特許第6863952号(P6863952)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863952
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】フードロック装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 83/24 20140101AFI20210412BHJP
   B62D 25/12 20060101ALI20210412BHJP
   E05B 79/20 20140101ALI20210412BHJP
   E05C 3/34 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   E05B83/24 Z
   B62D25/12 N
   E05B79/20
   E05C3/34
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-212101(P2018-212101)
(22)【出願日】2018年11月12日
(65)【公開番号】特開2020-79483(P2020-79483A)
(43)【公開日】2020年5月28日
【審査請求日】2020年10月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241496
【氏名又は名称】豊田鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106781
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 稔也
(72)【発明者】
【氏名】三宅 悟
(72)【発明者】
【氏名】谷口 剛士
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−314256(JP,A)
【文献】 特開2018−131817(JP,A)
【文献】 特開2010−229631(JP,A)
【文献】 特開2016−64778(JP,A)
【文献】 実公昭34−800(JP,Y1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0113433(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 77/00−85/28
B62D 25/12
E05C 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンフードの閉じ位置での固定及び同固定の解除を行うロック機構を備えたフードロック装置であって、
前記ロック機構は、前記エンジンフードに設けられたストライカを掛止して前記固定を行い、前記ストライカを開放して前記固定の解除を行う一対のラッチを備え、
前記一対のラッチは、車両に固定されたベースプレートに対して回動自在に支持されるとともに、相互に凹凸の関係で噛合される噛み合い部を備えていて、前記ストライカに対する掛止方向が相互に反対方向となるようにされており、
両ラッチのうち、一方には、右ハンドル用の操作ケーブル取付部が設けられ、他方には左ハンドル用の操作ケーブル取付部が設けられているフードロック装置。
【請求項2】
前記一対のラッチのうち、一方のラッチには、当該ラッチの前記掛止方向に付勢する付勢部材が連結されている請求項1に記載のフードロック装置。
【請求項3】
前記ベースプレートに取り付けられて、前記エンジンフードの閉じ位置では両ラッチのラッチする部位に向かって前記ストライカを付勢するとともに、前記一対のラッチが相互に反掛止方向に回動した際に前記付勢により前記ストライカを開放するスプリング部材と、
前記ベースプレートに回動自在に支持されていて、前記エンジンフードが閉じ位置への動作時に前記ストライカの前記一対のラッチの間の進入を許容する方向へ回動し、前記一対のラッチから開放されたときには前記開放された前記ストライカと係合して、前記エンジンフードの完全開放を阻止して開放規制するキャッチであって、手動操作により、前記ストライカとの係合を解除する方向へ手動操作されるキャッチと、を備え、
前記キャッチと前記一方のラッチ間に前記付勢部材が連結されていて、
前記付勢部材により、前記キャッチが前記ストライカの移動軌跡上に位置するように付勢されている請求項2に記載のフードロック装置。
【請求項4】
前記一対のラッチの間に、前記掛止方向に付勢する付勢部材が連結されている請求項1に記載のフードロック装置。
【請求項5】
前記一対のラッチは、車両の幅方向において並設されており、
前記右ハンドル用の操作ケーブル取付部と、前記左ハンドル用の操作ケーブル取付部は、前記車両の幅方向において一直線上に配置され、
前記右ハンドル用の操作ケーブル取付部、及び前記左ハンドル用の操作ケーブル取付部のいずれか一方に対して、操作ケーブルの連結部が取付けられた際、該操作ケーブルのケーブルアウタから該連結部まで露出したワイヤを、残りの他方の操作ケーブル取付部が遊挿可能に配置されている請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載のフードロック装置。
【請求項6】
前記一対のラッチは、車両の幅方向において並設されており、
前記右ハンドル用の操作ケーブル取付部と、前記左ハンドル用の操作ケーブル取付部は、前記車両の前後方向及び上下方向のうち少なくともいずれか一方の方向においてオフセットして配置されている請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載のフードロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フードロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両においては、エンジンフードを閉じ位置で固定したり、同固定を解除したりするためのフードロック装置が設けられている。同装置は、車両の前端部に位置するラジエータサポートに対し取り付けられるベースプレートと、エンジンフードの上記固定及び同固定の解除を行うロック機構と、そのロック機構を操作するための車両の幅方向に延びる操作ケーブルと、を備えている。
【0003】
特許文献1では、ロック機構は、前記ベースプレートに対して回転自在に支持されたラッチとポールを備えている。ラッチはエンジンフードに設けられたストライカを係合し、該ラッチをポールが係合することにより、ストライカを拘束して、ロックするようにしている。これにより、エンジンフードが閉じ位置で固定される。ポールは操作ケーブルにより離脱位置へ回動されると、ラッチとの係合が解除されて、ストライカの上昇が許容されるようにされている。
【0004】
特許文献2では、ポップアップフード装置に設けられたフードロック装置が開示されている。特許文献2のフードロック装置は、ロックベースに対してポップアップ可能に支持されていて、回転自在に支持されたラッチと、ラッチがストライカと係合した状態を保持するとともに、回転自在に支持された中間操作部とを有している。
【0005】
フードロック装置は、ロックベースに回動自在に支持された固定フックにより掛止されてポップアップが禁止された状態と、固定フックが作動することにより、その掛止が解除されて上方に移動されてポップアップ状態との遷移が可能となっている。
【0006】
中間操作部は、フードロック装置のポップアップが禁止されている状態では、ロックベースに回転自在に支持された車体側操作部に対して相対するように配置されている。
フードロック装置は、ポップアップが禁止されている状態で、車体側操作部が操作ケーブルにより操作されると、車体操作部が中間操作部を回動して中間操作部のラッチとの係合を解除することにより、ラッチに掛止されていたストライカ(エンジンフード)の上昇が許容されるようにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−229631号公報
【特許文献2】特開2016−64778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1では、ラッチ及びポールをそれぞれ回転自在に支持する軸の間の距離(例えば、上下方向並びに車両の幅方向での離間距離)は、ラッチ及びポールの両者の掛止及び掛止の解除のためにそれらの回動軌跡の範囲を確保する必要があり、その結果、フードロック装置が大型化する問題がある。
【0009】
特許文献2においても、ラッチ及び中間操作部をそれぞれ回転自在に支持する軸の間の距離(例えば、上下方向並びに車両の幅方向での離間距離)は、ラッチ及び中間操作の両者の掛止及び掛止の解除のためにそれらの回動軌跡の範囲を確保する必要があり、その結果、フードロック装置が大型化する問題がある。
【0010】
本発明の目的は、コンパクト化することができるフードロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、上記課題を解決するための手段について記載する。
上記課題を解決するフードロック装置は、エンジンフードの閉じ位置での固定及び同固定の解除を行うロック機構を備えたフードロック装置であって、前記ロック機構は、前記エンジンフードに設けられたストライカを掛止して前記固定を行い、前記ストライカを開放して前記固定の解除を行う一対のラッチを備え、前記一対のラッチは、車両に固定されたベースプレートに対して回動自在に支持されるとともに、相互に凹凸の関係で噛合される噛み合い部を備えていて、前記ストライカに対する掛止方向が相互に反対方向となるようにされており、両ラッチのうち、一方には、右ハンドル用の操作ケーブル取付部が設けられ、他方には左ハンドル用の操作ケーブル取付部が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態のフードロック装置を後方側から見た斜視図。
図2】同フードロック装置を前方側から見た一部省略した斜視図。
図3】同フードロック装置におけるロック機構及びケーブル支持台を示す斜視図。
図4】同フードロック装置におけるロック機構及びケーブル支持台を示す平面図。
図5】同フードロック装置が搭載される車両を示す正面図。
図6】同フードロック装置の作用を示す説明図。
図7】同フードロック装置の作用を示す説明図。
図8】同フードロック装置の作用を示す説明図。
図9】同フードロック装置の作用を示す説明図。
図10】同フードロック装置の作用を示す説明図。
図11】第2実施形態のフードロック装置を示す要部斜視図。
図12】第2実施形態の操作ケーブルの取り付けを示す要部斜視図。
図13】他の実施形態のフードロック装置を示す要部斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
以下、フードロック装置の第1実施形態について、図1図10を参照して説明する。
図5に示すように、車両1におけるエンジンルーム2の上側には、そのエンジンルーム2を開閉すべく上下動することが可能なエンジンフード3が設けられている。図6に示すようにエンジンフード3は、フードロック装置5の後述するキャッチ9から解放された場合、完全開放である最大限の開放角度で開くことが可能である。また、車両1におけるエンジンルーム2の前側(図5の紙面と直交する方向の手前側)には、四角枠状をなすラジエータサポート4が設けられている。同ラジエータサポート4においては、その上部が合成樹脂材料によって形成されており、上部以外の部分が金属材料によって形成されている。そして、ラジエータサポート4の上部には、エンジンフード3を閉じ位置(図5の二点鎖線)で固定したり同固定を解除したりするためのフードロック装置5が取り付けられている。
【0014】
図1及び図6はそれぞれ、フードロック装置5を車両1の後方側から見た状態、及び、前方側から見た状態を示している。同装置5は、ラジエータサポート4の上部に対し取り付けられるベースプレート6を備えている。ベースプレート6は車両の幅方向に延びる平板部6aを有していて、この平板部6aにおいて、車両の幅方向の略中央部の上部には、上方に向けて開口する切り欠き部7が下方へ延びて形成されている。この切り欠き部7における対向する内面の間隔は、上方に向かうほど長くされている。一方、エンジンフード3(図6)の下面におけるベースプレート6の切り欠き部7に対応する部分には、下方に突出するストライカ8が設けられている。そして、ストライカ8は、エンジンフード3を開いた状態から閉じ位置に移動させたとき、上記ベースプレート6における切り欠き部7の内部に進入するようになる。
【0015】
図6に示すように、ベースプレート6の正面側(車両1の前方側)には、同ベースプレート6と平行な板状のキャッチ9が設けられている。このキャッチ9は、ベースプレート6の切り欠き部7に対するストライカ8の進入を許容するとともに、切り欠き部7内からのストライカ8の抜き出しを禁止し、エンジンフード3の完全開放を阻止するためのものである。完全開放は、エンジンフード3が最大限の開放角度で開いた状態である。
【0016】
キャッチ9は、ベースプレート6に対しピン10周りに回転可能に支持されている。キャッチ9は、切り欠き部7の幅方向(図6の左右方向)両側のうちの一方側に位置するレバー部11と、もう一方側に位置するアーム部12と、を備えている。アーム部12の上端部には、レバー部11側に向けて鉤状に曲がった部分であるフック部13が設けられている。このフック部13の上端面は、レバー部11側に向かうほど下方に位置するように傾斜する傾斜面となっている。
【0017】
キャッチ9は、ピン10を中心とする回転方向において、フック部13がベースプレート6における切り欠き部7の上端の開口を閉塞する位置に、スプリング14の付勢力によって保持されている。すなわち、キャッチ9は、ストライカ8の移動軌跡上に位置するようにスプリング14により付勢されている。スプリング14は、付勢部材に相当する。そして、開いた状態のエンジンフード3を閉じ位置に向けて下方に移動させると、エンジンフード3のストライカ8がキャッチ9のフック部13の上端面に当接する。更に、ストライカ8は、フック部13をスプリング14の付勢力に抗して切り欠き部7の上端の開口が解放される方向に押し、フック部13の端部と切り欠き部7の内面との間から同切り欠き部7の内部に進入する。このように切り欠き部7の内部にストライカ8が進入した後、フック部13(キャッチ9)は、スプリング14の付勢力によって元の位置に戻る。
【0018】
一方、閉じ位置にあるエンジンフード3を開くときには、同エンジンフード3の閉じ位置での固定を解除した状態のもと、キャッチ9のレバー部11を操作してフック部13が切り欠き部7の上端の開口を解放するようキャッチ9をピン10周りに回転させる。このときのキャッチ9の回転はスプリング14の付勢力に抗して行われる。なお、切り欠き部7の上端の開口が解放されていないときには、切り欠き部7の内部にあるストライカ8の上方への抜き出しがフック部13によって禁止される。上述したように切り欠き部7の上端の開口を解放した後、言い換えればキャッチ9の回転によりフック部13を切り欠き部7の開口と重ならない位置まで変位させた後、エンジンフード3を持ち上げることによりストライカ8が切り欠き部7から上方に抜き出される。これによりエンジンフード3が開いた状態とされる。
【0019】
ちなみに、エンジンフード3を開いた後、上述したキャッチ9のレバー部11の操作をやめると、切り欠き部7の上端の開口がフック部13により閉塞される位置まで、キャッチ9がスプリング14の付勢力によってピン10周りに回転する。
【0020】
図1に示すように、フードロック装置5には、車両のエンジンフード3を閉じ位置で固定したり同固定の解除を行ったりするロック機構15が設けられている。また、同装置には、上記ロック機構15を操作するための操作ケーブル16が車両の幅方向に延びるように設けられている。図2に示すように、操作ケーブル16においては、ケーブルアウタ17の内部をワイヤ18が通過しており、且つ、同ワイヤ18におけるケーブルアウタ17から突出している部分の先端部に球状の連結部19が設けられている。この連結部19は、操作ケーブル16のワイヤ18と上記ロック機構15とを繋ぐためのものである。本実施形態では、車両は右ハンドル車であり、操作ケーブル16は右ハンドル用の操作ケーブルである。
【0021】
ロック機構15は、ベースプレート6の背面側(車両1の後方側)に位置する第1ラッチ20及び第2ラッチ21が車両1の幅方向において並設されている。これら第1ラッチ20及び第2ラッチ21は、ベースプレート6において、切り欠き部7が形成された平板部6aと平行となる板状に形成されている。ベースプレート6における切り欠き部7の幅方向両側のうち、一方の片側には第1ラッチ20の上下方向の略中央部がピン23周りに回転可能に支持されており、もう一方の片側には第2ラッチ21の上下方向の略中央部がピン24周りに回転可能に支持されている。
【0022】
図1及び図2に示すように第1ラッチ20の上端部には第2ラッチ21側に向けて突出する湾曲突出部26が形成されているとともに、第2ラッチ21の上端部には第1ラッチ20側に向けて突出する湾曲突出部27が形成されている。これら湾曲突出部26,27は、厚さ方向(車両の前後方向)に重なることにより、ベースプレート6における切り欠き部7の上端の開口の上方へのストライカ8の通過を阻止するようにしている。以下では、この状態を擬似的に切り欠き部7の上端の開口を閉塞するという。また、切り欠き部7の上端の開口の上方へのストライカ8の通過を許容する状態を前記開口が解放されたという。
【0023】
なお、湾曲突出部26の上端面は第2ラッチ21に向かうほど下方に位置する円弧状に形成されており、湾曲突出部27の上端面は第1ラッチ20に向かうほど下方に位置する円弧状に形成されている。なお、湾曲突出部26、27の上端面は円弧状に限定するものではなく、隣接する他のラッチに向かうほど下方に位置するように直線状の斜面であってもよい。
【0024】
第1ラッチ20における上下方向の略中央部であってピン23周りにおける第2ラッチ21側の部分には、凹部20aが形成されている。一方、第2ラッチ21における上下方向の中央部であってピン24周りにおける第1ラッチ20側の部分には、上記凹部20a内に挿入されて同凹部20aと噛み合う凸部21aが形成されている。従って、第1ラッチ20をピン23周りに回転させると、凹部20aと凸部21aとの噛み合いを通じて、第2ラッチ21がピン24周りに上記第1ラッチ20とは逆の方向に回転する。すなわち、第1ラッチ20及び第2ラッチ21はストライカ8に対する掛止方向が相互に反対方向となるように回転する。本実施形態では凹部20aと凸部21aとが噛み合い部に相当する。
【0025】
そして、第1ラッチ20と第2ラッチ21とが湾曲突出部26,27同士を互いに離間させる方向に回転することにより、ベースプレート6における切り欠き部7の上端の開口が解放される。また、第1ラッチ20と第2ラッチ21とが湾曲突出部26,27同士を互いに接近させる方向に回転することに基づき、それら湾曲突出部26,27が厚さ方向に重なることにより、ベースプレート6における切り欠き部7の上端の開口が閉塞される。
【0026】
図1及び図6に示すようにベースプレート6の背面には、第1ラッチ20及び第2ラッチ21の上側と車両1の幅方向両側(図6の左右両側)とを囲むようにばね22が取り付けられている。ばね22は、本実施形態では、ねじりコイルバネであって、ベースプレート6に突設したガイド片6bに巻装された巻き部22aを有している。ばね22の巻き部22aから延出されて第1ラッチ20及び第2ラッチ21の上側に位置する部分22bは、車両1の幅方向に延びて切り欠き部7における第1ラッチ20及び第2ラッチ21の湾曲突出部26,27とキャッチ9のフック部13との間の部分を通過している。そして、ばね22において、一方の端部22cはベースプレート6の平板部6aに接しており、もう一方の端部22dはベースプレート6に取り付けられたスイッチ28に接している。
【0027】
図2に示すように、第1ラッチ20及び第2ラッチ21の下端部はそれぞれ、ベースプレート6の下方において同ベースプレート6よりも車両1の前方側に突出している。第1ラッチ20の下端部には、右ハンドル用の操作ケーブル16におけるワイヤ18の先端の連結部19が係止される第1ケーブル取付部25Aが設けられている。第2ラッチ21の下端部には、左ハンドル用の操作ケーブルにおけるワイヤの先端の連結部が係止される第2ケーブル取付部25Bが設けられている。第1ケーブル取付部25Aは右ハンドル用の操作ケーブル取付部に相当し、第2ケーブル取付部25Bは、左ハンドル用の操作ケーブル取付部に相当する。
【0028】
本実施形態では、第1ケーブル取付部25A及び第2ケーブル取付部25Bは、車両の幅方向において一直線上に位置するように配置されるとともに両ケーブル取付部25A、25Bは、操作ケーブルのワイヤが斜め前上方から挿入可能な溝状に形成されている。
【0029】
すなわち、図7に示すように右ハンドル用の操作ケーブル16の球状の連結部19が取り付けられたときには、ワイヤ18は、後述する第2ケーブル取付部25Bのスリット36B(図2参照)を遊挿状態で配置が可能となっている。また、図示はしないが、左ハンドル用の操作ケーブルの球状の連結部が取り付けられたときには、ワイヤが、後述する第1ケーブル取付部25Aのスリット36A(図2参照)を遊挿状態での配置が可能となっている。
【0030】
第1ラッチ20の下端部は上記スプリング14に繋がっており、そのスプリング14の付勢力によって第1ラッチ20がその湾曲突出部26を第2ラッチ21の湾曲突出部27に対し接近させる方向に回転するよう付勢されている。
【0031】
なお、図6に示すように前記スプリング14は、その下端が第1ラッチ20の下端部であってベースプレート6の下側に位置する部分に掛け止められるとともに、上端がキャッチ9におけるベースプレート6の上側に位置する部分に対して掛け止められている。これにより、キャッチ9に対する付勢と第1ラッチ20に対する付勢とを、共通のスプリング14によって実現することが可能になる。
【0032】
図3は、ロック機構15及びケーブル支持台29を上方から見た状態を示し、フードロック装置5のロック機構15に取り付けられた操作ケーブル16、及び、同装置5における操作ケーブル16の周辺構造を示している。
【0033】
図3に示すように、ラジエータサポート4におけるロック機構15よりも車両1の前方側の部分には、ケーブル支持台29が設けられている。
このケーブル支持台29における第2ラッチ21の下端部の近傍に位置する部分には、車両1の幅方向において第1ラッチ20の下端部に設けられている第1ケーブル取付部25Aに対応して位置する板状の第1アウタ取付部30Aが形成されている。
【0034】
操作ケーブル16におけるワイヤ18の先端の連結部19は、第1ケーブル取付部25Aにおける第1アウタ取付部30Aとは反対側の部分に位置する当接面34Aに当接している(図4参照)。これにより、右ハンドル用の操作ケーブル16の連結部19が第1ケーブル取付部25Aに対し係止されている。また、操作ケーブル16のワイヤ18における連結部19に繋がる部分は、第1ケーブル取付部25Aに車両1の前方側から後方側に延びて上記当接面34Aと重なるように形成されているスリット36Aに対して遊挿されている。このスリット36Aは、車両1の前方側の部分ほど上方に位置するように傾斜している。
【0035】
図3に示すように、ケーブル支持台29の上記第1アウタ取付部30Aには、操作ケーブル16においてワイヤ18が突出するケーブルアウタ17の先端部が係止されている。詳しくは、板状の第1アウタ取付部30Aには上方に開口する凹所37A(図4参照)が形成されており、その凹所37Aにケーブルアウタ17の先端部が挿入される。
【0036】
図4に示すように、該凹所37Aの底部及び内側部がケーブルアウタ17の先端部外周に形成された溝17a(図6参照)に嵌め込まれることにより、操作ケーブル16のケーブルアウタ17の先端部が第1アウタ取付部30Aに係止されている。このようにケーブルアウタ17の上記先端部が第1アウタ取付部30Aに係止されることにより、その先端部が操作ケーブル16の延びる方向について移動しないよう位置決めされている。
【0037】
なお、本実施形態では、車両1が右ハンドル車のため、右ハンドル用の操作ケーブル16がフードロック装置5に取り付けられているが、車両1が左ハンドル車の場合には、フードロック装置5は左ハンドル用の操作ケーブルの取付も可能となっている。
【0038】
図4に示すように、ケーブル支持台29における第1ラッチ20の下端部の近傍に位置する部分には、車両1の幅方向において第2ラッチ21の下端部に設けられている第2ケーブル取付部25Bに対応して位置する板状の第2アウタ取付部30Bが形成されている。
【0039】
図4に示すように左ハンドル用の操作ケーブル(図示しない)におけるワイヤの先端の連結部は、第2ケーブル取付部25Bにおける第2アウタ取付部30Bとは反対側の部分に位置する当接面34Bに当接するようにされている。
【0040】
これにより、左ハンドル用の操作ケーブルの連結部が第2ケーブル取付部25Bに対して係止可能になっている。該操作ケーブルのワイヤにおける連結部に繋がる部分は、第2ケーブル取付部25Bに車両の前方側から後方側に延びて当接面34Bと重なるように形成されているスリット36Bに対して遊挿するように配置されている。このスリット36Bは、車両の前方側の部分ほど上方に位置するように傾斜している。
【0041】
図4に示すように、ケーブル支持台29の上記第2アウタ取付部30Bには、左ハンドル用の操作ケーブルにおいてワイヤが突出するケーブルアウタの先端部が係止可能となっている。詳しくは、板状の第2アウタ取付部30Bには上方に開口する凹所37B(図4参照)が形成されており、その凹所37Bにケーブルアウタの先端部が挿入される。この凹所37Bに対するケーブルアウタの先端部の挿入は、右ハンドル用の操作ケーブルにおいて、凹所37Aに対するケーブルアウタ17の先端部の挿入と同様である。
【0042】
このように、該凹所の底部及び内側部がケーブルアウタの先端部外周に形成された溝に嵌め込まれることにより、該操作ケーブルのケーブルアウタの先端部が第2アウタ取付部30Bに係止される。このようにして左ハンドル用の操作ケーブルのケーブルアウタの上記先端部が第2アウタ取付部30Bに係止されることにより、その先端部が操作ケーブルの延びる方向について移動しないよう位置決めすることが可能となっている。
【0043】
話を右ハンドル用の操作ケーブル16に戻して、操作ケーブル16は、車両1の運転席まで延びて同運転席に設けられている操作レバーに繋がっている。
[実施形態の作用]
次に、本実施形態におけるフードロック装置5の作用について説明する。
【0044】
まず、操作レバーの操作を通じて上記ワイヤ18の引っ張りがされていない状態とする。この状態で、すなわち、図6の2点鎖線で示すように、開いた状態のエンジンフード3を閉じる際には、フードロック装置5のロック機構15が図2に示す状態のもとで、エンジンフード3が閉じ位置に向けて下方に移動される。これにより、エンジンフード3のストライカ8が、第1ラッチ20の湾曲突出部26と第2ラッチ21の湾曲突出部27とをスプリング14の付勢力に抗して押し広げ、ベースプレート6の切り欠き部7の内部であって湾曲突出部26,27よりも下側の部分に進入する。このとき、ストライカ8は、スプリング部材としてのばね22を弾性変形させるため、そのばね22の付勢力を上方に向けて受けるようになる。
【0045】
また、ストライカ8が上述したように切り欠き部7に進入すると、スプリング14の付勢力によって第1ラッチ20及び噛み合い部を介して第2ラッチ21が元の位置(図7の位置)に戻される。これにより、第1ラッチ20及び第2ラッチ21の湾曲突出部26,27同士が厚さ方向に重なるとともに両ラッチにストライカ8が掛止される。すなわち、ストライカ8はベースプレート6の切り欠き部7の内部であって湾曲突出部26,27よりも下側の部分から上方に抜け出すことが禁止される。その結果、エンジンフード3(ストライカ8)が閉じ位置で固定される。なお、このときには、ばね22が上述したように弾性変形することにより、そのばね22の端部がスイッチ28から離れた状態となる。
【0046】
一方、図7に示すようにフードロック装置5によるエンジンフード3の閉じ位置での固定がされていて、これを解除するときには、運転席の上記操作レバーの操作に基づき、操作ケーブル16のワイヤ18が操作レバー側に引っ張られる。これにより、ワイヤ18の先端の連結部19と繋がっている第1ラッチ20がスプリング14(図2参照)の付勢力に抗してピン23周りに回転し、噛み合い部を介して第2ラッチ21もピン24周りで第1ラッチ20とは反対の方向に回転する(図8参照)。両ラッチ20、21の相互に反対方向の回転に基づいてロック機構15によるエンジンフード3の閉じ位置での固定が解除される。
【0047】
すなわち、第1ラッチ20及び第2ラッチ21は、厚さ方向に重なる湾曲突出部26,27同士が離れるよう第1ラッチ20及び第2ラッチ21をスプリング14(図2)の付勢力に抗して回転する。第1ラッチ20、第2ラッチ21がストライカ8に対する掛止解除する回転方向は反掛止方向としている。その結果、切り欠き部7の内部であって湾曲突出部26,27よりも下側の部分にあるストライカ8が、ばね22(図7参照)の付勢力により上記部分よりも上方に抜き出され、それによってエンジンフード3の閉じ位置での固定が解除される。
【0048】
なお、このときには、ばね22が元の位置(図6の実線で示す位置)に戻り、そのばね22の端部がスイッチ28に接した状態となる。このスイッチ28は、ばね22の端部の接触の有無により、エンジンフード3(ストライカ8)が閉じ位置で固定されているか、あるいは同固定が解除されているかを検出する。
【0049】
また、ストライカ8はばね22の付勢力により上記部分よりも上方に抜き出され、それによってエンジンフード3の閉じ位置での固定が解除される。しかし、キャッチ9のフック部13により切り欠き部7の内部にあるストライカ8の上方への抜き出しは禁止される(図9参照)。
【0050】
この後、キャッチ9のレバー部11を操作してフック部13が切り欠き部7の上端の開口を解放するようキャッチ9をピン10周りに回転させて、エンジンフード3を持ち上げることによりストライカ8を切り欠き部7から上方に抜き出す。これによりエンジンフード3が開いた状態とされる。
【0051】
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)第1ラッチ20と第2ラッチ21とは、凹部20aと凸部21aとが噛み合いするだけでよいため、第1ラッチ20と第2ラッチ21をそれぞれ回転自在に支持する軸(ピン23、24)の離間距離を短くできる。このため、ベースプレート6の小型化、ひいてはフードロック装置をコンパクト化することができる。
【0052】
(2)第1ラッチ20と第2ラッチ21とは、凹部20aと凸部21aとが噛み合いするだけでよい。このため、いずれか一方のラッチを操作ケーブルにより掛止方向へ回転操作すれば、他方のラッチは一方のラッチとは反対方向である掛止方向へ回転させてロック解除ができる。これにより、右ハンドル用の操作ケーブルと、左ハンドル用の操作ケーブルを、それぞれ掛止方向へ操作されるラッチに連結すればよく、異なる構成のフードロック装置を用意する必要がなくなる。従って、共通のフードロック装置のみを製造するだけでよくなり、部品の共通化ができて、フードロック装置の種類を少なくできるとともに、部品のコスト低減を図ることができる。
【0053】
また、従来、右ハンドル用と左ハンドル用にそれぞれ対応したフードロック装置では形状及びその構成が類似しているため、誤組付する虞がある。本実施形態では、右ハンドル用の操作ケーブルと、左ハンドル用の操作ケーブルを、それぞれ掛止方向へ操作されるラッチに連結すればよいから、右ハンドル用の操作ケーブルと、左ハンドル用の操作ケーブルのフードロック装置に対する誤組付を抑制できる。
【0054】
(3)本実施形態では、右ハンドル用の操作ケーブル16のケーブルアウタ17の取付け位置(凹所37Aの位置)と、左ハンドル用の操作ケーブルのケーブルアウタの取付け位置(凹所37Bの位置)が異なる。また、右ハンドル用の操作ケーブル16の連結部19の取付け位置(第1ケーブル取付部25Aの位置)と、左ハンドル用の操作ケーブルの連結部の取付け位置(第2ケーブル取付部25Bの位置)が異なる。この結果、操作ケーブルの誤組付を抑制できる。
【0055】
また、右ハンドル用の操作ケーブル16の連結部19を第2ケーブル取付部25Bに取付けた誤組付の場合と、第1ケーブル取付部25Aに取付けた正組付の場合とでは、ケーブルアウタ17から連結部19まで露出するワイヤ18の長さが異なる。このため、ケーブルアウタ17から連結部19まで露出するワイヤ18の長さは正組付が可能な長さとなっていることから誤組付の連結ができないものとなっている。
【0056】
(4)本実施形態では、一対のラッチのうち、一方のラッチ(第1ラッチ20)には、当該ラッチの前記掛止方向に付勢するスプリング14(付勢部材)が連結されているため、他方のラッチには、当該ラッチの掛止方向へ付勢する付勢用の部材を設ける必要がない。この結果、部品点数を少なくでき、フードロック装置の重量の軽減ができる。
【0057】
(5)本実施形態では、第1ラッチ20に連結したスプリング14(付勢部材)は、キャッチ9にも連結されている。この結果、第1ラッチ20とキャッチ9にそれぞれ掛止方向に付勢するスプリングは1つで済み、部品点数を少なくでき、フードロック装置の重量の軽減ができる。
【0058】
(6)本実施形態では、一対のラッチは、車両の幅方向において並設されて、右ハンドル用の第1ケーブル取付部25Aと、左ハンドル用の第2ケーブル取付部25Bは、車両の幅方向において一直線上に配置されている。また、両ケーブル取付部25A、25Bのいずれか一方に対して、操作ケーブルの連結部が取付けられた際、該操作ケーブルのケーブルアウタから該連結部まで露出したワイヤを、残りの他方の操作ケーブル取付部が遊挿可能に配置されている。ここで、ケーブルアウタから該連結部まで露出したワイヤを、残りの他方の操作ケーブル取付部が遊挿させない場合は、いずれか一方の操作ケーブル取付部は、他方の操作ケーブル取付部に対してオフセットする必要がある。これに対して、本実施形態によれば、オフセットする必要がない分だけ、フードロック装置を小型化ができる。
【0059】
[第2実施形態]
次に、フードロック装置の第2実施形態について、図11及び図12を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる構成を中心に説明して、第1実施形態と同一構成または相当する構成について同一符号を付してその詳細な説明を省略する。なお、図11では、説明の便宜上、スイッチ28は省略しているが、第1実施形態と同様にあるものとして理解されたい。
【0060】
本実施形態は第1ケーブル取付部25A及び第2ケーブル取付部25Bの配置、操作ケーブルのケーブルアウタの固定構造、及び両ラッチ20、21の掛止方向の付勢方法が第1実施形態と異なっている。
【0061】
図12に示すように第1ケーブル取付部25A及び第2ケーブル取付部25Bは、第1ラッチ20及び第2ラッチ21の下端部に対して、ベースプレート6よりも車両1の後方側に突出するように形成されている。また、スリット36A、36Bは、車両の前方に開口されるように水平に配置されているところが第1実施形態と異なっている。なお、本実施形態においても、第1ケーブル取付部25A及び第2ケーブル取付部25Bは、車両の幅方向において一直線上に配置されている。
【0062】
操作ケーブルのケーブルアウタの固定構造に関しては、本実施形態では、第1実施形態の第1アウタ取付部30A及び第2アウタ取付部30Bが省略されている。その代わりに、ベースプレート6において、図11に示すように両ラッチ20、21の左右両側(図11において左右両側)に第1アウタ取付部40A及び第2アウタ取付部40Bがそれぞれ設けられている。
【0063】
第1アウタ取付部40A及び第2アウタ取付部40Bは、ベースプレート6から車両の後方へそれぞれ突出されている。第1アウタ取付部40Aは、第2ケーブル取付部25Bに対向して配置されているとともに、第2アウタ取付部40Bは、第1ケーブル取付部25Aに対向して配置されている。第1ケーブル取付部25Aは第2ケーブル取付部25Bと対向配置されている。すなわち、図11において、左側から右側に向かって第2アウタ取付部40B、第1ケーブル取付部25A、第2ケーブル取付部25B及び第1アウタ取付部40Aの順で車両の幅方向においてこれらが一直線上に並ぶように配置されている。第1アウタ取付部40A及び第2アウタ取付部40Bには、上方へ向かって開口する凹所41A、41Bがそれぞれ設けられている。
【0064】
図11に示すように、右ハンドル車の場合、右ハンドル用の操作ケーブル16はそのケーブルアウタ17の先端部の溝17aが第1アウタ取付部40Aの凹所41Aに嵌合され、球状の連結部19が第1ケーブル取付部25Aに係止される。また、図11に示すように右ハンドル用の操作ケーブル16の球状の連結部19が取り付けられたときには、ワイヤ18は、第2ケーブル取付部25Bのスリット36Bを遊挿状態で配置が可能となっている。
【0065】
また、図12に示すように、左ハンドル車の場合、左ハンドル用の操作ケーブル16Aはそのケーブルアウタ17Aの先端部の溝17Aaが第2アウタ取付部40Bの凹所41Bに嵌合され、球状の連結部19Aが第2ケーブル取付部25Bに係止される。また、図12に示すように左ハンドル用の操作ケーブル16Aの球状の連結部19Aが取り付けられたときには、ワイヤ18Aは、第1ケーブル取付部25Aのスリット36Aを遊挿状態で配置が可能となっている。
【0066】
図11に示すように、第1ラッチ20及び第2ラッチ21において、相互に対向する側部とは反対側の側部にはバネ掛止片20b、21bが車両の後方に向かって突出して形成されている。バネ掛止片20b、21間には、付勢部材としてのコイルスプリング50の両端が掛け止められている。コイルスプリング50により、第1ラッチ20及び第2ラッチ21は、切り欠き部7に進入したストライカ8を掛止める掛止方向に付勢するようにされている。なお、本実施形態では、図示はしないがスプリング14は、その下端がベースプレート6に掛け止められているとともに、上端がキャッチ9におけるベースプレート6の上側に位置する部分に対して掛け止められている。
【0067】
以上詳述した本実施形態によれば、第1実施形態における(1)乃至(3)、並びに(6)の効果と同様の効果が得られるように他、下記の効果を得る。
(7)スリット36A、36Bが、車両の前方に開口されるように水平に配置されていることから、連結部19、19Aの上方への抜き出しにくくすることができる。
【0068】
[第3実施形態]
次に、フードロック装置の第3実施形態について、図13を参照して説明する。本実施形態では、第2実施形態と異なる構成を中心に説明して、第2実施形態と同一構成または相当する構成について同一符号を付してその詳細な説明を省略する。なお、図13では、説明の便宜上、スイッチ28及びコイルスプリング50は省略しているが、第2実施形態と同様にあるものとして理解されたい。
【0069】
本実施形態は、第1ケーブル取付部25A及び第1アウタ取付部40Aとが、第2ケーブル取付部25B及び第2アウタ取付部40Bに対して車両の前後方向において、オフセットして配置されているところが第2実施形態と異なっている。
【0070】
このオフセットは例えば、下記(a)、(b)のようにされていることが好ましい。
(a)操作ケーブル16、16Aをケーブル取付部25A、25B、アウタ取付部40A、40Bにそれぞれ正しく組付けたときのワイヤ18、18Aのいずれか一方が他方よりも切り欠き部7を有するベースプレート6の平面よりも離間していること。
【0071】
(b)ワイヤ18、18Aは、ベースプレート6において、切り欠き部7を有する部位(平板部6a)の平面に対してそれぞれ平行に配置されていること。
本実施形態では、図13に示すように、ベースプレート6において、切り欠き部7を有する部位(平板部6a)の平面からの離間距離をワイヤ18の方がワイヤ18Aよりも長くしている。
【0072】
本実施形態によれば、第1実施形態における(1)乃至(3)、並びに(6)の効果と同様の効果が得られるようになる。
(8)本実施形態のフードロック装置は、操作ケーブル16の連結部19及びケーブルアウタ17の組み付け位置と、操作ケーブル16の連結部19A及びケーブルアウタ17Aの組み付け位置とが組み付け時の操作ケーブルの長さ方向において異なる。このため、右ハンドル用の操作ケーブル16と、左ハンドル用の操作ケーブル16Aの組み付け時における操作ケーブルの誤組付を抑制ができる。
【0073】
[その他の実施形態]
なお、上記各実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・第1実施形態において、右ハンドル用の操作ケーブル16に関する第1アウタ取付部30Aをケーブル支持台29に形成する代わりに、ベースプレート6に対し取り付け又は固定されるものとしてもよい。この場合、操作ケーブル16のケーブルアウタ17は、ラジエータサポート4に取り付けられるベースプレート6を介して、第1アウタ取付部30Aによってラジエータサポート4に対し係止されることになる。
【0074】
同様に左ハンドル用の操作ケーブルに関する第2アウタ取付部30Bをケーブル支持台29に形成する代わりに、ベースプレート6に対し取り付け又は固定されるものとしてもよい。この場合、操作ケーブルのケーブルアウタは、ラジエータサポート4に取り付けられるベースプレート6を介して、第2アウタ取付部30Bによってラジエータサポート4に対し係止されることになる。
【0075】
・第1実施形態において、第1ラッチ20に凹部20aを設け、第2ラッチ21に凸部21aを設けたが、第1ラッチ20に凸部を設け、第2ラッチ21に凹部を設けて、両者が互いに噛み合う噛み合い部としてもよい。
【0076】
・第1実施形態では、相互に凹凸の関係で噛合される噛み合い部を、凹部20aと凸部21aとした。これに代えて、第1ラッチ20及び第2ラッチ21に対してピン23、24を回転中心とした歯車(部分歯車も含む)を一体に形成して、両歯車を相互に噛み合う噛み合い部としてもよい。なお、両歯車は両ラッチを同速度で回転させるものが好ましいが、限定するものではない。
【0077】
・第1実施形態では、スプリング14を付勢部材としたが、付勢部材はスプリング14に限定されるものではなく、例えば、ピン23、或いはピン24に巻回した巻きばね等でもよい。
【0078】
・第1実施形態では、付勢部材としてのスプリング14の一端をキャッチ9に連結したが、ベースプレート6に一端を連結してもよい。この場合、キャッチ9には、ストライカ8を掛止方向に付勢するばねをさらに設ければよい。この場合、このばねは、巻ばね、コイルスプリング等でよい。
【0079】
・第3実施形態では、第1ケーブル取付部25A及び第1アウタ取付部40Aとが、第2ケーブル取付部25B及び第2アウタ取付部40Bに対して車両の前後方向において、オフセットして配置されている。これに代えて、第1ケーブル取付部25A及び第1アウタ取付部40Aとが、第2ケーブル取付部25B及び第2アウタ取付部40Bに対して上下方向において、オフセットされていてもよい。或いは、第1ケーブル取付部25A及び第1アウタ取付部40Aとが、第2ケーブル取付部25B及び第2アウタ取付部40Bに対して車両の前後方向及び上下方向の両方向において、オフセットして配置されていてもよい。
【0080】
・第3実施形態では、「(b)ワイヤ18、18Aは、ベースプレート6において、切り欠き部7を有する部位(平板部6a)の平面に対してそれぞれ平行に配置されていること。」とした。しかし、オフセットする場合、必ずしも、完全に平行するのではなく、操作ケーブルの操作ができる範囲で前記平板部6aの平面に対して斜状に配置してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…車両、2…エンジンルーム、3…エンジンフード、4…ラジエータサポート、5…フードロック装置、6…ベースプレート、6a…平板部、7…切り欠き部、8…ストライカ、9…キャッチ、10…ピン、11…レバー部、12…アーム部、13…フック部、14…スプリング、15…ロック機構、16…操作ケーブル、17…ケーブルアウタ、17a…溝、18…ワイヤ、19…連結部、20…第1ラッチ、20a…凹部、21…第2ラッチ、21a…凸部、22…ばね、23…ピン、24…ピン、25A…第1ケーブル取付部(操作ケーブル取付部)、25B…第2ケーブル取付部(操作ケーブル取付部)、26…湾曲突出部、27…湾曲突出部、28…スイッチ、29…ケーブル支持台、30A…第1アウタ取付部、30B…第1アウタ取付部、34A、34B…当接面、36A、36B…スリット、37A、37B…凹所。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13