(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6864013
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】滅菌バッグクイック接続デバイス
(51)【国際特許分類】
B65D 77/30 20060101AFI20210412BHJP
B65D 75/58 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
B65D77/30 C
B65D75/58
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-568484(P2018-568484)
(86)(22)【出願日】2016年12月15日
(65)【公表番号】特表2019-508340(P2019-508340A)
(43)【公表日】2019年3月28日
(86)【国際出願番号】EP2016081217
(87)【国際公開番号】WO2017157494
(87)【国際公開日】20170921
【審査請求日】2019年10月17日
(31)【優先権主張番号】201620194302.1
(32)【優先日】2016年3月14日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】505353364
【氏名又は名称】ゴリオ ソチエタ ペル アツィオニ
(73)【特許権者】
【識別番号】518328380
【氏名又は名称】ゴリオ(ティエンチン) パッケージング カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】グラント カーリング
【審査官】
加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−528539(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0048557(US,A1)
【文献】
国際公開第2012/101982(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/30
B65D 75/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部シールカバー(2)又は口部接続ピース(3)が滅菌バッグの滅菌バッグ口部(1)に取り付けられた滅菌バッグクイック接続デバイス(100)であって、
− 前記滅菌バッグ口部(1)は、アーク形状溝部(11)を上部面(12)上に有し、前記滅菌バッグ口部(1)の下部面(13)は、積層複合膜(14)でシールされており、
− 前記口部シールカバー(2)は、アーク形状持ち上げ部(21)を両側に有し、前記アーク形状持ち上げ部(21)は、シールするために、前記滅菌バッグ口部(1)の前記上部面にある前記アーク形状溝部(11)で留められ;
−前記口部接続ピース(3)は、中空チューブピースであり、前記口部接続ピース(3)の下側中間位置に4つの液体排出孔(38)を備え、かつ、前記口部接続ピース(3)の底部に傾斜エッジ部(40)を備え、前記口部接続ピース(3)の上側及び中間部分は、回転アーム(34)を有し、前記回転アーム(34)は、前記回転アーム(34)の両端部にスロット(35)を有し、前記スロット(35)の寸法は、前記滅菌バッグ口部(1)の前記アーク形状溝部(11)に隣接する部分の外側エッジ部の寸法と一致している、
滅菌バッグクイック接続デバイス(100)。
【請求項2】
前記滅菌バッグ口部(1)が、スポット溶接によって前記口部シールカバーに固定されている、請求項1に記載の滅菌バッグクイック接続デバイス(100)。
【請求項3】
前記口部接続ピース(3)の上側端部が、シリカゲルチューブとの接続のための接続部である、請求項1に記載の滅菌バッグクイック接続デバイス(100)。
【請求項4】
前記口部接続ピース(3)が、前記口部接続ピース(3)の中間位置に2つのシールリング(36)を備える、請求項1に記載の滅菌バッグクイック接続デバイス(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽工業における食品包装全般に関し、詳細には、請求項1の前提部に記載の液体製品の滅菌包装バッグに関する。
【背景技術】
【0002】
既存の標準的な滅菌バッグは、完全にシールされたグランド型の口部を有する。
【0003】
そのような口部は、最も広い用途を有し、一般的な滅菌バッグ充填機に適用可能である。このため、口部は、1回圧入構造(one−time press−in structure)を有し、充填後に締りばめによって滅菌バッグのシート部に圧入され、圧入後に引き抜くことはできない。したがって、バッグ中の物質を取り出す必要がある場合、切断によってバッグを開封するなどの破壊的プロセスを用いなければならない。
【0004】
そのような口部では、液体の排出が支持されず、バッグインボックス(ある種の小容積滅菌バッグ)フィールド作製機(field preparation machine)などの自動液体排出装置と接続することができず、定量化された自動液体排出を実現することができない。そのような欠点により、バッグインボックスのフィールド作製機への適用が大きく制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決すべき技術的課題は、既存技術の欠点を克服し、一般的な滅菌バッグ充填機における使用、及び液体排出のためのフィールド作製機との接続の両方が可能である種類の滅菌バッグクイック接続デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題は、請求項1に記載の滅菌バッグクイック接続デバイスによって解決される。
【0007】
滅菌バッグ口部は、スポット溶接によって口部シールカバーに固定される。
【0008】
滅菌バッグ口部の外形寸法は、既存の標準的滅菌バッグの場合と一致しており、液体排出のための孔が、口部の中央に配置されている。
【0009】
滅菌バッグ口部は、アーク形状溝部を上部面上に有し、口部の下部面は、積層複合膜でシールされている。
【0010】
口部シールカバーのアーク形状持ち上げ部(arc−shaped heaves)は、バッグ口部の上部面上にあるアーク形状溝部と同じ形状を有し、シールするために用いられる。
【0011】
持ち上げ部の下部面にある内側リングの外側寸法は、口部にある孔の内側寸法と一致している。
【0012】
持ち上げ部の下部面にある外側リングの寸法は、口部にある溝部の寸法と一致している。
【0013】
これら2つのパーツが合致することで、バッグ口部とシールカバーとをしっかり留めることができる。一方、シールカバーは、スポット溶接によってバッグ口部に固定される。
【0014】
滅菌バッグが充填機上で充填された後、充填機は、シールカバーで蓋をされたバッグ口部を滅菌バッグのシート部に圧入して、閉鎖接続(close connection)を形成することができる。一方、バッグ口部の底部は、バッグ中の液体を外気から遮断することができる積層複合膜でシールされていることから、充填後にバッグ内部の滅菌状態を確保することができる。
【0015】
本発明の滅菌バッグ口部の外形寸法が、既存の標準的滅菌バッグの場合と完全に一致していることから、本実用新案に記載される口部を有する滅菌バッグは、既存の標準的な滅菌バッグ充填機において問題なく使用することができる。
【0016】
口部接続ピースは、液体の排出時に、滅菌バッグ口部をフィールド作製機の液体チューブと接続するために用いられ、それによって、滅菌バッグ中の液体を、バッグを損傷することなく、フィールド作製機を通して自動的に取り出すことができる。
【0017】
接続ピースの下側部分は、バッグ口部との接続用であり、接続ピースの底部にある傾斜エッジ部(又は先端部)は、バッグ口部の底部にある積層複合膜に穴をあけるために用いられる。
【0018】
接続ピースの下側位置には、バッグ口部との接続後に液体排出のために用いられる円形状に均等に分布された4つの排出孔がある。
【0019】
接続ピースの中間セクションには、バッグ口部の完全なシールを確保することができる2つのシールリングがある。
【0020】
接続ピースの上側及び中間部分は、回転アームを有し、回転アームの端部にはスロットがあり、スロットの寸法は、バッグ口部のアーク形状溝部に隣接する部分の外側エッジ部の寸法と一致している。
【0021】
接続ピースが正しくバッグ口部と接続されると、接続ピースは、回転アームによって特定の角度分回転することができ、一方スロットとバッグ口部の外側エッジ部との接触により、バッグ口部に接続ピースを固定することを実現することができる。
【0022】
接続ピースの上側部分は、フィールド作製機の液体チューブとの接続のために用いられ、挿入後の液体チューブの堅さを、接続ピースのラチェットによって確保することができる。
【0023】
本発明は、滅菌バッグに包装された液体製品の便利で衛生的な排出及び使用を確保し、並びに滅菌バッグと排出装置との迅速で清浄な接続を実現するように設計されている。
【発明の効果】
【0024】
既存の技術と比較して、本発明の有益な効果は以下の通りである:
【0025】
1.本発明のバッグ口部は、使い捨てであることから、製品充填の衛生を確保することができる。
【0026】
2.本発明は、フィールド作製機と接続された滅菌バッグの自動液体排出を実現するのに役立つものであり、それは、既存の技術を用いては達成することができない。本発明により、滅菌バッグの適用分野を拡大することができる。
【0027】
3.自動液体排出を実現することができることにより、ユーザーは、内部の液体を用いるために滅菌バッグを切断する必要がなく、そのため、使用方法は、より便利及び衛生的である。
【0028】
4.既存の技術的条件下では、場合によっては、バッグを損傷することなく液体を排出するために、第二の排出口部を配置することが必要である。本発明の場合、充填及び排出の機能が1つにまとめられており、追加の排出口部は不要であり、このことは、コストの削減につながる。
【0029】
5.本発明のバッグ口部の寸法は、既存の技術の場合の寸法と一致しており、そのような口部を有するバッグは、既存のバッグ口部と互換性のあるすべての充填機に用いることができる。
【0030】
6.ユーザーは、口部接続ピースを、1回限りの使用とするか、又は繰り返し使用とするかを選択することができ、このことは、コスト削減という点でユーザーにより多くの選択肢を提供する。
【0031】
本発明は、乳製品、飲料、及び液体食品の包装に使用可能であり、また流動性製品が関与する他の分野でも使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本発明に従う滅菌バッグ口部の構造概略図である。
【
図2】
図2は、本実用新案における口部シールカバーの構造概略図である。
【
図3】
図3は、本発明に従う口部接続ピースの構造概略図である。
【
図4】
図4は、滅菌バッグ口部及び口部シールカバーの組み立て図である。
【
図5】
図5は、挿入時における滅菌バッグ口部及び口部接続ピースの組み立て図である。
【
図6】
図6は、使用時における滅菌バッグ口部及び口部接続ピースの組み立て図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明について、図面及び実施形態と共に以下でさらに記載する。
【0034】
本明細書で述べる実施形態が、単に本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものではないことは理解されるべきである。
【0035】
滅菌バッグクイック接続デバイス(100)(
図6)は、それぞれ滅菌バッグ口部1、口部シールカバー2、及び口部接続ピース3の3つのパーツから成る。
【0036】
図1に示されるように、滅菌バッグ口部1は、アーク形状溝部11を上部面12上に有し、口部1の下部面13は、積層複合膜14でシールされている。
【0037】
図2に示されるように、口部シールカバー2は、アーク形状持ち上げ部21を両側22に有し、アーク形状持ち上げ部21は、シールするために、バッグ口部1の上部面12にあるアーク形状溝部11で留められる。
【0038】
図3に示されるように、口部接続ピース3は、中空チューブピースであり、接続ピースの上側端部31は、シリカゲルチューブと接続するための接続部32であり、接続ピースの上側31及び中間部分33は、回転アーム34を有する。
【0039】
回転アーム34の両端部にはスロット35があり、スロットの寸法は、バッグ口部1のアーク形状溝部11に隣接する部分の外側エッジ部の寸法と一致している。
【0040】
接続ピース3の中間位置37には、2つのシールリング36がある。
【0041】
接続ピース3の下側中間位置39には、4つの液体排出孔38がある。
【0042】
接続ピース3の底部には、傾斜エッジ部(又は先端部)40がある。
【0043】
口部シールカバー2は、取り外し可能構造を有し、滅菌バッグ口部1とスポット溶接によって接続される。
【0044】
バッグ口部1とシールカバー2との組み立てを
図4に示す。
【0045】
滅菌バッグ口部1及び口部接続ピース3は、一体として用いられて、滅菌バッグとフィールド作製機との迅速で信頼性の高い接続が実現される。
【0046】
別々である滅菌バッグ口部又は口部接続ピースでは、そのような機能を提供することができない。
【0047】
滅菌バッグ口部1と口部接続ピース3との組み立てを
図5及び
図6に示す。
【0048】
使用時は、まず、口部シールカバー2をバッグ口部1から取り外し、次に、口部接続ピース3の下側部分をバッグ口部の中央の孔に、接続ピース3の回転アーム34とバッグ口部1の上部面が完全に接触するまで挿入する(
図5に示されるように)。
【0049】
挿入する際に、接続ピース3の底部の傾斜エッジ部(又は先端部)40は、バッグ口部1の底部の積層複合膜に穴をあけて、バッグの内部空間と外部空間との間の相互接続を実現することができる。
【0050】
接続ピースの挿入位置が正しくなるように注意を払い、挿入後、回転アーム34が、バッグ口部の上部面にあるアーク形状溝部11に確実に完全に入ることができるようにする(
図5に示されるように)。
【0051】
接続ピース3を完全に正しく挿入した後、回転アーム34によって接続ピース3を90度回転させる。この時点で、回転アーム34の両側にあるスロット35は、バッグ口部1の上部の突出した外側エッジ部としっかり接触して、接続ピースとバッグ口部1との信頼性の高い機械的接続を形成する(
図6に示されるように)。
【0052】
一方、接続ピースの底部の突出したシールリング38は、接続ピース3とバッグ口部1の孔との間の信頼性の高いシールを実現して、バッグ口部1と接続ピース3との間の隙間からのバッグ中の液体の漏出を防止することができる。
【0053】
接続ピース3の上側コネクタ31は、上述した接続を行う前に、フィールド作製機の液体排出チューブと接続されるべきであること、及び操作中は、滅菌バッグを上下逆さまにしておくべきであること(バッグ口部の上部面が下向きに維持される)には留意されたい。
【0054】
したがって、バッグ口部1を接続ピース3と接続した後、滅菌バッグ中の液体は、接続ピースの下側位置に異なる方向に配置された4つの排出孔38を通して、フィールド作製機の排出チューブへと流入することができる。この時点で、ユーザーは、フィールド作製機を起動して、自動液体排出を行ってよい。
【0055】
この滅菌バッグクイック接続デバイス100は、フィールド作製機と接続された滅菌バッグの自動液体排出実現に役立つものであり、それは、既存の技術を用いて達成することはできない。
【0056】
この滅菌バッグクイック接続デバイス100により、滅菌バッグの適用分野を拡大することができる。
【0057】
上記の記述は、実施形態にのみ関連する。
【0058】
本技術分野における一般的技術者が、本発明の概念の範囲内において、ある程度の小さい改善及び変更を行ってもよいことは指摘されるべきであり、そのような改善及び変更も、本発明によって保護されるものと見なされるべきである。