(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判定部は、前記通知に含まれる識別子が第1識別子を含む場合に前記提供部による前記通知に応じた情報の提供を止める請求項1から3のいずれか一項に記載の情報提供装置。
前記判定部は、前記通知に含まれる識別子が第1識別子を含む場合に前記提供部による前記通知に応じた情報の提供を止める請求項9から11のいずれか一項に記載のプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字の後にA、Bなどを付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0022】
<実施形態>
本発明の実施形態に係る情報提供装置10を含む情報提供システム1について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
[概要]
図1は、本発明の実施形態に係る情報提供装置10を含む情報提供システム1の構成を示す図である。情報提供システム1は、情報提供装置10と、第1記録機関サーバー20と、第2記録機関サーバー30と、債権者端末40と、債務者端末50とを有する。情報提供装置10と、第1記録機関サーバー20と、第2記録機関サーバー30と、債権者端末40と、債務者端末50とは、インターネット、通信回線などのネットワーク60に接続されている。
【0024】
情報提供装置10は、情報提供サービスを提供する装置であり、ネットワーク60に接続し、第1記録機関サーバー20と、第2記録機関サーバー30と、債権者端末40と、債務者端末50と通信可能である。情報提供装置10は、後述する情報提供処理を債権者端末40と債務者端末50に提供する。
【0025】
第1記録機関サーバー20は、第1記録機関が保有するサーバーである。第1記録機関は、電子債権記録機関の変更をしようとする電子債権についての債権記録を記録原簿に記録している電子債権記録機関である。なお、「債権記録」とは、発生記録により発生する電子債権ごとに作成される電磁的記録をいい、「記録原簿」とは、電子債権記録機関において債権記録を記憶する記憶媒体をいう。
【0026】
第1記録機関サーバー20は、電子債権についての債権記録が記録された記録原簿を含む。第1記録機関がその記録原簿に債権記録がある電子債権の債権者より記録機関を第1記録機関から第2記録機関に変更する旨の請求をされたときには、第1記録機関サーバー20は第2記録機関サーバー30に、当該電子債権につき債権者から記録機関を第1記録機関から第2記録機関に変更する旨の請求を受けたことを示す記録機関変更通知を行う。具体的には、第1記録機関サーバー20が記憶している当該電子債権についての債権記録の記録事項などのデータを第2記録機関サーバー30に送る。
【0027】
第2記録機関サーバー30は、第2記録機関が保有するサーバーである。第2記録機関は、電子債権記録機関の変更によって、第1記録機関から債権記録の記録事項を引き継ぐ電子債権記録機関である。例えば、第2記録機関はでんさいネットであってもよい。第2記録機関サーバー30は、請求受付簿を含み、第1記録機関サーバー20から電子債権についての記録機関変更通知を受け、第1記録機関サーバー20が記憶していた、当該電子債権についての債権記録の記録事項を請求受付簿に記録する。なお、この「請求受付簿」とは、記録請求を受け付ける記憶媒体をいう。
【0028】
第2記録機関サーバー30は、電子債権に関する通知を情報提供装置10に送信する。そして、第2記録機関サーバー30が電子債権に関する通知を情報提供装置10に送信するときは、その電子債権に関連づけられた識別子を含む通知として送信する。この通知は、例えば、発生記録承諾依頼通知、発生記録通知及び発生記録承諾結果などの通知を含む。本実施形態では、この「電子債権に関連づけられた識別子」とは、請求受付簿に記録された債権記録の記録事項のデータ構造の項目の1つである「請求者Ref.No」の文字列の全体を指すものとする。なお、請求者Ref.Noとは、利用者が自己と電子債権を関連付けるために、任意で指定する番号である。また、「電子債権に関連づけられた識別子」は、以下に説明する「共通識別子」を含むことがある。
【0029】
第2記録機関サーバー30は、電子債権記録機関の変更をしようとする電子債権についての債権記録の記録事項を請求受付簿に記録する際、債権記録のデータに電子債権記録機関の変更をしようとする電子債権に共通で付される識別子(以下単に「共通識別子」ということがある)を含ませる。この共通識別子の形態に特に制限はないが、本実施形態では、「請求者Ref.No」の文字列の一部が「abcdefg」という文字列を含むことが、当該債権記録に対応する電子債権が共通識別子を含むことを示すものとする。この場合、第2記録機関サーバー30は、あらかじめ共通識別子として「abcdefg」との文字列を記憶している。そして、第2記録機関サーバー30は、電子債権記録機関の変更をしようとする電子債権についての債権記録の記録事項を請求受付簿に記録する際、その電子債権の請求者Ref.Noに自らが共通識別子として記憶している「abcdefg」との文字列を加える。
【0030】
第2記録機関サーバー30が電子債権に共通識別子を付すことについて、ここでは、第2記録機関サーバー30が電子債権に共通識別子を含ませる前の債権記録の請求者Ref.Noが「ABCDEFG」であった場合を例にとって説明する。電子債権の債権記録のRef.Noが「ABCDEFG」であるとき、その「電子債権に関連づけられた識別子」は、「ABCDEFG」であり、その電子債権には、共通識別子である「abcdefg」は付されていないといえる。
【0031】
また、債権記録のRef.Noが「ABCDEFG」である電子債権に、第2記録機関サーバー30が共通識別子を付すと、その「電子債権に関連づけられた識別子」は「ABCDEFG.abcdefg」に変更されるといえる。
【0032】
なお、第2記録機関サーバー30が電子債権に共通識別子を付す方法については、第2記録機関サーバー30の管理者が第2記録機関サーバー30を操作して当該電子債権に共通識別子を付してもよいし、第2記録機関サーバー30が何らかのアルゴリズムにしたがって電子債権記録機関の変更をしようとする電子債権を判別し、自動で当該電子債権に共通識別子を付してもよい。すなわち、本実施形態においては、第2記録機関サーバー30の管理者が第2記録機関サーバー30を操作して当該電子債権の請求者Ref.Noに「abcdefg」との文字列を加えてもよいし、第2記録機関サーバー30が何らかのアルゴリズムにしたがって電子債権記録機関の変更をしようとする電子債権を判別し、自動で当該電子債権の請求者Ref.Noに「abcdefg」との文字列を加えてもよい。
【0033】
図2は、第2記録機関サーバー30が記憶する、ある電子債権についての債権記録の記録事項のデータ200の例を示す図である。データ200は、電子債権ごとに割り当てられる記録番号と、その電子債権の債権者を示す情報と、その電子債権の債務者を示す情報と、その電子債権の金額と、請求者Ref.Noとを関連付けている。この債権者を示す情報と、債務者を示す情報には、例えば、名称、住所、決済口座、第2記録機関の利用者番号などが含まれ得る。
【0034】
一方、第2記録機関サーバー30は、いわゆる債権者請求方式による発生記録請求の通知を受けた場合も、請求受付簿に債権記録の記録事項を記録する。この場合、その債権記録に対応する電子債権に共通識別子は付されない。本実施形態では、債権者請求方式による発生記録請求の通知を受けた第2記録機関サーバー30は、その電子債権の債権記録の請求者Ref.Noに「abcdefg」との文字列を加えない。
【0035】
債権者端末40及び債務者端末50は通信機能を有する情報処理装置である。債権者端末40は電子債権の債権者が使用する情報処理装置を指し、債務者端末50は電子債権の債務者が使用する情報処理装置を指す。債権者端末40及び債務者端末50としては、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末又はスマートフォンが挙げられる。債権者端末40及び債務者端末50にはWebブラウザがインストールされていてもよいし、電子メールの通信機能を有していてもよい。
【0036】
債権者端末40を使用する債権者及び債務者端末50を使用する債務者は、それぞれ第1記録機関及び第2記録機関の利用者である。債権者端末40を使用する債権者及び債務者端末50を使用する債務者は、第1記録機関サーバー20または第2記録機関サーバー30が発する第1電子債権に関する通知に応じた情報を、情報提供装置10を介して受領する。すなわち、第1記録機関サーバー20または第2記録機関サーバー30は、第1電子債権に関する通知の直接のあて先として情報提供装置10の情報を記憶しており、まずは、情報提供装置10に債権者または債務者を示す情報を含む通知を送る。そして、これを受け取った情報提供装置10は受け取った通知に応じた情報を、債権者または債務者を示す情報に従って債権者または債務者に提供する。なお、この「提供」とは、情報提供装置10が債権者または債務者のインターフェースに情報を送信することや、債権者または債務者のメールアドレスに送信することを含む。債権者または債務者は、債権者端末40または債務者端末50を用いて、インターフェースにアクセスして情報提供装置10が送信した情報を債権者端末40または債務者端末50に表示させることができる。また、債権者または債務者は、債権者端末40または債務者端末50を用いて、情報提供装置10から債務者または債権者のメールアドレスに送信された情報を電子メールとして受信してもよい。
【0037】
また、債権者端末40を使用する債権者及び債務者端末50を使用する債務者は、第1記録機関サーバー20または第2記録機関サーバー30に向けた通知を、情報提供装置10を介して送信することができる。すなわち、債権者端末40または債務者端末50は、提供先として第1記録機関サーバー20または第2記録機関サーバー30を示す情報を含む通知を情報提供装置10に送り、これを受信した情報提供装置10は受信した通知に応じた内容を、受信した通知に含まれる提供先情報に従って第1記録機関サーバー20または第2記録機関サーバー30に送ることができる。
【0038】
[情報提供装置10のハードウエア構成]
図1に示すように、情報提供装置10は、制御部11、記憶部12、及び通信部13を備える。
【0039】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理回路を有する。制御部11は、記憶部12に記憶されたプログラムをCPUにより実行して、プログラムに対応した機能を情報提供装置10において実現させる。
【0040】
記憶部12は、ハードディスク、半導体メモリ等のメモリデバイスによって構成される記憶装置である。記憶部12は、ROM(Read only memory)を含んでもよい。記憶部12には、制御部11によって実行される各種プログラムが記憶されている。記憶部12に記憶されているプログラムには、例えば、後述する情報提供処理を実現するためのプログラムが含まれる。各プログラムは、磁気記録媒体、光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供されてもよい。また、各プログラムは、ネットワーク60経由で情報管理装置にダウンロードされてもよい。
【0041】
通信部13は、制御部11の制御によりネットワーク60と接続して、第1記録機関サーバー20、第2記録機関サーバー30、債権者端末40及び債務者端末50等の外部装置と情報の送受信を行う。
【0042】
[情報提供装置10の機能構成]
図3は、本発明の実施形態に係る情報提供装置10の情報提供機能を示すブロック図である。本実施形態では、識別子入力部101及び識別子記憶部103は、情報提供装置10の内部に含まれるものとするが、識別子入力部101及び識別子記憶部103は、ネットワーク60を通じて情報提供装置10と接続された外部の入力装置及び記憶装置であってもよい。
【0043】
識別子入力部101は、電子債権について第1記録機関サーバー20から記録機関変更通知を受けた第2記録機関サーバー30が共通して電子債権に付す識別子である共通識別子の入力を受ける。本実施形態では、「abcdefg」という文字列の入力を受ける。この共通識別子の入力方法については特に限定はなく、識別子入力部101がネットワーク60を介して第2記録機関サーバー30から共通識別子となる文字列は何であるかの通知を受け取って共通識別子を抽出する方法を用いてもよいし、あるいは、第2記録機関サーバー30の管理者が情報提供装置10の管理者に文書、口頭、メールなどの何らかの方法で共通識別子を伝えて、情報提供装置10の管理者が当該共通識別子を識別子入力部に入力する方法を用いてもよい。
【0044】
識別子記憶部103は、識別子入力部101が入力を受けた共通識別子を記憶する。また、識別子記憶部103はあらかじめ共通識別子を記憶していてもよい。
【0045】
受信部105は、第2記録機関サーバー30から第1電子債権についての通知を受信する。この第1電子債権に関する通知は、第1電子債権に関連づけられた識別子を含む。本実施形態では、第1電子債権に関する通知は、第2記録機関サーバー30が記憶する第1電子債権の請求者Ref.Noを含む。この通知には、例えば、発生記録承諾依頼通知、発生記録通知及び発生記録承諾結果が含まれる。また、この通知には、第1電子債権の債権者または債務者を提供先として示す情報が含まれている。
【0046】
判定部107は、識別子記憶部103から共通識別子を取得して、共通識別子と受信部105が受信した通知に含まれる第1電子債権と関連づけられた識別子との関係に基づいて、提供部109が受信部105の受信した通知に応じた情報を第1電子債権の債権者または債務者に提供するか否かを切り替える。本実施形態では、判定部107は識別子記憶部103から共通識別子である「abcdefg」という文字列を取得し、受信した通知が含む第1電子債権と関連づけられた識別子である請求者Ref.Noの文字列が「abcdefg」という文字列を含むかどうかを判定する。そして、含まないと判定した場合、判定部107は、提供部109に受信部105の受信した通知に応じた情報を第1電子債権の債権者または債務者に提供させ、含まれると判定した場合、提供させない。
【0047】
例えば、受信した通知が含む請求者Ref.Noが「ABCDEFG」であるとき、判定部107は、受信した通知が含む請求者Ref.Noの文字列が「abcdefg」という文字列を含まないと判断する。したがって、判定部107は、提供部109に受信部105の受信した通知に応じた情報を第1電子債権の債権者または債務者に提供させる。これに対して、受信した通知の請求者Ref.Noが「abcdefg.ABCDEFG」であるとき、判定部107は、受信した通知が含む請求者Ref.Noの文字列が「abcdefg」という文字列を含むと判断する。したがって、判定部107は、提供部109に受信部105の受信した通知に応じた情報を第1電子債権の債権者または債務者に提供させる。
【0048】
提供部109は、受信部105の受信した通知に応じた情報を第1電子債権の債権者または債務者に提供する。すなわち、提供部109は、受信部105の受信した通知に応じた情報を、第1電子債権の債権者または債務者のインターフェースに送信したり、債権者又は債務者のメールアドレスに送信したりする。
【0049】
提供部109が受信部105の受信した通知に応じた情報を第1電子債権の債権者または債務者に提供するかどうかは、上述のとおり、判定部107の判定によって決められる。
【0050】
[共通識別子取得処理]
続いて、情報提供装置10における共通識別子取得処理について説明する。
【0051】
図4は、本発明の実施形態における情報提供装置10において実行される共通識別子取得処理を示すフローチャートである。この処理は、情報提供装置10が起動すると実行される。
【0052】
まず、情報提供装置10は、電子債権について第1記録機関サーバー20から記録機関変更通知を受けた第2記録機関サーバー30が共通して電子債権に付す識別子である共通識別子が識別子入力部101に入力されるまで待機する(ステップS101;No)。本実施形態では、情報提供装置10は、「abcdefg」という文字列が識別子入力部101に入力されるまで待機する。
【0053】
共通識別子が識別子入力部101に入力されると(ステップS101;Yes)、識別子記憶部103は、その識別子を記憶し(ステップS103)、識別子取得処理が終了する。本実施形態では、「abcdefg」という文字列が識別子入力部101に入力されると、識別子記憶部103は、「abcdefg」という文字列を記憶し、識別子取得処理が終了する。
【0054】
この識別子取得処理が行われることで、情報提供装置10の識別子記憶部103には、電子債権について第1記録機関サーバー20から記録機関変更通知を受けた第2記録機関サーバー30が共通して電子債権の債権記録のデータに付す識別子である共通識別子が記憶される。なお、識別子記憶部103があらかじめ共通識別子を記憶していた場合、ここで説明した共通識別子取得処理は行わなくてもよい。
【0055】
[情報提供処理]
続いて、情報提供装置10における情報提供処理について説明する。
【0056】
図5は、本発明の実施形態における情報提供装置10において実行される情報提供処理を示すフローチャートである。この処理は、情報提供装置10において識別子取得処理が終了すると実行される。
【0057】
まず、情報提供装置10は、受信部105が第2記録機関サーバー30から、転送先として債権者または債務者を示す情報を含む第1電子債権についての通知を受信するまで待機する(ステップS201;No)。この「第1電子債権についての通知」には、例えば、発生記録承諾依頼通知、発生記録通知及び発生記録承諾結果などの通知が含まれる。
【0058】
情報提供装置10は、受信部105が第2記録機関サーバー30から転送先として債権者または債務者を示す情報を含む第1電子債権についての通知を受信すると(ステップS201;Yes)、判定部107が識別子記憶部103から共通識別子を取得し、受信部105が受信した通知に含まれる第1電子債権と関連づけられた識別子との関係に基づいて、提供部109が受信部105の受信した通知に応じた情報を第1電子債権の債権者または債務者に提供するか否かを切り替える。(ステップS203)。
【0059】
本実施形態では、情報提供装置10は、ステップS203において、受信部105が第2記録機関サーバー30から転送先として債権者または債務者を示す情報を含む第1電子債権についての通知を受信すると、判定部107が識別子記憶部103から「abcdefg」という文字列を取得し、「abcdefg」という文字列が、受信部105の受信した通知のデータの請求者Ref.Noの文字列に含まれるか否かを判定する。そして、「abcdefg」という文字列が、受信部105の受信した通知のデータの請求者Ref.Noの文字列に含まれない場合には、判定部107は、提供部109に受信部105の受信した通知に応じた情報を第1電子債権の債権者または債務者に提供させ、含まれる場合には、この提供を行わせないものとする。
【0060】
もっとも、ステップS203において判定部107が行う、提供部109が受信部105の受信した通知に応じた情報を第1電子債権の債権者または債務者に提供するか否かの切り替えは、必ずしもこの方法によらなければならないわけではない。例えば、「abcdefg」という文字列が、受信部105の受信した通知のデータの請求者Ref.Noの文字列に含まれない場合には、判定部107は、提供部109に受信部105の受信した通知に応じた情報を第1電子債権の債権者または債務者に提供させず、含まれる場合には、この提供を行わせるものとしてもよい。また、「abcdefg」という文字列が、受信部105の受信した通知のデータの請求者Ref.Noの文字列と一致する場合には、判定部107は、提供部109に受信部105の受信した通知に応じた情報を第1電子債権の債権者または債務者に提供させ、一致しない場合には、この提供を行わせないものとしてもよい。
【0061】
判定部107が、受信部105の受信した通知に共通識別子が付されていないと判定した場合(ステップS203;No)、提供部109は、受信部105が受信した通知に含まれる転送先として債権者または債務者を示す情報に基づいて、第1電子債権の債権者または債務者に、受信した通知に応じた情報を提供し(ステップS205)、ステップS201の処理に戻る。本実施形態では、判定部107が「abcdefg」という文字列が、受信部105の受信した通知のデータの請求者Ref.Noの文字列に含まれないと判定した場合、提供部109は、受信部105が受信した通知に含まれる、転送先として債権者または債務者を示す情報に基づいて、第1電子債権の債権者または債務者に、受信した通知に応じた情報を提供し、再び受信部105が第2記録機関サーバー30から情報を含む第1電子債権についての通知を受信するまで待機する。
【0062】
判定部107が、受信部105が受信した通知に共通識別子が付されていると判定した場合(ステップS203;Yes)、提供部109は受信部105が受信した通知第1電子債権の債権者端末40または債務者端末50に送信せず(ステップS207)、ステップS203の処理に戻る。本実施形態では、判定部107が「abcdefg」という文字列が、受信部105の受信した通知の請求者Ref.Noの文字列に含まれると判定した場合、提供部109は、受信部105が受信した通知に応じた情報を第1電子債権の債権者または債務者に提供せず、再び受信部105が第2記録機関サーバー30から情報を含む第1電子債権についての通知を受信するまで待機する。
【0063】
[記録機関変更]
続いて、情報提供装置10を含む情報提供システム1において記録機関の変更がなされたときの処理について説明する。なお、この説明においては、情報提供装置10から債権者または債務者に提供される情報の提供は債権者または債務者のインターフェースに送信され、債権者は債権者端末40を使用し、債務者は債務者端末50を使用してアクセスし表示するものとする。
【0064】
図6は、上述の構成を有し、上述の動作を行う情報提供装置10を含む情報提供システム1において、記録機関の変更がなされたときのフローチャートである。
【0065】
まず、第1記録機関サーバー20から第2記録機関サーバー30に第1電子債権についての記録機関変更通知が送られる(ステップS301)。この記録機関変更通知には、第1記録機関サーバー20が記憶していた第1電子債権についての債権記録の記録事項に関する情報が含まれている。なお、この記録機関変更通知は、第1電子債権の債権者と債務者が電子債権記録機関の変更を行うことについて合意していることを第1記録機関が確認したうえで、第1記録機関サーバー20を操作する第1記録機関が、第1記録機関サーバーから第2記録機関サーバー30に記録機関変更通知を送る旨の操作をすることで行われる。
【0066】
記録機関変更通知を受け取った第2記録機関サーバー30では、記録機関変更通知に含まれる情報に基づいて、第1記録機関サーバー20が記憶していた第1電子債権についての債権記録の記録事項を請求受付簿に記録する(ステップS303)。このステップS303において、第2記録機関サーバー30は、電子債権記録機関の変更をしようとする電子債権に共通で付される識別子である共通識別子を第1電子債権に付す。すなわち、第1電子債権のデータの請求者Ref.Noに「abcdefg」という文字列を加える。なお、この処理は第2記録機関が第2記録機関サーバー30を操作することにより手動で行われてもよいし、第2記録機関サーバー30が自動で行ってもよい。
【0067】
次に、第2記録機関サーバー30は、共通識別子が付された、第1電子債権についての発生記録承諾依頼通知を情報提供装置10に送る(ステップS305)。すなわち、ステップS305において第2記録機関サーバー30から情報提供装置10に送られる発生記録承諾依頼通知のデータの請求者Ref.Noには、「abcdefg」という文字列が含まれる。
【0068】
発生記録承諾依頼通知を受け取った情報提供装置10は、
図5を用いて説明した、情報提供処理を行う(ステップS307)。この例においては、情報提供装置10が受け取った発生記録承諾依頼通知には共通識別子が付されているので、情報提供装置10は発生記録承諾依頼通知を債務者端末50に送らない。
【0069】
第2記録機関サーバー30は、ステップS303において第1電子債権についての債権記録の記録事項を請求受付簿に記録した後、発生記録承諾処理をする(ステップS309)。この発生記録承諾処理は、ステップS305で行われた発生記録承諾依頼通知に対して、債務者端末50から承諾の通知があったものとして扱う処理である。なお、この処理は第2記録機関が第2記録機関サーバー30を操作することにより手動で行われてもよいし、第2記録機関サーバー30が自動で行ってもよい。
【0070】
第2記録機関サーバー30は、ステップS309において発生記録承諾処理を行った後、第1電子債権についての債権記録の記録事項を記録原簿に記録し、発生記録を成立させる(ステップS311)。
【0071】
ステップS309の後、第2記録機関サーバー30は、共通識別子が付された発生記録通知を情報提供装置10に送る(ステップS313)。発生記録通知を受け取った情報提供装置10は、
図5を用いて説明した情報提供処理を行う(ステップS315)。この例においては、情報提供装置10が受け取った発生記録通知には共通識別子が付されているので、情報提供装置10は発生記録通知を債権者端末40に送らない。
【0072】
情報提供装置10を含む情報提供システム1において上述した電子債権についての記録機関の変更処理が終了した後、当該電子債権について譲渡などの手続がなされるときは、第2記録機関サーバー30において当該手続に応じた記録が新たに作成され、当該新たに作成された記録においては共通識別子が付されなくてもよい。本実施形態では、例えば、電子債権についての記録機関の変更処理が終了した後に当該電子債権について譲渡がなされるとき、第2記録機関サーバー30において譲渡記録が作成され、当該譲渡記録の請求者Ref.Noには共通識別子である「abcdefg」との文字列が含まれなくてもよい。このようにすることにより、電子債権について記録機関の変更処理を行っている間は、情報提供装置10は発生記録承諾依頼通知や発生記録通知などの通知を債権者端末40または債務者端末50に送らないとしつつ、当該電子債権について記録機関の変更処理が終了したのちは、情報提供装置10は、当該電子債権についての通知を債権者端末40または債務者端末50に送るようにすることができる。
【0073】
なお、本実施形態においては、第2記録機関が電子債権記録機関の変更によって他の記録機関から債権記録の記録事項を引き継ぐとき、発生記録承諾結果を情報提供装置10に送らないものとする。したがって、本実施形態においては、
図6に示すように、第2記録機関サーバー30は情報提供装置10に発生記録承諾結果の通知を送らない。
【0074】
本実施形態と異なり、第2記録機関サーバー30が情報提供装置10に発生記録承諾結果の通知を送る場合、図示しないが、例えば、ステップS309の後、第2記録機関サーバー30は、共通識別子が付された発生記録承諾結果を情報提供装置10に送る。発生記録承諾結果を受け取った情報提供装置10は、
図5を用いて説明した情報提供処理を行う。この例においては、情報提供装置10が受け取った発生記録承諾結果には共通識別子が付されているので、情報提供装置10は発生記録承諾結果を債権者端末40に送らない。
【0075】
[債権者請求方式]
続いて、情報提供装置10を含む情報提供システム1において、債権者請求方式によって電子債権が発生する際の処理について説明する。なお、この説明においては、情報提供装置10から債権者または債務者に提供される情報の提供は債権者または債務者のインターフェースに送信され、そのインターフェースを、債権者は債権者端末40を使用し、債務者は債務者端末50を使用して表示するものとする。
【0076】
図7は、上述の構成を有し、上述の動作を行う情報提供装置10を含む情報提供システム1において、債権者請求方式によって、第2記録機関が記録をする電子債権が発生するときのフローチャートである。
【0077】
まず、債権者端末40から情報提供装置10に第1電子債権についての発生記録請求が送られる(ステップS401)。この発生記録請求には、提供先として第2記録機関サーバー30を示す情報が含まれているので、情報提供装置10は、発生記録請求を第2記録機関サーバー30に送る(ステップS403)。
【0078】
情報提供装置10から第1電子債権についての発生記録請求を受け取った第2記録機関サーバー30は、第1電子債権についての債権記録の記録事項を請求受付簿に記録する(ステップS405)。なお、この処理は第2記録機関が第2記録機関サーバー30を操作することにより手動で行われてもよいし、第2記録機関サーバー30が自動で行ってもよい。
【0079】
次に、第2記録機関サーバー30は、発生記録承諾依頼通知を情報提供装置10に送る(ステップS407)。この発生記録承諾依頼通知には、提供先として債務者端末50を示す情報が含まれているが、記録機関変更の場合と異なり、共通識別子は含まれない。
【0080】
発生記録承諾依頼通知を受け取った情報提供装置10は、
図5を用いて説明した、情報提供処理を行う(ステップS409)。この例においては、情報提供装置10が受け取った発生記録承諾依頼通知には、共通識別子は含まれてないので、情報提供装置10は受け取った発生記録承諾依頼通知に含まれる転送先として債務者を示す情報に従って、第1電子債権についての発生記録承諾依頼通知を債務者のインターフェースに送信し(ステップS411)、債務者はそのインターフェースを債務者端末50に表示させる
【0081】
債務者が情報提供装置10から第1電子債権についての発生記録承諾依頼通知を受け取ると、債務者端末50を使用する債務者は、第1電子債権の発生を承諾する場合は承諾の通知を、異議がある場合は否認の通知を債務者端末50から情報提供装置10に送る(ステップS413)。この承認の通知及び否認の通知には転送先として第2記録機関サーバー30を示す情報が含まれる。この例においては、債務者は第1電子債権についての発生を承諾し、債務者端末50から情報提供装置10に送るものとする。
【0082】
債務者端末50から承諾の通知を受け取った情報提供装置10は、承諾の通知を第2記録機関サーバー30に送る(ステップS415)。
【0083】
情報提供装置10から承諾の通知を受け取った第2記録機関サーバー30は、当該承諾の通知を受け取ったことを示す発生記録承諾結果の通知を情報提供装置10に送る(ステップS417)。この発生記録承諾結果の通知には、提供先として債務者端末50を示す情報が含まれるが、共通識別子は含まれない。発生記録承諾結果の通知を受け取った情報提供装置10は、
図5を用いて説明した情報提供処理を行う(ステップS419)。この例においては、情報提供装置10が受け取った発生記録通知には共通識別子は含まれないので、情報提供装置10は発生記録承諾結果の通知を債務者のインターフェースに送信し(ステップS421)、債務者はそのインターフェースを債務者端末50に表示させる。
【0084】
情報提供装置10から承諾の通知を受け取った第2記録機関サーバー30は、第1電子債権についての債権記録の記録事項を記録原簿に記録し、発生記録を成立させる(ステップS423)。
【0085】
ステップS423の後、第2記録機関サーバー30は、発生記録通知を情報提供装置10に送る(ステップS425)。この発生記録通知には、転送先として債権者端末40を示す情報が含まれるが、共通識別子は含まれていない。発生記録通知を受け取った情報提供装置10は、
図5を用いて説明した情報提供処理を行う(ステップS427)。この例においては、情報提供装置10が受け取った発生記録通知には共通識別子は含まれていないので、情報提供装置10は発生記録通知を債権者のインターフェースに送信し、(ステップS429)、債権者はそのインターフェースを債権者端末40に表示させる。
【0086】
以上説明したとおり、情報提供装置10は、債権者請求方式によって電子債権が発生する際には、記録機関を変更した場合と異なり、発生記録承諾依頼通知、発生記録通知及び発生記録承諾結果を債権者または債務者に送ることができる。
【0087】
図8は、情報提供装置10の代わりに、従来における情報提供装置70を含む情報提供システム1において、記録機関の変更がなされたときのフローチャートである。なお、この説明においては、情報提供装置70から債権者または債務者に提供される情報の提供は債権者または債務者のインターフェースに送信され、そのインターフェースを、債権者は債権者端末40を使用し、債務者は債務者端末50を使用して表示するものとする。
【0088】
まず、第1記録機関サーバー20から第2記録機関サーバー30に第1電子債権についての記録機関変更通知が送られる(ステップS501)。なお、この記録機関変更通知は、第1電子債権の債権者と債務者が電子債権記録機関の変更を行うことについて合意していることを第1記録機関が確認したうえで行われる。記録機関変更通知を受け取った第2記録機関サーバー30では、第1記録機関サーバー20が記憶していた第1電子債権についての債権記録の記録事項を請求受付簿に記録する(ステップS503)。
【0089】
次に、第2記録機関サーバー30は、発生記録承諾依頼通知を情報提供装置70に送る(ステップS505)。
【0090】
発生記録承諾依頼通知を受け取った情報提供装置70は、その発生記録承諾依頼通知を債務者のインターフェースに送信し(ステップS507)、債務者はそのインターフェースを債務者端末50に表示させる。
【0091】
第2記録機関サーバー30は、ステップS503において第1電子債権についての債権記録の記録事項を請求受付簿に記録した後、発生記録承諾処理をし(ステップS509)、第1電子債権の債権記録の記録事項を記録原簿に記録し、発生記録を成立させる(ステップS511)。この発生記録承諾処理は、ステップS507で行われた発生記録承諾依頼通知に対して、債務者端末50から承諾の通知があったものとして扱う処理である。
【0092】
ステップS511の後、第2記録機関サーバー30は、発生記録通知を情報提供装置70に送る(ステップS513)。発生記録通知を受け取った情報提供装置70は、その発生記録通知を債権者のインターフェースに送信し(ステップS515)、債権者はそのインターフェースを債権者端末40に表示させる。
【0093】
なお、上述したように、本実施形態においては、第2記録機関が電子債権記録機関の変更によって他の記録機関から債権記録の記録事項を引き継ぐとき、発生記録承諾結果を情報提供装置70に送らない仕様となっている。したがって、本実施形態においては、
図8に示すように、第2記録機関サーバー30は情報提供装置70に発生記録承諾結果の通知を送らない。
【0094】
本実施形態と異なり、第2記録機関サーバー30が情報提供装置10に発生記録承諾結果の通知を送る場合、図示しないが、例えば、ステップS509の後、第2記録機関サーバー30は、発生記録承諾結果の通知を情報提供装置70に送る。発生記録承諾結果の通知を受け取った情報提供装置70は、発生記録承諾結果の通知を債務者のインターフェースに送信し、債務者はそのインターフェースを債務者端末50に表示させる。
【0095】
以上説明したとおり、情報提供装置10の代わりに、従来における情報提供装置70を含む情報提供システム1において記録機関の変更がなされたとき、発生記録承諾依頼通知(ステップS507)及び発生記録通知(ステップS515)などが債権者または債務者に送られる。しかし、ステップS501の記録機関変更通知は、債権者端末40のユーザーである債権者と債務者端末50のユーザーである債務者との間で記録機関を変更することが合意されていることをあらかじめ確認したうえで行われるものであるから、発生記録承諾依頼通知(ステップS507)及び発生記録通知(ステップS515)などは、債権者及び債務者にとって無用な通知である。
【0096】
一方、本発明における情報提供装置10を含む情報提供システム1において記録機関の変更がなされたときは、債権者及び債務者にとって無用な通知である発生記録承諾依頼通知(ステップS507)及び発生記録通知(ステップS515)などは、債権者及び債務者に送られない。また、債権者請求方式による発生記録請求がなされた場合、情報提供装置10は、第2記録機関サーバー30から共通識別子の付されていない通知を受け取ると、
図5を用いて説明した情報提供処理を行い、当該通知を債権者または債務者に送る。したがって、情報提供装置10を用いると、債権者請求方式による発生記録請求がなされた場合には、発生記録承諾依頼通知、発生記録通知、発生記録承諾結果を債権者または債務者に送りつつ、記録機関の変更がなされたときは発生記録承諾依頼通知、発生記録通知、発生記録承諾結果を債権者または債務者に送らないという処理が可能となる。
【0097】
<変形例>
実施形態においては、第2記録機関サーバー30は電子債権のデータの請求者Ref.Noに共通識別子として「abcdefg」との文字列を加えるとしたが、請求者Ref.Noは本来利用者が任意で指定する番号である。したがって、債権者請求方式によって電子債権が発生する際の処理において、債権者端末40から情報提供装置10に電子債権についての発生記録請求が送られるときに(
図7におけるステップS401)、当該電子債権に共通識別子が付されることがありえる。この場合、処理が進んで情報提供装置10が第2記録機関サーバー30から発生記録承諾依頼通知を受領して情報提供処理を行うと(
図7におけるステップS409)、情報提供装置10は債務者に当該電子債権についての発生記録承諾依頼通知を提供しない。すなわち、
図7におけるステップS411が行われない。
【0098】
このことを防ぐため、情報提供装置10は、債権者端末40から共通識別子を含む発生記録請求を受信すると、エラーを表示する通知を債権者に提供してもよい。当該エラーを表示する通知の文言に特に制限はないが、例えば、「請求者Ref.Noにabcdefgとの文字列を含ませることはできません」としてもよい。このとき、情報提供装置10は、発生記録請求を第2記録機関サーバー30に送らない。したがって、これ以降の処理は行われない。
【0099】
また、情報提供装置10は、債権者端末40から共通識別子を含む発生記録請求を受信すると、これ以降の情報提供処理(
図7におけるステップS409、ステップS419、ステップS427)において受信した通知が共通識別子を含んでいたとしても、債権者又は債務者に当該通知に応じた情報を提供するとしてもよい。情報提供装置10は、共通識別子を含む発生記録請求を受信すると当該発生記録請求が対象とする電子債権の記録番号を記憶しておいて、その後の情報提供処理において当該記録番号を含む通知を受信した際には、当該通知が共通識別子を含むか否かに関わらず、当該通知に応じた情報を債権者又は債務者に提供することとしてもよい。このとき、
図7を用いて説明した債権者請求方式によって電子債権が発生するときの処理が行われる。
【0100】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。