特許第6863997号(P6863997)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863997
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】脱毛装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20210412BHJP
   A45D 26/00 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   A61N5/06 Z
   A45D26/00 G
【請求項の数】15
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-540445(P2018-540445)
(86)(22)【出願日】2017年1月30日
(65)【公表番号】特表2019-505315(P2019-505315A)
(43)【公表日】2019年2月28日
(86)【国際出願番号】IB2017050483
(87)【国際公開番号】WO2017134553
(87)【国際公開日】20170810
【審査請求日】2018年10月2日
(31)【優先権主張番号】16153813.7
(32)【優先日】2016年2月2日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】17152194.1
(32)【優先日】2017年1月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508117514
【氏名又は名称】ブラウン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フランク ベールヴェルト
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン ネイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ダリボル ダディック
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス ハイネマン
【審査官】 宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−533386(JP,A)
【文献】 特開2013−126485(JP,A)
【文献】 特開2007−044091(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0244912(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/06
A61B 18/18 − A61B 18/28
A45D 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤毛を脱毛するための脱毛装置であって、
基板と、該基板上の少なくとも0.2cm2の領域に実装された、480nm〜510nmの波長範囲のピーク発光波長で発光する複数の第1のLEDダイと、を有する発光ユニットを備え、
前記脱毛装置が、30ms〜200msの範囲のパルス長を有する処理光パルスを前記第1のLEDダイによって放射するように構成され、前記第1のLEDダイが、前記処理光パルスの照射によってユーザの皮膚上で3J/cm2〜6J/cm2の範囲の放射フルエンスが得られるような放射光束を有する、脱毛装置。
【請求項2】
前記パルス長が100ms〜200msの範囲であるモードを有する、請求項1に記載の脱毛装置。
【請求項3】
前記複数の第1のLEDダイを制御するための制御ユニットを更に備える、請求項1又は2に記載の脱毛装置。
【請求項4】
脱毛に必要な放射光束よりも低い放射光束で400nm〜700nmの可視波長範囲のピーク発光波長で発光するための少なくとも1個の第2のLEDダイが配置された、請求項1〜3のいずれか1項に記載の脱毛装置。
【請求項5】
脱毛に必要な放射光束よりも低い放射光束で400nm〜700nmの可視波長範囲のピーク発光波長で発光するための少なくとも1個の第2のLEDダイが配置され、前記制御ユニットが、前記少なくとも1個の第2のLEDダイを制御して100mW未満の放射光束で、かつ処理光パルスが放射されている時間外に、可視光を選択的に放射させるように構成されている、請求項3に記載の脱毛装置。
【請求項6】
前記基板上に実装された前記複数の第1のLEDダイの活性領域を選択するための制御素子を更に備え、少なくとも2個の第2のLEDダイを用いて前記選択された活性領域を選択的に示す、請求項5に記載の脱毛装置。
【請求項7】
前記複数の第1のLEDダイが、1平方cm当たり少なくとも8個のLEDダイの密度で前記基板上に実装される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の脱毛装置。
【請求項8】
前記LEDダイが実装された基板上の領域が、本質的に前記LEDダイが実装された基板上の領域の形状及び面積を有する内側室を画定するケーシングによって包囲され、前記ケーシングが、前記第1のLEDダイおよび第2のLEDダイが放射する光に対して反射性を有する内壁を有することにより、単位面積当たりの前記第1のLEDダイおよび第2のLEDダイの前記放射光束が前記ケーシングの出口開口部まで基本的に保存される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の脱毛装置。
【請求項9】
前記発光ユニットが、少なくとも1つの皮膚特性を測定するための少なくとも1個のセンサを有し、該センサが、前記測定された皮膚特性に基づいて前記複数の第1のLEDダイのうちの少なくとも1つのLEDダイの発光を制御するために前記制御ユニットに接続されている、請求項3、5、および6のいずれか1項に記載の脱毛装置。
【請求項10】
前記複数の第1のLEDダイが、1平方cm当たり少なくとも8個のLEDダイの密度で前記基板上に実装され、前記発光ユニットが、少なくとも1つの皮膚特性を測定するための少なくとも1個のセンサを有し、該センサが、前記測定された皮膚特性に基づいて前記複数の第1のLEDダイのうちの少なくとも1つのLEDダイの発光を制御するために前記制御ユニットに接続されている、請求項3、5、および6のいずれか1項に記載の脱毛装置。
【請求項11】
前記LEDダイが実装された基板上の領域が、本質的に前記LEDダイが実装された基板上の領域の形状及び面積を有する内側室を画定するケーシングによって包囲され、前記ケーシングが、前記第1のLEDダイおよび第2のLEDダイが放射する光に対して反射性を有する内壁を有することにより、単位面積当たりの前記第1のLEDダイおよび第2のLEDダイの前記放射光束が前記ケーシングの出口開口部まで基本的に保存され、
前記発光ユニットが、少なくとも1つの皮膚特性を測定するための少なくとも1個のセンサを有し、該センサが、前記測定された皮膚特性に基づいて前記複数の第1のLEDダイのうちの少なくとも1つのLEDダイの発光を制御するために前記制御ユニットに接続されている、請求項3、5、および6のいずれか1項に記載の脱毛装置。
【請求項12】
髪色などの少なくとも1つの制御パラメータを入力するように構成されたユーザインターフェースを更に備える、請求項1〜11のいずれか1項に記載の脱毛装置。
【請求項13】
出口開口部を更に備え、前記複数の第1のLEDダイのそれぞれと、前記出口開口部の領域との間の垂直距離が10mm未満である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の脱毛装置。
【請求項14】
脱毛機能と、皮膚処理機能との間で切り替えを行うための制御素子を更に備える、請求項1〜13のいずれか1項に記載の脱毛装置。
【請求項15】
詳細には基板上に実装された複数の第1のLEDダイによって実現される、少なくとも1個の固体光源を有する発光ユニットを備え、前記固体光源が、480nm〜510nmの波長範囲の処理光パルスを30ms〜200msの範囲のパルス長で、かつ/又は前記処理光パルスによってユーザの皮膚上に照射される放射フルエンスが3J/cm2〜6J/cm2となるように放射するように制御可能である、赤毛を脱毛するための脱毛装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は脱毛装置に関し、詳細には、複数のLEDダイを有する、赤毛を脱毛するための脱毛装置に関する。
【背景技術】
【0002】
比較的高い強度の光で脱毛(一時的な発毛減少としても知られる)を行うことで、(一時及び/又は永久)脱毛にむすびつく、毛髪細胞の特定の部分(基本的にはタンパク質)の熱による凝固(すなわち変性)のような特定の効果が得られることが知られている。少なくとも一時的な脱毛に適した多くの既知の光ベースの脱毛装置ではレーザ光源又はフラッシュランプを用いているが、これは、これらの光源がいずれも高強度の光を短いパルスで与えることができることによる。LEDは、一般に、皮膚治療のための代替光源の1つとして説明されている。赤毛は、例えばフラッシュランプに基づいたIPL装置による処理が可能であるとは通常はみなされないが、これは、赤毛はユーメラニンを含んでおらず、通常のIPL波長スペクトル全体であまりエネルギーを吸収しない、より赤みがかったフェオメラニンを含んでいるために、メラニン支持体の近くに位置する毛髪の関連タンパク質の選択的光熱分解による凝固が容易に行われ得ないことによる。
【0003】
特許文献、米国特許出願公開第2012/0116373(A1)号は、物体に光を照射する光照射装置を開示している。装置は、処理光と検知光とを生成する光源を備え、制御ユニットが、処理時間間隔の処理光と検知時間間隔の検知光とが交互に生成されるように光源を制御する。光源は、好ましくは固体光源、特に発光ダイオード又はレーザダイオードである。光源はVCSELを含むことが好ましい。処理光は、好ましくは570〜1200nmの範囲の波長、及び2〜30J/cmの範囲のエネルギー密度を有し、パルス持続時間は1〜600ms以内である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0116373(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、従来の装置と比較して改良された、詳細には赤毛処理性能を提供する、複数のLEDダイを有する脱毛装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に基づけば、赤毛を脱毛するための脱毛装置であって、基板と、基板上の少なくとも0.2cm、詳細には少なくとも1cmの領域に実装された、480nm〜510nm、詳細には約500nmの波長範囲のピーク発光波長で発光する複数の第1のLEDダイと、を有する発光ユニットを有し、脱毛装置が、30ms〜200msの範囲のパルス長を有する処理光パルスを第1のLEDダイによって放射するように構成され、第1のLEDダイが、処理光パルスの照射によってユーザの皮膚上で3J/cm〜6J/cmの範囲の放射フルエンスが得られるような放射光束を有する、脱毛装置が提供される。
【0007】
一態様に基づけば、赤毛の脱毛用の美容脱毛方法であって、少なくとも0.2cm、詳細には少なくとも1.0cmの領域に複数の第1のLEDダイが実装された基板を与える工程であって、第1のLEDダイが480nm〜510nmの波長範囲のピーク発光波長、詳細には約500nmのピーク発光波長で発光するように構成されている、工程と、30ms〜200msの範囲のパルス長を有する処理光パルスを放射するように複数の第1のLEDダイを制御する工程であって、複数の第1のLEDダイが、処理光パルスの照射によってユーザの皮膚上で3J/cm〜6J/cmの範囲の放射フルエンスが得られるような放射光束で発光するように制御され、詳細には放射光束がパルス長の間で、第1のLEDダイ1個当たり少なくとも200mWである、方法が提供される。
【0008】
一態様に基づけば、赤毛を脱毛するための脱毛装置であって、詳細には基板上に実装された複数の第1のLEDダイによって実現される、少なくとも1個の固体光源を有する発光ユニットを備え、固体光源が、480nm〜510nmの波長範囲の処理光パルスを、詳細には30ms〜200msの範囲のパルス長で、かつ/又は処理光パルスによってユーザの皮膚上に照射される放射フルエンスが3J/cm〜6J/cmとなるように放射するように制御可能である、脱毛装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示は、図面を参照する例示的実施形態の説明によって更に明らかとなろう。
図1】300nm〜2000nmの光の波長に対する対数スケール上のメラニン、水、オキシヘモグロビンの吸収係数を示すグラフである。
図2】200nm〜9000nmの光の波長に対するユーメラニン及びフェオメラニンの吸光係数を示すグラフである。
図3】8個×8個のLEDダイの行列が実装された基板を有する、本開示に基づく発光ユニットの例示的な一実施形態の概略図である。
図4A】第1及び第2の複数の第1及び第2のLEDダイを含む、基板上に実装された8個×8個のLEDダイの行列の別の例示的実施形態である。
図4B】第1及び第2の複数の第1及び第2のLEDダイを含む、基板上に実装された15個×4個のLEDダイの行列の例示的な一実施形態である。
図5】第1及び第2の複数の第1及び第2のLEDダイを含む、基板上に実装された8個×8個のLEDダイの行列の別の例示的実施形態である。
図6】4種類の異なる複数のLEDダイを含む、基板上に実装された8個×8個のLEDダイの行列の更なる例示的実施形態である。
図7A】本開示に基づく脱毛装置の例示的な一実施形態の側面図である。
図7B図7Aに示される脱毛装置の異なる例示的なヘッド部の正面図であり、皮膚特性を測定するための1つ以上の更なるセンサの異なる位置が示されている。
図7C図7Aに示される脱毛装置の異なる例示的なヘッド部の正面図であり、皮膚特性を測定するための1つ以上の更なるセンサの異なる位置が示されている。
図7D図7Aに示される脱毛装置の異なる例示的なヘッド部の正面図であり、皮膚特性を測定するための1つ以上の更なるセンサの異なる位置が示されている。
図8】余分な熱を除去するためのヒートシンク上に実装された基板上に実装されたLEDダイのアレイの概略図である。
図9A】実装基板領域の周囲に配置された内側反射壁を有するケーシングを有する基板上に実装されたLEDダイのアレイの図である。
図9B図9Aに示されるケーシングを有するLEDダイのアレイの切欠き図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
皮膚に光(具体的には少なくとも1つの処理光パルスの形態)を照射することにより、様々な種類の皮膚処理を行い得ることが一般的に知られている。このような皮膚処理には、皮膚再生、皺低減、ニキビ治療、及び(一時及び永久)脱毛(毛髪が光の照射によって必ずしも直ちに脱毛されるわけではないため、発毛減少又は発毛管理とも称される)が包含される。詳細には、一時及び/又は永久脱毛(発毛減少、以下、単に「脱毛」を用いる)を実現するための皮膚処理で必要とされる、単位面積当たりのLEDダイのアレイによって放射される放射光束は、皮膚再生などで必要とされる放射光束よりも大幅に高い。皮膚に処理光パルスを照射する目的で、レーザ光源、フラッシュランプ(例えばキセノンアークランプ)、及びLEDなどの半導体光源といった様々な光源が検討されてきた。レーザ光源及びフラッシュランプは、脱毛に関して広く検討されているが、光源としてのLEDの応用についてはほとんど検討されていない。これは、詳細には、短いパルス長(例えば、10ms以下)で皮膚に照射される必要のある放射フルエンスが、レーザ又はフラッシュランプによって容易に与えられるためである。そこで、本開示は、半導体光源(下記でLEDなる用語が使用される場合、これにはVCSEL、VECSEL、又はOLEDなどの他の固体光源が包含されるものとする)、詳細には、LEDダイのアレイ(すなわちパッケージングLEDではない半導体ダイ)、及び光による一時又は永久脱毛におけるその使用に関するものである。特定の実施形態では、LEDなる用語には、LED及びOLEDのような非レーザ型の発光ダイオードのみが含まれる。
【0011】
LEDダイは、例えば、使用される半導体材料に応じて、紫外(UV)光から赤外(IR)光まで、すなわち約280nm〜1300nmの基本的にあらゆる波長の光を放射することができる。LEDダイは、
【0012】
【数1】
の比較的狭いスペクトル帯域幅の光を放射する。本開示において「波長」なる用語がLEDダイに関して使用される場合、この波長は、ピーク発光波長、すなわち、LEDダイの発光曲線の最大値における波長を意味する。
【0013】
脱毛の方法は、通常、美容的(すなわち、審美的)性質のものである。極めて希な場合においてのみ、病的状態(例えば、多毛症)を治療する目的で脱毛方法を用いることができる。本明細書に述べられる方法は美容脱毛を対象としたものである。
【0014】
本開示によれば、480nm〜510nmの範囲、詳細には約500nmのピーク発光波長の光を放射する複数の第1のLEDダイが提供される。特定の実施形態では、可視光領域、すなわち400nm〜700nmの範囲のピーク発光波長の光を放射する少なくとも1つの第2のダイが提供される(複数の第1のダイと同じ基板上に実装することができる)。特定の実施形態によれば、590nm〜980nmの範囲、詳細には630nm〜900nmの範囲、更に詳細には700nm〜880nmの範囲のピーク発光波長で発光する少なくとも1つの第3のLEDダイ(すなわち、可視光の範囲で発光する第2のLEDに加えるか又はその代わりに)が与えられる。特定の実施形態では、第3のLEDダイは、700nm〜760nmの範囲、又は820nm〜880nmの範囲のピーク発光波長で発光する。特定の実施形態では、第3のLEDダイは、700nm〜760nmの範囲のピーク発光波長で発光し、第4のLEDダイが、820nm〜880nmの範囲のピーク発光波長で発光する。1個の第2、第3、又は第4のLEDダイの代わりに、脱毛装置は複数のこのようなLEDを含んでもよい。例えば一実施形態では、可視範囲で発光する複数の(例えば6個)第2のダイが存在し、700〜980nmの波長範囲で発光する複数の第3のLEDダイが存在する。第1のLEDダイに加えて更なるLEDダイの任意の組合せを選択することができる。更なるLEDダイは、同じ基板上又は(複数の)更なる基板上に実装することができる。
【0015】
理論によって制限されずに言えば、本開示によれば、また一態様によれば、赤毛を脱毛するための脱毛装置は、約±25nm以下の限定されたスペクトル帯域幅(このような低い帯域幅は光学フィルタによって得ることもできる)を有する、480nm〜510nmの波長範囲のピーク発光波長で発光する少なくとも1つの固体光源を含む。詳細には、光源は、30ms〜200ms、更に詳細には60ms〜200ms、更により詳細には100ms〜200msの範囲のパルス長を有する、この波長範囲の処理光パルスを放射するように制御することができる。これに加えるか又はこれに代えて、光源は、1J/cm〜10J/cm、詳細には3J/cm〜6J/cm、更に詳細には3J/cm〜5J/cmのユーザの皮膚上の放射フルエンスを有する処理光パルスを照射するように制御することもできる。詳細には、固体光源は、基板上に実装することができる複数のLEDダイによって実現することができる。制御ユニットを使用して固体光源を作動することで処理光パルス、詳細には上記のようなパルス長を有し、かつ/又は上記のようなユーザの皮膚上の放射フルエンスを有する処理光パルスを放射することができる。
【0016】
特定の実施形態では、脱毛装置を、脱毛機能と、皮膚再生機能又はニキビ治療機能又は皺低減機能などの別の皮膚処理機能との間で切り替えることができる。
【0017】
特定の実施形態では、脱毛装置は、第1のLEDダイを選択的に作動するために複数の第1のダイに少なくとも接続された(存在する場合には、任意の更なるLEDダイ、すなわち、第2、第3のLEDダイに接続されてもよい)制御ユニットを有する。制御ユニットは、例えばユーザが変更可能な設定(例えば活性領域の選択)又は少なくとも1つの皮膚特性を測定するためのセンサから与えられるセンサ信号に応じて、第2の部分複数の第1のLEDダイは作動させずに第1の部分複数の第1のLEDダイを作動して処理光パルスを放射させることができる。制御ユニットは、(a)処理光パルスの外側で少なくとも1つの個々のLEDダイを選択的にオン又はオフするか、又は(b)処理光パルスの間若しくは処理光パルスの少なくとも一部の間に個々のLEDダイをオン又はオフするか、又は(c)処理光パルスの間に少なくとも1つのLEDダイの順電流の大きさを変える、ように構成することもできる。
【0018】
一態様において、以下の説明文は、30ms〜200msの範囲、詳細には60ms〜200msの範囲、更に詳細には100ms〜200msの範囲の光パルスを照射することにより、3J/cm〜6J/cmの範囲、詳細には3J/cm〜5J/cmの範囲の放射フルエンスを供給することができる、基板に実装された複数のLEDダイ(規則的なアレイパターンの形で実装することもできるが、LEDダイは不規則な形で実装することもできる)を有する発光ユニットを備えた脱毛装置に重点を置く。
【0019】
本開示はまた、480nm〜510nmの緑色光範囲の外側の処理光パルスを放射するLEDダイの使用についても述べる。また、赤毛の脱毛に特化した本装置は、ユーメラニンを含む茶系毛髪(金髪は茶系毛髪に含まれる)の脱毛に適したLEDダイを更に含むこともできる点を理解されたい。この点に関し、本明細書のこのような開示はすべて、緑色処理光パルス発光LEDダイ以外に存在し得る要素として理解されるべきである。
【0020】
本開示では、比較的長い処理光パルスを利用する。毛包にアポトーシス(プログラムされた細胞死)をもたらすために必要な凝固は、温度及び時間の両方の関数であることが知られている。したがって、70℃の温度への1msの曝露は毛包内のタンパク質の凝固を生じるが、62℃の温度も、毛包がこの温度に100msにわたって曝露されれば必要な凝固を生じる。したがって、10ms又はそれよりも長いパルス長が考えられるが、特に白い肌に生えた茶色の毛髪を処理するために用いられる4J/cm以上の範囲の放射フルエンスでは、少なくとも60ms、更に詳細には少なくとも100msのパルス長を有する処理光パルスが少なくとも1つ又はいくつかの処理モードで使用される必要がある。これは特に異なる波長で発光するように構成された異なるLEDダイが基板上に実装されている場合に言えることである。したがって、少なくとも1つの態様によれば、脱毛装置は、少なくとも60msのパルス長、詳細には80ms〜120msの範囲のパルス長、通常は約100msのパルス長を有する少なくとも1つの処理光パルスを放射するように構成される。これは、700nm〜980nmの遠赤色から赤外までの波長範囲で発光するLEDダイに特にあてはまり得る。
【0021】
基板上に実装されたLEDダイの少なくとも一部は、少なくとも一時的な脱毛を行ううえで充分な実装密度及び光出力(放射光束)を有する。これについては以下の段落でより詳しく説明する。
【0022】
一態様では、以下の説明は、第1の波長で発光するように構成された複数の第1のLEDダイと、第1の波長とは異なる第2の波長で発光するように構成された少なくとも1つの第2のLEDダイとを含む、基板に実装されたLEDダイを有する発光ユニットを備えた脱毛装置に重点を置く。特定の実施形態では、第1のLEDダイは、赤毛の少なくとも一時的な脱毛を行ううえで充分な実装密度及び光出力(放射光束)を有する。特定の実施形態では、第2のLEDダイ(又は複数の第2のLEDダイ)は、複数の第1のLEDダイの選択された活性領域を表示する目的に充分なより低い放射光束で可視光を放射するように構成することができる。異なるLEDダイを同じ基板上に容易に実装することができるため、処理用に成された第1のLEDダイと表示用に成された第2のLEDダイとを同じ実装領域上に配列することができ、それぞれの個別の配線によって別々に制御することができる。特定の実施形態では、同じ種類のLEDダイを個別に制御する代わりにグループとして制御する。詳細には、各LEDダイを直列に配置することができ、グループとして制御することができる。LEDダイのアレイの単一の行又は列の各LEDダイを直列に接続することができるが、同時に制御すべきLEDダイの位置は任意であることは言うまでもない。
【0023】
完全を期すために、本開示で「パルス長」なる用語を用いる場合、この時間の長さは、半値全幅(FWHM)のパルス強度で測定されるパルス長を意味する。
【0024】
本明細書では、「放射フルエンス」はユーザの皮膚上の値として与えられるが、本明細書に述べられる脱毛装置は、ほぼ出口開口部の面に配置されたLEDダイを有するか、又はLEDダイが実装された基板領域が反射性内壁を有するケーシングによって包囲されているため、ユーザの皮膚によって受け止められる(通常動作時に)放射フルエンスとは、LEDダイが実装された基板領域と処理される皮膚の領域とがほぼ同じサイズであることから、LEDダイの位置において放射される放射フルエンスを意味することは理解されよう。LEDダイによって放射された光が、反射ケーシングによって空間的に限定されない発散光線によって皮膚に照射される場合、それぞれの減少係数を考慮する必要がある(すなわち、LEDダイの面における放射フルエンスは、本明細書で定義される皮膚上での放射フルエンスよりもそれぞれ高くなければならない)。
【0025】
フラッシュランプと異なり、LEDダイは、比較的狭い波長帯域(例えば、
【0026】
【数2】
のスペクトル帯域幅(FWHM))で発光する。そのため、レーザと同様、LEDダイは、放射される光が特定の状況(例えば、髪色及び/又は肌色によって決定される)に最適となるように選択することができる。したがって、既知の健康上の理由でフィルタ除去する必要のあるUV部分を含む極めて広い波長スペクトルを放射するフラッシュランプを用いたIPL(強力パルスライト)装置に通常使用されている光学フィルタを用いる必要がない。
【0027】
本開示の一態様では、脱毛装置は、例えば2つの異なる波長、3つの異なる波長といった異なる波長で発光するように構成された異なるLEDダイを有する。一方で、可視波長で発光するように構成された更なる単一のLEDダイ(又は複数のLEDダイ)を用いてユーザに装置のオン/オフ状態を視覚的に表示し、次いで装置が、不可視光波長範囲(例えば遠赤色又は赤外(IR)光領域)の処理光パルスを放射することができる。他方で、異なる波長で発光する複数のLEDダイを使用して、特定の状況に合わせて波長を最適に調整することができる(例えば、ユーザ毎に、又は更には単一のユーザにおいて髪色及び/又は肌色を変化させる。ただし詳細には、肌色は処理領域のタンニングに依存する)。これらの可能性を、下記により詳細に説明する。
【0028】
基本的に、光脱毛は、周囲の皮膚に影響を及ぼすことなく毛包に熱的に影響を及ぼすことにより毛髪の成長を低減又は阻害しようとするものである。毛包に熱的に影響を及ぼすには、毛包中の標的発色団によって光が吸収されなければならない。一般に、標的発色団はメラニンである(すなわち、一般的には茶色味/黒味がかったユーメラニンであるが、大部分が赤毛に存在する赤みがかったフェオメラニンも含む)。図1は、300nm〜2000nmの範囲の対数スケールで、メラニン、オキシヘモグロビン(血液)、及び水の相対光吸収率を示したものである(図1の吸収曲線は、Christine C.Dierickx,M.D.「Laser Hair Removal:Scientific Principle and Practical Aspects」,Lumenis,2002−www.lumenis.comより引用)。毛包のメラニン保持部において発生する熱は周囲組織に放散し、加熱時間及び温度が共に特定の閾値を上回れば最終的にタンパク質の凝固を生じるが、既に説明したように、加熱時間が長いほど凝固を生じる温度は低くなる。
【0029】
本開示は、大きな領域の脱毛装置(例えば少なくとも0.2cm、詳細には1cm〜4cmの範囲、潜在的には最大10cmの処理面積)及び非監視下での家庭での使用(すなわち、使用者が、怪我をするおそれなく、また医療従事者による専門的なサポートを行う必要なく、家庭で処理を行うことを可能とする)に基本的に関する。このような脱毛装置は、個々の毛包を特に個別に処理することなく、大きな皮膚領域を照射する。これは、毛包のない皮膚組織及び真皮組織内に存在する血管にも処理光パルスが照射されることを意味する。このような大きな領域の処理において皮膚組織及び血管に熱の影響が及ばないようにする(すなわち、皮膚組織及び血管への熱効果を家庭での使用で許容されるレベルに維持する)ために、最適な毛包処理は、メラニン吸収率が水による吸収及びオキシヘモグロビンによる吸収と比べて高い波長範囲で生じる。したがって、ユーメラニンを有する茶色味/黒味がかった毛髪(金髪、すなわち、かなり茶色味がかった毛髪を含む)では、最適な波長範囲は、水及びオキシヘモグロビンによる吸収率がメラニンに比べて低い630nm〜900nmの間である。フェオメラニンの吸収曲線はユーメラニンの曲線の下にあるため、発色団としてユーメラニンが基本的に存在せず、標的となるのがフェオメラニンだけである場合(赤毛にあてはまる)には、光照射による脱毛は困難となる。図2は、ユーメラニン及びフェオメラニンについての(質量)吸光係数曲線を示したものである(T.Sarna,H.M.Swartz,The physical properties of melanins,in「The Pigmentary System」,ed.J.J.Nordlund et al.,Oxford University Press,1988より引用)。吸光係数は、ある物質が特定の波長の光をどの程度強く吸収するかを定義するパラメータである。図2は、630nm〜900nmの波長範囲の特定の放射フルエンスの処理光パルスは赤毛に対する効果が低く、そのため、タンパク質凝固を生じさせるのに充分に高い温度を毛包内に発生させることができないことを示している。したがって、赤毛は、オキシヘモグロビンが局所的吸収最小値を有する(図1を参照)約500nmの波長(480nm〜510nmの波長範囲内)の光を照射することによって最も効果的に処理されるものと考えられる。500nmでは、ユーメラニンの吸収係数は800nmにおけるよりも約5倍高く、フェオメラニンの吸収係数は500nmでは800nmと比較して約20倍高くなっている。500nmでは、ユーメラニンとフェオメラニンの吸収係数はほぼ同じである。
【0030】
光脱毛のための正しいパラメータの設定における主要な因子は、皮膚のメラニンによる光吸収及び皮膚のメラニン含有量に依存する皮膚に対する熱負荷の理解を得ることにある。皮膚のメラニン含量、すなわち皮膚の色は、FSTタイプI(淡い白色)からFSTタイプVI(最も深い色素沈着)までのスキンタイプを決定するフィッツパトリックスキンタイプ(Fitzpatrick skin type、FST)分類スケールに概ね関連している。肌色が濃いほど、皮膚のメラニン含有量が高く、皮膚のメラニン粒子による光吸収性が高いため、皮膚に対する熱負荷が高い。皮膚のメラニン粒子は1μm〜5μmの範囲の一般的なサイズを有しているのに対して、毛包は100μm〜300μmの範囲のサイズを有している。このようなメラニン担体のサイズの大きな差(毛包のメラニン保持部分対皮膚のメラニン顆粒)は、異なる熱放散挙動をもたらす。上述の皮膚のメラニン顆粒の熱弛緩時間が0.1ms未満であるのに対して、毛包の熱弛緩時間は約10msである。現在、毛包に熱による影響を及ぼすためには、一定の放射フルエンス(単位面積当たりの光エネルギー)を一定の時間枠内に照射する必要があると一般的に考えられている。これらのメラニン粒子から熱を放散させ、色素による光吸収による皮膚に対する熱負荷を低減するには、パルス長は皮膚のメラニン顆粒の熱弛緩時間を上回る値を有する必要があると考えられる。このため、パルス長は、詳細には熱緩和時間の10倍よりも長くすることができる(すなわち、少なくとも約1ms以上)。白色〜中間の肌色(FST I〜III)では、皮膚のメラニンの光吸収の作用のために熱の影響は限定的であり、最適なパルス長を決定するうえで重要な役割は果たさない。いずれにしても、1ms又は更には充分なフルエンスを下回るこのような短い光パルスは、今日のLEDダイでは、本明細書で述べられるような高い密度で実装した場合でも発生させることはできない。本開示によれば、少なくとも約10msのパルス長が検討される。必要とされる放射フルエンスが長すぎる処理光パルスとして与えられる場合、熱放散によって、毛包内で得られる温度は毛包内で効果的なタンパク質凝固が生じるには低すぎる値にまで低下してしまう。パルス長は、約300msを超えるべきではなく、詳細には約200ms以下とすべきと考えられている。この時間は基本的には毛包の熱弛緩時間によって決められ、典型的には熱弛緩時間の3〜10倍の範囲である(約10msの範囲でもよいが、大きな毛包ではより長くともよい)。少なくとも一時的な脱毛に適した効果(すなわち、一時的又は永久的な発毛の低減が生じるような少なくとも毛包における熱による変化)を得るためには、この時間の間に供給される放射フルエンスは、赤毛では、3J/cm〜6J/cmの範囲であり、詳細には約5J/cmである必要があると考えられる。茶色味がかった髪〜黒髪では、放射フルエンスは、典型的には、3J/cm〜9J/cmの範囲(詳細には3J/cm〜7J/cmの範囲)である。赤毛〜茶色味がかった髪に照射される放射フルエンスは、緑色光の吸収率が高いもののおおよそ同じである。緑色光の高い吸収率は、基本的に緑色光の浸透深さが浅いことによる(後方散乱のため、緑色光は毛包に到達する前に皮膚から反射される)。ユーメラニンを保有する毛髪及び明るい肌色では、典型的には、4J/cm〜8J/cmが照射される必要がある。パルス長は、赤毛及び白い肌では一般的に30ms〜200msの範囲とすればよく、ある程度日焼けした肌では、パルス長は、3J/cm〜6J/cmの範囲の放射フルエンスで100ms〜200msの範囲とする必要がある。肌が日焼けしている(すなわち、ユーメラニン保有顆粒が皮膚中に存在する)場合、皮膚に対する熱負荷は、極めて長い処理パルスと全体的に低い放射フルエンスによってより強力にバランスを取る必要がある。また、以下で説明するように緑色光の皮膚への浅い浸透深さも考慮されるべきである。
【0031】
光学的浸透深さ(光の強度が1/eにまで低下する距離)は文献で異なっており、例えば、1つの文献では、色白の白人の皮膚では、500nmの波長で0.230mmの浸透深さ〜1000nmの波長で約1.6mmの浸透深さとされている(R.Rox Anderson et al.,The Optics of Human Skin,The Journal of Investigative Dermatology,77:13〜19,1981)のに対して、別の文献では、500nmでの約0.9mm〜1000nmでの2.6mmの値とされている(Bashkatov,et.al.;Optical properties of human skin,subcutaneous and mucous tissues in the wavelength range from 400 to 2000nm;J.Phys.D:Appl.Phys.38(2005)2543〜2555)。これらの差によらず、浸透深さは一般的に波長1000nmから波長500nmにかけて大幅に減少する。毛包は、皮膚表面の約1〜3mm下に位置している。つまり、赤毛の処理に最適と考えられる波長は特に浅い浸透深さを有している。また、低波長光の浅い透過深さは更に短い波長の光、例えば、約300nmの紫外光の使用も排除し、紫外光は、紫外光による他のリスクを抜きにしても毛包に基本的に到達すらしない。皮膚組織では500nm付近の光の吸収が強いことから、既に上記に述べたように3J/cm〜約6J/cmの範囲の放射フルエンスを照射するべきと考えられる。白い肌(このスキンタイプは赤毛の人に典型的である)の一般的なメラニン含量は比較的低く、皮膚に対する熱負荷は特に問題とならない。赤毛を有する日焼けした人では、皮膚に対する熱負荷が関連要因となり、皮膚に対する熱負荷を低減するうえで100msよりも長いパルス長を検討することができる。更に、緑色光の照射による赤毛の処理は、毛包が皮膚表面から0.5mmと近接して位置し得るために緑色毛髪の浅い浸透深さがそれほど問題とならない早期成長期におけるように、毛包が皮膚表面にできるだけ近くにある場合に最適に行うことができる。
【0032】
上記に述べたように、本開示に基づく発光ユニットは、LEDダイ1個当たり所定の放射フルエンスをそれぞれが有する複数のLEDダイが充分に高い密度で実装された基板を有している(例えば、1平方cmあたり約8個〜約90個のLEDダイであるが、単位面積当たりのダイの数で表される実現可能な密度は当然ながらLEDダイのサイズにも依存する)。
【0033】
実現されている1つの例では、502nmのピーク発光波長(505nmの通常の主波長)で発光する、Osram GmbH(Munich,Germany)より販売されるGolden DRAGON Plus LV W5AM LEDダイが使用されている。データシート(バージョン1.1)によれば、このLEDダイは、順電流350mAで67lmの光束を有する。67lmは、505nmの波長で約240mWの放射光束に変換される(線形外挿を用いた場合、1000mAの順電流で約684mW)。主波長505nmのLEDダイは主波長の周囲のスペクトル帯域で発光することと、ルーメンのワットへの変換は波長に強く依存していることから、この値はあくまで推定値にすぎない。200msの処理光パルスで約3J/cmの放射フルエンスを得るには1平方cm当たり約21個のこのような505nmのLEDダイが必要とされる。したがって、1平方cm当たり約44個の505nmのLEDダイは100msのパルスで約3J/cmの放射フルエンスを与え、約88個の505nmのLEDダイは100msのパルスで約6J/cmの放射フルエンスを与える。約88個の505nmのLEDダイは、50msのパルスで約3J/cmの放射フルエンスを与えることができる。
【0034】
Osram社から販売されているこれらのLEDダイ(約1mm×1mm=1mmのダイサイズを有する)を約0.2mmの間隔で基板上に実装することができ、これにより、1cm×1cm=1cmの基板面積上に8×8=64個のLEDダイを実装することができる。フリップチップ技術を用いることで、1平方cm当たり89個のLEDダイの密度を実現することができる。
【0035】
本明細書で検討される値は、LEDダイの放射光束がLEDダイの温度、順電流及び他の因子に依存することから、比較的大まかな参考値である点を理解されたい。
【0036】
独立請求されていない1つの例では(ただし、本脱毛装置に追加的に存在し得る)、複数のLEDダイが基板上に実装され、これら複数のLEDダイのそれぞれのLEDダイは680nm〜780nmの波長範囲で発光するように構成される。この範囲で発光するLEDダイの1つの例として、Osram GmbH(Munich,Germany)より販売されるOSLON SSL(登録商標)150(GF CSHPM1.24−データシートバージョン1.0)に使用されているLEDダイがある。各LEDダイは、スペクトル帯域幅(FWHM)がΔλ=±30nmのピーク発光波長730nm(遠赤色)で発光する。このLEDダイは、350mAの順電流で201mW〜280mW(通常、231mW)の放射光束(放射出力とも呼ばれる)を有し、最大1000mAの順電流が指定されている(これにより、通常、660mWの放射光束を生じる)。この脱毛装置は、更に茶色味がかった毛髪に対する脱毛性能も与えるために複数のこうしたLEDダイを更に有することができる。
【0037】
一般的に、大型のサイズのLEDダイは、0.5mm〜1.5mm×0.5mm〜1.5mm(すなわち、0.25mm〜2.25mmのサイズ)の範囲のサイズを有することができる。LEDダイは、ワイヤボンディング(詳細には金線ボンディング)によって基板に接続することができるが、高いパッケージングフォームファクター及び高い熱放散率を実現するためには、LEDダイは、フリップチップ技術によって基板に接続してもよい(そうすれば1平方cm当たり89個の1×1mmのLEDダイの密度を実現することができる)。上記に述べたOsram社製のLEDダイ(1平方cm当たり64個のLEDダイの密度)を指定の順電流である1000mAで駆動して30ms〜200msのパルス長を有する処理光パルスを放射することにより、皮膚上の放射フルエンスは1.267J/cm〜8.448J/cmの範囲となる(全放射エネルギーが、実装された基板面積の大きさと同じ処理面積の大きさの皮膚領域に照射されるものと仮定する)。光パルスを放射する際にLEDダイが発生する余分な熱は、例えばヒートシンク、ヒートパイプ、又は能動的液体冷却システムなどの受動的又は能動的な冷却装置によって基板から放散させることができる。受動的冷却装置(例えばヒートシンク)は、(冷却された)空気流を与えることにより支持することができる。LEDダイの効率は30%程度であることが多く、8J/cmの放射フルエンスを発生する処理光パルスは、約18.7J/cmの余分な熱を放散せざるを得ないことを意味する。約1秒以上の所定の冷却時間を必要とするフラッシュランプに対して、LEDダイはより高い周波数でパルスさせることができるため、LEDダイによって大きな皮膚面積でより速やかな全体の処理時間を実現することができる。
【0038】
上記の例では、8個×8個のLEDダイのアレイのうちの少なくとも1つのLEDダイを、第1の波長とは異なる第2の波長(例えば、第2の波長は400nm〜700nmの可視光域にあってよい)で発光する異なるLEDダイ(すなわち第2のLEDダイ)で交換することができる。
【0039】
独立請求されていない1つの例では(ただし、本脱毛装置に追加的に存在し得る)、LEDダイは、Osram GmbH(Munich,Germany)より販売されるOSLON Blackシリーズ(850nm)のものを使用することができる。データシート(2014−01−09からのバージョン1.1)によれば、各LEDダイ(1×1mmのサイズ)は、スペクトル帯域幅(FWHM)がΔλ=±30nmのピーク発光波長860nm(中心波長:850nm)で発光する。全発光光束は、1000mAの順電流で1030mWとして与えられる。1cmの基板面積上に予め実装された5個のこのようなLEDダイは、1cmの皮膚処理面積上で200msのパルス長当たり約1J/cmの放射フルエンスを与える(LEDダイの全放射光束が皮膚処理面積上に照射されると仮定する)。
【0040】
独立請求されていない更に別の例では(ただし、本脱毛装置にやはり追加的に存在し得る)、8個×8個のLEDダイのアレイを1cmの基板領域上にやはり実装することができる。第1の部分複数の44個の第1のLEDダイ(730nmの第1の波長で発光するOSLON SSL(登録商標)150)が、第2の部分複数の20個の第2のLEDダイ(850nmの第2の波長で発光するOSLON Blackシリーズ)と本質的に混在している。第1のLEDダイのみがオンされて200msの処理光パルスを発光する場合に、5.8J/cmのフルエンスが得られる。第2のLEDダイ(850nm)のみがオンされて200msの処理光パルスを発光する場合に、4J/cm以上のフルエンスが得られる。共にオンされる場合、おおよそ10J/cmのフルエンスが200msの処理光パルスで得られる(又は100msの処理光パルスでおおよそ5J/cmのフルエンス)。
【0041】
表1は、本明細書の発明者らが、所与のFSTスキンタイプの赤毛に対する最適な処理パラメータを表しているものと考えるところの波長、パルス長、及びフルエンス値をまとめたものである。薄い茶色及び濃い茶色の毛髪についての他の最適なパラメータも示している。赤毛について下記に示した500nmの代表的な波長は、480nm〜510nmの波長範囲の代表的なものとして理解される。他の場合では、代表的な波長は、所与の単一の波長の値の±50nm(場合により±30nm)の範囲をカバーする波長範囲に相当する。注意すべき点として、特定の実施形態では、脱毛装置は、制御ユニットが表1に従って(赤毛の場合を除き)LEDダイを作動することができるように、500nm付近のピーク発光波長で発光するように構成された複数の第1のLEDダイと、例えば730nm又は850nm付近のピーク発光波長で発光するように構成された複数の第2のLEDダイとを有する。更に、制御ユニットが表1に従ってLEDダイを作動することができるように、730nm及び850nmの他の波長付近のピーク発光波長で発光するように構成された複数の第3のLEDダイが存在してもよい。
【0042】
【表1】
【0043】
図3は、本発明に基づく発光ユニット10の例示的な一実施形態の概略図である。発光ユニット10は、64個の複数のLEDダイが実装された基板100を有している。LEDダイは、行A〜Hと列1〜8とからなる8×8の規則的な矩形のパターンに配列されており、各LEDダイを行列内のそれらの位置によって識別することができる。例として3個のLEDダイ101A1、101A8、及び101E5が示されており、行列の配列内のLEDダイは、それぞれの参照数字に添え字として付与された行と列とによって識別することができることが理解される。
【0044】
8×8の正方形のLEDダイの行列はあくまで一例にすぎず、LEDダイは、2×2、2×4、3×6、5×5、10×14、4×15(図4Bを参照)といった行列などの正方形又は長方形の行列、あるいはそれほど組織化されていない、よりランダムなパターンとして、任意の実用的な形で基板上に配列することができる点を理解されたい。LEDダイは、正方形又は長方形の行列として配列する代わりに、正方形又は長方形の領域よりもむしろ円形の領域に似た規則的なパターンで配列することもできる。実装される基板領域の他の任意の形状も選択することができる(例えば、三角形、台形、任意形状)。図4A図5及び図6の例では、説明を簡単にする目的で同じ8×8の行列を用いるが、これらの図に関して説明される概念及び発想は、上述の、基板に実装されるLEDダイの他の規則的又は不規則的なパターンにも適用可能であることは言うまでもない。図4Bは、4×15の行列を用いた一実施形態を示している。
【0045】
制御ユニット20は、LEDダイ101の各々に選択的に電圧及び電流を供給するためにLEDダイの行列に接続されたリード線を有している。上記で述べたように、8×8の行列は、各列が同時に制御されるように直列に接続された8列のLEDダイを有している。一般的に、制御ユニット20は、すべてのLEDダイを同時にオン及びオフするように構成することができるが、制御ユニット20は基板上に実装されたLEDダイのそれぞれを個別にオン又はオフするように構成することもできる。一般的に、制御ユニットは、複数のLEDダイに任意の適当な方法で接続することができる。
【0046】
制御ユニット20には、例えば肌色(色素沈着レベル)などの皮膚特定を測定するためのセンサ30が接続されている。センサは、皮膚を照射する光源を有してもよく、センサはセンサに後方散乱される(例えば光ダイオードにより実現される)光の量から肌色などの皮膚特性を決定するように構成することができる。更に、制御ユニット20は、詳細には、例えば光強度及び/又はパルス長などの測定された肌色に基づいて少なくとも1つの処理パラメータを制御するように構成することができる。センサ30は、任意選択的な要素として理解されるべきである。
【0047】
この場合、制御ユニット20はユーザインターフェース40、50、60、70にも接続されており、ユーザが発光ユニット10の各側面を制御することを可能とする(ユーザインターフェースは任意選択的な要素として理解される)。ここで、ユーザインターフェースは、4つの入力素子40、50、60、及び70を有している。第1の入力素子40をオン/オフスイッチとして構成することができる。第2の入力素子50は、処理のタイプを選択するスイッチとして構成することができ、例えば第2の入力素子50は、ユーザが脱毛機能と皮膚再生機能との間で切り替えを行うことを可能とするものとすることができる。更に、制御ユニット20は選択された処理のタイプに基づいて少なくとも1つの処理パラメータを制御するように構成することができ、例えば、LEDダイによって放射される放射光束を、脱毛機能におけるよりも、皮膚再生機能でより低くすることができる。第3の入力素子60は、ユーザが髪色を入力できるように構成することができる。更に、制御ユニット20は、髪色に応じて少なくとも1つの処理パラメータを制御するように構成することができる。第4の入力要素70は、ユーザが、皮膚に照射される最大放射フルエンスの値を設定できるように構成することができる(例えば1J/cmから8J/cmの範囲の値)。ここで、制御ユニット20は、選択された最大放射フルエンスを上回らない放射フルエンスの光パルスのみを照射するように構成することができる。これに加えるか又はこれに代えて、入力素子のうちの1つは、ユーザが、実装されたLEDダイの第1の活性領域から第2の活性領域に切り替えることができるように構成することができる(以下の図4A及び図4Bに関する説明を参照)。入力素子40、50、60、又は70のそれぞれは、入力ノブ又はスライダー、あるいはタッチ感受性ボード上のタッチ感受性スイッチとして構成することができる。制御ユニット20に有線接続されているものに対して、ユーザインターフェースは、制御ユニット20と無線で接続された別の装置上で実現することができる。図3に示されるような4つの入力素子の代わりに、ユーザインターフェースは、1個、2個、3個、5個、6個、又は任意の数の入力素子を有することができる。特定の実施形態では、発光ユニット10はいずれのユーザインターフェースも含まず、自動化された形で動作するように構成することができる。上記に述べた機能の他の又は更なる機能をユーザインターフェースを介して実現することができる。
【0048】
図4Aは、基板100A上に実装された複数のLEDダイ102及び103の構成の一例である。複数の第1のLEDダイ102は57個の要素を有している。複数の第2のLEDダイ103は7個の要素を有している。複数の第2のLEDダイ103の7個の要素は、それらの行列での位置によって103A1、103E1、103H1、103A5、103E5、103A8、及び103H8として識別される。複数の第1のLEDダイ102は、480nm〜510nmの範囲の緑色の波長で発光するように構成することができる(第1の波長)。したがって、第1のLEDダイを用いて皮膚表面に処理光パルスを照射することができる。更に、第2のLEDダイ103は、400nm〜700nmの可視波長範囲(第2の波長)で発光するように構成することができ、詳細には、第2のLEDダイは、一時的な脱毛を行うのに充分な強度レベルで発光させるのには適していない低放射光束のLEDダイとして構成することができる(例えば、第2のLEDダイは、約2Vの供給電圧において100mA未満、詳細には、約50mA又は20mAの指定された順電流を有することができる)。第2のLEDダイは、LEDダイの行列の活性領域を示すために使用することができる。これにより、オンされた第2のLEDダイ103A1、103E1、103A5、及び103E5は、これら4個の第2のLEDダイの間に配置された第1のLEDダイのみが皮膚に光を照射するために使用されることを示す(第1の活性領域A1が破線により示されている)のに対して、オンされた第2のLEDダイ103A1、103H1、103A8、及び103H8は、複数の第1のLEDダイの全体が使用されることを示す(第2の活性領域A2が一点鎖線により示されている)。より小さい第1の活性領域A1が顔面の皮膚の処理に有用である(より小さい活性領域A1は小さい顔の領域をより正確に標的化することができる)のに対して、より大きな活性領域A2は身体の皮膚の処理に有用である(より速やかな処理)。既に上記に述べたように、ユーザが可能な活性領域の間で切り替えることができるように入力素子を設けることができる。LEDダイのパターンに応じて、少なくとも2個の第2のLEDダイを用いて活性領域を示すことができる(例えば、第2のLEDダイを正方形又は長方形の配列の互いに反対側の隅に配置することができる)。特定の実施形態では、第1のLEDダイの活性領域を第2のLEDダイによって取り囲むことで活性領域を示すことができる。
【0049】
一般的に、特定の実施形態では、基板上に1個だけの第2のLEDダイが実装される(例えば図4Aに示されるように63個の複数の第1のLEDダイと1個だけの第2のLEDダイを8×8の行列で基板上に実装することができる)。第2のLEDダイは、詳細には、低い放射光束(例えば、通常、約20mA〜50mAの順電流で100mW未満)で可視波長範囲(すなわち400nm〜700nmの間)で発光するように構成することができる。このような第2のLEDダイは照明の目的で使用することができる。すなわち、第2のLEDダイを処理光パルスの放射と同時に可視光を放射するように制御する。
【0050】
特定の実施形態では、それぞれが異なる可視波長で発光する3個のLEDダイ(例えば625nm、520nm、及び465nm付近、したがって3個の第2のLEDダイは基本的にRGBのLEDの機能を与える)が近接した空間的関係で基板上に実装されることにより、3個の第2のLEDダイの個別の強度の制御によって3個の第2のLEDダイによって放射される全体の光の色をカスタマイズすることができる。このような第2のLEDダイは照明の目的で使用することができる。ユーザが好ましい色を設定することができるように入力素子を設けることができる。更に、照明の目的で使用されるこのような少なくとも1個の第2のLEDダイが、第1のLEDダイのアレイの活性領域のサイズの識別に用いられる第2のLEDダイ以外に存在してもよい。
【0051】
図4Bは、図4Aに示される実施形態に似た基板100AA上に実装された4×15のLEDダイの行列の例示的な一実施形態を示しており、処理光パルスを放射するように構成された54個の複数の第1のLEDダイ102Aに加えて、6個の複数の第2のLEDダイ103Aが、第1の活性領域A3又はより大きい第2の活性領域A4を示すために可視波長範囲で発光するように配列されている。このような長方形のLEDダイのアレイは、1つの皮膚処理領域から別の皮膚処理領域へと順次動かされる(図4Aに示されるLEDダイアレイはこのために使用することができる)代わりに、皮膚に沿って連続的に動かされる脱毛装置で特に使用されることができる。このような滑らかな動きは、特に長方形のLEDダイアレイの長軸に垂直な方向に特に生じ得る。特定の実施形態では、滑らかに使用される脱毛装置は、皮膚に沿って装置が動かされる速度を測定するための速度センサを有することができる。したがって、この脱毛装置を、測定された滑らかな運動の速度に応じて連続した処理光パルス間の時間を制御するように構成することで、処理光パルスが皮膚に途切れることなく(すなわち、隙間や重なり合いを基本的に生じることなく)照射されるようにすることができる。長方形の形状のため、より小さい活性領域A3がLEDダイの行列の幅全体をカバーしており、これにより、より小さい活性領域A3を処理領域上に正確に位置決めする助けとなる。
【0052】
図5は、8×8のLEDダイの行列の例示的な一実施形態を示しており、32個の複数の第1のLEDダイ104と、32個の複数の第2のLEDダイ105とが基板100B上に市松模様のパターンで実装されている(例えば、実装された基板領域にわたって第1及び第2のLEDダイが基本的に均一に分布することになる)。詳細には、実装されたLEDダイのアレイが操作時に処理される皮膚に近接して配置される場合、複数の第1のLEDダイ又は複数の第2のダイのどちらかのみを作動させることにより、実質的に均一な照明が実現される。複数のLEDダイ104を第1の波長で発光するように構成することができ(詳細には、赤毛の少なくとも一時的な脱毛に充分な強度レベルで)、複数の第2のLEDダイを第1の波長とは異なる第2の波長で発光するように構成することができる。複数の第2のLEDダイは、単独で特定のユーメラニンを保有する茶色味がかった髪の少なくとも一時的な脱毛に充分な放射光束で発光することができるが、第2のLEDダイは皮膚再生又は他の皮膚処理に充分な放射光束で発光することもできる。特定の実施形態では、第2のLEDダイは、照明の目的のみに充分な放射光束で可視光を放射する。市松模様のパターンで配列される代わりに、第1及び第2のLEDダイを他の任意のパターンで配置することもでき、第1のLEDダイよりも多いか又は少ない第2のLEDダイを設けることができる(例えば、2個、7個、10個、16個、20個、40個など)。上記に述べたように、ここで示した8×8の行列はあくまで例示の目的のものにすぎず、少なくとも第1のLEDダイが通常の動作時に皮膚に30ms〜200msのパルス長を有するパルスで少なくとも3J/cmの放射フルエンスを発生させるように配列されている限り、あらゆる任意の数の第1及び第2のLEDダイを、あらゆる任意のパターンで配列することができる。
【0053】
図6は、基板100C上に実装された8×8のLEDダイの行列の別の例示的な実施形態を示しており、第1、第2、第3、及び第4の、4種類の異なる複数のLEDダイが基板100C上に実装されている。20個の複数の第1のLEDダイ106、21個の複数の第2のLEDダイ107、及び21個の複数の第3のLEDダイ108が交互に基板上に実装されている。LEDダイアレイの中心には、照明の目的に適した放射光束で可視波長範囲で発光するように構成することができる2個の第4のLEDダイ109が実装されている。特定の実施形態では、複数の第1のLEDダイ106は第1の波長(例えば505nm)で発光するように構成することができ、複数の第2のLEDダイ107は第1の波長とは異なる第2の波長(例えば730nm)で発光するように構成することができ、複数の第3のLEDダイ108は第1及び第2の波長とは異なる第3の波長(例えば850nm)で発光するように構成することができる。
【0054】
図7Aは、本発明に基づく脱毛装置80の図を示す。脱毛装置80には、上記の段落で述べた発光ユニットが使用されている。脱毛装置80は、処理光パルスを放射するためのヘッド部81と、ユーザが手で脱毛装置80を保持するためのハンドル部82とを有している。脱毛装置80を少なくともオン/オフするための制御素子85がハンドル部82に配置されている。図7B図7Dは、ヘッド部81A、81B、81Cの異なる実施形態の正面図を示しており、各実施形態は、少なくとも1つの皮膚特性を測定するための1乃至複数のセンサ95A、95B、95Cの位置においてのみ本質的に異なっている。ヘッド部81A、81B、81Cはそれぞれ、操作時に処理光パルスがそこから放射される各出口開口部90A、90B、又は90Cを有している。複数のLEDダイが実装された基板は、各出口開口部90A、90B、又は90Cのすぐ後方に配置してもよく、又は基板は、ヘッド部81A、81B、81Cの内部に各出口開口部90A、90B、又は90Cから約10mm又は10mm未満の特定の距離に配置してもよい。LEDダイが放射する光を基本的に透過する材料で形成された出口窓91A、91B、91Cが各出口開口部90A、90B、又は90Cを覆っている。出口開口部90A、90B、又は90Cは、0.2mm〜10cmの範囲、詳細には1cm〜4cmの範囲のサイズを有することができる。したがって、基板の実装領域は、各出口開口部90A、90B、又は90Cと同じサイズ及び形状を有することができる。特定の実施形態では、出口窓91A、91B、91Cは設けられない。図7Bの実施形態では、脱毛装置は、少なくとも1つの皮膚特性を測定するための2個のセンサ95Aを有しており、これら2個のセンサ95Aは出口開口部90Aの互いに反対側の2辺に配置されている。図7C及び7Dに示される実施形態では、少なくとも1つの皮膚特性を測定するための1個のみのセンサ95B及び95Cがそれぞれ、ヘッド部81B及び81C上にそれぞれ配置されている。図7Cでは、センサ95Bは出口開口部90Bの下に配置されているため、センサ95Bは通常の運動方向(図7Cに基づく装置は滑らかな運動モードで使用することができる)に対して出口開口部90Bの手前に配置されている。図7Dでは、センサ95Cは出口開口部90Cの中心領域に配置されている。この場合、出口開口部90Cに近接して配置される基板は対応する切欠き部を有することができ、それによりセンサを切欠き部内に配置してこの切欠き部を通じて操作することができる。1乃至複数のセンサ95A、95B、95Cが皮膚との接触を検出するようにしてもよく、これにより、皮膚との接触が検出された場合に処理光パルスの放射のみをトリガするように発光ユニットの制御ユニットを構成することができる。
【0055】
図8は、動作時にLEDダイが発生する余分な熱を伝達除去するためのヒートシンク210上に実装された基板実装LEDダイアレイ200の図である。ヒートシンクの近くにファンを配置することによってヒートシンクからの熱の放散を助けることができる。
【0056】
図9A及び図9Bは、基板実装LEDダイアレイ300の斜視図及び断面図を示しており、ケーシング310が実装領域320の周囲に実装されている。ケーシング310は、LEDダイが放射する光に対して高い反射性を有する内壁表面311を有している。内壁表面311は、研磨された金属又は拡散反射性のプラスチック若しくはセラミック材料で形成され得る反射性コーティングを有することができる。これにより、ケーシング310は、LEDダイが放射する光をLEDダイの面から脱毛装置の出口開口部まで基本的に損失がないように案内する機能を有し、LEDダイの面における放射光束は出口開口部が皮膚に置かれる際に処理領域上で測定される放射光束と基本的に同じとなる。
【0057】
本明細書に開示した寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、別段の指定がない限り、かかる寸法はそれぞれ、列挙された値及びその値の周辺の機能的に等価な範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9A
図9B