(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記可変型のベント弁は、前記潅注ラインへ動作可能に接続され、これにより、前記可変型のベント弁を選択的に移動させて、前記潅注ライン内における流体流れを選択的に遮断し、前記吸引ライン内の吸引圧力を選択的に変化させる、請求項1に記載の吸引回路。
前記可変型のベント弁内には、第1の流れ経路および第2の流れ経路が形成され、前記第1の流れ経路は、潅注供給ラインおよび前記潅注ラインと選択的にかつ少なくとも部分的にアライメントされて、前記潅注ラインを潅注供給源へと開口させ、前記第2の流れ経路は、前記吸引ベントラインを介して前記吸引ラインおよび前記吸引排出ラインと選択的にかつ少なくとも部分的にアライメントされて、前記吸引ライン内の吸引圧力を選択的に変化させる、請求項8に記載の吸引回路。
前記アクチュエータは、可変オリフィスサイズを提供すべく前記ベント弁を移動させて、前記吸引ライン内の吸引を選択的に調節するように構成される、請求項10に記載の吸引回路。
前記コントローラは、前記吸引圧力センサーからの情報を使用して閉塞破壊の開始を検出し、前記アクチュエータを起動させて前記ベント弁を移動させることによって前記吸引ライン内の吸引圧力を低下させるように構成される、請求項6に記載の吸引回路。
【背景技術】
【0003】
ヒトの眼において視覚を得る際には、角膜と呼ばれる透明な外側部分中に光を透過させた後、レンズを介して画像を網膜上に集束させる。焦点画像の質は、多数の要素に依存する(例えば、眼のサイズおよび形状ならびに角膜およびレンズの透明度)。
【0004】
年齢または疾病に起因してレンズの透明度が低下した場合、網膜へ透過可能な光量も低減するため、視覚も低下する。このような眼のレンズの欠陥は、白内障として知られている。このような状態を治療するためには、眼科手術が必要となる。より詳細には、劣化したレンズを外科的に除去し、人工眼内レンズ(IOL)と交換する必要がある。
【0005】
白内障のレンズを除去するための1つの公知の技術として、水晶体超音波乳化吸引がある。この手術においては、肉薄の水晶体超音波乳化吸引のための切断用先端を罹患レンズに挿入し、超音波振動させる。切断用先端の振動に起因してレンズが液化または乳化し、罹患レンズを眼から吸引することができる。除去後、人工レンズを挿入する。
【0006】
眼科手術に適した典型的な超音波外科用装置は、超音波駆動されるハンドピースと、取り付けられた切断用先端と、潅注スリーブおよび電子制御コンソールとを含む。ハンドピースアセンブリは、電気ケーブルおよび可撓性管によって制御コンソールへと取り付けられる。電気ケーブルを通じて、コンソールは、ハンドピースから取り付けられた切断用先端へと送られる電力を変化させ、可撓性管は、眼内への潅注流体の供給および眼からの吸引流体の吸引をハンドピースアセンブリを通じて行う。
【0007】
ハンドピースの動作部分は、1組の圧電結晶へ直接取り付けられた中空の共振棒またはホーンを含む。これらの結晶から、水晶体超音波乳化吸引時においてホーンおよび取り付けられた切断用先端双方を駆動するために必要な超音波的振動が供給される。これらの結晶は、コンソールによって制御される。結晶/ホーンアセンブリは、ハンドピースの中空ボディまたはシェル内に懸下される。ハンドピース本体は、小直径部分においてまたは本体の遠位端にあるノーズコーンにおいて終端する。ノーズコーンは、潅注スリーブを受容する。同様に、ホーンボアは、切断用先端を受容する。先端が潅注スリーブの開口端を所定量だけ過ぎて突出するように、切断用先端を調節する。
【0008】
使用時において、切断用先端および潅注スリーブの端部を、角膜、強膜または眼の他の位置における所定サイズの小切開部へ挿入する。切断用先端を結晶駆動型の超音波ホーンによって潅注スリーブ内の長手軸に沿って超音波振動させ、選択された組織をin situで乳化させる。切断用先端の中空ボアは、ホーン中のボアと連通し、ホーン中のボアは、ハンドピースからコンソールへの吸引ラインと連通する。コンソール中の圧力低下または真空源により、眼内の乳化組織が切断用先端の開口端、切断用先端およびホーンボアならびに吸引ラインを通過し、収集装置内へと牽引または吸引される。乳化組織の吸引は、生理食塩水フラッシュ液または洗浄薬によって支援される。生理食塩水フラッシュ液または洗浄薬は、潅注スリーブ内面と切断用先端との間の小型環状隙間を通じて手術部位中に注入される。
【0009】
公知の水晶体超音波乳化吸引システムにおいては、外科用カセットも用いられる。この外科用カセットにより、硝子体網膜外科手術のための多様な機能が提供され、外科用装置を通じた手術部位内外における潅注流れおよび吸引流れの有効管理が支援される。より詳細には、このカセットは、外科用器具と患者との圧力間のインターフェースとして機能し、加圧された潅注流れおよび吸引流れを眼内外へと送達する。白内障手術のための流体工学システム内の外科用カセットに関連して、多様なポンピングシステムが用いられている(例えば、容積型システム(最も一般的には蠕動ポンプ)および真空型吸引源)。蠕動システムの場合、エラストマー導管上に作用する一連のローラーを用いて回転方向に流れを生成するのに対し、真空型システムの場合、真空源が用いられる。真空源は、空気/液体インターフェースを通じて吸引流れへ付加されることが多い。
【0010】
外科手術時において、中空の共振先端が組織によって閉塞する場合がある。このような場合、閉塞部の下方の吸引ライン中に真空が蓄積し得る。この閉塞部が均等に分解した場合、このような真空蓄積に起因して、真空レベルおよび吸引経路の適合性によっては、眼から大量の流体が吸引される場合があり、その結果、前房の浅化または崩壊の危険性が増す。このような状況は、閉塞破壊サージと一般的に呼ばれる。
【0011】
この問題に対処するため、外科用コンソールは、吸引経路中のセンサーと共に構成される。センサーにより、真空レベルの検出と、システムによる真空の所定の最大レベルへの制限とが可能になる。このようにして最大真空レベルを制限した場合、閉塞破壊サージの可能な大きさの低減において効果的であり得るものの、このように最大真空レベルを制限した場合、レンズ除去の有効性の低下および外科的時間の全体的増加に繋がり得る。システムによっては、相対的な真空レベルおよび/または真空がユーザが事前設定した上限に到達した際に警報音通知を提供することにより、外科医が適切な予防策をとることが可能になる。
【0012】
例えば、システムによっては、吸引ラインを圧力源へと接続するベント弁を開口せよとのコマンドが外科医から発行された際、真空が軽減する場合が多い。圧力源は、大気圧以上に維持される。システムに応じて、これは、潅注ライン、ポンプ排出ラインまたは大気へ接続されたライン(通気システム)であり得る。しかし、公知のベント弁の場合、懸念がいくつかある。第1に、公知のベント弁の場合、「オン/オフ」作動しかできないように構成されている。例えば、幅狭の管弁またはエラストマードーム型弁の場合、流体流れのオン/オフ制御は充分可能であるものの、一貫した可変流れ特性は示さない。そのため、この種の弁の場合、サージ回復曲線が極めて急峻である。さらに、この構成のドーム型弁の場合、動作面における問題も発生し得る。例えば、適切な配置位置を得るためには弁動作のエラストマー材料への依存度が高いため、材料の一貫性が極めて重要である。さらに、エラストマーにより形成された開口が小さい場合、弁中の流れが破片によって閉塞する場合もある。加えて、このような構成の場合、気泡が不適当に取り込まれてしまう場合もある。また、オン/オフ流れ制御の制限や、流体流れを1つの回路から別の回路へと方向付ける支援をするために弁アレイが必要となる性質があるため、これらの種類の弁の使用も制限される。
【0013】
あるいは、容積型システム内のポンプ回転を逆転させることにより、真空を低減することができる。双方向ポンプ回転を有するシステムを用いて、ユーザ入力および吸引ライン内の圧力センサーからのフィードバックに基づいて圧力/真空レベルの制御を行うことは公知であるものの、このようなシステムの場合、ポンプヘッド質量の大きな加速および減速が必要となる。そのため、応答時間が制限され得、不快な音響ノイズが発生し得る。
【0014】
コンソールと共に用いられる公知のカセットの場合も、吸引ラインが大気または液体にベントされるため、閉塞破壊時において真空サージが低下するかまたはゼロになる。従来技術の通気型カセットの場合、外気は吸引ラインに進入するものの、しかし、吸引ライン内に通気を行った場合、吸引経路コンプライアンスが大幅に増加するため、吸引システムの流体性能が変化する。コンプライアンスが増加した場合、閉塞破壊サージの大きさも大幅に増加し得、システム応答性に悪影響も出る。液体換気システムにより、潅注流体を吸引ライン内へと流入させることができ、これにより、吸引システムの流体性能への全影響を低減することができる。より高い吸引真空が用いられた場合、吸引ラインを潅注ラインへとベントさせるカセットに起因して、高圧力サージが潅注ライン内に発生し得る。他のシステムの場合、別個の潅注流体源を用いて吸引ラインをベントするため、潅注流体源を2つ用いることが必要となり、また、システムのコストおよび複雑性も増す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここで以下の説明および図面を参照して、開示される装置および方法に対する例示的アプローチが詳細に示される。図面中、いくつかの可能なアプローチが示されるが、これらの図面は必ずしも縮尺通りではなく、本開示のより優れた例示および説明のために、特定の特徴が誇張、除去または部分的に断面図で図示されている場合がある。本明細書中に記載されるさらなる記載は、網羅的なものではなく、特許請求の範囲を図面中に図示されかつ以下の詳細な説明に開示される形態および構成そのものに限定するものでもない。
【0019】
水晶体超音波乳化吸引機器は、白内障に罹患した眼レンズを除去をするための白内障眼手術において用いられることが多く、このような機器においては典型的には、手術部位内への潅注流体の導入と、手術部位からの吸引による乳化組織除去とを行う流体工学システムが用いられる。いくつかの公知のシステムの場合、容積型システム(例えば、ポンプ)を用いて適切な吸引を行う。
図1を参照して、水晶体超音波乳化吸引システムのためのポンプ20の例示的な配置構成が図示される。ポンプ20は、ポンプモータ22と、1つ以上のローラー26を含むローラーヘッド24とを含む。ポンプ20は、カセット28と共に用いられ得る。カセット28は、エラストマーシート30を有する。エラストマーシート30は、比較的硬質の本体または基板32の外部へ付加される。ポンプモータ22は、ステッパまたはDCサーボモータであり得る。ローラーヘッド24がポンプモータ22のシャフト34へと取り付けられて、ポンプモータ22により、シャフト34の軸A−Aに対して略垂直な面においてローラーヘッド24が回転する。シャフト34はまたシャフト位置エンコーダ36を含み得る。
【0020】
カセット28のシート30は、流体経路38を含む。流体経路38は、内部に成形され得る。経路38は、略平面でありかつ(平面内において)弓形形状となるように構成される。流体経路38の半径は、シャフト34の周囲のローラー26の半径とほぼ同じである。
【0021】
カセット28は、(
図2に示すように)コンソール40のカセットレシーバ36内に取り付けられるように、設計される。カセット28は、コンソール40を動作可能にハンドピース42へと接続させる(ハンドピース42の例示的な模式的配置構成を
図3に示す)。ハンドピース42は、注入スリーブ44および先端部材46を主に含む。ここで、先端部材46は、注入スリーブ44内において同軸に配置される。先端部材46は、眼47内に挿入されるように構成される。注入スリーブ44により、潅注流体がコンソール40および/またはカセット28から眼内へと流動することができる。吸引流体を先端部材46のルーメンを通じて吸引することもでき、コンソール40およびカセット28は、先端部材46に対して主に吸引/真空を提供する。水晶体超音波乳化吸引システム10の潅注機能および吸引機能を水晶体超音波乳化吸引システム11と総称する。
【0022】
ここで
図3を参照して、容積型システム(すなわち、ポンプ20)と共に用いられる例示的な水晶体超音波乳化吸引システム11について説明する。ハンドピース42の注入スリーブ44は、適切な管(すなわち、潅注ライン50)により、潅注源48へと接続される。潅注源48は、潅注流体を含む。1つの例示的な配置構成において、潅注源48は、加圧された潅注源であり得る(例えば、潅注流体を潅注供給ラインへ送達するように選択的に加圧された潅注流体バッグ)。先端部材46は、一定長さの適切な管(すなわち、吸引ライン52)により、ポンプ(例えば、ポンプ20)の入力ポート53へと接続される。
【0023】
吸引排出ライン54は、ポンプ20から延びる。1つの例示的な配置構成において、吸引排出ライン54は、ドレーンラインリザーバ56へ流体接続される。リザーバ56も、任意選択のドレーンバッグ58内へとドレーンされ得る。あるいは、極細線によって示すように、排出ライン54’をドレーンバッグ58へ直接流体接続することもできる。
【0024】
吸引ベントライン60は、吸引ライン52と吸引排出ライン54との間に流体接続される。ベントライン60は、迂回回路として構成される。以下にさらに詳述するベント弁62が、吸引ライン52内の吸引圧力を選択的に制御するように、吸引ベントライン60へと流体接続される。圧力センサー63も、吸引ライン52内の吸引圧力を検出するように、吸引ライン52と流体連通する。圧力センサー63も、コンソール40内の制御システムへ動作可能に接続される。制御システムは、以下にさらに詳述されるように、流体工学システム11のための事前設定された吸引圧力レベルを提供するように構成され得る。
【0025】
上述したように、(加圧状態であり得る)潅注源48は、潅注ライン50によってハンドピース42へと流体接続される。潅注弁64は、潅注ライン50と注入スリーブ44との間において流体接続および配置される。潅注弁64により、潅注ライン50中の潅注流体の選択的なオン/オフ制御が可能になる。
【0026】
ベント弁62は、ベントライン60内に可変オリフィスサイズを提供するように構成される。この可変オリフィスサイズにより、吸引ライン52内における吸引が選択的に調節される。より詳細には、可変型のベント弁62を用いることにより、ハンドピース42への吸引圧力を動的制御する機構を可能にしつつ、第1の方向においてポンプ20が一方向回転して流れ/真空が生成される。1つの例において、ベント弁62は多位置回転型弁として構成され得るため、ベントライン60内におけるベント弁62の角度位置に基づいて、オリフィスサイズの制御を予測可能かつ高精度に行うことが可能である。
【0027】
図4中、ベント弁62の例示的な構成を示す。
図4において、1つの例示的な構成において、多位置ベント弁62は、経路66を含む。経路66は、第1の開口部68および第2の開口部69によって規定される。
図4中、経路66が第1の開口部68から第2の開口部69へ向かって概ね均一のサイズである様子が図示されているが、経路66を可変サイズと共に構成することも可能であることが理解される。例えば、第1の開口部68および第2の開口部69の直径を経路66の中心部の直径よりも大きく構成することにより、第1の開口部68および第2の開口部69をベント弁62の周辺部70へ向かって外方にフレア形状とすることができる。
【0028】
動作時において、ベント弁62は吸引回路内において選択的回転が可能であるため、経路68の角度位置をベントライン60内において選択的に移動可能とすることができる。このような動きにより、第1の開口部68および第2の開口部69を全開、部分的閉塞および/または完全閉塞させて、吸引ライン52内における吸引圧力を選択的に制御することができる。
【0029】
圧力センサー63は、コンソール40内に取り付けられた制御システムへ動作可能に接続される。圧力センサー63は、水晶体超音波乳化吸引機器の動作時において、吸引ライン52内における圧力変化を検出および通信する。1つの例示的な構成において、所定の圧力閾値を制御システム内に設定することにより、圧力センサー63からの圧力読み取り値がこれらの閾値を超えた場合、制御システムは、吸引ライン52内における吸引圧力を選択的に変更することができる。例えば、吸引圧力が所定の圧力閾値を超えたことを圧力センサー63が検出した場合、コンソール40は、ベントライン60内におけるベント弁62の所定量の移動をトリガして、吸引圧力が事前設定された閾値を下回ることを可能にできるだけの吸引ライン52の充分なベントを可能にする。よって、圧力センサー63、ベント弁62および制御システムにより、吸引ライン52内における吸引のリアルタイム変更が可能になり、これにより、有効な閉塞破壊サージを提供しつつ、より高い最大吸引レベルの利用が可能になる。
【0030】
例えば、再度
図3を参照して、ベント弁62の経路66の配置は、第1の開口部68および第2の開口部69がベントライン60とのアライメントから外れるような配置である。この位置において、ベント弁62は「完全閉鎖」位置にあり、これによりベントライン60が遮断され、吸引圧力が円滑に吸引ライン52へ提供される。圧力センサー63が吸引ライン52内の吸引圧力が閾値レベルを超えたことを検出した場合、ベント弁62を選択的に所定の量だけ移動させて、第1の開口部68および第2の開口部69を少なくとも部分的にアライメントした状態にさせ、これにより、吸引排出ライン54/54’を部分的に開口させる。この作用により、ポンプ逆転の必要無く、吸引ライン52内の吸引圧力が所定の受容可能な量まで迅速かつ有効に回復する。しかし、経路66の構成に起因し、ベント弁62の選択的移動により、多様な吸引圧力を達成することができる。
【0031】
ベント弁62は、角度位置エンコーダ(例えば、エンコーダ36)を有するアクチュエータ(例えば、モータ71)へ動作可能に接続される。1つのこのような例示的なモータ71は、ステッパモータを含む。吸引圧力が所定の閾値を超えたことを圧力センサー63が検出した場合、コントローラは、モータ71を自動的に作動させて、ベント弁62を所定の角度位置まで回転させ、これにより、吸引ライン52内における吸引圧力を迅速に変化させる。さらに、コントローラは、潅注ライン50内に配置された圧力センサーと協働して、閉塞破壊の開始を検出および最小化するように構成され得る。より詳細には、ベント弁62は、モータ71によって自動的に回転され得、これにより、吸引ライン52内の吸引圧力を低下させる。この機能は、閉塞破壊後サージによる影響を低減するように機能する。ベント弁62により、吸引ライン52内における吸引レベルの選択的かつ動的な制御が可能となるため、真空レベルをユーザの選好に合わせて容易に調節することができ、これにより、レンズ除去をより迅速かつより効率的に行うことが可能になる。
【0032】
ここで
図5を参照して、容積型ポンピングシステムと共に用いられる別の例示的な水晶体超音波乳化吸引システム100のコンポーネントが図示される。水晶体超音波乳化吸引システム100は、
図3に示しかつ
図3と関連して上記したコンポーネントと同じもののうち多数を含む。よって、類似のコンポーネントには、同一の参照符号を付している。これらのコンポーネントの記載については、上記した
図3の記載を参照されたい。
【0033】
水晶体超音波乳化吸引システム100において、吸引排出ライン54’は、ポンプ20から延び、ドレーンバッグ58へ流体接続される。あるいは、
図3に示すように、水晶体超音波乳化吸引システム100は、排出ライン54を含み得る。排出ライン54は、ドレーンラインリザーバへと流体接続される。
【0034】
吸引ベントライン160は、吸引ライン52と、大気102との間に流体接続される。吸引ライン52内の吸引圧力を選択的に制御するように、可変型のベント弁62が吸引ベントライン160へと流体接続される。圧力センサー63も、吸引ライン52と流体連通する。
【0035】
上述したように、ベント弁62は、真空を選択的に調節するための可変オリフィスサイズが得られるように構成され、これにより、ベント弁62の角度位置に基づいてハンドピース42への真空/吸引の選択的制御を可能にしつつ、ポンプ20の一方向回転により流れ/真空を生成させる。ベント弁62は、選択的に回転可能に構成され、これにより、吸引ライン52内における吸引を動的に制御する。
【0036】
上述したように、動作時において、圧力センサー63は、コンソール40内に取り付けられた制御システムへ動作可能に接続される。圧力センサー63は、水晶体超音波乳化吸引機器の動作時において、吸引ライン52内における圧力変化を検出および通信する。1つの例示的な構成において、所定の圧力閾値は、制御システム内のユーザによって設定される。よって、吸引圧力レベルが事前設定された閾値を超えたことを圧力センサー63が検出した場合、制御システムは、ベント弁62を所定の量だけ移動させて、大気102と少なくとも部分的に連通する位置へベント弁62の経路66を配置することにより、吸引ライン52内の吸引圧力を低下させる。また、ベント弁62を全開させることにより、大気102が吸引ライン52を有効に完全にベントさせることができることが理解される。また、ベント弁62を選択的に移動させて、大気102へのベントライン160を完全に閉鎖させ、これにより、先端部材46に対する吸引ライン52内におけるフル真空/吸引圧力を有効に提供することができることが理解される。ベント弁62を移動させて吸引ライン52内における吸引圧力を選択的に調節することは、手作業で達成する(例えば、事前のユーザ設定に基づいたフットスイッチペダルの選択的操作)こともできるし、あるいは、制御システムへ動作可能に接続されたモータ71によって自動的に達成することもできる。
【0037】
ここで
図6を参照して、容積型ポンピングシステム内において用いられる別の代替的な例示的な水晶体超音波乳化吸引システム200のコンポーネントが図示される。水晶体超音波乳化吸引システム200は、
図3および
図5に示しかつ
図3および
図5と関連して上記したコンポーネントと同じもののうち多数を含む。よって、類似のコンポーネントには、同一の参照符号を付している。これらのコンポーネントの詳細な記載については、上記した
図3の記載を参照されたい。
【0038】
吸引ベントライン260は、吸引ライン52と、ベント圧源202との間に流体接続される。適切なベント圧源の例を非限定的に挙げると、加圧流体または生理食塩水がある。吸引ライン52内における吸引圧力を選択的に制御するように、可変型のベント弁62が吸引ベントライン260へと流体接続される。圧力センサー63も、吸引ライン52と流体連通する。
【0039】
ベント弁62は、真空を選択的に調節するために可変オリフィスサイズを提供するように構成され、これにより、ベント弁62の角度位置に基づいたハンドピース42に対する真空/吸引の選択的制御を可能にしつつ、流れ/真空を生成するためのポンプ20の第1の方向における一方向回転が可能となる。
【0040】
圧力センサー63は、コンソール40内に取り付けられた制御システムへ動作可能に接続され、水晶体超音波乳化吸引機器の動作時において吸引ライン52内における圧力変化を検出および通信する。1つの例示的な構成において、所定の圧力閾値を制御システム内において設定することにより、圧力センサー63からの圧力読み取り値がこれらの閾値を超えると、ベント弁62が所定の量だけ移動して、吸引ライン52内における吸引圧力が低下する。これは、少なくともベント圧源202と部分的に連通する経路66をベント弁62内に配置することにより達成され、これにより、ベントライン260が開口され、加圧流体が(例えば)吸引ライン52内へと進入する。モータ71を動作可能にベント弁62へと接続することにより、ベント弁62を所定の量だけ自動的に移動させて、センサー63から受信された情報に基づいて、吸引ライン52内における真空/吸引圧力のレベルを自動制御する。また、ベント弁62をベント圧源202に対して全開させて、(ポンプ20の動作を遮断するする必要無く)吸引ライン52内の吸引圧力を有効に無効化し得ることが理解される。あるいは、ベント弁62を完全閉鎖させることもできる(すなわち、経路66をベントライン260とのアライメントから完全に外れた位置に配置し、これにより、ベント圧源202をベントライン260と連通させないようにする)ことも理解される。この構成により、吸引ライン52内のフル真空/吸引圧力を先端部材46へ有効に提供することができる。
【0041】
ここで
図7を参照して、容積型ポンピングシステムと共に用いられるさらに別の代替的な例示的水晶体超音波乳化吸引システム300のコンポーネントが図示される。水晶体超音波乳化吸引システム300は、
図3および
図5〜
図6に示しかつ
図3および
図5〜
図6と関連して上記したコンポーネントと同じもののうち多数を含む。よって、類似のコンポーネントには、同一の参照符号を付している。これらのコンポーネントの記載については、上記した
図3の記載を参照されたい。
【0042】
吸引ベントライン360は、吸引ライン52と潅注ライン50との間に流体接続される。吸引ライン52内の吸引圧力を選択的に制御するように、可変型のベント弁62が吸引ベントライン360へ流体接続される。圧力センサー63も、吸引ライン52と流体連通する。
【0043】
ベント弁62は、真空を選択的に調節するための可変オリフィスサイズを提供するように構成され、これにより、ポンプ20を円滑に第1の方向に一方向回転させることができ、これにより、ベント弁62の角度位置に基づいたハンドピース42に対する真空/吸引の選択的制御を可能にしつつ、流れ/真空を生成することができる。
【0044】
圧力センサー63は、コンソール40内に取り付けられた制御システムへ動作可能に接続され、水晶体超音波乳化吸引機器の動作時における吸引ライン52内における圧力変化を検出および通信する。1つの例示的な構成において、所定の圧力閾値を制御システム内に設定することにより、圧力センサー63からの圧力読み取り値がこれらの閾値を超えた場合、ベント弁62を所定の量だけ選択的に移動させて、例えば吸引ライン52内の吸引圧力を低下させることができる。例えば、ベント弁62内の経路66をベントライン360と少なくとも部分的にアライメントするように移動させることにより、吸引ライン52を潅注ライン50と所定の量だけ少なくとも部分的に連通するように配置し、これにより、センサー63から受信された情報に基づいて、吸引ライン52内の真空/吸引圧力のレベルを自動制御する。ベント弁62を潅注ライン50へと全開させることにより、吸引ライン52内の吸引圧力を有効に無効化することができることが理解される。あるいは、ベント弁62を潅注ライン50を完全閉鎖させるような位置に配置することにより、吸引ライン52内におけるフル真空/吸引圧力を先端部材46へ有効に提供することができることも理解される。このような構成において、経路66は、ベントライン360と完全にアライメントされる。
【0045】
ここで
図8を参照して、容積型ポンピングシステムと共に用いられるさらに別の代替的な例示的水晶体超音波乳化吸引システム400のコンポーネントが図示される。水晶体超音波乳化吸引システム400は、
図3および
図5〜
図7に示しかつ
図3および
図5〜
図7と関連して上記したコンポーネントと同じもののうち多数を含む。
【0046】
水晶体超音波乳化吸引システム400は、ハンドピース42の注入スリーブ44を含む。ハンドピース42は、潅注ライン50によって潅注源448へと接続される。水晶体超音波乳化吸引システム400はまた、多位置潅注弁464も含み得る。多位置潅注弁464は、潅注供給ライン473、潅注ライン50およびシャントライン476間の3方向接合において流体接続および配置される。潅注ライン圧力センサー475は、シャントライン476と注入スリーブ42との間の潅注ライン50内に配置され得る。ハンドピース42にハンドピース圧力センサー443も設けてもよい。
【0047】
潅注源448は任意の適切な潅注源でよいものの、1つの例示的な配置構成において、潅注源448は加圧される。より詳細には、潅注バッグ449は、プラットフォーム451に対して配置され得、矢印453によって示される加圧力が潅注バッグ449へと付加されて、注入流体が潅注バッグ449から強制的に除去されて、潅注供給ライン473内へと流入する。他の加圧流体システムも企図される。
【0048】
先端部材46は、吸引ライン52によって蠕動ポンプ420の入力ポート53へと接続される。任意の適切なポンプ配置構成が利用可能であるが、1つの例示的な構成において、ポンプ420は、米国特許出願公開第20100286651号(名称:「Multiple Segmented Peristaltic Pump and Cassette」)に記載のようなポンプまたは米国特許第6,962,488号(名称:「Surgical Cassette Having an Aspiration Pressure Sensor」)に記載のようなポンプである。本明細書中、同文献双方の内容全体を参考のため援用する。吸引排出ライン54は、ポンプ420から延び、ベントリザーバ456へ流体接続される。ベントリザーバ546は、ドレーンバッグ58へ流体接続される。
【0049】
吸引ベントライン460は、ポンプ420を迂回するように、吸引ライン52とベントリザーバ456との間に流体接続される。可変型のベント弁62は、吸引ライン52内の吸引圧力を選択的に制御するように、吸引ベントライン460へ流体接続される。吸引圧力センサー63も、吸引ライン52と流体接続する。ベント弁62は、ベントライン460内において可変オリフィスサイズを提供するように構成され、これにより真空を選択的に調節し、これにより、ベント弁62の角度位置に基づいたハンドピース42に対する真空/吸引の選択的制御を可能にしつつ、ポンプ420が第1の方向において一方向回転して流れ/真空を生成することが可能になる。
【0050】
動作時において、圧力センサー63は、コンソール40内に取り付けられた制御システムへ動作可能に接続される。圧力センサー63は、水晶体超音波乳化吸引機器の動作時において、吸引ライン52内の圧力変化を検出および通信する。1つの例示的な構成において、所定の圧力閾値は、制御システム内に設定され、これにより、圧力センサー63からの圧力読み取り値がこれらの閾値を超えた場合、ベント弁62を選択的に所定の量だけ移動させることにより、吸引ライン52内の吸引圧力を低下させる。これは、ベントライン460と少なくとも部分的に連通する経路66をベント弁62内に配置することにより、達成される。ベントライン460はベントリザーバ456へ動作可能に接続されているため、経路66とベントライン460との間の部分的連通により、吸引ライン52内の吸引圧力が有効に低下する。ベント弁62の移動は、ベント弁62へ接続されたモータ71により達成され得る。より詳細には、モータ71は、ベント弁62を所定量だけ自動的に移動させるように構成され得、これにより、センサー63から受信された情報に基づいて、吸引ライン52内の真空/吸引圧力のレベルを自動制御する。ベント弁62を全開位置へ方向付けることにより、吸引ラインをベントリザーバ456へフルベントさせて、ポンプ420に対する入力ポート53を有効に閉鎖することができることが理解される。あるいは、ベント弁62を完全閉鎖することができ(すなわち、経路66とベントライン460とのアライメントを外すことができ)、これにより、吸引ライン52に対するベントリザーバ456を閉鎖させ、これにより、吸引ライン52内のフル真空/吸引圧力を先端部材46へ有効に提供することができることも理解される。
【0051】
上述したように、水晶体超音波乳化吸引システム400は、多位置潅注弁464も提供する。多位置潅注弁464は、潅注供給ライン473、潅注ライン50およびシャントライン476間の接合部に配置される。以下にさらに詳述するように、潅注弁464は、回転弁として構成され、水晶体超音波乳化吸引システム400中における潅注を選択的に制御するように、動作可能に配置され得る。
図9Aに示すように、1つの例示的な配置構成において、多位置潅注弁464は、交差経路構成474を含む。より詳細には、経路474は、第1の分岐474A、第2の分岐474Bおよび第3の分岐474Cを含む。T字型形状の構成を有するものとして図示しているが、流体工学システム400内の多様な流体ライン構成に応じて他の交差構成も利用可能であることが理解される。
【0052】
動作時において、
図8に示すように、第1の分岐474Aが潅注供給ライン473と完全にアライメントされかつ第3の分岐474Bが潅注ライン50と完全にアライメントされかつ第2の分岐474Cがシャントライン476とのアライメントから外れるように潅注弁464が方向付けられた場合、通常のフル潅注流れが潅注ライン50へと提供される。しかし、水晶体超音波乳化吸引システム400の潅注供給448を準備するために、潅注弁464を選択的に回転させて、第1の分岐474Aがシャントライン476と完全にアライメントされかつ第3の分岐474Cが潅注供給ライン473と完全にアライメントされるようにすることができる。よって、水晶体超音波乳化吸引システム400が動作すると、潅注供給448からの流体がドレーンバッグ58へと方向付けられる。潅注圧力センサー475を準備するために、潅注弁464を選択的に回転させて、第2のアーム474Bをシャントライン476と完全にアライメントさせかつ第3のアーム474Cを潅注ライン50と完全にアライメントさせ得る。
【0053】
図8に示す潅注弁464の多様な分岐について、潅注ライン50、シャントライン476および潅注供給ライン473のうちいずれかと完全にアライメントするように動作するものとして説明してきたが、分岐474a〜474cを各ライン50、476および473と完全にアライメントさせる必要は無いことも理解される。実際、眼47へと送達すべき流体量を有効に制御できるように、潅注弁464を選択的に配置できるように構成することができる。実際、患者によっては、(
図8に示すような)フル潅注流れがあると、患者の不快感に繋がり得るため、制御された開口により、潅注弁464の特定の分岐を多様な角度位置で潅注ライン50に対して配置することが望ましい。よって、ベント弁62と同様に、潅注弁464も、可変潅注送達に合わせて構成することができる。
【0054】
多位置潅注弁のための別の代替的構成を
図9Bに示す。この配置構成において、L字型形状経路を有する多位置潅注弁464’を内部に形成することができる。多位置潅注弁464’は、第1の分岐474A’および第2の分岐474B’を含む。以下、多位置潅注弁464’の使用について、
図10A〜
図10Cに関連して説明する。
【0055】
図10A〜
図10Cを参照して、容積型ポンピングシステムと共に用いられる別の代替的な例示的水晶体超音波乳化吸引システム400’のコンポーネントが図示される。水晶体超音波乳化吸引システム400’は、
図3および
図5〜
図8に示しかつ
図3および
図5〜
図8と関連して上記したコンポーネントと同じもののうち多数を含む。いくつかの実施形態において、外科用コンソールへ固定されるように構成された流体工学カセット内に破線の箱の内側のコンポーネントを少なくとも部分的に設けることができる。
【0056】
水晶体超音波乳化吸引システム400’は、ハンドピース42の注入スリーブ44を含む。ハンドピース42は、潅注ライン50によって潅注源448へと接続される。多位置潅注弁464’は、潅注供給ライン473、潅注ライン50およびシャントライン476間の3方向接合において流体接続されかつ配置される。潅注ライン圧力センサー475は、潅注供給448とハンドピース42との間の潅注ライン50内に配置され得る。潅注源448は任意の適切な潅注源でよいが、1つの例示的な配置構成において、潅注源448は、潅注コンテナを含む。この潅注コンテナは、重力を用いて、注入流体を潅注コンテナ内から強制的に排出し、潅注供給ライン473内へと強制的に注入させる。
【0057】
多位置潅注弁464’は、回転弁として構成され得、水晶体超音波乳化吸引システム400’内における潅注を選択的に制御するように動作可能に配置され得る。よって、動作時において、
図10Aに示すように、第1の分岐474A’が潅注ライン50とアライメントされかつ第2の分岐474B’が潅注供給ライン473およびシャントライン476とのアライメントから外れるように潅注弁464’が方向付けられる場合、潅注ライン50へは潅注は供給されない。
【0058】
ここで
図10Bを参照して、ハンドピース42へ潅注を供給するために、潅注弁464’を選択的に回転させて、第1の分岐474A’を潅注供給ライン473と少なくとも部分的にアライメントさせかつ第2の分岐474B’を潅注ライン50と少なくとも部分的にアライメントさせ得る。よって、潅注供給448からの流体を潅注供給ライン473を通じて潅注ライン50へと方向付け、潅注弁464’を通じてハンドピース42へと方向付ける。潅注弁464と同様に、第1の分岐474A’および第2の分岐474B’を選択的に配置して、眼47へと送達すべき流体量を有効に制御することが望ましい。よって、潅注ライン50を潅注供給ライン473との制御された開口部へと晒し、これにより、潅注弁464’の第1の分岐474A’および第2の分岐474B’を多様な角度位置において配置して、潅注ライン50内を通過する潅注をフル潅注よりも少量にすることができることが企図される。よって、ベント弁62と同様に、潅注弁464’も、可変潅注送達に合わせて構成することができる。
【0059】
図10Cは、潅注弁464’の作動による、水晶体超音波乳化吸引システム400’の潅注供給448の準備動作を示す。より詳細には、潅注弁464’を選択的に回転させることにより、第1の分岐474A’をシャントライン476と少なくとも部分的にアライメントさせかつ第2の分岐474B’を潅注供給ライン473と少なくとも部分的にアライメントさせ得る。よって、水晶体超音波乳化吸引システム400が動作すると、潅注供給448からの流体がドレーンバッグ58へと方向付けられる。
【0060】
多位置潅注弁464および464’双方について、可変型のベント弁62も含む水晶体超音波乳化吸引システム400と関連して説明してきたが、本開示の範囲は、多位置潅注弁464/464’および可変型のベント弁62双方を含む水晶体超音波乳化吸引システム400に限定されないことが理解される。さらに、多位置潅注弁464/464’は、「オン/オフ型」様態で動作することもできるし、あるいは、上述したように、(可変型のベント弁62に関連して上記した様態と同様の様態で)潅注量を選択的に制御するための可変オリフィスを提供するように多位置潅注弁464/464’を構成してもよい。例えば、潅注供給ライン473からハンドピース42へと提供すべき潅注量を多位置可変潅注ラインによって選択的に制御することができ、これにより、潅注供給ライン473から潅注ライン50(およびよってハンドピース42)へと供給することが可能な潅注量をフル潅注量未満にすることができる。このような場合、多位置可変潅注弁464/464’を選択的に回転させることにより、潅注供給ライン473および潅注ライン50双方との部分的連通のみを提供する。
【0061】
ここで
図11を参照して、容積型ポンピングシステムと共に用いられる、さらに別の代替的な例示的水晶体超音波乳化吸引システム500のコンポーネントが図示される。水晶体超音波乳化吸引システム500は、
図3および
図5〜
図10に示しかつ
図3および
図5〜
図10と関連して上記したコンポーネントと同じもののうち多数を含む。よって、類似のコンポーネントには、同一の参照符号を付している。これらのコンポーネントの詳細な記載については、上記した
図3の記載を参照されたい。
【0062】
水晶体超音波乳化吸引システム500は、ハンドピース42の注入スリーブ44を含む。ハンドピース42は、潅注供給ライン549により潅注源48へと接続される。潅注供給ライン549は、潅注ライン50へ流体接続される。吸引排出ライン54は、ポンプ20から延びる。1つの例示的な配置構成において、吸引排出ライン54は、ドレーンラインリザーバ56へ流体接続される。リザーバ56も、任意選択のドレーンバッグ58内へドレーンされ得る。あるいは、極細線に示すように、排出ライン54’は、ドレーンバッグ58へと直接流体接続され得る。
【0063】
吸引ベントライン560は、吸引ライン52と潅注ライン50との間において流体接続される。多目的比例弁562は、吸引ライン52内の吸引圧力および潅注ライン50内の潅注流れを選択的に制御するように、吸引ベントライン560と潅注ライン50との間に流体接続される。圧力センサー63も、吸引ライン52と流体接続する。
【0064】
多目的弁562は、吸引を選択的に調節するための可変オリフィスサイズを提供するように構成され、これにより、多目的弁62の角度位置に基づいたハンドピース42に対する真空/吸引の選択的制御を可能にかつ潅注制御を提供しつつ、ポンプ20を第1の方向において一方向回転させて、流れ/真空を生成する。より詳細には、1つの例示的な構成において、
図12A〜
図12Bを参照して、多目的弁562の本体は、周辺部570によって規定される。この本体は、周辺部570の一部内に形成された第1の流れ経路563Aと、周辺部570の別の部分内に形成される第2の流れ経路563Bとを含む。
【0065】
再度
図12Aを参照して、動作時において、多目的弁562は、カセット28内に形成された溝部600内において選択的に回転可能である。より詳細には、複数の流体ラインが溝部600へと動作可能に接続される。これら複数の流体ラインは、多目的弁562の角度位置を介して相互に選択的に接続可能である。例えば、
図11に示す水晶体超音波乳化吸引システム500において、多目的弁562は、潅注供給ライン549、潅注ライン50、吸引ライン52および吸引排出ライン54/54’へと第1の流れ経路563Aのおよび第2の流れ経路563Bを介して動作可能に接続するように、機能する。多目的弁562は、溝部600内において移動可能であり、これにより、以下にさらに詳述するように、吸引ライン52、潅注ライン50、潅注供給ライン549および吸引排出ライン54/54’に対する多様な接続配置構成を達成することができる。
【0066】
圧力センサー63は、コンソール40内に取り付けられた制御システムへ動作可能に接続され、水晶体超音波乳化吸引機器の動作時において吸引ライン52内の圧力変化を検出および通信するように構成される。1つの例示的な構成において、所定の圧力閾値を制御システム内において設定することにより、圧力センサー63からの圧力読み取り値がこれらの閾値を超えた場合、制御システムは、多目的弁562を所定量だけ選択的に移動させて、吸引ライン52内において吸引圧力を低下させ得る。より詳細には、多目的弁562内の第2の流れ経路563Bは、吸引ベントライン560に対して移動可能である。
【0067】
例えば、多目的弁562を溝部600内に配置し、選択的に回転させて、第2の流れ経路563Bが吸引ベントライン560を吸引ライン52から完全閉鎖させ、これにより、ユーザの事前選択された圧力設定によって決定されたフル真空が得られる。しかし、吸引ライン52内の圧力が(例えば閉塞破壊サージに起因して)望ましくない量だけ増加した場合、多目的弁562を選択的に所定の量だけ移動させて、第2の流れ経路563Bにより吸引ライン54/54’を動作可能に吸引ライン52へ吸引ベントライン560を介して直接接続させ、これによりポンプ20を迂回し得る。この作用により、ポンプ逆転の必要無く、吸引ライン52内の吸引圧力が所定の受容可能な量まで迅速かつ有効に回復する。
【0068】
1つの例示的な配置構成において、多目的弁562は、フットスイッチペダルへ動作可能に接続され得る。よって、ユーザは、フットスイッチペダルを操作して多目的弁562を回転させて、(例えば、自身の脚をペダルから持ち上げることにより)吸引ライン52を選択的にベントさせる。フットスイッチペダルは、制御システム設定に基づいてユーザ入力に基づいて多目的弁562を所定の量だけ所定の方向において回転させるように、構成され得る。第2の流れ経路563Bの構成に起因して、多目的弁562の選択的移動により、多様な吸引圧力を達成することができる。いくつかの例示的な状況において、排出ライン54/54’を全開にして、吸引ライン52を完全にベントさせることが望ましい場合がある。
【0069】
別の例示的な配置構成において、多目的弁562は、モータ71(例えば、ステッパモータ)へ動作可能に接続される。モータ71(例えば、ステッパモータ)は、角度位置エンコーダ(例えば、エンコーダ36)を有する。吸引圧力が所定の閾値を超えたことを圧力センサー63が検出した場合、コントローラは、モータ71を自動的に作動させて、多目的弁562を所定の位置まで回転させ、これにより、吸引ライン52内の吸引圧力を迅速に変化させる。コントローラが圧力センサー63と協働して閉塞破壊の開始を検出するように構成され得るため、多目的弁562がモータ71によって自動回転されて、吸引ライン52内の吸引圧力が所定の設定を下回るまで減少し得る。この機能は、閉塞後サージを軽減するように機能する。多目的弁562により、吸引ライン52内における吸引レベルの選択的かつ動的な制御が可能となるため、ユーザは、レンズ除去をより迅速かつより効率的に行うために、より高い真空率を選択および利用することができる。
【0070】
システム500内における吸引レベルを選択的に制御するだけでなく、多目的弁562は、さらなる目的も果たす(すなわち、潅注ライン50を通じた潅注の制御)。より詳細には、第1の流れ経路563Aは、第1の流れ経路563Aが潅注供給ライン549および潅注ライン50双方と連通した際、潅注供給ライン549を潅注ライン50へ選択的に接続させるように構成される。しかし、多目的弁562を選択的に回転させて、第1の流れ経路563Aを潅注供給ライン549との連通から外れた位置に配置することもでき、これにより、潅注が有効に遮断される。
【0071】
さらに、多目的弁562の構成により、潅注を制御しつつ、吸引レベルを選択的に制御することも可能になる。例えば、多目的弁562ならびに流体ライン549、50、54/54’および52の構成は、第1の流れ経路563Aが潅注ライン50および潅注供給ライン549双方と連通した際、第2の流れ経路563Bが排出ライン54/54’のみと連通するような構成にされ、これにより、吸引ライン52が排出ライン54/54’に対して閉鎖される。この配置構成において、潅注がハンドピース42へ供給され、ベントライン560が閉鎖される。あるいは、「潅注ラインが開口しかつベントラインが閉鎖した」位置から多目的弁562を若干回転させることにより、第2の流れ経路563Bを吸引ライン52および排出ライン54/54’双方に対して開口させ、第1の流れ経路563Aを潅注ライン50および潅注供給ライン549双方と連通させ得る。この構成において、潅注はハンドピース42へ供給され、吸引ライン52は排出ライン54/54’へ動作可能に接続され、これにより、吸引ライン52内の吸引圧力が(ゼロではないにしろ)低下する。この設計により、吸引圧力の選択的変更および潅注の選択的制御を可能にしつつ、システム500から弁要素を有効に無くすことが可能になる。
【0072】
ここで
図13を参照して、水晶体超音波乳化吸引システム内において用いられる別の吸引回路700の部分的模式図が図示される。吸引回路700は、容積型吸引モードおよび/または真空型吸引モード双方を用いる。吸引回路700は、吸引ライン752を含む。吸引ライン752は、ハンドピース742を蠕動ポンプ720の入力ポート753またはベンチュリリザーバ760の入力ポート731へと流体接続させる。吸引排出ライン754/754’は、ベンチュリリザーバ760の入力ポート731および蠕動ポンプ720の入力ポート753からそれぞれ延びる。従来技術の構成の場合、ベンチュリリザーバ760の入力ポート731の開閉と、吸引ライン752からドレーンバッグ758への選択的ベントとにおいて別個の弁を用いるが、吸引回路700の場合、(上記した
図12Aに示すように)カセットの密封溝部内に配置された多目的弁732により、2つの機能を提供する。
【0073】
より詳細には、
図14A〜
図14Cを参照して、1つの例示的な配置構成において、多目的弁732は、経路763と共に構成される。経路763は、第1の開口部765および第2の開口部767によって規定される。1つの例示的な配置構成において、第2の開口部767は、外方に延びるフレアと共に構成され得る。あるいは、経路763は、多目的弁732の周辺部770と共に外方にフレアする三角形状と共に構成され得る。第1の開口部765は、経路763に対して横断方向に配置される。第2の開口部は、多目的弁732の周辺部770を通じて形成される。
【0074】
図14Aを参照して、動作時において、ポンプ720によって吸引が吸引ライン752へと送達されるように、多目的弁732が配置され得る。この構成において、多目的弁732を選択的に回転させて、ベンチュリリザーバに対する入力ライン731を閉鎖させ、吸引排出ライン754を吸引ライン752から閉鎖させる。この構成において、フル吸引がポンプ720によって提供される。
【0075】
吸引ライン752内の圧力を検出および監視するように、圧力センサー769が入力ライン753内に配置され得る。圧力センサー769は、コンソール内に取り付けられた制御システムへと動作可能に接続される。圧力センサー769は、水晶体超音波乳化吸引機器の動作時において、吸引ライン752内における圧力変化を検出および通信する。1つの例示的な構成において、所定の圧力閾値を制御システム内に設定することにより、圧力センサー769からの圧力読み取り値がこれらの閾値を超えた場合、システムは、多目的弁732の所定の量だけの移動を促し、これにより、吸引ライン52内の吸引圧力を低下させている場合がある。より詳細には、
図14Bを参照して、多目的弁732を回転させて、経路763の第2の開口部767を吸引排出ライン754と少なくとも部分的に流体接続させ得る。よって、吸引ライン752内の圧力が(例えば閉塞破壊サージに起因して)望ましくない量だけ増加した場合、多目的弁732を所定の量だけ選択的に移動させて、
図14Bに示すように吸引排出ライン754を部分的に開口させ得る。この作用により、吸引ライン752内の吸引圧力が(ポンプ逆転を必要とすることなく)所定の受容可能な量まで迅速かつ有効に回復する。しかし、必要であれば、吸引ライン752を吸引排出ライン754まで全開させるように経路763を回転させてもよいことが理解される。
【0076】
上述したように、多目的弁732を用いて、吸引源をポンプ720からベンチュリリザーバ760へと切り換えることもできる。
図14Cを参照して、この構成において、第2の開口部767がベンチュリリザーバ760の入力731と連通するように経路763を配置し、これにより、吸引ライン752をベンチュリリザーバ760へと接続させる。しかし、吸引排出ライン754は、吸引ライン752から閉鎖される。
【0077】
いくつかの実施形態において、外科用システムにおいて用いられる流体工学システムは、吸引回路を含み得る(この吸引回路は、外科用器具へ動作可能に接続された吸引ライン、排泄物容器へ動作可能に接続された吸引排出ライン、吸引ラインにおいて第1の端部へ接続された吸引ベントライン、および吸引ベントラインへ動作可能に接続された選択的可変弁を含む(可変弁を選択的に作動させて、吸引ライン内の吸引圧力を選択的に変化させる))。この流体工学システムは、潅注回路も含む(この潅注回路は、潅注源、潅注源へ接続された潅注供給ライン、および潅注ラインを含み、潅注ラインは、潅注供給ラインへ動作可能に接続された第1の端部および外科用装置へ動作可能に接続された第2の端部を有する)。この流体工学システムは、シャント経路をさらに含み得る。シャント経路の第1の端部は、潅注供給ラインへ動作可能に接続され、シャント経路の第2の端部は、排泄物容器へと接続される。流体工学システムは、選択的に配置可能な潅注弁をさらに含み得る。この選択的に配置可能な潅注弁は、潅注供給ライン、潅注ラインおよびシャント経路へ動作可能に接続され、これにより、選択的に配置可能な潅注弁を移動させて、潅注供給ラインからの潅注を方向付ける。いくつかの実施形態において、潅注弁は、回転弁であり得、内部に交差経路が形成される。経路は、第1の分岐、第2の分岐および第3の分岐を規定する。いくつかの実施形態において、潅注弁は、第1の位置、第2の位置および第3の位置間において選択的に移動可能であり、第1の位置において、第1の分岐は、潅注供給ラインと連通する位置に配置され、第2の分岐は、潅注ラインと連通する位置に配置され、第2の位置において、第1の分岐は、シャント経路と連通する位置に配置され、第3の分岐は、潅注供給ラインと連通する位置に配置され、第3の位置において、第1の分岐は、潅注ラインと連通する位置に配置され、第2の分岐は、潅注供給ラインと連通する位置に配置され、第3の分岐は、シャント経路と連通する位置に配置される。いくつかの実施形態において、可変弁もまた、潅注ラインへ接続されて、可変弁を選択的に移動させて、潅注ライン内の流体流れを選択的に遮断し、吸引ライン内の吸引圧力を選択的に変化させる。いくつかの実施形態において、可変弁の内部に第1の流れ経路および第2の流れ経路が形成され得る。第1の流れ経路は、潅注ラインが潅注供給源に対して開口するように、潅注供給ラインおよび潅注ラインと選択的にアライメントされ得る。第2の流れ経路は、吸引ライン内の吸引圧力を選択的に変化させるように、吸引ラインおよび吸引排出ラインと選択的にアライメントされ得る。
【0078】
いくつかの実施形態において、選択的に吸引を制御するための流体工学システムのための吸引回路は、外科用器具へ動作可能に接続された吸引ラインと、排泄物容器へ動作可能に接続された第1の吸引排出ラインと、排泄物容器へ動作可能に接続された第2の吸引排出ラインと、容積型吸引源であって、第1の吸引排出ラインへ動作可能に接続された容積型吸引源と、第2の吸引排出ラインへ動作可能に接続された真空型吸引源と、容積型吸引源および真空型吸引源へ動作可能に接続された選択的可変弁とを含んでいる場合がある。容積型吸引源の使用時において、可変弁を作動させて、吸引ライン内の吸引圧力を選択的に変化させることができる。いくつかの実施形態において、可変弁を選択的に作動させることにより、吸引ラインに対して真空型吸引源からの吸引圧力が提供され得る。いくつかの実施形態において、容積型吸引源は蠕動ポンプであり、真空型吸引源は、ベンチュリリザーバを含む。いくつかの実施形態において、可変弁は、経路を含む弁本体をさらに含む。この経路は、第1の開口部および第2の開口部によって規定される。第1の開口部は、経路の長さに対して横断方向に配置され、第2の開口部は、弁本体の周辺部を通じて形成される。
【0079】
本明細書中に記載の装置および方法は、広範な用途を有することが理解される。上記の実施形態は、方法および装置の原則ならびにいくつかの実際的用途を例示するために選択および記載したものである。当業者であれば、上記の記載を読めば、方法および装置を多様な実施形態において使用することができ、企図される特定の用途に合わせて多様な変更が可能である。特許法の規定に従い、本発明の原理および実施形態について、例示的な実施形態において説明および例示してきた。
【0080】
本方法および装置の範囲は、以下の特許請求の範囲によって規定されることが意図される。しかし、本発明は、その意図または範囲から逸脱することなく、特定の説明および例示以外の様態で実行することが可能であることが理解されねばならない。当業者であれば、特許請求の範囲を実行する際、本明細書中に記載される実施形態に対する多様な代替例を(以下の特許請求の範囲に記載のような意図および範囲から逸脱することなく)用いることが可能であることを理解するべきである。本発明の範囲は、上記記載を鑑みるのではなく、添付の特許請求の範囲およびその特許請求の範囲の均等物の全体的範囲と共に決定されるべきである。本明細書中に記載される分野において将来開発が進み、開示されるシステムおよび方法がそのような将来の例において用いられることが予測および意図される。さらに、特許請求の範囲中において用いられる用語は全て、本明細書中に特に明記無き限り、最も広くかつ合理的な解釈および当業者が理解する通常の意味が付与されるべきである。詳細には、単数形の使用(例えば、「a」、「the」、「said」)については、特許請求の範囲中に特に明記無き限り、記載の要素が1つ以上あることを意味しているものとして解釈されるべきである。以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を規定するものであり、特許請求の範囲内の方法および装置ならびにその均等物が特許請求の範囲によって網羅されるべきであることが意図される。最後に、本発明は、改変および変更が可能であり、以下の特許請求の範囲のみによって限定されることが理解されるべきである。