19を備えていてもよい。閉鎖冷却システム(及び開放流体システム10)は、図示した部品に加えて、図示しないが、例えば安全上の理由による圧力調節弁、例えば冷媒を交換するための取入口及び取出口等を備えていてもよい。
【0119】
更に、これまで乗り物の原動機を駆動するための流体の冷却との関連において冷却システム1に言及してきたが、冷却システム1は他の応用も可能である。
【0120】
図4と
図5は、本発明の冷却システム1の水素燃料供給ステーション17への好ましい適用例を示す。かかる水素燃料供給ステーション17は、水素貯留器13から水素取出口16に流れる水素を流体導体9を介して冷却する固体状態の冷媒を少なくとも備える。
【0121】
好ましくは、水素燃料供給ステーション17は、本明細書で説明した閉鎖冷却システム1及び開放流体システム10を備える。
【0122】
概して閉鎖冷却システムに関しては、固体状態の冷媒を生成することの効果が認識されておらず、圧縮機は、熱交換器内の圧力を固体冷媒が生成される圧力より高く維持するように運転される。典型的な冷却システムは、冷却対象となる媒体の冷却の必要性に合わせて設計されるため、その媒体の流れが冷媒と熱交換する度合いは、圧縮機の継続運転が必要となるほどのものとなる。
【0123】
例えば、夜間は燃料補給の間隔が長く空く場合があり、冷却能力が継続的に必要とされるわけではないという点において、かかる冷却システムは、乗り物に流体を燃料供給するシステムとしてはあまり適当ではない。実際、上記のとおり、1回の燃料供給には大きなピーク時冷却能力が必要となるが、そのような冷却能力は、ほとんどの時間、即ち燃料補給している乗り物がない間は活用されていない。
【0124】
固体状態の冷媒を生成することを避ける更なる理由として、この固体状態の冷媒が熱交換器から圧縮機に吸い出されるリスクがある。これが起きた場合には、圧縮機を損傷する結果となる可能性がある。このリスクは固体状態の冷媒によるエネルギー貯蔵を有する冷却システムを利用することの欠点であるが、状況によっては、かかるシステムの利点がこのリスクを凌駕する可能性があるので、両者を比較衡量すべきである。少なくとも、本明細書において説明した冷却システム1の利点は、例えば乗り物11への水素による燃料補給に関して、システムの冷却能力を上回るピーク時の高い冷却能力の必要を満たすことができる(そのためサイズと費用を減らすことができる)こと、圧縮機6を断続的に運転できるので、エネルギー料金の違いを利用してエネルギー料金が低いときに圧縮機6を運転することができること、この冷却システムの物理的サイズとエネルギー消費は、同じ冷却能力を有する公知の冷却システムに比べ小さいこと、公知の冷却システムの圧縮機のように頻繁に動作と停止を行う必要がなく、圧縮機6等の寿命が延ばせることにある。
【0125】
なお、冷却システムと開放流体システムの最適な動作のためにはデータ処理ユニットが必要である。データ処理ユニットとしては、例えば燃料供給ステーションからの入力によって燃料供給ステーションを制御するための出力をすることができるマイクロプロセッサ又は論理回路がある。これには、固体状態の冷媒の生成、圧縮機の運転、取出口、供給器、流量、貯留器、熱交換器等の制御が含まれる。データ処理装置が図示されていないことは、燃料供給ステーション、冷却システム及び/又は開放流体システムの動作にデータ処理装置が必要でないことを意味しない。
【0126】
また、例えば、温度、圧力、漏れを測定するために種々の測定機器が必要な場合がある。
【0127】
そして、冷媒3の圧力、温度といった三重点の特性は、実際の燃料供給ステーション17においては理論値からいくらか外れる場合がある。これは主に導体、熱交換器等に蓄えられた熱慣性によるものであるが、その場合でも本発明の全体的な原理は適用可能である。