特許第6863963号(P6863963)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6863963宇宙ベースのインターネットシステムの介在を伴う地上端末と衛星の無線端末との間の双方向IP通信の方法
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  • 特許6863963-宇宙ベースのインターネットシステムの介在を伴う地上端末と衛星の無線端末との間の双方向IP通信の方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863963
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】宇宙ベースのインターネットシステムの介在を伴う地上端末と衛星の無線端末との間の双方向IP通信の方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/185 20060101AFI20210412BHJP
【FI】
   H04B7/185
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-506416(P2018-506416)
(86)(22)【出願日】2016年7月15日
(65)【公表番号】特表2018-530200(P2018-530200A)
(43)【公表日】2018年10月11日
(86)【国際出願番号】EP2016066914
(87)【国際公開番号】WO2017025274
(87)【国際公開日】20170216
【審査請求日】2019年5月9日
(31)【優先権主張番号】102015010132.3
(32)【優先日】2015年8月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517323795
【氏名又は名称】エアバス ディフェンス アンド スペース ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100119987
【弁理士】
【氏名又は名称】伊坪 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100141254
【弁理士】
【氏名又は名称】榎原 正巳
(72)【発明者】
【氏名】イェンス アイクホフ
【審査官】 佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−075790(JP,A)
【文献】 特表2012−507211(JP,A)
【文献】 特開2002−164909(JP,A)
【文献】 特開平11−308161(JP,A)
【文献】 特開2000−224237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/185
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地球の表面上の地上端末(2)と衛星(1)との間の通信用の方法であって、前記地上端末(2)及び前記衛星(1)の無線端末(7)は、IPに基づいた通信のためにセットアップされており、且つ、前記通信は、一つ以上のIPに基づいたプロトコルを介して、宇宙に基づいたインターネットシステム(3)の介在を伴って、
−前記衛星(1)の一つ以上のモジュール(4、5)用の制御コマンド(CO、CO’)が、前記地上端末(2)から前記無線端末(7)に送信され、前記無線端末(7)は、前記制御コマンド(CO、CO’)を前記宇宙に基づいたインターネットシステム(3)から無線で受信し、且つ、これらの制御コマンド(CO、CO’)を前記一つ以上のモジュール(4、5)に転送し、且つ/又は、
−前記衛星(1)の一つ以上のモジュール(4、5)から到来するモジュールデータ(DA、DA’)が、前記無線端末(7)から前記地上端末(2)に送信され、この場合に、前記無線端末(7)は、前記モジュールデータ(DA、DA’)を前記宇宙に基づいたインターネットシステム(3)に無線で送信し、
前記一つ以上のモジュール(4、5)は、地球の表面の画像を記録するためのカメラシステムを有し、前記制御コマンド(CO、CO’)は、前記カメラシステムを制御するためのコマンドを含み、前記モジュールデータ(DA、DA’)は、前記カメラシステムによって記録された前記画像を含む、方法。
【請求項2】
前記衛星()の少なくとも一つのペイロード(4)用の制御コマンド(CO)は、前記地上端末(2)から前記無線端末(7)に送信され、且つ/又は、前記衛星(1)の少なくとも一つのペイロード(4)から到来するモジュールデータ(DA)は、前記無線端末(7)から前記地上端末(2)に送信されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記衛星(1)のプラットフォーム(5)用の制御コマンド(CO’)は、前記地上端末(2)から前記無線端末(7)に送信され、且つ/又は、前記衛星(1)の前記プラットフォーム(5)から到来するモジュールデータ(DA’)は、前記無線端末(7)から前記地上端末(2)に送信されることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記無線端末(7)は、前記プラットフォーム(5)用の前記制御コマンド(CO’)をプラットフォーム制御のために中央コンピュータ(6)に転送し、且つ/又は、前記無線端末(7)は、前記衛星(1)の前記プラットフォーム(5)から到来する前記モジュールデータ(DA’)をプラットフォーム制御のために前記中央コンピュータ(6)から受信し、且つ、次いで、これらのモジュールデータ(DA’)を無線で送信することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記モジュールデータ(DA、DA’)は、前記衛星(1)の前記一つ以上のモジュール(4、5)の動作データ及び/又は計測データであることを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記地上端末(2)内には、ユーザが前記制御コマンド(CO、CO’)の前記送信及び/又は前記モジュールデータ(DA、DA’)の前記送信を実行し得るユーザインタフェース(201)が提供されていることを特徴とする、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ユーザインタフェース(201)は、前記衛星(1)の前記無線端末(7)をアドレス指定可能であるウェブブラウザを具備することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記無線端末(7)と前記地上端末(2)との間の前記通信の中断の場合に、送信用の制御コマンド(CO、CO’)が前記地上端末(2)内においてバッファ処理され、且つ/又は、送信用のモジュールデータ(DA、DA’)が、前記衛星(1)内においてバッファ処理され、前記バッファ処理された制御コマンド(CO、CO’)及び/又はモジュールデータ(DA、DA’)は、前記中断が終了した際に送信されることを特徴とする、請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記地上端末(2)と前記衛星(1)との間の前記通信は、暗号化されていることを特徴とする、請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記衛星(1)は、前記地球の表面の上方350km〜15000kmの、好ましくは、350km〜1500kmの、且つ、特に好ましくは、500km〜1000kmの飛行高度を有することを特徴とする、請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記衛星(1)は、IPに基づいた通信のためにセットアップされており、且つ、一つ以上のIPに基づいたプロトコルを介して、
−地上端末(2)から到来する前記衛星(1)の一つ以上のモジュール(4、5)用の制御コマンド(CO、CO’)を宇宙に基づいたインターネットシステム(3)から無線で受信し、且つ、これらのコマンドを前記一つ以上のモジュール(4、5)に転送し、且つ/又は、
−前記衛星(1)の一つ以上のモジュール(4、5)から到来すると共に前記地上端末(2)に対してアドレス指定されたモジュールデータ(DA、DA’)を前記宇宙に基づいたインターネットシステム(3)に無線で送信する、
ように構成された無線端末(7)を具備する、請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の方法において使用される衛星。
【請求項12】
前記無線端末(7)は、IPに基づいた通信のためにセットアップされており、且つ、一つ以上のIPに基づいたプロトコルを介して、
−地上端末(2)から到来する前記衛星(1)の一つ以上のモジュール(4、5)用の制御コマンド(CO、CO’)を宇宙に基づいたインターネットシステム(3)から無線で受信し、且つ、これらのコマンドを前記一つ以上のモジュール(4、5)に転送し、且つ/又は、
−前記衛星(1)の一つ以上のモジュール(4、5)から到来すると共に前記地上端末(2)にアドレス指定されたモジュールデータ(DA、DA’)を前記宇宙に基づいたインターネットシステム(3)に無線で送信する、
ように構成されている、請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の方法において使用される衛星用の無線端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地球の表面上の地上端末と衛星との間の通信用の方法に関し、且つ、対応する方式によって装備された衛星及びこの衛星用の対応する無線端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衛星は、静止型の地上局を介して地球の表面と通信している。この結果、衛星と静止型の地上局との間のデータ交換は、無線で直接的に行われる。これは、衛星と地上局との間に視覚的なコンタクトが存在する際にしか、通信が可能ではない、という欠点を有する。従って、データ交換が複雑であり、且つ、(従来の地球観察衛星の場合には、通常、数回の周回及び数時間に及ぶ)地上局コンタクトの間の期間において、衛星の観察動作用の、且つ、地球との間のデータ交換用の、タイミングが予め判定されている時刻表によって動作する必要がある。衛星及びペイロードの対話型の動作は、衛星が地上局の上空を飛行している短い期間(通常、8分間を上回らない)においてのみ、可能である。いくつかのケースにおいては、衛星基準データの純粋な転送のために、中継衛星も使用されている。但し、衛星制御は、このような中継衛星を介しては実行されず、且つ、中継衛星は、衛星に対する永久的なアクセスを許容してもいない。
【0003】
更には、所謂、宇宙に基づいたインターネットシステムが従来技術から知られており、これは、無線送信の介在を伴う衛星を介したIPに基づいた通信を許容する。このような宇宙に基づいたインターネットシステムの例が、OneWeb及びO3Bシステムであり、これらは、計画段階にある。宇宙に基づいたインターネットシステムは、その上部に配置された無線端末を有する多数の衛星を使用している。これらの端末は、IPに基づいたプロトコルを介した固定周波数帯域におけるデータの転送を許容している。宇宙に基づいたインターネットシステムの衛星を介して、地球の表面上の一つの地点からのインターネット要求は、その他の地点に転送され、これらのその他の地点も、宇宙に基づいたインターネットシステムの衛星の介在を伴って、要求に応答することができる。従って、インターネット通信の一部分が、宇宙に基づいたシステムを介して実行されることになる。
【0004】
宇宙に基づいたインターネットシステムは、海上、ジャングル地域、又は極域などの、アクセス不能な領域内におけるインターネットを介した通信を許容する。これを目的として、インターネット端末が、このような領域内において、地上又は船舶上においてセットアップされ、このインターネット端末は、宇宙に基づいたインターネットシステムの衛星との間において無線で通信する。従って、これらの宇宙に基づいたインターネットシステムは、リモートインターネット端末と、例えば、研究所、政府機関、又は物流会社などの主局と、の間の永久的な、双方向性の、且つ、対話型の、通信ブリッジを表している。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、地球の表面上の地上端末と衛星との間の改善された通信を提供することにある。
【0006】
この目的は、特許請求項1に記載の方法及び特許請求項11に記載の衛星、並びに、特許請求項12に記載の無線端末によって実現される。本発明の更なる拡張は、従属請求項において定義されている。
【0007】
本発明による方法は、地球の表面上の地上端末と衛星との間の通信のために有用である。地上端末が、IPに基づいた通信のためにセットアップされる。同様に、衛星上において配置された無線端末も、IPに基づいた通信のためにセットアップされる。ここで、且つ、以下において、IPに基づいた通信は、IPプロトコル(IP=Internet protocol)と、任意選択により、更には、OSI基準モデルによるIPプロトコルの更に上位の層内のプロトコルと、に基づいたデータ交換であるものと理解されたい。このようなプロトコルは、特に、TCP(TCP=transmission control protocol)、UDP(UDP=user datagram protocol)、HTTP(S)(HTTP=hypertext transfer protocol(secure))、及びFTP(FTP=file transfer protocol)を含む。IPに基づいた通信を許容するべく、一つの(又は、複数の)IPアドレスが、衛星上の無線端末に対して割り当てられる。
【0008】
本発明による方法において使用される衛星には、異なる飛行高度を設定することが可能であり、且つ、飛行高度は、好ましくは、宇宙に基づいたインターネットシステムの衛星の飛行高度未満である。衛星の好ましい飛行高度は、地球の表面の上方350km〜15000km、好ましくは、350km〜1500km、且つ、特に好ましくは、500km〜1000kmである。これらの飛行高度範囲は、従来の地球調査衛星の飛行高度を含む。言及された飛行高度範囲は、宇宙に基づいたインターネットシステムであるOneWebを伴う方法の使用に適した飛行高度を更に含み、OneWebの衛星は、約1200kmの高度において飛行している。同様に、言及された範囲は、宇宙に基づいたインターネットシステムO3Bが使用され得る飛行高度をも含み、この場合に、これらの衛星の飛行高度は、約8000kmである。
【0009】
従って、無線端末(衛星内のインターネット端末)と、後述するように、これに対して接続された衛星のモジュールと、は、制御主局との間において、宇宙に基づいたインターネットシステムを介して、永久的な、双方向性の、且つ、対話型の、インターネットコンタクトを有する。制御主局は、例えば、研究所、政府機関、又は物流会社であってもよい。
【0010】
本発明によれば、通信は、以下において言及されている情報が、宇宙に基づいたインターネットシステムの介在を伴って、一つ以上のIPに基づいたプロトコルを介して交換されるように、進行し、IPに基づいたプロトコルという表現は、上述のプロトコルを、即ち、IPプロトコルと、任意選択により、更には、更に上位の層におけるプロトコルと、を含む。宇宙に基づいたインターネットシステムとして、例えば、冒頭において言及したOneWeb又はO3Bシステムを使用することができる。但し、本発明による方法においては、任意のその他の宇宙に基づいたインターネットシステムを使用することもできる。地上端末、宇宙に基づいたインターネットシステム、及び衛星の間の無線送信においては、これに加えて、インターネットプロトコルパケットをLTE(long term evolution)又はCCSDS(consultative committee for space data systems)などの誤り訂正プロトコル内においてパッケージ化することもできる。これは、使用される宇宙に基づいたインターネットシステム技法に従って実行されるものであり、従って、本発明にとって重要ではない。
【0011】
本発明によれば、衛星の一つ以上のモジュール用の制御コマンドが、地上端末から無線端末に送信され、この場合に、無線端末は、宇宙に基づいたインターネットシステムから、制御コマンドを無線で受信し、且つ、これらの制御コマンドを無線端末と衛星内において結合された一つ以上のモジュールに対して転送する。これを目的として、それぞれの制御されたモジュールは、好ましくは、衛星内においてその独自のIPアドレスを受け取っている。或いは、この代わりに、又はこれに加えて、衛星の一つ以上のモジュールから到来するモジュールデータは、無線端末から地上端末に送信される。これにより、無線端末は、モジュールデータを宇宙に基づいたインターネットシステムに無線で送信する。
【0012】
本発明による方法は、宇宙に基づいたインターネットシステムの介在を伴うIPに基づいたデータ転送を介して、地上端末と衛星との間の非常に信頼性の高いデータ交換が、衛星の軌道位置とは無関係に、保証される、という利点を有する。具体的には、従来技術のケースのように、データ交換のために、地上端末と衛星との間の視覚的なコンタクトが必要とされてはいない。又、現在使用されているいくつかのケースのような、中継衛星を介した地上に対する純粋な基準データ転送とは対照的に、完全な双方向性(即ち、制御及び結果フィードバック)が保証されている。従って、結果フィードバックを含む通信を、実質的に時間遅延を伴うことなしに実行することが可能であり、この結果、衛星からのモジュールデータの取得又は衛星に対する制御コマンドの送信が大幅に促進される。
【0013】
特に好適な一実施形態においては、衛星の少なくとも一つのペイロード用の制御コマンドが、地上端末から無線端末に送信される。ペイロードは、衛星技術の分野における標準的な用語である。ペイロードは、その意図された使用法に応じた衛星の装置であるものとして理解されたい。ペイロードは、衛星のモジュールを表している。或いは、この代わりに、又はこれに加えて、衛星の少なくとも一つのペイロードから到来するモジュールデータを地上端末から無線端末に送信することもできる。
【0014】
好適な一実施形態においては、少なくとも一つのペイロードは、地球の表面から信号を取得するための装置を有し、特に、レーダシステム及び/又はカメラシステムを有する。但し、衛星用の任意のその他のペイロードも想定可能である。
【0015】
本発明による方法の更なる一変形においては、衛星のプラットフォーム用の制御コマンドが、地上端末から衛星内の無線端末に送信される。好ましくは、無線端末は、プラットフォーム用の制御コマンドをプラットフォーム制御のために中央コンピュータに転送し、次いで、この中央コンピュータが制御コマンドを処理する。更なる一変形においては、無線端末は、衛星のプラットフォームコンピュータから到来するモジュールデータを中央コンピュータから受信し、且つ、次いで、これらのモジュールデータを無線で送信する。ペイロードと同様に、プラットフォームも、衛星技術の分野において標準的な用語である。プラットフォームは、特許請求項の意味におけるモジュールであり、且つ、一つ以上のペイロードの動作を許容する衛星の電源ユニットを実質的に表している。
【0016】
好適な一実施形態においては、本発明による方法の範囲内において送信されるモジュールデータは、衛星の一つ以上のモジュールの動作データ及び/又は計測データに関係している。動作データは、対応するモジュール自体の動作に関係した値である。その一方において、計測データは、モジュールの動作に直接的に関係していない外部データである。例えば、モジュールがカメラシステムの形態のペイロードである場合には、計測データは、カメラシステムによって取得された画像である。
【0017】
更なる好適な一実施形態においては、ユーザインタフェースが、地上端末内において提供されており、このインタフェースを介して、ユーザは、制御コマンドの送信及び/又はモジュールデータの送信を実行することができる。この結果、地上端末におけるユーザと衛星との間の対話型の通信が可能になっている。ユーザインタフェースは、好ましくは、衛星の無線端末が、そのIPアドレスによってアドレス指定可能であるウェブブラウザを有する。
【0018】
本発明の更なる好適な一変形においては、無線端末と地上端末との間の通信の中断の場合に、送信用の制御コマンドが地上端末内においてバッファ処理される。或いは、この代わりに、又はこれに加えて、送信用のモジュールデータが、衛星内においてバッファ処理される。次いで、バッファ処理された制御コマンド又はモジュールデータは、中断が終了した際に送信される。この変形によれば、無線端末と宇宙に基づいたインターネットシステムとの間の無線通信の中断を橋絡することができる。
【0019】
好適な一変形においては、方法のセキュリティを向上させるべく、地上端末と衛星との間の通信が、例えば、VPN(virtual private network)などの従来のインターネット暗号化技法を使用して暗号化される。
【0020】
上述の方法に加えて、本発明は、この方法において、或いは、この方法の一つ以上の好適な変形において、使用される衛星にも関する。衛星は、IPに基づいた通信のためにセットアップされ、且つ、一つ以上のIPに基づいたプロトコルを介して、IPに基づいた通信のためにセットアップされた地上端末から到来する衛星の一つ以上のモジュール用の制御コマンドを宇宙に基づいたインターネットシステムから無線で受信し、且つ、これらのコマンドを一つ以上のモジュールに転送するように、構成された無線端末を有する。或いは、この代わりに、又はこれに加えて、無線端末は、一つ以上のIPに基づいたプロトコルを介して、衛星の一つ以上のモジュールから到来すると共に地上端末に対してアドレス指定されたモジュールデータを宇宙に基づいたインターネットシステムに対して無線で送信するように、構成されている。
【0021】
上述の方法及び衛星に加えて、本発明は、衛星用の特別な無線端末にも関する。無線端末は、IPに基づいた通信のためにセットアップされ、且つ、一つ以上のIPに基づいた―任意選択により、これに加えて、CCSDS又はLTEなどの無線プロトコル内においてパッケージ化された―プロトコルを介して、IPに基づいた通信のためにセットアップされた地上端末から到来する衛星の一つ以上のモジュール用の制御コマンドを宇宙に基づいたインターネットシステムから無線で受信し、且つ、これらのコマンドを一つ以上のモジュールに転送するように、構成されている。或いは、この代わりに、又はこれに加えて、無線端末は、一つ以上のIPに基づいたプロトコルを介して、衛星の一つ以上のモジュールから到来すると共に地上端末に対してアドレス指定されたモジュールデータを宇宙に基づいたインターネットシステムに無線で送信するように、構成されている。IPに基づいた通信を許容するべく、無線端末は、少なくとも一つのIPアドレスを有し、好ましくは、衛星内のそれぞれのモジュールごとにIPアドレスを有する。具体的には、無線モジュールは、地上局からのデータをそのIPアドレスに従ってモジュールに配布することが可能であり、且つ、そのIPアドレスに従ってモジュールからデータを受信すると共にこれらのデータを地上局に返送することができる。
【0022】
衛星内の無線端末とIPアドレスに割り当てられたペイロード又はプラットフォームモジュールとの間の通信は、インターネット分野において周知のように、必ずしも、Ethernetを介して電気的/論理的に転送される必要はなく、例えば、RS422、LVDS、SpaceWireなどのシリアルインタフェースを介して、或いは、MIL1553又はCANなどのデータバスを介して、実行することもできる。この転送技法の実現は、衛星開発者に応じて行われることであり、従って、本発明にとって重要ではない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】以下、添付の図1を参照し、本発明の一実施形態について詳しく説明する。この図は、本発明による方法の一変形において使用されるコンポーネントを示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書において記述されている本発明の実施形態は、衛星1と地球の表面上において配置された地上端末2との間において、信頼性の高い、対話型の、且つ、双方向性の、通信を許容している。通信は、IPに基づいたものであり―任意選択により、これに加えて、無線プロトコル内において無線セグメントにおいてパッケージ化されており―、且つ、衛星1と地上局2との間の通信経路内において、宇宙に基づいたインターネットシステムの介在を伴って、実行されている。冒頭において既に言及したように、IPに基づいた通信は、IPプロトコルを介した、且つ、任意選択により、OSI基準モデルによる更に上位の層におけるプロトコルを介した、通信であるものと理解されたい。換言すれば、IPに基づいた通信は、インターネットプロトコルファミリーのうちの一つ以上のプロトコルを伴う通信を意味している。
【0025】
宇宙に基づいたインターネットシステムは、参照符号3によって示されている。システムは、複数の衛星を有しており、この場合には、一例として、図1には、四つの衛星301、302、303、及び304が示されている。宇宙に基づいたインターネットシステムとしては、例えば、OneWeb又はO3Bなどの従来技術において既知の任意のシステムを使用することができる。衛星1の飛行高度は、インターネットシステム3の衛星の飛行高度よりも低い。
【0026】
IPに基づいた通信を許容するべく、衛星1上において提供された無線端末7は、アンテナ8により、宇宙に基づいたインターネットシステムの衛星と無線で通信しており、宇宙に基づいたインターネットシステムは、対応した地上局に対する無線リンクにより、地球上のインターネットインフラストラクチャと接続されている。以下、無線端末7の機能のモードについて更に詳細に説明することとする。衛星1は、破線の矩形によって概略的にのみ示されたプラットフォーム5を更に有する。プラットフォーム5は、中央コンピュータ6を含み、中央コンピュータ6は、オンボードコンピュータと従来は呼称されており、且つ、衛星プラットフォームを制御するように機能する。衛星1は、これに加えて、ペイロード4をも含み、ペイロード4は、ここで記述されている例示用の実施形態においては、地球の表面の画像を記録するためのカメラシステムである。プラットフォーム5又はコンピュータ6とペイロード4との両方は、無線端末7に対する通信リンクを有する。
【0027】
無線端末7は、一つ以上の独自のIPアドレスを有し、且つ、IPに基づいた通信のためにセットアップされている。端末は、アンテナ8により、インターネットシステム3からデータを無線で受信しており、このデータは、地上端末2から到来する。同様に、地上端末2も、IPに基づいた通信のためにセットアップされており、且つ、これを目的として、IPアドレスを有する。更には、無線端末7は、地上端末2に対してアドレス指定されたデータを宇宙に基づいたインターネットシステム3に無線で送信することが可能であり、次いで、宇宙に基づいたインターネットシステム3は、これらのデータを地上端末2に転送する。無線による通信は、宇宙に基づいたインターネットシステムによって付与される無線プロトコル及び周波数帯域を使用している。
【0028】
地上端末2と無線端末7との間においては、IPに基づいた通信を介して、異なるタイプのデータが送信され、これらのデータは、好ましくは、それ自体が既知である方法により、暗号化されている。その一方において、ペイロード4用の制御コマンドCOが受信され、端末7は、これらの制御コマンドCOをペイロードに転送している。同様の方式により、ペイロードによって取得されたテレメトリデータ(即ち、ペイロードの動作データ)及び計測データが、ペイロード4から端末7に送信され、端末7は、アンテナ8により、これらのデータをインターネットプロトコルファミリーのプロトコルに基づいて送信している。これらのデータのターゲットアドレスは、地上端末2である。この結果、これらのデータは、宇宙に基づいたインターネットシステム3を介して地上端末に到達する。言及したペイロードのテレメトリデータ又は計測データは、図1においては、データDAとして表記されている。
【0029】
又、プラットフォーム5を対象とした制御コマンドCO’も、IPに基づいた通信により、無線端末7によって受信される。これらの制御コマンドも、地上局2から到来し、且つ、端末7からコンピュータ6に転送され、その結果、コンピュータ6は、制御コマンドに従って、対応する制御タスクを実行する。更には、プラットフォームに関係するテレメトリデータDA’(即ち、プラットフォームの動作データ)が、プラットフォーム5から、又はコンピュータ6から、端末7に送信され、端末7は、地上端末2に対してアドレス指定されたこれらのデータを、アンテナ8を介して送信する。次いで、データは、宇宙に基づいたインターネットシステム3の介在を伴って、地上端末2に到達する。地上端末2と衛星1との間のデータ交換は、地上端末2におけるユーザの操作動作に基づいて対話的に実行される。これを目的として、地上端末内には、ユーザインタフェース201が提供されている。このユーザインタフェースは、好ましくは、ウェブブラウザであり、これを介して、端末7との通信をそのIPアドレスを介して確立することができる。又、カメラの又は衛星の対話的な制御などの対話的なタスクの場合には、任意選択により、地上局内において、ジョイスティック及びこれらに類似したものなどの対応する動作要素を使用することもできる。
【0030】
衛星1が、宇宙に基づいたインターネットシステムの対応する衛星の無線コーン内において永久的に配置されるように、衛星1の飛行経路が選択されている場合には、衛星1と地上端末2との間の中断のない通信が保証される。従って、衛星1の任意の望ましい軌道位置において、ユーザインタフェース201を介して、制御コマンド又はその他のデータを衛星との間において対話的に交換することができる。具体的には、衛星プラットフォームのテレメトリデータ又はペイロードのテレメトリデータ及びペイロードの計測結果を任意の時点において取得することができる。従って、図1の実施形態においては、カメラシステム4からの画像を任意の時点において取得することができる。
【0031】
従って、地上端末2は、従来の地上局の機能を実行することができる。但し、宇宙に基づいたインターネットシステムの介在を伴うIPに基づいた通信に起因して、地上端末2は、従来のシステムのケースのように、視覚的なコンタクトを衛星1との間において有する必要は、もはやない。この結果、特定の情報を衛星から取得するべき時点及び地上局と衛星との間において情報を交換するべき時点が判定されている時刻表によって動作する必要も、もはやない。
【0032】
又、宇宙に基づいたインターネットシステム3との間の端末7の中断のないインターネットコンタクトを保証することができないように、衛星1の飛行高度が設定される場合がある。このケースは、衛星1又は端末7が、宇宙に基づいたインターネットシステムの対応する衛星の無線コーン内に一時的に位置していない際に、発生する。従って、好適な一変形においては、対応したバッファが、地上端末2内と衛星1内との両方において提供されており、これらのバッファは、端末7と宇宙に基づいたインターネットシステム3との間におけるコンタクトの中断の場合に情報が失われないように、データの一時的な保存を許容している。これにより、地上端末2によって衛星1に送信されるべき制御コマンドCO及びCO’は、中断のないコンタクトが再度確立される時点まで、地上端末のバッファ内において一時的に保存される。同様の方式により、地上端末に送信されるべきデータDA又はDA’も、中断のないインターネットコンタクトが再度保証される時点まで、衛星のバッファ内において一時的に保存される。衛星のバッファは、好ましくは、端末7内に統合されている。
【0033】
上述の本発明の実施形態は、いくつかの利点を有する。具体的には、宇宙に基づいたインターネットシステムの使用により、地上端末と衛星との間の信頼性の高い、対話型の、且つ、双方向性の通信が保証されている。これを目的として、IPに基づいた通信用の適切な無線端末が衛星内に統合されている。この結果、任意の軌道位置において、地上端末により、衛星を永久に制御することが可能であり、或いは、任意の時点において、衛星からの動作データ及び計測データを地上端末において受信することができる。従って、本発明による方法に基づいて、インターネットを介して衛星及びそのペイロードを制御可能である。静止型の地上局と衛星との間の従来の通信とは対照的に、衛星制御は、もはや、上述の時刻表に基づく必要はない。更には、地上局内のユーザインタフェースにより、地上端末と衛星との間の通信を対話的に実行することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 衛星
2 地上局
201 地上局のユーザインタフェース
3 宇宙に基づいたインターネットシステム
301、302、303、304 宇宙に基づいたインターネットシステムの衛星
4 衛星のペイロード
5 衛星のプラットフォーム
6 中央コンピュータ
7 無線端末
8 アンテナ
CO ペイロード用の制御コマンド
CO’ プラットフォーム用の制御コマンド
DA ペイロードからのデータ
DA’ プラットフォームからのデータ
図1