(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863938
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】受信装置、受信制御方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H04B 1/16 20060101AFI20210412BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20210412BHJP
H02J 50/20 20160101ALI20210412BHJP
【FI】
H04B1/16 U
H02J7/00 301D
H02J50/20
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-161887(P2018-161887)
(22)【出願日】2018年8月30日
(65)【公開番号】特開2020-36219(P2020-36219A)
(43)【公開日】2020年3月5日
【審査請求日】2020年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨンビン
【審査官】
佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/029964(WO,A1)
【文献】
特開2015−032892(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2017/0288473(US,A1)
【文献】
韓国登録特許第10−1710012(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/16
H02J 7/00
H02J 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定周波数帯を他の無線通信システムと共用する無線通信システムの受信装置において、
少なくとも前記特定周波数帯を含む周波数帯の受信信号を、前記受信信号の電力を複数の出力ポートに分配して出力するか又は一の出力ポートのみに出力するかを選択する信号分配部と、
前記信号分配部から出力された前記受信信号を使用して前記特定周波数帯の信号に関する受信処理を実行する受信処理部と、
前記信号分配部から出力された前記受信信号の電力を使用して蓄電池の充電を行う充電部と、
前記特定周波数帯の受信干渉電力を検知する測定部と、
前記受信干渉電力が所定の受信干渉電力閾値を超える場合、前記蓄電池の充電の必要性に応じて前記信号分配部を制御する制御部と、
を備える受信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記蓄電池の充電が必要であると判断した場合において、
前記特定周波数帯の信号のSINRが所定のSINR閾値を超えるときには、前記信号分配部に対して、前記受信処理部と前記充電部との両方へ前記受信信号の電力を分配して前記受信信号を出力させる、
一方、前記特定周波数帯の信号のSINRが前記SINR閾値以下であるときには、前記信号分配部に対して、前記充電部のみに前記受信信号を出力させる、
請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記蓄電池の充電が不要であると判断した場合において、
前記特定周波数帯の信号のINRが所定のINR閾値を超えるときには、前記信号分配部に対して前記受信処理部のみに前記受信信号を出力させ、前記受信処理部に対して前記特定周波数帯の信号からの干渉信号の除去を指示し、
一方、前記特定周波数帯の信号のINRが所定のINR閾値以下であるときには、前記信号分配部に対して前記受信処理部のみに前記受信信号を出力させ、前記特定周波数帯の信号に関するビームフォーミングを指示する、
請求項1又は2のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項4】
特定周波数帯を他の無線通信システムと共用する無線通信システムの受信装置の受信制御方法であって、
前記受信装置が、少なくとも前記特定周波数帯を含む周波数帯の受信信号を、前記受信信号の電力を複数の出力ポートに分配して出力するか又は一の出力ポートのみに出力するかを選択する信号分配ステップと、
前記受信装置が、前記信号分配ステップにより出力された前記受信信号を使用して前記特定周波数帯の信号に関する受信処理を実行する受信処理ステップと、
前記受信装置が、前記信号分配ステップにより出力された前記受信信号の電力を使用して蓄電池の充電を行う充電ステップと、
前記受信装置が、前記特定周波数帯の受信干渉電力を検知する測定ステップと、
前記受信干渉電力が所定の受信干渉電力閾値を超える場合、前記蓄電池の充電の必要性に応じて前記信号分配ステップを制御する制御ステップと、
を含む受信制御方法。
【請求項5】
特定周波数帯を他の無線通信システムと共用する無線通信システムの受信装置のコンピュータに、
少なくとも前記特定周波数帯を含む周波数帯の受信信号を、前記受信信号の電力を複数の出力ポートに分配して出力するか又は一の出力ポートのみに出力するかを選択する信号分配ステップと、
前記信号分配ステップにより出力された前記受信信号を使用して前記特定周波数帯の信号に関する受信処理を実行する受信処理ステップと、
前記信号分配ステップにより出力された前記受信信号の電力を使用して蓄電池の充電を行う充電ステップと、
前記特定周波数帯の受信干渉電力を検知する測定ステップと、
前記受信干渉電力が所定の受信干渉電力閾値を超える場合、前記蓄電池の充電の必要性に応じて前記信号分配ステップを制御する制御ステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置、受信制御方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
SWIPT(Simultaneous Wireless Information and Power Transfer)技術を利用する受信装置が、例えば特許文献1に記載されている。また、複数の無線通信システムで同じ周波数帯を共用するための周波数共用技術が、例えば非特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0288473号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】“Regulatory Pilot on Licensed Shared Access in a Live LTE-TDD Network in IMT Band 40”, IEEE TRANSACTIONS ON COGNITIVE COMMUNICATIONS AND NETWORKING, VOL. 3, NO. 3, SEPTEMBER 2017
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の無線通信システムで同じ周波数帯を共用する場合において、SWIPT技術を利用する受信装置を適用するときに、同じ周波数帯を共用する相手から想定外の電波干渉を受けると、受信装置のSWIPT技術による充電能力が不足する可能性があった。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、受信装置のSWIPT技術による充電を適切に制御することを図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一態様は、特定周波数帯を他の無線通信システムと共用する無線通信システムの受信装置において、少なくとも前記特定周波数帯を含む周波数帯の受信信号を、前記受信信号の電力を複数の出力ポートに分配して出力するか又は一の出力ポートのみに出力するかを選択する信号分配部と、前記信号分配部から出力された前記受信信号を使用して前記特定周波数帯の信号に関する受信処理を実行する受信処理部と、前記信号分配部から出力された前記受信信号の電力を使用して蓄電池の充電を行う充電部と、前記特定周波数帯の受信干渉電力を検知する測定部と、前記受信干渉電力が所定の受信干渉電力閾値を超える場合、前記蓄電池の充電の必要性に応じて前記信号分配部を制御する制御部と、を備える受信装置である。
(2)本発明の一態様は、前記制御部は、前記蓄電池の充電が必要であると判断した場合において、前記特定周波数帯の信号のSINRが所定のSINR閾値を超えるときには、前記信号分配部に対して、前記受信処理部と前記充電部との両方へ前記受信信号の電力を分配して前記受信信号を出力させる、一方、前記特定周波数帯の信号のSINRが前記SINR閾値以下であるときには、前記信号分配部に対して、前記充電部のみに前記受信信号を出力させる、上記(1)の受信装置である。
(3)本発明の一態様は、前記制御部は、前記蓄電池の充電が不要であると判断した場合において、前記特定周波数帯の信号のINRが所定のINR閾値を超えるときには、前記信号分配部に対して前記受信処理部のみに前記受信信号を出力させ、前記受信処理部に対して前記特定周波数帯の信号からの干渉信号の除去を指示し、一方、前記特定周波数帯の信号のINRが所定のINR閾値以下であるときには、前記信号分配部に対して前記受信処理部のみに前記受信信号を出力させ、前記特定周波数帯の信号に関するビームフォーミングを指示する、上記(1)又は(2)のいずれかの受信装置である。
【0008】
(4)本発明の一態様は、特定周波数帯を他の無線通信システムと共用する無線通信システムの受信装置の受信制御方法であって、前記受信装置が、少なくとも前記特定周波数帯を含む周波数帯の受信信号を、前記受信信号の電力を複数の出力ポートに分配して出力するか又は一の出力ポートのみに出力するかを選択する信号分配ステップと、前記受信装置が、前記信号分配ステップにより出力された前記受信信号を使用して前記特定周波数帯の信号に関する受信処理を実行する受信処理ステップと、前記受信装置が、前記信号分配ステップにより出力された前記受信信号の電力を使用して蓄電池の充電を行う充電ステップと、前記受信装置が、前記特定周波数帯の受信干渉電力を検知する測定ステップと、前記受信干渉電力が所定の受信干渉電力閾値を超える場合、前記蓄電池の充電の必要性に応じて前記信号分配ステップを制御する制御ステップと、を含む受信制御方法である。
【0009】
(5)本発明の一態様は、特定周波数帯を他の無線通信システムと共用する無線通信システムの受信装置のコンピュータに、少なくとも前記特定周波数帯を含む周波数帯の受信信号を、前記受信信号の電力を複数の出力ポートに分配して出力するか又は一の出力ポートのみに出力するかを選択する信号分配ステップと、前記信号分配ステップにより出力された前記受信信号を使用して前記特定周波数帯の信号に関する受信処理を実行する受信処理ステップと、前記信号分配ステップにより出力された前記受信信号の電力を使用して蓄電池の充電を行う充電ステップと、前記特定周波数帯の受信干渉電力を検知する測定ステップと、前記受信干渉電力が所定の受信干渉電力閾値を超える場合、前記蓄電池の充電の必要性に応じて前記信号分配ステップを制御する制御ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、受信装置のSWIPT技術による充電を適切に制御することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係る受信装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態に係る受信装置の適用例1を示す説明図である。
【
図3】一実施形態に係る受信装置の適用例2を示す説明図である。
【
図4】一実施形態に係る受信制御方法の手順の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、一実施形態に係る受信装置の構成例を示すブロック図である。
図1に示される受信装置10は、SWIPT技術により、電力伝送とデータ通信とを同時に行う機能を有する。
図1において、受信装置10は、アンテナANTと、信号分配部(power splitter)11と、受信処理部12と、充電部13と、蓄電池14と、測定部15と、制御部16と、を備える。
【0013】
受信装置10は、特定周波数帯Fを他の無線通信システムと共用する無線通信システムの受信装置である。信号分配部11には、アンテナANTで受信された受信信号が入力ポートINに入力される。アンテナANTで受信された受信信号は、少なくとも特定周波数帯Fを含む周波数帯の信号である。信号分配部11は、入力ポートINに入力された受信信号を、当該受信信号の電力を2個の出力ポートOUT1,OUT2に分配して出力するか、又は、2個の出力ポートOUT1,OUT2のうちいずれか1個の出力ポートのみに出力するか、を制御部16からの指示に従って選択する。信号分配部11は、制御部16からの指示に従って選択した2個又は1個の出力ポートへ、入力ポートINに入力された受信信号を出力する。2個の出力ポートOUT1,OUT2が選択された場合、入力ポートINに入力された受信信号は、各出力ポートOUT1,OUT2へ、所定の比率で電力が分配されて出力される。出力ポートOUT1は受信処理部12に接続される。出力ポートOUT2は充電部13に接続される。
【0014】
受信処理部12は、信号分配部11から出力された受信信号を使用して特定周波数帯Fの信号に関する受信処理を実行する。受信処理は、例えば復調や復号などの処理である。
【0015】
充電部13は、エネルギーハーベスティング(energy harvesting:EH)技術により、充電を行う機能を有する。充電部13は、信号分配部11から出力された受信信号の電力を使用して蓄電池14の充電を行う。なお、充電部13が充電する対象の蓄電池14は、受信装置10に備わるものであってもよく、又は、受信装置10の外部に設けられたものであってもよい。例えば、センサネットワークを構成するセンサの電源である蓄電池14が、充電部13の充電対象であってもよい。
【0016】
測定部15は、アンテナANTで受信された受信信号に基づいて、特定周波数帯Fの測定を行う。測定部15の測定項目は、受信干渉電力、SINR(Signal to Interference and Noise power Ratio)、INR(Interference to Noise power Ratio)などである。測定部15は、測定結果を制御部16へ通知する。
【0017】
制御部16は、受信装置10の制御を行う。制御部16は、測定部15で検知された受信干渉電力P_Iが所定の受信干渉電力閾値P_Tを超える場合、蓄電池14の充電の必要性に応じて信号分配部11を制御する。
【0018】
図2及び
図3は、本実施形態に係る受信装置の適用例を示す説明図である。
【0019】
[受信装置の適用例1]
図2は、本実施形態に係る受信装置の適用例1を示す説明図である。
図2において、通信端末30は、特定周波数帯Fを利用する既存の無線通信システム(既存利用者)の通信端末である。受信装置10は、特定周波数帯Fを共用する無線通信システム(共用利用者)の受信装置である。
図2の適用例1では、共用利用者の受信装置10は固定されていて移動しない。共用利用者の受信装置10は例えば固定基地局の受信装置である。一方、既存利用者の通信端末30は移動する。通信端末30が移動して受信装置10に近づくことにより、受信装置10は、通信端末30から受ける特定周波数帯Fの受信干渉電力P_Iが大きくなる。
【0020】
[受信装置の適用例2]
図3は、本実施形態に係る受信装置の適用例2を示す説明図である。
図3において、受信装置10は、特定周波数帯Fを利用する既存の無線通信システム(既存利用者)の通信端末に備わる受信装置である。送信装置40は、特定周波数帯Fを共用する無線通信システム(共用利用者)の送信装置である。
図3の適用例2では、共用利用者の送信装置40は固定されていて移動しない。共用利用者の送信装置40は例えば固定基地局の送信装置である。一方、既存利用者の通信端末(受信装置10)は移動する。既存利用者の通信端末(受信装置10)が移動して送信装置40に近づくことにより、通信端末の受信装置10は、送信装置40から受ける特定周波数帯Fの受信干渉電力P_Iが大きくなる。
【0021】
次に、
図4を参照して本実施形態に係る受信装置10の動作を説明する。
図4は、本実施形態に係る受信制御方法の手順の例を示すフローチャートである。
【0022】
(ステップS1) 測定部15は、アンテナANTで受信された受信信号に基づいて、特定周波数帯Fの受信干渉電力P_Iを検知する。測定部15は、検知結果の受信干渉電力P_Iを制御部16へ通知する。
【0023】
(ステップS2) 制御部16は、測定部15から通知された受信干渉電力P_Iと、所定の受信干渉電力閾値P_Tとを比較する。この比較の結果、受信干渉電力P_Iが受信干渉電力閾値P_Tを超える場合にはステップS3に進み、受信干渉電力P_Iが受信干渉電力閾値P_T以下である場合にはステップS1に戻る。
【0024】
(ステップS3) 制御部16は、蓄電池14の充電が必要か否かを判断する。制御部16は、充電部13から蓄電池14の充電量の通知を受ける。制御部16は、蓄電池14の充電量が所定の充電量閾値Th未満である場合に、蓄電池14の充電が必要であると判断する。一方、制御部16は、蓄電池14の充電量が充電量閾値Th以上である場合には、蓄電池14の充電が不要であると判断する。蓄電池14の充電が必要である場合には、EH(エネルギーハーベスティングによる蓄電池の充電)優先モードのステップS4に進む。蓄電池14の充電が不要である場合には、Rx(受信処理)優先モードのステップS7に進む。
【0025】
(ステップS4) 測定部15は、特定周波数帯FのSINRの測定結果を制御部16へ通知する。制御部16は、測定部15から通知されたSINRと、所定のSINR閾値R1とを比較する。SINR閾値R1は、特定周波数帯Fにおける情報の復調及び復号(information decode:ID)が成功する基準のSINRに基づいた目標値である。当該比較の結果、SINRがSINR閾値R1を超える場合にはステップS5に進み、SINRがSINR閾値R1以下である場合にはステップS6に進む。
【0026】
(ステップS5) 制御部16は、信号分配部11に対して、受信処理部12(出力ポートOUT1)と充電部13(出力ポートOUT2)との両方へ、入力ポートINに入力された受信信号を出力するように指示する。信号分配部11は、制御部16からの指示に従って、受信処理部12(出力ポートOUT1)と充電部13(出力ポートOUT2)との両方へ、入力ポートINに入力された受信信号の電力を所定の比率で分配して当該受信信号を出力する。
【0027】
充電部13は、信号分配部11から出力された干渉信号を含む受信信号の電力を使用して蓄電池14の充電を行う。受信処理部12は、信号分配部11から出力された受信信号を使用して特定周波数帯Fの信号に関する受信処理を実行し、通信相手から送信された情報の復調及び復号を行う。ステップS5の後にステップS10ヘ進む。
【0028】
(ステップS6) 制御部16は、信号分配部11に対して、充電部13(出力ポートOUT2)のみへ、入力ポートINに入力された受信信号を出力するように指示する。信号分配部11は、制御部16からの指示に従って、充電部13(出力ポートOUT2)のみへ、入力ポートINに入力された受信信号を出力する。充電部13は、信号分配部11から出力された干渉信号を含む受信信号の電力を使用して蓄電池14の充電を行う。ステップS6の後にステップS10ヘ進む。
【0029】
(ステップS7) 測定部15は、特定周波数帯FのINRの測定結果を制御部16へ通知する。制御部16は、測定部15から通知されたINRと、所定のINR閾値R2とを比較する。INR閾値R2は、特定周波数帯Fにおける干渉信号の除去が成功する基準のINRに基づいた目標値である。当該比較の結果、INRがINR閾値R2を超える場合にはステップS8に進み、INRがINR閾値R2以下である場合にはステップS9に進む。
【0030】
(ステップS8) 制御部16は、信号分配部11に対して、受信処理部12(出力ポートOUT1)のみへ、入力ポートINに入力された受信信号を出力するように指示する。信号分配部11は、制御部16からの指示に従って、受信処理部12(出力ポートOUT1)のみへ、入力ポートINに入力された受信信号を出力する。
【0031】
制御部16は、受信処理部12に対して、受信信号から干渉信号を除去する干渉デコーディング処理を指示する。受信処理部12は、制御部16からの指示に従って、信号分配部11から出力された受信信号から干渉信号を除去する干渉デコーディング処理を実行する。受信処理部12は、受信信号から干渉信号を除去した後の信号に基づいて、通信相手から送信された情報の復調及び復号を行う。ステップS8の後にステップS10ヘ進む。
【0032】
(ステップS9) 制御部16は、信号分配部11に対して、受信処理部12(出力ポートOUT1)のみへ、入力ポートINに入力された受信信号を出力するように指示する。信号分配部11は、制御部16からの指示に従って、受信処理部12(出力ポートOUT1)のみへ、入力ポートINに入力された受信信号を出力する。
【0033】
制御部16は、受信処理部12に対して、特定周波数帯Fの信号に関するビームフォーミングを指示する。受信処理部12は、制御部16からの指示に従って、特定周波数帯Fの信号に関するビームフォーミング処理を実行する。ビームフォーミング処理は、例えば「zero-forcing」などである。受信処理部12は、信号分配部11から出力された受信信号に対して当該ビームフォーミング処理を実行した後の信号に基づいて、通信相手から送信された情報の復調及び復号を行う。ステップS9の後にステップS10ヘ進む。
【0034】
(ステップS10)
図4の受信制御処理の終了である場合には
図4の受信制御処理が終了される。一方、
図4の受信制御処理の継続である場合にはステップS1に戻る。
【0035】
上述した実施形態によれば、特定周波数帯Fの受信干渉電力P_Iが受信干渉電力閾値P_Tを超える場合、蓄電池14の充電の必要性に応じて信号分配部11の制御が行われる。蓄電池14の充電が必要であると判断された場合には、蓄電池14の充電が優先されるように制御される。一方、蓄電池14の充電が不要であると判断された場合には、受信処理が優先されるように制御される。これにより、受信装置のSWIPT技術による充電を適切に制御することができるという効果が得られる。
【0036】
また、本実施形態によれば、特定周波数帯Fの受信干渉電力P_Iが受信干渉電力閾値P_Tを超える場合、蓄電池14の充電を優先することにより、受信干渉電力P_Iを蓄電池14の充電に有効に活用することができる。
【0037】
また、本実施形態によれば、受信装置10自身が蓄電池14の充電を優先するか又は受信処理を優先するかを、各受信装置10が個別に判断することができる。これにより、特定周波数帯Fを共用する相手から想定外の電波干渉を受ける状況に遭遇した場合に、各受信装置10が自己の電波干渉状況に応じて適切に且つ迅速に対処できるという効果が得られる。
【0038】
なお、特定周波数帯Fを複数の無線通信システムで共用する際に、当該複数の無線通信システムにおける特定周波数帯Fの利用状況を集中管理し、特定周波数帯Fの利用状況に応じて特定周波数帯Fの信号送信条件(送信局のコンフィグレーション(configuration))を更新し、更新後の当該信号送信条件を受信装置10へ通知する、システム管理サーバを備えてもよい。受信装置10は、システム管理サーバから通知された特定周波数帯Fの信号送信条件に基づいて、特定周波数帯Fの電波干渉に対する対処を行う。ここで、例えば
図2に示される既存利用者の通信端末30が、共用利用者の受信装置10へ、想定外に急に近づいた場合、当該受信装置10にとって想定外の電波干渉が発生するが、この特定周波数帯Fの利用状況の変化に対して、システム管理サーバによる特定周波数帯Fの信号送信条件の更新が当該受信装置10には間に合わない可能性がある。しかし、本実施形態によれば、そのような想定外の電波干渉の発生に対して、受信装置10が自己の電波干渉状況に応じて適切に且つ迅速に対処することができる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0040】
例えば、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0041】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0042】
10…受信装置、11…信号分配部、12…受信処理部、13…充電部、14…蓄電池、15…測定部、16…制御部、ANT…アンテナ