(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記第1の送り装置による前記第1のテーブルの移動量と、前記第2の送り装置による前記第2のテーブルの移動量と、前記ロボットによる前記連動部材の操作量との間の関係に基づき、前記第2の動作を制御する、請求項1に記載のロボットシステム。
前記連動部材は、前記ロボットの前記第2の動作に従い、前記第1のテーブルと前記第2のテーブルとを互いに反対の方向へ移動させる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のロボットシステム。
前記連動部材は、前記ロボットの前記第2の動作に従い、前記第1のテーブルと前記第2のテーブルとを同じ距離だけ移動させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する種々の実施形態において、同様の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。また、以下の説明においては、図中の直交座標系を方向の基準とし、便宜上、x軸プラス方向を右方、y軸プラス方向を前方、z軸プラス方向を上方とする。
【0010】
図1及び
図2を参照して、一実施形態に係る送りテーブル装置10について説明する。送りテーブル装置10は、ワークがセットされるパレットを昇降させるためのものである。なお、ワーク及びパレットに関しては、後述する。送りテーブル装置10は、第1のテーブル12、第1の送り装置14、第2のテーブル16、第2の送り装置18、第1のハウジング20、第2のハウジング22、天板24、位置センサ26、及び連動機構28を備える。
【0011】
第1のハウジング20は、中空であって、その後面20aには、z軸方向に延びる貫通孔20bが形成されている。第1のテーブル12は、z軸方向へ移動可能となるように、第1のハウジング20の後面20aの後側に配置されている。本実施形態においては、第1のテーブル12は、x−y平面に略平行に配置された、略矩形の外形を有する平板部材である。
【0012】
第2のハウジング22は、第1のハウジング20の右側に隣接して配置され、第1のハウジング20と同じ構成を有している。具体的には、第2のハウジング22は、中空であって、その後面22aには、z軸方向に延びる貫通孔22bが形成されている。
【0013】
第2のテーブル16は、第1のテーブル12の右側に隣接した位置でz軸方向へ移動可能となるように、第2のハウジング22の後面22aの後側に配置されている。本実施形態においては、第2のテーブル16は、第1のテーブル12と同じ外形の平板部材である。
【0014】
第1の送り装置14は、第1のテーブル12をz軸方向へ送り動作させる。具体的には、第1の送り装置14は、ボールねじ装置であって、ねじ軸30及びナット部材32を有する。ねじ軸30は、その外周面に螺旋状のねじ部が形成された、中心軸線A
1を有する円柱状の部材である。ねじ軸30は、その中心軸線A
1がz軸と略平行となるようにz軸方向へ延在し、中心軸線A
1周りに回転可能となるように第1のハウジング20に支持されている。
【0015】
ナット部材32は、第1のハウジング20の内部に配置され、その後端部32bが、第1のハウジング20の貫通孔20bを通して、第1のテーブル12の前端部12aに固定されている。ナット部材32の中央部には、ねじ孔32aが形成されている。ねじ軸30は、ねじ孔32aに挿通され、該ねじ孔32aと螺合する。
【0016】
本実施形態においては、ねじ軸30が、上側から見て時計回り方向へ回転されるにつれて、ナット部材32及び該ナット部材32に固定されている第1のテーブル12は、下方へ送り動作される。反対に、ねじ軸30が上側から見て反時計回り方向へ回転されるにつれて、ナット部材32及び第1のテーブル12は上方へ送り動作される。こうして、第1の送り装置14は、ねじ軸30の回転動作を、第1のテーブル12のz軸方向の送り動作に変換する。
【0017】
第2の送り装置18は、第2のテーブル16をz軸方向へ送り動作させる。具体的には、第2の送り装置18は、第1の送り装置14と同様のボールねじ装置であって、ねじ軸34及びナット部材36を有する。ねじ軸34は、その外周面に螺旋状のねじ部が形成された、中心軸線A
2を有する円柱状の部材である。ねじ軸34は、その中心軸線A
2がz軸と略平行となるようにz軸方向へ延在し、中心軸線A
2周りに回転可能となるように第2のハウジング22に支持されている。
【0018】
ナット部材36は、第2のハウジング22の内部に配置され、その後端部36bが、第2のハウジング22の貫通孔22bを通して、第2のテーブル16の前端部16aに固定されている。ナット部材36の中央部には、ねじ孔36aが形成されている。ねじ軸34は、ねじ孔36aに挿通され、該ねじ孔36aと螺合する。
【0019】
本実施形態においては、ねじ軸34が、上側から見て時計回り方向へ回転されるにつれて、ナット部材36及び該ナット部材36に固定されている第2のテーブル16は、下方へ移動される。反対に、ねじ軸34が上側から見て反時計回り方向へ回転されるにつれて、ナット部材36及び第2のテーブル16は上方へ移動される。こうして、第2の送り装置18は、ねじ軸34の回転動作を、第2のテーブル16のz軸方向の送り動作に変換する。
【0020】
天板24は、第1のハウジング20の上面20c、及び第2のハウジング22の上面22cの上に固定されている。天板24には、第1の貫通孔24a及び第2の貫通孔24bが形成されている。第1の貫通孔24aには、第1の送り装置14のねじ軸30が挿通される一方、第2の貫通孔24bには、第2の送り装置18のねじ軸34が挿通される。
【0021】
本実施形態においては、位置センサ26は、近接スイッチ等であって、その下側近傍の位置(具体的には、位置センサ26から下方へ所定の距離の位置)に在る物体を非接触で検出する。位置センサ26は、第1のハウジング20の後面20aの上端部に設置されている。位置センサ26は、その下側近傍の位置に物体が配置されたことを検出したときに、検出信号を出力する(すなわち、検出信号をONとする)。
【0022】
連動機構28は、計4個の連動部材38、40、42、及び44を有する。連動部材38、40、42、及び44の各々は、その外周面に歯部が形成された円柱状の歯車である。これら連動部材38、40、42、及び44は、第1の送り装置14のねじ軸30と、第2の送り装置18のねじ軸34との間に配置された歯車列を構成する。
【0023】
連動部材38は、中心軸線A
1を基準として、第1の送り装置14のねじ軸30と略同心に配置されている。ねじ軸30は、天板24に形成された第1の貫通孔24aを通過し、その上端部が連動部材38に固定されており、連動部材38とねじ軸30とは、一体となって回転する。
【0024】
一方、連動部材44は、中心軸線A
2を基準として、第2の送り装置18のねじ軸34と略同心に配置されている。ねじ軸34は、天板24に形成された第2の貫通孔24bを通過し、その上端部が連動部材44に固定されており、連動部材44とねじ軸34とは、一体となって回転する。
【0025】
連動部材40は、連動部材38の右側に隣接して配置され、該連動部材38と係合する。連動部材40は、中心孔を有し、該中心孔にピン48が挿通されている。ピン48は、天板24の上面24cから突出するように、天板24に設けられている。連動部材38は、ピン48の周りに回転可能である。
【0026】
本実施形態においては、連動部材40に操作部46が設けられている。操作部46は、略四角柱状の部材であって、連動部材40と一体となって回転するように該連動部材40の上面に固設されている。操作部46は、ピン48(すなわち、連動部材40)と略同心に配置されている。
【0027】
連動部材42は、連動部材40と連動部材44との間に介挿され、連動部材40及び44と係合する。連動部材42は、中心孔を有し、該中心孔にピン50が挿通されている。ピン50は、天板24の上面24cから突出するように、天板24に設けられている。連動部材42は、ピン50の周りに回転可能である。
【0028】
本実施形態においては、連動部材38、40、42、及び44の歯数は、互いに同じである。したがって、互いに係合する2つの連動部材38及び40、40及び42、並びに、42及び44の歯数比(すなわち、減速比)は、1である。また、第1の送り装置14のねじ軸30の1回転当たりの第1のテーブル12の移動量(すなわち、z軸方向の移動距離)と、第2の送り装置18のねじ軸34の1回転当たりの第2のテーブル16の移動量とは、互いに同じである。
【0029】
次に、送りテーブル装置10の動作について説明する。送りテーブル装置10は、外部(例えばロボット)からの駆動力を受けて動作する。具体的には、操作部46に外部から駆動力が与えられて該操作部46を上側から見て時計回り方向に回転させると、連動部材40が、操作部46とともに上側から見て時計回り方向に回転される。
【0030】
この連動部材40の回転に従って、連動部材38及び42が、上側から見て反時計回り方向へ回転される。連動部材38の回転とともに、第1の送り装置14のねじ軸30が、上側から見て反時計回り方向へ回転され、これにより、第1のテーブル12は、上方へ移動される。
【0031】
また、連動部材42が上側から見て反時計回り方向へ回転されるのに従って、連動部材44が、上側から見て時計回り方向へ回転される。この連動部材44の回転とともに、第2の送り装置18のねじ軸34が、上側から見て時計回り方向へ回転され、これにより、第2のテーブル16は、下方へ移動される。
【0032】
反対に、外部からの駆動力によって操作部46(すなわち連動部材40)が、上側から見て反時計回り方向へ回転されると、連動部材38及び42が、上側から見て時計回り方向へ回転し、第1のテーブル12は、下方へ移動される一方、連動部材44が上側から見て反時計回り方向へ回転して、第2のテーブル16は、上方へ移動される。
【0033】
このように、連動部材38、40、42、及び44は、外部からの駆動力を受けて第1の送り装置14と第2の送り装置18とを連動させ、第1のテーブル12と第2のテーブル16とを互いに反対の方向へ移動させる。また、連動部材38、40、42、及び44が互いに係合して同時に回転することから、第1のテーブル12と第2のテーブル16とは、互いに同期して移動する。
【0034】
また、上述したように、連動部材38、40、42、及び44の歯数が同じであり、且つ、ねじ軸30の1回転当たりの第1のテーブル12の移動量と、ねじ軸34の1回転当たりの第2のテーブル16の移動量とは、互いに同じである。したがって、連動機構28が動作されたとき、第1のテーブル12と第2のテーブル16とは、同じ距離だけz軸方向へ移動することになる。
【0035】
このように、本実施形態においては、1つの連動部材40(操作部46)に駆動力を与えるだけで、複数の送り装置14及び18を連動して動作させることができる。この構成によれば、従来のように複数の送り装置毎に駆動装置(典型的には、サーボモータ)を設けていた場合と比べて、それぞれの駆動装置のための制御シーケンスを準備する必要がなくなり、また、駆動装置の数を削減することができる。
【0036】
したがって、送りテーブル装置10の構造及び制御シーケンスを簡単化できる。また、連動機構28を、歯車である連動部材38、40、42、及び44によって構成していることから、連動機構28の構造を簡単化することができ、製造コストを低減できる。
【0037】
なお、本実施形態においては、4個の連動部材38、40、42、及び44が設けられている場合について述べたが、連動機構28は、2n(nは、1以上の整数)個の連動部材を有してもよい。この場合、1つの連動部材を回転させることで、第1のテーブル12と第2のテーブル16とを互いに反対の方向へ連動して移動させることができる。
【0038】
次に、
図3を参照して、一実施形態に係るロボットシステム60について説明する。ロボットシステム60は、ロボット62、制御装置64、及び送りテーブル装置10を備える。ロボット62は、垂直多関節ロボットであって、ロボットベース66、旋回胴68、ロボットアーム70、手首部72、及びエンドエフェクタ74を有する。
【0039】
ロボットベース66は、作業セルの床の上に固定されている。旋回胴68は、ロボットベース66に鉛直軸周りに旋回可能に設けられている。ロボットアーム70は、旋回胴68に回転可能に取り付けられた下腕部76と、該下腕部76の先端に回転可能に取り付けられた上腕部78とを有する。
【0040】
手首部72は、上腕部78の先端に連結されている。エンドエフェクタ74は、手首部72に取り付けられ、手首部72は、エンドエフェクタ74を回転可能に支持する。本実施形態においては、エンドエフェクタ74は、ロボットハンドであって、開閉可能な複数の指部80を有する。
【0041】
ロボット62の各コンポーネント(ロボットベース66、旋回胴68、ロボットアーム70、手首部72)には、サーボモータ(図示せず)がそれぞれ内蔵されている。また、ロボット62には、ロボット座標系C
Rが設定されている。本実施形態においては、ロボット座標系C
Rは、その原点がロボットベース66に配置され、z軸が鉛直方向と平行であり、旋回胴68がz軸周りに旋回するように、設定されている。
【0042】
制御装置64は、プロセッサ(CPU、GPU等)及びメモリ(ROM、RAM等)を有し、ロボット62を制御する。具体的には、制御装置64は、ロボット座標系C
Rを基準としてロボット62の各サーボモータへの指令を生成し、各サーボモータを駆動して、エンドエフェクタ74を目標とする位置及び姿勢に配置させる。また、制御装置64は、位置センサ26に通信可能に接続され、該位置センサ26から上述の検出信号を受信する。
【0043】
次に、
図4〜
図7を参照して、ロボットシステム60の動作について説明する。
図4に示すフローは、制御装置64が、オペレータ、上位コントローラ、又はロボットプログラムから作業開始指令を受け付けたときに、開始する。本実施形態においては、
図4に示すフローの開始時において、
図5に示すように、第1のテーブル12に、未加工ワーク(図示せず)がセットされた計6個のパレットPが設置されている。また、第1のテーブル12上の6個のパレットPの各々には、計n
MAX個のワークがセットされている。
【0044】
一方、第2のテーブル16には、ワークがセットされていない空のパレットPが1つ設置されている。
図4に示すフローの開始時点での第1のテーブル12上の最上段のパレットPの上面と、第2のテーブル16上の最上段のパレットPの上面とは、略同じ平面上に配置される。また、パレットPは、互いに同じ形状を有し、把持部Gを具備する。把持部Gは、エンドエフェクタ74によって把持可能な形状を有する。
【0045】
ステップS1において、制御装置64は、第1のテーブル12上の最上段のパレットPにセットされた未加工ワークをロボット62によって取り出した総数(すなわち、後述のステップS2及びS3を実行した回数)「n」を、ゼロにセットする(n=0)。
【0046】
ステップS2において、制御装置64は、ロボット62を動作させて、第1のテーブル12に設置されたパレットPのうちの最上段のパレットPから未加工ワークを1個取り出す。ここで、制御装置64は、第1のテーブル12上の最上段のパレットPにセットされた各々の未加工ワークのロボット座標系C
Rにおける位置データを予め取得する。
【0047】
第1のテーブル12上の最上段のパレットPの位置は、位置センサ26によって検出される位置(例えば、位置センサ26から下方へ1mmの距離内の位置)として規定される。また、各々のパレットPは、第1のテーブル12上の予め定められた位置に配置される。例えば、第1のテーブル12に治具(図示せず)が設けられ、該第1のテーブル12に設置される最下段のパレットPは、該治具によって、第1のテーブル12上の予め定められた位置に位置決めされる。
【0048】
また、1つのパレットPの上面には、位置決め突起(図示せず)が形成され、該1つのパレットPの上に設置される他のパレットPの下面には、該位置決め突起を受容する位置決め孔(図示せず)が形成される。この位置決め突起と位置決め孔との係合により、該他のパレットPは、該1つのパレットPと同じx−y平面内の位置に配置される。
【0049】
また、各々のパレットPの内部には、パレット治具(図示せず)が形成され、未加工ワークは、該パレット治具によって、それぞれのパレットPにおける所定の位置にそれぞれセットされる。こうして、それぞれのパレットPにセットされた未加工ワークのx−y平面内の位置を揃えることができ、第1のテーブル12上の最上段のパレットPにセットされた未加工ワークは、ロボット座標系C
Rにおける所定の位置にそれぞれ配置されることになる。制御装置64は、該最上段のパレットPにセットされた未加工ワークのロボット座標系C
Rにおける位置を取得し、メモリに記憶する。
【0050】
制御装置64は、このステップS2において、第1のテーブル12上の最上段のパレットP内の未加工ワークの位置データを用いてロボット62を制御し、エンドエフェクタ74で該未加工ワークを把持し、該未加工ワークを、ロボットシステム60の外部に設置された加工機(図示せず)の内部へ運搬してセットする。こうして、ロボット62によって未加工ワークが加工機にロードされ、該加工機は、該未加工ワークを加工する。このように、ステップS2において、ロボット62は、第1のテーブル12上のパレットPからワークを取り出して加工機にロードするローディング作業を行う。
【0051】
ステップS3において、制御装置64は、ロボット62を動作させて、加工機から加工済みワークを取り出し、第2のテーブル16に設置されたパレットPにセットする。ここで、制御装置64は、第2のテーブル16上の最上段のパレットPに加工済みワークをセットすべきセット位置のロボット座標系C
Rにおける位置データを予め取得する。
【0052】
制御装置64は、加工機にセットされた加工済みワークをエンドエフェクタ74で把持して取り出し、セット位置データを用いてロボット62を制御して、該加工済みワークを第2のテーブル16上の最上段のパレットP内のセット位置にセットする。こうして、ロボット62によって加工機から加工済みワークがアンローディングされる。このように、ステップS3において、ロボット62は、加工機から加工済みワークをアンローディングして第2のテーブル16上のパレットPにセットするアンローディング作業を行う。
【0053】
ステップS4において、制御装置64は、上記の総数「n」を、1だけインクリメントする(すなわち、n=n+1)。ステップS5において、制御装置64は、上記の総数「n」が、n
MAXに達した(すなわち、n=n
MAX)か否かを判定する。このn
MAXは、第1のテーブル12上の各々のパレットPにセットされた未加工ワークの総数である。
【0054】
制御装置64は、n=n
MAXとなった(すなわち、YES)と判定した場合、ステップS6へ進む一方、n<n
MAXである(すなわち、NO)と判定した場合、ステップS2へ戻る。こうして、制御装置64は、ステップS5でYESと判定するまでステップS2〜S5のループを繰り返し実行し、第1のテーブル12上の最上段のパレットPにセットされた計n
MAX個の未加工ワークに対してローディング作業及びアンローディング作業を行う。
【0055】
ステップS6において、制御装置64は、
図4のフローの開始時点で第1のテーブル12上に設置された全ての未加工ワーク(すなわち、6×n
MAX個の未加工ワーク)の加工が完了したか否かを判定する。例えば、制御装置64は、ステップS5でYESと判定した回数「m」をカウントし、このステップS6において、回数「m」が、
図4のフローの開始時点で第1のテーブル12上に設置されていたパレットPの総数「6」に達したか否かを判定する。
【0056】
制御装置64は、m=6となった場合に、全ての未加工ワークの加工が完了した(すなわち、YES)と判定し、
図4のフローを終了する。一方、制御装置64は、m<6である場合は、第1のテーブル12上に未加工ワークが残存している(すなわち、NO)と判定し、ステップS7へ進む。
【0057】
ステップS7において、制御装置64は、ロボット62を動作させて、第1のテーブル12上の最上段のパレットPを、第2のテーブル16上の最上段のパレットPの上に移送する。このステップS7の開始時点では、第1のテーブル12上の最上段のパレットPは、未加工ワークがセットされていない空の状態となっている。ここで、制御装置64は、第1のテーブル12上の最上段のパレットPの把持部Gのロボット座標系C
Rにおける位置データを予め取得する。
【0058】
制御装置64は、把持部Gの位置データを用いてロボット62を制御して、エンドエフェクタ74で該把持部Gを把持して持ち上げ、該最上段のパレットPを、第2のテーブル16上の最上段のパレットPの上に設置する。こうして、ロボット62によって、第1のテーブル12上の最上段の空のパレットPが、第2のテーブル16上の最上段の位置に移送される。このように、ステップS7において、ロボット62は、第1のテーブル12上のパレットPを第2のテーブル16に移送するパレット移送作業を行う。
【0059】
上述したように、ロボット62は、第1のテーブル12及び第2のテーブル16において、ステップS2のローディング作業、ステップS3のアンローディング作業、及びステップS6のパレット移送作業を行う。本実施形態において、これら作業を行うためのロボット62の動作を、通常動作(第1の動作)として言及する。
【0060】
ステップS8において、制御装置64は、ロボット62に連動部材38、40、42、及び44を操作させて、第1のテーブル12と第2のテーブル16を送り動作させる。ここで、制御装置64は、操作部46(例えば、中心軸)のロボット座標系C
Rにおける位置データを予め取得する。
【0061】
制御装置64は、このステップS8において、操作部46の位置データを用いてロボット62を制御し、エンドエフェクタ74によって操作部46を把持するための把持位置へ、エンドエフェクタ74を配置する。この把持位置に配置されたとき、エンドエフェクタ74の指部80の間に、操作部46が配置される。このとき、2つの指部80が、四角形の操作部46の対向する2つの側面にそれぞれ面するように、エンドエフェクタ74が操作部46に対して配置されてもよい。
【0062】
次いで、制御装置64は、エンドエフェクタ74を動作させて、指部80を閉じる。これにより、エンドエフェクタ74は、指部80で操作部46を把持する。次いで、制御装置64は、ロボット62を動作させて、エンドエフェクタ74で把持した操作部46を、上側から見て時計回り方向へ回転させる。
【0063】
そうすると、連動部材38、40、42、及び44は、上述したように、第1の送り装置14と第2の送り装置18とに互いに連動した送り動作を生じさせ、第1のテーブル12を上方へ移動させるのと同期して、第2のテーブル16を下方へ移動させる。このように、制御装置64は、ロボット62を制御して、該ロボット62の通常動作とは別の動作として、連動部材38、40、42、及び44を操作する連動動作(第2の動作)を該ロボット62に行わせている。
【0064】
ステップS9において、制御装置64は、第1のテーブル12及び第2のテーブル16が、ロボット62による次の作業(ローディング作業及びアンローディング作業)のための位置に配置したか否かを判定する。具体的には、制御装置64は、位置センサ26から検出信号を受信したか否かを判定する。
【0065】
ここで、上述のステップS7の終了時点での第1のテーブル12上の最上段のパレットPは、
図5に示す第1のテーブル12上のパレットPのうち、上から2番目のものとなる。よって、ステップS7の終了時点での第1のテーブル12上の最上段のパレットPは、位置センサ26の検出位置から下方へ離れているので、ステップS7の終了時点で位置センサ26からの検出信号はOFFとなっている。
【0066】
この状態から、ステップS8で第1のテーブル12が上方へ移動され、第1のテーブル12上の最上段のパレットPが位置センサ26の下側近傍の位置に到達すると、位置センサ26は、検出信号をONとし、制御装置64に送信する。制御装置64は、位置センサ26からの検出信号がONとなった場合に、YESと判定し、ステップS10へ進む一方、位置センサ26からの検出信号がOFFである場合、ステップS9をループする。
【0067】
このように、位置センサ26は、第1のテーブル12上の最上段のパレットPの位置を検出することで、第1のテーブル12及び第2のテーブルの位置を検出し、制御装置64は、位置センサ26の検出結果(すなわち、検出信号ON/OFF)に基づいて、ロボット62の連動動作を制御している。
【0068】
ステップS10において、制御装置64は、ロボット62による操作部46の回転動作を停止する。これにより、連動機構28、第1のテーブル12、及び第2のテーブル16の動作が停止する。このときの状態を
図6に示す。
図6に示す状態においては、第1のテーブル12上の最上段のパレットPの上面と、第2のテーブル16上の最上段のパレットPの上面とは、略同じ平面上に配置される。
【0069】
ステップS10の終了後、制御装置64は、ステップS1に戻り、ステップS6でYESと判定するまで、ステップS1〜S10をループする。ステップS6でYESと判定したときの状態を、
図7に示す。
図7に示す状態においては、第1のテーブル12上に、未加工ワークがセットされていない空のパレットPが1つ設置されている一方、第1のテーブル12上に、加工済みワークがそれぞれセットされた6個のパレットPが設置されている。
【0070】
このように、ロボット62による連動動作で連動部材38、40、42、及び44を操作することにより、第1のテーブル12及び第2のテーブル16を、作業(ローディング作業及びアンローディング作業)に応じた位置に、各々配置している。この構成によれば、ローディング作業及びアンローディング作業を行うロボット62を、送りテーブル装置10へ駆動力を与える駆動装置として利用することができるので、ロボットシステム60の制御シーケンス及び構造を簡単化できる。
【0071】
また、本実施形態においては、位置センサ26によって、第1のテーブル12に設置された最上段のパレットPが所定位置(すなわち、位置センサ26の下側近傍の位置)に配置されたことを検出し、以って、第1のテーブル12が作業(ローディング作業及びアンローディング作業)に応じた位置に配置されたことを検出している。そして、制御装置64は、位置センサ26の検出結果に基づいて、ロボット62の連動動作を制御している。この構成によれば、制御装置64は、第1のテーブル12及び第2のテーブル16を作業に応じた位置に高精度に配置できる。
【0072】
また、本実施形態においては、連動部材38、40、42、及び44は、第1のテーブル12と第2のテーブル16とを、反対の方向へ同じ距離だけ移動させている。この構成によれば、上述のステップS10の終了時に、第1のテーブル12上の最上段のパレットPの上面と、第2のテーブル16上の最上段のパレットPの上面とを略同じ平面上に配置することができる。
【0073】
これにより、ロボット62が次のステップS2(ローディング作業)を行うときのロボット62の目標位置(すなわち、第1のテーブル12上の最上段のパレットPにセットされた未加工ワークの位置)と、次のステップS3(アンローディング作業)を行うときのロボット62の目標位置(すなわち、第2のテーブル16上の最上段のパレットPにおける、加工済みワークのセット位置)とを、一定とすることができる。したがって、ロボット62によって確実にステップS2及びS3を実行できる。
【0074】
なお、ロボットシステム60から位置センサ26を省略することもできる。この場合、第1の送り装置14による第1のテーブル12の移動量と、第2の送り装置18による第2のテーブル16の移動量と、ロボット62による操作部46(すなわち、連動部材40)の操作量との間の関係が、予め取得される。
【0075】
例えば、この関係は、操作部46を上から見て所定の角度θ(例えば、1°)だけ回転させたときの、第1のテーブル12及び第2のテーブル16のz軸方向の移動量xを示す。この関係を基に、ステップS8でロボット62が操作部46を回転するときの目標回転数(目標回転角度)が予め決定される。制御装置64は、目標回転数をメモリに予め記憶する。
【0076】
そして、制御装置64は、ステップS9において、ステップS8でロボット62に操作部46を回転させた回転数が目標回転数に達したか否かを判定する。制御装置64は、操作部46の回転数が目標回転数に達した(すなわち、YES)と判定した場合、ステップS10へ進む。
【0077】
一方、制御装置64は、操作部46の回転数が目標回転数に達していない(すなわち、NO)と判定した場合、ステップS9をループする。この構成によれば、制御装置64は、位置センサ26を用いることなく、ステップS8〜S7の一連の動作を実行できるので、製造コストを低減できる。
【0078】
次に、
図8を参照して、他の実施形態に係る送りテーブル装置90について説明する。送りテーブル装置90は、上述の送りテーブル装置10と、連動機構92の構成において、相違する。連動機構92は、連動部材38、42、44及び94を有する。連動部材94は、例えば、輪状のタイミングベルトであって、その内周面に歯部が形成されている。
【0079】
連動部材94は、連動部材38及び42の外周面に張り渡され、該連動部材94の内周面に形成された歯部は、連動部材38及び42の外周面に形成された歯部と係合する。これにより、連動部材38の回転は、連動部材94を介して、連動部材42及び44に伝達される。本実施形態においては、連動部材38の回転数と連動部材42の回転数との減速比は、1である。
【0080】
操作部46は、軸線A
1を基準として連動部材38と略同心となるように、該連動部材38の上面に固設されている。外部(例えば、ロボット62)からの駆動力を受けて操作部46が軸線A
1周りに回転された場合、連動機構92は、上述の連動機構28と同様に、第1のテーブル12と第2のテーブル16とを、互いに反対の方向へ同期して移動させる。
【0081】
次に、
図9を参照して、さらに他の実施形態に係る送りテーブル装置100について説明する。送りテーブル装置100は、上述の送りテーブル装置10と、連動機構102の構成において、相違する。連動機構102は、連動部材38、44及び104を有する。連動部材104は、中心孔を有する円柱状の歯車であって、連動部材38と連動部材44との間に介挿され、連動部材38及び44と係合する。
【0082】
連動部材104は、中心孔を有し、中心孔にピン106が挿通されている。ピン106は、天板24の上面24cから突出するように、天板24に設けられている。連動部材104は、ピン106の周りに回転可能である。本実施形態においては、連動部材104の歯数は、連動部材38及び44よりも大きい。しかしながら、連動部材104の歯数は、連動部材38及び44と同じ、又はそれよりも小さくてもよい。連動部材38及び44の歯数が同じであるので、連動部材38の回転数と連動部材42の回転数との減速比は、1である。
【0083】
操作部46は、連動部材104と略同心となるように、該連動部材104の上面に固設されている。外部(例えば、ロボット62)からの駆動力を受けて操作部46が上側から見て時計回り方向へ回転された場合、連動部材104と係合する連動部材38及び44は、上側から見て反時計回り方向へそれぞれ回転される。
【0084】
したがって、この場合、第1のテーブル12及び第2のテーブル16は、互いに同期して上方へ移動される。反対に、操作部46が上側から見て反時計回り方向へ回転された場合は、第1のテーブル12及び第2のテーブル16は、互いに同期して下方へ移動される。このように、本実施形態においては、連動機構102は、第1のテーブル12と第2のテーブル16とを、互いに同じ方向へ同期して移動させる。
【0085】
次に、
図10を参照して、さらに他の実施形態に係る送りテーブル装置110について説明する。送りテーブル装置110は、上述の送りテーブル装置10と、連動機構112の構成において、相違する。連動機構112は、連動部材38、44及び94を有する。連動部材94は、連動部材38及び44の外周面に張り渡され、該連動部材94の内周面に形成された歯部は、連動部材38及び44の外周面に形成された歯部と係合する。これにより、連動部材38の回転は、連動部材94を介して、連動部材44に伝達される。
【0086】
操作部46は、軸線A
1を基準として連動部材38と同心となるように、該連動部材38の上面に固設されている。外部(例えば、ロボット62)からの駆動力を受けて操作部46が軸線A
1周りに回転された場合、連動機構112は、第1のテーブル12と第2のテーブル16とを、互いに同じ方向へ同期して移動させる。
【0087】
次に、
図11を参照して、さらに他の実施形態に係る送りテーブル装置120について説明する。送りテーブル装置120は、上述の送りテーブル装置10と、連動機構122の構成において、相違する。連動機構122は、連動部材38、40、42、及び44と、減速機124とを有する。
【0088】
減速機124は、取付部材126を介して、天板24に対して固定され、軸線A
1を基準として連動部材38と略同心となるように、該連動部材38の上方に配置されている。操作部46は、減速機124の入力シャフトに固定されている。一方、減速機124の出力シャフト124aは、連動部材38に固定されている。
【0089】
減速機124は、操作部46(すなわち、入力シャフト)の回転数を減速しつつ、回転力を出力シャフト124a及び連動部材38に伝達する。このときに連動部材38(出力シャフト124a)に生じるトルクは、減速機124によって、操作部46(入力シャフト)のトルクよりも増大される。
【0090】
以下、本実施形態に係る送りテーブル装置120を、送りテーブル装置10の代わりに、
図3に示すロボットシステム60に適用した場合について説明する。この場合、制御装置64は、
図4中のステップS8において、ロボット62のエンドエフェクタ74で連動機構122の操作部46を把持し、軸線A
1周りに回動させる。
【0091】
このとき、ロボット62が操作部46を、
図3に示す連動機構28の操作部46を回転させたときと同じトルクで回転させたとすると、連動部材38、40、42、及び44に生じるトルクは、連動機構28のときよりも大きくなる。このようにトルクを増大させることによって、第1のテーブル12及び第2のテーブル16に、より重量のあるパレットP又はワークを設置したとしても、第1のテーブル12及び第2のテーブル16を安定して移動させることができる。
【0092】
一方、
図3に示す連動機構28で操作部46を操作したときに連動部材38に生じるトルクと同じ大きさのトルクを、連動機構132の連動部材38に生じさせる場合は、該連動機構122の操作部46を回転させるためのトルクを小さくすることができる。この場合、ロボット62が操作部46に与える駆動力を小さくできるので、ロボット62の小型化又は省電力化を実現できる。
【0093】
このように、本実施形態においては、減速機124は、連動部材38、40、42、及び44へ入力される駆動力(トルク)を増大させる駆動力強化機構として機能する。この構成によれば、ロボット62がエンドエフェクタ74を回転させるトルクを大きく確保できない場合においても、ロボット62の連動動作によって、第1のテーブル12及び第2のテーブル16を送り動作させて、作業に応じた位置に各々配置することが可能となる。
【0094】
次に、
図12を参照して、さらに他の実施形態に係る送りテーブル装置130について説明する。送りテーブル装置130は、上述の送りテーブル装置10と、連動機構132の構成において、相違する。連動機構132は、連動部材38、40、42、及び44と、アシスト装置134とを有する。
【0095】
本実施形態においては、操作部46は、連動部材38の上面に固設されている。また、連動部材38の下面には、該下面から下方へ延出する力受け部材142が固設されている。力受け部材142は、円柱状であって、軸線A
1を基準として連動部材38と略同心となるように配置されている。
【0096】
アシスト装置134は、電動モータ136及びトルクセンサ138を有する。電動モータ136は、天板24の上面24cに固定されている。電動モータ136の出力シャフトには、円柱状のアシスト部材140が固設されている。電動モータ136は、アシスト部材140を、軸線A
1と平行な軸線周りに回転させる。
【0097】
トルクセンサ138は、第1の送り装置14のねじ軸30の上端30aと力受け部材142との間に介挿されており、操作部46、連動部材38及び力受け部材142とねじ軸30とは、一体となって回転する。操作部46に駆動力としてトルクが与えられると、該トルクは、連動部材38及び力受け部材142を介して、トルクセンサ138に加わる。トルクセンサ138は、自身に作用する軸線A
1周りのトルクを検出する。
【0098】
アシスト部材140と力受け部材142とは、該アシスト部材140の回転力が該力受け部材142に伝達されるように、互いに当接(例えば、係合)している。アシスト部材140及び力受け部材142は、例えば、歯車であってもよいし、又は、高摩擦係数を有する材料(例えば、ゴム、樹脂等)から構成された円柱部材であってもよい。
【0099】
電動モータ136は、トルクセンサ138が検出したトルクが、予め定められた閾値を超えたときに、アシスト部材140を回転させ、該アシスト部材140から力受け部材142に追加トルクを加える。このときに力受け部材142に加えられる追加トルクの方向が、トルクセンサ138が検出したトルクの方向に一致するように、電動モータ136がアシスト部材140を回転させる方向が決定される。
【0100】
具体的には、トルクセンサ138が、上側から見て時計回り方向のトルクを検出したとする。この場合、電動モータ136は、アシスト部材140を、上側から見て反時計回りの方向へ回転させ、該アシスト部材140からら力受け部材142に追加トルクを加える。その結果、力受け部材142に、上側から見て時計回り方向の追加トルクが加えられることになる。このようにして、アシスト装置134は、連動部材38に加えられる駆動力(すなわち、トルク)を補強する。
【0101】
次に、送りテーブル装置130を、送りテーブル装置10の代わりに
図3に示すロボットシステム60に適用した場合の動作について、
図13を参照して説明する。なお、
図13に示すフローにおいて、
図4と同様のプロセスには同じステップ番号を付し、重複する説明を省略する。送りテーブル装置130がロボットシステム60に適用された場合、送りテーブル装置130の電動モータ136及びトルクセンサ138は、制御装置64に通信可能に接続される。
【0102】
ステップS8を開始した後、ステップS21において、制御装置64は、トルクセンサ138によるトルクτの検出を開始する。具体的には、制御装置64は、トルクセンサ138にトルク検出指令を送信する。トルクセンサ138は、制御装置64からトルク検出指令を受信すると、自身に掛かるトルクτを連続的(例えば、周期的)に検出し、制御装置64へ送信する。こうして、制御装置64は、トルクセンサ138を介して、操作部46に与えられた駆動力(トルクτ)を取得する。
【0103】
ステップS22において、制御装置64は、直近にトルクセンサ138によって検出されたトルクτが閾値τ
th以上となったか否かを判定する。この閾値τ
thは、オペレータによって予め定められ、制御装置64のメモリに記憶される。制御装置64は、τ≧τ
thとなった(すなわち、YES)と判定した場合、ステップS23へ進む。一方、制御装置64は、τ<τ
thである(すなわち、NO)と判定した場合、ステップS24へ進む。
【0104】
ステップS23において、制御装置64は、電動モータ136を作動させる。具体的には、制御装置64は、直近にトルクセンサ138によって検出されたトルクτの方向に基づいて、電動モータ136の回転方向を決定する。そして、制御装置64は、電動モータ136に作動指令を送り、該作動指令を受けて電動モータ136は、アシスト部材140を、決定された回転方向へ回転させて、該アシスト部材140から力受け部材142に追加トルクτ
aを加える。
【0105】
このときに力受け部材142に加えられる追加トルクτ
aの方向は、トルクセンサ138が直近に検出したトルクτの方向に一致する。こうして、連動部材38に、ロボットが操作部46に加えるトルクτと、電動モータ136による追加トルクτ
aの合力が加えられる。
【0106】
一方、ステップS22でNOと判定した場合、ステップS24において、制御装置64は、電動モータ136の動作を停止し、ステップS9へ進む。なお、このステップS24の開始時点で電動モータ136が停止されていた場合、制御装置64は、電動モータ136の停止状態を維持して、ステップS9へ進む。
【0107】
上述したように、本実施形態によれば、アシスト装置134によって、ロボット62から連動部材38、40、42、及び44に与えられた駆動力(トルク)を補強することができる。したがって、アシスト装置134は、連動部材38、40、42、及び44へ入力される駆動力(トルク)を増大させる駆動力強化機構として機能する。この駆動力強化機構によって、ロボット62がエンドエフェクタ74を回転させるトルクを大きく確保できない場合においても、ロボット62の連動動作によって、第1のテーブル12及び第2のテーブル16を送り動作させて、作業に応じた位置に各々配置することが可能となる。
【0108】
次に、
図14〜
図16を参照して、さらに他の実施形態に係る送りテーブル装置150について説明する。送りテーブル装置150は、上述の送りテーブル装置10と、連動機構152の構成において、相違する。連動機構152は、連動部材38、40、42、及び44と、駆動部154と、ガイド機構158とを有する。
【0109】
本実施形態においては、連動部材42は、y軸方向へ移動可能となるように設けられ、ガイド機構158は、連動部材42のy軸方向への移動を案内する。具体的には、連動部材42は、ピン156に回転可能に嵌め込まれている。ピン156は、本体部156aと、該本体部156aから外方へ延出するフランジ部156bとを有する。本体部156aは、円柱状であって、z軸方向に延在する。フランジ部156bは、本体部156aから左右両側へ延出している。
【0110】
天板24には、上面24cから下方へ凹む凹部24dが形成されている。凹部24dは、y軸方向から見て略T字状の断面形状を有し、y軸方向に延在している。ピン156の本体部156aの下端部とフランジ部156bとは、凹部24dに受容される。
【0111】
凹部24dは、ピン156のz軸方向への摺動を案内する一方、ピン156が本体部156aの中心軸線周りに回転するのを規制する。連動部材42は、その中心孔にピン156の本体部156aの上端部が挿通され、本体部156aの周りに回転可能である。また、連動部材42は、ピン156とともにy軸方向へ移動可能である。このように、本実施形態においては、連動部材42は、ピン156のフランジ部156bと凹部24dとの係合によって、y軸方向へ移動するように案内される。したがって、フランジ部156bと凹部24dとは、ガイド機構158を構成する。
【0112】
駆動部154は、例えば油圧式又は空圧式のシリンダであって、駆動軸154aを有する。駆動軸154aの先端は、ピン156の本体部156aに固定されている。駆動部154は、駆動軸154aを進退させることによって、連動部材42を、
図14に示す係合位置と、
図16に示す脱離位置との間で、z軸方向へ進退させる。
【0113】
連動部材42は、
図14に示す係合位置に配置されているとき、隣接する連動部材40及び44と係合し、連動部材40の回転を、連動部材44へ伝達する。一方、連動部材42は、
図16に示す脱離位置に配置されているとき、連動部材40及び44から脱離し、連動部材40の回転は連動部材44へ伝達されない。このように、本実施形態においては、連動部材42は、連動部材40及び44と選択的に係合する。
【0114】
本実施形態に係る送りテーブル装置150を、送りテーブル装置10の代わりに、
図3に示すロボットシステム60に適用した場合、制御装置64は、駆動部154を制御して、作業に応じて、連動部材42を連動部材38及び42に選択的に係合させる。連動部材42を係合位置に配置させた場合は、第1のテーブル12と第2のテーブル16の双方を移動させることができる一方、連動部材42を脱離位置に配置させた場合は、第1のテーブル12のみを移動させることができる。この構成によれば、より多様な作業に柔軟に対応することが可能となる。
【0115】
なお、上述の送りテーブル装置10においては、ねじ軸34が上側から見て時計回り方向へ回転されるにつれて第2のテーブル16が下方へ移動されるように、第2の送り装置が構成されている場合について述べた。しかしながら、これに限らず、第2の送り装置は、ねじ軸34が上側から見て時計回り方向へ回転されるにつれて第2のテーブル16が上方へ移動されるように、構成されてもよい。
【0116】
この場合、連動機構28は、(2n−1)個の連動部材を有する。例えば、
図1に示す連動部材42を省略し、連動部材40及び44を係合させる。この場合において、連動部材40が回転されると、ねじ軸30及び34は、上側から見て同じ方向へ回転され、その結果、第1のテーブル12と第2のテーブル16とを互いに反対の方向へ移動させることができる。
【0117】
上述のロボットシステム60に視覚センサを適用してもよい。この場合、制御装置64は、上述のステップS2において、視覚センサによって、第1のテーブル12上の最上段のパレットPにセットされた未加工ワークを撮像し、該未加工ワークのロボット座標系C
Rにおける位置データを取得してもよい。
【0118】
また、ステップS3において、制御装置64は、視覚センサによって第2のテーブル16上の最上段のパレットPを撮像し、該最上段のパレットに加工済みワークをセットすべきセット位置のロボット座標系C
Rにおける位置データを取得してもよい。この場合、パレットP及びワークを、テーブル12及び16上の任意の位置に設置できるので、パレットP及びワークを位置決めするための治具を不要とできる。
【0119】
また、ステップS7において、制御装置64は、視覚センサによって第1のテーブル12上の最上段のパレットPを撮像し、該最上段のパレットPの把持部Gのロボット座標系C
Rにおける位置データを取得してもよい。また、ステップS8において、制御装置64は、視覚センサによって操作部46を撮像し、該操作部46のロボット座標系C
Rにおける位置データを取得してもよい。この場合、ステップS8の開始時点で操作部46が如何なる回転角度に配置されていたとしても、エンドエフェクタ74によって操作部46を確実に把持できる。
【0120】
送りテーブル装置10において、連動部材38と40、40と42、及び、42と44との歯数比(減速比)は、任意であってもよい。また、送りテーブル装置90において、連動部材38と42、及び、42と44との歯数比(減速比)は、任意であってもよい。また、送りテーブル装置100又は110において、連動部材38と44との歯数比(減速比)は、任意であってもよい。また、連動部材38、40、42、44、又は104は、歯車に限らず、高摩擦係数を有する材料(ゴム、樹脂等)から構成された部材でもよい。
【0121】
操作部46の設置位置は、上述の実施形態の位置に限定されない。例えば、送りテーブル装置10において、操作部46は、連動部材38、42、及び44のいずれに固設されてもよい。また、送りテーブル装置120において、操作部46及び減速機124は、連動部材40、42、及び44のいずれに設けられてもよい。また、送りテーブル装置130において、操作部46、力受け部材142、及びアシスト装置134は、連動部材40、42、及び44のいずれに設けられてもよい。
【0122】
送りテーブル装置150において、連動部材40をy軸方向へ移動可能に設けて、駆動部154は、連動部材40を進退させるように構成されてもよい。上述の実施形態において、パレットPを設けることなく、ワークをテーブル12又は16上の所定位置に直接置いてもよい。また、テーブル12又は16は、その上にパレットP又はワークを載置可能であれば、如何なる形状を有してもよい。
【0123】
位置センサ26は、近接スイッチに限らず、変位計又はリニアスケール等、第1のテーブル12(第1のテーブル12上のパレット)又は第2のテーブル16(第2のテーブル上のパレット)の位置(z軸座標、位置センサ26からの距離)を検出可能なものであってもよい。この場合、制御装置64は、上述のステップS9において、位置センサ26の検出結果(z軸座標、距離)が所定の許容範囲内になったか否かを判定し、許容範囲内になった場合にYESと判定してもよい。
【0124】
ロボットシステム60における送り装置14又は18は、ボールねじ装置でなくてもよい。例えば、送り装置14及び18は、ベルトコンベアのようなパレットP又はワークを搬送可能な装置でもよい。この場合、連動部材は、2つのベルトコンベアの間に介挿され、該2つのベルトコンベアの連動させるように構成される。また、送り装置14及び18は、テーブル12及び16を、x−y平面(例えば、x軸)に沿って移動するように構成されてもよい。
【0125】
また、ロボットシステム60においては、ロボット62が、加工機に対してワークをロード及びアンロードする場合について述べたが、これに限らず、例えば、ロボット62は、例えばウェハを半導体処理装置にロード及びアンロードするものであってもよいし、又は、他の如何なる装置に部材を搬送するものであってもよい。
【0126】
また、ロボット62は、垂直多関節ロボットに限らず、水平多関節ロボット、パラレルリンクロボット等、如何なるタイプのロボットであってもよい。また、エンドエフェクタ74は、開閉可能な指部80の代わりに、例えば、物体を吸着可能な吸着部を有するものであってもよい。また、エンドエフェクタ74に、操作部46を操作可能なチャック部を、指部80(吸着部)に加えて(又は、指部80の代わりに)設けてもよい。例えば、このチャック部は、操作部46を受容して該操作部46と係合する穴を有してもよい。
【0127】
上述した種々の実施形態の特徴の組み合わせることもできる。例えば、
図12に示すアシスト装置134を
図11に示す連動機構122に適用してもよい。この場合、駆動力強化機構は、減速機124及びアシスト装置134を有することになる。又は、
図8に示す連動機構92において連動部材42を可動とし、
図14に示す駆動部154を該連動機構92に適用して、連動部材42を連動部材44に選択的に係合させてもよい。
【0128】
以上、実施形態を通じて本開示を説明したが、上述の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。