特許第6863991号(P6863991)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6863991自律的な移動ロボットのための仮想的なライン追従方法及び改造方法並びに移動ロボット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863991
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】自律的な移動ロボットのための仮想的なライン追従方法及び改造方法並びに移動ロボット
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20210412BHJP
【FI】
   G05D1/02 H
【請求項の数】16
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-533998(P2018-533998)
(86)(22)【出願日】2015年9月22日
(65)【公表番号】特表2018-527689(P2018-527689A)
(43)【公表日】2018年9月20日
(86)【国際出願番号】EP2015071799
(87)【国際公開番号】WO2017050357
(87)【国際公開日】20170330
【審査請求日】2018年8月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】518095633
【氏名又は名称】ブルーボティックス・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ラモン・ピエール
(72)【発明者】
【氏名】トマティス・ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】テリアン・グレゴワール
(72)【発明者】
【氏名】ジャノタ・ヤニス
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−131309(JP,A)
【文献】 特開平06−031657(JP,A)
【文献】 特開平07−072924(JP,A)
【文献】 特開2006−313455(JP,A)
【文献】 特開2002−325708(JP,A)
【文献】 特開平08−044430(JP,A)
【文献】 特開平08−278818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業スペース(10)内において仮想的な通路(31,32,33)上で移動ロボット(20)を変位させるための方法であって、前記仮想的な通路が、始点(A)から終点(B)へ延びる、前記移動ロボット(20)が追従する必要がある概念上のラインであり、当該方法が、以下のステップ:
前記移動ロボット(20)を前記始点(A)上に位置決めし、前記始点(A)と前記終点(B)の間に位置する連続的な移動位置の組合せに対応する移動通路上での前記移動ロボットのナビゲーションを開始するステップと、
ナビゲーション中に、前記移動ロボット(20)の環境における瞬間的な位置又は姿勢(x,y,θ)を位置特定手段によって特定するステップと、
前記移動通路上での前記移動ロボット(20)の変位中に、前記移動ロボットの瞬間的な位置と前記仮想的な通路(31,32,33)の間の側方のずれを表すオフセットを動的に特定するステップと、
前記移動ロボットが所定の速度で前進する間に前記オフセットを最小化するために、前記移動通路上の前記移動ロボットの前記ずれを制御するステップと
仮想的なタグ(40)が、前記仮想的な通路の連続的な位置における加速に応じて、前記仮想的な通路(31)に沿った位置で自動的に生成されるステップと
を含んでいる、方法。
【請求項2】
前記移動ロボットへの指示に関連した概念上の位置である少なくとも1つの仮想的なタグ(40,45,43,41)を前記仮想的な通路上に生成するステップであって、前記移動ロボットの変位中に、前記移動ロボット(20)が前記仮想的なタグ(40,45,43,41)を乗り越えるときにタグ交差時点を特定し、該タグ交差時点において前記指示を実行する、前記ステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記移動ロボットを加速及び/又は減速させるコマンド又は仮想的なタグを生成することを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記移動ロボットがアクチュエータを動作させるコマンド又は仮想的なタグを生成することを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
マッピング動作を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
移動ロボットがラインセンサ(24)、動作アクチュエータ(27,29)及び駆動ユニット(51)を有することで概念上の仮想的な通路(31,32,33)に追従する能力を前記移動ロボットに追加する方法であって、
前記駆動ユニットが、前記ラインセンサ(24)からの信号を受信し、前記ラインセンサ(24)の中心におけるラインを維持するように前記アクチュエータ(27,29)を駆動するために適合されており、
当該方法が、前記移動ロボットの位置又は姿勢(x,y,θ)を特定するために配置された位置特定ユニット(53)を設けること、
前記移動ロボットの瞬間的な位置と前記仮想的な通路(31,32,33)の間の側方のずれの大きさを示すオフセットを特定し、前記オフセットに基づく仮想的なラインセンサ出力信号を統合するために配置された通路追従ユニット(55)を設けること、及び
前記駆動ユニット(51)への仮想的なセンサ出力を提供すること
を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記位置特定ユニット(53)が、レーザスキャナ(21)、超音波距離測定器、レーダ、ステレオカメラ、緩衝器、触覚センサ、無線受信機、コンパス、ジャイロスコープ、加速度計、高度計、傾斜計又は他の環境センサのうち1つ又は複数の装置によって得られるセンサデータ、及び走行距離データに基づいて前記移動ロボットの位置又は姿勢(x,y,θ)を特定することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記移動ロボットへの指示に関連した概念上の位置である少なくとも1つの仮想的なタグ(40,45,43,41)を前記仮想的な通路上に生成するステップであって、前記移動ロボットの変位中に、前記移動ロボット(20)が前記仮想的なタグ(40,45,43,41)を乗り越えるときにタグ交差時点を特定し、該タグ交差時点において前記指示を実行する、前記ステップを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記仮想的なタグ(40)が、前記仮想的な通路の連続的な位置における加速に応じて、前記仮想的な通路(31)に沿った位置で自動的に生成されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記移動ロボットを加速及び/又は減速させるコマンド又は仮想的なタグを生成することを含むことを特徴とする請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記移動ロボットがアクチュエータを動作させるコマンド又は仮想的なタグを生成することを含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項12】
前記移動ロボットを加速及び/又は減速させるコマンド又は仮想的なタグを生成することを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記移動ロボットがアクチュエータを動作させるコマンド又は仮想的なタグを生成することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
作業スペース(10)内において仮想的な通路(31,32,33)上で変位するために構成された移動ロボット(20)であって、前記仮想的な通路が、始点(A)から終点(B)へ延びる、前記移動ロボットが追従する必要がある概念上のラインであり、当該移動ロボットが、
−前記移動ロボット(20)を変位させる駆動モータ及び/又はアクチュエータ(27,29)を駆動する駆動ユニット(51)と、
−前記移動ロボットの瞬間的な位置又は姿勢(x,y,θ)を特定するために配置された位置特定ユニット(53)と、
−前記移動ロボットの瞬間的な位置と前記仮想的な通路の間の側方のずれを示す可変のオフセットを動的に特定するために設定された通路追従モジュール(55)と、
−前記移動ロボットが所定の速度で前進する間に前記オフセットを最小化するために、前記モータ及び/又はアクチュエータを制御するために配置された駆動ユニット(51)と
を含んでおり、
仮想的なタグ(40)が、前記仮想的な通路の連続的な位置における加速に応じて、前記仮想的な通路(31)に沿った位置で自動的に生成される、
移動ロボット。
【請求項15】
レーザスキャナ(21)、超音波距離測定器、レーダ、ステレオカメラ、緩衝器、触覚センサ、無線受信機、コンパス、ジャイロスコープ、加速度計、高度計、傾斜計又は他の環境センサのうち1つ又は複数の装置とを更に含み、前記位置特定ユニット(53)が、センサデータ及び/又は走行距離データに基づいて前記移動ロボットの位置を特定することを特徴とする請求項14に記載の移動ロボット。
【請求項16】
前記通路追従モジュール(55)が、前記移動ロボットへの指示に関連した概念上の位置である少なくとも1つの仮想的なタグ(40,45,43,41)を前記仮想的な通路上に生成するために動作可能なように配置されており、前記移動ロボットの変位中に、前記移動ロボット(20)が前記仮想的なタグ(40,45,43,41)を乗り越えるときにタグ交差時点を特定し、該タグ交差時点において前記指示を実行することを特徴とする請求項14又は15に記載の移動ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実施例では自律車両であるがこれに限定されない車輪付きのロボット化された車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自律的なロボット化された車両は、所望のタスクを実行するための、一定の人間によるサポートなしに、環境内で自由にナビゲーション可能な自己推進装置である。ロボット車両の多数の用途が、他の間、倉庫、工場、病院、原子力発電所及び鉱山を含む非常に異なる範囲において開発されてきた。
【0003】
知られた用途では、自律ロボットは、ロボットが位置する環境を解析することが可能な1つ又は複数のセンサを含んでいる。センサは、例えばレーダ、レーザ距離測定器又は音響的な距離測定器、緩衝器、機械的な感触器、ステレオカメラ、加速度計、ジャイロスコープ、コンパス、高度計、傾斜計又は他の環境センサのようなレンジングセンサ(ranging sensor)を含むことが可能である。本明細書では、一般性を失うことなく主にレーザスキャナに言及し、本発明が異なる原理に基づく他の適切なセンサの使用も考慮し得ることが意図されている。
【0004】
センサは、ロボットの動作が予定される環境の描写の作成を目指して、マッピングのプロセスにおいて用いられる。典型的には、ロボットは、センサが環境における目印となるものの位置及び/又は距離を登録する間は環境においてオペレータによって手動で駆動される。そして、環境のマップは、そのように収集されたデータから、通常は走行距離データを用いて、いくつかの公知の方法によって生成される。
【0005】
マップにおける車両の位置特定においてセンサを用いることも知られており、位置特定は、マップにおけるロボットの現在の位置及び向きの特定である。これは、初期位置が既知であり、内部の走行距離データのみによって達成され得るか(推測航法)、又は走行距離データ及び距離データの組合せによって好ましくは達成され得る。位置と向きの組合せを、ロボットの「姿勢」といい、2Dの動きのケースでは、一対のデカルト座標及び1つの向首角(ヨー角)によって表すことが可能である。
【0006】
センサは、衝突を避けるため、又は衝突の重大性を最小化するための安全装置としても用いられる。多くの自律車両は、この目的のために全方位レーザスキャナを備えており、スキャナは、所定の安全範囲内で障害物が検出されたときに車両を停止させる衝突警告を生成するようにプログラムされている。ロボットが移動する障害物(すなわち人、他のロボット、もともとマップされていなかったか、又はそのもともとマップされた位置から移動している物体)を検知し、衝突を回避する適切な措置をとることができることで、より洗練された障害物マネジメントストラテジ(計略)も可能である。
【0007】
洗練された位置特定能力及び/又はナビゲーション能力を有さないものの物理的なライン、例えば埋設された誘導ケーブル又は床にペイントされたラインに追従するよう準備された車両であるライン追従車両も知られている。これら車両は、センサとラインの中心の間の距離によって規定されるオフセット信号を生成するラインセンサを含んでいる。ロボットは、所定の速度で前進する間にオフセットを最小化する制御ループを用いてラインに追従する。
【0008】
ライン追従車両は、限定された態様において、適切なタグ、例えばバーコード又は誘導RFIDタグをラインに沿って配置することでプログラムされることが可能である。タグは、例えば加速、減速及び停止するための速度コマンド、交差部の異なる2つの分岐部にある個々の車両を切り換えるための交換コマンドなどを含むロボットのための指示をコード化する。
【0009】
ライン追従車両がその経済性及び丈夫さについて評価されている一方、その役割を修正するには、ライン及び関連するタグを物理的に移動させる必要があり、非常に扱いにくく、時間がかかり、高価なものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の課題は、単純でありながら、柔軟にプログラム可能なナビゲーション制御システムを用いる装置を提供することにある。本発明は、ナビゲーション方法及び存在するロボットを改造する方法を提供するものでもある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これら課題は、対応するカテゴリにおける独立請求項の主題によって達成され、一方、従属請求項は、有利であるものの選択的な特徴に関するものである。
【0012】
例示され、図面に図示された実施例の説明により、本発明がより良好に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】可能なロボットのタスクに対応するラインを有する、ロボットが動作する環境の概略的な平面図である。
図2】本発明の一態様によるロボットの可能な構造を概略的及び単純化して示す図である。
図3】本発明の一態様による方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図2には、本発明の一態様によるロボット車両20の可能な構造が概略的に示されている。これは、概念上の表現であるとともに、工業製品の全ての特徴が反映されていないことが理解される必要がある。例を示すために、車両は三輪車両の構成で示されているが、本発明をこの運動学的なシステムに制限することを意図したものではない。本発明は、事実上、いかなる構成のいかなる自律ロボットにも適用可能である。
【0015】
ロボットの推進力はモータ23によって駆動されるモータ付き車輪27によって保証されている一方、第2のモータ又はアクチュエータ29は、操舵角αを規定することで車両の向きを定めるために用いられる。ほとんどのケースでは、ロボットが二次元の作業スペースにおいて移動するため、ナビゲーションのために少なくとも2つの独立したモータ又はアクチュエータが必要である。しかしながら、本発明は、いかなる数のモータ又はアクチュエータを有するシステム及び一次元、二次元又は三次元の作業スペースに適用可能である。
【0016】
モータ23,29は、必要なパワー信号を生成する駆動ユニットによって駆動される。駆動ユニット51は、移動ロボットが所定の速度で進行する間に横方向のオフセットを最小化するために、モータを制御するために配置されたライン追従ロボットに適した類のものであってよい。
【0017】
ロボット20は、ロボットのその作業スペースにおける位置についての情報の少なくともいくつかの度合いを提供するセンサ21も含んでいる。本例では、センサは360°のレーザスキャナである。このような装置は、安全及び位置特定の目的のために移動ロボットにおいてしばしば用いられるとともに、多数の製造者から入手可能である。センサとして用いられ得る他の装置は、音響的な距離測定器、レーダ、光学的な3Dスキャナ、触覚センサ、無線受信機及びステレオカメラを含むが、このリストは網羅的なものではない。センサ21によって生成されるデータは、リアルタイムで例えば2つの線形座標x,y及びヨー角θを含むロボットの姿勢の推定を生成する位置特定ユニット53によって、ステアリングホイール及び/又は後輪26により収集された走行距離情報と融合される。
【0018】
ほとんどのロボットは、モータ23,29のほかに、例えばフォークリフトのようなその特定の役割を果たすのに必要な他のアクチュエータ及びトランスデューサ57、床を洗浄するか、若しくは掃除するための工具、草を刈るためのブレード、監視カメラ、把持アーム又はその他の物を含んでいる。センサは、示されているように、駆動ユニット51によって、又は他のコントローラ手段によって制御されることが可能である。
【0019】
ロボットが作業スペースにおいて追従すると思われる通路31(図1参照)が、適切な方法によってあらかじめ規定されているとともに、通路追従モジュール55によってアクセス可能なメモリに記憶される。通路は、壁部65及び物体60のような全てのマップ上の制約を尊重しつつ始点Aを終点Bにつなぐ概念上のラインである。演算モジュールは、位置特定ユニットからの即時の位置特定データ(x,y,θ)を受け取るとともに、通路ラインとロボット20の中心又は他の適切な基準点の間の横方向の距離を表すオフセット値を統合する。
【0020】
事情次第で電気的なデジタル又はアナログの信号として適当にコード化されたオフセット値は、通路ラインからのオフセットを最小化するようにロボットを操舵するためにこのオフセット値を用いる駆動ユニット51へ提供される。非常に単純な認識においては、駆動ユニットは、通路が右側にあるとオフセットの標示が示す場合にはステアリングホイールを右側へ単純に動かし、この逆の場合には左側へ動かす。しかし、より進んだ制御ストラテジ(計略)も可能である。
【0021】
重要なことには、本発明のナビゲーション方法も、完全な位置特定及びナビゲーション一式を有さないライン追従ロボットをアップグレード又は改造するために使用することが可能である。このようなロボットは、位置特定にも用いることが可能な、安全の目的のためのレーザ又は他のセンサをしばしば含んでおり、その駆動ユニットは、ラインセンサ24によって生成されるオフセット信号に応答するように構成されている。ラインセンサは分離されており、駆動ユニットは、物理的なラインに基づくものではなく、通路追従ユニット55によって統合されたオフセット信号が与えられる。このようにして、ロボットの通路は、ロボットのハードウェアへの最小の干渉をもって通路追従ユニット55によって用いられるデータを変更することで、ソフトウェアにより完全に再プログラミングされることが可能である。
【0022】
本発明によりあらかじめ規定された通路が容易に変更され得るのみならず、必要に応じて通路をダイナミックに作り変えることも可能である。例えば、制御システムは、通路31が通行可能でないことを検出し、その代わりに代替的な通路32へロボットを送るために通路追従ユニット55のデータを再プログラミングすることが可能である。
【0023】
他の利点は、交差する通路及び分岐路がいまや制限なく可能であることである。従来のライン追従システムでは、交差路及び分岐路は、どの分岐路を車両が追従すべきかを指示する特別なタグが必要であった。本発明では、各ロボットは通路追従ユニット55によって知られた特別の仮想の通路を追従し、特別な交差マネジメントは不要である。
【0024】
本議論では位置特定モジュール53、通路追従ユニット55などのような機能的な実態に言及しているものの、これらは、必ずしもハードウェアの区別可能かつ分離された部材によって具体化される必要はないことを理解することが重要である。このような機能は、本発明の範囲から逸脱することなく、ソフトウェア手段によって部分的に又は完全に実行可能であり、これら機能は、それらの間で又は他の機能的なユニットをもって資源を共有・分担することが可能である。
【0025】
通路に沿ったロボットの移動には、通路に沿った位置の制御のみならず、例えばロボットの速度の調整も必要である。このことは、ライン追従ロボットにおいて、通路の適当な点にタグを配置することで従来どおり達成され、タグは、ロボットにおける適当なタグリーダ25によって読み取られる。本発明の範囲において、タグも仮想的なものであり、タグリーダは、分離されているか、又は省略されており、通路追従ユニット55は、所望の速度プロファイルを得るために、適正な時点及び位置で駆動ユニット51のためのタグ信号を統合する。タグは、ロボットのアクチュエータ及びセンサ57にコマンドを送信することを含む、定速、加速又は減速の変動又は他の動作を規定するために用いることが可能である。
【0026】
いくつかのケースでは、所定の位置にタグを貼着するか、又は貼付する必要がある場合を除いて、ロボットがあらかじめ規定された位置を通過するとき、したがって物理的なタグの機能を正確に反復する位置を通過するときにタグが生成され得る。
【0027】
より有利には、本発明は、瞬間的な位置に基づいてのみならず、ロボットの動的な状況及び仮想的な通路のやがて来る部分に基づいて自動的にタグを生成することが可能である。システムは、例えば車両において課される側方及び長手方向の加速度の閾値を課すことによって、大きなカーブ又は制動ポイントの手前における減速タグ40と、カーブの後の加速タグ45とを自動的に統合するようにプログラムされることが可能である。タグの生成は、瞬間的な位置のみならず、仮想的な通路の後続の部分にも基づいている。減速タグ43は、例えば通路33に追従する車両についてのみ生成され、通路31,32上の車両については生成されない。減速及び停止タグ41は、終点の手前に自動的に挿入される。通路の形状についてのいかなる変化も、適正な新しい位置へ対応するタグを自動的に移動させる。
【0028】
可能な変形例では、通路追従ユニット55は、速度の変動を得るために、漸次の加速又は減速を規定する一連のタグを生成する。事実上、仮想的なタグの自動的な生成は、リアルタイムでの車両の速度の完全な制御を可能とする。駆動ユニット51が、加速又は減速の変動を規定するタグを処理することが可能であれば、この目的のために、通路追従ユニット55は、1つの単一のタグを生成する。本発明は、前進速度が直接かつリアルタイムで駆動ユニット51と通信されることができる態様も含む。このようなケースでは、加速及び減速の変動を、仮想的なタグを生成することなく必要なときにはいつでも得ることができる。車両の速度を変更させる仮想的なタグは、例えばレガシー(legacy)システムとの互換性にとって好都合な場合には依然として生成されることが可能である。
【0029】
図3には、本発明の方法の可能な構造が図視されている。フローチャートには、通路追従ユニット55によって実行されるステップと、駆動ユニット51において行われるステップとが示されている。
【0030】
通路追従ユニット55は、位置特定ユニットによって生成される位置データを受信し(ステップ71)、車両と仮想的な通路の間の距離に対応するオフセットを生成する(ステップ72)。仮想的な通路は、不図示の事前の計画プロセスによって規定されている。オフセットは、オフセットを低減するために車両を操舵する駆動ユニットによって受信される(ステップ82)。この図は、非常に単純な方法を示すものであるが、現実の実行においては、制御方式は相当高度なものであり得る。
【0031】
ステップ73では、通路追従ユニットが通路のこれから来る部分を考慮し、ロボットが行う必要がある動作を予測する。通路追従ユニット55は、通路が所定の速度で追従されるべき場合には、車両の加速度を演算することが可能である。そして、加速度は、長手方向の加速度aと横方向の加速度aについての所定の閾値に対してチェックされる。通路がきついカーブ・曲がり角又は大きな制動を予見する場合のように1つの加速度が閾値を超えると、通路追従ユニット55は、ロボットの速度が安全な値へ低減されていることを保証するために動作する。逆に、カーブ・曲がり角から出ていく時、又はロボットが徐行によってのみ進行する必要がなくなる状況の場合には、通路追従ユニットはロボットを加速させる。同様に、通路追従ユニットは、フォークリフト又は他のアクチュエータ57の動作を予見するとともに準備することが可能である。
【0032】
適当なインターフェースが、存在するか又は図3に示されているように速度に適合するか、若しくはコマンドを実行する(ステップ86)駆動ユニットによって受信される(ステップ85)1つ若しくはいくつかの仮想的なタグの生成(ステップ75)によって生じる場合に、ロボットの動作は通路追従ユニット55によって直接命令され得る。
【符号の説明】
【0033】
A 始点
B,C 終点
α 操舵角
x,y,θ 車両の姿勢
10 作業スペース
20 ロボット車両
21 レーザスキャナ
23 けん引モータ
24 ラインセンサ
25 タグセンサ
26 後輪
27 操舵及び駆動輪
29 操舵モータ
31 通路
32 代替的な通路
33 第2の通路
40 仮想的なタグ:減速
41 仮想的なタグ:停止
43 仮想的なタグ:減速
45 仮想的なタグ:加速
51 モータ駆動部
53 位置特定部
55 通路追従モジュール
57 アクチュエータ及び/又はセンサ
60 物体
65 壁部
71 位置特定
72 統合されたオフセットの生成
73 a及びaの予見
74 閾値より大きな加速度のテスト
75 仮想的なタグの生成
82 統合されたオフセットの受信
85 仮想的なタグの受信
86 速度の適合
図1
図2
図3